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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K
管理番号 1196108
審判番号 不服2006-16660  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-08-02 
確定日 2009-04-08 
事件の表示 特願2002-527905「サービスへのアクセスのためのカード読取り装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月21日国際公開、WO02/23320、平成16年 6月17日国内公表、特表2004-518185〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、パリ条約による優先権主張(2000年9月12日、オーストラリア、2001年6月8日、オーストラリア)を伴い、2001年9月12日を国際出願日とする出願であって、平成15年5月12日付けで特許法第184条の4第1項の規定により明細書の翻訳文及び翻訳図面(以下「当初翻訳文等」という。)が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされ、平成17年6月21日付けで手続補正がなされ、平成18年3月15日付けで拒絶理由通知がなされ、同年5月22日付けで手続補正がなされたが、同年6月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し同年8月2日付けで審判請求がなされるとともに、同年9月1日付けで手続補正がなされ、同年9月22日付けで前置報告がなされ、平成20年11月12日付けで審尋がなされ、それに対して平成21年1月9日付けで回答書が提出されたものである。

2.平成18年9月1日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年9月1日付けの手続補正を却下する。

[補正却下の決定の理由]
(2-1)補正の内容
平成18年9月1日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成18年5月22日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲

「【請求項1】カード読取装置であって、
着脱可能な、印が形成されたインタフェースカードを受容可能なレセプタクルと、
前記レセプタクルに挿入されたインタフェースカードのメモリから読まれる前記インタフェースカードに形成された印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別する第2データとを受信するデータ受信ユニットと、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1及び第2データに基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記第2データを前記サービス提供装置へ送信する送信ユニットとを備えることを特徴とするカード読取り装置。
【請求項2】前記第2データは、前記一つの印の前記選択において、前記サービス提供装置へ送信されることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項3】前記第2データは、前記一つの印が選択から解放された場合に、前記サービス提供装置へ送信されることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項4】前記第2データは、前記カード読取り装置から前記インタフェースカードが抜かれる際に、前記提供装置へ送信されることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項5】前記第2データは、前記選択の位置が移動した場合に、前記サービス提供装置へ送信されることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項6】前記第2データは擬似乱数であることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項7】前記第2データは、前記カードが前記レセプタクルに挿入されるたびにインクリメントされることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項8】前記第2データは前記インタフェースカードの前記メモリに格納されることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項9】前記サービス提供装置はセットトップボックスであることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項10】前記サービス提供装置はパーソナルコンピュータであることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項11】前記インタフェースカードが前記カード読取装置に装着された際に、前記第2データが前記サービス提供装置に送信されることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項12】前記第2データはサービス識別子であることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項13】前記サービス識別子は利用のためにベンダーによってアプリケーションによりセットされることを特徴とする請求項12に記載のカード読取り装置。
【請求項14】前記サービス識別子は、中央当局によって前記ベンダーに割り当てられることを特徴とする請求項13に記載のカード読取り装置。
【請求項15】印が形成された基板を具備するインタフェースカードを受け入れ可能なレセプタクルを有するカード読取り装置に、データ送信処理を実行させるためのプログラムであって、前記データ送信処理が、
前記レセプタクルに挿入されたインタフェースカードのメモリから読まれる、前記インタフェースカードに形成された印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別する第2データとを受信するステップと、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1及び第2データに基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記第2データを前記サービス提供装置へ複数回送信するステップとを具備することを特徴とするプログラム。
【請求項16】前記プログラムは、前記カード読取り装置中のコンピュータ可読な媒体上に格納されていることを特徴とする請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】印が形成された基板を具備するインタフェースカードを受け入れ可能なレセプタクルを有するカード読取り装置のためのデータ送信方法であって、
前記レセプタクルに挿入されたインタフェースカードのメモリから読まれる前記インタフェースカードに形成された印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別する第2データとを受信するステップと、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1及び第2データに基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記第2データを前記サービス提供装置へ複数回送信するステップとを備えることを特徴とするデータ送信方法。
【請求項18】形成された印と、データを格納するメモリとを具備するインタフェースカードを読むカード読取り装置であって、
着脱可能な、印が形成された基板を具備する前記インタフェースカードを受容するレセプタクル手段と、
前記レセプタクルに挿入された前記インタフェースカードの前記メモリから読まれる前記印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別する第2データとを受信する受信手段と、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1データによって識別されるサービスを提供する外部装置へ、前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記第2データを前記外部装置へ送信する送信手段とを備えることを特徴とするカード読取り装置。
【請求項19】カードインタフェースシステムであって、
印が形成された基板を具備する着脱可能なインタフェースカードと前記インタフェースカードを受容可能なレセプタクルを具備するカード読取り装置と、
前記レセプタクルに挿入されたインタフェースカードのメモリから読まれる前記インタフェースカードに形成された印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別する第2データとを受信するデータ受信ユニットと、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1及び第2データに基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記第2データを前記サービス提供装置へ送信する送信ユニットとを備えることを特徴とするカードインタフェースシステム。」(以下、これを「補正前の特許請求の範囲」という。)

