• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1195302
審判番号 不服2007-18215  
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-06-29 
確定日 2009-04-01 
事件の表示 平成 7年特許願第136681号「酸化膜を形成する方法、改良された酸化膜を形成する方法、高品質の酸化膜を形成する方法、ならびにトンネルおよびゲート酸化膜を形成する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 6月25日出願公開、特開平 8-167664〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成7年6月2日の出願(パリ条約による優先権主張 1994年6月3日、米国)であって、平成19年3月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年6月29日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年7月30日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成19年7月30日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)について
[補正却下の決定の結論]
平成19年7月30日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであって、補正前及び補正後の特許請求の範囲の請求項1、2及び10に係る発明は以下のとおりである。
(補正前)
「【請求項1】 化学蒸着プロセスで酸化物を形成するステップと、
酸化物層をNOを含む雰囲気にさらし、それによって窒素を含む領域を酸化物層に形成するステップとを含む、酸化膜を形成する方法。
【請求項2】 半導体装置を製造するプロセスにおいて、
化学蒸着によって半導体基板の表面上に酸化物層を形成するステップと、
体積にして5%より多くのNOを含む雰囲気で酸化物層を有する半導体基板をアニ-リングするステップとを含む、酸化膜を形成する方法。」
「【請求項10】 酸化膜は化学蒸着(CVD)システムを使用して半導体基板上に形成され、
アニーリングステップをCVDシステムで行なって酸化物層に隣接して第2の酸化物層を形成し、第2の酸化物層は窒素を含む、請求項2に記載の方法。」

(補正後)
「【請求項1】 プラズマ増速化学蒸着プロセスで酸化物を形成するステップと、
酸化物層をNOを含む雰囲気にさらし、それによって窒素を含む領域を酸化物層に形成するステップとを含む、酸化膜を形成する方法。
【請求項2】 半導体装置を製造するプロセスにおいて、
プラズマ増速化学蒸着によって半導体基板の表面上に酸化物層を形成するステップと、
体積にして5%より多くのNOを含む雰囲気で酸化物層を有する半導体基板をアニ-リングするステップとを含む、酸化膜を形成する方法。」
「【請求項10】 半導体装置を製造するプロセスにおいて、
化学蒸着によって半導体基板の表面上に酸化物層を形成するステップと、
体積にして5%より多くのNOを含む雰囲気で酸化物層を有する半導体基板をアニーリングするステップとを備え、
酸化膜は化学蒸着(CVD)システムを使用して半導体基板上に形成され、
アニーリングステップをCVDシステムで行なって前記半導体基板と前記酸化物層との間に第2の酸化物層を形成し、第2の酸化物層は窒素を含む、酸化膜を形成する方法。」

2.補正事項の整理
補正事項1
補正前の請求項1の「化学蒸着プロセス」を、補正後の請求項1の「プラズマ増速化学蒸着プロセス」と補正すること。
補正事項2
補正前の請求項2の「化学蒸着」を、補正後の請求項2の「プラズマ増速化学蒸着」と補正すること。
補正事項3
補正前の請求項2を引用する補正前の請求項10を、独立請求項である補正後の請求項10と補正する(補正事項3-1)とともに、補正前の請求項10の「酸化物層に隣接して第2の酸化物層を形成し」を、補正後の請求項10の「前記半導体基板と前記酸化物層との間に第2の酸化物層を形成し」と補正する(補正事項3-2)こと。

3.補正事項の検討(その1)
補正事項1について
補正事項1についての補正は、補正前の請求項1の「化学蒸着プロセス」を、補正後の請求項1の「プラズマ増速化学蒸着プロセス」と技術的に限定するものであるから、平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
補正事項2について
上記補正事項1についてにおいて検討したと同様の理由により、補正事項2についての補正は、平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
補正事項3について
補正事項3-1についての補正は、引用形式の請求項を独立形式の請求項とするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
補正事項3-2についての補正は、補正前の請求項10の「酸化物層に隣接して第2の酸化物層を形成し」の「第2の酸化物層」と他の構成要素との位置関係を明りょうとするために、補正後の請求項10の「前記半導体基板と前記酸化物層との間に第2の酸化物層を形成し」と補正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

したがって、本件補正は、平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

4.補正事項についての検討(その2)
ここで、補正前の請求項1及び2についての補正が、平成6年法律第116号改正附則第6条によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否かについて更に検討する。

