• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1188565
審判番号 不服2006-3548  
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-02-27 
確定日 2008-11-25 
事件の表示 平成 7年特許願第216575号「取付け用の両面テープを有する滅菌包装」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 3月 5日出願公開、特開平 8- 58851〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年8月3日(パリ条約における優先権主張1994年8月8日アメリカ)の出願であって、平成17年11月18日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成18年2月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。


2.本願発明について
本願の請求項1に係る発明は、平成17年6月7日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1は以下のとおり記載されている。
「【請求項1】
A.内面と外面とを有し医用器具を受け入れるための内側の滅菌主包装;
B.上側面と下側面と外周部を有する実質的に平らなテープ部材;前記上側面上の粘着剤の上側コーティングと前記下側面上の粘着剤の下側コーティング;及び前記下側粘着剤コーティングに取り付けられた下側剥離ライナーであって、外周部及び側部を有する剥離ライナーであり、剥離ライナーの外周部が平らなテープ部材の外周部よりかなり大きく、粘着剤の下側コーティングが剥離ライナーの外周部を越えて流れることを防止し、平らなテープ部材の上側粘着剤コーティングが滅菌主包装の外面に取り付けられる下側剥離ライナーを備えたラミネート;並びに
C.滅菌主包装が収容される密閉された外側包装を具備した滅菌包装。」(以下、請求項1に係る発明を「本願発明1」という。)

また、請求項2は以下のとおり記載されている。
「【請求項2】 下側剥離ライナー;上面と下面と下側粘着剤コーティングと上側粘着剤コーティングとを、各々が有する複数の平らなテープ部材であって、平らなテープ部材は外周部を有し、テープ部材は下側粘着剤コーティングが下側剥離ライナーと接触するように下側剥離ライナーに取り付けられテープ部材は下側ライナー上に等間隔に置かれる前記テープ部材;及び上側粘着剤コーティングが上側剥離ライナーと接触するように各平らなテープ部材の上側に取り付けられた外周部を有する上側剥離ライナーであって、かつその外周部がテープ部材の外周部と同じ大きさである上側剥離ライナーを備えたラミネート。」 (以下、請求項2に係る発明を「本願発明2」という。)


3.引用発明
(1)これに対して、原審の拒絶理由に引用された特公平3-36534号公報(以下「引用例1」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。

(a)「本発明の望ましい実施態様においては、針保持部材及び縫合材保持部材は、滅菌状態の縫合材を通した外科用針を有する滅菌状態のパッケージを・・・・紙部材と箔層は紙部材の切込み線73に沿って裂断されて、針及び縫合材保持部材71に接近できる。」(6頁、左欄7行?32行)
したがって、上記引用例1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

内面と外面とを有し針及び縫合材を受け入れるための針及び縫合材保持部材;並びに針保持部材が収容される密閉された紙部材を具備した滅菌状態のパッケージ。

(2)また、原審の拒絶理由に引用された実願昭60-50419号(実開昭61-166826号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。
(b)「第1図において、1はシート基材片であり、厚み中間の強度を弱くし、容易に層間破壊できるようにしてある。例えば、抄造層を2層とした紙を用いることができる。2,2はシート基材片1の両面に設けた粘着剤層である。3は離型シートであり、両面剥離処理した紙、プラスチツクシートを用いることができ、上記の両面粘着シート片A,・・・を一定間隔ごとに貼着してある。4,・・・は切断用破断線部である。」(2頁13行?3頁1行)
したがって、上記引用例2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
離型シートと、上面と下面と下側の粘着剤層と上側の粘着剤層とを各々が有する複数の外周部を有するシート基材片であって、シート基材片は下側の粘着剤層が離型シートと接触するように離型シートに取り付けられ、シート基材片を離型シート上に等間隔に設けたすべり止め。

(3)原審の拒絶理由に引用された実願昭48-102859号(実開昭50-47957号)のマイクロフィルム(以下、「引用例3」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。
(c)「本考案は両面感圧粘着シートに関するものであり、強離型性台紙1の離型加工面に感圧粘着剤2を形成し、該粘着層上に弱離型性紙3を圧着した3層の積層体から成る両面感圧粘着シートに関するものであって、第5図に示す従来からある両面感圧粘着シートのごとき、感圧粘着剤層2,2’を粘着剤層基材4の両面に塗布形成させたものとは異なり、粘着剤層基材4を設けて3層の積層体としたことを特徴とするものである。」(1頁9行?17行)
(d)「また前記した使用法において剥離を容易にして使用を簡便にするために弱離型性紙3と感圧粘着剤層2の2層を打抜き、縁取り加工を施す等、通常の片面粘着シートと同様に取り扱うことも可能である」(5頁3行?7行)
したがって上記引用例3には以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されている。
感圧粘着剤層と同じ大きさの弱離型性紙を有する両面感圧粘着シート

