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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61F
管理番号 1192003
審判番号 不服2005-21152  
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-11-02 
確定日 2009-02-05 
事件の表示 特願2000-149249号「吸収体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月27日出願公開、特開2001-327531号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
1.特許出願:平成12年5月22日
2.拒絶査定:平成17年9月30日(発送:同年10月4日)
3.拒絶査定不服審判の請求:平成17年11月2日
4.明細書を対象とする手続補正書の提出:平成17年12月2日
5.当審による上記4の手続補正書による補正について、補正の却下の決定 :平成30年3月14日(発送:同年4月1日)
6.当審による拒絶理由の通知
:平成20年3月14日(発送:同年3月18日)
7.意見書及び手続補正書の提出:平成20年5月19日
8.当審による拒絶理由の通知
:平成20年8月27日(発送:同年9月2日)
9.意見書及び手続補正書の提出:平成20年10月31日

第2 本願発明
本願発明の請求項1及び2は、平成20年10月31日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1は、次のとおりのものである。
「機能性粉粒体を含有する帯状シートを所定間隔でその幅方向に亘り裁断してシート材からなる機能性材料を製造しながら、繊維材料から構成され且つ所定方向に走行する連続帯状の第1のカバーシート上に、該機能性材料を第1のカバーシートよりも狭幅で間欠的に配置し、次いで該機能性材料上に、第2のカバーシートを配置し両シートによって該機能性材料をその全体に亘り被覆した後、各機能性材料間の位置において第1のカバーシートと第2のカバーシートとによって各機能性材料の前後端をホットメルト粘着剤で封止し、然る後、両カバーシートによる前記機能性材料の封止位置において両カバーシートを幅方向に裁断して、第1及び第2のカバーシート並びに両カバーシート間に挟持された前記機能性材料を有する吸収体を製造する吸収体の製造方法であって、
第1のカバーシートにおける前記機能性材料の配置面と反対面側の位置に、吸引手段が設けられており、第1のカバーシートにおける該機能性材料の配置面にホットメルト粘着剤を塗布した後に、該吸引手段による吸引下に該機能性材料を第1のカバーシートに配置し、次いで該機能性材料の側縁から側方に延出する第1のカバーシートを、その側縁部同士が重ね合わされるように該機能性材料側に折り返して該機能性材料の左右両側を封止するとともに、折り返し部分から構成される前記第2のカバーシートを該機能性材料上に配置し、
また、前記帯状シートの裁断と、裁断された前記シート材の第1のカバーシート上への配置とを、隔離板によって隔離して、該帯状シートの裁断によってこぼれ落ちた前記機能性粉体の吸収体への混入を防止するようにした吸収体の製造方法。」

第3 引用文献
上記第1、8の当審による拒絶理由通知において引用した、本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-320742号公報(以下「引用文献1」という。)、特開昭55-91354号公報(以下「引用文献2」という。)、特開平10-314223号公報(以下「引用文献3」という。)、及び特開平10-137286号公報(以下「引用文献4」という。)の記載について検討する。
1.引用文献1
引用文献1の段落【0004】?【0007】には、従来の技術として示される第14図に関して、次の事項が記載されている。
「【0004】図14に示す吸収体の製造方法では、原反2aから引出されたキャリアティッシュ2が連続的に送られる。連続的に送られるキャリアティッシュ2上には、パターンドラム7が設けられ、パターンドラム7は、軸8を中心として、前記キャリアティッシュ2の走行速度に合わせた周速度で時計方向へ回転している。
【0005】前記パターンドラム7の外周面には、一定のピッチで凹部9が形成されている。凹部9の底部は所定の目開き寸法の網目9aが形成されている。凹部9が平面に展開されたときの形状は、例えば砂時計形状などの所定パターン形状である。パターンドラム7の上方には、パターンドラム7の外周面に対向するパルプ積層機11が対向し、同様にSAPの投入ノズル12が対向している。
【0006】図14に示す吸収体の製造方法では、連続的に回転するパターンドラム7の外周面の凹部9内へパルプ積層機11から粉砕パルプが、投入ノズル12から必要に応じてSAPが供給される。パターンドラム7内で前記パルプ積層機11および投入ノズル12に対向する位置にはサクション手段が設けられ、凹部9の底部の網目9aを介して空気が吸引され、この吸引圧により凹部9内に粉砕パルプとSAPとが吸引されながら積層され、凹部9の平面形状に一致した形状の吸収性材料層13が成形される。
【0007】パターンドラム7が回転して、凹部9がキャリアティッシュ2に対向すると、キャリアティッシュ2の下方に対向するサクション手段により、キャリアティッシュ2を透過して空気が吸引される。この吸引力により、凹部9内で成形された吸収性材料層13がキャリアティッシュ2上に転写される。その後に、キャリアティッシュ2および吸収性材料層13の上にカバーティッシュが供給され、キャリアティッシュ2とカバーティッシュとで吸収性材料層13が挟まれて積層体が形成される。その後、キャリアティッシュ2およびカバーティッシュが吸収性材料層13の外形に合わせて切断され、個々の吸収体が製造される。」

