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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 B65D |
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管理番号 | 1191749 |
審判番号 | 無効2008-800098 |
総通号数 | 111 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-03-27 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2008-05-30 |
確定日 | 2009-01-28 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第4052484号発明「エアレスポンプ付流体容器」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4052484号の請求項1ないし5に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 1.特許出願:平成19年8月30日 2.設定登録:平成19年12月14日 3.請求人:株式会社ベリカ(以下「請求人」という。)による本件無効審 判の請求:平成20年5月29日(同年5月30日受付) 4.被請求人:有限会社M&Kケネス(以下「被請求人」という。)への審 判請求書副本の送達:平成20年6月17日(同年6月23日発送) 第2 請求人主張の概要 請求人は、無効審判請求書において、本件特許第4052484号の請求項1ないし5に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その無効理由について、概略、次のとおり主張している。 特許第4052484号の請求項1ないし5に係る発明は、下記証拠方法に示す、本願出願前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明と同一であり、また、同甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号、同条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許の請求項1ないし5に係る発明についての特許は特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。 2.証拠方法 甲第1号証:特開平11-43151号公報 甲第2号証:特開平11-130072号公報 甲第3号証:特開2001-287762号公報 甲第4号証:特開2003-205960号公報 甲第5号証:特開2007-99357号公報 以下、それぞれ甲第1号証ないし甲第5号証という。 第3 被請求人の主張 上記「第1 手続の経緯」、4の審判請求書副本送達に当たり、被請求人に期間を指定して答弁書の提出を求めたが、期間を経過しても、被請求人から何らの応答もなされなかった。 第4 本件特許発明 本件特許第4052484号の請求項1ないし5に係る発明(以下それぞれ「本件特許発明1ないし5」という。)は、本件特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された、次の事項により特定されるとおりのものと認める。 【請求項1】 エアレスポンプと、該エアレスポンプを口部に装着した軟質材からなる内側容器と、内側容器の全体を収容する硬質材からなる外側容器から構成されるエアレスポンプ付流体容器において、内側容器の側面が蛇腹構造をなし、エアレスポンプの操作によって内容物が排出されることにより該蛇腹構造が収縮されて内側容器の内容積が減少され、さらに上記蛇腹構造が完全に収縮された状態にてエアレスポンプの吸入管の端部が内側容器の底面近傍に位置するように構成されていることを特徴とするエアレスポンプ付流体容器。 【請求項2】 エアレスポンプ付流体容器の内側容器の最大直径が側面の蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さの3.5倍?5倍の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のエアレスポンプ付流体容器。 【請求項3】 エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が75°?95°の範囲内であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のエアレスポンプ付流体容器。 【請求項4】 エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が84°?92°の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載のエアレスポンプ付流体容器。 