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審決分類 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 B65H
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65H
管理番号 1195819
審判番号 不服2006-10776  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-25 
確定日 2009-04-16 
事件の表示 平成11年特許願第111122号「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年10月31日出願公開,特開2000-302295〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,平成11年4月19日の出願であって,平成18年4月19日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年5月25日に拒絶査定不服審判請求がなされ,同年6月19日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。

2.平成18年6月19日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の結論]
平成18年6月19日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
本件補正は,補正事項として,特許請求の範囲を次のように補正することを含むものである。
「【請求項3】前記作像部は,像担持体と,該像担持体に対向する転写ローラとを含み,前記転写ローラの外周速度が前記像担持体の外周速度よりも速いことを特徴とする,請求項1又は2に記載の画像形成装置。」
しかしながら,補正後の請求項3は,補正前の請求項1?3に記載された発明特定事項を含んでいないので,本件補正は,特許請求の範囲の限定的減縮を目的としたものとはいえない。
また,本件補正は,請求項の削除,誤記の訂正,あるいは明りょうでない記載の釈明の,いずれを目的としたものともいえない。
したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により,却下する。

3.本願発明
本件補正は,上記のとおり却下されたので,本願の発明は,平成17年12月28日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ,特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下,「本願発明」という。)は,以下のとおりのものである。
「記録媒体を収容する給紙部と,前記給紙部から給送された記録媒体を挟持して搬送するレジストローラ対と,前記記録媒体が前記レジストローラ対に挟持搬送された状態で当該記録媒体を挟持しながら画像を記録する作像部とを有し,前記レジストローラ対の駆動側ローラから従動側ローラへはす歯ギヤを介して駆動力を伝達することを特徴とする画像形成装置。」

4.引用例
原審の拒絶の理由に引用された特開平3-186539号公報(以下「引用例」という。)には,次の事項が記載されている。
a.(2頁右上欄2?下から4行)
「・・・互いのローラの回転軸に取り付けられたギア同士を噛合させてローラを回転する場合,以上の如くニップ量が変化するとローラ軸間距離が変化し,所望のギアの噛み合い状態が得られない。即ちニップ量が多すぎれば,ギアの歯先と歯底とがぶつかり,歯車が滑らかに噛合せず,振動を生じて騒音の原因となる。また,ニップ量が少なすぎれば軸間距離が多くなり,歯と歯は正規のインボリユート歯車の噛み合い状態を得られなくなり騒音,振動の要因になる。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,圧接するローラ間に所望の一定のニップ量を常に維持でき,転写材の搬送速度を常に一定にする搬送装置を提供するにある。」
b.(2頁右下欄下から4行?3頁左上欄8行)
「支軸2の左端部には不図示の電磁クラッチ,駆動ギア等が取り付けられ,所望のタイミングで該駆動ギアが不図示の駆動手段により回転され,レジスト下ローラ1を所定方向に回転可能としている。また,支軸2の右端部には駆動ギア5が取り付けられている。
レジスト下ローラ1の上側には該レジスト下ローラ1に沿って,レジスト上ローラ6が配置されている。レジスト上ローラ6は鉄などの硬度の大きい材質からなるローラであり,両端部は支軸7となっており,支軸7の両端部が左右に軸受8,8に枢支されている。」
c.(3頁左上欄下から4行?同右上欄1行)
「また前記駆動ギア5の上方の支軸7には該駆動ギア5と噛み合う従動ギア11が取り付けられ,駆動ギア5の回転がこの従動ギア11に伝えられて,支軸7を回転し,レジスト上ローラ6が回転されることとなる。」
d.(4頁右上欄4?7行)
「なお以上においては駆動ギア5,従動ギア11とも平歯車で考えたが,他のはすば歯車などを用いても良いことは勿論である。」
e.(5頁右上欄下から6?末行)
「したがってローラの押圧部材の特性のばらつきや,環境変動によらずローラ間に常に一定なニップ量を維持できて,常に安定した搬送速度を得られ,斜行が生じない。また特に画像形成装置においては,画像の伸び縮み,転写ぶれのない高画質な画像を得ることができる。」

これら記載事項及び図示内容を総合し,本願発明の記載ぶりに則って整理すると,引用例には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。
「転写材を収容するカセットと,前記カセットから給送された転写材を挟持して搬送するレジスト上ローラ及びレジスト下ローラと,前記転写材が前記レジスト上ローラ及びレジスト下ローラに挟持搬送された状態で当該転写材を挟持しながら画像を記録する感光ドラム及び転写ローラとを有し,前記レジスト上ローラ及びレジスト下ローラのレジスト下ローラからレジスト上ローラへギヤを介して駆動力を伝達する搬送装置。」

5.対比判断
5-1.対比
本願発明と引用発明とを対比すると,両者は,「画像形成装置」に関するものである点で同じである。そして,その構造または機能からみて,引用発明の「転写材」は本願発明の「記録媒体」に相当し,以下同様に,引用発明の「カセット」は本願発明の「給紙部」に相当し,以下同様に,「レジスト上ローラ及びレジスト下ローラ」は「レジストローラ対」に,「感光ドラム及び転写ローラ」は「作像部」に,「レジスト下ローラ」は「駆動側ローラ」に,「レジスト上ローラ」は「従動側ローラ」に,それぞれ相当する。
そこで,本願発明の用語を用いて表現すると,両者は次の点で一致する。
(一致点)
「記録媒体を収容する給紙部と,前記給紙部から給送された記録媒体を挟持して搬送するレジストローラ対と,前記記録媒体が前記レジストローラ対に挟持搬送された状態で当該記録媒体を挟持しながら画像を記録する作像部とを有し,前記レジストローラ対の駆動側ローラから従動側ローラへギヤを介して駆動力を伝達することを特徴とする画像形成装置。」

そして,両者は次の点で相違する。
(相違点)
本願発明は,ギアがはす歯ギアであるのに対し,引用発明は,はす歯ギアに限定されない点。

5-2.判断
上記相違点について判断する。
引用発明には,ギアとして,平歯ギア(平歯車)に代え,はす歯ギアを用いてよいことが記載されている(上記4.d.参照)。
また,一般に,はす歯ギアが駆動側ローラから従動側ローラへの駆動力の伝達に用いられるものであって,ローラの振動や回転ムラの防止に利用されるものであることは,本願出願前周知の技術手段として知られている。
例えば,特開平10-198197号公報(【0033】段落),特開平9-196152号公報(【0051】段落),特開平9-182488号公報(【0033】段落)等参照。
そうすると,引用発明に周知の技術手段を適用して,相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得た事項である。

そして,本願発明の作用効果も,格別のものでなく,引用発明及び周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それゆえ,本願出願は,特許請求の範囲の請求項2,3に係る発明について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-16 
結審通知日 2009-02-17 
審決日 2009-03-03 
出願番号 特願平11-111122
審決分類 P 1 8・ 571- Z (B65H)
P 1 8・ 121- Z (B65H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 島田 信一  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 佐野 健治
村山 禎恒
発明の名称 画像形成装置  
代理人 藤田 アキラ  

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