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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1194866
審判番号 不服2007-7796  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-03-15 
確定日 2009-03-26 
事件の表示 平成10年特許願第93131号「電子部品実装装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年10月19日出願公開、特開平11-289194〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年4月6日の出願であって、平成19年2月6日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年3月15日に拒絶査定不服審判が請求され、同年4月6日付けで手続補正がされたものである。

2.本願発明
本願に係る発明は、平成19年4月6日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明は次のとおりのものである。

「基台と、基台に設けられた基板の搬送路と、基台の上方に平面視してX方向およびY方向に対称に設けられた4個のXYテーブル機構と、4個のXYテーブル機構にそれぞれ設けられた4個のヘッド部と、基板の搬送路の側方に設けられて4個のヘッド部にそれぞれ電子部品を供給する電子部品供給部とから単位電子部品実装装置を構成し、この単位電子部品実装装置を前記基板の搬送路が連続する直線上に位置するように複数台並設し、1枚の基板に対して並設された単位電子部品実装装置複数台分の複数個のヘッド部で電子部品の実装を行い、各々の単位電子部品実装装置の4個のヘッド部が分担する電子部品の実装に要する時間がほぼ等しくなるように電子部品実装プログラムを設定し、また各単位電子部品実装装置が分担する電子部品の実装に要する時間がほぼ等しくなるように電子部品実装プログラムを設定することを特徴とする電子部品実装装置。」(以下、「本願発明」という。)

3.原査定の理由の概要
原査定の理由の概要は、次のとおりのものである。

本願請求項1及び2に係る発明は、その出願前頒布された下記刊行物1?3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:特開平9-130084号公報
刊行物2:特開平9-270595号公報
刊行物3:特開平7-136876号公報

4.引用刊行物とその記載事項
原査定の理由で引用された刊行物1(特開平9-130084号公報)には、次の事項が記載されている。

(1)刊行物1:特開平9-130084号公報
(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】基板を位置決めする基板位置決め部と、
部品の部品供給手段が搭載されて前記基板位置決め部の両側に設置される1対の部品供給テーブルと、
複数個の部品吸着ノズルに一方の部品供給テーブルの部品を順次吸着したのちに、前記各部品吸着ノズルに保持した部品を基板に順次装着する第1の実装ヘッド部と、
複数個の部品吸着ノズルに他方の部品供給テーブルの部品を順次吸着したのちに、前記各部品吸着ノズルに保持した部品を基板に順次装着する第2の実装ヘッド部とを備え、
第1、第2の実装ヘッド部の一方が部品供給テーブル上に位置する時に他方が基板位置決め部上に位置するタイミングで相互に作動を制御するようにしたことを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】請求項1記載の部品実装装置を複数台備え、基板の供給部から排出部に至る基板搬送経路を、各部品実装装置の基板位置決め部をつなぐようにして設けるとともに、前記基板搬送経路の両側に各部品実装装置の部品供給テーブルを配したことを特徴とする部品実装設備。
【請求項3】単一の基板に実装すべき全ての部品を種類別にグループに分割して、この各グループの部品が、各部品実装装置の部品供給テーブルに割り当てて搭載されていることを特徴とする請求項2記載の部品実装設備。」

(1b)「【0012】本発明の部品実装設備は上記目的を達成するために、上記発明の部品実装装置を複数台備え、基板の供給部から排出部に至る基板搬送経路を、各部品実装装置の基板位置決め部をつなぐようにして設けるとともに、前記基板搬送経路の両側に各部品実装装置の部品供給テーブルを配したことを特徴とする。
【0013】これにより、各部品実装装置にそれぞれ設置される部品供給テーブルに互いに異なる部品を搭載することにより、基板に実装する部品の種類や数が多くなった場合においても、部品供給テーブルは必然的に基板搬送経路に沿ってこれの両側に配置されることから、設備全体として基板搬送経路の方向に大きく張り出すように大型化することがない。しかも、各部品実装装置の実装ヘッド部が高速作動するだけであって、各部品供給テーブルは固定的に設置されるから、部品の実装動作の高速化を図れる。」