【請求項5】 内側容器の底面全体が下に凸の曲面状に構成されていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2あるいは請求項3あるいは請求項4に記載のエアレスポンプ付流体容器。 第5 甲第1号証、甲第4号証及び甲第5号証に記載された発明 1.甲第1号証 甲第1号証の段落【0015】、【0018】、【0020】には、図面とともに次のように記載されている。 (a)「【0015】外部容器の材質としては、プラスチック、金属その他使用できるが、プラスチックが好ましく、特に硬質プラスチックが好ましい。この出願発明のトリガーボトルは、どのようなプラスチックでもよく、軟質プラスチックあるいは硬質のプラスチックが使用される。・・・(以下省略)」 (b)「【0018】 【実施例】以下、この出願発明を図により具体的に説明する。 実施例1 図1の蛇腹式で円柱状のポリエチレンテレフタレートのトリガーボトル1は、プリフォーム7をブロー成形することにより作製されており、その上端の口頸部4の下部に、縦方向にリブ11を設けた外筒10をはめ込むことにより一体的にトリガーボトルに取り付けられている。この口頸部4には、凹凸を設けた保持部6が形成されている。この凹凸によりトリガーボトルに内容物を充填する際に効率的に作業を行うことができる。また、トリガーボトルを手に取る際にも滑らないので安定して使用することができる。そして、注出口5の口頸部4には、トリガー噴霧部2がキャップ3により緊密に螺着されている。このトリガーボトル1の内容物をレバー8により噴霧すると共に、内容物が減少した量に応じて、トリガーボトル1の容積も減少し、図2に示すようにさらに凹部9が形成される。このようにこの出願発明のトリガーボトル1は、使用に伴い凹んで容積が減少するので、使用済みのトリガーボトル1の運搬、保管等の廃棄処理は従来に比べて非常に容易になる。なお、使用後に筒部が必要のない時は、筒に設けられたリブ11を利用して縦方向に分解することにより、容積を小さくすることができる。また、筒部を再利用するときは、内容物の充填したトリガーボトルに取り付ける。」 (c)「【0020】 【発明の効果】 この出願発明のトリガーボトルは、使用と共にトリガーボトルの容積が減少すように形成されているので、省スペース化をはかることができ、使用済みのトリガーボトルの回収、運搬、保管を効率的に行うことができ、廃棄物処理を容易にすることができる。また、外筒は、分解できるので、廃棄するときは外筒を分解することにより省スペース化することができる。さらにトリガーボトルまたは、外筒の上部に凹凸状の保持部を設けることにより、容器を安定に保持した状態で、内容物を充填することができ、また、安定した状態で使用することができる。この出願発明のトリガーボトルは、トリガー噴霧部を上にして使用できるだけではなく、任意の位置で使用することができ、上下を逆にしてトリガー噴霧部を下にした状態でも使用することができる。トリガーボトルの材質がポリエチレンテレフタレートの場合には、容積を減らした状態でその形状を維持しやすいのでとくに好ましい。」 上記の記載から、トリガー噴霧部2は、トリガーボトル1内の内容物を噴霧するものであるから、トリガーボトル1の内部に進入し、内容物に浸積される吸入管を有していることは明白である。 したがって、甲第1号証には、次の発明(以下「甲第1号証発明」という。)が記載されているものと認められる。 「レバー8により内容物を噴霧するトリガー噴霧部2と、該トリガー噴霧部2を上端の口頸部4に装着した、ポリエチレンテレフタレートからなるトリガーボトル1と、トリガーボトル1の全体を収容する、硬質プラスチックからなる外筒10から構成されるトリガー噴霧部付容器において、トリガーボトル1が蛇腹構造をなし、トリガー噴霧部2の操作によって内容物が排出されることにより該蛇腹構造が収縮されてトリガーボトル1の内容積が減少され、さらにトリガー噴霧部2の吸入管の端部がトリガーボトル1の内部に進入するように構成されているトリガー噴霧部付容器。」 2.甲第4号証 甲第4号証の段落【0013】?【0015】には、図面とともに次のように記載されている。 「【0013】 【発明の実施例】以下、本発明に係る押出しポンプ付き可変容積の真空容器の好ましい実施例について、添付図面を参照しながら説明する。図1及び図2に示すのは本発明に係る押出しポンプ付き可変容積の真空容器の第一の実施例である。先ず、図1に示すように、本実施例における押出しポンプ付き可変容積の真空容器2全体は、主として香水や化粧水.クリームなどの化粧品や薬品などの流体の内容物を貯蔵するための真空容器21と前記真空容器内の流体の内容物を定量的に押し出すための押出しポンプ25とからなる。前記真空容器21は、伸縮可能なベローズ体で、反対の両端部と該両端部の間に延伸している螺旋形の周壁211とを有し、また、前記押出しポンプ25は前記一端部に設けられており、前記他端部は密封されている。また、前記真空容器21は、前記一端部を上端部212とし他端部を下端部213とした直立型である。