4.対比・判断
(請求項1について)
本願発明1と引用発明1とを対比するに、引用発明1の「針及び縫合材」「針及び縫合材保持部材」、「紙部材」、「滅菌状態のパッケージ」は、本願発明1の「医用器具」「滅菌主包装」、「外側包装」、「滅菌包装」にそれぞれ相当する。
したがって、本願発明1と引用発明1は、以下の点で一致ないし相違する。
<一致点>
「内面と外面とを有し医用器具を受け入れるための内側の滅菌主包装、並びに滅菌主包装が収容される密閉された外側包装を具備した滅菌包装。」
<相違点>
(1-1)本願発明1は「上側面と下側面と外周部を有する実質的に平らなテープ部材;前記上側面上の粘着剤の上側コーティングと前記下側面上の粘着剤の下側コーティング;及び前記下側粘着剤コーティングに取り付けられた下側剥離ライナーであって、外周部及び側部を有する剥離ライナーであり、剥離ライナーの外周部が平らなテープ部材の外周部よりかなり大きく、粘着剤の下側コーティングが剥離ライナーの外周部を越えて流れることを防止し、平らなテープ部材の上側粘着剤コーティングが滅菌主包装の外面に取り付けられる下側剥離ライナーを備えたラミネート」を有しているのに対し、引用発明1は当該ラミネートを滅菌主包装の外面に有していない点。

(請求項2について)
本願発明2と引用発明2とを対比するに、引用発明2の「離型シート」、「粘着剤層」、「シート基材片」、「すべり止め」は、本願発明2の「下側剥離ライナー」「粘着剤コーティング」、「平らなテープ部材」、「ラミネート」にそれぞれ相当する。
したがって、本願発明2と引用発明2は、以下の点で一致ないし相違する。
<一致点>
「下側剥離ライナー;上面と下面と下側粘着剤コーティングと上側粘着剤コーティングとを、各々が有する複数の平らなテープ部材であって、平らなテープ部材は外周部を有し、テープ部材は下側粘着剤コーティングが下側剥離ライナーと接触するように下側剥離ライナーに取り付けられテープ部材は下側ライナー上に等間隔に置かれる前記テープ部材;を備えたラミネート。」
<相違点>
(2-1)本願発明2は「上側粘着剤コーティングが上側剥離ライナーと接触するように各平らなテープ部材の上側に取り付けられた外周部を有する上側剥離ライナーであって、かつその外周部がテープ部材の外周部と同じ大きさである上側剥離ライナー」を有しているのに対し、引用発明2は上側剥離ライナーを有していない点。


5.検討
(請求項1について)
相違点(1-1)について検討する。
引用例2には、上面側と下面側に粘着剤コーティングを有するテープ部材と、テープ部材より大きな外周部を設けた下側剥離ライナーからなるラミネートが記載されている。
引用発明1は滅菌主包装の外面にラミネートを有していないが、医用器具を受け入れるための包装に滑り止めのためのテープ部材を設けることが、従来周知であることをかんがみれば(実願昭55-33025号(実開昭56-133810号)のマイクロフィルム、特開昭56-143152号公報等参照)、引用発明2のラミネートを引用発明1の滅菌主包装に適用して、本願発明1のような構成とすることは、当業者にとって容易である。
また、粘着剤の下側コーティングが剥離ライナーの外周部を越えて流れることを防止するという、下側剥離ライナーを大きくすることによる作用効果についても、剥離ライナーを大きくした引用発明2のラミネータであれば当然奏しうる効果に過ぎず、剥離ライナーをどの程度大きくするかは、当業者が必要に応じて適宜選択しうる設計的事項に過ぎない。

(請求項2について)
次に上記相違点(2-1)について検討する。
上側剥離ライナーを有していない点で引用発明2は本願発明2と相違するが、粘着剤コーティングの上面に同じ大きさの剥離ライナーを設けることは、本願発明2と技術分野を同じくする引用発明3にも記載されているように公知の技術手段である。
してみると、引用発明3のような弱離型性紙を引用発明2のラミネートに用いて、本願発明2のような構成とすることは、当業者にとって容易である。


6.むすび
以上のとおり、本願発明1は、上記引用例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。また、本願発明2は、上記引用例2及び3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-06-16 
結審通知日 2008-06-24 
審決日 2008-07-07 
出願番号 特願平7-216575
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川本 真裕柳田 利夫  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 佐野 健治
村山 禎恒
発明の名称 取付け用の両面テープを有する滅菌包装  
代理人 小田島 平吉  
代理人 特許業務法人小田島特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