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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G
管理番号 1192019
審判番号 不服2006-5986  
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-30 
確定日 2009-02-05 
事件の表示 特願2001-296762「電荷発生層用塗料の製造方法、及び電子写真感光体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 6月21日出願公開、特開2002-174914〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯・本願発明
本願は、平成13年9月27日(優先権主張:平成12年9月28日)の出願であって、平成18年2月22日付けで拒絶査定がなされ、それに対し同年3月30日に拒絶査定に対する査定不服審判の請求がなされたものであって、その請求項1に係る発明は、平成20年9月12日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと一応認める。(以下、「本願発明」という。)
ここで、「粘度200mPa・s以上」の点については、III.3.で後述するように、「粘度200mPa・s以上」という事項で表される範囲を正確に特定することはできない点で明確さを欠くものの、当該事項は、結着樹脂溶液の組成に由来する特性によって結局は結着樹脂溶液の組成を示すものと言えるところ、当該事項を満たすような結着樹脂溶液の組成は実施例としてその一部が示されており、本願発明の一部を特定することは可能であるため、一応、次のとおり認定した上で以降の検討を行う。

「【請求項1】電荷発生層と電荷輸送層とを備えた感光層を有する電子写真感光体の該電荷発生層を形成するための電荷発生層用塗料の製造方法において、
結着樹脂を溶剤に溶解し粘度200mPa・s以上の結着樹脂溶液を作成する工程と、
該結着樹脂溶液に電荷発生物質を投入する工程と、
該結着樹脂溶液中で分散メディアとしてガラスビーズを用いたバッチ式のサンドミル装置を用いて該電荷発生物質を分散する工程とを有し、且つ、
該結着樹脂溶液に電荷発生物質を投入する工程の前に、該結着樹脂溶液に該分散メディアを投入する工程を有し、更に、
該結着樹脂がポリビニルブチラール樹脂であり、
該電荷発生物質が、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶であることを特徴とする電荷発生層用塗料の製造方法。」

II.当審の拒絶理由
一方、当審において平成20年7月8日付けで通知した拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
1.本願発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された下記刊行物1?4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、
(刊行物)
刊行物1:特開2000-137340号公報
刊行物2:特開2000-147801号公報
刊行物3:特開平4-320268号公報
刊行物4:特開平3-6871号公報
(特開平3-68741号公報の誤記)

2.本件出願は、明細書及び図面の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号並びに同条第4項に規定する要件を満たしてない、

III.当審の判断
1.刊行物に記載された発明
上記刊行物1?4には、次の事項が記載されている。

・刊行物1(平成17年9月22日付け拒絶理由通知における引用文献等5)
(1a)「【請求項1】 支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、CuKα特性X線回折における回折角(2θ)の27.2゜±0.2゜に最も強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン及びCuKα特性X線回折における回折角(2θ)の7.4゜±0.2゜及び28.2゜±0.2゜に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有することを特徴とする電子写真感光体。」
(1b)「【請求項6】 感光層が、電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該電荷発生層が、CuKα特性X線回折における回折角(2θ)の27.2゜±0.2゜に最も強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン及びCuKα特性X線回折における回折角(2θ)の7.4゜±0.2゜及び28.2゜±0.2゜に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有する請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。」
(1c)「【0049】
【実施例】実施例1
・・・(中略)・・・
【0051】次に、前記製造例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニン結晶7.2部と製造例2で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶0.8部を、ポリビニルブチラール(商品名エスレックBX-1、積水化学(株)製)4部をシクロヘキサノン100部に溶解した溶液に添加し、1mmφガラスビースを用いたサンドミルで2時間分散し、これに100部の酢酸エチルを加えて希釈した。この分散液を下引き層上に浸漬塗布し、100℃で10分間乾燥することによって、膜厚0.18μmの電荷発生層を形成した。」

・刊行物2
(2a)「【0101】(実施例5)CuKαの特性X線回折のブラック角(2θ±0.2°)の7.4°、28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを3部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学製)2部、及びシクロヘキサノン35部を加えて1mmφガラスビーズを用いて、サンドミル装置で温度20±3℃の雰囲気化で5時間分散した。この液を所定の割合に調製し、透過型電子顕微鏡(日立製作所(株)製;H7500)で観察したところ、粒子の最大長径は300nmであった。・・・(中略)・・これを浸漬法で塗布し、膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。」

