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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06T |
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管理番号 | 1193685 |
審判番号 | 不服2007-28786 |
総通号数 | 112 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-10-22 |
確定日 | 2009-03-30 |
事件の表示 | 平成10年特許願第121064号「画像検索装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年11月16日出願公開、特開平11-316819、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.本願発明 本願の請求項1ないし4に係る発明は、明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4にその記載のあるとおりのものであるところ、本願特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 画像を複数のブロックに分割し、各ブロックについて特徴量に応じて付与されたラベルのヒストグラムを表すラベルヒストグラム情報を複数の画像データの各々に関して格納する格納手段と、 各ラベルをキーとして当該ラベルを含む画像の画像IDと当該ラベルの含有数とを登録したインデックスを生成する生成手段と、 検索元画像のラベルヒストグラム情報に基づいて、検索対象ラベルとその含有数範囲を決定し、決定された前記検索対象ラベルを前記含有数範囲で含む画像を前記インデックスを参照して抽出する抽出手段と、 前記抽出手段によって予め定められた上限値を超える数の画像が抽出された場合、前記抽出手段で用いていない別の検索対象ラベルとその含有数範囲を前記ラベルヒストグラム情報に基づいて新たに決定し、前記抽出された画像に対して、前記別の検索対象ラベルを前記新たに決定された含有数範囲で含む画像を前記インデックスを参照して再抽出することを繰り返すことにより抽出画像数を前記上限値以下に絞り込み、この絞り込みの結果、抽出画像数が予め定められた下限値を下回る場合は一つ前の再抽出の結果に戻して絞り込み結果とする絞込手段と、 前記抽出手段若しくは前記絞込手段での抽出画像数が前記上限値以内の場合、前記ラベルヒストグラム情報に基づく内積演算により類似画像検索を行う検索手段とを備えることを特徴とする画像検索装置。」 なお、請求項2ないし4に係る他の発明は次のとおりのものである。 【請求項2】 前記抽出手段及び前記絞込手段は、前記検索元画像のラベルヒストグラム情報における上位のラベルから順次用いるラベルを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像検索装置。 【請求項3】 画像を複数のブロックに分割し、各ブロックについて特徴量に応じて付与されたラベルのヒストグラムを表すラベルヒストグラム情報を複数の画像の各々に関して格納したデータベースと、各ラベルをキーとして当該ラベルを含む画像の画像IDと当該ラベルの含有数とを登録したインデックスを用いた画像検索方法であって、 検索元画像のラベルヒストグラム情報に基づいて、少なくとも1つの検索対象ラベルとその含有数範囲を決定し、決定された前記検索対象ラベルを前記含有数範囲で含む画像を前記インデックスを参照して抽出する抽出工程と、 前記抽出工程によって予め定められた上限値を超える数の画像が抽出された場合、前記抽出手段で用いていない別の検索対象ラベルとその含有数範囲を前記ラベルヒストグラム情報に基づいて新たに決定し、前記抽出された画像に対して、前記別の検索対象ラベルを前記新たに決定された含有数範囲で含む画像を前記インデックスを参照して再抽出することを繰り返すことにより抽出画像数を前記上限値以下に絞り込み、この絞り込みの結果、抽出画像数が予め定められた下限値を下回る場合は一つ前の再抽出の結果に戻して絞り込み結果とする絞込工程と、 前記抽出工程若しくは前記絞込工程での抽出画像数が前記上限値以内の場合、前記ラベルヒストグラム情報に基づく内積演算により類似画像検索を行う検索工程とを備えることを特徴とする画像検索方法。 【請求項4】 画像を複数のブロックに分割し、各ブロックについて特徴量に応じて付与されたラベルのヒストグラムを表すラベルヒストグラム情報を複数の画像の各々に関して格納したデータベースと、各ラベルをキーとして当該ラベルを含む画像の画像IDと当該ラベルの含有数とを登録したインデックスを用いた画像検索処理をコンピュータに実現させるための制御プログラムを格納する記憶媒体であって、該制御プログラムが、コンピュータに、 検索元画像のラベルヒストグラム情報に基づいて、少なくとも1つの検索対象ラベルとその含有数範囲を決定し、決定された前記検索対象ラベルを前記含有数範囲で含む画像を前記インデックスを参照して抽出する抽出工程と、 前記抽出工程によって予め定められた上限値を超える数の画像が抽出された場合、前記抽出手段で用いていない別の検索対象ラベルとその含有数範囲を前記ラベルヒストグラム情報に基づいて新たに決定し、前記抽出された画像に対して、前記別の検索対象ラベルを前記新たに決定された含有数範囲で含む画像を前記インデックスを参照して再抽出することを繰り返すことにより抽出画像数を前記上限値以下に絞り込み、この絞り込みの結果、抽出画像数が予め定められた下限値を下回る場合は一つ前の再抽出の結果に戻して絞り込み結果とする絞込工程と、 前記抽出工程若しくは前記絞込工程での抽出画像数が前記上限値以内の場合、前記ラベルヒストグラム情報に基づく内積演算により類似画像検索を行う検索工程とを実行させることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。 2.