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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1193633
審判番号 不服2007-13579  
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-10 
確定日 2009-03-05 
事件の表示 特願2001-337689「電子部品実装ラインにおける基板搬送装置および基板搬送方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月16日出願公開、特開2003-142882〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件審判に係る出願は、平成13年11月2日に出願されたもので、平成19年1月5日付け拒絶理由通知書が送付され、願書に添付した明細書又は図面についての同年3月8日付け手続補正書が提出されたものの、同年4月2日付けで拒絶査定されたものである。
そして、本件審判は、この拒絶査定を不服として請求されたもので、上記明細書又は図面についての平成19年5月31日付け手続補正書が提出されている。

2.原査定
原査定の拒絶理由の1つは、以下のとおりのものと認める。

「この出願の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である特開平4-176528号公報に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」

「特開平4-176528号公報」を、以下、「引用刊行物」という。

3.当審の判断

3-1.平成19年5月31日付け手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)について
本件補正は、以下に詳述するように、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3-1-1.本件補正の内容
本件補正は、以下の補正事項aを有するものと認める。

補正事項a;特許請求の範囲の記載につき、以下(cl)を(CL)と補正する。

(cl);「【請求項1】 基板に電子部品を実装する電子部品実装装置が複数直列に配置された電子部品実装ラインにおいて基板を上流側から下流側へ搬送する基板搬送装置であって、前記電子部品実装装置の上方にそれぞれの前記電子部品実装装置に対応して基板搬送方向に配設された基板搬送部と、少なくとも相隣る2つの電子部品実装装置の間に配置されて電子部品実装装置に設けられた実装コンベアの高さレベルと前記基板搬送部の高さレベルとの間を昇降する基板振り分け手段とを備え、前記基板搬送部は、未実装基板を搬送する第1の搬送部と実装済み基板を搬送する第2の搬送部とを有し、前記基板振り分け手段は、上流側の第1の搬送部から受け取った未実装基板を下流側の電子部品実装装置または第1の搬送部のいずれかに渡し、上流側の第2の搬送部または電子部品実装装置のいずれかから受け取った実装済み基板を下流側の第2の搬送部へ渡すことを特徴とする電子部品実装ラインにおける基板搬送装置。
【請求項2】 基板に電子部品を実装する電子部品実装装置が複数直列に配置された電子部品実装ラインにおいて基板を上流側から下流側へ搬送する基板搬送方法であって、前記電子部品実装装置の上方にそれぞれの前記電子部品実装装置に対応して基板搬送方向に配設され未実装基板を搬送する第1の搬送部と実装済み基板を搬送する第2の搬送部とを有する基板搬送部と、少なくとも相隣る2つの電子部品実装装置の間に配置されて電子部品実装装置に設けられた実装コンベアの高さレベルと前記基板搬送部の高さレベルとの間を昇降して上流側の第1の搬送部から受け取った未実装基板を下流側の電子部品実装装置または第1の搬送部のいずれかに渡し、上流側の第2の搬送部または電子部品実装装置のいずれかから受け取った実装済み基板を下流側の第2の搬送部へ渡す基板振り分け手段とを備えた基板搬送装置によって基板を搬送する基板搬送工程は、前記電子部品実装装置に上流側の第1の搬送部から受けとった未実装基板を前記基板振り分け手段によって渡す基板搬入工程と、この電子部品実装装置において前記未実装基板に電子部品を実装する部品実装工程と、前記電子部品実装装置における実装が完了した実装済み基板を基板振り分け手段によって受け取る実装済み基板受け取り工程と、1つの電子部品実装装置における部品実装工程中に当該電子部品実装装置の上流側の第1の搬送部から受け取った未実装基板を第1の搬送部によって当該電子部品実装装置をバイパスして下流側へ搬送する未実装基板バイパス工程と、1つの電子部品実装装置における部品実装工程中に当該電子部品実装装置の上流側の電子部品実装装置または第2の搬送部から受け取った実装済み基板を第2の搬送部によって当該電子部品実装装置をバイパスして下流側へ搬送する実装済み基板バイパス工程とを含むことを特徴とする電子部品実装ラインにおける基板搬送方法。」