・刊行物3
(3a)「【0013】電荷発生物質として構造式
【0014】
【化1】(構造式は省略)
のジスアゾ顔料10部、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX-1、積水化学製)6部及びシクロヘキサノン50部をガラスビーズを用いたサンドミル装置で分散した。この分散液にテトラヒドロフラン100部を加えて、先の洗浄済シリンダー上に塗布して0.2μm厚の電荷発生層を形成した。」

・刊行物4
(4a)「次に、下記構造式のビスアゾ顔料10部(重量部、以下同様)、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBXL、積水化学社製)8部およびシクロヘキサノン60部を直径1mmのガラスビーズを収容したサンドミル装置で20時間分散処理した。この分散液にメチルエチルケトンを100部加えて塗布液とした。
(構造式は省略)
この塗布液を用いて従来の浸漬塗布法により、下引層上に電荷発生層を塗布した。」

2.対比
上記摘記事項(1a)?(1c)より、刊行物1には下記の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。
「電荷発生層と電荷輸送層とを備えた感光層を有する電子写真感光体の該電荷発生層を形成するための分散液の製造方法において、
結着樹脂を溶剤に溶解し結着樹脂溶液を作成する工程と、
該結着樹脂溶液に電荷発生物質を添加する工程と、
該結着樹脂溶液中でガラスビーズを用いたサンドミル装置を用いて該電荷発生物質を分散する工程を有し、更に、
該結着樹脂がポリビニルブチラール樹脂であり、
該電荷発生物質がヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶及びオキシチタニウムフタロシアニン結晶である、電荷発生層を形成するための分散液の製造方法。」

そこで、本願発明1と刊行物1発明とを対比すると、刊行物1発明の「電荷発生層を形成するための分散液」「添加する」は、本願発明の「電荷発生層用塗料」「投入する」に相当し、刊行物1発明の「ガラスビーズ」が本願発明の「分散メディア」として用いられることは明らかである。
してみると、本願発明と刊行物1発明とは、
「電荷発生層と電荷輸送層とを備えた感光層を有する電子写真感光体の該電荷発生層用塗料の製造方法において、
結着樹脂を溶剤に溶解し結着樹脂溶液を作成する工程と、
該結着樹脂溶液に電荷発生物質を投入する工程と、
該結着樹脂溶液中で分散メディアとしてガラスビーズを用いたサンドミル装置を用いて該電荷発生物質を分散する工程とを有し、更に、
該結着樹脂がポリビニルブチラール樹脂であり、
該電荷発生物質として、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層用塗料の製造方法。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
本願発明が結着樹脂溶液の粘度を「200mPa・s以上」と限定するのに対して刊行物1発明の結着樹脂溶液は粘度が特に限定されない点。

[相違点2]
本願発明のサンドミル装置が「バッチ式」であるのに対し、刊行物1発明は特にそのような限定が無い点。

[相違点3]
本願発明は「該結着樹脂溶液に電荷発生物質を投入する工程の前に、該結着樹脂溶液に該分散メディアを投入する工程を有」するのに対し、刊行物1発明では結着樹脂溶液に電荷発生物質を投入する工程と分散メディアを投入する工程との順序を特に限定していない点。

[相違点4]
本願発明は「電荷発生物質がヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶である」のに対し、刊行物1発明はヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶とともにオキシチタニウムフタロシアニン結晶を同時に使用している点。

