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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20056282 審決 特許
不服200627219 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C12N
管理番号 1193289
審判番号 不服2005-21902  
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-11-14 
確定日 2009-02-25 
事件の表示 平成 7年特許願第501964号「T細胞の増殖を選択的に刺激する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年12月22日国際公開、WO94/29436、平成 8年11月26日国内公表、特表平 8-511166〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年6月3日を国際出願日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1993年6月4日 米国)とする出願であって、その請求項1に係る発明は、平成17年12月14日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「(a)一次活性化シグナルをT細胞に提供し、それによって該T細胞を活性化させる第1剤;および
(b)T細胞の表面上の補助分子を刺激し、それによって活性化したT細胞を刺激する第2剤
が直接的に固定化された固相表面とT細胞の集団とを接触させ、それによって、該第1剤および第2剤がT細胞の増殖を誘導することを特徴とするT細胞の集団の増殖を誘導するための方法。」(以下、「本願発明」という。)
2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された本願優先日前に頒布された刊行物であるCellular Immunology(1989)Vol.120,p.205-217 (以下、「引用例」という。)には、
「図1Aに示すように、SPB-OKT3("solid-phase-bound OKT3" の略)がSPB-mAb 9.3と併用されると、同様に、これらT細胞が増殖した。このことは、SPB-mAb 9.3が補助細胞に取って代わり得ることを示唆している。…抗マウスIgGがコートされたプレート上でこれらの実験において細胞が培養されたので、OKT3及びmAb 9.3が固定化された形態で存在したことは明らかである。可溶性のmAb 9.3も同様に効果があるか否かを調べるために、Geppert及びLipskyによって記述されるようにOKT3で培養プレートをコートした実験を実施した。…rIL-2又は可溶性のmAb 9.3が添加されない限り、T細胞はこのSPB-OKT3に対して増殖しなかった。このように、可溶性のmAb 9.3は補助的なシグナルを提供できる。しかしながら、mAb 9.3の効果は、OKT3及びmAb 9.3の両者が固相に結合したヤギ抗マウスIgGで固相化された時に、ずっと明白になる。」(第209頁第28行?第44行、と記載されている。
引用例に記載の上記OKT3、mAb 9.3とは、それぞれ、抗CD3抗体、抗CD28抗体であり、引用例には、両抗体をそれぞれ固相表面に固定化した場合には、抗CD28抗体を固定化せず、可溶型で用いた場合に比べ、T細胞の増殖をより誘導できることが記載されている。

3.対比・判断
本願発明と引用例に記載された発明とを比較すると、引用例に記載のOKT3(抗CD3抗体)、mAb 9.3(抗CD28抗体)はそれぞれ、本願発明における「一次活性化シグナルをT細胞に提供し、それによって該T細胞を活性化させる第1剤」、「T細胞の表面上の補助分子を刺激し、それによって活性化したT細胞を刺激する第2剤」に相当し、一方、引用例に記載のOKT3及びmAb 9.3のSPB(固相結合)の方法は、引用例第208頁第第23行?第27行の記載からみて、二次抗体を介して間接的に固相表面に固定化するものであるので、両者は、(a)一次活性化シグナルをT細胞に提供し、それによって該T細胞を活性化させる第1剤、および(b)T細胞の表面上の補助分子を刺激し、それによって活性化したT細胞を刺激する第2剤とが固定化された固相表面とT細胞の集団とを接触させ、それによって、該第1剤および第2剤がT細胞の増殖を誘導することを特徴とするT細胞の集団の増殖を誘導するための方法である点で一致するが、両者は、第1剤及び第2剤の固相表面への固定化が、前者では直接的であるのに対して、後者では間接的である点で相違する。
しかしながら、抗体等の固相表面への固定化として、直接的に固定化すること、及び二次抗体を介して間接的に固定化することは、それぞれ、本願優先日前周知の手段であって、両者は適宜選択可能な事項であるので、引用例に記載の間接的な固定化に代え、直接的に固定化することは、当業者が適宜なし得たことである。
そして、本願明細書には第1剤及び第2剤とも直接的に固定化した固相表面を用いた場合の実施例が記載されておらず、その効果が確認されていないので、本願発明において奏せられる効果が引用例から予測できない程の格別なものであるということはできない。
したがって、本願発明は引用例の記載から当業者が容易になし得たものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
4.むすび
以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、他の請求項に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-09-26 
結審通知日 2008-09-30 
審決日 2008-10-14 
出願番号 特願平7-501964
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C12N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 六笠 紀子新見 浩一  
特許庁審判長 種村 慈樹
特許庁審判官 光本 美奈子
鈴木 恵理子
発明の名称 T細胞の増殖を選択的に刺激する方法  
代理人 田中 光雄  
代理人 田中 光雄  
代理人 矢野 正樹  
代理人 青山 葆  
代理人 青山 葆  
代理人 矢野 正樹  
代理人 矢野 正樹  
代理人 青山 葆  
代理人 田中 光雄  

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