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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A61K
管理番号 1189273
審判番号 訂正2008-390087  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2008-08-12 
確定日 2008-09-24 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4099143号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4099143号に係る特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由
1.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第4099143号発明(平成15年12月15日特許出願、平成20年3月21日設定登録)の特許請求の範囲の請求項1を審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1のとおり、すなわち、
「モノテルペン類、セスキテルペン類、ジテルペン類、芳香族化合物及びこれらの誘導体から選択される25℃における蒸気圧が1.0×10^(5)mmHg以上の揮発性物質を、該揮発性物質1に対する質量比が1?8の油性成分と混合して加熱溶解し、これに粉体を混合した後冷却して得られる25℃において固体状態の揮発性成分を含有する化粧料。」

「モノテルペン類、セスキテルペン類、ジテルペン類、芳香族化合物及びこれらの誘導体から選択される25℃における蒸気圧が1.0×10^(-5)mmHg以上の揮発性物質を、該揮発性物質1に対する質量比が1?8の油性成分と混合して加熱溶解し、これに粉体を混合した後冷却して得られる25℃において固体状態の揮発性成分を含有する化粧料。」
に訂正することを求めるものである。

2.当審の判断
そこで、この訂正事項について検討する。
本件訂正前明細書(特許明細書)には、本件発明が解決しようとする課題の項(段落0005)に、その目的として、「常温では揮散しがたい成分を高揮散させ、かつそれを持続させた化粧料を提供する」ことが記載されている。
そして、請求項1には、揮発性物質が、モノテルペン類、セスキテルペン類、ジテルペン類、芳香族化合物及びこれらの誘導体から選択される物質であると規定されている。これら揮発性物質の25℃における蒸気圧が1.0×10^(5)mmHg以上であるとの本件訂正前特許請求の範囲の規定は技術常識に反するものであり、その数値に誤りがあることは当業者に明らかである。
揮発性物質の25℃における蒸気圧に関連して、本件訂正前明細書には、課題を解決するための手段の項(段落0007)に、「すなわち、本発明は、25℃における蒸気圧が1.0×10^(-5)mmHg以上の物質を、25℃において固体状態で含有する化粧料を提供するものである。」ことが、また、発明を実施するための最良の形態の項(段落0009)に、「本発明の化粧料に含有する物質は、25℃における蒸気圧が1.0×10^(-5)mmHg以上の物質(以下、本発明においては「揮発性物質」という。)であり、」と記載されており、また、他に、揮発性物質の25℃における蒸気圧についての記載はない。
これら本件訂正前明細書の記載に照らせば、特許請求の範囲の請求項1に係る発明が、「25℃における蒸気圧が1.0×10^(-5)mmHg以上の揮発性物質」に関連する発明であるとして当業者に認識理解されることは明らかであるから、上記のとおりその蒸気圧を表す数値に誤りのあることが明らかな特許請求の範囲の請求項1の「1.0×10^(5)mmHg以上」を、本件訂正前明細書に記載される「1.0×10^(-5)mmHg以上」に訂正することは、誤記の訂正を目的とするものである。
そして、上記訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。
また、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、「モノテルペン類、セスキテルペン類、ジテルペン類、芳香族化合物及びこれらの誘導体から選択される25℃における蒸気圧が1.0×10^(-5)mmHg以上の揮発性物質を、該揮発性物質1に対する質量比が1?8の油性成分と混合して加熱溶解し、これに粉体を混合した後冷却して得られる25℃において固体状態の揮発性成分を含有する化粧料。」であり、特許出願の際独立して特許を受けることができないとすべき理由を発見することができない。