そして、前記押出しポンプ25は、構造が前記従来の押出しポンプと同様に、前記真空容器21外において、前記流体の内容物を供給するための供給ノズル251と、前記供給ノズル251を開閉し前記真空容器21内の内容物を前記供給ノズル251から押し出すための押しボタン252とを有し、また、前記真空容器21内において、一端が真空容器21外の前記供給ノズル251と連接して他端が下方へある程度に延伸してある取入れパイプ253が設けられている。且つ、前記真空容器21の外方に、前記押出しポンプ25の前記供給ノズル251と前記押しボタン252とが露出するように剛性の外套22が設けられ、該外套22の上方に、前記供給ノズル251と前記押しボタン252とを遮蔽したカバー23が脱着自在に設けられている。 【0014】次に、図2に示すように、前記真空容器2は、前記押しボタン252が押圧されると、前記取入れパイプ253の一端が前記押しボタン252を介して前記供給ノズル251と連通すると同時に、前記真空容器21内の内容物を押圧して前記供給ノズル251を介して定量的に供給することができる。そして、前記押しボタン252の押圧が放れると、前記真空容器2の押出しポンプ25は前記従来の真空容器の押出しポンプと同様に動作するので、前記真空容器2内の空間は一時非充満状態になって真空状態になるため、前記真空容器2の下端部213にかかる大気圧は前記ベローズ体の真空容器2の周壁211を押圧し、容器全体を前記真空容器2の下端部213からある程度上へ縮ませて前記真空容器の内容物が前記容器内の全空間を充満するようにさせる。また、図示のように、前記真空容器2の周壁211上の凹溝214は一端(下端)から他端(上端)へ連続している単一のものになり、抵抗が低くなるので、前記真空容器21内の内容物は随時に前記螺旋形の周壁211に沿って前記真空容器21の下部へ流れ、前記螺旋形の周壁211上に停滞しない。 【0015】次に、図3に示すのは本発明に係る押出しポンプ付き可変容積の真空容器の第二の実施例である。本実施例における真空容器3の前記第一の実施例との異なる点は、真空容器31の下端部312に底面313が形成され、該底面313にはもっと下方へ窪んだ残液収容室314が形成されており、且つ、その押出しポンプ35の前記真空容器31内において下方へ延伸してある取入れパイプ353は、前記真空容器31がある程度に縮まると、前記残液収容室314内に挿入するように配置されている。それにより、図4に示すように、前記真空容器31内の内容物は随時に螺旋状の周壁311に沿って前記残液収容室314内へ流れて収容され、且つ、内容物使用の最後段階にて前記取入れパイプ353が前記周壁311の前記残液収容室314内に挿入するので、該取入れパイプ353により内容物が容器内に残らずに前記残液収容室314内から完全に押し出されることができる。」 上記段落【0015】、【図3】及び【図4】に記載の第二の実施例が、真空容器31の下端部312に底面313の形状及び取入れパイプ353の配置を除き、段落【0013】、【図1】及び【図2】に記載の第一の実施例と同様の構造を有することは明白である。 また、段落【0015】における「内容物使用の最後段階」とは、真空容器31の螺旋状の周壁311が、完全に収縮された状態を意味すると解されるから、上記各記載及び図面を総合すれば、甲第4号証には、次の発明(以下「甲第4号証発明」という。)が記載されているということができる。 「押出しポンプ25と、該押出しポンプ25を上端部212に装着した伸縮可能なベローズ体の真空容器31と、真空容器31の全体を収納する剛性の外套22から構成されている押出しポンプ付き可変容積の真空容器において、真空容器31が螺旋状の周壁311を有し、押出しポンプ25の操作によって内容物が排出されることにより真空容器31の内容積が減少され、さらに上記螺旋状の周壁311が完全に収縮された状態にて、押出しポンプ25の取入れパイプ353の端部が真空容器31の底面313に下方に向けた突出した残液収容室314内部に進入するように構成されている押出しポンプ付き可変容積の真空容器。」 3.甲第5号証 甲第5号証の段落【0005】、【0006】、【0009】及び【0011】には、図面とともに次のように記載されている。 (a)「【0005】 本発明は、内容物を収容する密閉容器において、前記密閉容器の壁面に設けられ、伸縮可能な容積可変部と、前記内容物を吐出可能なノズルと、前記ノズルに設けられ、前記ノズル内を流れる流動物の流動方向を一方向に制限する流動方向制限手段とを備えることを特徴とする密閉容器である。 【0006】 また、前記ノズルまたは前記流動方向制限手段と連結し、前記密閉容器内に垂下するチューブをさらに備え、前記蛇腹部が収縮したときに前記チューブの先端が前記密閉容器の 底部のうち最も低い部分に位置するようにしても良い。」 (b)「【0009】 図1のように、内容物100が容器101内に密閉され収容されている。容器101は側壁部に容積可変部(以下、蛇腹部)102を備え、内容物100の量に応じて伸縮可能である。尚、本実施形態の蛇腹部102は、蛇腹構造を有し、さらに自重では収縮しないような反発力を有する。そして、容器101にはノズル103が取り付けられ、ノズル103は逆止弁付きコック104の一端と接続し、逆止弁付きコック104の他端はチューブ105と接続し、チューブ105は容器内に垂下している。