(1)刊行物に記載された発明
刊行物1:特開平5-304145号公報
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に日本国内で頒布された特開平5-304145号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図1ないし図3とともに、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、絶縁膜形成方法、特に膜厚が薄くかつ特性の優れた絶縁膜の形成方法に関する。」
「【0003】絶縁膜としてはシリコン酸化膜(SiO_(2 ))がその安定性によって依然として主要な材料である。代表的な超LSIであるダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)では、微細化にともない、ゲート絶縁膜やメモリセルキャパシタ絶縁膜としての酸化膜の膜厚も着実に減少し続けている。また、不揮発性メモリ、例えば、薄い酸化膜のファウラー・ノルドハイム(Fowler-Nordheim)トンネル電流を利用したEEPROMの酸化膜は、薄く、かつ、高品質であることが望まれる。」
「【0010】
【課題を解決するための手段】この目的の達成を図るため、この発明によれば、下地としての、酸化シリコン膜から成る第1絶縁膜を、窒素含有酸化性ガス中で熱処理を行って第2絶縁膜に置換する工程と、この第2絶縁膜形成により得られた構造体を不活性ガス中で熱処理する工程とを含むことを特徴とする。
【0011】この発明の好適実施例によれば、窒素含有酸化性ガスを一酸化窒素、一酸化二窒素および二酸化窒素のガス群から選ばれた一種または二種以上のガスとするのが良い。」
「【0013】
【作用】このように構成すると、まず、窒素含有酸化性ガス中で熱処理によって、第1絶縁膜としての酸化シリコン膜を第2絶縁膜としての酸窒化膜に変える。この酸窒化膜では、膜中の結合部分に窒素原子が侵入し、または、その結合部分が窒素原子で置換されるので、不対結合、弱い結合の数が減少し、その結果、絶縁耐性の向上が図れる。しかし、シリコン(Si)と酸窒化膜との界面近傍には、依然として、窒素原子がパイルアップして窒素密度の高い領域が存在するので、この第2絶縁膜の形成後に、この第2絶縁膜を備えた構造体に対して不活性ガス中で熱処理を行うと、前述したシリコンと酸窒化膜との界面付近での領域で原子の再配列が起こる。その結果、その領域における圧縮ストレスが緩和される。よって、界面準位の生成が抑制される。従って、不活性ガス中での熱処理後に得られた、第2絶縁膜からなる絶縁膜は、この熱処理前の絶縁膜よりも更に絶縁耐性が向上する。」
「【0028】次に、この発明の絶縁膜の形成方法の実施例につき、図1、図2及び図3を参照しながら説明する。
【0029】図1は、この発明の実施例の説明に供する、熱処理工程の、熱サイクルを説明するための図である。同図において、横軸に処理時間を取り、縦軸に温度を取って示してある。図3は、この熱サイクルで成膜工程の説明図で、各工程段階で得られる構造体の断面図で示してある。
【0030】この発明では、下地18としての、酸化シリコン膜から成る第1絶縁膜100上に、窒素含有酸化性ガス中で熱処理を行って第2絶縁膜200を形成する。
【0031】そのため、第1絶縁膜100の形成工程につき、まず、説明する。反応炉10内に基板18を設置した後、この反応炉10内を、例えば、10^(-3)?10^(-5)トール(Torr)の範囲内の適当な真空度にまで排気する(図1のS1)。次に窒素を含まない(すなわち窒素非含有)酸化性ガス雰囲気中で、加熱処理を行って、シリコン(Si)基板18上に、第1絶縁膜となるシリコン(Si)酸化膜100を形成する。そのため、この窒素非含有酸化性ガスとして、例えば、酸素(O_(2) )ガスを反応炉10内に導入する(図1のS2)。この時、反応炉内の圧力は、例えば常圧(760Torr)とする。
【0032】次に、加熱部16を用いて、基板18を加熱して基板表面にSi酸化膜100を形成する。基板18の加熱は、基板表面温度を温度測定手段26で測定しながら一定の昇温速度、例えば、100℃/秒で行う。・・・
【0033】次に、このようにして成膜された、酸化シリコン膜から成る第1絶縁膜100上に、窒素含有酸化性ガス中で熱処理を行って第2絶縁膜200として酸窒化膜を形成する(図3の(B))。この成膜は、第1絶縁膜100の電気的絶縁破壊耐性の向上を図るために形成する。」
「【0035】次に、加熱部16を用いた加熱処理によって、Si酸化膜100が酸窒化膜200に置換される。・・・加熱温度及び時間を適当に制御することによって第2酸化膜としての酸窒化膜の膜厚を数A°?数十A°とすることができる。この実施例では、この酸窒化膜はSiOxNy(但し、x≧0、及びy≧0)である。この第2絶縁膜の形成後、一旦、基板18を酸窒化が進行しない温度まで冷却する。」
「【0050】また、上述した実施例では、この発明の第1絶縁膜の形成方法として窒素非含有酸化性ガスを用いて加熱処理を行って成膜する例につき説明したが、それ以外の方法、例えば、従来周知のCVD法等の化学的堆積法によって第1絶縁膜を成膜しても良いし、あるいは、従来周知の多結晶Siを、例えば窒素を含まない酸化性ガス中で加熱処理して、酸化して第1絶縁膜を成膜する方法であっても良い。
【0051】また、上述した実施例においては、窒素含有酸化性ガスとしてN_(2) Oを用いた例につき説明したが、これに限定されるものではなく、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO_(2) )を用いることはもとより、これらの各ガスの任意の種類を適当に混合したガスであっても良い。」

