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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1189421
審判番号 不服2005-4241  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-10 
確定日 2008-12-11 
事件の表示 特願2000-614791「基板に構成素子を装着するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年11月 9日国際公開、WO00/67542、平成14年12月17日国内公表、特表2002-543600〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年4月3日(優先権主張1999年4月30日、ドイツ)の国際出願であって、平成16年5月17日付けで拒絶理由が送付され、同年11月17日付け手続補正書が提出されたが、同年12月8日付けで拒絶査定されたものである。
そして、本件審判は、この拒絶査定を不服として平成17年3月10日付けで請求されたもので、同17年4月11日付け手続補正書が提出されている。

第2 平成17年4月11日付け手続補正についての補正却下の決定
【補正却下の決定の結論】
平成17年4月11日付け手続補正を却下する。

【決定の理由】
[1]本件補正の内容
本件補正の内容は、特許請求の範囲を、次の(1-1)から(1-2)に補正するものである。
なお、下線部は補正箇所を示す。

(1-1)
「【請求項1】 基板(2)に構成素子(3)を装着するための方法において、
-個々の基板(2)に少なくとも2つのピックアンドプレース式の装着ステーション(6,17)で構成素子(3)を装着し、この場合、それぞれ装着ヘッド(4)を用いて供給ユニット(5)から構成素子(3)を取り出して、それぞれ装着ステーション(6,17)に対応する基板(2)に載着させ、
-装着ヘッド(4)を、予め規定された装着プログラムに関連して制御し、この場合、該装着プログラムは、装着ステーション(6,17)と、各装着ステーション(6,17)で載着させたい構成素子(3)との対応関係を有しており、
-予め規定された前記装着プログラムにより制御された装着プロセスの間、1つの基板に装着を施すためにかかる時間を求め、
-求められた時間を、予め規定された前記装着プログラムに含まれた、予め規定された時間と比較し、このときに時間差を求め、
-該時間差が、予め規定された時間間隔外にある場合に、装着ステーション(6,17)と、載着させたい構成素子(3)との間の、予め規定された前記装着プログラムに対して変更された対応関係を有する別の装着プログラムを求め、
-引き続き、予め規定された前記装着プログラムの代わりに、この別の装着プログラムを用いて、別の基板のための装着プロセスを制御し、
-さらに、装着ヘッド(4)の個々の作業ステップの時間のための理論的なモデルを形成し、該理論的なモデルに基づき、予め規定された前記装着プログラムを求め、時間の測定時に装着ヘッド(4)の個々の作業ステップの実際の時間を求め、求められた実際の時間につき、前記理論的なモデルを適合させ、該適合された理論的なモデルを使用して、前記別の装着プログラムを作成する、ことを特徴とする、基板に構成素子を装着するための方法。
【請求項2】 前記別の装着プログラムにより制御された装着プロセスの間、1つの基板に装着を施すためにかかる時間を求め、測定された時間の比較によって、一層短い時間を提供する装着プログラムを求め、該装着プログラムを用いて、付加的な基板における装着ヘッドの制御を行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】 少なくとも2つの装着ステーション(6,17)を1つの自動装着装置(1,7,8)に設ける、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】 少なくとも2つの装着ステーション(6,17)を、1つのラインに配置された種々異なる複数の自動装着装置(1,7,8)に設ける、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】 各装着ステーション(6,17)で実際に載着された、基板(2)上の構成素子(3)に関する情報を記憶する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】 各供給ユニット(5)をそれぞれ1つの装着ステーション(6,17)だけに対応させる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】 前記別の装着プログラムによる制御を可能にするために構成素子(3)が一方の装着ステーション(6)から他方の装着ステーション(17)へ組み換えられるべきであるという情報をオペレータのために表示する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。」