尚、本実施形態において、ノズルとは容器101の外壁から延出した部分を言い、この延出した部分のいずれかの位置に逆止弁付きコック104を設けることができる。また、逆止弁付きコック104は、逆止弁付きコック104内を流れる内容物および空気等の流動物の流動方向を設定するつまみ106を備える。容器101は底部107を備え、底部107には溝108が設けられている。また、容器101の上部に、内容物または空気等が出し入れ可能な口部109を備え、口部109はキャップ110により封がされる。さらに、キャップ110は、空気穴111を有する可動式の空気抜き部112を備える。」 (c)「【0011】 内容物100を吐出するときは、つまみ106を回し、図3(a)、(b)のように弁301が吐出方向に開くことができるようにする(吐出状態)。 そして、容器を上から押し下げることにより、容器内に垂下したチューブ105を介して、逆止弁付きコック104の中を通り(このとき図3(c)のように、弁301は吐出方向に開く)、容器上部に取り付けられたノズル103より内容物100が吐出され、それに応じて蛇腹部102が収縮し、図2のように容器101が縮小した状態になる。これにより、容器101内に空気が入らず、内容物100の酸化を防ぐことができる。このとき、蛇腹部102の反発により容器101が伸長しても、また容器101を引き上げても、弁301は吸入方向には開かないので空気が容器内に入ることはない。」 以上の記載及び図面を総合すると、甲第5号証には次の発明(以下「甲第5号証発明」という。)が記載されているものと認めることができる。 「容器101は蛇腹構造の蛇腹部102を有し、容器101を上から押し下げることによって、容器101の上部に取り付けられたノズル103より内容物100が排出されることにより該蛇腹部102が収縮されて容器101の内容積が減少され、さらに上記蛇腹部102が収縮したときに、前記ノズル103に接続されたチューブ105の端部が容器101の底部107の最低部分にチューブ105の先端が位置するように構成されている密封容器。」 第6 対比及び判断 1.本件特許発明1について (1)甲第1号証発明との対比・判断 【対 比】 本件特許発明1と甲第1号証発明とを対比すると、甲第1号証発明の「ポリエチレンテレフタレートからなるトリガーボトル1」は蛇腹構造、すなわちその側面が蛇腹構造をなし、トリガー噴霧部2の操作によって内容物が排出されることにより収縮されて内容積が減少されるものであり、しかも甲第1号証の記載(a)に軟質プラスチックを使用することも示唆されているから、本件特許発明1の「軟質材からなる内側容器」に相当し、同様に「硬質プラスティックからなる外筒10」は「硬質材からなる外側容器」に相当する。 甲第1号証発明の「レバー8により内容物を噴霧するトリガー噴霧部2」が、トリガーボトル1内の内容物を吸入し噴霧するためのポンプを有することは明白であり、甲第1号証発明のトリガー噴霧部付容器も、内容物が排出されることにより収縮して内容積を減少させるものであり、しかも、甲第1号証の記載(b)によれば、上下を逆にしてトリガー噴霧部を下にした状態でも噴霧することができるものであるから、トリガーボトル1内には空気が混入することはなく、したがってトリガー噴霧部2が有するポンプは、エアレスポンプといえる。 してみると、甲第1号証発明の「トリガー噴霧部付き容器」も、その全体構成から、甲第1号証発明と同様に「エアレスポンプ付流体容器」といえるから、両者の一致点及び相違点は次のとおりとなる。 〈一致点〉 「エアレスポンプと、該エアレスポンプを口部に装着した軟質材からなる内側容器と、内側容器の全体を収容する硬質材からなる外側容器から構成されるエアレスポンプ付流体容器において、内側容器の側面が蛇腹構造をなし、エアレスポンプの操作によって内容物が排出されることにより該蛇腹構造が収縮されて内側容器の内容積が減少され、さらにエアレスポンプの吸入管の端部が内側容器の内部に位置するように構成されているエアレスポンプ付流体容器。」 〈相違点1〉 本件特許発明1においては、蛇腹構造が完全に収縮された状態にてエアレスポンプの吸入管の端部が内側容器の底面近傍に位置するように構成されているのに対し、甲第1号証発明においては、吸入管の端部がトリガーボトル1の内部のいずれに位置するのか明確ではない点。 【判 断】 前述のように、甲第1号証発明のトリガー噴霧部2は、トリガーボトル1内の内容物を吸入し噴霧するものであるから、そのエアレスポンプの吸入管が、内容物に浸積されるようトリガーボトル1の内部に進入していることは明白である。 そして、蛇腹構造のトリガーボトル1は、トリガー噴霧部2の操作によって内容物が排出されることにより収縮するものであり、上下を逆にしてトリガー噴霧部を下にした状態でも噴霧することができるものであるから、吸入管の端部をトリガーボトル1が完全に収縮した状態においても、その底面近傍に位置するようにして、トリガーボトル1内の内容物を無駄なく吸入して噴霧できるようにすることは、当業者が当然に考慮すべき事項である。 