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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1190188
審判番号 不服2004-5138  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-11 
確定日 2009-01-09 
事件の表示 平成11年特許願第300172号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 3月28日出願公開、特開2000- 84188〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は特願平10-255624号の一部を新たに平成11年10月21日に出願したものであって,平成15年9月29日付の拒絶理由が通知され,平成15年12月3日付で意見および手続補正がなされ,平成16年2月3日付で拒絶査定がなされ,これに対して,平成16年3月11日付で拒絶査定不服審判請求がなされ,平成16年3月30日付で手続補正がなされ,当審において,平成19年12月3日付の拒絶理由が通知されると同時に,補正却下の決定がなされ,平成20年2月1日付で意見および手続補正がなされ,さらに,平成20年3月6日付の拒絶理由が通知され,平成20年5月9日付で意見および手続補正がなされたものである。
そして,平成20年2月1日付の手続補正書の請求項1の「ラッキー大当たり図柄が一旦表示される場合には,」の「ラッキー」を削除して,「大当たり図柄が一旦表示される場合には,」とした補正は,当審の平成20年3月6日付の拒絶理由に指摘した不明な点を解消するためであるから,誤記の訂正もしくは不明りょうな記載の釈明であり,かつ,平成20年2月1日付の手続補正書の請求項1の「ラッキー大当たり図柄を一旦表示した後に,アンラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄を確定表示する」を,平成20年5月9日付の手続補正の「アンラッキー大当たり図柄を確定表示する前には,アンラッキー大当たり図柄を一旦表示し,アンラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄を確定表示する前には,任意の大当たり図柄を一旦表示する」とする補正は,平成20年2月1日付の手続補正書の前段の「その判断の結果,確定表示される図柄がアンラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄であると判断された場合には,図柄決定カウンタが一旦表示する大当たり図柄を任意に選定する一方,前記判断の結果,確定表示される図柄がアンラッキー大当たり図柄であると判断された場合には,図柄決定カウンタが一旦表示する大当たり図柄としてアンラッキー図柄を選定することにより,」を単に言い換えたに過ぎないものであるから,減縮でもなく,誤記の訂正でもないので,明りょうでない記載の釈明と解される。

したがって,平成20年5月9日付の手続補正は,補正前の特許請求の範囲を減縮するものでなく,誤記の訂正および明瞭でない記載の釈明であるから,平成20年5月9日付の手続補正は,平成18年改正前特許法第17条の2第4項第3号および第4号の規定に適合している。

そして,平成20年5月9日付で手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は,下記のとおりに特定されるものである。

「【請求項1】 複数の図柄を表示可能な図柄表示部が設けられており,制御装置における制御にしたがって,図柄変動開始信号により前記図柄表示部の図柄の変動を開始させ,所定時間後に確定表示し,確定表示された図柄が,予め設定された複数の大当たり図柄の内の一つである場合には,遊技者にとって価値ある特別遊技状態が生起する遊技機であって,
複数のチャンネルを有し任意に切替可能な切替スイッチと,
前記複数の大当たり図柄とともに,遊技店において特定のサービスの提供を開始する指標となるラッキー大当たり図柄と,遊技店において特定のサービスの提供を終了する指標となるアンラッキー大当たり図柄と,前記ラッキー大当たり図柄およびアンラッキー大当たり図柄以外の普通大当たり図柄とを,前記複数のチャンネルに対応させて夫々記録した記録手段と,
該記録手段から呼び出された前記ラッキー大当たり図柄,アンラッキー大当たり図柄,及び普通大当たり図柄が書き込まれる書込手段とが設けられており,
前記切替スイッチにおいてチャンネルを切り替えて,そのチャンネルに対応したラッキー大当たり図柄,アンラッキー大当たり図柄,及び普通大当たり図柄を前記記録手段から呼び出し,呼び出したラッキー大当たり図柄,アンラッキー大当たり図柄,及び普通大当たり図柄を前記書込手段に書き込むことによって,ラッキー大当たり図柄,アンラッキー大当たり図柄,及び普通大当たり図柄を任意に選定可能とする一方,
大当たり図柄が確定表示される場合の内の少なくとも一部の場合に,その確定表示前に,確定表示される大当たり図柄と同一あるいは異なる大当たり図柄が,遊技者に認識させ得る態様で一旦表示されるとともに,
前記制御装置内に,一旦表示する大当たり図柄を選定するための図柄決定カウンターが内蔵されており,
大当たり図柄が一旦表示される場合には,
前記制御装置において,確定表示される図柄が,予め選定されているアンラッキー大当たり図柄であるか否かを判断し,
その判断の結果,確定表示される図柄がアンラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄であると判断された場合には,図柄決定カウンタが一旦表示する大当たり図柄を任意に選定する一方,前記判断の結果,確定表示される図柄がアンラッキー大当たり図柄であると判断された場合には,図柄決定カウンタが一旦表示する大当たり図柄としてアンラッキー大当たり図柄を選定することにより,
アンラッキー大当たり図柄を確定表示する前には,アンラッキー大当たり図柄を一旦表示し,アンラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄を確定表示する前には,任意の大当たり図柄を一旦表示することを特徴とする遊技機。 」(以下,「本願発明」という。)