を、

「【請求項1】カード読取装置であって、
着脱可能な、印が形成されたインタフェースカードを受容可能なレセプタクルと、
前記レセプタクルに挿入されたインタフェースカードのメモリから読まれる前記インタフェースカードに形成された印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別する第2データとを受信するデータ受信ユニットと、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1及び第2データに基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記第2データを前記サービス提供装置へ送信する送信ユニットとを備え、
前記送信ユニットは、前記第1データと前記第2データを1つのメッセージに含ませて前記サービス提供装置へ送信することを特徴とするカード読取り装置。
【請求項2】前記第2データは、前記一つの印の前記選択において、前記サービス提供装置へ送信されることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項3】前記第2データは、前記一つの印が選択から解放された場合に、前記サービス提供装置へ送信されることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項4】前記第2データは、前記カード読取り装置から前記インタフェースカードが抜かれる際に、前記提供装置へ送信されることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項5】前記第2データは、前記選択の位置が移動した場合に、前記サービス提供装置へ送信されることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項6】前記第2データは擬似乱数であることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項7】前記第2データは、前記カードが前記レセプタクルに挿入されるたびにインクリメントされることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項8】前記第2データは前記インタフェースカードの前記メモリに格納されることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項9】前記サービス提供装置はセットトップボックスであることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項10】前記サービス提供装置はパーソナルコンピュータであることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項11】前記インタフェースカードが前記カード読取装置に装着された際に、前記第2データが前記サービス提供装置に送信されることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項12】前記第2データはサービス識別子であることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。
【請求項13】前記サービス識別子は利用のためにベンダーによってアプリケーションによりセットされることを特徴とする請求項12に記載のカード読取り装置。
【請求項14】前記サービス識別子は、中央当局によって前記ベンダーに割り当てられることを特徴とする請求項13に記載のカード読取り装置。
【請求項15】印が形成された基板を具備するインタフェースカードを受け入れ可能なレセプタクルを有するカード読取り装置に、データ送信処理を実行させるためのプログラムであって、前記データ送信処理が、
前記レセプタクルに挿入されたインタフェースカードのメモリから読まれる、前記インタフェースカードに形成された印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別する第2データとを受信する受信ステップと、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1及び第2データに基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記第2データを前記サービス提供装置へ複数回送信する送信ステップとを備え、
前記送信ステップでは、前記第1データと前記第2データを1つのメッセージに含ませて前記サービス提供装置へ送信することを特徴とするプログラム。
【請求項16】前記プログラムは、前記カード読取り装置中のコンピュータ可読な媒体上に格納されていることを特徴とする請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】印が形成された基板を具備するインタフェースカードを受け入れ可能なレセプタクルを有するカード読取り装置のためのデータ送信方法であって、
前記レセプタクルに挿入されたインタフェースカードのメモリから読まれる前記インタフェースカードに形成された印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別する第2データとを受信する受信ステップと、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1及び第2データに基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記第2データを前記サービス提供装置へ複数回送信する送信ステップとを備え、
前記送信ステップでは、前記第1データと前記第2データを1つのメッセージに含ませて前記サービス提供装置へ送信することを特徴とするデータ送信方法。
【請求項18】形成された印と、データを格納するメモリとを具備するインタフェースカードを読むカード読取り装置であって、
着脱可能な、印が形成された基板を具備する前記インタフェースカードを受容するレセプタクル手段と、
前記レセプタクルに挿入された前記インタフェースカードの前記メモリから読まれる前記印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別する第2データとを受信する受信手段と、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1データによって識別されるサービスを提供する外部装置へ、前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記第2データを前記外部装置へ送信する送信手段とを備え、
前記送信手段は、前記第1データと前記第2データを1つのメッセージに含ませて前記外部装置へ送信することを特徴とするカード読取り装置。
【請求項19】カードインタフェースシステムであって、
印が形成された基板を具備する着脱可能なインタフェースカードと前記インタフェースカードを受容可能なレセプタクルを具備するカード読取り装置と、
前記レセプタクルに挿入されたインタフェースカードのメモリから読まれる前記インタフェースカードに形成された印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別する第2データとを受信するデータ受信ユニットと、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1及び第2データに基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記第2データを前記サービス提供装置へ送信する送信ユニットとを備え、
前記送信ユニットは、前記第1データと前記第2データを1つのメッセージに含ませて前記サービス提供装置へ送信することを特徴とするカードインタフェースシステム。」(以下、これを「補正後の特許請求の範囲」という。)

に、補正するものである(なお、以下では、補正前の特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」といい、補正後の特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)。

(2-2)新規事項の有無、補正の目的要件
上記「1.手続の経緯」で挙げた当初翻訳文等は、特許法第184条の6第2項の規定により、願書に最初に添付した明細書及び図面とみなされるものであるが、補正後の特許請求の範囲の記載は、当初翻訳文等に記載された事項の範囲内のものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合している。
そして、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮(請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの)を目的とするものである。

(2-3)独立特許要件
本件補正は特許法17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とすることから、補正後の請求項12に記載された発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)以下に検討する。

(2-3-1)補正後の発明
補正後の請求項12は、

「【請求項12】前記第2データはサービス識別子であることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。」

というものである。ここで、補正後の請求項12が引用する補正後の請求項1は、

「【請求項1】カード読取装置であって、
着脱可能な、印が形成されたインタフェースカードを受容可能なレセプタクルと、
前記レセプタクルに挿入されたインタフェースカードのメモリから読まれる前記インタフェースカードに形成された印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別する第2データとを受信するデータ受信ユニットと、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1及び第2データに基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記第2データを前記サービス提供装置へ送信する送信ユニットとを備え、
前記送信ユニットは、前記第1データと前記第2データを1つのメッセージに含ませて前記サービス提供装置へ送信することを特徴とするカード読取り装置。」

というものであるから、この補正後の請求項1の中の「第2データ」を「サービス識別子」に限定する次の発明(以下、「本願補正発明」という。)が、補正後の請求項12に係る発明であると認められる。

