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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61M 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61M |
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管理番号 | 1190287 |
審判番号 | 不服2006-17923 |
総通号数 | 110 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-02-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-08-17 |
確定日 | 2009-01-05 |
事件の表示 | 特願2003-170915号「入れ墨消去装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年12月 2日出願公開、特開2003-339875号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年4月13日に出願した特願2000-112181号の一部を平成15年6月16日に新たな特許出願としたものであって、平成18年7月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年9月15日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成18年9月15日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成18年9月15日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 平成18年9月15日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、 「モータと、該モータの出力軸の回転運動を往復運動に変換する運動変換手段と、該運動変換手段に連結されたロッドと、該ロッドに該ロッドの円運動が伝達可能に連結されたオープンラウンドニードルと、生体皮膚内で入れ墨消去作用を有する物質を貯留する貯留部と、を備えた入れ墨消去装置であって、 前記オープンラウンドニードルは、複数の針と、該複数の針が固結される固結部と、を備え、 前記複数の針は、該針の中心の延長線が、互いに少なくとも交差しない範囲の角度で配置され、かつ互いに前記針の1本分以上の間隔をおいて固結され、 前記運動変換手段は、モータの出力軸を中心に回転する第一円盤と、該第一円盤に軸支されモータの出力軸を中心に公転すると共に自転する第二円盤とを有し、 前記運動変換手段の前記第二円盤の側面に固定された前記ロッドと前記オープンラウンドニードルを内部に配置すると共に端部に向かって細くなる略円筒体からなるノズルを有し、該ノズルの端部をガイドとして前記ロッドに連結された複数の針からなるオープンラウンドニードルを往復運動させることを特徴とする入れ墨消去装置。」(下線部は補正前の請求項1に対する補正箇所を示す。) と補正された。 本件補正は、補正前の請求項1を削除して補正前の請求項2を新たな請求項1とするとともに、補正前の「ロッドに連結」を「ロッドに該ロッドの円運動が伝達可能に連結」と限定し、また、補正前の「モータの出力軸を中心に公転する第二円盤」を「モータの出力軸を中心に公転すると共に自転する第二円盤」と限定し、また、補正前の「第二円盤に固定された前記ロッド」を「第二円盤の側面に固定された前記ロッド」と限定し、さらに、補正前の「ロッドに連結されたオープンラウンドニードルを往復運動させる」を「前記オープンラウンドニードルを内部に配置すると共に端部に向かって細くなる略円筒体からなるノズルを有し、該ノズルの端部をガイドとして前記ロッドに連結された複数の針からなるオープンラウンドニードルを往復運動させる」と限定するものであり、補正前の請求項2に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反しないか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である実願昭63-28794号(実開平1-131428号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (a)「第1図ないし第4図は本考案に係る電動入れ墨機の実施例を示し・・・(中略)・・・図において電動入れ墨機はABS樹脂等のプラスチック材により成形されたケース1を備えており、このケース1は、一端に開口部を有する断面馬蹄形の筒状に形成された大径筒状部12と、その反開口端に連続する小径筒状部11とで一体成形されている。大径筒状部12内には、互いに電気接続されたモータ2と充電電池4とが固定されて収納されており、ケース1の開口部は、この開口部に凸縁301を嵌合させた着脱自在な蓋体3によって閉塞されている。また小径筒状部11の先端ねじ部13には、筒状に形成された連結管8のねじ孔が螺合されており、これにより小径筒状部11と連結管8とは着脱自在に連結されている。さらに連結管8の先端ねじ部には、先細りの筒状に形成されたキャップ9のねじ孔が螺合されており、これによって連結管8とキャップ9とは着脱自在に連結されている。 