2.引用について
(1)引用1について
当審の平成20年3月6日付の拒絶理由に引用された刊行物である特開平9-135947号公報(以下,「引用1」という。)には,以下の技術事項が図面とともに記載されている。
・記載事項1
「【請求項1】 少なくとも1つ以上の図柄を表示可能な図柄表示部が設けられており,図柄変動開始信号により前記図柄表示部に表示された少なくとも1つ以上の図柄が変動を開始し,所定時間後に確定停止表示されるとともに,確定停止表示された図柄あるいは図柄の組み合わせが,予め設定された複数の大当たり図柄の内の非特定大当たり図柄である場合に,遊技者にとって有利な第2の特別遊技状態が生起し,確定停止表示された図柄が前記複数の大当たり図柄の内の特定大当たり図柄である場合に,第2の特別遊技状態よりも遊技者にとってさらに有利な第1の特別遊技状態が生起するパチンコ機であって,前記図柄の確定停止表示前に,前記複数の大当たり図柄の内の何れかを一旦停止表示した後,図柄の再変動を行い,先に一旦停止表示された大当たり図柄と同一,あるいは異なる大当たり図柄を確定停止表示する機能を有することを特徴とするパチンコ機。」
・記載事項2
「【0003】通常の図柄合わせタイプのパチンコ機においては,予め複数種類の図柄の組み合わせが「大当たり図柄」として設定されている。また,機種によっては,その「大当たり図柄」が,「特定図柄」と「非特定図柄」に分けられており,「特定図柄」が表示されて「大当たり」が生起した場合には,「大当たり状態」終了後,次の「大当たり」が生起するまでの間,普通図柄が「当たり」となる確率を高めたり,普通図柄の変動時間を短縮したりして,普通電動役物への入賞率を増加させて遊技球がほとんど減少しない状態を生起させるとともに,特別図柄の変動回数を増大させて「大当たり」を生起し易くし,「非特定図柄」が表示されて「大当たり」が生起した場合に比べて遊技者にとって有利となるように設定しているものもある。
【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら,従来のパチンコ機は,「大当たり図柄」が表示された場合であっても,「特定図柄」が表示された場合と「非特定図柄」が表示された場合とでは「大当たり状態」終了後の遊技内容に違いがあるので,遊技者は,「非特定図柄」が表示されて「大当たり」が生起しても大して感動せず,かかる事態の連続により,遊技に対する興味を失い易かった。また,「特定図柄」が表示された場合と「非特定図柄」が表示された場合とでは「大当たり状態」終了後の遊技内容に違いがあるため,3つの特別図柄の変動後に「大当たり図柄」に含まれる特別図柄を順々に2つ表示した場合であっても,先に表示された2つの特別図柄が「非特定図柄」に含まれるものである場合には,遊技者はさして大きな期待を抱かず,かかる事態の繰り返しにより,遊技に対する興味を失うこともあった。さらに,従来のパチンコ機は,各特別図柄の変動開始から停止表示開始までの間(たとえば,約6秒間),特別図柄表示部に各特別図柄が変動している様子を表示するだけであるので,遊技者は,かかる単調な時間の連続によって,遊技に対する興味を失うこともあった。」
・記載事項3
「【0012】さらに,普通電動役物4に遊技球が入賞した場合には,普通電動役物4に付設された入賞検出装置(図示せず)から特別図柄表示部3に図柄変動開始信号が送信され,特別図柄表示部3に表示された左図柄10,右図柄11,中図柄12の各特別図柄が変動を開始するようになっている。図柄の変動は,特別図柄表示部3の液晶画面中の左図柄表示部位,右図柄表示部位,中図柄表示部位の各表示部位において,図5に示した15図柄,すなわち「一段」,「二段」,「三段」,「四段」,「五段」,「六段」,「七段」,「八段」,「九段」,「名人」,「銀将」,「金将」,「角行」,「飛車」,「王将」の図柄が上から下へ移動する動画を表示することによって行われる。そして,所定時間後に停止表示となった各特別図柄が特定の組み合わせである場合には,遊技者にとって有利な「大当たり状態」が生起し,大入賞口7がきわめて高い確率で断続的に開成するように構成されている(なお,後述するように,各特別図柄の変動時においては,各特別図柄が一旦,ほぼ停止したように表示される場合もあるが,以下,かかる特別図柄の停止表示を「一旦停止表示」といい,変動から所定時間後の最終的な停止表示を「確定停止表示」ということもある)。また,大入賞口7は「大当たり状態」以外では開成しないようになっており,閉成状態である場合には遊技球が入賞しないようになっている。一方,普通電動役物4は,閉成時においても,開成時に比べて低い確率ではあるが,遊技球が入賞するようになっている。」
・記載事項4
「【0013】一方,パチンコ機1には,普通図柄の「小当たり」を決定するカウンタであるFRAN,普通図柄の「はずれ図柄」を決定するカウンタであるHZFC,「大当たり」の生起を決定するカウンタであるTRAN,特別図柄表示部3に表示される各特別図柄の内の左図柄10を決定するカウンタであるHZAC,右図柄11を決定するカウンタであるHZBC,中図柄12を決定するカウンタであるHZCC等の各カウンタが内蔵されている。
【0014】・・・
【0015】一方,「大当たり」の生起を決定するTRANは,電源投入時から0?329(330通り)の間を約0.675秒毎に1ずつ加算しながらループカウントしている。また,左図柄10を決定するHZACは,電源投入時から0?14(15通り)の間を約0.002秒毎に1ずつ加算しながら約0.030秒の周期でループカウントしており,右図柄11を決定するHZBCは,HZACが14から0になるときに0?14(15通り)の間を約0.030秒毎に1ずつ加算しながら0.460秒の周期でループカウントしており,中図柄12を決定するHZCCは,HZBCが14から0になるときに0?14(15通り)の間を0.460秒毎に1ずつ加算しながら約6.912秒の周期でループカウントしている。なお,HZAC,HZBC,HZCCのカウンタ値とそのカウンタ値に対応した図柄との関係は図4に示した通りである。
【0016】なお,パチンコ機1においては,左図柄10,右図柄11,中図柄12として,図5に示した14通りの図柄の内の何れかが表示されるようになっており,左図柄10,右図柄11,中図柄12の全て同一な図柄の組み合わせ,すなわち,「一段,一段,一段」,「二段,二段,二段」,「三段,三段,三段」,「四段,四段,四段」,「五段,五段,五段」,「六段,六段,六段」,「七段,七段,七段」,「八段,八段,八段」,「九段,九段,九段」,「名人,名人,名人」,「銀将,銀将,銀将」,「金将,金将,金将」,「角行,角行,角行」,「飛車,飛車,飛車」,「王将,王将,王将」の15通りの図柄の組み合わせが「大当たり図柄」として設定されている。」
・記載事項5
「【0017】また,パチンコ機1は,特別図柄表示部3に「三段,三段,三段」,「七段,七段,七段」,「名人,名人,名人」,「王将,王将,王将」の何れかの「大当たり図柄」(以下,「特定図柄」といい,「特定図柄」以外の「大当たり図柄」を「非特定図柄」という)が表示されたことによって「大当たり」が生起した場合(以下,「特定大当たり」といい,「非特定図柄」の表示によって「大当たり」が生起した場合を「非特定大当たり」という)には,「大当たり状態」が終了した後に,「大当たり」の生起確率,および普通図柄の「小当たり」の生起確率が高くなる「高確率状態」が生起するように構成されている(以下,「高確率状態」以外の状態を「低確率状態」という)。」
・記載事項6
「【0023】TRAN,HZAC,HZBC,HZCCの各カウンタの値が記憶された後には,まず,TRANの値が取り出され,大当たり判定が行われる。低確率状態においては,TRANの値が「73」の場合に「大当たり」と判定され,「73」以外の場合には「はずれ」と判定される。
【0024】「大当たり」と判定された場合には,記憶されているHZCCの値が取り出され,各特別図柄の変動開始から所定時間後に,そのHZCCの値に対応した図柄が,新たな左図柄10,右図柄11,中図柄12として,特別図柄表示部3に表示される。したがって,特別図柄表示部3には,前述の如き左図柄10,右図柄11,中図柄12がすべて同一の「大当たり図柄」が表示される。」
・記載事項7
「【0032】[リーチ動作(6)]「リーチ図柄」が表示された時点で,特別図柄表示部の中図柄表示部位を変動中の図柄を,左図柄表示部位・右図柄表示部位に表示されている図柄に差し替え,中速変動Cで25図柄分変動させた後,その速度のまま,大当たり判定の時点で記憶されたHZBCの値に対応した図柄が表示されるまで変動させてから,一旦,約0.491秒間停止表示する(この時点で,左図柄表示部位・右図柄表示部位・中図柄表示部位には,「大当たり図柄」が表示されることになる)。しかる後,左図柄表示部位・右図柄表示部位・中図柄表示部位に表示された3つの図柄を,中速変動Dで約2.269秒間変動させた後,大当たり判定の時点で記憶されたHZCCの値に対応した図柄が表示されるまで変動させる。
【0033】なお,上記の(4)?(6)の「リーチ動作」における「一旦停止表示」は,最終的に特別図柄を停止表示する「確定停止表示」と異なり,各特別図柄を,完全に停止させず,各図柄表示部位において僅かな上下振動をさせる等の態様で表示する。一方,上記の(5)および(6)の「リーチ動作」においては,一旦「特定図柄」が表示されたにも拘らず図柄の再変動の後に「非特定図柄」が表示されることによって遊技者が不愉快な思いをする,という事態を回避するため,一旦,停止表示された左図柄10,右図柄11,中図柄12の組み合わせが「特定図柄である場合には,再度図柄が変動することなく「大当たり」が生起するようになっている。また,特別図柄の変動開始から停止表示に至るまでのタイムチャートは,図7に示した通りである。
【0034】そして,「リーチ動作」の後,「大当たり図柄」が表示された場合(「確定停止表示」された場合)には,遊技者にとって有利な「大当たり状態」が生起する。「大当たり状態」が生起すると,所定の電飾ランプが点滅し,効果音が発生して,雰囲気が盛り上げられる。」
・記載事項8
「【0036】さらに,特別図柄表示部3に「特定図柄」が表示(「確定停止表示」)されて「大当たり」が生起した場合には,「大当たり」終了後に,遊技者にとって有利な「高確率状態」が生起する。なお,「高確率状態」が生起した場合には,所定の電飾ランプが点滅し,かかる事態が周囲に報知される。
【0037】「高確率状態」においては,普通図柄の当たり判定で,記憶されているFRANの値が,3?99(97通り)である場合に,普通図柄の「小当たり」が生起する。このため,普通図柄の「小当たり」の生起確率は97/100に増大する。また,これに加えて,大当たり判定で,記憶されているTRANの値が「73,103,137,179,251」の場合に「大当たり」と判定される。このため,「大当たり」の生起確率は5/330に増大する。
【0038】さらに,「高確率状態」においては,普通図柄の変動時間が短縮されるため,普通電動役物4が頻繁に開成するようになるし,普通電動役物4の開成時間が2.3秒に延長され,遊技球が高い頻度で普通電動役物4に入賞し易くなるので,遊技者は,多くの賞品球を獲得することができ,ほとんど遊技球を消費しない。その上,特別図柄の変動回数が増大するとともに,上述の如く「大当たり」の生起確率が増大するため,きわめて高い確率で「大当たり」が生起することになる。また,「高確率状態」においては,普通図柄の変動時間ばかりでなく,特別図柄の変動時間も短縮される。
【0039】上記の如く構成された実施例1のパチンコ機は,「大当たり図柄」として「特定図柄」が表示された場合と「非特定図柄」が表示された場合とで,「大当たり状態」終了後における「高確率状態」生起の有無の違いがあるとともに,(4),(5),(6)のリーチ動作の如く,図柄変動時において,一旦,「非特定図柄」が表示された場合であっても,図柄の再変動後に「特定図柄」が表示される場合がある。したがって,遊技者は,図柄変動中に特別図柄表示部3にきわめて高い関心を示し,いつまでも興味を持って遊技をし続けることができる。」
・記載事項9
「【0040】[実施例2]実施例2のパチンコ機の構成は,実施例1のパチンコ機1とほぼ同一であるが,「リーチ動作」をする場合(すなわち,大当たり判定において「大当たり」と判定された場合,および,大当たり判定において「はずれ」と判定された場合であってHZAC,HZBCの両カウンタに記憶された値が同一である場合)における特別図柄の変動の態様が,実施例1のパチンコ機1と異なっている(なお,実施例2のパチンコ機の外観は実施例1のパチンコ機1と同様である)。
【0041】・・・
【0045】・・・一旦停止表示になっている左図柄10,右図柄11と同一の図柄を中図柄表示部位に一旦停止表示した後(すなわち,左図柄表示部位・右図柄表示部位・中図柄表示部位に「非特定大当たり図柄」を表示した後),再度全ての特別図柄を変動させて,所定時間後に,「特定図柄」,あるいは「非特定図柄」を確定停止表示する。
【0046】・・・
【0047】・・・一旦停止表示となっている左図柄10,右図柄11と同一の図柄を中図柄表示部位に一旦停止表示した後(すなわち,左図柄表示部位・右図柄表示部位・中図柄表示部位に「非特定大当たり図柄」を表示した後),再度全ての特別図柄を変動させて,所定時間後に,「特定図柄」,あるいは「非特定図柄」を確定停止表示する。
【0048】・・・一旦停止表示となっている左図柄10,右図柄11と同一の図柄を中図柄表示部位に一旦停止表示した後(すなわち,左図柄表示部位・右図柄表示部位・中図柄表示部位に「非特定大当たり図柄」を表示した後),再度全ての特別図柄を変動させて,所定時間後に,「特定図柄」,あるいは「非特定図柄」を確定停止表示する。
【0049】・・・同様に,「第2段階表示」において「特定リーチ図柄」が表示されて「大当たり」が生起する場合には,必ず「特定大当たり図柄」が表示されて「特定大当たり」となるようになっている。・・・」