(1-2)
「【請求項1】 基板(2)に構成素子(3)を装着するための方法において、
-個々の基板(2)に少なくとも2つのピックアンドプレース式の装着ステーション(6,17)で構成素子(3)を装着し、この場合、それぞれ装着ヘッド(4)を用いて供給ユニット(5)から構成素子(3)を取り出して、それぞれ装着ステーション(6,17)に対応する基板(2)に載着させ、
-装着ヘッド(4)を、予め規定された装着プログラムに関連して制御し、この場合、該装着プログラムは、装着ステーション(6,17)と、各装着ステーション(6,17)で載着させたい構成素子(3)との対応関係を有しており、
-予め規定された前記装着プログラムにより制御された装着プロセスの間、1つの基板に装着を施すためにかかる時間を求め、
-求められた時間を、予め規定された前記装着プログラムに含まれた、予め規定された時間と比較し、このときに時間差を求め、
-該時間差が、予め規定された時間間隔外にある場合に、装着ステーション(6,17)と、載着させたい構成素子(3)との間の、予め規定された前記装着プログラムに対して変更された対応関係を有する別の装着プログラムを求め、
-引き続き、予め規定された前記装着プログラムの代わりに、この別の装着プログラムを用いて、別の基板のための装着プロセスを制御し、
-さらに、装着ヘッド(4)の個々の作業ステップの時間のための理論的なモデルを形成し、該理論的なモデルに基づき、予め規定された前記装着プログラムを求め、時間の測定時に装着ヘッド(4)の個々の作業ステップの実際の時間を求め、求められた実際の時間につき、前記理論的なモデルを適合させ、該適合された理論的なモデルを使用して、前記別の装着プログラムを作成し、
-ローカルな制御(30,33,36)とグローバルな制御(39)とを実施し、この場合、ローカルな制御(30,33,36)を各1つの装着ステーション(6;17)に対応させ、該ローカルな制御(30,33,36)により各1つの装着ステーション(6;17)で実施された装着プログラムの変更を生ぜしめ、グローバルな制御(39)を全ての装着ステーション(6,17)に対応させ、該グローバルな制御(39)により全ての装着ステーション(6,17)で実施された装着プログラムの変更を生ぜしめることを特徴とする、基板に構成素子を装着するための方法。
【請求項2】 前記別の装着プログラムにより制御された装着プロセスの間、1つの基板に装着を施すためにかかる時間を求め、測定された時間の比較によって、一層短い時間を提供する装着プログラムを求め、該装着プログラムを用いて、付加的な基板における装着ヘッドの制御を行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】 少なくとも2つの装着ステーション(6,17)を1つの自動装着装置(1,7,8)に設ける、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】 少なくとも2つの装着ステーション(6,17)を、1つのラインに配置された種々異なる複数の自動装着装置(1,7,8)に設ける、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】 各装着ステーション(6,17)で実際に載着された、基板(2)上の構成素子(3)に関する情報を記憶する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】 各供給ユニット(5)をそれぞれ1つの装着ステーション(6,17)だけに対応させる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】 前記別の装着プログラムによる制御を可能にするために構成素子(3)が一方の装着ステーション(6)から他方の装着ステーション(17)へ組み換えられるべきであるという情報をオペレータのために表示する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。」

[2]本件補正の適否
上記補正は、補正前の請求項1に、「ローカルな制御(30,33,36)とグローバルな制御(39)とを実施し、この場合、ローカルな制御(30,33,36)を各1つの装着ステーション(6;17)に対応させ、該ローカルな制御(30,33,36)により各1つの装着ステーション(6;17)で実施された装着プログラムの変更を生ぜしめ、グローバルな制御(39)を全ての装着ステーション(6,17)に対応させ、該グローバルな制御(39)により全ての装着ステーション(6,17)で実施された装着プログラムの変更を生ぜしめる」という補正事項を付加するものである。
しかしながら、次の理由(1)及び(2)により、本件補正は適法になされたものとはいえない。

(1)この補正事項は、「ローカルな制御(30,33,36)を各1つの装着ステーション(6;17)に対応させ、該ローカルな制御(30,33,36)により各1つの装着ステーション(6;17)で実施された装着プログラムの変更を生ぜしめ」という、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書」という。)に記載がない事項を含むものであるから、本件補正は、当初明細書の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。
以下に理由を補足する。
当初明細書には、「【0019】図2には、図1に示した配列ユニットの制御回路が図示されている。第1のコントロールユニット16と第2のコントロールユニット22と第3のコントロールユニット23とが、それぞれ1つの調整器30,33,36と、制御区間31,34,37と、オブサーバ32,35,38とを有している。たとえば第1のコントロールユニット16のオブザーバ32により、両装着ステーション6,17に対するローディングの程度が互いに異なっていることが確認されると、第1のコントロールユニット16の調整器30の働きにより、制御区間31に、相応する信号が送出される。この信号は、装着したい構成素子と装着ステーションとを互いに対応させるための変更された装着プログラムを有している。」と記載されている。
また、「【0015】図1には、・・・自動装着装置1,7,8から成るラインの平面図が示されている。この場合、個々の自動装着装置1,7,8はそれぞれ2つの装着ステーション6,17を有している。次に、・・・第1の自動装着装置1を例にとって自動装着装置1,7,8の機能について説明する。その他の自動装着装置の機能形式は第1の自動装着装置の機能形式に相当している。」とも記載されている。
これらの記載と図1及び図2とを併せてみると、当初明細書には、それぞれの調整器(30,33,36)を、個々の自動装着装置(1,7,8)が有するそれぞれ2つの装着ステーション(6,17)に対応させ、たとえばオブザーバ32により、自動装着装置1が有するそれぞれ2つの装着ステーション(6,17)に対するローディングの程度が互いに異なっていることが確認されると、調整器30の働きにより、制御区間31に、装着したい構成素子と装着ステーションとを互いに対応させるための変更された装着プログラムを有する信号を送出せしめることが記載されていることは認められるが、該ローカルな制御(30,33,36)により各1つの装着ステーション(6;17)で実施された装着プログラムの変更を生ぜしめることは記載されていない。
一方、変更された装着プログラムの作成方法、すなわち、装着プログラムの変更を生ぜしめる方法に関して、当初明細書には、「【0021】このプログラムが使用される間、実際に得られる装着効率が測定される。一般に、自動装着装置1,7,8の実際の時間特性は理論的な時間特性に対して偏差を示す。この偏差はオブザーバ32,35,38,40によって求められ、新たにラインの、適合された理論的なモデルが作成される。この適合された理論的なモデルは一般に、適合された装着プログラムをもたらし、この装着プログラムでは、個々の自動装着装置1,7,8の実際の時間特性が考慮されている。ついで、この適合された装着プログラムが使用され、このことは、より高い装着効率をもたらす。・・・」と記載されており、この記載によれば、オブザーバ(32,35,38,40)によって偏差を求め、それにより、新たにラインの、変更された装着プログラムを作成すること、言い換えると、ラインの装着プログラムに変更を生ぜしめることは記載されていると認められるが、該ローカルな制御(30,33,36)により各1つの装着ステーション(6;17)で実施された装着プログラムの変更を生ぜしめることは記載されていない。
してみると、当初明細書には、上記補正事項が規定するような、「ローカルな制御(30,33,36)を各1つの装着ステーション(6;17)に対応させ、該ローカルな制御(30,33,36)により各1つの装着ステーション(6;17)で実施された装着プログラムの変更を生ぜしめ」ることが記載されているとは認められない。

