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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65H
管理番号 1195883
審判番号 不服2007-7868  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-03-16 
確定日 2009-04-15 
事件の表示 特願2006-224805「ホースリール」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月 9日出願公開,特開2006-306628〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,平成15年8月14日に出願した特願2003-293350号の出願を,平成18年8月22日に特許法第44条第1項の規定により分割して,新たな特許出願としたものであって,平成19年2月7日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年3月16日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに,同年4月13日付けで手続補正がなされ,さらに,同年6月8日付で審査前置における最後の拒絶理由通知がなされ,これに対し,同年8月8日付で手続補正がなされ,当審において,平成20年8月8日付けで拒絶理由通知がなされ,これに対し,同年10月15日付けで手続補正がなされたものである。
2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は,平成20年10月15日付け手続補正書により補正された明細書の,特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下,「本願発明」という。)。
「ドラムがフレームに回動自在に支持されたホースリールにおいて,前記フレームを,四辺からなる底面を有するケース状に形成し,前記底面の相対向する一対の二辺に,前記フレームより側方へ延出した展開状態と,前記フレームの下部に配置された収納状態とで開閉される脚部を設け,該脚部は前記展開状態において,前記底面の他の相対向する一対の二辺と直線状に連なって前記フレームより側方へ延出することを特徴とするホースリール。」
3.引用例の記載事項
当審の拒絶理由で通知した登録実用新案第3004802号公報(以下,「引用例」という。)には,次の事項が記載されている。
a.(6頁4?9行)
「この実施例のケース本体aは,左側部材1と右側部材2とをつき合わせてなるもので,これら両部材1,2をつき合わせている。すなわち,これら左右の部材1,2は,図2にも示すように,左側部材1に形成した筒3に右側部材2に形成した棒状の突起4を挿入するとともに,この筒3の底部に貫通させたボルト5で,筒3と突起4とを固定し,左右の両部材1,2をしっかりとつき合わせている。」
b.(6頁12?25行目)
「このように両部材1,2をつき合わせることによって,ケース本体aは,前後壁6,7,左右の側壁8,9,底面10及び天井面11から構成されることになり,その内部を完全に覆うことができる。……上記左側壁8の中心部分には,リールRの軸受け部13に挿入する支持軸14を一体に形成し,この支持軸14に対向する右側壁9の中心部分には,軸受け15を固定している。この軸受け15は,図3に示すように,ハンドル16に固定したパイプ状の回転軸17を支持する。上記回転軸17は,ハンドル15とは反対側である内側に6角ナット18を固定している。そして,このケース本体aに固定するリールRは,その一方の軸受け部13を支持軸14に相対回転自在に挿入する一方,他方の軸受け部19を上記六角ナット18には,このリールRが,回転軸17と一体回転する構成にしている。」
c.発明の詳細な説明の欄の記載及び図1ないし3の記載から,ホース巻取機の底は,四辺形であることが示唆されている。

これらの記載事項及び図示内容を総合し,本願発明の記載ぶりに則って整理すると,引用例には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「リールがケース本体に回動自在に支持されたホース巻取機において,前記ケース本体を,四辺からなる底面を有するケース状に形成したホース巻取機。」

4.対比
本願発明と引用発明とを対比すると,引用発明の「ケース本体」は「フレーム」に相当し,同様に,「ホース巻取機」は「ホースリール」に,「リール」は「ドラム」に,それぞれ相当する。
そこで,本願発明の用語を用いて表現すると,両者は次の点で一致する。
(一致点)
「ドラムがフレームに回動自在に支持されたホースリールにおいて,前記フレームを,四辺からなる底面を有するケース状に形成したホースリール。」

そして,両者は,次の相違点で相違する。
(相違点)
本願発明は,底面の相対向する一対の二辺に,フレームより側方へ延出した展開状態と,前記フレームの下部に配置された収納状態とで開閉される脚部を設け,該脚部は前記展開状態において,前記底面の他の相対向する一対の二辺と直線状に連なって前記フレームより側方へ延出するのに対し,引用発明は,脚部の明示的な記載がない点。

5.判断
一般に,ホースリールにおいて,通常,床,地面等平坦な箇所に設置して利用することや,その際安定状態に設置する必要があることは明らかである。
そこで,引用発明において,フレーム(ケース本体)の底辺の形状を設計する際,脚部の安定性を図るために,底面の相対向する一対の二辺に,フレームより側方へ延出した展開状態と,前記フレームの下部に配置された収納状態とで開閉される脚部を設け,該脚部は前記展開状態において,前記底面の他の相対向する一対の二辺と直線状に連なって前記フレームより側方へ延出するように配置することは本願出願前周知の技術的事項にすぎない。
例えば,実公平7-48625号公報(3頁5欄43行?同6欄14行,同24?35行,図面第7図等参照),国際公開01/56913号パンフレット(8頁11?22行,図面5等参照)に上記周知の技術的事項が記載されている。
そうすると,引用発明に周知の技術手段である脚部の技術手段を適用して,相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得た事項である。
そして,本願発明の作用効果も,格別のものでなく,引用発明及び周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知の技術手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-03 
結審通知日 2009-02-10 
審決日 2009-02-23 
出願番号 特願2006-224805(P2006-224805)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉澤 秀明  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 遠藤 秀明
佐野 健治
発明の名称 ホースリール  
代理人 三好 千明  

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