• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1191539
審判番号 不服2006-4491  
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-09 
確定日 2009-01-19 
事件の表示 特願2001-513948「装着装置のベルトコンベヤにおける露出装置及び露出装置の使用下での装着のための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年2月8日国際公開、WO01/10183、平成15年10月7日国内公表、特表2003-529916〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年7月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1999年7月29日,ドイツ国)を国際出願日とする出願であって、平成17年12月2日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成18年3月9日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同年4月10日付けで手続補正書が提出され、平成19年12月27日付けで平成18年4月10日付け手続補正書による手続補正が却下されるとともに、当審より拒絶の理由が通知され、平成20年7月4日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2.本願発明
本願に係る発明は、平成20年7月4日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?8に記載されたとおりのものである。そのうちの請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「装着装置のための露出装置を備えたベルトコンベヤであって、この場合に装着装置内で、装着部材の載せられた搬送ベルト(2)がフレキシブルなカバー(4)を備えており、該フレキシブルなカバーによって装着部材が搬送ベルト(2)の第1の長手方向区分に沿って前記フレキシブルなカバー(4)の除去位置まで被われており、装着装置が、搬送ベルト(2)に沿って移動可能で装着部材の取り出しのための取り出し装置(1)を有しており、ベルトコンベヤの露出装置が剛性のカバー(5)を備えており、該剛性のカバーによって、搬送ベルト(2)の、直接に前記除去位置に接続する取り出し区分に沿って所定の複数の装着部材が被われており、前記剛性のカバー(5)が搬送ベルト(2)に対して長手方向に、前記所定の複数の装着部材に対応する距離にわたって移動させられ、これによって前記距離内で前記取り出し区分の前記所定の複数の装着部材を順次に露出させるようになっていることを特徴とする、装着装置のための露出装置を備えたベルトコンベヤ。」

3.当審拒絶理由の概要
当審より通知された拒絶の理由の概要は、次のとおりのものである。

本願請求項1?9に係る発明は、その出願前頒布された下記刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



刊行物1:特開平6-239522号公報

4.引用刊行物とその記載事項
当審より通知された拒絶の理由で引用された刊行物1には、次の事項が記載されている。

(1)刊行物1:特開平6-239522号公報
(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】上方に開口した部品収納部を所定間隔おきに多数有するテープ本体の上面にカバーテープを接着したテープを装備し、このテープをテープ案内部に沿って所定量ずつ移動させる繰り出し機構を設けるとともに、上記テープ案内部の上方の部品取り出し箇所よりもテープ繰り出し方向後方側に、上記テープ本体から引き剥がされたカバーテープを折返し状に屈曲させて上方へ導く折返し支持部を設け、かつ、このカバーテープを引き取るカバーテープ引取機構を備えたテープフィーダーにおいて、上記折返し支持部の前方に、上記繰り出し機構の作動に応じて前後に移動する可動部材を設け、この可動部材に、この可動部材が後退したときに上記折返し支持部の下側に突入する板状のテープ剥離部を設けたことを特徴とするテープフィーダー。
【請求項2】上記可動部材を、上記繰り出し機構の作動に応じた前後方向の移動に伴って上記部品取出し箇所のテープ上方を開閉するシャッター部材により構成したことを特徴とする請求項1記載のテープフィーダー。」

(1b)「【0015】上記リール4から導出されたテープ5は、ガイドローラ9A,9Bを介してフィーダープレート2の前部に導かれる。そして、このフィーダープレート2の前部において、テープ本体5aからカバーテープ5bが引き剥がされた後、実装機のヘッドユニット11に装備された部品吸着用のノズル部材12により、上記部品収納部5c内のチップ部品8が吸着されて取り出されるようになっている。なお、上記ヘッドユニット11は、実装機においてテープフィーダーが配置される部品供給部とプリント基板配置箇所とにわたって移動可能とされ、このヘッドユニット11に対してノズル部材12が昇降可能とされており、サーボモータ等の駆動機構によりヘッドユニット11の移動およびノズル部材12の昇降等が行われるようになっている。また、上記ヘッドユニット11には、ノズル部材12の昇降に伴って上下動するレバー作動部材13が設けられている。」

(1c)「【0021】上記取付部33はフレーム部材17の側辺部上面とカバー板34とに間に挾み込まれてこれらにボルト35で結合されており、この取付部33のボルト挿通部分に長穴(図示せず)が形成されていることにより、フレーム部材17に対してシャッター部材30が前後に一定範囲だけ移動可能となっている。また、上記ラチェット22の入力側に設けられた係合部36が上記取付部33に係合することにより、繰り出し機構20の作動に連動してシャッター部材30が前後に移動するようになっている。そして、前進位置では上記シャッター板32の前部が部品取出し箇所Pのテープ上方を閉鎖し、後退位置では、部品取出し箇所Pのテープ上方を開放するとともに、シャッター板32の後部のテープ剥離部31が、上記折返し支持部25の下側に突入するように構成されている。」