「カード読取装置であって、
着脱可能な、印が形成されたインタフェースカードを受容可能なレセプタクルと、
前記レセプタクルに挿入されたインタフェースカードのメモリから読まれる前記インタフェースカードに形成された印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別するサービス識別子とを受信するデータ受信ユニットと、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1データ及び前記サービス識別子に基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記サービス識別子を前記サービス提供装置へ送信する送信ユニットとを備え、
前記送信ユニットは、前記第1データと前記サービス識別子を1つのメッセージに含ませて前記サービス提供装置へ送信することを特徴とするカード読取り装置。」

(2-3-2)引用文献
原審の拒絶の理由に引用された欧州特許出願公開第992953号明細書(以下、「引用文献」という。)は、上記「1.手続の経緯」で挙げた2つの優先日のうちの最先のもの(2000年9月12日)よりも前であるところの2000年4月12日に発行された刊行物であって、この引用文献には、図面とともに以下の(ア)?(ス)の事項が記載されている(なお、下線部は便宜的に当審にて付与したもの。以下同じ。)。

(ア)「[0022] Referring to Fig.1, there is provided a controller 1, having a housing 2 which defines a control template receptacle 4 and a viewing area 6. Data reading means are provided in the form of exposed contacts 7 and associated control circuitry (not shown). The controller 1 also includes sensor means in the form of a substantially transparent pressure sensitive membrane 8 covering the viewing area 6.(図1を参照すると、コントローラ1が提供されている。コントローラ1は、筐体(housing)2を有しており、筐体2は、コントロール・テンプレートのレセプタクル4と視認領域(viewing area)6を規定している。露出した接点7とそれに関連付けられた制御回路(図示せず)という形態で、データ読み取り手段が提供される。コントローラ1は、視認領域6を覆う実質的に透明な感圧膜8の形態のセンサ手段も有している。)(括弧書きは当審による翻訳文。以下、同じ。)」

(イ)「[0023] The controller 1 is configured for use with a control template, which, in the embodiment shown in Figs.1 to 3, takes the form of a smart card 10. The smart card 10 includes a laminar substrate 12 with control indicia in the form of a four way directional controller 20, "jump" button 22 and "kick" button 24 printed on an upper face 16 thereof.(後略)(コントローラ1は、図1?3に示される実施例ではスマートカード10の形態を取るコントロール・テンプレートとともに使用されるように構成されている。スマートカード10は、4方向の方向指示器20と「ジャンプ」ボタン22と「キック」ボタン24の形態の制御印(control indicia)がその表面16に印刷された薄膜基板を含んでいる。(後略)」

(ウ)「[0024] The smart card 10 includes storage means in the form of an on-board memory chip 19 (Fig.3) for storing mapping data associated with the control indicia. The smart card 10 also includes data contacts 18 connected to the on-board memory chip 19 corresponding with the exposed contacts 7 on the controller 1.(スマートカード10は、制御印と関連付けられたマッピング・データを格納するための、オン・ボード・メモリチップ19の形態の記憶手段を含んでいる(図3)。オン・ボード・メモリチップ19と接続され、コントローラ1の露出した接点7と対応するデータ接点18も、スマートカード10は含んでいる。)」

(エ)「[0026] In use, the smart card 10 is inserted into the control template receptacle 4, such that the pressure sensitive membrane 8 covers the upper face 16 of the smart card 10. The control indicia are visible within the viewing area 6 through the transparent pressure sensitive membrane 8.(使用時には、スマートカード10はコントロール・テンプレートのレセプタクル4に挿入され、感圧膜8がスマートカード10の表面16を覆うようにされる。制御印は、透明な感圧膜8をとおして視認領域6内に見えるようになっている。)」

(オ)「[0027] The exposed contacts 7 and associated circuitry are configured to read the mapping data associated with the control indicia from the memory chip 19, either automatically upon insertion of the smart card 10 into the control template receptacle 4, or selectively in response to a signal from the controller 1.(後略)(露出した接点7と、それと連携する回路は、制御印と関連付けられたマッピング・データをメモリチップ19から読み出すように構成されている。当該読み取りは、コントロール・テンプレートのレセプタクル4にスマートカード10が挿入されると自動的に行われてもよいし、コントローラ1からの信号に応答して行うようにしてもよい。(後略))」

(カ)「[0028] Once the mapping data associated with the control indicia 14 has been read, a user can press areas of the pressure sensitive membrane 8 on or adjacent the underlying control indicia. By sensing the pressure on the pressure sensitive membrane 8 and referring to the mapping data, the controller 1 can deduce which of the control indicia the user has pressed. For example, if the user places pressure on the pressure sensitive membrane 8 adjacent the "kick" button 24, the controller 1 will assess the position at which the pressure was applied, refer to the mapping data, and determine that the "kick" button 24 was selected. This information can then be used to control a game running on an associated video game console (of conventional construction and not shown).(制御印14と関連付けられているマッピングデータがひとたび読まれると、利用者は、その下にある制御印の上の或いは制御印に隣接した感圧膜8の領域を押すことができる。感圧膜8上の圧力を感知し、マッピングデータを参照することで、コントローラ1は制御印のどれを利用者が押したかを推論できる。例えば、仮に利用者が「キック」ボタンに隣接した感圧膜8の上に圧力を加えると、コントローラ1は圧力が加えられた位置を評価し、マッピングデータを参照し、「キック」ボタン24が選択されたと決定する。この情報は、対応付けられた(不図示の通常の構成の)ビデオゲームコンソール上で動いているゲームを制御するために利用され得る。)」

