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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A45D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A45D
管理番号 1190240
審判番号 不服2005-20939  
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-10-31 
確定日 2009-01-05 
事件の表示 特願2001-355362「2つの物質をその場で供給するためのディスペンサユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成14年12月24日出願公開、特開2002-369712〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件の出願(以下、「本願」という。)は、平成13年10月18日(パリ条約による優先権主張2000年10月20日、フランス)の出願であって、平成17年7月29日付け(発送日:同年8月3日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月31日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年11月29日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成17年11月29日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成17年11月29日付け手続補正を却下する。

[理由]
1.本願補正発明
平成17年11月29日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。

「本体(5;5’)と、該本体に対して移動可能であって2つの物質が混合された又は別個の状態で同時に供給されるようにするアクチュエータエレメント(6)とを有するディスペンサユニット(2)であって、前記物質はこれら物質が別々に収容された2つの容器(3;4)から取り出され、各容器には、押圧された場合に前記物質が供給されるようにする中空アクチュエータロッド(15)を含むポンプ又は弁が設けられているようなディスペンサユニットにおいて、
前記ディスペンサユニットは、前記アクチュエータエレメントとは別体であって、前記各容器の前記2つのアクチュエータロッド上に係合するのに適した2つのフード(49)を含むような中間部材(10;10’)を含み、
前記アクチュエータエレメント(6)及び前記中間部材(10;10’)は、少なくとも前記アクチュエータエレメントが駆動されている間には、前記容器から到来する前記物質が前記中間部材を通じて前記アクチュエータエレメントに向かって通過するのを可能にするように共動すべく構成され、
前記アクチュエータエレメントは前記中間部材から到来する前記物質がディスペンサ端部部品(8;8’,9)に向かって流れるのを可能にする少なくとも1つの内部チャンネルを含んでいる、
ことを特徴とするディスペンサユニット。」

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記物質が前記アクチュエータエレメントに向かって通過するのを可能にするように」という事項を、「前記物質が前記中間部材を通じて前記アクチュエータエレメントに向かって通過するのを可能にするように」という事項とし、「前記中間部材を通じて」という限定を付加し、また、「前記アクチュエータエレメントは前記物質がディスペンサ端部部品(8;8’,9)に向かって流れるのを可能にする」という事項を、「前記アクチュエータエレメントは前記中間部材から到来する前記物質がディスペンサ端部部品(8;8’,9)に向かって流れるのを可能にする」という事項とし、「前記中間部材から到来する」という限定を付加したものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用した特開平11-59746号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の記載がある。

(1)「本発明は、上述の問題に鑑みて、2剤吐出容器において、クリーム状の染毛剤によるノズルの詰まりを解消することを目的とする。」(段落【0008】)

(2)「以下に本発明の実施例の2剤吐出容器1を図面と共に説明する。図1は、2剤吐出容器1を示す分解斜視図である。2剤吐出容器1は、図1に示すように、ステム18aを有するマウンテインカップ17aを上部に装着した第1エアゾール容器(以下、第1容器と記す)11と、ステム18bを有するマウンテインカップ17cを上部に装着した第2エアゾール容器(以下、第2容器と記す)13と、第1容器11及び第2容器13のマウンテインカップ17a及び17bを係止する連結部15と、ステム18a及び18bとを係合させるための挿通口37a及び37bが形成され、連結部15を上方から覆うようにして、連結部15に係合するカバー5と、カバー5の上からステム18a及び18bに脱着可能な係合部57a及び57bが形成されたノズル7と、を備えている。
次に、このように構成された2剤吐出容器の各構成要素をさらに詳しく説明する。ノズル7は、内面51aの中央部に仕切り板51bを有し、一面を欠いたように形成されたほぼ箱状のノズル基部51と、ノズル基部51の下面に形成され、ノズル基部51まで貫通する貫通口55a及び55bを有する前述の係合部57a及び57bと、オリフィス59及びノズル基部51の内面51aに嵌合する嵌合部53aを有し、オリフィス59内の中央部に仕切り板59aを形成されたノズル前部53と、を備えており、仕切り板59a及び51bによりノズル7内部は、完全に2室に隔てられ、第1容器11及び第2容器13からの後述する染毛剤同士がノズル7内部でお互いに干渉しないようになっている。
カバー5は、前述の挿通口37a及び37bが形成された上板31と、カバー5の前方に設けられたヒンジ41を介して形成された平板状のレバー33と、ノズル7をステム18a及び18bに結合させた際に、ノズル7のオリフィス59を露出させるための貫通口38と、を備えている。なお、レバー33には、その裏面に、ほぼ円錐形の突起33aが二つ形成されている。突起33aは、レバー33が押下された際に、レバー33に掛かる力をノズル7に効率よく伝わりやすくするものである。」(段落【0017】-【0019】)