(1d)「【0025】部品取出し動作の開始前は、図4(a)に示すように、シャッター部材30が所定の前進位置にあって、そのシャッター板32により部品取出し箇所Pにおけるテープ5の上方が閉鎖され、不測に部品収納部5cからチップ部品8が飛び出すことが防止される。またこのときに、シャッター板32の後部のテープ剥離部31は上記折返し支持部25の前端の近傍にある。
【0026】この状態から部品取出しのためにノズル部材12が下降すると、それに応じたレバー24の動きがシャッター部材30に伝えられることにより、図4(a)に示すように、シャッター部材30が後方位置へ移動する。これにより、部品取出し箇所Pにおけるテープ5の上方が開放されて、この位置にある部品収納部5cからの部品の取出しが可能となる。これと同時に、部品取出し箇所Pの後方において、シャッター板32の後部のテープ剥離部31が、上記折返し支持部25の下側に突入し、カバーテープ5bとテープ本体5aとの間に入り込んで、所定量だけカバーテープ5bを剥がす作用を果たす。
【0027】その後、部品取出しの終了に伴い、図4(c)に示すように、テープ5が所定量だけ前方に繰り出されるとともに、シャッター部材30が前進位置に戻される。また、テープ本体5aから剥がされたカバーテープ5bが、前記引取り機構27の作動により折返し支持部25を経て引出される。この場合に、カバーテープ5bは既に図4(b)の段階でテープ繰り出し量に見合う分だけ剥がされているため、カバーテープ5bに作用する張力は引取りのための力だけでよく、テープ本体5aからカバーテープ5bを引き剥がすための力は不必要となる。従って、テープ5の繰り出しに対する抵抗となる力が除去され、テープ5の繰り出しがスムーズに行われることとなる。」

5.当審の判断
(1)引用発明
当審より通知された拒絶の理由において引用された刊行物1の上記(1a)に記載された「テープフィーダー」は、(1b)の「そして、このフィーダープレート2の前部において、テープ本体5aからカバーテープ5bが引き剥がされた後、実装機のヘッドユニット11に装備された部品吸着用のノズル部材12により、上記部品収納部5c内のチップ部品8が吸着されて取り出されるようになっている。なお、上記ヘッドユニット11は、実装機においてテープフィーダーが配置される部品供給部とプリント基板配置箇所とにわたって移動可能とされ、」という記載によれば、実装機(すなわち、装着装置)のためのテープ本体(すなわち、搬送ベルト)からカバーテープ(すなわち、フレキシブルなカバー)が引き剥がされ、すなわち部品収納部内のチップ部品(すなわち、装着部材)が露出されるから、露出装置を備えているといえるし、装着装置が、チップ部品の取り出しのための部品吸着用のノズル部材(すなわち、取り出し装置)を有しているといえる。
してみると、刊行物1に記載の「テープフィーダー」は、本願発明の「装着装置のための露出装置を備えたベルトコンベヤ」に相当するものといえる。
また、この「装着装置のための露出装置を備えたベルトコンベヤ」は、(1a)の「【請求項1】上方に開口した部品収納部を所定間隔おきに多数有するテープ本体の上面にカバーテープを接着したテープを装備し、・・・この可動部材に、この可動部材が後退したときに上記折返し支持部の下側に突入する板状のテープ剥離部を設けた・・・【請求項2】部品取出し箇所のテープ上方を開閉するシャッター部材により構成した」という記載によれば、装着装置内で、装着部材の載せられたテープ本体(搬送ベルト)がカバーテープ(フレキシブルなカバー)を備えており、該フレキシブルなカバーによって装着部材が搬送ベルトの第1の長手方向区分に沿ってテープ剥離部の後退位置(言い換えれば、フレキシブルなカバーの除去位置)まで被われており、ベルトコンベヤの露出装置がシャッター部材(すなわち、剛性のカバー)を備えているといえる。
更に、この「テープフィーダー」は、(1c)の「フレーム部材17に対してシャッター部材30が前後に一定範囲だけ移動可能となっている。・・・繰り出し機構20の作動に連動してシャッター部材30が前後に移動するようになっている。そして、前進位置では上記シャッター板32の前部が部品取出し箇所Pのテープ上方を閉鎖し、後退位置では、部品取出し箇所Pのテープ上方を開放するとともに、シャッター板32の後部のテープ剥離部31が、上記折返し支持部25の下側に突入するように構成されている。」という記載によれば、シャッター部材が前後に一定範囲だけ移動可能となっており、その前進位置ではシャッター板の前部が部品取出し箇所のテープ上方を閉鎖し、その後退位置では、部品取出し箇所のテープ上方を開放するとともに、シャッター板の後部のテープ剥離部が、上記折返し支持部の下側に突入するように構成されているから、シャッター板(すなわち、剛性のカバー)によって、搬送ベルトの、直接に前記除去位置に接続する取り出し区分に沿って、所定の装着部材が被われており、前記剛性のカバーが搬送ベルトに対して長手方向に、一定範囲、すなわち一定距離移動させられ、これによって前記距離内で前記取り出し区分の装着部材を順次に露出させるようになっているといえる。そして、図4(a)?(c)における複数の装着部材がシャッター部材に被われている図示によれば、剛性のカバーによって、搬送ベルトの、直接に前記除去位置に接続する取り出し区分に沿って所定の複数の装着部材が被われており、前記剛性のカバーが搬送ベルトに対して長手方向に、一定距離移動させられ、これによって前記距離内で前記取り出し区分の前記所定の複数の装着部材を順次に露出させるようになっているといえる。