以上の記載事項1?9及び図1?8によれば,引用1には以下の発明が記載されていると認められる。(以下,「引用1発明」という。)

「左図柄10,右図柄11,中図柄12を表示可能な特別図柄表示部3が設けられており,特別図柄表示部3の図柄の変動を開始させ,確定停止表示された図柄が,15通りの大当たり図柄の内の特定大当たり図柄である場合には,遊技者にとって有利な大当たりが生起するパチンコ機であって,
15通りの大当たり図柄とともに,特定図柄と,非特定図柄と有し,
特定図柄と非特定図柄を任意に選定可能とする一方,
大当たり図柄が確定停止表示される場合の内の少なくとも一部の場合に,その確定停止表示前に,確定停止表示される大当たり図柄と同一あるいは異なる非特定大当たり図柄又は特定リーチ図柄が,遊技者に認識させ得る態様で一旦停止表示されるとともに,
非特定大当たり図柄又は特定リーチ図柄が一旦停止表示される場合には,
確定停止表示される図柄が,予め選定されている非特定図柄であるか否かを判断し,
前記判断の結果,確定停止表示される図柄が非特定図柄であると判断された場合には,一旦停止表示する大当たり図柄として非特定図柄を選定するパチンコ機。」

(2)引用2について
当審の平成20年3月6日付の拒絶理由に引用された刊行物である特開平6-154394号公報(以下,「引用2」という。)には,以下の技術事項が図面とともに記載されている。