(キ)「[0029] In a preferred form, the controller includes a transmitter (of conventional type and not shown), such as an infra-red (IR) transmitter or radio frequency (RF) transmitter,for transmitting information in relation to buttons selected by the user. In the embodiment of the controller 1 shown in Fig.1, an IR transmitter having an IR light emitting diode (LED) 25 is provided. Upon selection of one of the control indicia 20, 22,24, 64, the controller 1 causes information related to the selection to be transmitted to a remote video console (not shown) where a corresponding IR receiver detects and decodes the information for use in controlling a game being played.(好ましい形態では、利用者によって選択されたボタンに関連する情報を送信するために、コントローラ1は、赤外線(IR)送信器または無線周波数(RF)送信器のような(不図示の通常のタイプの)送信器を含んでいる。図1に示されているコントローラ1の実施例では、赤外線発光ダイオード(LED)25を有する赤外線送信器が提供されている。制御印20、22、24、64のうちの1つが選択されると、コントローラ1は、その選択に関連して(不図示の)遠隔ビデオコンソールに送信されるべき情報をもたらす。そして、前記遠隔ビデオコンソールにおいて、対応する赤外線受信器がその情報を検出し、プレイされているゲームを制御するのに用いるためにその情報をデコードする。)」

(ク)「[0034] (前略)In one application, the smart card is programmed and customized for one touch operation to obtain a service over a network. Examples of services over the network include those services described herein after with reference to the various embodiments. In another application, the smart card may be programmed for obtaining a service locally at a set top box. In a still further application,the smart card can be programmed for obtaining a service both remotely and locally. For instance, the smart card may be programmed to retrieve an application remotely from a network and load it on a set top box. The latter smart card may be additionally programmed to obtain a service from the loaded application on the set top box. Various embodiments of the smart card are shown in Figs.7 to 17. The programming process of the smart card is described in more detail below with reference to Fig.20.((前略)1つのアプリケーションでは、ネットワークからサービスを得るためのワンタッチ操作を実現するために、スマートカードはプログラムされカスタマイズされる。ネットワークからのサービスの例には、様々な実施例を参照して後述されるサービスが含まれる。別のアプリケーションでは、セット・トップ・ボックスにおいてローカルにサービスを得るためにスマートカードはプログラムされるかもしれない。更に別のアプリケーションでは、リモートとローカルの両方でサービスを引き出すためにスマートカードはプログラムされ得る。例えば、1つのアプリケーションを遠隔的にネットワークから引き出して、それをセット・トップ・ボックスにロードするために、スマートカードはプログラムされるかもしれない。後者のスマートカードは、セット・トップ・ボックスにロードされたアプリケーションからサービスを得るために、追加的にプログラムされるかもしれない。スマートカードの様々な実施例は、図7?17に示されている。スマートカードをプログラムする工程は、図20を参照して以下に更に詳細に叙述される。)」

(ケ)「[0054] Fig.18A presents a process flow diagram from the perspective of the card reader into which a smart card as described is inserted. In a process step 700 the card insertion is detected, whereafter in a process step 702, the card reader detects that the user has touched one of the designated regions. In the initial detection step 700, the card reader retrieves from the smart card memory, the name and address of the application associated with the card. In the following process step 704, the card reader makes reference to mapping information in order to identify the particular region pressed by the user,whereafter in step 706 the command associated with the particular region in question is retrieved from a memory. In a process step 708, the particular command being requested through touching the specified region is sent to the application in question.(後略)(図18Aは、上述のスマートカードが挿入されるカードリーダの側から見た工程流れ図を示す。ステップ700では、カードの挿入が検出され、その後、ステップ702で、カードリーダは、指定された領域のうちの1つを利用者が触ったことを検出する。最初の検出ステップ700で、カードリーダはスマートカードのメモリから、そのカードと関連付けられているアプリケーションの名前とアドレスを引き出す。続くステップ704で、カードリーダは、利用者によって押された特定の領域を確認するために、マッピング情報を参照する。その後、ステップ706で、当該特定の領域に関連付けられたコマンドが、メモリから引き出される。ステップ708では、その特定の領域に触れることで要求されているその特定のコマンドが、当該アプリケーションへ送られる。(後略))」

(コ)「[0055] The smart card as described has stored in its memory a list of x-y coordinates and commands associated with the "buttons", "icons", and/or "regions" of the smart card. For instance, each member of the list may have the syntax {TL,BR, "COMMAND"}, where TL and BR are the x-y coordinates of the top left hand corner and bottom right hand corner respectively of the associated "button", "icon" or "region" on the smart card, and where "COMMAND" is the associated command to be performed by pressing the associated "button", "icon", or "region". Some examples of "COMMAND" may be load URL address, or down load file etc.(後略)(上述のスマートカードは、そのメモリの中に、スマートカードの「ボタン」、「アイコン」及び/又は「領域」と関連付けられたX-Y座標とコマンドリストを格納している。例えば、そのリストの各々の要素(member)は、 {TL,BR, "COMMAND"}という構文(syntax)を有しているであろう。ここで、TLとBRとは、それぞれ、関連付けられているスマートカード上の「ボタン」、「アイコン」または「領域」の左上端と右下端のX-Y座標のことであり、"COMMAND"とは、関連付けられた「ボタン」、「アイコン」または「領域」を押すことによって実行されるべき関連付けられたコマンドのことである。"COMMAND"のいくつかの例としては、URLアドレスをロードすることや、ファイルをダウンロードすることなどがあるかもしれない。(後略))」