3.むすび
したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項但し書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項ないし第5項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
揮発性物質含有化粧料
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温で固体の揮発性成分を配合した化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料等に配合される香気成分は、使用する者の嗜好性に合わせる等の目的から配合され、購買意欲を高める等の効果を有する。また、香気成分には気分を高揚させたり逆にリラックスさせたりと、使用する者の精神面に作用する効果も有する。一般に、香気成分は揮発性の高い物質が多く、そこで徐放性を付与するために、香気成分を特定のモノマーで形成されるマイクロゲル中に含有させ、水分散型の徐放性製剤を製造する技術や(特許文献1参照)、親水性多孔質体にワックス等の疎水性物質と香気成分とを混錬して埋め込む技術(特許文献2参照)等がある。
【0003】
一方、香気成分には揮散し難いものがあり、また防虫剤等においては、効果を発揮させるために高揮散させたいものもあり、そのための揮散性向上技術も存在する。例えば、クリーム等の化粧料や、貼付剤の粘着層に香気成分を含有させただけでは、安眠や眠気防止等の人の精神状態に作用する香気成分は効果を発現させるに十分な量を揮散できないため、香気成分の透過し難い支持体を設け、貼付面に香料を移行させないようにした技術がある(特許文献3参照)。また、防虫剤等においては、エアゾール組成物において、ナフタレン等の昇華性物質を噴射剤に溶解させ、噴射後に該昇華性物質を析出、昇華させる技術がある(特許文献4参照)。更に、水と混合すると発熱する物質を利用し、熱により香気成分を高揮散させる技術もある(特許文献5?7参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001-158843号公報
【特許文献2】特開平10-17846号公報
【特許文献3】特開2001-172153号公報
【特許文献4】特開2001-279232号公報
【特許文献5】特開平11-286429号公報
【特許文献6】特開平11-286430号公報
【特許文献7】特開平11-286431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
成分の揮散性を制御するためには、上述のように特別な素材や、加熱等の手段を採ったり、使用方法に工夫が必要である。特に、揮散性を向上させる技術はその傾向が強い。しかし、肌に直接塗布する等の使用方法による化粧料においては、配合する素材によっては問題が生じるおそれがある。
本発明は、通常の使用方法により、常温では揮散し難い成分を高揮散させ、かつそれを持続させた化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、揮発性物質を化粧料に固体状で配合すれば、当該物質の含有量を多くできること、そして常温においても蒸気圧が一定以上のものであれば、十分に揮散可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、25℃における蒸気圧が1.0×10^(-5)mmHg以上の物質を、25℃において固体状態で含有する化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧料によれば、通常の使用方法により、揮発性物質が高揮散し、かつそれが持続するため、常に気分をリラックスさせる、寝つきをよくする、肌の調子を整える等の揮発性物質の効果を十分に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の化粧料に含有する物質は、25℃における蒸気圧が1.0×10^(-5)mmHg以上の物質(以下、本発明においては「揮発性物質」という。)であり、かつ25℃において固体状であれば用いることができる。例えば、香気成分であれば、モノテルペン類、セスキテルペン類、ジテルペン類、芳香族化合物、これらの脂肪酸エステル等の誘導体が挙げられる。特に、高いリラックス効果や速やかな入眠効果等を有する点から、セスキテルペンアルコールを用いることが好ましい。また、25℃における蒸気圧は1.0×10^(-5)mmHg以上が好ましく、更に5.0×10^(-5)mmHg以上、特に1.0×10^(-4)mmHg以上であることが揮発性の点から好ましい。
【0010】
モノテルペン類の具体例としては、カンフェンなどのモノテルペン炭化水素、α-テルピネオール、ペリラアルコール、リナロール、ゲラニオール、フェンコール、イソボルネオール、メントール等のモノテルペンアルコール、ペリラルチン等のモノテルペンアルデヒド、酢酸ボルニル等のC_(2)?C_(6)脂肪酸とのエステル等の誘導体を挙げることができ、25℃で固体である点から、α-テルピネオールが好ましい。
【0011】
セスキテルペン類の具体例としては、セドロール、β-カリオフィレンアルコール、パチョリアルコール、グロブロール、セドレノール、ファルネソール、α-サンタロール、α-ビサボロール、ベチベロール、ネロリドール、パチュリアルコール等のセスキテルペンアルコール、ヌートカイン等のセスキテルペンケトン、酢酸セドリル、酢酸カリオフィレン等のC_(2)?C_(6)脂肪酸とのエステル、カリオフィレンオキサイド等の誘導体を挙げることができ、25℃で固体である点から、セドロール、β-カリオフィレンアルコール、パチョリアルコール、グロブロールが好ましい。
