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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20056282 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1189529
審判番号 不服2006-27219  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-12-01 
確定日 2008-12-19 
事件の表示 平成8年特許願第224265号「試験管準備システム及び試験管管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成10年3月6日出願公開、特開平10-62428〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成8年8月26日の出願であって、その請求項1及び2に係る発明は、平成17年2月21日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであり、請求項1に係る発明は次のとおりのものと認める。

「被験者に関する検査情報に対して整理番号を付与し、該整理番号を印字して整理番号券を発行する受付制御装置と、
少なくとも一種類の試験管を収納する試験管収納ユニット、
前記被験者に関する検査情報に基づいて、前記試験管収納ユニットから必要な種類の試験管を取り出して、取り出した試験管に被験者に関する情報を印字したラベルを貼り付けるラベル貼付手段、
及び、ラベル貼付後の試験管を装置外部に搬出する移送コンベア
を有する試験管用ラベル自動貼付装置と、
前記被験者に関する検査情報に付与された整理番号をバーコードの形態で印字した採血指示書を発行する指示書発行装置と、
前記ラベル貼付後の試験管と前記指示書を被験者毎にまとめて回収する回収装置と
から成ることを特徴とする試験管準備システム。」(以下、「本願発明」という。)

2.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物1には以下の事項が記載されている。

(刊行物1:特開平6-148209号公報の記載事項)
(1a)「【請求項1】所望の検査依頼項目及び検体材料を入力可能な入力部と、入力された検査依頼項目にしたがって所定の検体材料の所定の採取量を計算可能な採取量計算部とを備え、前記採取量計算部は、入力された検査依頼項目のうち、所定の項目を採取量計算対象項目として特定し、特定された採取量計算対象項目ごとに基準材料の採取量を項目別採取量として計算し、計算された項目別採取量を採取グループおよび検体材料ごとにグループ別採取量として計算するように構成したことを特徴とする検査支援装置。
・・・
【請求項4】前記グループ別採取量の検体材料を採取するための採取容器を、前記グループ別採取量を用いて、容量あるいは種類の異なる複数の採取容器から単独にあるいはそれらの組み合わせとして選択可能な容器選択部をさらに備えた請求項1記載の検査支援装置。
【請求項5】採取容器に貼付される採取ラベルに所定の記載事項を表示可能なラベル情報表示部と、前記採取ラベルを出力可能なラベル出力装置とをさらに備え、前記ラベル情報表示部は、前記検体材料の採取元を特定可能な基本情報、採取容器に関する採取容器情報および採取量に関する採取量情報を前記採取ラベルに表示するとともに、前記検体材料が検査される検査室を特定可能な検査室情報、前記検体材料に対する代表検査名を特定可能な検査名情報、採取本数に関する採取本数情報および前記検体材料の採取元に係る所定の整理番号情報のうち少なくともいずれかを含む付随情報を前記採取ラベルに表示するようになっている請求項1記載の検査支援装置。」
(1b)「【0032】図1は、本実施例の検査支援装置をブロック図で示したものである。
【0033】本実施例の検査支援装置は、所望の検査依頼項目および検体材料を入力可能な入力部11と、入力された検査依頼項目にしたがって所定の検体材料の所定の採取量を計算可能な採取量計算部12とを備え、採取量計算部12は、入力された検査依頼項目のうち、所定の項目を採取量計算対象項目として特定し、特定された採取量計算対象項目ごとに基準材料の採取量を項目別採取量として計算し、計算された項目別採取量を採取グループおよび検体材料ごとにグループ別採取量として計算するようになっている。
・・・
【0039】本実施例の検査支援装置は、さらに、グループ別採取量の検体材料を採取するための採取容器を、容量あるいは種類の異なる複数の採取容器から単独にあるいはそれらの組み合わせとして選択可能な容器選択部16と、選択された採取容器を供給する容器供給部20とを備える。
【0040】容器供給部20は、たとえば採血管供給装置であり、所定の種類および容量の採取容器に所定の採取ラベルを貼付した状態で供給することができるようになっている。
【0041】容器選択部16は、容器グループごとに容量および種類の異なる採取容器を登録した容器情報メモリー17を接続してある。
【0042】本実施例の検査支援装置は、採取容器に貼付される採取ラベルに所定の記載事項を表示可能なラベル情報表示部18と、採取ラベルを出力可能なラベル出力装置19とをさらに備え、上述した容器供給部20にもラベル出力装置19が内蔵してある。
【0043】ラベル情報表示部18は、検体材料の採取元を特定可能な基本情報例えば患者氏名および患者番号を採取ラベルに表示するとともに、検体材料が検査される検査室を特定可能な検査室情報、検体材料に対する代表検査名を特定可能な検査名情報、採取容器に関する採取容器情報、採取本数に関する採取本数情報、採取量に関する採取量情報、ラベル出力先を特定可能なラベル出力先情報および検体材料の採取元に係る所定の整理番号情報を含む付随情報を採取ラベルに表示するようになっている。」
(1c)「【0084】図3は、作成された採取ラベル30の例を示したものである。
・・・
【0086】また、検体材料の採取元を特定する基本情報すなわち患者氏名31および患者番号32は、他の情報と容易に識別できるように枠33で囲ってある。
【0087】採取ラベル30にはさらに、検体材料が検査される検査室名の略称34、検体材料に対する代表検査名の略称35、採取本数情報36、特定材料検体本数37、採取容器の種類38、採取量39、患者の整理番号40等が表示してある。」
【0088】次に、作成した採取ラベルを所定のラベルプリンター19あるいは採血管供給装置20に出力する(ステップ508)。
【0089】ここで、検体材料が例えば尿であれば、受付に備えたラベルプリンターに出力し、血清であれば、採血室に備えたラベルプリンターに出力し、特に採血管供給装置が装備している採取容器が選択されている場合には、採血管供給装置内のラベルプリンターに出力する。
【0090】最後に、選択された採取容器に採取ラベルを貼付する(ステップ509)。
【0091】ここで、受付で出力された採取ラベルは、例えば患者に手渡しされ、採血室で出力された採取ラベルは採取者によって所定の採取容器に貼付され、採血管供給装置内のラベルプリンターに出力された採取ラベルは同装置内で自動的に所定の採取容器に貼付される。」
(1d)「【0098】また、採取ラベルに記載された整理番号で患者を呼び出すことができるので、患者のプライバシーを確保することができる。」