上記の記載及び図14等を総合すれば、引用文献1には、吸収体の製造方法に係る従来技術として、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「粉砕パルプとSAPとからなる吸収性材料層を製造しながら、所定方向に走行する連続帯状のキャリアティッシュ2上に間欠的に配置し、次いで該吸収性材料層上にカバーティッシュを配置し、両ティッシュによって該吸収性材料層を挟んだ後、両ティッシュを各吸収性材料層の外形に合わせて切断し、キャリアティッシュ2及びカバーティッシュ間に挟持された前記吸収性材料層を有する吸収体を製造する方法であって、
キャリアティッシュ2における前記吸収性材料層の配置面の下方にサクション手段が対向して設けられており、この吸引力により前記吸収性材料層を前記キャリアティッシュ2の上に配置する吸収体の製造方法。」

2.引用文献2
引用文献2には、衛生吸収パッドの製造方法に関し、次のように記載されている。
(a)「第1図は衛生吸収パッドの長さ方向拡がりに対し平行に直線的に走る吸収ゾーン1、吸収ゾーン1の両側に配置された液体不透過性範囲2および両端に設けられた閉鎖ゾーン3を有する衛生吸収パッドの平面図である。
第2図は高吸収性テイシュー帯8からなる挿入物10を示し、テイシュー帯8は2回折りたたまれているので、高吸収性ポリマー9の片側は2重のテイシューカバーを有する。」(第6頁左下欄9?17行)
(b)「第14図は衛生吸収パッドの製法を示す。互いにいつしょに結合して充てん物7を形成するセルロース綿からなる2つのストリップの間へ挿入物10を導入する。下から複合材料が外側被覆5として、不透過性範囲2で不透過層6が上を向き、すなわち支持材料4が下にあるように供給される。充てん物7および挿入物10の帯は分離位置26で図示されていない切断装置により個々のパッド25に分離され、これらは前後の距離約2cmで外側被覆5へのせられる。1体の複合材料として外側被覆5が次にパッド25を中心に折りたたまれ、その端縁は第6および7図に示すように少し重なる。最後にシリコーン紙12が供給され、次に分離位置27で個々の衛生吸収パッドに分離され、同時に外側被覆の前後に突出する端部がスタンプで結合される。(第7頁左下欄14行?同頁右下欄10行)

以上の記載及び特に第2図、第14図等を総合すれば、引用文献2には、衛生吸収パッドの製造方法に関して、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「高吸収性ポリマー9を内包するテイシュー帯8をその幅方向にわたり切断して個々のパッド25を製造しながら、所定方向に走行する連続帯状の外側被覆5上に、該パッド25を間欠的に配置し、次いで該パッド25を中心に外側被覆5がその両端縁が少し重なるように折り畳まれ、分離位置27において、個々の吸収パッドに分離するとともに、外側被覆5の前後に突出する部分をスタンプで結合するようにした衛生吸収パッドの製造方法。」

3.引用文献3
引用文献3には、吸収性物品の製造に際して、本願発明の機能性材料に相当する複数の吸収体を所定方向に走行する帯状の表面シート上に表面シートより狭幅で間欠的に配置し、次いで吸収体の側縁から側方に延出する表面シートを吸収体側に折り返して、吸収体を表面シートで包み込むようにする態様が図面とともに示されている。(特に段落【0027】及び第4図等の記載参照のこと。)

4.引用文献4
引用文献4には、パルプ及びポリマーを含有する吸収体を成形しながら、連続して供給される台紙上に間欠的に配置する方法において、吸収体の配置面と反対側の位置に吸引装置を設け、上記台紙には吸収体受取部に搬送される前にホットメルトを供給すること及び台紙に代えて不織布を使用してもよいことが記載されている。