(サ)「[0056] Turning now to Fig.18B, there is shown in more detail the processes of steps 702 to 712 of Fig.18A. In a process step 702, the card reader determines the x-y coordinates of the area on the smart card, which has been pressed by the user. The process then continues to decision block 718, where a check is made by the card reader whether these pressed x-y coordinates match the coordinates TL, BR of a first member{TL, BR, "COMMAND"} of the list, which has been retrieved from memory in the smartcard. If the x-y coordinates pressed by the user do not match to the coordinates TL, BR of the first member then the decision block 718 returns false(no) and the process continues to decision block 720. In decision block 720, a check is made whether the current member of the list is the last member of the list. If the decision block 720 returns false(no) then the process continues to process step 722, where the card reader increments to the nextmember of the list. Otherwise if the decision block 720 returns true(yes), the process then terminates awaiting further user input. The card reader, thus increments through the list, checking the TL, BR coordinates of each member against the pressed x-y coordinates until a match is found. If no match is found the process terminates.(ここで、図18Bに目を転じると、図18Aのステップ702?712の工程が、更に詳細に示されている。ステップ702では、カードリーダは利用者によって押されたスマートカード上の領域のX-Y座標を決定する。そして、工程は決定ブロック718へと続き、そこでは、スマートカード内のメモリから既に引き出されているリストの最初の要素{TL, BR, "COMMAND"}の座標TL、BRに、押されたX-Y座標が適合(match)するか否かが、カードリーダによってチェックされる。もしも、利用者によって押されたX-Y座標が最初の要素の座標TL、BRに適合しなければ、決定ブロック718は偽(ノー)を返し、工程は決定ブロック720へと続く。決定ブロック720では、今のリスト要素が、リストの最後の要素であるか否かがチェックされる。もしも決定ブロック720が偽(ノー)を返すならば、工程はステップ720へと続き、そこではカードリーダはリストの次の要素へと歩進(increment)する。或いは、もしも決定ブロック720が真(イエス)を返すならば、更なる利用者の入力を待機しながら工程は終了する。カードリーダは、押されたX-Y座標に対して各々の要素のTL、BR座標の一致が見つかるまで、チェックしながら、このようにリストを歩進する。もしも一致が見つからなければ、工程は終了する。)」

(シ)「[0057] In the event the decision block 718 returns true(yes), that is if the pressed x-y coordinates match the TL, BR coordinates of a member{TL, BR, "COMMAND"} of the list, then the process continues to process step 724. Preferably, TL and BR define a region or area on the smart card and a match is found when the x-y coordinates of the area pressed by the user fall or partly fall within the region or area defined by TL and BR. In the next process step 724, the card reader retrieves the "COMMAND" associated with the matched coordinates and then sends 726 the "COMMAND" to the particular application in question. The card reader already knows the name and address of the application from the initial detection of the card. After step 726, the process then terminates awaiting further user input.(決定ブロック718が真(イエス)を返す場合には、それは、押されたX-Y座標がリストの要素{TL, BR, "COMMAND"}のTL、BR座標に適合する場合であるが、その場合には工程はステップ724へと続く。TLとBRはスマートカード上の領域を規定し、利用者によって押された領域のX-Y座標がTLとBRによって規定される領域に少なくとも部分的にかかっているときに、適合したと判定されるようにするのが好ましい。次のステップ724では、適合した座標に関連付けられた"COMMAND"をカードリーダは取り出して、ステップ726でその"COMMAND"を当該特定のアプリケーションへ送る。カードリーダは既に、カードを最初に検出した時から、そのアプリケーションの名前とアドレスを知っている。ステップ726の後で、利用者の更なる入力を待ちつつ工程は終了する。)」

(ス)「[0058] Fig.18C presents a process flow diagram from the perspective of the application associated with a smart card as described. There are many different configurations of applications suitable for use with the smart cards. For instance, the application can be located remotely on a server. Alternatively, it can also be located locally on a personal computer. The application can be a set top box, such as a VCR. Also, the application can either be implemented as software or hardware. For instance, the card reader may send a series of bits to a TV to remotely change the channels. Turning now to Fig.18C, the process of the application is described. In a process step 750, the application receives a "COMMAND" from the card reader corresponding to the "icon", "button" or "region"on the smart card pressed by the user. The application in the next process step 752, performs the "COMMAND". For instance, the application can be an internet browser and the command "load a URL address". In another example, the application can be a telephone communications package in a telephone and the command "Phone 999 9999".(図18Cは、上述の如くスマートカードと関連付けられたアプリケーションの側から見た工程流れ図を示す。スマートカードとともに使用されるのに適したアプリケーションの多数の異なる構成手法が存在する。例えば、アプリケーションは遠隔のサーバ上に置くこともできる。或いは、パーソナルコンピュータ上にローカルに置くこともできる。アプリケーションはVCRのようなセット・トップ・ボックスでもよい。また、アプリケーションはソフトウェアとして実装されることも、ハードウェアとして実装されることも可能である。例えば、チャンネルを遠隔的に切り換えるために、カードリーダはテレビにビット列を送るかもしれない。ここで図18Cに目を転じると、アプリケーションの工程が描かれている。ステップ750では、利用者によって押されたスマートカード上の「アイコン」、「ボタン」或いは「領域」に対応する"COMMAND"を、アプリケーションはカードリーダから受け取る。次のステップ752で、アプリケーションはその"COMMAND"を実行する。例えば、アプリケーションがインターネット・ブラウザであって、コマンドが「URLアドレスをロードせよ」というものであることが可能である。別の例では、アプリケーションは電話内の電話通信パッケージであって、コマンドは「999 9999に電話せよ」というものである。)」