3.対比・判断
上記刊行物1の記載事項(上記(1a)(1b)(1c))からみて、刊行物1には
「所望の検査依頼項目及び検体材料を入力可能な入力部と、
入力された検査依頼項目にしたがって所定の検体材料の所定の採取量を計算可能な採取量計算部とを備え、
前記採取量計算部は、入力された検査依頼項目のうち、所定の項目を採取量計算対象項目として特定し、特定された採取量計算対象項目ごとに基準材料の採取量を項目別採取量として計算し、計算された項目別採取量を採取グループおよび検体材料ごとにグループ別採取量として計算するように構成し、
前記グループ別採取量の検体材料を採取するための採取容器を、前記グループ別採取量を用いて、容量あるいは種類の異なる複数の採取容器から単独にあるいはそれらの組み合わせとして選択可能な容器選択部と、
選択された採取容器を供給する容器供給部と、
採取容器に貼付される採取ラベルに所定の記載事項を表示可能なラベル情報表示部と、
前記採取ラベルを出力可能なラベル出力装置を受付、採血室、容器供給部内に備え、
容器供給部は、ここで出力された採取ラベルを所定の容器に貼付した状態で供給することができ、
前記ラベル情報表示部は、前記検体材料の採取元を特定可能な基本情報、採取容器に関する採取容器情報および採取量に関する採取量情報を前記採取ラベルに表示するとともに、前記検体材料が検査される検査室を特定可能な検査室情報、前記検体材料に対する代表検査名を特定可能な検査名情報、採取本数に関する採取本数情報および前記検体材料の採取元に係る所定の整理番号情報のうち少なくともいずれかを含む付随情報を前記採取ラベルに表示するようになっている検査支援装置。」の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。
そこで、本願発明と刊行物1発明とを比較する。

(ア)刊行物1発明の「検体材料の採取元に係る所定の整理番号情報」は、本願発明の「被験者に関する検査情報に付与された整理番号」に相当し、刊行物1発明の「ラベル情報表示部」は、検体材料の採取元を特定可能な基本情報や検体材料の採取元に係る所定の整理番号情報等を採取ラベルに表示するものであるが、これらの採取ラベルに表示される情報は、入力部で入力されているといえるから、刊行物1発明の「入力部」は、本願発明の「受付制御装置」に相当する。
(イ)刊行物1発明の「採取容器」及び「容器」は、本願発明の「試験管」に相当する。
(ウ)刊行物1発明の「容器選択部」は、所定の検体材料ごとのグループ別採取量を用いて、必要な種類の容器を選択するものであるから、容器を予め収納している部分を有しているといえ、本願発明の「試験管収納ユニット」と「被験者に関する検査情報に基づいて、前記試験管収納ユニットから必要な種類の試験管を取り出」す手段に相当する。
(エ)刊行物1発明の「容器供給部」は、容器供給部内部で出力された採取ラベルを所定の容器に貼付した状態で供給することができることから、ラベル貼付手段を有しているといえる。また、容器を供給することから、容器の移送手段も有しているといえる。
(オ)刊行物1発明の採血室で出力される「採取ラベル」は、ラベルは紙葉状のものであり、そこに表示される内容が、検査や検体材料採取の指示情報や検体材料の採取元に係る整理番号情報を含んでいることからみて、本願発明の「採血指示書」に相当する。
(カ)刊行物1発明の採血室の「ラベル出力装置」は、検査や検体材料採取の指示情報や検体材料の採取元に係る整理番号情報をラベルとして出力する装置であるから、本願発明の「指示書発行装置」とは、「被験者に関する検査情報に付与された整理番号を印字した採血指示書を発行する指示書発行装置」である点で共通している。
したがって、両者の間には、以下のような一致点及び相違点がある。