しかも、甲第4号証には、前述のように、螺旋状の周壁311が完全に収縮された状態にて、押出しポンプ25の取入れパイプ353の端部が真空容器31の底面313に下方に向けた突出した残液収容室314内部に進入するように構成することが、そして、甲第5号証には、内容物の排出に伴い内容積が減少される蛇腹構造の容器から、内容物を吸入するチューブの先端を、容器底部の最低部分に配置することが示されているのであるから、蛇腹構造が完全に収縮された状態にてエアレスポンプの吸入管の端部を内側容器の底面近傍に位置するようにすることは、本願出願前より広く知られた周知の技術(以下「吸入管端部配置に係る周知技術」という。)ということができる。 したがって、本件特許発明1の相違点1に係る構成は、甲第1号証発明の吸入管に上述した吸入管端部配置に係る周知技術を適用することにより、当業者が容易に想到し得ることである。 よって、本件特許発明1は、甲第1号証発明及び吸入管端部配置に係る周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)甲第4号証発明との対比・判断 【対 比】 本件特許発明1と甲第4号証発明とを対比すると、その文言上の意義、機能、構造等に照らし、甲第4号証発明の「押し出しポンプ25」は、本件特許発明1の「エアレスポンプ」に相当し、以下同様に、「伸縮可能なベローズ体の真空容器31」は、「軟質材からなる内側容器」に、その「上端部212」は「口部」に、「剛性の外套22」は「硬質材からなる外側容器」に、そして、「取入れパイプ353」は「吸入管」に、それぞれ相当する。 甲第4号証発明において「真空容器31が螺旋状の周壁311を有し」ていることは、「内側容器の側面が凹凸構造をなし」ている点で、本件特許発明1において「内側容器の側面が蛇腹構造」をなしている点と一致し、甲第4号証発明において「押出しポンプ25の取入れパイプ353の端部が真空容器31の底面313に下方に向けた突出した残液収容室314内部に進入するように構成されている」ことは、本件特許発明1において「エアレスポンプの吸入管の端部が内側容器の底面近傍に位置するように構成されている」ことにほかならない。 そして、甲第4号証発明の「押出しポンプ付き可変容積の真空容器」も、その全体構造からみて「エアレスポンプ付流体容器」ということができるから、両者は、 「エアレスポンプと、該エアレスポンプを口部に装着した軟質材からなる内側容器と、内側容器の全体を収容する硬質材からなる外側容器から構成されるエアレスポンプ付流体容器において、内側容器の側面が凹凸構造をなし、エアレスポンプの操作によって内容物が排出されることにより該凹凸構造が収縮されて内側容器の内容積が減少され、さらに上記凹凸構造が完全に収縮された状態にてエアレスポンプの吸入管の端部が内側容器の底面近傍に位置するように構成されているエアレスポンプ付流体容器。」で一致し、次の点で一応相違する。 〈相違点2〉 内側容器側面の凹凸構造に関し、本件特許発明1においては「蛇腹構造」であるのに対し、甲第4号証発明においては「螺旋状の周壁311」である点。 【判 断】 エアレスポンプ付流体容器における内側容器側面の凹凸構造については、甲第4号証発明のように螺旋状の周壁を有するもの(以下「螺旋状凹凸構造」という。)と、各凹凸部が独立し、その頂部(凹凸構造の最大直径部)及び底部(凹凸構造の最小直径部)が個別に全円を描くようなもの(以下「独立型凹凸構造」という。)とが想定できる。 一般に蛇腹とは襞状の伸縮構造を意味し、いずれの構造であっても、ピッチPTを有し、隣接する2面が所定の角度をなすものであるから、甲第4号証発明における螺旋状の周壁311を有する真空容器31もその側面が蛇腹構造であると解するのが相当である。 したがって相違点2は実質的なものとはいえず、本件特許発明1は甲第4号証発明と同一であるというべきである。 仮に甲第4号証発明の螺旋状凹凸構造を蛇腹構造ということができないとしても、エアレスポンプ付流体容器の内側容器を蛇腹構造とすることは、上述の甲第1号証、甲第5号証のほか、甲第2号証、甲第3号証にみられるように本願出願前より広く知られた周知の技術(以下「蛇腹構造に係る周知技術」という。)であり、それにより格別顕著な効果が奏されるものとも解されないから、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項にすぎないものである。 したがって、本件特許発明1は甲第4号証発明及び蛇腹構造に係る周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえる。 2.本件特許発明2について 【対 比】 本件特許発明2と甲第1号証発明あるいは甲第4号証発明とをそれぞれ対比すると、本件特許の請求項2は請求項1を引用するものであるから、両者の一致点は、上記「1.本件特許発明1について」における「(1)甲第1号証発明との対比・判断」あるいは「(2)甲第4号証発明との対比・判断」で検討したとおりであり、相違点1あるいは相違点2に加え、次の点で相違する。 〈相違点3〉 本件特許発明2においては「エアレスポンプ付流体容器の内側容器の最大直径が側面の蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さの3.5倍?5倍の範囲内である」と特定されているのに対し、甲第1号証発明、甲第4号証発明においては、このような特定がなされていない点。 