・記載事項ア
「【0024】次に,上記の遊技機1および遊技機1を集中管理する遊技店管理装置2の詳細な原理ブロック構成を図3に示す。また,遊技機1における制御の手順を図4ないし図6に,遊技店管理装置2における制御の手順を図7に,それぞれ示す。また,遊技機1における景品交換指示の手順の例を図8に示す。上記の図3ないし図8に基づいて,この遊技機1と遊技店管理装置2における制御の流れを以下に説明する。」
・記載事項イ
「【0025】まず,遊技店側では,いわゆる「大当り図柄」である特別図柄(通常の特別図柄と特殊図柄とを含む)を図3の特殊特定図柄設定手段により設定する。この特別図柄としては,特別遊技利益を付与するのみの通常特別図柄と,景品交換を所定期間不要とする特殊図柄(いわゆるラッキーナンバー)とを設定できる。また,通常特別図柄の中には,遊技者にとって最も不利な(上記特殊図柄の効果を打ち消してしまう)特定図柄(いわゆるアンラッキーナンバー)を設定することができる。また,これら通常特別図柄,特定図柄,および特殊図柄の発生確率は,ROM等に格納され,遊技機1の製造出荷時に設定される。これらの発生確率は,特殊特定図柄設定操作手段(外部の設定スイッチ等)により特殊特定図柄設定手段内の図示しない発生比率変更手段に指令を送り,遊技店側でも調整可能である。さらには,遊技店内の遊技機を集中管理する遊技店管理装置2から上記の特殊特定図柄設定手段に指令を送り発生比率を変更させてもよい。」
・記載事項ウ
「【0026】図4は,上記の発生率設定に関連したフローチャート図である。すなわち,通常特別図柄の発生率をステップS1で設定し,特殊図柄(ラッキーナンバー)の発生率をステップS2で設定し,ステップS3で,特定図柄(アンラッキーナンバー)の発生率を設定する。次に,特殊図柄(ラッキーナンバー)により獲得球の交換が不要となる期間(獲得球交換不要期間カウンタ値)を設定する(ステップS4)。そして,上記の設定された値を遊技店管理装置2へ送信する(ステップS5)。」
・記載事項エ
「【0034】次に,同様にして,通常の特別図柄が発生した場合は,図5のステップS19において獲得球交換不要期間カウンタの値が「1」だけデクリメント(減算)されると,カウンタ値は「零」となる。次いで,ステップS20でカウンタ値が「零」であることが判別され,上記のようにして確率交換不要期間カウンタの値が零になった場合には,獲得球交換不要期間が終了したのであるから,この旨の信号が獲得球交換不要信号出力手段に送られ,獲得球交換不要期間信号出力手段は,獲得球交換不要期間終了信号を獲得球交換不要期間報知手段に送って獲得球交換不要期間が終了したことを遊技者や周囲,遊技店員等に報知させる(図5におけるステップS21)。」
・記載事項オ
「【0037】次に,再度図柄表示装置(図2における特別図柄表示装置6)が変動表示を開始し,特別図柄で停止した場合,図3における特定図柄判別手段により「特定図柄(アンラッキーナンバー)である」と判別された場合(図5におけるステップS14)は,特定図柄判別手段から特定図柄判別信号が送出され,図3においては図示していない獲得球交換不要期間カウンタのカウント値が「零」に強制設定される(図5におけるステップS22)。すなわち,現在の特別遊技が終了した場合には,獲得球をいったん景品に交換しないと再遊技はできないことを意味している。」
・記載事項カ
「【0043】次に,図3の遊技店管理装置2における情報処理制御の内容を図7に示す。この遊技店管理装置2の判別信号記憶手段は,遊技機1から特別図柄判別信号と特殊図柄判別信号と特定図柄判別信号とを受信する。そして,この判別信号記憶手段は,特別図柄の発生を示す信号である特別図柄判別信号を計数(カウント)して記憶する(ステップS51)。また,特殊図柄(ラッキーナンバー)の発生を示す信号である特殊図柄判別信号を計数(カウント)して記憶し(ステップS52),また,特定図柄(アンラッキーナンバー)の発生を示す信号である特定図柄判別信号を計数(カウント)して記憶する(ステップS53)。」
・記載事項キ
「【0046】上記の計数値や演算値は,記憶保存手段に保存され(ステップS58),その後に表示指令操作があった場合は(ステップS59),表示データ選択指示(ステップS60)により選択されたデータ(計数値,演算値,日付等)を視覚的表示手段により遊技店側に表示する(ステップS61)。例えば,CRT等の画像表示装置に画像表示したり,プリンタ等によりプリントアウトする。遊技店は,これらの計数値や演算値を遊技店の経営データとして利用することができる。」
・記載事項ク
「【0048】第2の方式は,特殊図柄(ラッキーナンバー)と特定図柄(アンラッキーナンバー)とを設け,特殊図柄(ラッキーナンバー)の効果である獲得球の交換不要期間は,特定図柄(アンラッキーナンバー)の発生によって消滅する,という方式である。したがって,特殊図柄(ラッキーナンバー)が発生した場合は,特定図柄(アンラッキーナンバー)が発生するまでは,景品交換せずに遊技が可能である。この方式では,図8(A)に示すように通常特別図柄で停止した場合,あるいは,図8(B)に示すように特定図柄(アンラッキーナンバー)で停止した場合には,その特別図柄による特別遊技が終了した時点で,獲得球の景品への交換が指示される。また,図8(C)に示すように,特殊図柄(ラッキーナンバー)が発生した場合は,特定図柄(アンラッキーナンバー)が発生するまでは,通常特別図柄の発生による特別遊技を何回でも行うことができ,特定図柄(アンラッキーナンバー)が発生した場合には,その回の特別遊技が終了した時点で景品交換が指示される。」
・記載事項ケ
「【0049】第3の方式は,上記第1方式と第2方式の折衷方式であり,特殊図柄(ラッキーナンバー)と特定図柄(アンラッキーナンバー)とを設ける。そして,特殊図柄(ラッキーナンバー)の効果である獲得球の交換不要期間は,通常特別図柄の発生による特別遊技を消化するごとに減算され,獲得球交換不要期間カウント値が「零」になった時点で景品交換指示が出されるか,あるいは,特殊図柄(ラッキーナンバー)の効果である獲得球の交換不要期間は特定図柄(アンラッキーナンバー)の発生によって消滅する,という方式である。上記の実施例は,この第3の方式について説明したものである。」
・記載事項コ
「【0052】例えば,上記実施例では,ラッキーナンバーが1種類(例えば「7,7,7」)の例について説明したが,これは,複数種類設け,ラッキーナンバーの種類に応じて獲得球交換不要期間に差を設けるようにしてもかまわない。
【0053】また,上記の実施例においては,「獲得球交換不要期間」は,特別遊技の回数を単位としてカウントしたが,これに限定されるものではなく,図柄表示装置の作動回数,特別図柄の発生回数を単位とした期間,特定図柄の発生回数を単位とした期間,予め定められた所定の図柄(いわゆるアンラッキーナンバー等)が発生するまでの期間,所定時間が経過するまでの期間,所定数の遊技球が発射されるまでの期間,所定数の遊技球が入賞するまでの期間,あるいは遊技盤の所定位置において遊技球を所定数検出するまでの期間等であってもかまわない。」