(1c)「【0017】図1は本発明の一実施の形態に係る部品実装設備(部品実装ライン)を模式的に示す概略平面図である。同図において、部品を実装する基板を供給する基板供給手段22から基板を排出する基板排出手段23に至る基板搬送経路21が左右方向に配設されており、この基板搬送経路21に沿って4台の部品実装装置27A?27Dが配設されている。これら部品実装装置27A?27Dはいずれも基本的には同一の構成になっているので、部品実装装置27Dを例として、これの斜視図を示した図2および作動機構部分の平面図を示した図3を参照しながら以下に説明する。
【0018】図2において、上記部品実装装置27Dは、左右一対の逆U字状の支持フレーム29が基板搬送経路21を貫通させるようにして搬送経路21に沿って並設されており、この両支持フレーム29間に、二つの作動フレーム30が互いに平行に配置されて架け渡され、且つ搬送経路21に対し直交方向に個々に移動自在に支持されている。各作動フレーム30には、実装ヘッド部31が作動フレーム30に沿って移動自在に取り付けられており、実装ヘッド部31は、水平軸線回りに回転自在となった回転体32に4個の部品吸着ノズル33が等間隔(90°間隔)で配設され、回転体32が部品吸着ノズル33の間隔と同一のピッチで回転することにより、各部品吸着ノズル33は、択一的に順次下方に向けられて、部品供給テーブル28Aから部品34を吸着し、または部品34を基板位置決め部24の回路基板37に装着するようになっている。
【0019】両支持フレーム29間には、部品供給テーブル28Aがキャスター40により移動されて前後両側から挿入されたのちに、所定位置に固定的に設置される。この部品供給テーブル28Aは、上述のリール13を備えたパーッカセットからなる部品供給手段12を備えたものであるが、この他に、図1に示すように、筒体に収納された部品が順次取出位置に送られるスティック状の部品供給手段38を搭載した部品供給テーブル28B、バルク部品39を搭載した部品供給テーブル28Cおよびトレイ状の部品供給テーブル28Dが、各部品実装ユニット27A?27Dに設置される。なお、トレイ状の部品供給テーブル28Dに対しては、これの部品を取り出すための回動アーム状となった実装ヘッド部59が設けられている。
【0020】図3において、作動フレーム30の内部には、実装ヘッド部31を基板搬送経路21に沿った方向に移動させるヘッド位置決め機構部41が収納されている。
【0021】このヘッド位置決め機構部41は、作動フレーム30の両端側に固定された一対の支持板42間に架け渡されて回転自在に支持されたボールねじ43と、このボールねじ43を連結手段44を介して回転駆動するステップモータ47と、ボールねじ43が螺合するナット48が内部に固定されてボールねじ43の回転により移動される移動体49とにより構成されている。実装ヘッド部31は、ヘッドホルダ50を介して移動体49に固定されており、ヘッドホルダ50には、実装ヘッド部31を上下動させる既存のヘッド上下動機構部51が内装されている。
【0022】上記各支持フレーム29には、作動フレーム30を介してヘッド位置決め機構部41を基板搬送経路21に対し直交方向に移動させるヘッド移送機構部52が収納されている。このヘッド移送機構部52は、支持フレーム29の両端側に固定された一対の支持板53間に架け渡されて回転自在に支持されたボールねじ54と、このボールねじ54を連結手段55を介して回転駆動するステップモータ56と、ボールねじ54に螺合して各作動フレーム30の一端部に固定され、ボールねじ54の回転により作動フレーム30を移動させる移動体57と、支持板53間に架け渡して固定され、作動フレーム30の他端部を貫通させて摺動自在に支持するガイドシャフト58とにより構成されている。」