【0012】
ジテルペン類の具体例としては、ゲラニルリナロール、イソフィトール、スクラレオール等を挙げることができ、25℃で固体である点から、スクラレオールが好ましい。
【0013】
芳香族化合物としては、ヒノキチオール、グアヤコール等が挙げることができる。
【0014】
これらの中でも、副交感神経を優位にさせる効果に特に優れると共に、ストレスを緩和し、リラックス感を増すという点、及び微香性であり、嗜好に関わりなく効果がある点からセドロールが好ましい。なお、これらの香気成分は単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。25℃で液状のものを含んでいても、混合物とした場合に25℃で固体状のものであれば、本発明で使用することができる。
【0015】
香気成分としてセドロールを用いる場合には、純度90%以上のものを用いることが好ましく、更に純度95%以上のものを用いることが好ましく、特に純度98%以上のものを用いることが好ましく、とりわけ純度99%以上のものを用いることが好ましい。セドロールは、高純度のものほど微香性となり、その効果がより嗜好性に左右されなくなるからである。
【0016】
香気成分以外のものであれば、ショウノウ、ナフタレン等が挙げられ、中でもショウノウが、揮散特性の点から好ましい。
【0017】
本発明においては、揮発性物質は25℃において固体状であることが必要であるが、単独の物質で固体状のものはもちろん、単独では液状であっても2種以上の物質を組み合せることにより固体状となるものでも良い。よって、揮発性成分全体としての融点が25℃以上であることが必要であり、更に35℃以上であることが好ましく、特に40℃以上であることが、肌に塗布した際に固体状を維持する点から好ましい。
【0018】
また、固体状とは結晶状であることが好ましい。結晶の平均粒径は500μm以下であることが好ましく、更に250μm以下、特に100μm以下、とりわけ1?50μmであることが、揮散性が向上する点、肌感触が良好である点から好ましい。
【0019】
本発明においては、揮発性物質は、化粧料中0.001?10質量%含有することが好ましく、更に0.05?5質量%、特に0.1?3質量%含有することが、結晶を微細とする点、揮散性を向上させる点、肌感触等の点から好ましい。また、揮発性物質は油溶性のものが多いため、油性成分と共にW/O型乳化物として配合することもできる。しかし、本発明化粧料においては、揮発性物質は油性成分中で結晶として存在する必要があることから、この場合、揮発性物質の量に対し油性成分の量が多過ぎないことが、肌に塗布した場合に揮発性物質の結晶が空気と接触する面積が増大し、揮散性を向上させる点から好ましい。具体的には、揮発性物質1に対する油性成分の質量比が1?8であることが好ましく、更に2?8、特に3?6であることが好ましい。
【0020】
油性成分は、保湿効果や肌の感触をより高める役割を果たすものである。具体的には、グリセリン脂肪酸エステル、油脂類、ロウ類、炭化水素類、高級脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、シリコーン油、フッ素含有油剤、セラミド及びセラミド類似物質から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
このうちグリセリン脂肪酸エステルとしては、ジ脂肪酸グリセリンエステル類が好ましく、特にジC_(8)-C_(24)脂肪酸グリセリンエステル、例えば2-エチルヘキサン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸の1種又は2種のグリセリンジエステルが好ましい。
油脂類としては、大豆油、ヌカ油、ホホバ油、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ脂、ゴマ油、パーシック油、ヒマシ油、ヤシ油、ミンク油、牛脂、豚脂等の天然油脂、これらの天然油脂を水素添加して得られる硬化油及びミリスチン酸トリグリセリド、2-エチルヘキサン酸トリグリセリド等の合成トリグリセリド等が挙げられる。
ロウ類としては、カルナバロウ、鯨ロウ、ミツロウ等が挙げられる。炭化水素類としては、流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、ブリスタン等が挙げられる。高級脂肪酸類としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸等の炭素数8?24の脂肪酸が挙げられる。
高級アルコール類としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、2-ヘキシルデカノール等の炭素数8?24の脂肪族アルコールが挙げられる。
エステル類としては、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル等の総炭素数10?36の脂肪酸エステル又はヒドロキシ酸エステルが挙げられる。
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、各種変性シリコーン等が挙げられる。
フッ素含有油剤としては、パーフルオロポリエーテル、次の一般式(1)で表される含フッ素エーテル化合物
【0021】
【化1】