以上の記載事項ア?コおよび図1?8を勘案すると,引用2には以下の技術事項が記載されている。

「遊技店において,特別図柄は,ラッキーナンバーの大当たり図柄からなる特殊図柄,アンラッキーナンバーの大当たり図柄からなる特定図柄,およびラッキーナンバーでもアンラッキーナンバーでもない通常の大当たり図柄の特別図柄とから構成され,ラッキーナンバーの大当たり図柄である特殊図柄は景品交換を所定時間不要とするものであり,アンラッキーナンバーの大当たり図柄である特定図柄は遊技者にとって最も不利である特殊図柄の効果を打ち消してしまうものであり,ラッキーナンバーの大当たり図柄の特殊図柄でもなくアンラッキーナンバーの大当たり図柄の特定図柄でもない通常の大当たり図柄の特別図柄は,特殊特定図柄設定手段により任意に設定可能な遊技機。」
(以下,「引用2に記載の技術事項」という。)

3.対比
引用1発明と本願発明を対比すると,引用1発明の「左図柄10,右図柄11,中図柄12」は本願発明の「複数の図柄」に相当し,以下同様に,「特別図柄表示部3」は「図柄表示部」に,「確定停止表示」は「確定表示」に,「15通りの大当たり図柄の内の特定大当たり図柄である場合には」は「予め設定された複数の大当たり図柄の内の1つである場合には」に,「有利な大当たり」は「価値ある大当たり状態」に,「パチンコ機」は「遊技機」に,「15通りの大当たり図柄」は「複数の大当たり図柄」に,「特定図柄」は「ラッキー大当たり図柄」に,「非特定図柄」は「アンラッキー大当たり図柄」に,「一旦停止表示」は「一旦表示」に,それぞれ相当している。

