ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01G |
---|---|
管理番号 | 1191572 |
審判番号 | 不服2006-6302 |
総通号数 | 111 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-04-05 |
確定日 | 2009-01-21 |
事件の表示 | 特願2001-247326「積層セラミック電子部品の製造方法及び電極印刷装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月28日出願公開、特開2003- 59750〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成13年8月16日の出願であって、平成18年2月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項8に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年12月8日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項8に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「被印刷体の表面にペーストにより複数の印刷図形を印刷するためのグラビア印刷装置であって、 外表面に複数の印刷図形に応じた複数の印刷部が形成されており、各印刷部が、該印刷部内に配置された複数の凹部と、複数の凹部を取り囲んでおり、かつ複数の凹部が集合されている部分の印刷方向前端において印刷方向と略直交する第1の部分及び該第1の部分の両端から印刷方向後端に向かって延びる第2の部分を有する枠状凹部とを備え、各印刷部の印刷方向後端が、印刷方向と直交する方向に延びる直線以外の形状を有するように構成されているグラビア印刷ロールと、 前記グラビア印刷ロールの外表面に当接され、余分なペーストを除去するブレードとを備えるグラビア印刷装置。」 第3 刊行物に記載された発明 刊行物1:特開平9-129504号公報 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物1には、「積層型電子部品の製造方法」(発明の名称)に関して、図1?図5とともに以下の事項が記載されている。(なお、下線は、引用箇所のうち特に強調する部分に付加した。) 「【0010】図1は上記の導体層形成に用いられるグラビア印刷機を示すもので、図中、1はグラビアロール、2はペースト槽、3は導体ペースト、4はブレード、5はバックロール、6はキャリアフィルム、7はセラミックグリーンシート、8は導体層である。 【0011】グラビアロール1は円柱形を成し、図2に示すようにその表面に、複数の矩形状印刷部9を所定配列で有している。各印刷部9は、図3に示すように複数の直線溝9aを格子状に配列して構成されており、該印刷部9を構成する複数の直線溝9aはケミカルエッチング法、具体的には、図4(a)に示すように直線溝配列に対応した孔Maを有するマスクMをロール表面に配置し、同図(b)に示すように該孔Maに対応する部分を腐蝕させて溝を形成し、同図(c)に示すように溝形成後にマスクMを除去することでグラビアロール1の表面に刻設されている。 【0012】グラビアロール1の表面にはペースト槽2から導体ペースト3が供給され、余分な導体ペースト3はブレード4で掻き落とされる。これにより。印刷部9を構成する各直線溝9a内に導体ペースト3が充填される(図5(a)参照)。 【0013】セラミックグリーンシート7はキャリアフィルム6との付着状態を維持したまま、セラミックグリーンシート7の表面がグラビアロール1の表面と接触するように両ロール間をその回転に従って通過する(図5(b)参照)。 【0014】印刷部9を構成する各直線溝9a内に充填された導体ペースト3は、フィルム付きのセラミックグリーンシート7が両ロール間を通過する過程で、ロール表面と接触するセラミックグリーンシート7に転移する(図5(c)参照)。図面では充填ペーストの全てがシート側に転移されたものを例示してあるが、実際のものでは充填ペーストの一部のみがシート側に転移される。 【0015】転移後の導体ペースト3は時間経過とともにレベリングされ、これにより印刷部9にほぼ合致した形状の導体層8が、セラミックグリーンシート7の表面に形成される(図5(d)参照)。」 以上から刊行物1には、 「セラミックグリーンシートの表面に導電ペーストにより複数の矩形状の導体層を印刷するためのグラビア印刷機であって、 表面に複数の矩形状印刷部を所定配列で有し、各印刷部が複数の直線溝を格子状に配列して構成したグラビアロールと グラビアロールの表面に当接され、余分な導体ペーストを掻き落とすブレードを備えるグラビア印刷機。」が記載されている。 第4 本願発明と刊行物1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)との対比・判断 本願発明と引用発明とを対比する。 (a)引用発明の「セラミックグリーンシート」、「導電ペースト」、「矩形状の導体層」、「グラビア印刷機」、「表面」、「直線溝」、「グラビアロール」は、それぞれ本願発明の「被印刷体」、「ペースト」、「印刷図形」、「グラビア印刷装置」、「外表面」、「凹部」、「グラビア印刷ロール」に相当する。 (b)引用発明の「表面に複数の矩形状印刷部を所定配列で有し、各印刷部が複数の直線溝を格子状に配列して構成したグラビアロール」は、本願発明の「外表面に複数の印刷図形に応じた複数の印刷部が形成されており、各印刷部が、該印刷部内に配置された凹部を備えるように構成されているグラビア印刷ロール」に相当する。 (c)引用発明の「掻き落とすブレード」は、本願発明の「除去するブレード」に相当する。 よって、両者は、 「被印刷体の表面にペーストにより複数の印刷図形を印刷するためのグラビア印刷装置であって、 外表面に複数の印刷図形に応じた複数の印刷部が形成されており、各印刷部が、該印刷部内に配置された凹部を備えるように構成されているグラビア印刷ロールと、 前記グラビア印刷ロールの外表面に当接され、余分なペーストを除去するブレードとを備えるグラビア印刷装置。」である点で一致し、以下の点で、一応相違する。 [相違点1]本願発明は、印刷部内に配置された凹部を「複数の凹部」と限定しているのに対し、引用発明では、そのような限定を備えていない点。 [相違点2]本願発明は、「複数の凹部を取り囲んでおり、かつ複数の凹部が集合されている部分の印刷方向前端において印刷方向と略直交する第1の部分及び該第1の部分の両端から印刷方向後端に向かって延びる第2の部分を有する枠状凹部とを備え」ているのに対し、引用発明では、そのような記載がない点。 [相違点3]本願発明は、「各印刷部の印刷方向後端が、印刷方向と直交する方向に延びる直線以外の形状を有するように構成されている」のに対し、引用発明では、そのような記載がない点。 そこで、上記相違点について検討する。 [相違点1について] 刊行物1の図3(a)に記載される直線溝も本願発明の第1図(a),(b)に記載される凹部も、印刷されたパターンとして見ると、直線溝または凹部が形成された面積と、それらが形成されていない面積との比は、多少異なるものの、刊行物1の直線溝または本願発明の凹部に囲まれた部分の周囲に、実質的につながった菱形の直線溝または凹部が形成されている点においては同じであり、本願発明が「複数の凹部」を備えているとすれば、同様に、引用発明も複数の「直線溝」を備えているといえるから、両者に格別な差異は認められず、相違点1については、本願発明と引用発明は、実質的には相違していない。 [相違点2について] 上記[相違点1について]において検討したとおり、引用発明も、実質的に、複数の「直線溝」を備えているから、刊行物1の図3(a)には、複数の直線溝で取り囲み、複数の直線溝の集合により形成される部分の印刷方向の前端、及びその両端から印刷方向の後端に向かって延びる部分には、格子状に配列された複数の直線溝により、実質的にジグザグながらも直線溝の端部を組み合わせた枠状の部分が形成されているものと解せられ、また、直線溝により形成された枠状の部分の印刷方向の前端の部分は、印刷方向と全体として略直交しているグラビア印刷機の印刷部が示されており、引用発明も、実質的に、本願発明のごとく「複数の凹部を取り囲んでおり、かつ複数の凹部が集合されている部分の印刷方向前端において印刷方向と略直交する第1の部分及び該第1の部分の両端から印刷方向後端に向かって延びる第2の部分を有する枠状凹部とを備え」ているとの構成を備えているから、引用発明と本願発明とにおいて格別の差異は認められず、相違点2については、本願発明と引用発明は、実質的には相違していない。 [相違点3について] 刊行物1の図3(a)には、各印刷部の印刷方向の後端は、格子状に配列された複数の直線溝により実質的にジグザグ形状となっており、また、印刷方向と直交する方向に延びる直線以外の形状であるグラビア印刷機の印刷部が示されており、引用発明は、実質的に、本願発明のごとく「各印刷部の印刷方向後端が、印刷方向と直交する方向に延びる直線以外の形状を有するように構成されている」との構成を備えているから、引用発明と本願発明において格別の差異は認められず、相違点3については、本願発明と引用発明は、実質的には相違していない。 第5 むすび したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-11-07 |
結審通知日 | 2008-11-18 |
審決日 | 2008-12-01 |
出願番号 | 特願2001-247326(P2001-247326) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(H01G)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 匡明 |
特許庁審判長 |
河合 章 |
特許庁審判官 |
橋本 武 大澤 孝次 |
発明の名称 | 積層セラミック電子部品の製造方法及び電極印刷装置 |
代理人 | 宮▲崎▼主税 |