(一致点)
被験者に関する検査情報に対して整理番号を付与する受付制御装置と、
少なくとも一種類の試験管を収納する試験管収納ユニット、前記被験者に関する検査情報に基づいて、前記試験管収納ユニットから必要な種類の試験管を取り出して、取り出した試験管に被験者に関する情報を印字したラベルを貼り付けるラベル貼付手段、及び試験管を移送する手段とを有する試験管用ラベル自動貼付装置と、
前記被験者に関する検査情報に付与された整理番号を印字した採血指示書を発行する指示書発行装置と、
を有する試験管準備システムである点。

(相違点1)
本願発明では、受付制御装置が、整理番号を印字して整理番号券を発行するのに対して、
刊行物1発明では、このような整理番号券を発行することを規定していない点。

(相違点2)
本願発明では、整理番号がバーコードの形態で印字したものであるのに対して、刊行物1発明では、数字で印字されたものである点。

(相違点3)
本願発明では、ラベル貼付後の試験管を装置外部に搬出する移送手段として、移送コンベアを有するのに対して、刊行物1発明では、移送手段がコンベアであるか明らかでない点。

(相違点4)
本願発明では、ラベル貼付後の試験管と採血指示書を被験者毎にまとめて回収する回収装置を有するのに対して、刊行物1発明では、このような回収装置を有さない点。

そこで、上記相違点について検討する。
(相違点1について)
刊行物1(上記(1d))には、採取ラベルに記載された整理番号で患者を呼び出すことができることが記載されていることから、この場合、患者は、整理番号が印字された整理番号券を手元に持っていると考えるのが普通である。そして、受付を行った場所で、整理番号券を発券することは通常のやり方であるから、刊行物1発明の検査支援装置により採血室で採取ラベルに印字された整理番号で患者を呼び出す場合に、受付で整理番号を印字した整理番号券を発行するようにすることに困難性があるとはいえない。

(相違点2について)
一般に、キーボード等から数字を入力することに代えて、バーコードで示された数字情報を読み取り、表示装置に数字として表示することにより、入力の手間と誤った数字の入力を防止することは、本願出願前の周知慣用技術であり、例えば、特開平3-195538号公報(第4頁左上欄第13行??右上欄第9行)には、カルテファイルに貼付されたバーコードラベルを読み取り、読み取った患者No.を表示することが記載されるように、病院内での番号確認にも利用されている。
そうすると、刊行物1発明の検査支援装置により採血室で採取ラベルに印字された整理番号で患者を呼び出す場合に、番号の読み間違いを防止するために、バーコードを利用することを考え、被験者に関する検査情報に付与された整理番号をバーコードの形態で印字することは、当業者が容易になし得たものといえる。

(相違点3について)
一般に試験管を移送する際に、移送コンベアを用いることは本願出願前の周知技術であり、例えば、試験管にラベルを貼付した後、移送コンベアで移送することは、特開平5-97133号公報(【図4】【0026】)にも記載されているとおりであるから、刊行物1発明において、容器供給装置の移送手段として移送コンベアを用いることに困難性があるとはいえない。

(相違点4について)
刊行物1発明の、容器選択部は、検体材料ごとに種類の異なる複数の採取容器を組み合わせとして選択するものであり、この選択された容器を容器供給部で供給するものであるから、供給に際しては、選択された採取容器は一まとめとして供給されるといえる。
そして、容器の供給先は採血室であり、採取ラベルは採血室のラベル出力装置に出力されるから、採血する者が、一まとめで供給された採取容器と、出力された採取ラベルをまとめて回収することは、当然に行うことである。
そして、一般に、一連の作業に用いる用具やマニュアルを一まとめにして供給するようにした装置は、本願出願前に周知であり、例えば、本願出願前の平成7年5月に販売が開始されたことが株式会社テクノメディカのホームページに示された装置である、自動採血管準備装置BC・ROBO-550(株式会社テクノメディカ)は、そのカタログによると採血指示書、手貼ラベル、ラベル済みの採血管等を一まとめにする装置を有している。
そうすると、刊行物1発明の検査支援装置により供給された一まとめの容器とラベル出力装置で出力された採血の指示等が印字された採取ラベルを一まとめに回収する作業を行う回収装置を設けることは当業者が容易になし得たものといえる。

(本願発明の効果について)
本願明細書記載の採血時に試験管と被験者とのマッチングが確実にとれるという効果は、刊行物1及び上記周知技術から予測しうる範囲のものであり、格別顕著なものではない。

4.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項2に係る発明についての判断を示すまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-10-15 
結審通知日 2008-10-22 
審決日 2008-11-05 
出願番号 特願平8-224265
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋田 将行▲高▼見 重雄  
特許庁審判長 秋月 美紀子
特許庁審判官 岡田 孝博
宮澤 浩
発明の名称 試験管準備システム及び試験管管理システム  
代理人 浜野 孝雄  
代理人 平井 輝一  
代理人 森田 哲二  

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