【0022】
(式中、Rfは直鎖又は分岐の炭素数1?20のパーフルオロアルキル基を示し、R^(1)は直鎖又は分岐の炭素数3?9のアルキル基または炭素数3?9のシクロアルキル基を示す。nは1?8の数を示す。)
等が挙げられる。具体的には、次の(2)式で表される1,3-ジメチルブチル{2-(パーフルオロオクチル)エチル}等が挙げられる。
【0023】
【化2】

【0024】
セラミド又はセラミド類似物質としては、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン又はスフィンガジエニンがアミド化されたセラミドType1?7(例えば、J.Lipid Res.,24:759(1983)の図2、及びJ.Lipid.Res.,35:2069(1994)の図4記載のブタ及びヒトのセラミド類)等の天然型セラミドの他
【0025】
【化3】

【0026】
、以下に示すセラミド類似物質が挙げられる。
【0027】
【化4】

【0028】
これらの油性成分は、1種以上を用いることができ、化粧料中に0.005?90質量%、更に0.01?80質量%、特に0.5?50質量%含有するのが好ましい。
【0029】
また、本発明においては、揮発性物質が固体状態で分散した水性ジェルの形態とすることもできる。水性ジェルとするための成分としては、ヒドロキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等の水溶性ポリマー、水溶性多糖類およびそれらの誘導体、HLBが7以上の界面活性剤等が挙げられるが、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等の水溶性ポリマーや水溶性多糖類およびそれらの誘導体が安定性、肌に塗布したときの感触の点から好ましい。これらの成分は、化粧料等中に0.001?10質量%、更に0.01?5質量%、特に0.1?2質量%含有するのが好ましい。
【0030】
本発明においては、揮発性物質と共に粉体を含むことが好ましい。この粉体は、化粧料用粉体であればよく、粉体の素材としては、シリコーン系、有機系、鉱物系、無機系等いずれも用いることができるが、皮膚に塗布した際の感触の点からシリコーン系、有機系、鉱物系が好ましい。また、これらから選択された2種以上を混合して用いることもできる。更に、粉体はその表面をシリコーン処理、レシチン処理等したものでも良い。25℃で固体状態の揮発性物質と粉体を同時に配合することにより、揮発性物質の結晶の粒径を微細に維持することができるため、揮発性物質の高揮散性を維持することが可能となる。
【0031】
粉体の形状は、球状、板状、又は針状結晶の何れでも良いが、球状又は板状であることが、肌感触の点から好ましい。また、粉体の大きさは、粒径が0.1?100μmであることが好ましく、更に1?30μmであることがより好ましく、特に2?10μmであることが、肌感触の点から好ましい。
【0032】
粉体の含有量は、化粧料中1?50質量%であることが好ましく、更に2?40質量%、特に5?30質量%であることが、揮発性物質の結晶を微細に維持する点、肌感触の点から好ましい。また、粉体の含有量は、揮発性物質を1とした場合の質量比が0.1?30、更に0.5?20、特に5?10とすることが、揮発性物質の結晶を微細に維持する点、コスト、及び肌感触の点から好ましい。
【0033】
本発明における化粧料の製造法は、例えば化粧料の成分のうちの油性成分と共に揮散性物質を混合し、加熱することにより完全に溶解し、これに水性成分を添加混合し、冷却して揮散性物質の結晶を析出させることにより製造する。この際、均一に溶解している化粧料中へ粉体を混合し、ディスパーサー等で分散させた後に、水性成分を添加、冷却することが、揮散性物質を微細結晶として析出させる点から好ましい。なお、添加した粉体は、化粧料製造後に取り除いても良いし、そのまま化粧料に存在させたままでも良いが、保存中でも結晶を微細に維持する点から、そのまま化粧料に存在させておくことが好ましい。
【0034】
本発明による化粧料の形態は、肌に塗布するものが好ましく、全身に塗布可能であるものでも良いが、特に吸入して効果を発揮する揮発性物質を使用する場合には、効果的に吸入することができる点から、上半身に塗布するローション等が好ましい。本発明による化粧料の成分は、化粧料として通常使用できるものを配合するため、通常の方法で使用することができる。ローションであれば、適量を手に取り、顔、首筋、胸まわり等に均一に塗布すれば良い。
【実施例】
【0035】
〔ローションの製造〕
表1に示す実施例1?6、及び比較例1及び2のローションを以下に示す方法により製造した。
【0036】
実施例1、2
表1記載の成分(1)?(8)を80℃で均一溶解した後、60℃に徐冷し保持する。これに成分(13)?(15)を均一に混合したものを60℃で攪拌しながら投入し、15分間保持し、30℃に徐冷する。これに、成分(19)?(21)を均一溶解したものを攪拌しながら投入し、15分間保持した後、ホモミキサー(4000rpm、2分間)をかけて油性ローションを調製した。
【0037】
実施例3?6
表1記載の成分(1)?(8)を80℃で均一溶解した後、60℃に徐冷し保持する。これに成分(9)?(14)を60℃で均一分散させたものを攪拌しながら投入し、15分間保持し、30℃に徐冷する。さらに、成分(15)、(19)?(21)を均一溶解したものを攪拌しながら投入し、15分間保持した後、ホモミキサー(4000rpm、2分間)をかけて油性ローションを調製した。
【0038】
比較例1、2
表1記載の成分(1)?(8)を80℃で均一溶解、60℃に徐冷する。これに成分(13)及び(14)を均一混合したものを攪拌しながら投入し、15分間保持し、40℃に徐冷する。これに成分(15)?(21)を均一溶解したものを攪拌しながら投入し、15分間保持した後、ホモミキサー(4000rpm、2分間)をかけて油性ローションを調製した。
【0039】
【表1】