3.判断
上記相違点について検討する。

[相違点1]について
刊行物1には、結着樹脂溶液の粘度について特に記載はない。結着樹脂が特定のものの場合に、同じ溶媒を用いた結着樹脂溶液の粘度を決定する大きな要因が結着樹脂の濃度であることを考慮すれば、本願発明の「粘度200mPa・s以上の結着樹脂溶液」とは、濃度が比較的高い結着樹脂溶液と言える。この点について本願発明の実施例を見るに、例えば実施例1では「ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX-1、積水化学社製)6部をシクロヘキサノン114部に溶解し」て用いており、刊行物1発明の実施例における「ポリビニルブチラール(商品名エスレックBX-1、積水化学(株)製)4部をシクロヘキサノン100部に溶解した」場合とは樹脂と溶媒がそれぞれ同じであるとともに、得られる濃度もかけ離れた濃度ではない。
この濃度について見るに、刊行物2?4には、電荷発生層用塗料に用いる結着樹脂及び溶媒として、ポリビニルブチラール樹脂とシクロヘキサノンとを用い、シクロヘキサノンに対するポリビニルブチラール樹脂の濃度を上記本願発明の実施例より高濃度とする例が記載されている((2a)(3a)(4a)より)。特に、刊行物3には「ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX-1、積水化学製)6部及びシクロヘキサノン50部」を電荷発生物質として用いる顔料とともにサンドミル装置で分散処理することが記載されているが、この積水化学社製「エスレックBX-1」は本願発明の実施例で用いるポリビニルブチラール樹脂と同一の製品である。
してみると、本願発明の粘度が得られる程度の濃度は、電荷発生層用塗料の結着樹脂の濃度として周知の範囲に過ぎず、本願発明と同じ結着樹脂及び溶媒を用いた場合であっても格別のものとは言えない。
電荷発生層用塗料の濃度や粘度は、塗工時の操作性や乾燥速度、塗料の分散性・安定性などを勘案して当業者が状況に応じ適宜定めるべきものであるから、刊行物1発明の電荷発生層用塗料の製造方法において特に限定されない結着樹脂溶液の濃度を、結着樹脂と溶媒の組合せが同じである刊行物3に記載の例を参照し、また溶液中の顔料の分散性を考慮して設定し、結果として結着樹脂溶液の粘度を200mPa・s以上とすることは当業者の通常の創作能力の発揮を超えるものではない。
この点について、審判請求人は、平成20年9月12日付け意見書において、ポリビニルブチラール樹脂は製品によって分子内の水酸基の割合が異なっており、それによって溶液の粘度が異なること、そして、刊行物2及び刊行物4に記載の樹脂溶液を再現すると本願発明の粘度範囲を下回っており、本願発明の粘度を呈する濃度で結着樹脂を溶解する例が刊行物には記載されていないこと、の2点を前提として、単に結着樹脂の濃度が近接しているからといって結着樹脂溶液の粘度が近接しているとは一義的には言えない旨、したがって刊行物1?4に基づいて結着樹脂溶液の粘度を本願発明の範囲とすることは当業者であっても容易に想到し得ない旨を主張する。
しかしながら、上述のとおり、刊行物3には本願発明の実施例と同じ製品であるポリビニルブチラール樹脂を用いた場合であっても、高濃度で溶液とする例が記載されており、この点で審判請求人の上記主張はその前提を欠いている。
また、電荷発生剤である顔料の分散性を良好にすることは上で述べたように当該分野において当然の課題であり、例えば刊行物2にも、上記の処理を経て得られた溶液中の粒子の「最大長径は300nmであった」と記載されている。本願発明1の実施例の結果を示す【表1】には、分散直後の平均粒径が0.08?0.15μm、標準偏差が0.10?0.17μmであることが示されており、粒径の分布が正規分布とすれば、刊行物2の溶液中の粒径は本願発明1の実施例と同程度のものと言え、本願発明の効果は従来技術に比べて格別顕著なものとは言えない。

[相違点2]について
サンドミル装置にはバッチ式のものと連続式のものがあるが、電荷発生層用塗料の製造にバッチ式のものを用いることは通常行われることに過ぎず、実質的な相違点ではない。

[相違点3]について
本願発明の結着樹脂と溶剤及び電荷発生物質のように、複数の異質の材料の分散系を調製する場合に、攪拌速度や攪拌時間のほか、分散装置への材料の投入順や投入速度、投入回数等の種々の条件によって分散性や分散安定性が異なることは技術的常識であるところ、混合攪拌を行う分散メディアの投入のタイミングもそのような分散操作時の条件として、実施に際して当業者が適宜調整するものに過ぎず、電荷発生物質の投入前に分散メディアを投入する工程を置くことは格別のものではない。