(CL)「【請求項1】基板に電子部品を実装する電子部品実装装置が複数直列に配置された電子部品実装ラインにおいて基板を上流側から下流側へ搬送する基板搬送装置であって、前記電子部品実装装置の上方にそれぞれの前記電子部品実装装置に対応して基板搬送方向に配設された基板搬送部と、少なくとも相隣る2つの電子部品実装装置の間に配置されて電子部品実装装置に設けられた実装コンベアの高さレベルと前記基板搬送部の高さレベルとの間を昇降する基板振り分け手段とを備え、前記基板搬送部は、未実装基板を搬送する第1の搬送部と実装済み基板を搬送する第2の搬送部とを有し、この第1の搬送部と第2の搬送部は上下2段に高さ位置が固定されており、前記基板振り分け手段は、上流側の第1の搬送部から受け取った未実装基板を下流側の電子部品実装装置または第1の搬送部のいずれかに渡し、上流側の第2の搬送部または電子部品実装装置のいずれかから受け取った実装済み基板を下流側の第2の搬送部へ渡すことを特徴とする電子部品実装ラインにおける基板搬送装置。
【請求項2】基板に電子部品を実装する電子部品実装装置が複数直列に配置された電子部品実装ラインにおいて基板を上流側から下流側へ搬送する基板搬送方法であって、前記電子部品実装装置の上方にそれぞれの前記電子部品実装装置に対応して基板搬送方向に配設されて上下2段に高さ位置が固定された未実装基板を搬送する第1の搬送部と実装済み基板を搬送する第2の搬送部とを有する基板搬送部と、少なくとも相隣る2つの電子部品実装装置の間に配置されて電子部品実装装置に設けられた実装コンベアの高さレベルと前記基板搬送部の高さレベルとの間を昇降して上流側の第1の搬送部から受け取った未実装基板を下流側の電子部品実装装置または第1の搬送部のいずれかに渡し、上流側の第2の搬送部または電子部品実装装置のいずれかから受け取った実装済み基板を下流側の第2の搬送部へ渡す基板振り分け手段とを備えた基板搬送装置によって基板を搬送する基板搬送工程は、前記電子部品実装装置に上流側の第1の搬送部から受けとった未実装基板を前記基板振り分け手段によって渡す基板搬入工程と、この電子部品実装装置において前記未実装基板に電子部品を実装する部品実装工程と、前記電子部品実装装置における実装が完了した実装済み基板を基板振り分け手段によって受け取る実装済み基板受け取り工程と、1つの電子部品実装装置における部品実装工程中に当該電子部品実装装置の上流側の第1の搬送部から受け取った未実装基板を第1の搬送部によって当該電子部品実装装置をバイパスして下流側へ搬送する未実装基板バイパス工程と、1つの電子部品実装装置における部品実装工程中に当該電子部品実装装置の上流側の電子部品実装装置または第2の搬送部から受け取った実装済み基板を第2の搬送部によって当該電子部品実装装置をバイパスして下流側へ搬送する実装済み基板バイパス工程とを含むことを特徴とする電子部品実装ラインにおける基板搬送方法。」

ここ「3-1」では、本件補正前の請求項1を旧【請求項1】といい、本件補正後の請求項1を新【請求項1】という。

3-1-2.本件補正の適否

1)補正事項aは、旧【請求項1】を新【請求項1】とする特許請求の範囲についてする補正を有するものであって、旧【請求項1】の「前記基板搬送部は、未実装基板を搬送する第1の搬送部と実装済み基板を搬送する第2の搬送部とを有し、」との記載を、「前記基板搬送部は、未実装基板を搬送する第1の搬送部と実装済み基板を搬送する第2の搬送部とを有し、この第1の搬送部と第2の搬送部は上下2段に高さ位置が固定されており、」とし、基板搬送部につき、技術的に限定するもので、いわゆる、限定的減縮を目的にしているといえる。