【0040】
実施例7、8
表2記載の成分(1)?(3)、及び(16)を30℃で均一混合する。これに、成分(4)?(9)を80℃で溶解したものを攪拌しながら投入し、さらに成分(12)?(15)を均一溶解したものを攪拌しながら投入し、最後にホモミキサー(4000rpm、2分間)をかけて水性ローションを調製した。
【0041】
実施例9?12、および比較例3?4
表2記載の成分(1)?(3)、及び(16)を30℃で均一混合する。これに成分(4)?(7)、及び(9)を60℃で溶解したものを攪拌しながら投入し、さらに成分(10)?(12)を均一分散したものを攪拌しながら投入する。さらに、成分(13)?(15)を均一溶解したものを攪拌しながら投入し、15分間保持した後、ホモミキサー(4000rpm、2分間)をかけて水性ローションを調製した。
【0042】
【表2】

【0043】
〔揮散性の測定〕
人工吸入器付きヒト吸入モデルの首筋あるいは鼻下に食品包装用ラップフィルム、サージカルテープの順に貼り、一定面積に表1、表2記載の実施例1?12、比較例1?3の製剤を塗布し、吸入モデルの表面温度を33℃に設定して、吸入量が6L/分として6時間吸入させる。吸入した揮発性物質は水中で補足し、ヘキサンで抽出後、内部標準法によりガスクロマトグラフィーにて定量して吸入量とし、吸入量は下式により算出した。この吸入量をもって、揮散性の評価とした。結果を表3及び表4に記載した。
吸入濃度:(測定された吸入量)÷(吸入時間×6L/分×60)
【0044】
〔官能評価方法〕
リラックス効果について、女性パネラー20名に、首筋および鼻下に就寝前に1日1回塗布してもらい、気分がリラックスしたかどうかを聞き取りにて調査し、下記の5段階で評価した。
20名中リラックスしたと答えたパネラーが16?20名 :評点5
20名中リラックスしたと答えたパネラーが12?16名 :評点4
20名中リラックスしたと答えたパネラーが 8?12名 :評点3
20名中リラックスしたと答えたパネラーが 4?8名 :評点2
20名中リラックスしたと答えたパネラーが 4名以下 :評点1
【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
本発明による実施例1?12のローションは、吸入量が多いことから揮散性が高いことが示唆され、官能評価においてもリラックスする効果が極めて高いことが分かった。一方、比較例1?4のローションは、吸入量が少ないことから揮散性が低いことが示唆され、官能評価においてもリラックスする効果が極めて低いことが分かった。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノテルペン類、セスキテルペン類、ジテルペン類、芳香族化合物及びこれらの誘導体から選択される25℃における蒸気圧が1.0×10^(-5)mmHg以上の揮発性物質を、該揮発性物質1に対する質量比が1?8の油性成分と混合して加熱溶解し、これに粉体を混合した後冷却して得られる25℃において固体状態の揮発性成分を含有する化粧料。
【請求項2】
粉体がシリコーン系、有機系及び鉱物系から選択される1種以上のものである請求項1記載の化粧料。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2008-09-11 
出願番号 特願2003-429160(P2003-429160)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊藤 清子  
特許庁審判長 塚中 哲雄
特許庁審判官 穴吹 智子
弘實 謙二
登録日 2008-03-21 
登録番号 特許第4099143号(P4099143)
発明の名称 揮発性物質含有化粧料  
代理人 中嶋 俊夫  
代理人 有賀 三幸  
代理人 村田 正樹  
代理人 中嶋 俊夫  
代理人 村田 正樹  
代理人 高野 登志雄  
代理人 特許業務法人アルガ特許事務所  
代理人 特許業務法人アルガ特許事務所  
代理人 山本 博人  
代理人 山本 博人  
代理人 有賀 三幸  
代理人 高野 登志雄  

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