(1d)「【0024】まず、実装ヘッド部31が部品供給テーブル28A?28Dにおける吸着すべき部品34の真上位置に移動されて位置決めされる(ステップS1)。すなわち、ヘッド位置決め機構部41のステップモータ47が所要の回転方向に所要角度だけ回転することにより、このステップモータ47と一体回転するボールねじ43によって移動体49が基板搬送経路21に沿った方向に移動し、実装ヘッド部31が部品供給テーブル28A?28Dにおける所定の部品取出位置に移動される。ここで、トレイ状の部品供給テーブル28Dを除く他の部品供給テーブル28A?28Cは、部品取出位置が基板搬送経路21に沿った一直線状に位置しているので、実装ヘッド部31に対向しているパーツカセットまたはスティックなどの部品が無くなるまでは、実装ヘッド部31がその位置に位置決めされて移動しない。
【0025】実装ヘッド部31が位置決めされると、ヘッド上下動機構部51が作動して実装ヘッド部31が下降し、部品吸着ノズル33が部品34を吸着し、そののちにヘッド上下動機構部51により実装ヘッド部31が僅かに上昇される(ステップS2)。続いて、実装ヘッド部31の回転体32が1ピッチだけ回転されて次の部品吸着ノズル33が部品取出位置に対向される(ステップS3)。ここで、実装ヘッド部31が所定個数(この例では4個)の部品34の吸着が終了したか否かを判別して(ステップS4)、終了していない場合には、上述と同様の動作を繰り返して所定個数の部品34を吸着する。
【0026】所定個数の部品34の吸着が終了したならば、ヘッド移送機構部52のステップモータ56およびヘッド位置決め機構部41のステップモータ47が同時に駆動して、実装ヘッド部31が、ボールねじ54の回転により作動フレーム30を介して基板位置決め部24上に移動されるとともに、ヘッド位置決め機構部41により回路基板37の所定の部品装着位置の真上に位置決めされる(ステップS5)。次に、ヘッド上下動機構部51が駆動して部品吸着ノズル33で吸着保持していた部品を回路基板37上に装着する(ステップS6)。実装ヘッド部31がヘッド上下動機構部51により僅かに上昇されたのちに、実装ヘッド部31がヘッド位置決め機構部41およびヘッド移送機構部52の作動により回路基板37における次の部品装着位置の真上に移動されて位置決めされるとともに、回転体32が1ピッチだけ回転されて次に実装すべき部品が部品装着位置に対向される(ステップS7)。
【0027】ここで、実装ヘッド部31が吸着保持している全ての部品34の装着が終了したか否かを判別して(ステップS8)、終了していない場合には、上述と同様の動作を繰り返してすべての部品34を回路基板37の所定位置に装着する。
【0028】つぎに、基板位置決め部24に位置決めされている回路基板37に対して各部品実装装置27A?27Dにおいて分担する全ての部品34の装着が終了したか否かを判別して(ステップS9)、終了していない場合には、実装ヘッド部31を再び部品供給テーブル28A?28D上に移動させて、上述と同様に、部品供給テーブル28A?28Dからの部品34の吸着および回路基板37への部品34の装着の動作を、回路基板37への全ての部品34の装着が終了するまで繰り返す。回路基板37への全ての部品34の装着が終了すると、基板搬送経路21上に位置決めされている各回路基板37を、所定ピッチだけ搬送して次工程の部品実装装置27A?27Dにおける基板位置決め部24に位置決めし(ステップS10)、上述と同様の動作を繰り返す。
【0029】上記部品実装設備では、基板搬送経路21に沿って並設した複数台(この例では4台)の部品実装装置27A?27Dの各々の部品供給テーブル28A?28Dに、互いに異なる部品を搭載できるので、回路基板37に実装する部品34の種類や数が多くなった場合に、これら部品を種類毎に分類したグループとして各部品供給テーブル28A?28Dに分割して搭載することにより、各部品供給テーブル28A?28Dが、グループみの部品34を搭載するだけであるから大型化しないことと、各部品実装装置27A?27Dにおける部品供給テーブル28A?28Dが基板搬送経路21に対し直交方向に設置されることとから、設備全体として基板搬送経路21の方向に大きく張り出すように大型化することがない。」

5.当審の判断
(1)引用発明
原査定で引用された刊行物1の上記(1a)に「部品実装装置を複数台備え、基板の供給部から排出部に至る基板搬送経路を、各部品実装装置の基板位置決め部をつなぐようにして設けるとともに、前記基板搬送経路の両側に各部品実装装置の部品供給テーブルを配したことを特徴とする部品実装設備。」と記載されているから、刊行物1には、部品実装装置を複数台備えた、部品実装設備について記載されているといえる。
そして、この部品実装設備の各部品実装装置は、次のとおりのものといえる。

A.(1c)の「上記部品実装装置27Dは、左右一対の逆U字状の支持フレーム29が基板搬送経路21を貫通させるようにして搬送経路21に沿って並設されており、この両支持フレーム29間に、二つの作動フレーム30が互いに平行に配置されて架け渡され、且つ搬送経路21に対し直交方向に個々に移動自在に支持されている。各作動フレーム30には、実装ヘッド部31が作動フレーム30に沿って移動自在に取り付けられており、」という記載によれば、この部品実装装置は、一対の支持フレームに支持された基板搬送経路を有し、両支持フレーム間に2個の作動フレームが平行に配置されて架け渡され、各作動フレームに実装ヘッド部が取り付けられているといえる。