(a)0050段落には、第1絶縁膜の形成方法について、「従来周知のCVD法等の化学的堆積法によって第1絶縁膜を成膜しても良い」と記載され、また、0010段落、0011段落及び0051段落には、第1絶縁膜の「窒素含有酸化性ガス中」での「熱処理」について、窒素含有酸化性ガスとして「一酸化窒素(NO)」を用いてもよいと記載されている。

したがって、刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「CVD法等の化学堆積法により酸化膜を形成する工程と、
前記酸化膜を一酸化窒素(NO)を含む窒素含有酸化性ガス中で熱処理して酸窒化膜を形成する工程とを含むことを特徴とする絶縁膜の形成方法。」

(2)対比・判断
上記1.の(補正後)の請求項1に記載された、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)と刊行物1に記載された発明(以下、「刊行物発明」という。)とを対比する。
(a)刊行物発明の「CVD法等の化学堆積法」、「酸化膜」及び「一酸化窒素(NO)を含む窒素含有酸化性ガス中」は、それぞれ、補正発明の「化学蒸着プロセス」、「酸化物」及び「NOを含む雰囲気」に相当する。
(b)刊行物発明の「酸窒化膜」が「酸化膜」中に窒素を含むことは明らかであるから、刊行物発明の「酸窒化膜を形成する工程」は、補正発明の「窒素を含む領域を酸化物層に形成するステップ」に相当し、また、刊行物発明の「前記酸化膜を一酸化窒素(NO)を含む窒素含有酸化性ガス中で熱処理して酸窒化膜を形成する工程」は、補正発明の「酸化物層をNOを含む雰囲気にさらし、それによって窒素を含む領域を酸化物層に形成するステップ」に相当する。
そして、「酸化膜」が「絶縁膜」であることは明らかであるから、刊行物発明の「絶縁膜の形成方法」は、補正発明の「酸化膜を形成する方法」に相当する。

よって、補正発明と刊行物発明とは、
「化学蒸着プロセスで酸化物を形成するステップと、
酸化物層をNOを含む雰囲気にさらし、それによって窒素を含む領域を酸化物層に形成するステップとを含む、酸化膜を形成する方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点
補正発明は、「プラズマ増速化学蒸着プロセスで酸化物を形成するステップ」を備えているのに対して、
刊行物発明は、「CVD法等の化学堆積法により酸化膜を形成する工程」を備えた点。

以下において、相違点について検討する。
酸化膜をプラズマ雰囲気中でCVDにより形成すること、言い換えると、プラズマCVD(Plasma Enhanced CVD(PCVD))(プラズマ増速CVD)により酸化膜を形成することは、例えば以下の周知文献1に記載されているように、本願の出願当時において、半導体分野において従来周知の技術であったことは明らかである。