【判 断】 相違点1及び2については、既に検討したので相違点3について検討する。 本件特許明細書には、エアレスポンプ付流体容器の内側容器の最大直径と、側面の蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さに関連して次のように記載されている。 「【0013】 解決手段2の内側容器の最大直径と蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さとの関連について、詳細に説明すれば、以下のとおりである。 図16に見るように、内側容器1の最大直径をφ、蛇腹構造Bの最大延伸時における長さ(上下方向の延長)をL、蛇腹構造Bの最大延伸時における1ピッチの長さをPTとすると、長さLは長さPTのn倍になっている。ただし、n=正の整数とする。 ・・・・・・中略・・・ 【0016】 内側容器1は、最も縦長のもの、すなわちRT1の値が最大の5の容器であっても、n、すなわち蛇腹構造のピッチ数は余り多くしたくない。その理由は、nが大になればなるほど金型製作に要する手間も複雑となるし、また、蛇腹構造Bが完全に収縮した場合にも、全体の延長が余り短くならないからである。すなわち、完全収縮時において、長さLが3分の1以下になるようにしたい。このような諸条件を勘案して、RT1の値が最大の5の容器の場合で、nの最大値が25という条件を設けた。したがって、(7)式にn=25、RT1=5を代入して、 RT2=5 という結果を得た。 ゆえに、RT2、すなわち蛇腹構造Bの最大延伸時における1ピッチの長さPTと内側容器1の最大直径φとの比RT2の最大値を5とした。 【0017】 次に、比RT2の最小値であるが、これは、比RT1の値が最小値の2である容器から定められる。すなわち、比RT1の値が2の最も扁平な内側容器においても、ある程度の全体のピッチ数nは確保しなければならない。というのは、最大直径φや長さLを一定とした場合に、全体のピッチ数nが小さくなればなるほど内容積の少ない容器となってしまうからである。このように、ある程度の内容積を確保しようと思えば比RT1の値が最小の2の容器においてもnはある程度の数としなければならないので、諸条件からnの最小値を7という条件を設けた。したがって、(7)式にn=7、RT1=2を代入して、 RT2=3.5 という結果を得た。」 以上の記載からすると、本件特許発明2の相違点3に係る、エアレスポンプ付流体容器の内側容器の最大直径と側面の蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さとの関係は、製造コストの低減や、内容物を排出し得る内容積の確保の観点で定められたものと解することができる。 ところで、内側容器の蛇腹構造が最大延伸している状態から内容物を排出し、各蛇腹部分が蛇腹構造が完全に収縮された状態となったとき、(最大延伸時の内側容器の容積)-(完全収縮時の内側容器の容積)が、内容物の排出量に相当する。 蛇腹構造の最大延伸時において、蛇腹構造の隣接する2面により形成される断面3角形状のリング部の体積をも考慮すれば、内容物の排出量は、概ね、(内側容器の最大直径による定まる底面積)×(蛇腹構造の最大延伸時の長さ-完全収縮時の長さ)により定められるものといえる。 蛇腹構造の最大延伸時における長さLは、1ピッチの長さPT×ピッチ数nであり、完全収縮時、蛇腹構造の隣接する2面が互いに完全に密着し、略平行になっているものとすれば、その長さは、およそピッチ数n×周壁部分の厚さ×2となるから、内容物の排出量は、概ね、内側容器の最大直径及び蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さPT、並びにピッチ数n及び周壁部分の厚さを主要なパラメータとして定められるものといえる。 そして、エアレスポンプ付流体容器の内側容器の最大直径が、側面の蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さPTの3.5倍?5倍の範囲内とすることは、蛇腹構造を有する内側容器の形状、構造からみて、格別特異なものとはいえず、しかも、上記した本件明細書の記載からみて、内容物の排出量や蛇腹構造の製造コスト等を勘案して、内側容器の最大直径と最大延伸時における蛇腹構造の1ピッチの長さPTとの関係を適宜選定した程度のものにすぎず、それにより格別顕著な作用効果が奏されるとする技術的根拠を何ら見出すこともできない。 なお、以上の点は、内側容器が螺旋状の側面が凹凸構造が、螺旋状凹凸構造であっても、独立型凹凸構造であっても、概ね成立することである。 したがって、本件特許発明2の相違点3に係る構成は、甲第1号証発明あるいは甲第4号証発明においても設計上適宜なし得る程度の事項であり、本件特許発明2は、「1.本件特許発明1」における「(1)甲第1号証発明との対比・判断」あるいは「(2)甲第4号証発明との対比・判断」で検討したとおり、甲第1号証発明及び吸入管端部配置に係る周知技術に基いて、あるいは甲第4号証発明及び蛇腹構造に係る周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。 3.