第4 対比
1.本願発明と引用発明1との対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
(1)本願発明の「機能性粉粒体」は、吸収性物品に種々の機能を付与するものとされており、引用発明1の「SAP」(すなわち高吸収性ポリマー)も、吸収性材料層により高度な吸収機能を付与するものであることから「機能性物品」である点で、本願発明の「機能性粉粒体」と一致し、引用発明1の粉砕パルプとSAPとからなる「吸収性材料層」は、本願発明の「機能性物品を含有する機能性材料」に相当する。
(2)引用発明1の「キャリアティッシュ2」、「カバーティッシュ」及び「サクション手段」は、それぞれ、本願発明の「第1のカバーシート」、「第2のカバーシート」 及び「吸引手段」に相当する。
(3)引用発明1において、両ティッシュを各吸収性材料層の外形に合わせて切断するということは、本願発明における「両カバーシートによる前記機能性材料の封止位置」、すなわち各機能性材料間の位置において、両カバーシートを幅方向に裁断することに相当する。
(4)引用発明1において、吸収性物品に使用されるティッシュは、その機能からみて、繊維材料から構成されるのが最も一般的であり、引用発明1におけるティッシュにも、繊維材料から構成されるものが含まれているものということができる。
なお、引用文献1の段落番号【0072】には、ティッシュに代えて不織布が使用できることも示されている。

以上(1)?(4)を総合すれば、両者の一致点及び相違点は次のとおりとなる。
【一致点】
機能性物品を含有する機能性材料を製造しながら、繊維材料から構成され、所定方向に走行する連続帯状の第1のカバーシート上に、機能性材料を間欠的に配置し、次いで該機能性材料上に、第2のカバーシートを配置し両シートによって該機能性材料を被覆した後、各機能性材料間の位置において両カバーシートを幅方向に裁断して、第1及び第2のカバーシート並びに両カバーシート間に挟持された前記機能性材料を有する吸収体を製造する吸収体の製造方法であって、
第1のカバーシートにおける前記機能性材料の配置面と反対面側の位置に、吸引手段が設けられており、該吸引手段による吸引下に該機能性材料を第1のカバーシートに配置し、次いで第2のカバーシートを該機能性材料上に配置するようにした吸収体の製造方法。
【相違点1】
本願発明の「機能性材料」は、「機能性粉粒体を含有する帯状シートを所定間隔でその幅方向に亘り裁断して」製造される「シート材」であるのに対し、引用発明1の「吸収性材料層」は、引用文献1の記載によれば、回転するパターンドラムの外周面の凹部内へ粉砕パルプとSAPを供給し、パターンドラム7内に設けられたサクション手段の吸引圧により凹部内に粉砕パルプとSAPが吸引されながら積層され、凹部の平面形状に一致した形状に成形されるものである点。
【相違点2】
本願発明の機能性材料は、第1のカバーシートよりも狭幅であり、第1のカバーシート及び第2のカバーシートによってその全体にわたり被覆され、機能性材料の側縁から側方に延出する第1のカバーシートを、その側縁部同士が重ね合わされるように機能性材料側に折り返して機能性材料の左右両側を封止するとともに、折り返し部分から構成される第2のカバーシートを機能性材料上に配置するのに対し、引用発明1においては、吸収性材料層はキャリアティッシュ2及びカバーティッシュ間に挟持されている点。
【相違点3】
本願発明においては、各機能性材料間の位置において、第1のカバーシートと第2のカバーシートとによって各機能性材料の前後端をホットメルト粘着剤で封止した後、この封止位置において両カバーシートを幅方向に裁断するのに対し、引用発明1においては、キャリアティッシュ2及びカバーティッシュによって吸収性材料層を挟んだ後、両ティッシュを各吸収性材料層の外形に合わせて切断するものの、各吸収性材料層の前後端を封止することについては示されていない点。
【相違点4】
本願発明においては、第1のカバーシートにおける機能性材料の配置面にホットメルト粘着剤を塗布した後、吸引手段による吸引下で機能性材料を第1のカバーシートへ配置するのに対し、引用発明1には、キャリアティッシュ2に粘着剤を塗布することが示されていない点。
【相違点5】
本願発明においては、帯状シートの裁断と、裁断されたシート材の第1のカバーシート上への配置とを、隔離板によって隔離して、該帯状シートの裁断によってこぼれ落ちた機能性粉体の吸収体への混入を防止するのに対し、引用発明にはそのような隔離板が示されていない点。