(2)また、この補正事項は、ローカルな制御(30,33,36)とグローバルな制御(39)とを実施し、該ローカルな制御(30,33,36)により各1つの装着ステーション(6;17)で実施された装着プログラムの変更を生ぜしめ、該グローバルな制御(39)により全ての装着ステーション(6,17)で実施された装着プログラムの変更を生ぜしめるという、補正前の請求項1には記載がない特定事項を、新たに付加するものであるから、本件補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当しないし、請求項の削除、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当しない。

[3]まとめ
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に違反するものであって、同法第159条第1項の規定により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願についての当審の判断
[1]本願発明
平成17年4月11日付け手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願発明は、平成16年1月17日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?7に記載されたものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりのものである。

「【請求項1】基板(2)に構成素子(3)を装着するための方法において、
-個々の基板(2)に少なくとも2つのピックアンドプレース式の装着ステーション(6,17)で構成素子(3)を装着し、この場合、それぞれ装着ヘッド(4)を用いて供給ユニット(5)から構成素子(3)を取り出して、それぞれ装着ステーション(6,17)に対応する基板(2)に載着させ、
-装着ヘッド(4)を、予め規定された装着プログラムに関連して制御し、この場合、該装着プログラムは、装着ステーション(6,17)と、各装着ステーション(6,17)で載着させたい構成素子(3)との対応関係を有しており、
-予め規定された前記装着プログラムにより制御された装着プロセスの間、1つの基板に装着を施すためにかかる時間を求め、
-求められた時間を、予め規定された前記装着プログラムに含まれた、予め規定された時間と比較し、このときに時間差を求め、
-該時間差が、予め規定された時間間隔外にある場合に、装着ステーション(6,17)と、載着させたい構成素子(3)との間の、予め規定された前記装着プログラムに対して変更された対応関係を有する別の装着プログラムを求め、
-引き続き、予め規定された前記装着プログラムの代わりに、この別の装着プログラムを用いて、別の基板のための装着プロセスを制御し、
-さらに、装着ヘッド(4)の個々の作業ステップの時間のための理論的なモデルを形成し、該理論的なモデルに基づき、予め規定された前記装着プログラムを求め、時間の測定時に装着ヘッド(4)の個々の作業ステップの実際の時間を求め、求められた実際の時間につき、前記理論的なモデルを適合させ、該適合された理論的なモデルを使用して、前記別の装着プログラムを作成する、
ことを特徴とする、基板に構成素子を装着するための方法。」

[2]原査定の理由の概要
原査定の理由の概要は次のとおりのものである。

「この出願の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物1?6に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1;特開平10-190299号公報
2;特開平8-18295号公報
3;特開平8-242098号公報
4;国際公開第98/37744号パンフレット
5;特開昭60-183799号公報
6;特開昭63-7698号公報」

[3]引用例及び引用例の記載事項
原査定の拒絶理由に引用された刊行物2;特開平8-18295号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。