21は中心孔と偏心孔とを有する偏心輪であって、中心孔をモータ2のモータ軸に固定されており、偏心孔にはコネクティングロッド5がピン211で枢着されている。小径筒状部11の内孔には棒状に形成されたロッド6が進退自在に嵌合されており、モータ軸の回転は、偏心輪21とコネクティングロッド5とからなる伝達機構により進退動に変換されてロッド6に伝達されている。ロッド5の先端部には、スリットにより半割りされたねじ部61が形成されていて、このねじ部61には、固定ねじ7が螺合されており、針14は、これをねじ部61のスリットに挿入して固定ねじ7を締めることによりロッド6に着脱自在に固定されて装着されている。染料注入孔91を備えたキャップ9内には、この注入孔91から注入される入れ墨用の染料が含浸された染料含浸材としての綿花15が充填されており、針14は連結管8と綿花15とを貫通してキャップ9の先端から突出するように構成されている。」(明細書第4ページ第12行?第6ページ第10行) (b)「押ボタンスイッチ16を入れると、充電されている充電電池4によりモータ2が回転するので、そのモータ軸に固定された偏心リング21が回転し、その偏心部に枢着されたコネクティングロッド5を介してロッド6が進退動する。したがってロッド6に固定ねじ7で固定された針14が、キャップ9から間欠的に突出して皮膚を刺すと同時に、綿花15に含浸された墨が針14の刺し跡である皮下組織に浸透して入れ墨状の眉が描かれる。」(明細書第7ページ第1?10行) (c)上記記載事項(b)の「コネクティングロッド5を介してロッド6が進退動する」こと、及び第1、2図に図示されたコネクティングロッド5とロッド6からみてロッド6は伝達機構を構成するコネクティングロッド6に連結されていることは明らかである。 (d)上記記載事項(a)の「21は中心孔と偏心孔とを有する偏心輪であって、中心孔をモータ2のモータ軸に固定されており、偏心孔にはコネクティングロッド5がピン211で枢着されている」ことからみて、コネクティングロッド5は、モータ2が回転するとモータ軸を中心に公転すると共にピン211を中心に回転することは明らかである。 (e)第3図には、小径筒部11、連結管8及びキャップ9が連結された部分の全体形状が端部に向かって細くなる略円筒体となっていることが図示されている。 (f)第2図には、針14は連結管8及びキャップ9の内部に配置されることが図示されており、上記記載事項(b)の「針14が、キャップ9から間欠的に突出して皮膚を刺す」こと及び第2図に図示されたキャップ9の端部の形状からみて、針14はキャップ9の端部をガイドとして間欠的に突出していることは明らかである。 上記記載事項及び図示内容を総合すると、引用例には、 「モータ2と、該モータ2のモータ軸の回転を進退動に変換する伝達機構と、該伝達機構に連結されたロッド6と、該ロッド6に装着された針14と、入れ墨用の染料が含浸された染料含浸剤としての綿花15と、を備えた電動入れ墨機であって、 前記伝達機構は、モータ2のモータ軸が中心孔に固定されていてモータ2が回転すると回転する偏心輪21と、該偏心輪21の偏心孔にピン211で枢着されモータ軸を中心に公転すると共にピン211を中心に回転するコネクティングロッド5とを有し、 前記伝達機構の前記コネクティングロッド5に連結された前記ロッド6を内孔に進退自在に嵌合する小径筒状部11を有し、小径筒状部11、連結管8及びキャップ9が連結された部分の全体形状が端部に向かって細くなる略円筒体となり、前記針14は前記連結管8及びキャップ9の内部に配置され、前記キャップ9の端部をガイドとして前記ロッド6に装着された前記針14を間欠的に突出させる電動入れ墨機。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (3)対比・判断 本願補正発明と引用発明とを対比すると、後者の「モータ2」は、その機能・構造からみて前者の「モータ」に相当し、以下同様に「モータ軸」は「出力軸」に、「回転」は「回転運動」に、「進退動」は「往復運動」に、「伝達機構」は「運動変換手段」に、「ロッド6」は「ロッド」に、「偏心輪21」は「第一円盤」に、「モータ2のモータ軸が中心孔に固定されていてモータ2が回転すると回転する偏心輪21」は「モータの出力軸を中心に回転する第一円盤」に、「該偏心輪21の偏心孔にピン211で枢着されモータ軸を中心に公転すると共にピン211を中心に回転する」は「該第一円盤に軸支されモータの出力軸を中心に公転すると共に自転する」に、「ロッド6を内孔に進退自在に嵌合する」は「ロッド」「を内部に配置する」に、「間欠的に突出させる」は「往復運動させる」に、それぞれ相当する。 また、後者の「針14」と前者の「オープンラウンドニードル」とは「ニードル」である点で共通しており、後者の「ロッド6に装着された針14」と前者の「ロッドに該ロッドの円運動が伝達可能に連結されたオープンラウンドニードル」とは「ロッドに該ロッドの運動が伝達可能に連結されたニードル」である点で共通し、後者の「ロッド6に装着された前記針14」と前者の「ロッドに連結された複数の針からなるオープンラウンドニードル」とは「ロッドに連結されたニードル」である点で共通している。 また、後者の「入れ墨用の染料が含浸された染料含浸剤としての綿花15」と前者の「生体皮膚内で入れ墨消去作用を有する物質を貯留する貯留部」とは「生体皮膚内に入れるための物質を貯留する貯留部」である点で共通し、後者の「電動入れ墨機」と前者の「入れ墨消去装置」とは「生体皮膚内に物質を入れる装置」である点で共通している。 