上記(ア)の記載は、コントローラ1が、コントロール・テンプレートのレセプタクル4と、データ読み取り手段を有し、該データ読み取り手段は露出した接点7を有し、また、コントローラ1は視認領域6を覆う感圧膜8を有しているという趣旨の記載である。
上記(イ)の記載は、コントローラ1とともに使用されるコントロール・テンプレートの一種としてスマートカードが存在し、スマートカードの表面には制御印が印刷されているという趣旨の記載である。
上記(ウ)の記載は、スマートカードは、制御印と関連付けられたマッピング・データを格納するためのメモリチップ19を有し、スマートカードのメモリチップ19は、コントローラ1の露出した接点7に対応するスマートカードのデータ接点18と接続されているという趣旨の記載である。
上記(エ)の記載は、スマートカードが使用時にはレセプタクルに挿入され、スマートカードの制御印が、コントローラ1の透明な感圧膜をとおしてコントローラ1の視認領域内に見えるようになるという趣旨の記載である。
上記(オ)の記載は、レセプタクルにスマートカードが挿入されると、スマートカード内のメモリチップ19から制御印と関連付けられたマッピング・データが露出した接点7を用いてコントローラ1へと読み出されるという趣旨の記載である。
上記(カ)の記載は、制御印と関連付けられたマッピング・データが読まれた後で、制御印の上に覆われているコントローラ1の感圧膜を押すと、感圧膜上の押された位置とマッピング・データとを照合して、どの制御印が押されたかをコントローラ1が判定するという趣旨の記載である。
上記(キ)の記載は、利用者によって選択された制御印に関連する情報を送信するための送信器を、コントローラ1が有するという趣旨の記載である。
上記(ク)の記載は、スマートカードが、セット・トップ・ボックスにロードされたアプリケーションからサービスを得るためのものであるという趣旨の記載である。
上記(ケ)の記載は、カードリーダは、スマートカードのメモリから、そのカードと関連付けられているアプリケーションの名前とアドレスをスマートカードの挿入を検知した際に読み出し、また、カードリーダは、スマートカードが挿入されると、そのスマートカードのメモリから、利用者によって押された領域を確認するためにマッピング情報を参照し、当該領域に対応するコマンドが前記アプリケーションへ送られるという趣旨の記載である。
上記(コ)?(シ)の記載は、スマートカード内のメモリには、スマートカードの「ボタン」、「アイコン」、「領域」のX-Y座標と、それに対応するコマンド"COMMAND"の組がリストとして格納されており、カードリーダは利用者によって押されたスマートカード上のX-Y座標と上述のリスト内のX-Y座標とを対比し、適合するリスト内のX-Y座標に対応するコマンド"COMMAND"をアプリケーションへ送るという趣旨の記載である。
ここで、当該アプリケーション(上記(シ)に記載されているアプリケーション)は、カードリーダがカードを最初に検知した時から名前とアドレスを知っているアプリケーションであるという趣旨の記載が上記(シ)には存在するから、上記(ケ)の記載におけるアプリケーションと同じアプリケーションであると解される。また、上記(コ)?(シ)の記載における「ボタン」、「アイコン」、「領域」とは、上述の「制御印」を具体化したものであり、上記(コ)?(シ)の記載におけるリストに格納されているX-Y座標とコマンド"COMMAND"の組が、上述の「マッピング・データ」を具体化したものと解され、これらのことから、前記「カードリーダ」は前記「コントローラ1」を具体化したものと解される。
次に、上記(ス)の記載は、カードリーダからコマンド"COMMAND"を受け取るアプリケーションは、パーソナルコンピュータ上のソフトウェアであってもよいという趣旨の記載である。
上記(ア)?(ス)の記載から、カードリーダから取り外された状態にあるスマートカードに印刷されている制御印を押しても、カードリーダが有している感圧膜は押されないから"COMMAND"が送信されないことは明白であり、したがって、カードリーダはスマートカードが挿入されてから抜き取られるまでの間に、制御印が押されると、押された制御印に対応する"COMMAND"をアプリケーションへ送信するものと解される。
また、上記(サ)の「更なる利用者の入力を待機しながら」という記載や、上記(シ)の「利用者の更なる入力を待ちつつ」という記載に鑑みれば、スマートカードがカードリーダに挿入されている期間中は、利用者が制御印の一つを押す度に、押された制御印に対応する"COMMAND"がアプリケーションへ送信されるものと解される。

したがって、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「カードリーダであって、
着脱可能な、制御印が形成されたスマートカードを受容可能なレセプタクルと、
前記レセプタクルに挿入されたスマートカードのメモリチップから読まれる前記スマートカードに形成された制御印と対応する"COMMAND"と、前記スマートカードと関連付けられサービスを提供するアプリケーションの名前とを読み取るデータ読み取り手段と、
前記制御印の一つが押されるのに応じて、前記"COMMAND"と、前記アプリケーションの名前によって特定されるアプリケーションに基づいてサービスを提供するように構成されているセット・トップ・ボックス又はパーソナルコンピュータへ前記"COMMAND"を送信し、前記カードリーダの前記レセプタクルへ前記スマートカードが挿入されてから、前記スマートカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記制御印の一つが押される度に、前記"COMMAND"を前記セット・トップ・ボックス又はパーソナルコンピュータ上で動作するアプリケーションへ送信する送信器とを備えることを特徴とするカードリーダ。」