(1a)「【請求項1】 装着対象物の複数個の部品装着点に対し、複数台の部品実装機を用いて順に部品を装着する場合における、前記複数台の部品実装機に対して各々が実行する部品実装作業を割付けるための方法であって、
前記各部品実装機に関する各種部品の装着時間を決定するパラメータに基づいて、前記各部品実装機の実装作業時間が均等且つ最小となるように、前記各部品実装機に部品実装作業を割付ける割付プログラムを作成し、
前記割付プログラムに従って行われる前記各部品実装機による部品実装作業中において、前記割付プログラム作成時に考慮されていなかった要因による装着時間の変動の発生を監視し、
装着時間の変動があるときには、その要因を考慮して前記割付プログラムを修正するようにしたことを特徴とする部品実装作業割付方法。」

(1b)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のように部品実装作業の割付けを行うにあたっては、図7に示すような部品1点あたりの部品装着時間が必要となるが、その値は、あくまでも事前に予測される理論値あるいは平均値であるため、実際に部品実装機を稼働させた場合には、必ずしもその部品装着時間に一致するとは限らない。また、実際の部品実装機による実装作業時には、割付けを行う際には予測できなかった事態が生じて、実際の実装作業時間に影響を及ぼすこともある。
【0006】
このため、上述のように、理論的には部品実装作業時間が最小となるような割付プログラムを作成したとしても、例えば一部の部品実装機おいて実装作業時間が長くかかってしまい、待ち時間が多くなってしまうなど、実際には必ずしも効率の良い部品実装作業を行うことができるとは限らなかった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、実際の部品実装作業における装着時間の変動に対応することができる部品実装作業割付方法及び部品実装装置を提供するにある。」

(1c)「【0011】
【作用】本発明の請求項1の部品実装作業割付方法によれば、まず、事前に予測される理論的なあるいは平均的なパラメータに基づいて各部品実装機の実装作業時間が均等且つ最小となるように割付プログラムが作成される。そして、その割付プログラムに従って行われる部品実装作業中において、割付プログラム作成時に考慮されていなかった要因による実装作業時間の変動の発生が監視され、装着時間の変動があるときには、その要因を考慮して割付プログラムが修正されるようになる。従って、理論的な作業時間と実際の部品実装機を稼働させた際の作業時間とが異なっていたり、割付けを行う際には予測できなかった事態が生じた場合においても、常に適切な割付プログラムに修正することができる。」

(1d)「【0016】
まず、詳しく図示はしないが、本実施例に係る部品実装装置について簡単に述べておく。この部品実装装置は、複数台例えば3台の同一機種の部品実装機1?3を備えて構成されていると共に、それら各部品実装機1?3に設けられた制御装置に例えばオンラインで接続されるマイコン等からなる主制御装置を備えて構成されている。この主制御装置は、後に述べるような割付プログラムを作成する機能やそれを修正する機能などを有している。
【0017】
前記各部品実装機1?3は、周知のように、ベース上に、基板搬送路、図示しない基板を前記基板搬送路の途中の作業位置に搬入し作業後搬出する基板搬送機構、前記基板搬送路の近傍に設けられ複数個の部品フィーダ(例えばテープフィーダ)を有してなる部品供給装置、X-Yロボットにより自在に移動される装着ヘッド等を備え、マイコンからなる制御装置により前記基板に対する部品実装作業を自動的に実行するようになっている。」

(1e)「【0020】
さて、本実施例においては、装着対象物たる基板は、装置1,装置2,装置3の順に送られ、基板上の多数個(210個)の部品装着点に対し、各部品実装機1?3において各々に割付けられた部品実装作業が順に行われるようになっている。また、3台の部品実装機1?3を同時に稼働させながら複数枚の基板に対して連続的に部品実装作業が行われるようになっている。このように3台の部品実装機1?3により部品の装着を行うには、1枚の基板に関しての全ての部品実装作業を、各部品実装機1?3に対して割付けた割付プログラムが必要となる。本実施例では、この割付プログラムの作成は、前記主制御装置により行われるようになっている。
【0021】
このとき、前記主制御装置には、例えば各部品実装機1?3に関する各種部品の装着に要する時間等のパラメータを登録したデータベースが、オペレータの入力などにより予め作成されて記憶されるようになっている。この場合、データベースとしては、図7に示すように、部品実装機1?3に関して、1個の部品の装着に要する装着時間のデータが登録されている。尚、本実施例においては、説明の簡単化のため、ノズルの交換に要する時間や部品搬送距離の相違に伴うノズルの移動時間の相違は考慮しないものとしている。
【0022】
後述するように、主制御装置は、そのソフトウエア構成により、部品実装作業を行うにあたり、まず、前記データベースに基づいて各部品実装機1?3の実装作業時間が均等且つ最小となるように各部品実装機1?3に各々が実行する部品実装作業を割付けた割付プログラムを作成するようになっている。そして、その割付プログラムに従って各部品実装機1?3(各制御装置)による部品実装作業を実行させるようになっている。従って、この主制御装置が、割付プログラム作成手段及び実行手段として機能するようになっている。
【0023】
そして、その部品実装作業中においては、各部品実装機1?3において監視されている吸着ミスの発生状況及び部品フィーダの部品切れ発生のデータが、主制御装置に与えられるようになっており、主制御装置は、装着時間の変動の発生が検出されたときには、その要因を考慮して前記割付プログラムを修正するようになっていると共に、適切なタイミングで、各部品実装機1?3(各制御装置)の動作を、修正された割付プログラムに基づくものに切換えるようになっている。従って、主制御装置は、割付プログラム修正手段としての機能をも果たすようになっている。」