(3)「次に、以上のように構成された本実施例の2剤吐出容器1の使用方法及び作用について説明する。まず、使用者は、図3(b)に示す状態で、レバー33を押し下げる。すると、レバー33が押し下げられた2剤吐出容器1は、レバー33の押下に従い、ノズル7がステム18a及び18bと共に下げられる。
次に、ステム18a及び18bは同時に下げられて、容器本体11a内の第1剤及び容器本体13a内の第2剤が噴射剤に押されて放出される。次に、第1剤及び第2剤は、貫通口55a及び55bを通過し、仕切り板59a及び51bにより隔てられたノズル基部51内を通過すると共に、ノズル前部53のオリフィス59から射出される。
使用者は、オリフィス59から射出されたクリーム状染毛剤をブラシなどで受け取り染毛に使用する。そして、上述のように2剤吐出容器1を使用後、放置しておくと、前述の成分の染毛剤両剤がノズル7内部で詰まりを起こす。
このようにノズル7内部で染毛剤が詰まったら、2剤吐出容器1のレバー33を、図1に示すように、カバー5前方に倒し、さらに、ノズル7をステム18a及び18bから取り外す。この際にノズル7は、ステム18a及び18bから上方に引き抜くだけで、取り外すことができる。そして、取り外したノズル7を水などで洗えばよい。
以上説明した2剤吐出容器1によれば、ノズル7がカバー5の上から挿通口37a及び37bを通してステム18a及び18bに係合されていることから、クリーム状の第1剤と第2剤とがノズル7内で詰まりを起こしても、ノズル7をステム18a及び18bから取り外して洗浄することで、第1剤及び第2剤の詰まりを解消することができる。また、2剤吐出容器1では、ノズル7内部に設けられた仕切り板59a及び51bにより、第1容器11及び第2容器13の染毛剤がノズル7内部でお互いに衝突せず、干渉しないことから、同時に同量排出させることができ、確実に期待する染毛効果を得ることができる。」(段落【0030】-【0034】)

(4)「また、2剤吐出容器の構成は、図6に示す2剤吐出容器71のような構成にしてもよい。2剤吐出容器71は、2剤吐出容器1と同一の第1容器11、第2容器13、及び、連結部15を備え、ステム18a及び18bに係合可能な係合口99a及び99bが形成されたノズル77と、ノズル77を押し下げるためのレバー79と、ノズル77を上方からステム18a及び18bに係合可能とする挿通口75a及びレバー79を支える支持部81を有するカバー75と、を備えている。
ノズル77は、下方の面を欠いたほぼ箱形に形成されたノズル基部91と、上記の係合口99a、99b及びノズル基部91の下方に嵌合する嵌合部97を有し、ノズル基部91の下方を封じる蓋95と、ノズル基部91の一側面から突出した円筒状のオリフィス93と、を備えている。また、ノズル基部91及びオリフィス93の内部には、内部を2室に隔てる仕切り板93aが形成されている。
レバー79は、T字の板状に形成され、その一端に二股部101が形成され、二股部101の先端には、支持部81に係合するための突起103が形成されている。カバー75は、上記の挿通口75a及び支持部81を有し、支持部81には、突起103に係合可能な凹部83が形成されている。凹部83は、入り口の幅が突起103の径よりも小さく、深部の幅が突起103の径とほぼ同一に形成されているので、突起103を係合可能にしている。
このように構成された2剤吐出容器71は、図7に示すように、レバー79を押し下げられると、ノズル77と同時にステム18a及び18bが押し下げられ、第1容器11及び第1容器13からクリーム状の染毛剤が放射され、ノズル77内を通って、オリフィス93から射出される。
そして、2剤吐出容器71が詰まったら、まず、レバー79を取り外す。次に、ノズル77をステム18a及び18bから取り外し、ノズル基部91から蓋95を外して、水などで洗浄すればよい。以上説明した2剤吐出容器71によれば、ノズル77がカバー75の上から挿通口75aを通してステム18a及び18bに係合されていることから、クリーム状の第1剤と第2剤とがノズル77内で詰まりを起こしても、ノズル77をステム18a及び18bから取り外して洗浄することで、上記の2剤吐出容器1と同様に第1剤及び第2剤の詰まりを解消することができる。
また、実施例の2剤吐出容器1では、第1容器11及び第2容器13が染毛剤を封入されたエアゾール容器であったが、特にエアゾール容器である必要はなく、例えば、ステムを押下することにより内部の圧力が上昇し、ステムから内容物を排出する、いわゆるポンプ式の容器などを備えていてもよい。」(段落【0047】-【0052】)