以上の記載事項及び記載事項より認定した事項を、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次のとおりの発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「装着装置のための露出装置を備えたベルトコンベヤであって、この場合に装着装置内で、装着部材の載せられた搬送ベルトがフレキシブルなカバーを備えており、該フレキシブルなカバーによって装着部材が搬送ベルトの第1の長手方向区分に沿って前記フレキシブルなカバーの除去位置まで被われており、装着装置が、装着部材の取り出しのための取り出し装置を有しており、ベルトコンベヤの露出装置が剛性のカバーを備えており、該剛性のカバーによって、搬送ベルトの、直接に前記除去位置に接続する取り出し区分に沿って所定の複数の装着部材が被われており、前記剛性のカバーが搬送ベルトに対して長手方向に、一定距離移動させられ、これによって前記距離内で前記取り出し区分の前記所定の複数の装着部材を順次に露出させるようになっている、装着装置のための露出装置を備えたベルトコンベヤ。」

(2)本願発明と引用発明との対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は、
「装着装置のための露出装置を備えたベルトコンベヤであって、この場合に装着装置内で、装着部材の載せられた搬送ベルト(2)がフレキシブルなカバー(4)を備えており、該フレキシブルなカバーによって装着部材が搬送ベルト(2)の第1の長手方向区分に沿って前記フレキシブルなカバー(4)の除去位置まで被われており、装着装置が、装着部材の取り出しのための取り出し装置(1)を有しており、ベルトコンベヤの露出装置が剛性のカバー(5)を備えており、該剛性のカバーによって、搬送ベルト(2)の、直接に前記除去位置に接続する取り出し区分に沿って所定の複数の装着部材が被われており、前記剛性のカバー(5)が搬送ベルト(2)に対して長手方向に、一定距離移動させられ、これによって前記距離内で前記取り出し区分の前記所定の複数の装着部材を順次に露出させるようになっている、装着装置のための露出装置を備えたベルトコンベヤ。」という点で一致し、次の点で相違しているといえる。

相違点(イ)
装着装置が、本願発明は、「搬送ベルト(2)に沿って移動可能」であるのに対して、引用発明は、搬送ベルトに沿って移動可能であるか否か不明である点

相違点(ロ)
剛性のカバー(5)が搬送ベルト(2)に対して長手方向に、移動させられる際の距離が、本願発明は、「複数の」装着部材に対応する距離であるのに対して、引用発明は、不明である点

(3)相違点の検討
そこで、上記相違点について、検討する。
(3-1)相違点(イ)について
「装着装置のためのベルトコンベヤ」において、装着装置が、搬送ベルトに沿って移動可能であるものは、例えば、特開平11-54994号公報、特開平10-209699号公報、特開平9-36597号公報、特開平9-246799号公報、特開平8-298398号公報等に示されるように、本出願前周知の事項といえるから、引用発明において、装着装置を、搬送ベルトに沿って移動可能とすることは、本出願前周知の事項に基づいて当業者が容易に想到することといえる。

(3-2)相違点(ロ)について
複数の装着部材を被っている剛性のカバーについて、取り出しが必要な装着部材の数に合わせて、剛性のカバーの移動距離を定めることは、当業者が必要に応じ適宜なし得る程度のものであるから、剛性のカバーの移動距離を取り出しが必要な複数の装着部材に対応する距離とすることは、当業者が容易に想到することといえる。

(4)小括
したがって、本願発明は、引用発明及び本願出願前当業者に周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。

6.結び
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、その他の発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-08-13 
結審通知日 2008-08-20 
審決日 2008-09-03 
出願番号 特願2001-513948(P2001-513948)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 千葉 成就  
特許庁審判長 山田 靖
特許庁審判官 平塚 義三
近野 光知
発明の名称 装着装置のベルトコンベヤにおける露出装置及び露出装置の使用下での装着のための方法  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 久野 琢也  
代理人 矢野 敏雄  
代理人 ラインハルト・アインゼル  
代理人 山崎 利臣  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