周知文献1:麻蒔立男、薄膜作成の基礎(第2版)、日本、日刊工業新聞社、1987年1月30日、第2版4刷、196頁及び197頁、には、表9・4(197頁)とともに、以下の記載がある。
「9・2 プラズマCVD-Plasma Enhanced CVD(PCVD)
常圧CVD法も減圧CVD法も,高温に加熱された表面での化学反応により薄膜を形成する.したがって,数百度C以上の高温度が不可欠である.プラズマCVD法は,常圧CVDや減圧CVDの反応空間にプラズマを導入することにより,その空間に存在する気体を活性化してやれば・・・もっと低い温度で薄膜を形成できようという意図から生まれた.
この要請は,半導体プロセスに最も強く,窒化膜・酸化膜・PSG薄膜などを低温(200?400℃)で形成する研究がすすめられ,実用化されてきた.例えばSi_(3)N_(4)の場合NPあるいはLPCVDでは1000℃を要した・・・が,この方法では300℃程度で薄膜をつけることができるようになった.その他酸化物などについても同様である(表9・4).」(第196頁第1行ないし第11行)

したがって、刊行物発明の「CVD法等の化学堆積法により酸化膜を形成する工程」において、酸化膜を形成するための手法として、「CVD法等の化学堆積法」に代えて、半導体技術分野において、酸化膜等の薄膜を形成する手法として従来周知の「プラズマCVD(Plasma Enhanced CVD(PCVD))(プラズマ増速CVD)」を用いることにより、刊行物発明が、本願発明の如く、「プラズマ増速化学蒸着プロセスで酸化物を形成するステップ」を備えたものとすることは、当業者が容易になし得たものである。

(3)小むすび
よって、補正発明は、刊行物1に記載された発明及び従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
平成19年7月30日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし13に係る発明は、平成18年10月18日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、請求項1に記載されている事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】 化学蒸着プロセスで酸化物を形成するステップと、
酸化物層をNOを含む雰囲気にさらし、それによって窒素を含む領域を酸化物層に形成するステップとを含む、酸化膜を形成する方法。」

第4 刊行物に記載された発明
刊行物1の特開平5-304145号公報に記載された事項は、「第2 4.(1)刊行物に記載された発明」に記載されるとおりであり、また、刊行物1に記載される発明は、以下のとおりである。

「CVD法等の化学堆積法により酸化膜を形成する工程と、
前記酸化膜を一酸化窒素(NO)を含む窒素含有酸化性ガス中で熱処理して酸窒化膜を形成する工程とを含むことを特徴とする絶縁膜の形成方法。」

第5 対比・判断
本願発明と刊行物発明とを対比する。
(a)刊行物発明の「CVD法等の化学堆積法」、「酸化膜」及び「一酸化窒素(NO)を含む窒素含有酸化性ガス中」は、それぞれ、本願発明の「化学蒸着プロセス」、「酸化物」及び「NOを含む雰囲気」に相当する。
(b)刊行物発明の「酸窒化膜」が「酸化膜」中に窒素を含むことは明らかであるから、刊行物発明の「酸窒化膜を形成する工程」は、本願発明の「窒素を含む領域を酸化物層に形成するステップ」に相当し、また、刊行物発明の「前記酸化膜を一酸化窒素(NO)を含む窒素含有酸化性ガス中で熱処理して酸窒化膜を形成する工程」は、本願発明の「酸化物層をNOを含む雰囲気にさらし、それによって窒素を含む領域を酸化物層に形成するステップ」に相当する。
そして、「酸化膜」が「絶縁膜」であることは明らかであるから、刊行物発明の「絶縁膜の形成方法」は、本願発明の「酸化膜を形成する方法」に相当する。

したがって、本願発明と刊行物発明とは、
「化学蒸着プロセスで酸化物を形成するステップと、
酸化物層をNOを含む雰囲気にさらし、それによって窒素を含む領域を酸化物層に形成するステップとを含む、酸化膜を形成する方法。」である点で一致する。

よって、本願発明と刊行物発明とは相違点がなく、本願発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本願は、請求項2ないし13に係る発明について検討するまでもなく、特許法第29条第1項第3号の規定により拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-10-29 
結審通知日 2008-11-04 
審決日 2008-11-17 
出願番号 特願平7-136681
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H01L)
P 1 8・ 113- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 574- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井原 純  
特許庁審判長 河合 章
特許庁審判官 安田 雅彦
近藤 幸浩
発明の名称 酸化膜を形成する方法、改良された酸化膜を形成する方法、高品質の酸化膜を形成する方法、ならびにトンネルおよびゲート酸化膜を形成する方法  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
代理人 堀井 豊  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