B.(1c)の「作動フレーム30の内部には、実装ヘッド部31を基板搬送経路21に沿った方向に移動させるヘッド位置決め機構部41が収納されている。・・・上記各支持フレーム29には、作動フレーム30を介してヘッド位置決め機構部41を基板搬送経路21に対し直交方向に移動させるヘッド移送機構部52が収納されている。」という記載、及び図3の図示によれば、基板搬送方向をX方向、基板搬送方向に対して直交する方向をY方向とすると、この部品実装装置は、Y方向に離間しX方向に平行に設けられた2個の作動フレームにそれぞれ取り付けられた各実装ヘッド部をX方向にそれぞれ移動させる2個のヘッド位置決め機構部と、各ヘッド位置決め機構部をY方向に移動させる2個のヘッド移送機構部とを有しているといえる。

C.(1b)の「部品供給テーブルは必然的に基板搬送経路に沿ってこれの両側に配置される・・・各部品実装装置の実装ヘッド部が高速作動するだけであって、各部品供給テーブルは固定的に設置される」という記載によれば、この部品実装装置は、基板搬送経路の両側に、すなわち基板搬送経路の両側方(Y方向側方)に設けられて2個の実装ヘッド部にそれぞれ部品を供給する2個の部品供給テーブルを有しているといえる。

また、上記部品実装装置を複数台備えた、部品実装設備は、次のとおりのものといえる。

D.(1c)の「この基板搬送経路21に沿って4台の部品実装装置27A?27Dが配設されている。これら部品実装装置27A?27Dはいずれも基本的には同一の構成になっている・・・各部品実装ユニット27A?27Dに設置される。」(この記載によれば、部品実装装置は、部品実装ユニットともいうことができるから、以下、刊行物1に記載されている「部品実装装置」は、「部品実装ユニット」と言い換える。)という記載によれば、この部品実装設備における基板搬送経路は、連続する直線経路といえるし、この直線経路に沿って各部品実装ユニットが配設されているから、部品実装ユニットは基板搬送経路が連続する直線上に位置するように複数台並設されているといえる。

E.(1e)の「まず、実装ヘッド部31が部品供給テーブル28A?28Dにおける吸着すべき部品34の真上位置に移動されて位置決めされる(ステップS1)。・・・回路基板37への全ての部品34の装着が終了すると、基板搬送経路21上に位置決めされている各回路基板37を、所定ピッチだけ搬送して次工程の部品実装装置27A?27Dにおける基板位置決め部24に位置決めし(ステップS10)、上述と同様の動作を繰り返す。」という記載によれば、この部品実装設備は、1枚の基板に対して並設された部品実装ユニット複数台分の複数個の実装ヘッド部で部品の実装を行うものといえる。

以上の記載及び認定事項を本願発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次のとおりの発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「一対の支持フレームと、一対の支持フレームに支持された基板搬送経路と、各実装ヘッド部をそれぞれ基板搬送経路に沿った方向(X方向)に移動させる、Y方向に離間しX方向に平行に設けられたヘッド位置決め機構部と、各ヘッド位置決め機構部をそれぞれ基板搬送経路に対し直交方向(Y方向)に移動させるヘッド移送機構部と、各ヘッド位置決め機構部にそれぞれ設けられた2個の実装ヘッド部と、基板搬送経路の側方(Y方向側方)に設けられて2個の実装ヘッド部にそれぞれ部品を供給する2個の部品供給テーブルとから部品実装ユニットを構成し、この部品実装ユニットを前記基板搬送経路が連続する直線上に位置するように複数台並設し、1枚の基板に対して並設された部品実装ユニット複数台分の複数個の実装ヘッド部で電子部品の実装を行う部品実装設備」