そして,引用1発明については,以下のi)?v)がいえる。

i)実質的具備事項1
引用1の記載事項6の「【0023】・・・まず,TRANの値が取り出され,大当たり判定が行われる。低確率状態においては,TRANの値が「73」の場合に「大当たり」と判定され,「73」以外の場合には「はずれ」と判定される。【0024】「大当たり」と判定された場合には,記憶されているHZCCの値が取り出され,各特別図柄の変動開始から所定時間後に,そのHZCCの値に対応した図柄が,新たな左図柄10,右図柄11,中図柄12として,特別図柄表示部3に表示される。したがって,特別図柄表示部3には,前述の如き左図柄10,右図柄11,中図柄12がすべて同一の「大当たり図柄」が表示される。」なる記載に基づけば,表示する大当たり図柄を記憶されたHZCCが取り出されるので,引用1発明は,特定図柄と非特定図柄をそれぞれ記録した記録手段を有し,かつ,大当たりの生起をカウンタTRANで決定するとともに,カウンタHZCCの値に対応したすべて同一の左図柄10,右図柄11および中図柄12からなる図柄の組合せが特別図柄表示部3に表示されるものであるといえる。
また,カウンタが制御装置に接続されること,および制御装置はカウンタのカウンタ値を用いて制御することは,パチンコ遊技機の技術分野における技術常識であって自明なことであるから,引用1発明は,「制御装置における制御にしたがって,図柄変動開始信号により特別図柄表示部3の図柄の変動を開始させ,所定時間後に確定表示し」ているということができる。
そして,引用1発明の「特定図柄」「非特定図柄」「特別図柄表示部3」は,本願発明の「ラッキー大当たり図柄」「アンラッキー大当たり図柄」「図柄表示部」に相当していることは上記したとおりである。
そうすると,引用1発明は,「ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄を記録する記録手段を備え,制御装置における制御にしたがって,図柄変動開始信号により図柄表示部の図柄の変動を開始させ,所定時間後に確定表示し」なる構成を実質的に具備しているということができる。
ii)実質的具備事項2
上記記載事項6に基づけば,引用1発明は,大当たり図柄を記憶する手段である装置を有し,その記憶された装置から記憶された値が読み取られて,そのHZCCの値に対応した図柄が特別図柄表示部3に表示されるのであって,記憶装置を記録手段と言い換えできるから,引用1発明は,「15通りの大当たり図柄とともに,特定図柄と,非特定図柄とを夫々記録した記録手段が設けられており,」なる構成を備えているということができる。
そして,引用1発明の「15通りの大当たり図柄」,「特定図柄」,「非特定図柄」は,本願発明の「複数の大当たり図柄」,「ラッキー大当たり図柄」,「アンラッキー大当たり図柄」に相当していることは上記したとおりである。
そうすると,引用1発明は,「複数の大当たり図柄とともに,ラッキー大当たり図柄と,アンラッキー大当たり図柄とを夫々記録した記録手段が設けられており,」なる構成を実質的に具備しているということができる。
iii)実質的具備事項3
引用1発明においては,15通りの大当たり図柄があり,そして,特定図柄と非特定図柄に分けられ,かつ,大当たり図柄が特定図柄である場合には,大当たり状態終了後に,遊技者にとって有利な高確率状態を生起せしめることができるのである。
また,上記のとおり,引用1発明の特定図柄は,遊技者にとってラッキーな大当たり図柄であり,かつ,非特定図柄は遊技者にとってアンラッキーな大当たり図柄であり,一旦停止表示は一旦表示である。
そうすると,引用1発明は,「大当たり図柄が確定停止表示される場合の内の少なくとも一部の場合に,その確定停止表示前に,確定停止表示される大当たり図柄と同一あるいは異なる非特定大当たり図柄又は特定リーチ図柄が,遊技者に認識させ得る態様で一旦停止表示される」なる構成を有しているので,引用1発明は,「その確定停止表示前に,確定表示される大当たり図柄と同一あるいは異なる大当たり図柄であるアンラッキー大当たり図柄が,遊技者に認識させ得る態様で一旦表示される」なる構成を実質的に具備しているということができる。
iv)実質的具備事項4
上記実質的具備事項1において示したように,引用1発明のパチンコ機は,大当たりの生起をカウンタTRANで決定するとともに,カウンタHZCCの値に対応したすべて同一の左図柄10,右図柄11および中図柄12からなる図柄の組合せが特別図柄表示部3に表示されるものである。
また,引用1の記載事項7の「【0032】・・・大当たり判定の時点で記憶されたHZBCの値に対応した図柄が表示されるまで変動させてから,一旦,約0.491秒間停止表示する(この時点で,左図柄表示部位・右図柄表示部位・中図柄表示部位には,「大当たり図柄」が表示されることになる)。・・・」なる記載からみて,引用1発明は,一旦停止表示する大当たり図柄をカウンタHZBCを用いて選定して特別図柄表示部3において表示しているのであり,そのカウンタHZBCを図柄決定カウンターと言い換えできることは明らかであるから,制御装置内に,一旦停止表示する大当たり図柄を選定するための図柄決定カウンターが実質的に内蔵されているということができる。
そして,引用1発明の「一旦停止表示」は,本願発明の「一旦表示」に相当していることは上記したとおりである。
そうすると,引用1発明は,「前記制御装置内に,一旦表示する大当たり図柄を選定するための図柄決定カウンターが内蔵されており,」なる構成を実質的に具備しているということができる。
v)実質的具備事項5
上記実質的具備事項4において示したように,引用1発明は,図柄決定カウンターを有しており,特定図柄はラッキー大当たり図柄であって,非特定図柄はアンラッキー大当たり図柄であるから,ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄の関係において,アンラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄はラッキー大当たり図柄となることは自明であって,それは特定図柄に他ならない。
また,引用1の記載事項4の「・・・15通りの図柄の組み合わせが「大当たり図柄」として設定されている。」および同記載事項5の「【0017】・・・特別図柄表示部3に「三段,三段,三段」,「七段,七段,七段」,「名人,名人,名人」,「王将,王将,王将」の何れかの「大当たり図柄」(以下,「特定図柄」といい,「特定図柄」以外の「大当たり図柄」を「非特定図柄」という)・・・」なる記載に基づけば,ラッキー大当たり図柄である特定図柄やラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄である非特定図柄を,予め定められた15通りの大当たり図柄の中から選択して決めていることは明らかであるから,特定図柄と非特定図柄は任意に選択されているということができる。
また,同記載事項9の「【0045】・・・一旦停止表示になっている左図柄10,右図柄11と同一の図柄を中図柄表示部位に一旦停止表示した後(すなわち,左図柄表示部位・右図柄表示部位・中図柄表示部位に「非特定大当たり図柄」を表示した後),再度全ての特別図柄を変動させて,所定時間後に,「特定図柄」,あるいは「非特定図柄」を確定停止表示する。【0046】・・・
【0047】・・・一旦停止表示となっている左図柄10,右図柄11と同一の図柄を中図柄表示部位に一旦停止表示した後(すなわち,左図柄表示部位・右図柄表示部位・中図柄表示部位に「非特定大当たり図柄」を表示した後),再度全ての特別図柄を変動させて,所定時間後に,「特定図柄」,あるいは「非特定図柄」を確定停止表示する。【0048】・・・一旦停止表示となっている左図柄10,右図柄11と同一の図柄を中図柄表示部位に一旦停止表示した後(すなわち,左図柄表示部位・右図柄表示部位・中図柄表示部位に「非特定大当たり図柄」を表示した後),再度全ての特別図柄を変動させて,所定時間後に,「特定図柄」,あるいは「非特定図柄」を確定停止表示する。【0049】・・・同様に,「第2段階表示」において「特定リーチ図柄」が表示されて「大当たり」が生起する場合には,必ず「特定大当たり図柄」が表示されて「特定大当たり」となるようになっている。・・・」なる記載に基づけば,「一旦停止表示する図柄が非特定図柄であると判断される場合には,確定停止表示する図柄は特定図柄または特定リーチ図柄のいずれかを選択できることを意味しており,「判断の結果,確定停止表示される図柄が特定図柄であると判断された場合には,非特定大当たり図柄または特定リーチ図柄のいずれかを任意に選択できる」ものといえる。
そうすると,引用1発明は,「判断の結果,確定停止表示される図柄が特定図柄であると判断された場合には,HZBCカウンタが一旦表示する非特定大当たり図柄または特定リーチ図柄を選定する一方,前記判断の結果,確定停止表示される図柄が非特定図柄であると判断された場合には,HZBCカウンタが一旦停止表示する大当たり図柄として非特定図柄を選定する」ものということができる。
一方,同記載事項9の「・・・【0049】・・・同様に,「第2段階表示」において「特定リーチ図柄」が表示されて「大当たり」が生起する場合には,必ず「特定大当たり図柄」が表示されて「特定大当たり」となるようになっている。・・・」なる記載に基づけば,確定停止表示する図柄が,非特定大当たり図柄であると判断との結果,一旦停止表示する図柄として特定リーチ図柄を用いないことと同じ意味となるから,発明の趣旨から見て,確定停止表示する図柄が,非特定大当たり図柄であると判断される場合には,一旦停止表示する図柄として非特定大当たり図柄を表示するものとなると解される。
そして,引用1発明の「確定停止表示」「特定図柄」「HZBCカウンタ」「一旦停止表示」は,本願発明の「確定表示」「アンラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄」「図柄決定カウンタ」「一旦表示」に相当していることは上記したとおりである。
したがって,引用1発明は,「判断の結果,確定表示される図柄がアンラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄であると判断された場合には,図柄決定カウンタが一旦表示する図柄を選定する一方,前記判断の結果,確定表示される図柄がアンラッキー大当たり図柄であると判断された場合には,図柄決定カウンタが一旦表示する大当たり図柄としてアンラッキー大当たり図柄を選定する」なる構成を実質的に具備しているということができる。
vi)実質的具備事項6
上記実質的具備事項5に基づけば,「判断の結果,確定表示される図柄がアンラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄であると判断された場合には,図柄決定カウンタが一旦表示する図柄を選定する一方,前記判断の結果,確定表示される図柄がアンラッキー大当たり図柄であると判断された場合には,図柄決定カウンタが一旦表示する大当たり図柄としてアンラッキー大当たり図柄を選定する」のであるから,「アンラッキー大当たり図柄を確定表示する前には,アンラッキー大当たり図柄を一旦表示し,アンラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄を確定表示する前には,選定された図柄を一旦表示する」ものと言い換えできることは明らかである。
そうすると,引用1発明は,「判断の結果,アンラッキー大当たり図柄を確定表示する前には,アンラッキー大当たり図柄を一旦表示し,アンラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄を確定表示する前には,選定された図柄を一旦表示する」なる構成を実質的に具備しているということができる。

以上の実質的具備事項i)?vi)および図面を考慮すると,引用1発明と本願発明は,以下の点で一致するとともに相違している。

<一致点>
「複数の図柄を表示可能な図柄表示部が設けられており,図柄表示部の図柄の変動を開始させ,確定表示された図柄が,予め設定された複数の大当たり図柄の内の1つである場合には,遊技者にとって価値ある大当たり状態が生起する遊技機であって,
複数の大当たり図柄とともに,ラッキー大当たり図柄と,アンラッキー大当たり図柄と有し,ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄とをそれぞれ記録した記録手段と,
ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄を任意に選定可能とする一方,
大当たり図柄が確定表示される場合の内の少なくとも一部の場合に,その確定表示前に,確定表示される大当たり図柄と同一あるいは異なる大当たり図柄であるアンラッキー大当たり図柄が,遊技者に認識させ得る態様で一旦表示されるとともに,
大当たり図柄が一旦表示される場合には,
確定表示される図柄が,予め選定されているアンラッキー大当たり図柄であるか否かを判断し,
その判断の結果,確定表示される図柄がラッキー大当たり図柄であると判断された場合には,図柄決定カウンタが一旦表示する図柄を選定する一方,前記判断の結果,確定表示される図柄がアンラッキー大当たり図柄であると判断された場合には,一旦表示する大当たり図柄としてアンラッキー大当たり図柄を選定することにより,
アンラッキー大当たり図柄を確定表示する前には,アンラッキー大当たり図柄を一旦表示し,ラッキー大当たり図柄を確定表示する前には,選定された図柄を一旦表示することを特徴とする遊技機。」