(1f)「【0027】
具体例を上げると、実装作業時において、例えばノズルNcを使用した部品C1及びC2の装着時に部品吸着ミスが発生し、リトライ作業等のために、部品C1及びC2の部品1点あたりの平均装着時間が0.6秒に増加しているとする。すると、各部品実装機1?3における装着時間は、図2のように変動し、装置2及び装置3の装着時間が27秒及び33秒と増加して不均等になってしまうことになる。そこで、このような場合には、部品C1及びC2の部品1点あたりの装着時間を0.6秒に修正して再度割付けを行うようにする。これにより、割付プログラムは、図3のように修正され、各部品実装機1?3における装着時間が均等且つ最小(27秒)となるのである。 【0028】
一方、実装作業時において、例えば装置1にて部品A1が部品切れになってしまったとする。この場合には、そのまま部品実装作業を続行するとエラーとなって装置1が停止してしまうことになる。そこで、そのような部品切れを事前に検出すると、その部品A1を他の部品実装機(装置2又は装置3)に変更するように再度割付けを行うようにする。これにより、割付プログラムは、図4のように修正されるのである。」

(1g)「【0029】
このようにして、割付プログラムが修正されると、その後所定のタイミングにて修正された割付プログラムに切換えられて部品実装作業が続けられる。この処理は、全ての基板に対する部品実装作業が終了するまで(ステップS5にてYesとなるまで)繰返し行われ、その間は、同様にして必要に応じて割付プログラムの修正が繰返されるのである。」

[4]当審の判断
(1)引用例に記載された発明
引用例の(1a)には、
「装着対象物の複数個の部品装着点に対し、複数台の部品実装機を用いて順に部品を装着する場合における、前記複数台の部品実装機に対して各々が実行する部品実装作業を割付けるための方法であって、
前記各部品実装機に関する各種部品の装着時間を決定するパラメータに基づいて、前記各部品実装機の実装作業時間が均等且つ最小となるように、前記各部品実装機に部品実装作業を割付ける割付プログラムを作成し、
前記割付プログラムに従って行われる前記各部品実装機による部品実装作業中において、前記割付プログラム作成時に考慮されていなかった要因による装着時間の変動の発生を監視し、
装着時間の変動があるときには、その要因を考慮して前記割付プログラムを修正するようにしたことを特徴とする部品実装作業割付方法」
が記載されている。
ところで、この「部品実装作業割付方法」には、装着対象物の複数個の部品装着点に対し、複数台の部品実装機を用いて順に部品を装着することについても記載があるから、上記(1a)には、「装着対象物に部品を装着する方法」も記載されているといえる。
ここで、(1d)の「前記各部品実装機1?3は、周知のように、ベース上に、基板搬送路、図示しない基板を前記基板搬送路の途中の作業位置に搬入し作業後搬出する基板搬送機構、前記基板搬送路の近傍に設けられ複数個の部品フィーダ(例えばテープフィーダ)を有してなる部品供給装置、X-Yロボットにより自在に移動される装着ヘッド等を備え、マイコンからなる制御装置により前記基板に対する部品実装作業を自動的に実行するようになっている。」という記載によれば、この「装着対象物に部品を装着する方法」における部品実装作業は、装着ヘッドを用いて部品フィーダから部品を取り出して、それぞれの部品実装機に対応する基板に載置する作業であり、装着ヘッドは、制御装置により制御されるものであるといえる。
また、(1e)の「・・・このように3台の部品実装機1?3により部品の装着を行うには、1枚の基板に関しての全ての部品実装作業を、各部品実装機1?3に対して割付けた割付プログラムが必要となる。」という記載によれば、上記の「割付プログラム」は、1枚の基板に関しての全ての部品実装作業を、各部品実装機に対して割付けたプログラムであるから、部品実装機と、各部品実装機で載着させたい部品との対応関係を有していることは明らかである。
以上の記載を、本願発明1の記載ぶりに則り整理すると、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているということができる。