2)そこで、新【請求項1】に係る発明(以下、「補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるかについて検討する。

2-1)補正発明は、新【請求項1】に記載された事項により特定されるもので、同項の記載は、先に「3-1-1」で「(CL)」の請求項1として認定したとおりのものと認める。

2-2)本件審判に係る出願の出願前に頒布された刊行物であることが明らかな引用刊行物には、以下の記載a?fが認められる。

a;「第1図は本発明の一実施例における搬送装置を有する生産装置の概略を示している。第1図において、10,11,12は前工程から移送されたプリント基板4にすべての部品を実装する第1,第2,第3の部品実装設備であり、これら3つの部品実装設備10,11,12は、第1の搬送ラインL_(1)に沿って設置されている。13,14,15は各部品実装設備10,11,12に設置された搬送装置であり、これら各搬送装置13,14,15は、搬送方向に沿って配置された複数のベルトコンベヤA、B,Cからなる。」(2頁左下欄下から2行?右下欄9行)
b;「18,19は上記部品実装設備10、11に平行に設置されたバイパス搬送装置であり、これらバイパス搬送装置18,19は上記搬送装置13,14,15が配置された第1のラインL_(1)に平行な第2のラインL_(2)上に配置されている。20は部品実装設備11の搬送装置14に平行に配置された作業終了品搬送用の終了品搬送装置、21は部品実装設備12の搬送装置15に平行に配置された作業終了品搬送用の終了品搬送装置であり、上記終了品搬送装置20,21は、上記第1のラインL_(1)と第2のラインL_(2)との間の第3のラインL_(3)に沿って配置されている。」(3頁左上欄5行?下から5行)
c;「22,23,24,25はラインL_(1)、L_(2)、L_(3)に対して直交する方向に移動可能な可動搬送装置であり、」(3頁右上欄4?6行)
d;「第3図は、部品実装設備13,14,15へのプリント基板4の搬送経路を示し、また第4図は部品実装設備13,14,15での部品実装作業が終了したプリント基板4の搬出経路を示している。」(4頁右上欄3?6行)及び第3図?第4図(6頁)
e;「また上記実施例は同一の3台の部品実装設備10,11,12を設備しているが、4台以上使用することも可能であり、この場合には部品実装設備11、終了品搬送装置20、バイパス搬送装置19、可動搬送24を1セットとする設備を部品実装設備11と12との間、又は部品実装設備11、終了品搬送装置20、バイパス搬送装置19、可動搬送23を1セットとする設備を部品実装設備10と11との間に設置すればよいものである。」(4頁右上欄下から6行?左下欄4行)
f;「第1図は本発明の一実施例における搬送装置を有する製造装置の概略図、」(5頁左上欄5?6行)及び第1図(5頁)