2.本願発明と引用発明2との対比
引用発明2は引用発明1と同様に吸収体の製造方法に関するものであり、本願発明と引用発明2とを対比すると、その文言上の意義、形状、構造、機能等からみて、引用発明2の「高吸収性ポリマー9を内包するテイシュー帯8」は、本願発明の「機能性粉粒体を含有する帯状シート」に相当し、同様に「パッド25」は「シート材からなる機能性材料」に、そして、「スタンプで結合する」ことは「封止する」ことに、それぞれ相当する。
引用発明2において、外側被覆5は、パッド25を中心にその両端縁が少し重なるように折り畳まれるものであるから、パッド25を全体にわたり被覆するものであり、パッド25の下方に位置する部分より狭幅であることは明白であって、その内、パッド25の下方に位置する部分が、本願発明の第1のカバーシートに相当し、同様に、パッド25側に折り返し、パッド25の左右両側を封止するとともに、折り返し部分から構成される部分を第2のカバーシートということができる。
してみると、本願発明に倣い、引用発明2は次のように言い換えることができる。
「機能性粉粒体を含有する帯状シートを所定間隔でその幅方向にわたり裁断してシート材からなる機能性材料を製造しながら、所定方向に走行する連続帯状の第1のカバーシート上に、該機能性材料を第1のカバーシートよりも狭幅で間欠的に配置し、次いで該機能性材料上に、第2のカバーシートを配置し両シートによって該機能性材料をその全体にわたり被覆した後、両カバーシートによる前記機能性材料の封止位置において両カバーシートを幅方向に裁断して、第1及び第2のカバーシート並びに両カバーシート間に挟持された前記機能性材料を有する吸収体を製造する吸収体の製造方法であって、
該機能性材料を第1のカバーシートに配置し、次いで該機能性材料の側縁から側方に延出する第1のカバーシートを、その側縁部同士が重ね合わされるように該機能性材料側に折り返して該機能性材料の左右両側を封止するとともに、折り返し部分から構成される前記第2のカバーシートを該機能性材料上に配置するようにした吸収体の製造方法。」

第5 判断
1.相違点1について
本願明細書の段落【0003】には、機能性材料を連続帯状に形成し、所定間隔でその幅方向にわたり裁断することが従来技術として記載されている。
一方、前述のように、引用発明2には、機能性粉粒体を含有する帯状シートを所定間隔でその幅方向にわたり裁断してシート材からなる機能性材料を製造しながら、所定方向に走行する連続帯状の第1のカバーシート上に、機能性材料を第1のカバーシートよりも狭幅で間欠的に配置することが示されている。
してみると、機能性材料を連続帯状に形成し、所定間隔でその幅方向にわたり裁断することは、本願出願前より、広く知られた吸収体の製造方法というべきであって、吸収性物品の製造に際して、引用発明1のように、予め所望の形状に成形した機能性部材をカバーシート上に配置することも、帯状シートの形態の機能性部材を所望の形状に切断しながらカバーシート上に供給することも、本願出願前より適宜選択されている事項というべきである。
そして、引用発明1には、キャリアティッシュ2における吸収性材料層の配置面の下方にサクション手段が対向して設けることにより、サクション手段の吸引力により吸収性材料層をキャリアティッシュ2上に間欠的に配置することが示されているのであるから、前述のような周知の吸収体の製造方法にこれを適用し、吸収性材料層に代え、連続帯状の機能性材料を所定間隔でその幅方向にわたり裁断したシート材を、サクション手段の吸引力によりキャリアティッシュ2上に間欠的に配置するようにすることは、これを妨げる特段の事情も見当たらず、当業者が容易に想到し得ることである。