また、後者の「コネクティングロッド5」と前者の「第二円盤」とは「回転する部材」である点で共通し、後者の「コネクティングロッド5に連結された前記ロッド6」と前者の「第二円盤の側面に固定された前記ロッド」とは「回転する部材に連結された前記ロッド」である点で共通している。 また、後者の「小径筒状部11、連結管8及びキャップ9が連結された部分」は全体形状が端部に向かって細くなる略円筒体となるのであるから、前者の「端部に向かって細くなる略円筒体からなるノズル」に相当し、「キャップ9の端部」は「ノズルの端部」に相当する。 したがって、両者は、 「モータと、該モータの出力軸の回転運動を往復運動に変換する運動変換手段と、該運動変換手段に連結されたロッドと、該ロッドに該ロッドの運動が伝達可能に連結されたニードルと、生体皮膚内に入れるための物質を貯留する貯留部と、を備えた生体皮膚内に物質を入れる装置であって、 前記運動変換手段は、モータの出力軸を中心に回転する第一円盤と、該第一円盤に軸支されモータの出力軸を中心に公転すると共に自転する回転する部材とを有し、 前記運動変換手段の前記回転する部材に連結された前記ロッドと前記ニードルを内部に配置すると共に端部に向かって細くなる略円筒体からなるノズルを有し、該ノズルの端部をガイドとして前記ロッドに連結されたニードルを往復運動させる生体皮膚内に物質を入れる装置。」 の点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1) ニードルが、本願補正発明では、ロッドに該ロッドの円運動が伝達可能に連結されたオープンラウンドニードルであり、オープンラウンドニードルは、複数の針と、該複数の針が固結される固結部と、を備え、複数の針は、該針の中心の延長線が、互いに少なくとも交差しない範囲の角度で配置され、かつ互いに前記針の1本分以上の間隔をおいて固結されているのに対し、引用発明では、ニードルが1本の針14であり、ニードルに伝達されるロッド6の運動が円運動であるか否かが明らかでない点。 (相違点2) 生体皮膚内に入れるための物質が、本願補正発明では、生体皮膚内で入れ墨消去作用を有する物質であるのに対し、引用発明では、入れ墨用の染料である点。 (相違点3) 本願補正発明では、回転する部材が第二円盤であり、ロッドが第二円盤の側面に固定されるのに対し、引用発明では、回転する部材がコネクティングロッド5であり、ロッド6が固定されているのが側面であるか否かが明らかでない点。 そこで、上記相違点について検討する。 まず、相違点1について検討する。 複数の針と該複数の針が固結される固結部を備える入れ墨等の生体皮膚内に物質を入れるための針は、例えば米国特許第5810862号明細書(第2欄第23行?35行の記載、needle bar16、needles17参照)、米国特許第6030404号明細書(第2欄第7行?15行の記載、base portion15,22、needles9参照)、及び英国特許出願公開第1154388号明細書(tattooing head1、tattoing needles2参照)等に記載されているように周知技術であり、該周知の針を引用発明の針として採用することは当業者が適宜なし得る程度のことであって、これを阻害する格別の要因も見当たらない。 また、複数の針をそれぞれ平行に、間隔をおいて設けることは、例えば上記の英国特許出願公開第1154388号明細書(第3ページ第65?83行の記載、第2図及び第3図参照)に記載の如く周知技術であり、その間隔を「針の1本分以上の間隔」とすることや全体形状を丸形とすることは、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項にすぎない。また、引用発明ではロッド6とコネクティングロッド5との連結がどのように連結されているかが必ずしも明確でないが、コネクティングロッド5は公転して円運動をするものであるから、連結されるロッド6がコネクティングロッド5の円運動に追従するように連結する程度のことは当業者が適宜なし得ることである。そして、ロッド6がコネクティングロッド5の円運動に追従して円運動すれば、ロッド6に装着されたニードルに円運動が伝達されることとなるのは自明のことである。したがって、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。 次に相違点2について検討する。 皮膚組織に沈着した色素を消去する作用のある物質は特開平9-266955号公報(段落【0002】参照)にも記載されているように周知技術であり、入れ墨による色素を消去したい場合に該周知の物質を生体皮膚内に入れるようにすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。 次に相違点3について検討する。 軸を中心に回転する部材の形状として円盤状の形状は普通に用いられている形状にすぎず、必要に応じて、回転する部材である引用発明のコネクティングロッド5の形状を円盤状とすることは当業者が適宜なし得る程度の設計的事項にすぎない。また、ロッド6が連結される位置を円盤状の形状の上面や側面の中からどの面に連結するかは両者の配置関係により適宜決定し得る設計的事項にすぎない。したがって、上記相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。 また、本願補正発明による効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。 よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 なお、請求人は請求の理由において「本願発明では、『該ロッドに該ロッドの円運動が伝達可能に連結されたオープンラウンドニードル』を備えると共に、『ノズルの端部をガイドとして前記ロッドに連結された複数の針からなるオープンラウンドニードルを往復運動させる』ため、ロッドの円運動全体、すなわち長さ方向だけでなく径方向の運動もオープンラウンドニードルのロッド側の端部に伝達されることとなる。その結果、本願発明に係る入れ墨消去装置は、オープンラウンドニードルのロッド側の端部に円運動が伝達されるので、モータ出力軸とオープンラウンドニードルの先端とを結ぶ線に対して所定角度をもって皮膚内に入り、入った角度に対して出る角度も一定の角度として出て往復運動を行い、えぐるような動作を行うことが可能となり、『高速で着実に入れ墨を消去することが可能となる』という引用文献2にはない本願発明特有の効果を得ることが可能となるのである。」(平成18年9月15日付け手続補正書第5頁参照)と主張しているが、本願の発明の詳細な説明の段落【0029】には、「本例のノズル3の端部3aは、ノズル3内部に配置されるオープンラウンドニードル21を、直線方向のみに運動させるためのガイドとしての役割を果たすものである。」と、オープンラウンドニードルはノズルの端部でガイドされて直線方向のみに運動させられることが記載されており、また、段落【0034】には、「オープンラウンドニードル21は、ノズル3内部に配置されるため、ノズルの端部3aにより、ノズル3の径方向に運動することが阻止される。したがって、オープンラウンドニードル21は、ニードル21の方向(図6、図9のCC'方向)に往復運動する。」と、オープンラウンドニードルはノズルの端部により径方向に運動することが阻止されることが記載されると共に、図9にはCC'方向は直線方向として図示されているのであるから、これらの本願の発明の詳細な説明の記載事項及び図示内容を参酌すると、請求人の主張するような「モータ出力軸とオープンラウンドニードルの先端とを結ぶ線に対して所定角度をもって皮膚内に入り、入った角度に対して出る角度も一定の角度として出て往復運動を行い、えぐるような動作を行うこと」が明細書に記載されているとは認められないから、請求人の上記主張は明細書の記載に基く主張とは認められず採用することはできない。 (4)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成18年6月12日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 モータと、該モータの出力軸の回転運動を往復運動に変換する運動変換手段と、該運動変換手段に連結されたロッドと、該ロッドに連結されたオープンラウンドニードルと、生体皮膚内で入れ墨消去作用を有する物質を貯留する貯留部と、を備えた入れ墨消去装置であって、 前記オープンラウンドニードルは、複数の針と、該複数の針が固結される固結部と、を備え、 前記複数の針は、該針の中心の延長線が、互いに少なくとも交差しない範囲の角度で配置され、かつ互いに前記針の1本分以上の間隔をおいて固結され、前記運動変換手段は、前記ロッドを前記モータの出力軸側で出力軸を中心に円運動をさせると共に、ロッドに連結されたオープンラウンドニードルを往復運動させることを特徴とする入れ墨消去装置。 【請求項2】 前記運動変換手段は、モータの出力軸を中心に回転する第一円盤と、該第一円盤に軸支され、モータの出力軸を中心に公転する第二円盤と、該第二円盤に固定された前記ロッドを備え、前記第二円盤の円運動により前記ロッドを前記モータの出力軸側で出力軸を中心に円運動をさせると共に、ロッドに連結されたオープンラウンドニードルを往復運動させることを特徴とする請求項1記載の入れ墨消去装置。」 4.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。 5.対比・判断 本願発明は、前記「2.(1)」で検討した本願補正発明の「ロッドに該ロッドの円運動が伝達可能に連結」から「該ロッドの円運動が伝達可能に」との限定を省き、また、「モータの出力軸を中心に公転すると共に自転する第二円盤」から「と共に自転する」との限定を省き、「第二円盤の側面に固定された前記ロッド」から「の側面」との限定を省き、さらに、「前記オープンラウンドニードルを内部に配置すると共に端部に向かって細くなる略円筒体からなるノズルを有し、該ノズルの端部をガイドとして前記ロッドに連結された複数の針からなるオープンラウンドニードルを往復運動させる」から「前記オープンラウンドニードルを内部に配置すると共に端部に向かって細くなる略円筒体からなるノズルを有し、該ノズルの端部をガイドとして」及び「複数の針からなる」との限定を省くものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」で検討したように、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-10-21 |
結審通知日 | 2008-10-28 |
審決日 | 2008-11-10 |
出願番号 | 特願2003-170915(P2003-170915) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A61M)
P 1 8・ 121- Z (A61M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中田 誠二郎 |
特許庁審判長 |
北川 清伸 |
特許庁審判官 |
八木 誠 蓮井 雅之 |
発明の名称 | 入れ墨消去装置 |
代理人 | 秋山 敦 |