本件特許発明3及び4について 【対 比】 本件特許発明3と甲第1号証発明あるいは甲第4号証発明とをそれぞれ対比すると、本件特許の請求項3は、請求項1または2を引用するものであるから、両者の一致点は、上記「1.本件特許発明1について」における「(1)甲第1号証発明との対比・判断」、あるいは「(2)甲第4号証発明との対比・判断」で検討したとおりであり、相違点1ないし相違点3に加え、次の点で相違する。 〈相違点4〉 本件特許発明3は、「エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が75°?95°の範囲内である」と特定されているのに対し、甲第1号証発明あるいは甲第4号証発明においては、このような特定がなされていない点。 同様に、本件特許発明4と甲第1号証発明あるいは甲第4号証発明とをそれぞれ対比すると、本件特許の請求項4は、相違点3に係る数値範囲をさらに限定するものであるから、相違点1ないし相違点3に加え、次の点で相違する。 〈相違点5〉 本件特許発明4においては、「エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が84°?92°の範囲内である」と特定されているのに対し、甲第1号証発明あるいは甲第4号証発明においては、このような特定がなされていない点。 【判 断】 相違点1ないし3については既に検討したから、相違点4、5について検討する。 本件特許明細書の段落【0019】?【0021】には、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度に関連して次のように記載されている。 「【0019】 次に、解決手段3、4の内側容器の蛇腹構造の隣接する2面の角度限定について詳細に説明すれば、次のとおりである。 図17a?図17eに見るように、内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器1の側面の蛇腹構造Bの隣接する2面PL1、PL2のなす角度をαとする。この角度αは、山部Sを挟む2面でも谷部Tを挟む2面でも同一であるが、図17a?図17eにては、谷部Tを挟む2面PL1、PL2にて示している。 【0020】 この際、角度αは、小であればあるほど内側容器1の収縮性能は良くなることは自明の理であるが、余りに角度αを小にしすぎると、内側容器1の金型製作が難しくなる。また、内側容器1の内容積も減少することになる。したがって、そのような点からすれば、角度αは余り小さくしない方が良いという結果になる。 【0021】 そこで、角度αを様々に変化させた内側容器1で検討した結果、角度αが95°(図17e)を越えると収縮性能に顕著な悪影響が見られることが明らかとなった。したがって、角度αの最大値は95°とした。また、角度αが75°(図17a)を下回ると金型の製作に要する手間が顕著な増大を示すことが予想され、かつ内容積の減少に与える影響も顕著になるので、角度αの最小値は75°とした。この範囲内で、さらに適切な角度範囲を求めた結果、角度αの最適値を84°(図17b)?92°(図17d)の範囲内とした。なお、図17cは、角度αを84°と92°の中間の角度である88°とした例である。」 上記の記載から、相違点4、5に係る「エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度」の選定範囲は、収縮性能と内側容器1の金型製作コストとのバランスで定められたものといえる。 上述したとおり、内容物の排出量は、概ね、内側容器の最大直径及び蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さPT、並びにピッチ数n及び周壁部分の厚さを主要なパラメータとして定められることは明白である。 また、内容物の排出に応じて、蛇腹構造が収縮する過程を想定すれば、収縮に伴う蛇腹構造の反作用(伸縮性のある蛇腹構造が、収縮状態から延伸した状態に戻ろうとする力)は、内側容器の側面の蛇腹構造の隣接する2面のなす角度の最大延伸時からの減少分が大きいほど、また、ピッチ数nが多いほど大きくなるものといえるから、ピッチ数nが一定であれば、「内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度」を小さくするほど、収縮に伴う蛇腹構造の反作用を低減することができ、よりスムースに内容物の排出が可能であることも、当業者であれば十分に予測し得ることである。 そして、「内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度」は、結局、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さPTと、内側容器の側面の蛇腹構造の高さ(内側容器1の最大直径φ-螺旋構造の内端部直径)により特定されるものであり、その角度を75°?95°、さらにその内84°?92°とすることは、設計上得るべく内容物の排出特性や蛇腹構造を有する内側容器の形状、構造等からみて、格別特異なものとはいえない。 