<相違点1>
本願発明においては,複数のチャンネルを有する切替スイッチを有するとともに,ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄を任意に選定可能としているのに対して,引用1発明においては,複数のチャンネルを有する切替スイッチを有するか否か不明であるとともに,ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄を任意に選定可能としている点。
<相違点2>
本願発明においては,複数の大当たり図柄とともに,遊技店において特定のサービスの提供を開始する指標となるラッキー大当たり図柄と,遊技店において特定のサービスの提供を終了する指標となるアンラッキー大当たり図柄とラッキー大当たり図柄およびアンラッキー大当たり図柄以外の普通大当たり図柄とを,前記複数のチャンネルに対応させて夫々記録した記録手段と,該記録手段から呼び出されたラッキー大当たり図柄,アンラッキー大当たり図柄,及び普通大当たり図柄が書き込まれる書込手段とが設けられているのに対して,引用1発明においては,ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄とを記録した記録手段を有するものの,その記録手段から呼び出されたラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄とを書き込む書込手段を有せず,かつ,大当たり図柄はラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄からなるものの,普通大当たり図柄を有せず,さらに,ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄が特定のサービスに関係する指標であるか否か明瞭でない点。
<相違点3>
確定表示される図柄がアンラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄であると判断されたときに,図柄決定カウンタが一旦表示する大当たり図柄を任意に選定する場合に,本願発明においては,確定表示する前に,任意の大当たり図柄を一旦表示するのに対して,引用1発明においては,確定表示する前に,アンラッキー大当たり図柄又はラッキー大当たり図柄のリーチ図柄を一旦表示する点。

