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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1193729
審判番号 不服2007-9796  
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-05 
確定日 2009-03-24 
事件の表示 特願2001-327182「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月 7日出願公開、特開2003-126330、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.本願発明の認定
本願は平成13年10月25日の出願であって、特許出願に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成19年4月26日付けで補正された明細書の特許請求の範囲に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める(下線部が補正箇所)。
【請求項1】 表示状態が変化可能な3個の可変表示部を有する可変表示装置を有し、前記3個の可変表示部の各々に対応した個別操作手段の操作により全ての可変表示部が停止して3個の可変表示部の表示結果が導出表示されることによって一ゲームが終了し、前記3個の可変表示部の表示結果が所定の表示態様となった場合に所定の入賞が発生する遊技機において、
前記3個の可変表示部に共通の操作手段として設けられるとともに、前記3個の可変表示部の表示結果を導出表示させるための操作を行う共通操作手段と、
前記個別操作手段の操作順序及び各個別操作手段が操作された時間間隔を監視する監視手段と、
前記全ての可変表示部が停止状態となることを条件に、前記監視手段による前記個別操作手段の操作順序に対応した前記各可変表示部の停止順序を設定し、且つ、前記各個別操作手段が操作された時間間隔に基づいて、所定の可変表示部に表示結果が導出表示されてから次に停止制御される可変表示部に表示結果が導出表示されるまでのウエイト時間を設定する設定手段と、
前記可変表示部を、前記共通操作手段の操作に基づいて、前回のゲームにおいて前記設定手段によって設定された順序及びウエイト時間で前記3個の可変表示部の停止制御を行うことにより表示結果を導出表示させる停止制御手段と、を備え、
前記停止制御手段は、前記3個の可変表示部のうち2個の可変表示部が前記設定された順序及びウエイト時間で停止制御され、前記停止制御された2個の可変表示部の表示結果が前記所定の入賞が発生可能な表示態様である場合に、2個目の可変表示部に表示結果が導出表示されてから3個目の可変表示部に表示結果が導出表示されるまでの時間を、前記設定手段によって設定された前記ウエイト時間よりも長くし、前記共通操作手段または前記3個目の可変表示部に対応した個別操作手段の操作によって、前記3個目の可変表示部を停止させることを特徴とする遊技機。
【請求項2】 前記設定手段は、前記ゲームが所定時間行われなかったことを条件に順序の設定を初期化することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。

2.当審の判断
(1)原査定の理由
原査定の理由は、請求項1,2に係る発明は、特開2001-269438号公報、特開2001-269434号公報及び特開平1-245639号公報に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたというものである。

(2)本願発明の進歩性の判断
「監視手段」が「個別操作手段の操作順序」だけでなく「各個別操作手段が操作された時間間隔」を監視すること、及び「設定手段」が「前記各個別操作手段が操作された時間間隔に基づいて、所定の可変表示部に表示結果が導出表示されてから次に停止制御される可変表示部に表示結果が導出表示されるまでのウエイト時間を設定する」ことの容易性は、原審における拒絶理由及び拒絶査定では判断されていない。
もっとも、上記構成は、原審において却下された平成19年2月9日付け手続補正書の特許請求の範囲には記載されており、原審では「「各個別操作手段が操作された時間間隔を監視する監視手段」、「各個別操作手段が操作された時間間隔に基づいて、所定の可変表示部が導出表示されてから次に停止制御される可変表示部に表示結果が導出表示されるまでのウエイト時間を設定する設定手段」、及び「前記可変表示部を、前記設定手段によって設定されたウエイト時間で停止制御を行うことにより表示結果を導出表示させる停止制御手段」という構成は、周知慣用の技術である(必要であれば、特開平02-283390号公報、特開平09-225975号公報(審決注;特開平06-225975号公報の誤記と認める。)、特開平09-056927号公報)(以下、これらの文献を順に周知例1?周知例3という。)。」(平成19年2月28日付け補正の却下の決定)と判断し、上記手続補正を却下した。
そこで、原審において周知慣用と認定された技術により、上記本願発明の構成に至ることが容易かどうか検討する。
周知例2は、発明の名称を「ゲーム機のコントローラ」とする公開公報であって、「登録指示スイッチが押下されて登録モードに移行し、この押下に続いて希望するキー操作に従って、順次所要の操作キーが押下されると、登録制御手段は、このとき押下された操作キーの操作情報を操作順に記憶手段に記憶して登録させる。一方、ゲーム進行中に、上記操作面上に配された読出指示キーが押下されると、上記登録された操作キーの押下順に操作情報が読み出されて、ゲーム機本体に出力され、この読み出された操作キーの順序に従ってゲーム展開が実行される。」(段落【0014】)とあるとおり、操作情報を登録するものの、それは現実に行われたゲームにおける操作情報ではない。
周知例3も、発明の名称を「ゲーム機のコントローラ」とする公開公報であって、「操作ボタンの操作手順、ボタンの操作時間の組み合わせからなるコマンドを示すコマンドプログラムを予めコントローラ本体の内部メモリに記憶させておき」(段落【0003】)等の記載はあるものの、現実に行われたゲームにおける操作手順等を記憶すると認めることはできない。
周知例1は、発明の名称を「ゲーム機用プログラマブルコントローラ」とする公開公報であって、「ゲーム開始から終了までのキースイッチの操作内容を、スタート時からの正確なタイミングで登録できるので、次回以降のゲムで同じゲーム進行状態を再現することができるようになる。」(6頁左上欄9?13行)との記載があるから、周知例1は、現実に行われたゲームにおける操作順序・時間間隔等を監視し、それを記憶し、操作順序・時間間隔等を再現することが記載されていることは認めることができる。しかし、周知例1には、「既にクリアした場面までを何回も繰返し操作する必要の無いプログラマブルコントローラを提供することにある。」(3頁右上欄10?12行)とあるとおり、操作順序・時間間隔等を再現することにより、ゲームの進行をも再現できることが前提である。ところが、特開2001-269438号公報又は特開2001-269434号公報に記載された遊技機(スロットマシン)では、操作順序・時間間隔等を再現しても、ゲームの進行が再現されないことは明らかであり、ゲームの進行を再現できない遊技機において、周知例1記載の技術を採用すべき動機はない。このことは、周知例2,3記載の技術についても当てはまる。
そうである以上、周知例1?3から把握される技術が周知であるかどうか、審査官が周知慣用の技術と認定したことが正当かどうか検討するまでもなく、周知例1?3から把握される技術により、上記本願発明の構成に至ることが容易であるということはできない。

3.むすび
以上のとおりであるから、原査定の拒絶の理由により本願を拒絶することはできず、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2009-03-11 
出願番号 特願2001-327182(P2001-327182)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山崎 仁之  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 池谷 香次郎
森 雅之
発明の名称 遊技機  
代理人 後藤 政喜  

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