引用例 (1)特開平08-202733号公報 「蓄積された複数の蓄積画像から所望の画像を検索する画像検索装置であって、 閉領域を含む検索したい画像を入力する入力手段と、 前記蓄積画像のそれぞれを分割した領域と前記検索したい画像の閉領域との色を比較し、近似色を有する蓄積画像の領域の面積の合計と前記閉領域の面積とを比較する比較手段と、 前記比較手段による比較の結果、前記閉領域の面積よりも前記領域の面積の合計が小さい蓄積画像を検索対象と判断する判断手段と、 前記判断手段により検索対象と判断された蓄積画像に対して前記検索したい画像との整合を判定して類似度を求める類似度判別手段と、 前記類似度判別手段により類似度が所定以上であると判別された画像を検索結果として表示する表示手段と、 を有することを特徴とする画像検索装置。」 (2)特開平09-016618号公報 「単位データの集合で形成されるマルチメディア情報を蓄積したデータベースにおいて、 単位データの属性を示す属性値と、その値を持つ単位データの頻度とをキーとしてマルチメディア情報へのポインタを与えるインデクスを設けることを特徴とするデータベースシステム。」 3.対比 本願発明と引用例1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)とを対比すると、本願発明と引用発明とは次の各点で相違する。 (相違点1) 本願発明は、画像を複数のブロックに分割し、各ブロックについて特徴量に応じて付与されたラベルのヒストグラムを表すラベルヒストグラム情報を複数の画像データの各々に関して格納する格納手段を有しているのに対し、 引用発明は、画像を不定形の等色の領域に領域分割し、近似色を有する蓄積画像の領域の面積と閉領域の面積比を計算し、該面積比が所定範囲以内ならば類似度を計算し所定範囲以外ならば類似度を計算しないようにしており、何らヒストグラム情報を利用しておらず、したがって、ラベルヒストグラム情報を複数の画像データの各々に関して格納する格納手段を有しない点。 (相違点2) 本願発明は、各ラベルをキーとして当該ラベルを含む画像の画像IDと当該ラベルの含有数とを登録したインデックスを生成する生成手段を有しているのに対して、 引用発明は、インデックスを生成する生成手段を何ら有しない点。 (相違点3) 本願発明は、検索元画像のラベルヒストグラム情報に基づいて、検索対象ラベルとその含有数範囲を決定し、決定された前記検索対象ラベルを前記含有数範囲で含む画像を前記インデックスを参照して抽出する抽出手段を有しているのに対し、 引用発明の抽出手段は、近似色を有する蓄積画像の領域の面積と閉領域の面積比を計算し、該面積比が所定範囲以内ならば蓄積画像を抽出する点。 (相違点4) 本願発明は、抽出手段によって予め定められた上限値を超える数の画像が抽出された場合、前記抽出手段で用いていない別の検索対象ラベルとその含有数範囲を前記ラベルヒストグラム情報に基づいて新たに決定し、前記抽出された画像に対して、前記別の検索対象ラベルを前記新たに決定された含有数範囲で含む画像を前記インデックスを参照して再抽出することを繰り返すことにより抽出画像数を前記上限値以下に絞り込み、この絞り込みの結果、抽出画像数が予め定められた下限値を下回る場合は一つ前の再抽出の結果に戻して絞り込み結果とする絞込手段を有しているのに対し、 引用発明は、近似色を有する蓄積画像の領域の面積と閉領域の面積比を計算し、該面積比が所定範囲以内ならば蓄積画像に対して唯1回だけ絞り込みを掛ける手段を有している点。 4.当審の判断 (相違点1について) 前記相違点1を判断するに、 本願発明は、画像を、画像の色分布に関係なく、複数の矩形の小ブロックに分割する手法を採用しているから、各矩形の小ブロックに於ける色分布を示すヒストグラムを作成することを絶対に必要としているのに対し、 引用発明は、画像を、不定形の等色の領域に領域分割する手法を採用しているから、粗い予備判断に面積比の計算は必要とするものの、本来、1次検索用のヒストグラムを何ら必要としないものである。そして、引用発明は、面積比により類似度を計算するかしないかを判断しているだけであって、1次検索により一旦対象蓄積画像を絞り込み、その後、該絞り込んだ対象蓄積画像に対して計算量が膨大な2次検索を実行するというものではない。 故に、引用発明は、2次検索のための対象蓄積画像数を、指定された下限値と上限値の範囲内に収めるという技術思想を開示せず、引用発明に該技術思想を組み合わせることに阻害要因があるといわざるを得ない。また、組み合わせたとしても、引用例2に記載された発明は、本願発明を特定する構成要件であるところの 絞込手段、すなわち、 「抽出手段によって予め定められた上限値を超える数の画像が抽出された場合、抽出手段で用いていない別の検索対象ラベルとその含有数範囲を前記ラベルヒストグラム情報に基づいて新たに決定し、抽出された画像に対して、別の検索対象ラベルを新たに決定された含有数範囲で含む画像をインデックスを参照して再抽出することを繰り返すことにより抽出画像数を上限値以下に絞り込み、この絞り込みの結果、抽出画像数が予め定められた下限値を下回る場合は一つ前の再抽出の結果に戻して絞り込み結果とする絞込手段」 迄も開示するものではない。 したがって、他の相違点を判断するまでもなく、本願発明は、引用発明及び他の引用例に記載された発明、そして周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 なお、請求項2に係る発明は本願発明を引用する従属形式の発明であり、また、請求項3に係る発明及び請求項4に係る発明は、発明のカテゴリのみが相違するだけであるから、先に述べたと同様の理由により、請求項2ないし4に係る発明は、引用発明及び他の引用例に記載された発明、そして周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 また、他の拒絶理由を見いだせない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2009-03-17 |
出願番号 | 特願平10-121064 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06T)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 飯田 清司 |
特許庁審判長 |
原 光明 |
特許庁審判官 |
加藤 恵一 畑中 高行 |
発明の名称 | 画像検索装置及び方法 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 永川 行光 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 下山 治 |
代理人 | 大塚 康徳 |