2-3)引用刊行物には、記載全体から見て、搬送装置を有する生産装置が記載され、記載a?fは、上記生産装置について説明するものと認められ、これら記載a?eに記載の内容を記載fを参照しつつ、順次、見ていくことにする。
記載aには、プリント基板4にすべての部品を実装する3台の部品実装設備10、11、12が、この順に、第1の搬送ラインL_(1)に沿って設置された部品実装ラインが記載され、これら部品実装設備10、11、12、それぞれには、ベルトコンベヤA、B、Cからなる搬送装置13、14、15が設置されていることも記載されている。
また、記載bには、部品実装設備10、11、それぞれに対応し、第2の搬送ラインL_(2)に沿って設置された2台のバイパス搬送装置18、19が記載され、更に、部品実装設備11、12、それぞれに対応し、第3の搬送ラインL_(3)に沿って設置された2台の作業終了品搬送用の終了品搬送装置20、21も記載されている。そして、このバイパス搬送装置18、19は、記載dを見ると、実装が未だ為されていないプリント基板4を搬送するもので、また、この終了品搬送装置20、21は、同じく記載dを見ると、実装が終了したプリント基板4を搬送するものであることが窺える。
更に、記載cには、第1、第2、第3の搬送ラインL_(1)、L_(2)、L_(3)に対して直交する方向に移動可能な、可動搬送装置24が記載されている。そして、この可動搬送装置24は、記載dの第3図及び第4図から見て、バイパス搬送装置19から受け取ったプリント基板4を搬送装置15、すなわち、部品実装設備12に渡し、また、搬送装置14、すなわち、部品実装設備11又は終了品搬送装置20から受け取ったプリント基板4を終了品搬送装置21へ渡すものであることが窺える。
次に、記載eには、部品実装設備11、終了品搬送装置20、バイパス搬送装置19及び可動搬送24(審決注;これら「部品実装設備11、終了品搬送装置20及びバイパス搬送装置19」を、以下、「部品実装設備11b、終了品搬送装置20b及びバイパス搬送装置19b」という。)を1セットとする設備を部品実装設備11と12との間に設置することが記載されている。そして、このように設置されたものにおいて、可動搬送装置24は、バイパス搬送装置19から受け取った実装が未だ為されていないプリント基板4を部品実装設備11b又はバイパス搬送装置19bのいずれかに渡し、終了品搬送装置20又は部品実装設備11のいずれかから受け取った実装が終了したプリント基板4を終了品搬送装置20bへ渡すよう構成するのは、引用刊行物の記載全体から見て、明らかである。
加えて、プリント基板4に実装する部品に、少なくとも、電子部品が含まれることは、明らかなことである。
そして、以上の検討を踏まえると、引用刊行物には、大凡のものとして、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「プリント基板4にすべての電子部品を実装する4台の電子部品実装設備10、11、11b、12が、この順に、第1の搬送ラインL_(1)に沿って設置された電子部品実装ラインにおいてプリント基板4を上流側から下流側へ搬送する装置であって、前記部品実装設備11に対応して、プリント基板4の搬送方向に配設された、終了品搬送装置20とバイパス搬送装置19とからなるプリント基板4を搬送する装置と、同じく前記部品実装設備11bに対応して、プリント基板4の搬送方向に配設された、終了品搬送装置20bとバイパス搬送装置19bとからなるプリント基板4を搬送する装置と、少なくとも相隣る、2つの部品実装設備11と11bの間に配置されて、これら部品実装設備11、11bに設置された、ベルトコンベヤA、B、Cからなる搬送装置14、14bの位置と、終了品搬送装置20、20b及びバイパス搬送装置19、19bの位置との間を移動する可動搬送装置24を備え、バイパス搬送装置19、19bは、実装が未だ為されていないプリント基板4を搬送し、また、終了品搬送装置20、20bは、実装が終了したプリント基板4を搬送するもので、可動搬送装置24は、上流側のバイパス搬送装置19から受け取った実装が未だ為されていないプリント基板4を下流側の電子部品実装設備11b又はバイパス搬送装置19bのいずれかに渡し、上流側の終了品搬送装置20又は部品実装設備11のいずれかから受け取った実装が終了したプリント基板4を下流側の終了品搬送装置20bへ渡す、電子部品実装ラインにおけるプリント基板4を搬送する装置。」

2-4)次に、補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「ベルトコンベヤA、B、Cからなる搬送装置14、14b」及び「可動搬送装置24」は、補正発明の「実装コンベア」及び「基板振り分け手段」に対応し、また、引用発明の「バイパス搬送装置19、19b」及び「終了品搬送装置20、20b」は、補正発明の「第1の搬送部」及び「第2の搬送部」に対応し、そして、引用発明の「終了品搬送装置20とバイパス搬送装置19とからなるプリント基板4を搬送する装置」及び「終了品搬送装置20bとバイパス搬送装置19bとからなるプリント基板4を搬送する装置」は、共に、補正発明の「基板搬送部」に対応しているということができる。
そして、以上の検討を踏まえると、補正発明は、引用発明とは、