(2-3-3)対比
ここで、本願補正発明と引用発明とを比較する。
引用発明の「カードリーダ」が、本願補正発明の「カード読み取り装置」に相当する。
引用発明の「制御印」が、本願補正発明の「印」に相当する。
引用発明の「スマートカード」、「レセプタクル」、「メモリチップ」が、それぞれ本願補正発明の「インタフェースカード」、「レセプタクル」、「メモリ」に相当する。
引用発明の「制御印と対応する"COMMAND"」が、本願補正発明の「印の一つを識別する第1データ」に相当する。すなわち、引用発明の「"COMMAND"」が、本願補正発明の「第1データ」に相当する。
引用発明の「前記スマートカードと関連付けられサービスを提供するアプリケーションの名前」が、本願補正発明の「前記インタフェースカードを識別するサービス識別子」に相当する。すなわち、引用発明の「アプリケーションの名前」が、本願補正発明の「サービス識別子」に相当する。
引用発明の「読み取るデータ読み取り手段」が、本願補正発明の「受信するデータ受信ユニット」に相当する。
引用発明の「前記制御印の一つが押されるのに応じて」が、本願補正発明の「前記印の一つに対する選択操作に応じて」に相当する。
上述の如く、引用発明の「"COMMAND"」、「アプリケーションの名前」が、それぞれ本願補正発明の「第1データ」、「サービス識別子」に相当することから、引用発明の「前記"COMMAND"と、前記アプリケーションの名前によって特定されるアプリケーションに基づいてサービスを提供するように構成されているセット・トップ・ボックス又はパーソナルコンピュータ」を上位概念化して把握すると、本願補正発明の「前記第1データ及び前記サービス識別子に基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置」に相当する。
また、本願補正発明には「前記送信ユニットは、前記第1データと前記サービス識別子を1つのメッセージに含ませて前記サービス提供装置へ送信する」と記載されていることから、本願補正発明の「前記第1データを送信し」という記載に含まれる「送信」と、本願補正発明の「前記サービス識別子を前記サービス提供装置へ送信する」という記載に含まれる「送信」は、いずれも、「前記第1データと前記サービス識別子を1つのメッセージに含ませて」送信しているものと解され、したがって、引用発明の「前記制御印の一つが押されるのに応じて、前記"COMMAND"と、前記アプリケーションの名前によって特定されるアプリケーションに基づいてサービスを提供するように構成されているセット・トップ・ボックス又はパーソナルコンピュータへ前記"COMMAND"を送信し、前記カードリーダの前記レセプタクルへ前記スマートカードが挿入されてから、前記スマートカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記制御印の一つが押される度に、前記"COMMAND"を前記セット・トップ・ボックス又はパーソナルコンピュータ上で動作するアプリケーションへ送信する送信器とを備えることを特徴とする」と、本願補正発明の「前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1データ及び前記サービス識別子に基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記サービス識別子を前記サービス提供装置へ送信する送信ユニットとを備え、前記送信ユニットは、前記第1データと前記サービス識別子を1つのメッセージに含ませて前記サービス提供装置へ送信することを特徴とする」とは、ともに、「前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1データ及び前記サービス識別子に基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記第1データを前記サービス提供装置へ送信する送信ユニットとを備えることを特徴とする」ものである点で共通する。

よって、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)
「カード読取装置であって、
着脱可能な、印が形成されたインタフェースカードを受容可能なレセプタクルと、
前記レセプタクルに挿入されたインタフェースカードのメモリから読まれる前記インタフェースカードに形成された印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別するサービス識別子とを受信するデータ受信ユニットと、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1データ及び前記サービス識別子に基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記第1データを前記サービス提供装置へ送信する送信ユニットとを備えることを特徴とするカード読取り装置。」

(相違点)
上記一致点において「第1データ」を「送信」するという趣旨の記載が2箇所存在しているが、それぞれの「送信」を行う際に、本願補正発明では、前記「第1データ」と前記「サービス識別子」を1つのメッセージに含ませて送信するのに対し、引用発明では前記「サービス識別子(アプリケーションの名前)」を有している「アプリケーション」であって、前記サービス提供装置上で動作している「アプリケーション」に対して前記「第1データ("COMMAND")」を送信するものではあるが、その送信を行う際の情報の表現形態は具体的に明記されていない点。

(2-3-4)当審の判断
上記相違点について検討する。
他の装置で動作しているアプリケーションに対して情報を送る際に、送るべき情報と、その宛先であるアプリケーションの名前とを組にして1つのメッセージに含ませて送信することは、例えば特開平4-270535号公報の段落【0002】?【0003】に

「【0002】【従来の技術】(中略)図5Aおよび5B(以下、これらを合せて「図5」という)は、従来の通信ルーチンの構成およびアプリケーションによる、上記通信ルーチンの使用例を示す図である。ここに示す通信ルーチン1は、トーカ2とリスナ3のペアから構成され、各コンピュータ4上に1組ずつ存在する。トーカ2は、リスナ3にメッセージを渡すことが可能であり、ここで、相手リスナは同一コンピュータ上、異なるコンピュータ上のいずれに存在しても良い。(中略)なお、本明細書中においては、通信路を広義に捉え、内部バス等を介する場合も通信路を介するものと表現することにする。これとは逆に、リスナ3は、トーカ2からメッセージを受けることが可能である。この場合も、相手トーカは同一コンピュータ上、異なるコンピュータ上のいずれに存在しても良い。
【0003】発信元アプリケーションプログラム(以下、発信元「AP」という)6は、同一コンピュータ上のトーカ2に渡すためにメッセージを発信ファイル7に書込み、ファイル名を発信ディレクトリ8に登録する。発信ファイル7に書込まれたメッセージには、メッセージ本体とともに、相手コンピュータノード名、相手アプリケーション名、データ量等の情報が入っている。トーカ2は、発信元AP6から割込みシグナルを受けるか、または、自らの定期的スキャンによって読出しのタイミングを知り、発信ディレクトリ8を参照し、メッセージのファイル名を知り、発信ファイル7内のメッセージを読んで、相手コンピュータノード名、相手アプリケーション名、データ量等の情報を獲得し、通信路を開いてメッセージを相手コンピュータ上のリスナに伝送する。リスナ3は、受信したメッセージを受信ファイル9に書込み、ファイル名を受信ディレクトリ10に登録する。受信ファイル9に書込まれたメッセージには、メッセージ本体とともに、相手アプリケーション名、データ量の情報が入っている。受信元AP11は、リスナ3から割込みシグナルを受けるか、自らの定期的スキャンによって受信ディレクトリ10を参照し、メッセージのファイル名を知り、受信ファイル9内のメッセージを読出す。上述の如く、発信元AP6は、通信ルーチン1を使用して受信元AP11にメッセージを渡してきた。」