4.相違点についての検討
上記相違点について,検討する。
<相違点1について>
引用2の記載事項ウの「【0025】まず,遊技店側では,いわゆる「大当り図柄」である特別図柄(通常の特別図柄と特殊図柄とを含む)を図3の特殊特定図柄設定手段により設定する。この特別図柄としては,特別遊技利益を付与するのみの通常特別図柄と,景品交換を所定期間不要とする特殊図柄(いわゆるラッキーナンバー)とを設定できる。また,通常特別図柄の中には,遊技者にとって最も不利な(上記特殊図柄の効果を打ち消してしまう)特定図柄(いわゆるアンラッキーナンバー)を設定することができる。・・・これらの発生確率は,特殊特定図柄設定操作手段(外部の設定スイッチ等)により特殊特定図柄設定手段内の図示しない発生比率変更手段に指令を送り,遊技店側でも調整可能である。さらには,遊技店内の遊技機を集中管理する遊技店管理装置2から上記の特殊特定図柄設定手段に指令を送り発生比率を変更させてもよい。」なる記載並びに同記載事項ケの「【0048】第2の方式は,特殊図柄(ラッキーナンバー)と特定図柄(アンラッキーナンバー)とを設け,特殊図柄(ラッキーナンバー)の効果である獲得球の交換不要期間は,特定図柄(アンラッキーナンバー)の発生によって消滅する,という方式である。・・・」なる記載に基づけば,引用2に記載の技術事項において,遊技機に設けられた特殊特定図柄設定手段である外部の設定スイッチ等により,遊技店において,特殊図柄としてのラッキーナンバー,通常特別図柄,特定図柄としてのアンラッキーナンバーからなる複数の大当たり図柄を構成する特別図柄を設定することができること,および,遊技店においてラッキーナンバーとアンラッキーナンバーからなる大当たり図柄を遊技者に有利および不利となる数字を指し示す指標として用いていることは明らかである。
また,引用2に記載の技術事項の「ラッキーナンバーでもアンラッキーナンバーでもない通常の大当たり図柄の特別図柄」は本願発明の「普通大当たり図柄」に相当し,以下同様に「外部の設定スイッチ等」は「切替スイッチ」に,「景品交換を所定期間不要とする」は「特定のサービスの提供を開始する」に,「特殊図柄の効果を打ち消してしまう」は「特定のサービスを終了させる」に,「特殊特定図柄設定操作手段」は「切替チャンネル」にそれぞれ相当していることは,その機能から見て明らかであり,引用2に記載の技術事項の「特殊図柄としてのラッキーナンバー」と「特定図柄としてのアンラッキーナンバー」は,ともに特別図柄として特別図柄表示装置に表示されて遊技者に示すことができるのであるから,引用2に記載の技術事項の「特殊図柄としてのラッキーナンバー」は,本願発明の「特定のサービスの提供を開始する指標となるラッキー大当たり図柄」に,「特定図柄としてのアンラッキーナンバー」は「特定のサービスを終了させるアンラッキー大当たり図柄」とそれぞれ言い換えることができる。
さらに,同記載事項サの「【0052】例えば,上記実施例では,ラッキーナンバーが1種類(例えば「7,7,7」)の例について説明したが,これは,複数種類設け,ラッキーナンバーの種類に応じて獲得球交換不要期間に差を設けるようにしてもかまわない。」なる記載および同記載事項キの「【0043】・・・この遊技店管理装置2の判別信号記憶手段は,遊技機1から特別図柄判別信号と特殊図柄判別信号と特定図柄判別信号とを受信する。そして,この判別信号記憶手段は,特別図柄の発生を示す信号である特別図柄判別信号を計数(カウント)して記憶する(ステップS51)。また,特殊図柄(ラッキーナンバー)の発生を示す信号である特殊図柄判別信号を計数(カウント)して記憶し(ステップS52),また,特定図柄(アンラッキーナンバー)の発生を示す信号である特定図柄判別信号を計数(カウント)して記憶する(ステップS53)。」なる記載同記載事項ウの「【0025】・・・特別図柄(通常の特別図柄と特殊図柄を含む)を図3の特殊特定図柄設定手段により設定する。・・・これら通常特別図柄と特定図柄,および特殊図柄の発生確率はROM等に格納され,・・・特殊特定図柄設定手段(外部の設定スイッチ等)により・・・遊技店側でも調整可能である。・・・」なる記載および図3に基づけば,遊技機において,ラッキーナンバーとアンラッキーナンバーとラッキーナンバーでもアンラッキーナンバーでもないナンバーから判別信号が構成され,ラッキーナンバーが複数種類設定することが可能であり,かつ,遊技店管理装置において,判別信号記憶手段は,ラッキーナンバーとアンラッキーナンバーおよびラッキーナンバーでもアンラッキーナンバーでもないナンバーをそれぞれ記録し,さらに記憶保存手段がその記録手段から呼び出されたラッキーナンバーとアンラッキーナンバーおよびラッキーナンバーでもアンラッキーナンバーでもないナンバーを記憶保存していることは明らかであるとともに,引用2に記載の技術事項の「判別信号記憶手段」は「記録手段」に,「記憶」は「記録」に,「記憶保存手段」は「書込手段」に,「記憶保存」は「書き込み」にそれぞれ相当していることも明らかである。
また,遊技機に設けた切替スイッチにおいて,チャンネルを切り替えて,そのチャンネルに対応したラッキー大当たり図柄およびアンラッキー大当たり図柄等の大当たり図柄の発生確率を選択する点は周知技術(以下,「周知技術」という。)に過ぎない(必要であれば,一例として,特開平8-173616号公報【0068】を参照されたい)。
以上を総合すると,引用2に記載の技術事項は,「複数の大当たり図柄が,遊技店において特定のサービスの提供を開始する指標となるラッキー大当たり図柄と遊技店において特定のサービスの提供を終了する指標となるアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄とからなり,それに対応させてなる複数の切替チャンネルを切替自在とする切替スイッチを備えた遊技機と,そのラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄をチャンネルを対応させてそれぞれ記録する記録手段と,その記録手段から呼び出されたラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄が書き込まれる書込手段とを備えた遊技店管理装置とから構成され,遊技機の切替スイッチにおいて,チャンネルを切り替えて,そのチャンネルに対応したラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄を遊技店管理装置の記録手段から呼び出して,呼び出したラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄を遊技店管理装置の書込手段に書き込むことによって,ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄を任意に選定可能とする遊技システム。」と言い換えできる(以下,「引用2発明」という。)。
そして,引用1発明および引用2発明はともに,パチンコ遊技機における大当たり図柄において,大当たり図柄を複数種類も受けるとともに,ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄を設けて,遊技者の興趣を高める点で共通するのであるから,両者の間で技術を相互に利用することに格別の困難性はない。
そうすると,引用1発明の「ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄」を選定する際に,引用2発明の「ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄を選定する切替スイッチ」を付加して,複数のチャンネルを有し,任意に切替可能な切替スイッチを有し,ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄を選定する遊技機とすること,すなわち本願発明の上記相違点1に係る構成となすことは,当業者が容易になし得る程度のことということができる。
<相違点2について>
上記相違点1についてで示したように引用2発明は,「複数の大当たり図柄が,遊技店において特定のサービスの提供を開始する指標となるラッキー大当たり図柄と遊技店において特定のサービスの提供を終了する指標となるアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄とからなり,それに対応させてなる複数の切替チャンネルを切替自在とする切替スイッチを備えた遊技機と,そのラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄をチャンネルを対応させてそれぞれ記録する記録手段と,その記録手段から呼び出されたラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄が書き込まれる書込手段とを備えた遊技店管理装置とから構成され,遊技機の切替スイッチにおいて,チャンネルを切り替えて,そのチャンネルに対応したラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄を遊技店管理装置の記録手段から呼び出して,呼び出したラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄を遊技店管理装置の書込手段に書き込むことによって,ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄を任意に選定可能とする遊技システム。」である。
そして,多数の遊技機と遊技店管理装置からなる遊技システムにおいて,それぞれの構成要件とその構成要件が具備する機能をどのように負担し合うかは,例えば,遊技機技術分野のみならず,コンピュータを用いたシステムとしてよく知られている中央管理システム方式か分散サーバー管理システム方式を採用するかの選択,その選択に伴う構成要素の配置の決定等は,遊技機,中央管理装置やサーバーの設置スペース,遊技機,中央管理装置やサーバーのコストなどを総合的に勘案して定めることは例示するまでもなくコンピュータを用いたシステムの設計上の周知慣用された技術にすぎない(以下,「周知慣用技術」という。)。
また,上記相違点1において示した同じ理由により,引用1発明と引用2発明の間で,技術を相互に利用することに格別の困難性はない。
そうすると,引用1発明の遊技機において,周知慣用技術を参照しつつ,引用2発明の「切替スイッチ」を採用して,遊技機において,複数のチャンネルを有し,任意に切替可能な切替スイッチを設け,複数の大当たり図柄が,遊技店において特定のサービスの提供を開始する指標となるラッキー大当たり図柄と,遊技店において特定のサービスの提供を終了する指標となるアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄とからなり,それを複数のチャンネルに対応させる一方で,引用1発明の遊技機に,引用2発明の遊技店の管理装置の記録手段と書込手段を採用することにより,ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄を複数のチャンネルに対応させて夫々記録した記録手段と,記録手段から呼び出されたラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄が書き込まれる書込手段とを設け,切替スイッチにおいてチャンネルを切り替えて,そのチャンネルに対応したラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄を記録手段から呼び出し,呼び出したラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄を書込手段に書き込むことによって,ラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄を任意に選定可能となるような遊技機とすること,すなわち本願発明の上記相違点2に係る構成となすことは,当業者が容易に想到し得る程度のことということができる。
<相違点3について>
上記相違点1において示したように,引用1発明のラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄に,引用2発明を適用して,複数の大当たり図柄をラッキー大当たり図柄とアンラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄とから構成することは,容易になし得る程度のことに過ぎないものである。
ところで,引用1発明に引用2発明を適用すると,引用1発明においては,確定表示される図柄がアンラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄である場合は,遊技者に特定のサービスを開始する指標となるラッキー大当たり図柄と普通大当たり図柄となり,一方,一旦表示する図柄はアンラッキー大当たり図柄又はラッキー大当たり図柄のリーチ図柄として,結果として遊技者を不愉快な気持ちにすることはないようにするものとなる。
しかしながら,どのような図柄を一旦表示しても,確定表示する図柄がアンラッキー大当たり図柄以外の図柄の場合には,アンラッキー大当たり図柄を確定表示しない限り,結果として遊技者を不愉快な気持ちにすることはないことは明らかであるから,引用1発明のアンラッキー大当たり図柄又はラッキー大当たり図柄のリーチ図柄を一旦表示することに代えて,どのような図柄でも,具体的には,アンラッキー大当たり図柄とラッキー大当たり図柄および普通大当たり図柄のいずれかを一旦表示するようにすることは,同様の作用を奏する手段の選択にすぎないということができる。
そうすると,引用1発明に引用2発明を適用する際に,確定表示される図柄がアンラッキー大当たり図柄以外の大当たり図柄である場合に,引用1発明のアンラッキー大当たり図柄又はラッキー大当たり図柄のリーチ図柄で一旦表示する図柄に代えて,任意に選択された大当たり図柄で一旦表示するようにすること,すなわち,本願発明の上記相違点3に係る構成となすことは,当業者が容易になし得る程度のことということができる。

5.作用効果
本願発明によって奏する効果も,引用1発明,引用2発明および周知技術並びに周知慣用技術に基づいて,普通に予測できる範囲内のものであって格別のものがあると認められない。

6.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用1発明,引用2発明および周知技術並びに周知慣用技術に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-30 
結審通知日 2008-10-21 
審決日 2008-11-04 
出願番号 特願平11-300172
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 川島 陵司
小原 博生
発明の名称 遊技機  
復代理人 井上 敬也  
代理人 石田 喜樹  

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