また、図1及び図3の記載内容、並びに、上記(3)の記載事項から、引用例の2つの染毛剤が、レバーの押下により別個の状態で同時に供給されることは、明らかである。
さらに、上記(3)の記載事項から、引用例のレバー及びノズルが、共動すべく構成されたものであることも、明らかである。

したがって、引用例には、次の発明(以下、「引用例発明」という。)が記載されている。

「カバーと、該カバーに対して移動可能であって2つの染毛剤が別個の状態で同時に供給されるようにするレバーとを有する2剤吐出容器であって、前記染毛剤はこれら染毛剤が別々に収容された第1容器及び第2容器から取り出され、各容器には、押圧された場合に前記染毛剤が供給されるようにするステムが設けられているような2剤吐出容器において、
前記2剤吐出容器は、前記レバーとは別体であって、前記各容器の前記2つのステム上に係合するのに適した2つの係合部を含むようなノズルを含み、
前記レバー及びノズルは、少なくとも前記レバーが駆動されている間には、前記容器から到来する前記染毛剤が前記ノズルを通じて吐出するように共動すべく構成された2剤吐出容器。」

3.対比
本願補正発明と上記引用例発明とを対比する。

引用例発明の「カバー」は、本願補正発明の「本体」に相当し、以下同様に、「染毛剤」は「物質」に、「レバー」は「アクチュエータエレメント」に、「2剤吐出容器」は「ディスペンサユニット」に、「第1容器及び第2容器」は「2つの容器」に、「ステム」は「中空アクチュエータロッドを含むポンプ又は弁」及び「中空アクチュエータロッド」に、「係合部」は「フード」に、「ノズル」は「中間部材」に相当する。

したがって、両者は、

「本体と、該本体に対して移動可能であって2つの物質が混合された又は別個の状態で同時に供給されるようにするアクチュエータエレメントとを有するディスペンサユニットであって、前記物質はこれら物質が別々に収容された2つの容器から取り出され、各容器には、押圧された場合に前記物質が供給されるようにする中空アクチュエータロッドを含むポンプ又は弁が設けられているようなディスペンサユニットにおいて、
前記ディスペンサユニットは、前記アクチュエータエレメントとは別体であって、前記各容器の前記2つのアクチュエータロッド上に係合するのに適した2つのフードを含むような中間部材を含み、
前記アクチュエータエレメント及び前記中間部材は、少なくとも前記アクチュエータエレメントが駆動されている間には、前記容器から到来する前記物質が前記中間部材を通ずるのを可能にするように共動すべく構成された、ディスペンサユニット。」

の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
本願補正発明では、「アクチュエータエレメント」は「少なくとも1つの内部チャンネルを含んで」おり、中間部材から到来する物質が、アクチュエータエレメントに向かって通過するのを可能にし、また、ディスペンサ端部部品に向かって流れるのを可能にしているのに対し、引用例発明では、レバーに内部チャンネルが設けられておらず、また、ディスペンサ端部部品が設けられていない点。

4.判断
2つの物質を同時に供給するディスペンサユニットにおいて、アクチュエータエレメントに少なくとも1つの内部通路(内部チャンネル)を設け、また、ディスペンサ端部部品を設けることは、当業者にとって従来周知の技術的事項である。(例えば、特開平10-85031号公報、実用新案登録第3033034号公報、特開平10-157781号公報、特開平11-342983号公報を参照。)
そして、上記周知の技術的事項を採用すれば、当然、中間部材から到来する物質が、アクチュエータエレメントに向かって通過するのを可能にし、また、ディスペンサ端部部品に向かって流れるのを可能にするものとなる。

したがって、引用例発明において、レバーに内部通路(内部チャンネル)を設け、また、ディスペンサ端部部品を設けて、上記相違点に係る本願補正発明の構成を採用することは、周知の技術的事項に基づき当業者が容易に想到し得たことである。