2.相違点2について
引用発明1においても、吸収性材料層を挟む、キャリヤティッシュ2及びカバーティッシュは、吸収性物品本来の目的に照らして、吸収性物品を被覆するものであり、そのためには少なくとも一方が吸収性材料層より広幅であることが好ましいことは当業者にとって当然ともいうべき事項である。
そして、引用発明2には、前述のように本願発明に倣い、機能性材料は、第1のカバーシートよりも狭幅であり、第1のカバーシート及び第2のカバーシートによってその全体にわたり被覆され、機能性材料の側縁から側方に延出する第1のカバーシートを、その側縁部同士が重ね合わされるように該機能性材料側に折り返して該機能性材料の左右両側を封止するとともに、折り返し部分から構成される前記第2のカバーシートを該機能性材料上に配置することが示されている。
してみれば、相違点2に係る構成は、実質的に引用発明2にすべて示されているということができ、しかも、吸収性物品の吸収体を表面シートで被覆する態様として、複数の吸収体を所定の間隔で帯状の表面シートで包み込んで被覆することは、引用文献3にも記載されているように本願出願前より周知の技術というべきであるから、引用発明1に引用発明2の上記構成を適用することも当業者が容易に想到し得る事項である。

3.相違点3について
一般的な衛生吸収パッドの商品形態からみて、引用発明1においても、キャリアティッシュ2及びカバーティッシュ間に挟持された吸収性材料層を有する吸収体を、パッド25の前後端でキャリアティッシュ2及びカバーティッシュを結合して封止することは、適宜採用し得ることと解される。
一方、引用発明2には、分離位置27において、個々の吸収パッドに分離するとともに、外側被覆5の前後に突出する部分をスタンプで結合することが示されており、このような結合を、分離すなわち外側被覆の切断と同時にするか、あるいは結合後に切断するかは、当業者が具体化に当たり適宜決定し得る程度の設計的事項というべきである。
しかも、このような結合手段として、ホットメルト粘着剤を使用することは、引用文献4にみられるように、本願出願前より周知の技術であるから、本願発明の相違点3に係る構成は、前述のように引用発明1に引用発明2を適用する際に、当業者が適宜採用し得る程度の事項にすぎないものである。

4.相違点4について
前述のように、引用文献4には、パルプ及びポリマーを含有する吸収体を成形しながら、連続して供給される台紙上に間欠的に配置する方法において、吸収体の配置面と反対側の位置に吸引装置を設け、上記台紙には吸収体受取部に搬送される前にホットメルトを供給することが記載されている。
こうした技術を踏まえれば、本願の相違点4に係る構成は、上述のように引用発明1に引用発明2を適用する際に、当業者が適宜採用し得る事項にすぎないものである。

5.相違点5について
一般に飛散する塵埃が物品等に付着するのを防止するため、カバーや遮蔽板等で塵埃発生箇所と当該物品等とを隔離することは、例を挙げるまでもなく、古くより日常生活でもなされている程度の事項と解されるところ、衛生用品等の製造工程において、切断時等に飛散する粉粒体や塵埃等の好ましくない混入物が製品に混入することを回避することは、その方法がいかなるものであっても当業者が当然配慮すべき事項というべきである。
なお、引用文献4の段落【0003】等には、従来技術としてポリマーをドラムに吹き付けるためにフードを設けることが記載されており、このフードは、上述の本来的な機能に加え、ポリマーの飛散を防止する隔離板としての機能を併せ持つことは明白である。
したがって、上記「1.相違点1について」で検討したように、引用発明1に引用発明2を適用し、機能性粉粒体を含有する帯状シートを所定間隔でその幅方向にわたり裁断してシート材からなる機能性材料を製造しながら、所定方向に走行する連続帯状の第1のカバーシート上に、機能性材料を第1のカバーシートよりも狭幅で間欠的に配置するに際し、機能性材料の裁断と第1のカバーシート上へ配置とを、隔離板によって隔離することは、当業者が必要に応じて適宜なし得る設計的事項である。

6.まとめ
本願発明を全体構成でみても、引用発明1、引用発明2及び上述した周知の技術から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。
したがって、本願発明は、引用発明1、引用発明2及び上述した周知の技術に基づき、当業者が発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1、引用発明2及び上述した周知の技術に基づき、当業者が発明をすることができたものであり、特許を受けることができない発明であるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきもである。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-11-28 
結審通知日 2008-12-02 
審決日 2008-12-17 
出願番号 特願2000-149249(P2000-149249)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 島田 信一植前 津子  
特許庁審判長 石原 正博
特許庁審判官 熊倉 強
村山 禎恒
発明の名称 吸収体の製造方法  
代理人 羽鳥 修  

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