「装着対象物の複数個の部品装着点に部品を装着する方法において、
-個々の装着対象物に複数台の部品実装機で部品を装着し、この場合、それぞれの装着ヘッドを用いて部品フィーダから部品を取り出して、それぞれ部品実装機に対応する装着対象物に載着させ、
-装着ヘッドを、割付プログラムに従って制御し、この場合、該割付プログラムは、部品実装機と、各部品実装機で載着させたい部品との対応関係を有しており、
-割付プログラムに従って行われる各部品実装機による部品実装作業中において、割付プログラム作成時に考慮されていなかった要因による装着時間の変動の発生を監視し、
-装着時間の変動があるときには、その要因を考慮して割付プログラムを修正するようにし、
-各部品実装機に関する各種部品の装着時間を決定するパラメータに基づいて、各部品実装機の実装作業時間が均等且つ最小となるように、各部品実装機に部品実装作業を割付ける割付プログラムを作成する、
装着対象物に部品を装着する方法。」

(2)本願発明1と引用発明との対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「装着対象物」、「部品」及び「部品フィーダ」は、それぞれ、本願発明1の「基板」、「構成素子」及び「供給ユニット」に相当する。
イ また、引用発明の「部品実装機」は、吸着ノズルを備えた装着ヘッドを有するから、ピックアンドプレース式であり、一方、本願明細書の記載『装着ヘッド4により到達可能な範囲を「第1の装着ステージ6」と呼ぶものとする。』(段落【0016】参照)から、「装着ステーション」は、装着ヘッドにより到達可能な範囲のことであって、部品実装機が装着ステーションを備えることは明らかであるから、引用発明の「部品実装機」は、本願発明1の「ピックアンドプレース式の装着ステーション」に相当するといえる。
ウ そして、引用発明の「割付プログラム」は、(1c)の記載によれば、「事前に予測される理論的なあるいは平均的なパラメータに基づいて各部品実装機の実装作業時間が均等且つ最小となるように・・・作成される」ものであるから、本願発明1の「予め規定された装着プログラム」に相当するものであり、そうすると、引用発明の「装着ヘッドを、割付プログラムに従って制御し」は、本願発明1の「装着ヘッドを、予め規定された装着プログラムに関連して制御」していることと相違するところはない。
エ さらに、引用発明の「部品実装作業」は、割付プログラムに従って行われる各部品実装機による作業であるから、本願発明1が規定する、「装着プログラムにより制御された装着プロセス」に相当することは明らかである。
オ ここで、引用発明の「割付プログラムに従って行われる各部品実装機による部品実装作業中において、割付プログラム作成時に考慮されていなかった要因による装着時間の変動の発生を監視し、装着時間の変動があるときには、その要因を考慮して割付プログラムを修正するようにし、」の具体的な技術内容に関して、引用例の記載を参酌すると、(1f)には、「実装作業時において、例えばノズルNcを使用した部品C1及びC2の装着時に部品吸着ミスが発生し、リトライ作業等のために、部品C1及びC2の部品1点あたりの平均装着時間が0.6秒に増加しているとする。すると、各部品実装機1?3における装着時間は、図2のように変動し、装置2及び装置3の装着時間が27秒及び33秒と増加して不均等になってしまうことになる。そこで、このような場合には、部品C1及びC2の部品1点あたりの装着時間を0.6秒に修正して再度割付けを行うようにする。これにより、割付プログラムは、図3のように修正され、各部品実装機1?3における装着時間が均等且つ最小(27秒)となるのである。」との記載があり、一方、(1e)には、「前記主制御装置には、例えば各部品実装機1?3に関する各種部品の装着に要する時間等のパラメータを登録したデータベースが、オペレータの入力などにより予め作成されて記憶されるようになっている。この場合、データベースとしては、図7に示すように、部品実装機1?3に関して、1個の部品の装着に要する装着時間のデータが登録されている。」との記載があり、これらの記載及び図2や図7を併せみると、引用発明においても、割付プログラムにより制御された部品実装作業の間に、1つの基板の装着に要する時間を測定して求め、こうして求められた時間を、オペレータの入力などにより予め作成されて記憶された、各種部品の装着に要する時間と比較して、この時間差が所定範囲を超えた場合に、割付プログラムを修正して、各部品実装機における装着時間が均等且つ最小になるように変更された対応関係を有する別の割付プログラムを求めているものと解することができる。
そうすると、引用発明の「割付プログラムに従って行われる各部品実装機による部品実装作業中において、割付プログラム作成時に考慮されていなかった要因による装着時間の変動の発生を監視し、装着時間の変動があるときには、その要因を考慮して割付プログラムを修正するようにし」とは、本願発明1の「予め規定された装着プログラムにより制御された装着プロセスの間、1つの基板に装着を施すためにかかる時間を求め、該時間差が、予め規定された時間間隔外にある場合に、装着ステーションと、載置させたい構成素子との間の、予め規定された前記装着プログラムに対して変更された別の装着プログラムを求め」ることに相当するということができる。
したがって、両者は、「基板に構成素子を装着するための方法において、
-個々の基板に少なくとも2つのピックアンドプレース式の装着ステーションで構成素子を装着し、この場合、それぞれ装着ヘッドを用いて供給ユニットから構成素子を取り出して、それぞれ装着ステーションに対応する基板に載着させ、
-装着ヘッドを、予め規定された装着プログラムに関連して制御し、この場合、該装着プログラムは、装着ステーションと、各装着ステーションで載着させたい構成素子との対応関係を有しており、
-予め規定された前記装着プログラムにより制御された装着プロセスの間、1つの基板に装着を施すためにかかる時間を求め、
-求められた時間を、予め規定された前記装着プログラムに含まれた、予め規定された時間と比較し、このときに時間差を求め、
-該時間差が、予め規定された時間間隔外にある場合に、装着ステーションと、載着させたい構成素子との間の、予め規定された前記装着プログラムに対して変更された対応関係を有する別の装着プログラムを求める、
基板に構成素子を装着するための方法。」である点で一致し、次の点で相違がみられる。