しかも、本件特許明細書の記載を参酌しても、「内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度」を75°?95°、さらにその内84°?92°と特定したことにより、格別顕著な作用効果が奏されるとする技術的根拠を何ら見出すこともできない。 したがって、本件特許発明3の相違点4に係る構成、及び本件特許発明4の相違点5に係る構成は、甲第1号証発明あるいは甲第4号証発明においても、設計上適宜なし得る程度の事項であり、本件特許発明3及び本件特許発明4は、上記「1.本件特許発明1」における「(1)甲第4号証発明との対比・判断」あるいは「(2)甲第4号証発明との対比・判断」で検討したとおり、甲第1号証発明及び吸入管端部配置に係る周知技術に基いて、あるいは、甲第4号証発明及び蛇腹構造に係る周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。 4.本件特許発明5について (1)甲第1号証発明との対比・判断 【対 比】 本件特許発明5と甲第1号証発明とを対比すると、本件特許の請求項5は、請求項1ないし4のいずれかを引用するものであるから、両者の一致点は、上記「1.本件特許発明1について」における「(1)甲第1号証発明との対比・判断」で検討したとおりであり、相違点1及び3ないし5に加え、次の点で相違する。 〈相違点6〉 本件特許発明5は、「内側容器の底面全体が下に凸の曲面状に構成されている」のに対し、甲第1号証発明においては、特に甲第1号証の【図1】を参照すると、内側容器に相当するトリガーボトル1の底面が上に凸の曲面状に構成されている点。 【判 断】 一般に、ポンプ付き流体容器において、底面を上に凸の曲面状にすることも、下に凸の曲面状にすることも、本願出願前より広く行われていることであり、甲第4号証発明においては、内側容器に相当する真空容器31が「空容器31の底面313に下方に向けた突出した残液収容室3」を有しており、甲第4号証の【図8】、【図9】に対応する実施例においては、内側容器の底面中央部を下に凸とすることが示されている。 さらに、甲第5号証においても、各図を参照すれば、底面に一部上に下に凸の溝108を形成し、蛇腹部102が収縮したとき、チューブ5を介して内容物を吸入することが示されているのであるから、内側容器の底面全体を下に凸の曲面状にすることは、単なる形状の選択というべきであり、設計上適宜なし得ることである。 したがって、本件特許発明5は、甲第1号証発明及び吸入管端部配置に係る周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。 (2)甲第4号証発明との対比・判断 本件特許発明5と甲第1号証発明とを対比すると、前述のとおり、甲第4号証発明においては、「空容器31の底面313に下方に向けた突出した残液収容室3」を有しており、甲第4号証の【図8】、【図9】に対応する実施例においては、内側容器の底面中央部を下に凸とすることが示されているから、内側容器の底面全体を下に凸の曲面状にすることは、単なる形状の選択というべきであり、本件特許発明5は、甲第4号証発明及び蛇腹構造に係る周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。 5.まとめ 本件特許発明1ないし5を全体構成でみても、甲第1号証発明及び吸入管端部配置に係る周知技術、あるいは甲第4号証発明及び蛇腹構造に係る周知技術から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。 したがって、本件特許発明1ないし5は、甲第1号証発明ないし甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件特許発明1は甲第4号証発明と実質的に同一であるということもできる。 第7 むすび 以上のとおりであるから、本件特許発明1ないし5は、本願出願前に頒布された刊行物である、甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により、無効にすべきものである。 また、本件特許発明1は、本願出願前に頒布された刊行物である甲第4号証に記載された発明と実質的に同一であって、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものともいえるから、特許法第123条第1項第2号の規定により、無効にすべきものである。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-11-19 |
結審通知日 | 2008-11-26 |
審決日 | 2008-12-09 |
出願番号 | 特願2007-223475(P2007-223475) |
審決分類 |
P
1
113・
121-
Z
(B65D)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 市野 要助 |
特許庁審判長 |
石原 正博 |
特許庁審判官 |
佐野 健治 村上 聡 |
登録日 | 2007-12-14 |
登録番号 | 特許第4052484号(P4052484) |
発明の名称 | エアレスポンプ付流体容器 |
代理人 | 小林 正樹 |