というように【従来の技術】として記載され、また、特開平9-62637号公報の段落【0017】、【0022】、【0026】(段落【0017】で引用されている図6も参照)には、

「【0017】ネットワーク200上を流れるメッセージのフォーマットを図6に示す。メッセージはヘッダ部として、アプリケーションプログラムの名称が設定されるアプリケーションプログラム名称部601と、データを格納したデータ部602により構成される。メッセージは、ネットワーク200上にブロードキャストされ、各プロセッサは、アプリケーションプログラム名称部601に設定されるアプリケーション名称に基づいてそのメッセージの受信要否を判断する。」

「【0022】アプリケーションプログラム710は、データを送信するとき、送信先のアプリケーションプログラム名称、送信データ、メッセージサイズの指定とともに送信すべきデータをメッセージ格納バッファ305に格納して実行管理モジュール703に送信要求を出す(ステップ112)。(中略)メッセージを出力バッファ304内に格納する。出力バッファ304に格納されたメッセージは、インターフェースモジュール701によりネットワーク201にブロードキャストされる(ステップ113)。(後略)」

「【0026】なお、本実施例では、メッセージの伝送は、ブロードキャストにより行っているが、各プロセッサに、各アプリケーションプログラムがどのプロセッサにローディングされているかという情報を持たせ、送信先プロセッサを指定した1対1通信を行ってもよい。(後略)」

と記載されているように当業者にとって周知技術であるから、引用発明において"COMMAND"をアプリケーションに送る際に、当該"COMMAND"と送り先のアプリケーションの名前とを組にして1つのメッセージに含ませて送信することは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。

したがって、本願補正発明は上記引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(2-4)本件補正についての結び
以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正却下の決定の結論]のとおり決定する。

3.本願発明について
平成18年9月1日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項12に係る発明は、補正前の請求項12が、

「【請求項12】前記第2データはサービス識別子であることを特徴とする請求項1に記載のカード読取り装置。」

というものであり、補正前の請求項12が引用する補正前の請求項1が

「【請求項1】カード読取装置であって、
着脱可能な、印が形成されたインタフェースカードを受容可能なレセプタクルと、
前記レセプタクルに挿入されたインタフェースカードのメモリから読まれる前記インタフェースカードに形成された印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別する第2データとを受信するデータ受信ユニットと、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1及び第2データに基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記第2データを前記サービス提供装置へ送信する送信ユニットとを備えることを特徴とするカード読取り装置。」

であるから、この補正前の請求項1の中の「第2データ」を「サービス識別子」に限定する次の発明(以下、「本願発明」という。)が、補正前の請求項12に係る発明であると認められる。

「カード読取装置であって、
着脱可能な、印が形成されたインタフェースカードを受容可能なレセプタクルと、
前記レセプタクルに挿入されたインタフェースカードのメモリから読まれる前記インタフェースカードに形成された印の一つを識別する第1データと、前記インタフェースカードを識別するサービス識別子とを受信するデータ受信ユニットと、
前記印の一つに対する選択操作に応じて、前記第1データ及び前記サービス識別子に基づいてサービスを提供するように構成されているサービス提供装置へ前記第1データを送信し、前記カード読取装置の前記レセプタクルへ前記インタフェースカードが挿入されてから、前記インタフェースカードが前記レセプタクルから抜かれるまでの間、前記印の一つに対する選択操作が行われる度に、前記サービス識別子を前記サービス提供装置へ送信する送信ユニットとを備えることを特徴とするカード読取り装置。」

(3-1)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献およびその記載事項は、前記「2.平成18年9月1日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「(2-3)独立特許要件」の「(2-3-2)引用文献」に記載したとおりである。

(3-2)対比・判断
本願発明は、前記「2.平成18年9月1日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「(2-3)独立特許要件」の「(2-3-1)補正後の発明」に記載された本願補正発明の発明特定事項である

「前記送信ユニットは、前記第1データと前記第2データを1つのメッセージに含ませて前記サービス提供装置へ送信する」

を省いたものである。すなわち、本願発明は本願補正発明を上位概念化して表現した発明である。
そして、前記「2.平成18年9月1日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「(2-3)独立特許要件」の「(2-3-4)当審の判断」に記載したとおり、本願補正発明は引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、そのような本願補正発明を上位概念化して表現した本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-02-09 
結審通知日 2009-02-13 
審決日 2009-02-24 
出願番号 特願2002-527905(P2002-527905)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06K)
P 1 8・ 121- Z (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 夏目 健一郎石川 正二  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 久保 光宏
赤川 誠一
発明の名称 サービスへのアクセスのためのカード読取り装置  
代理人 大塚 康徳  
代理人 高柳 司郎  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康弘  
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