相違点;
(イ)別の装着プログラムを求めた後、本願発明1では、引き続き、予め規定された装着プログラムの代わりに、この別の装着プログラムを用いて、別の基板のための装着プロセスを制御するのに対して、引用発明では、引き続き、予め規定された前記装着プログラムの代わりに、この別の装着プログラムを用いて、別の基板のための装着プロセスを制御するか否か不明である点
(ロ)本願発明1では、装着ヘッドの個々の作業ステップの時間のための理論的なモデルを形成し、該理論的なモデルに基づき、予め規定された装着プログラムを求めるのに対して、引用発明では、各部品実装機に関する各種部品の装着時間を決定するパラメータに基づいて、各部品実装機の実装作業時間が均等且つ最小となるように、各部品実装機に部品実装作業を割付ける割付プログラムを作成する点
(ハ)本願発明1では、時間の測定時に装着ヘッドの個々の作業ステップの実際の時間を求め、求められた実際の時間につき、理論的なモデルを適合させ、該適合された理論的なモデルを使用して、別の装着プログラムを作成するのに対して、引用発明では、装着時間の変動の要因を考慮して割付プログラムを修正する点

(3)相違点についての判断
以下相違点について検討する。
相違点(イ)について
引用発明の具体例について記載したものと認められる、引用例の(1g)の「このようにして、割付プログラムが修正されると、その後所定のタイミングにて修正された割付プログラムに切換えられて部品実装作業が続けられる。この処理は、全ての基板に対する部品実装作業が終了するまで(ステップS5にてYesとなるまで)繰返し行われ、その間は、同様にして必要に応じて割付プログラムの修正が繰返されるのである。」との記載によれば、引用発明では、割付プログラムが修正されると、その後、修正された割付プログラムに切り替えられてすべての基板に対する部品実装作業が終了するまで部品実装作業が続けられることが認められる。
してみると、引用発明においても、別の装着プログラム(修正された割付プログラム)を求めた後、引き続き、予め規定された装着プログラム(割付プログラム)の代わりに、この別の装着プログラムを用いて、別の基板のための装着プロセスを制御するものということができる。
したがって、相違点(イ)は、実質的な相違ではない。

相違点(ロ)について
引用例の(1c)の「本発明の請求項1の部品実装作業割付方法によれば、まず、事前に予測される理論的なあるいは平均的なパラメータに基づいて各部品実装機の実装作業時間が均等且つ最小となるように割付プログラムが作成される。」との記載によれば、事前に予測される理論的なパラメータあるいは平均的なパラメータに基づき、割付プログラムを作成することが示されていると認められる。
ところで、事前に予測される理論的なパラメータに基づき、割付プログラムを作成するためには、装着ヘッドの個々の作業ステップの時間のための理論的なモデルを形成し、この理論的なモデルに基づき、予め規定された装着プログラムを求めることが必要であることは当業者が容易に予測できることであるから、引用発明において、割付プログラム作成の基となるパラメータとして、引用例に記載されている、事前に予測される理論的なパラメータあるいは平均的なパラメータのうち、前者を選択することにより、装着ヘッドの個々の作業ステップの時間のための理論的なモデルを形成し、該理論的なモデルに基づき、予め規定された装着プログラムを求めるようにする程度のことは、当業者が容易に想到することができたことといえる。
したがって、相違点(ロ)は容易になし得たことである。