[相違点4]について
本願発明の「該電荷発生物質が、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶である」という事項は、文言上、電荷発生物質としてヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を単独で用いることを意味すると通常は解される。
しかし、平成20年9月12日付け手続補正書により補正された明細書の【0034】には、「電荷発生物質として2種以上の顔料を用いてもよく、混合する場合は・・・(中略)・・・。用いられる顔料としては、フタロシアニン顔料が挙げられる。」と記載され、また、審判請求人自身も、同日付け意見書において、相違点4を、本願発明と刊行物1発明との相違点として挙げてはいないことから見て、本願発明は他の電荷発生物質と組み合わせる場合をも包含しようとしているとも考えられ、その場合、相違点4は実質的な相違点ではなくなる。
このように、相違点4に係る本願発明の構成には不明瞭な点も残るが、文言自体は明確であって、本願発明の実施例にはヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を単独で電荷発生物質とする例もあるため、これに本願発明を限定する意図とも解釈できる。そこで、文言どおり、電荷発生物質をヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶単独とするものに限定する構成について検討する。
電荷発生物質として、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、オキシチタニウムフタロシアニン結晶等のフタロシアニン化合物は周知慣用のものであり、それぞれ単独または組み合わせて使用することが広く行われている。そして、例えば上記(2a)より刊行物2にも記載されるように、電荷発生層用塗料とする場合にポリビニルブチラール樹脂及びシクロヘキサノンと組み合わせることも、格別のことではない。
また、本願発明の実施例のうち、オキシチタニウムフタロシアニン結晶を単独で用いた実施例5は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を単独で用いた実施例1?4に比べてより小径に分散でき、かつ経時における分散粒径の変化も無いことから、電荷発生物質の金属フタロシアニンを特にヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶単独に限定することによって、分散性に関して特に優れた作用効果を奏するとも認められない。
してみれば、刊行物1発明において、電荷発生物質を周知のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶単独に代えることは、当業者であれば適宜試みる程度のことに過ぎない。

なお、当審で通知した拒絶の理由において、特許法第36条に規定する要件を満たさない点として、本願発明を特定する事項である樹脂溶液の粘度について測定温度が不明である点を指摘した。これに対し、審判請求人は、意見書において次のように主張する。
「また、分散時の温度に関して、本願当初明細書の段落番号[0056]には、結着樹脂溶液にヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を分散させた液体の温度が30℃であったことが記載されています。また、分散開始時における結着樹脂溶液について、特段の温度制御を行ったことを記載していない以上、通常の実験室条件の温度、すなわち、常温であると解するのが至当であり、さすれば、分散過程は、約25℃?30℃の範囲で行われたことは、当業者であれば理解することができるものと思料します。
更に、撹拌条件に関して、ガラスビーズを分散メディアとして用いてサンドミル装置を用いて分散を行う場合においては、撹拌は、ガラスビーズが破壊されることのない範囲で、できるだけ早い回転数を選択するのが当業者の技術常識であります。
以上のとおり、今回の補正によって、結着樹脂、電荷発生物質、分散装置、及び分散メディアを具体的に特定した補正後の本願発明において、結着樹脂溶液の粘度を200mPa・s以上とすることの技術的意義は明確であると思料します。
更にまた、結着樹脂溶液の粘度の測定温度の記載がない点に関して、先に述べた通り、電荷発生物質を投入する際の結着樹脂溶液について、特段の温度制御を行ったことを記載していない以上、常温における粘度であることもまた、当業者には自明のことと思料します。」
しかしながら、例えば日本工業規格では常温を20℃±15℃(JIS 8703)と規定しているなど、「常温」と呼ばれる温度には幅があり、審判請求人が「約25?30℃」と限定する根拠が不明である。また、例えば上記「常温」と呼ばれる温度領域において、低温側と高温側とで結着樹脂溶液の粘度にどの程度の差が生じるのかも示されておらず、測定温度を明確に限定しなくても粘度によって結着樹脂溶液を特定できるという根拠は見出せない。よって、本願発明の樹脂溶液の構成とその範囲を特定することは依然できないと言わざるを得ない。
以上のとおり、本願発明は、刊行物1?4に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

IV.むすび
したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、当審で通知した上記拒絶の理由によって拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-10-17 
結審通知日 2008-10-21 
審決日 2008-12-12 
出願番号 特願2001-296762(P2001-296762)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (G03G)
P 1 8・ 121- WZ (G03G)
P 1 8・ 537- WZ (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菅野 芳男  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 伏見 隆夫
淺野 美奈
発明の名称 電荷発生層用塗料の製造方法、及び電子写真感光体の製造方法  
代理人 西山 恵三  
代理人 内尾 裕一  

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