「基板に電子部品を実装する電子部品実装装置が複数直列に配置された電子部品実装ラインにおいて基板を上流側から下流側へ搬送する基板搬送装置であって、それぞれの前記電子部品実装装置に対応して基板搬送方向に配設された基板搬送部と、少なくとも相隣る2つの電子部品実装装置の間に配置されて電子部品実装装置に設けられた実装コンベアと前記基板搬送部との間を移動する基板振り分け手段とを備え、前記基板搬送部は、未実装基板を搬送する第1の搬送部と実装済み基板を搬送する第2の搬送部とを有し、前記基板振り分け手段は、上流側の第1の搬送部から受け取った未実装基板を下流側の電子部品実装装置または第1の搬送部のいずれかに渡し、上流側の第2の搬送部または電子部品実装装置のいずれかから受け取った実装済み基板を下流側の第2の搬送部へ渡す、電子部品実装ラインにおける基板搬送装置」である点で一致し、以下の点において相違していると認められる。

相違点a;補正発明は、第1の搬送部と第2の搬送部を有する基板搬送部が電子部品実装装置の上方に配設され、基板振り分け手段が実装コンベアの高さレベルと前記基板搬送部の高さレベルとの間を昇降するもので、更に、上記第1の搬送部と上記第2の搬送部は上下2段に高さ位置が固定されている点。

2-5)そこで、相違点aについて検討する。
各種装置を、空間的に配置し、これら装置を使って、物を生産・加工することは、この出願前における技術常識であって、このような技術常識下において、引用発明を見た場合、その終了品搬送装置20とバイパス搬送装置19とからなるプリント基板4を搬送する装置を、部品実装設備11の上方に、また、終了品搬送装置20bとバイパス搬送装置19bとからなるプリント基板4を搬送する装置を、部品実装設備11bの上方に配設し、これに応じて、可動搬送装置24を搬送装置14、14bの高さレベルと、終了品搬送装置20とバイパス搬送装置19とからなるプリント基板4を搬送する装置や終了品搬送装置20bとバイパス搬送装置19bとからなるプリント基板4を搬送する装置の高さレベルとの間を昇降するものとすることは容易に設計できるものといえる。
また、上述した、終了品搬送装置20とバイパス搬送装置19や、終了品搬送装置20bとバイパス搬送装置19bについても、上述した技術常識下において、これら装置を上下2段にすることも容易に設計できる範囲であって、更に、これら装置を、その高さ位置が固定されているよう構成することは、普通に設計できることである。
してみると、相違点aは容易に為し得るということができる。

2-6)以上のことから、補正発明は、引用発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3-1-3.まとめ
補正事項aを有する本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3-2.原査定の拒絶理由について

3-2-1.本件の発明
本件補正は、先に「3-1」で述べたように却下すべきものであり、本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、本件補正前の、願書に添付した明細書の請求項1に記載の事項により特定されるものであって、同項の記載は、先に「3-1-1」で「(cl)」の請求項1として認定したとおりのものと認める。

3-2-2.引用刊行物の記載発明との対比判断
引用刊行物には、「3-1-2」の「2-3)」において認定した引用発明が記載されている。
そして、先に「3-1-2」の「1)」で述べたことから明らかなように、本件発明は、補正発明を包含するものであって、補正発明が、「3-1-2」の「2)」で述べたように、引用発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明も、引用発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものといえる。

3-2-3.まとめ
本件発明は、引用発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、原査定の拒絶理由は、相当である。

4.結び
原査定は、妥当である。
したがって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-12-25 
結審通知日 2009-01-06 
審決日 2009-01-21 
出願番号 特願2001-337689(P2001-337689)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
P 1 8・ 575- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 奥村 一正  
特許庁審判長 鈴木 由紀夫
特許庁審判官 平塚 義三
青木 千歌子
発明の名称 電子部品実装ラインにおける基板搬送装置および基板搬送方法  
代理人 永野 大介  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 内藤 浩樹  

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