相違点(ハ)について
引用発明の具体例を記載したものと認められる、引用例の(1f)には、
「具体例を上げると、実装作業時において、例えばノズルNcを使用した部品C1及びC2の装着時に部品吸着ミスが発生し、リトライ作業等のために、部品C1及びC2の部品1点あたりの平均装着時間が0.6秒に増加しているとする。すると、各部品実装機1?3における装着時間は、図2のように変動し、装置2及び装置3の装着時間が27秒及び33秒と増加して不均等になってしまうことになる。そこで、このような場合には、部品C1及びC2の部品1点あたりの装着時間を0.6秒に修正して再度割付けを行うようにする。これにより、割付プログラムは、・・・修正され」との記載があり、この記載によれば、個々の部品の実装作業、すなわち、装着ヘッドの個々の作業ステップの実際の時間を求め、求められた実際の時間を用いて、修正された割付プログラム求めることが示されていると認められる。
ここで、求められた実際の時間を用いて、修正された割付プログラム求めるということは、すなわち、求められた実際の時間を用いて、理論的なモデルを修正し、実際の作業に適合させ、該適合された理論的なモデルを使用して、装着プログラムを修正して、別の装着プログラムを作成することに他ならないから、引用発明において、装着時間の変動の要因を考慮して装着プログラム(割付プログラム)を修正するにあたり、装着ヘッドの個々の作業ステップの実際の時間を求め、求められた実際の時間につき、理論的なモデルを適合させ、該適合された理論的なモデルを使用して、別の装着プログラムを作成することは、当業者が容易になし得たことといえる。
したがって、相違点(ハ)は容易になし得たことである。

なお、付言すれば、仮に、本願発明1が、さらに、「ローカルな制御(30,33,36)とグローバルな制御(39)とを実施し、この場合、ローカルな制御(30,33,36)を各1つの装着ステーション(6;17)に対応させ、グローバルな制御(39)を全ての装着ステーション(6,17)に対応させ、該グローバルな制御(39)により全ての装着ステーション(6,17)で実施された装着プログラムの変更を生ぜしめる」点を特定事項とするものであるとしても、以下に述べるとおり、この点は当業者が容易になし得たことといえる。
引用例の(1d)には、「この部品実装装置は、複数台例えば3台の同一機種の部品実装機1?3を備えて構成されていると共に、それら各部品実装機1?3に設けられた制御装置に例えばオンラインで接続されるマイコン等からなる主制御装置を備えて構成されている。この主制御装置は、後に述べるような割付プログラムを作成する機能やそれを修正する機能などを有している。」ことが記載されており、また、(1e)には、「このように3台の部品実装機1?3により部品の装着を行うには、1枚の基板に関しての全ての部品実装作業を、各部品実装機1?3に対して割付けた割付プログラムが必要となる。本実施例では、この割付プログラムの作成は、前記主制御装置により行われるようになっている。」こと、「主制御装置は、そのソフトウエア構成により、部品実装作業を行うにあたり、まず、前記データベースに基づいて各部品実装機1?3の実装作業時間が均等且つ最小となるように各部品実装機1?3に各々が実行する部品実装作業を割付けた割付プログラムを作成するようになっている。そして、その割付プログラムに従って各部品実装機1?3(各制御装置)による部品実装作業を実行させるようになっている。従って、この主制御装置が、割付プログラム作成手段及び実行手段として機能するようになっている。」こと、そして、「その部品実装作業中においては、各部品実装機1?3において監視されている吸着ミスの発生状況及び部品フィーダの部品切れ発生のデータが、主制御装置に与えられるようになっており、主制御装置は、装着時間の変動の発生が検出されたときには、その要因を考慮して前記割付プログラムを修正するようになっていると共に、適切なタイミングで、各部品実装機1?3(各制御装置)の動作を、修正された割付プログラムに基づくものに切換えるようになっている。従って、主制御装置は、割付プログラム修正手段としての機能をも果たすようになっている。」ことが記載されている。
してみると、引用発明において、各部品実装機にそれぞれ制御手段、すなわち、ローカルな制御手段を設けるとともに、これらの制御手段にオンラインで接続された主制御装置、すなわち、グローバル制御手段を設けることにより、ローカルな制御とグローバルな制御とを実施し、この場合、ローカルな制御を各1つの装着ステーションに対応させ、グローバルな制御を全ての装着ステーションに対応させ、該グローバルな制御により全ての装着ステーションで実施された装着プログラムの変更を生ぜしめることは、上記引用例の記載に基づいて当業者であれば容易に想到することができたことといえる。

(4)小括
以上のとおり、本願発明1は、引用発明及び引用例の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[5]むすび
したがって、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-11 
結審通知日 2008-07-16 
審決日 2008-07-29 
出願番号 特願2000-614791(P2000-614791)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
P 1 8・ 572- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永安 真  
特許庁審判長 長者 義久
特許庁審判官 坂本 薫昭
平塚 義三
発明の名称 基板に構成素子を装着するための方法  
代理人 山崎 利臣  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 久野 琢也  
代理人 矢野 敏雄  
代理人 ラインハルト・アインゼル  

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