(2)本願発明と引用発明との対比
引用発明の「基板搬送経路」「実装ヘッド部」「部品供給テーブル」「部品実装ユニット」「電子部品実装設備」は、それぞれ、本願発明の「基板の搬送路」「ヘッド部」「電子部品供給部」「単位電子部品実装装置」「電子部品実装装置」に相当するといえる。
引用発明の「一対の支持フレーム」は、基板搬送経路を支持する台、すなわち基板の搬送路を設ける台といえるから、本願発明の「基台」に相当するといえる。
引用発明の「各ヘッド位置決め機構部」と「各ヘッド移送機構部」とは、2個の実装ヘッド部をそれぞれ基板搬送経路に沿った方向(X方向)に移動させる機構部とヘッド位置決め機構部を基板搬送経路に対し直交方向(Y方向)とに移動させる機構部であるから、本願発明の「XYテーブル機構」に相当するといえ、各実装ヘッド部が設けられた各ヘッド移送機構部はY方向に離間しX方向に平行に設けられているから、この「XYテーブル機構」は、「Y方向に対称に設けられた」ものといえる。
以上の点を踏まえて、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は、
「基台と、基台に設けられた基板の搬送路と、XYテーブル機構と、XYテーブル機構にそれぞれ設けられたヘッド部と、基板の搬送路の側方に設けられてヘッド部にそれぞれ電子部品を供給する電子部品供給部とから単位電子部品実装装置を構成し、この単位電子部品実装装置を前記基板の搬送路が連続する直線上に位置するように複数台並設し、1枚の基板に対して並設された単位電子部品実装装置複数台分の複数個のヘッド部で電子部品の実装を行う電子部品実装装置」という点で一致し、次の点で相違しているといえる。

相違点(イ)
本願発明は、単位電子部品実装装置において、「基台の上方に平面視してX方向およびY方向に対称に設けられた4個のXYテーブル機構」と、「4個のXYテーブル機構にそれぞれ設けられた4個のヘッド部」と、「4個のヘッド部にそれぞれ電子部品を供給する電子部品供給部」を有するのに対して、引用発明は、単位電子部品実装装置において、Y方向に対称に設けられた2個のXYテーブル機構と、2個のXYテーブル機構にそれぞれ設けられた2個のヘッド部と、2個のヘッドにそれぞれ電子部品を供給する電子部品供給部を有する点

相違点(ロ)
電子部品実装プログラムが、本願発明は、「各々の単位電子部品実装装置の4個のヘッド部が分担する電子部品の実装に要する時間がほぼ等しくなるように電子部品実装プログラムを設定し、また各単位電子部品実装装置が分担する電子部品の実装に要する時間がほぼ等しくなるように電子部品実装プログラムを設定する」ものであるのに対して、引用発明は、電子部品実装プログラムがこのようなものであるか否か不明である点

(3)相違点についての判断
次に、この相違点について検討する。
(3-1)相違点(イ)について
単位電子部品実装装置におけるヘッド部の数は、単位電子部品実装装置で実装する電子部品の種類や数に応じて適宜選択し得る事項といえるから、引用発明において、実装する電子部品の種類や数が多い場合に、単位電子部品実装装置のヘッド部の数を2個に換えて4個とし、当該ヘッド部の移動機構であるXYテーブル機構、及び当該ヘッド部へ部品を供給する部品供給部も4個とすることは、当業者が適宜なし得ることといえる。
そして、引用発明においては、Y方向に対称に設けられた2個のXYテーブル機構のY方向の外側(搬送路の側方)には、2個のヘッド部にそれぞれ部品を供給する部品供給路が存在し、Y方向にXYテーブルを増設することが不都合であることは明らかであるから、XYテーブル機構を4個にする場合に、Y方向に対称に設けられた2個のXYテーブルをさらにX方向に対称に設けることは、当業者が容易に想到し得る設計的事項と認められる。

(3-2)相違点(ロ)について
刊行物3(特開平7-136876号公報)や特開平10-79596号公報、特開平9-160615号公報、特開平9-51193号公報、特開平8-18295号公報等に示されるように、各ヘッド部毎、各単位電子部品実装装置毎の電子部品の実装に要する時間がほぼ等しくなるように電子部品実装プログラムを設定することは、本出願前当業者に周知の事項といえるから、引用発明において、各ヘッド部及び各単位電子部品実装装置の稼働効率を考えて、電子部品の実装に要する時間がほぼ等しくなるようにすることは当業者が容易に想到することといえる。

(4)小括
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえる。

6.結び
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-01-20 
結審通知日 2009-01-27 
審決日 2009-02-09 
出願番号 特願平10-93131
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 奥村 一正  
特許庁審判長 山田 靖
特許庁審判官 青木 千歌子
平塚 義三
発明の名称 電子部品実装装置  
代理人 永野 大介  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 内藤 浩樹  

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