しかも、本願補正発明の作用効果は、引用例発明及び上記周知の技術的事項から当業者が予測できた範囲内のものである。

したがって、本願補正発明は、引用例発明及び周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5.むすび
本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するものであり、平成18年改正前特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「本体(5;5’)と、該本体に対して移動可能であって2つの物質が混合された又は別個の状態で同時に供給されるようにするアクチュエータエレメント(6)とを有するディスペンサユニット(2)であって、前記物質はこれら物質が別々に収容された2つの容器(3;4)から取り出され、各容器には、押圧された場合に前記物質が供給されるようにする中空アクチュエータロッド(15)を含むポンプ又は弁が設けられているようなディスペンサユニットにおいて、
前記ディスペンサユニットは、前記アクチュエータエレメントとは別体であって、前記各容器の前記2つのアクチュエータロッド上に係合するのに適した2つのフード(49)を含むような中間部材(10;10’)を含み、
前記アクチュエータエレメント(6)及び前記中間部材(10;10’)は、少なくとも前記アクチュエータエレメントが駆動されている間には、前記容器から到来する前記物質が前記アクチュエータエレメントに向かって通過するのを可能にするように共動すべく構成され、
前記アクチュエータエレメントは前記物質がディスペンサ端部部品(8;8’,9)に向かって流れるのを可能にする少なくとも1つの内部チャンネルを含んでいる、
ことを特徴とするディスペンサユニット。」

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用した引用例及びその記載事項は、上記「第2 2.」に記載したとおりである。

3.対比
本願発明と上記引用例発明とを対比する。

引用例発明の「カバー」は、本願発明の「本体」に相当し、以下同様に、「染毛剤」は「物質」に、「レバー」は「アクチュエータエレメント」に、「2剤吐出容器」は「ディスペンサユニット」に、「第1容器及び第2容器」は「2つの容器」に、「ステム」は「中空アクチュエータロッドを含むポンプ又は弁」及び「中空アクチュエータロッド」に、「係合部」は「フード」に、「ノズル」は「中間部材」に相当する。

したがって、両者は、

「本体と、該本体に対して移動可能であって2つの物質が混合された又は別個の状態で同時に供給されるようにするアクチュエータエレメントとを有するディスペンサユニットであって、前記物質はこれら物質が別々に収容された2つの容器から取り出され、各容器には、押圧された場合に前記物質が供給されるようにする中空アクチュエータロッドを含むポンプ又は弁が設けられているようなディスペンサユニットにおいて、
前記ディスペンサユニットは、前記アクチュエータエレメントとは別体であって、前記各容器の前記2つのアクチュエータロッド上に係合するのに適した2つのフードを含むような中間部材を含み、
前記アクチュエータエレメント及び前記中間部材は、少なくとも前記アクチュエータエレメントが駆動されている間には、共動すべく構成された、ディスペンサユニット。」

の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
本願発明では、「アクチュエータエレメント」は「少なくとも1つの内部チャンネルを含んで」おり、容器から到来する物質が、アクチュエータエレメントに向かって通過するのを可能にし、また、ディスペンサ端部部品に向かって流れるのを可能にしているのに対し、引用例発明では、レバーに内部チャンネルが設けられておらず、また、ディスペンサ端部部品が設けられていない点。

4.判断
2つの物質を同時に供給するディスペンサユニットにおいて、アクチュエータエレメントに少なくとも1つの内部通路(内部チャンネル)を設け、また、ディスペンサ端部部品を設けることは、当業者にとって従来周知の技術的事項(例えば、特開平10-85031号公報、実用新案登録第3033034号公報、特開平10-157781号公報、特開平11-342983号公報を参照。)である。
そして、アクチュエータエレメントに少なくとも1つの内部通路を設けたものを採用すること、また、ディスペンサ端部部品を設けることは、当業者が必要に応じて適宜なすべき設計的事項にすぎない。
また、上記周知の技術的事項を採用すれば、当然、容器から到来する物質が、アクチュエータエレメントに向かって通過するのを可能にし、また、ディスペンサ端部部品に向かって流れるのを可能にするものとなる。

したがって、引用例発明において、レバーに内部チャンネルを設け、また、ディスペンサ端部部品を設けて、上記相違点に係る本願発明の構成を採用することは、周知の技術的事項に基づき当業者が容易に想到し得たことである。

しかも、本願発明の作用効果は、引用例発明及び上記周知の技術的事項から当業者が予測できた範囲内のものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例発明及び周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-25 
結審通知日 2008-07-29 
審決日 2008-08-18 
出願番号 特願2001-355362(P2001-355362)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A45D)
P 1 8・ 575- Z (A45D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金丸 治之  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 関口 哲生
清水 富夫
発明の名称 2つの物質をその場で供給するためのディスペンサユニット  
代理人 細田 益稔  

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