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審決分類 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正しない G02B
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正しない G02B
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない G02B
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正しない G02B
管理番号 1196493
審判番号 訂正2008-390110  
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2008-10-07 
確定日 2009-04-06 
事件の表示 特許第3990433号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.請求の要旨
本件審判請求の要旨は、特許第3990433号の特許明細書および特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書および訂正特許請求の範囲のとおりに訂正しようとするものであって、訂正事項は以下のとおりである。

(1)訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1の
「 ハードコート層と、偏光子と、その遅相軸が該偏光子の吸収軸に対して交差して配置された第1の光学補償層と、その遅相軸が該偏光子の吸収軸に対して交差して配置された第2の光学補償層とをこの順に有し、
該第1の光学補償層が、単色光の波長に対して実質的に1/2の位相差を付与し、
該第2の光学補償層が、単色光の波長に対して実質的に1/4の位相差を付与し、
該ハードコート層が、ウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、および、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含有する、
光学補償層付偏光板。」
を、
「 ハードコート層と、偏光子と、その遅相軸が該偏光子の吸収軸に対して交差して配置された第1の光学補償層と、その遅相軸が該偏光子の吸収軸に対して交差して配置された第2の光学補償層とをこの順に有し、
該第1の光学補償層が、単色光の波長に対して実質的に1/2の位相差を付与し、
該第2の光学補償層が、単色光の波長に対して実質的に1/4の位相差を付与し、
該ハードコート層の形成材料が、ウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、および、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含有する、
光学補償層付偏光板。」
と訂正する。

(2)訂正事項b:特許請求の範囲の請求項2の
「前記ハードコート層に含有されるポリオール(メタ)アクリレートが、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとを含む、請求項1に記載の光学補償層付偏光板。」
を、
「前記ハードコート層の形成材料に含有されるポリオール(メタ)アクリレートが、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとを含む、請求項1に記載の光学補償層付偏光板。」
と訂正する。

(3)訂正事項c:発明の詳細な説明の段落【0008】の
「本発明の光学補償層付偏光板は、ハードコート層と、偏光子と、その遅相軸が該偏光子の吸収軸に対して交差して配置された第1の光学補償層と、その遅相軸が該偏光子の吸収軸に対して交差して配置された第2の光学補償層とをこの順に有し;該第1の光学補償層は、単色光の波長に対して実質的に1/2の位相差を付与し;該第2の光学補償層は、単色光の波長に対して実質的に1/4の位相差を付与し;該ハードコート層は、ウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、および、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含有する。」
を、
「本発明の光学補償層付偏光板は、ハードコート層と、偏光子と、その遅相軸が該偏光子の吸収軸に対して交差して配置された第1の光学補償層と、その遅相軸が該偏光子の吸収軸に対して交差して配置された第2の光学補償層とをこの順に有し;該第1の光学補償層は、単色光の波長に対して実質的に1/2の位相差を付与し;該第2の光学補償層は、単色光の波長に対して実質的に1/4の位相差を付与し;該ハードコート層の形成材料は、ウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、および、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含有する。」
と訂正する。

(4)訂正事項d:発明の詳細な説明の段落【0009】の
「好ましい実施形態においては、上記ハードコート層に含有されるポリオール(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとを含む。」
を、
「好ましい実施形態においては、上記ハードコート層の形成材料に含有されるポリオール(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとを含む。」
と訂正する。

(5)訂正事項e 発明の詳細な説明の段落【0020】の
「以上のように、ハードコート層がウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、および、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含有することにより、カバープレートが不要で、薄型化に寄与し、かつ、耐擦傷性および耐湿熱性に優れる光学補償層付偏光板を得ることができる。これらの樹脂を含有することで、ハードコート層は優れた硬度を有し、・・・」
を、
「以上のように、ハードコート層の形成材料がウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、および、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含有することにより、カバープレートが不要で、薄型化に寄与し、かつ、耐擦傷性および耐湿熱性に優れる光学補償層付偏光板を得ることができる。ハードコート層の形成材料がこれらの樹脂を含有することで、ハードコート層は優れた硬度を有し、・・・」
と訂正する。

(6)訂正事項f 発明の詳細な説明の段落【0024】の
「上記ハードコート層11はウレタンアクリレート(A)、ポリオール(メタ)アクリレート(B)、および、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマー(C)を含有する。以下、これら(必要に応じて添加物等を含む)をハードコート層形成材料と記載する場合がある。これらの物質を含有することで、・・・」
を、
「上記ハードコート層11はウレタンアクリレート(A)、ポリオール(メタ)アクリレート(B)、および、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマー(C)を含有するハードコート層形成材料から形成される。ハードコート層形成材料(必要に応じて添加物等を含む)がこれらの物質を含有することで、・・・」
と訂正する。

第2.訂正拒絶理由
これに対し、当審答申は、平成20年11月13日付けで訂正拒絶理由を通知した。訂正拒絶理由の概要は以下のとおりである。

2-1 訂正の目的の適否
(1) 訂正事項aは、特許請求の範囲の請求項1の「ハードコート層」の次に「の形成材料」を加入することにより、「ウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、および、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマー」(以下、「ウレタンアクリレート」を「樹脂成分(A)」、「ポリオール(メタ)アクリレート」を「樹脂成分(B)」、「水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマー」を「樹脂成分(C)」と言い、これらの3つの樹脂成分を合わせて「樹脂成分(A,B,C)」と言う。)を含有する物が、「ハードコート層」から「ハードコート層の形成材料」となった。
そして、「ハードコート層の形成材料」が樹脂成分(A,B,C)を含有するとしても、形成後のハードコート層が常に樹脂成分(A,B,C)を含有するものではないから、この訂正事項aは、実質上、特許請求の範囲を変更するものであって、特許請求の範囲の限縮を目的とするものではない。
また、訂正前の「該ハードコート層が、ウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、および、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含有する」との事項が、訂正後の「該ハードコート層の形成材料が、ウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、および、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含有する」の誤りであるとは、明細書の記載や当業者の技術常識から明らかであるとは言えないから、誤記の訂正を目的とするものでもない。
更に、訂正前の前記事項は明瞭であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものでもない。
以上の通り、訂正事項aは、特許請求の範囲の限縮、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明の何れを目的とするものでもない。

(2) 訂正事項bは、請求項2に係る発明の「ハードコート層」の次に「の形成材料」を加入する訂正である。請求項2に係る発明は、請求項1を引用する発明であって、樹脂成分(B)が「ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとを含む」ことを限定するものであるが、上記訂正事項aの訂正に合わせて、樹脂成分(B)が「ハードコート層形成材料」に含有されるものであることに変更する訂正である。
よって、訂正事項bは、訂正事項aと同様に、実質上、特許請求の範囲を変更するものであって、特許請求の範囲の限縮、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明の何れをも目的とするものではない。

(3) 訂正事項c?訂正事項fは、訂正事項a,bが請求項1,2を訂正するのに合わせて、発明の詳細な説明の記載を訂正するものである。これら訂正事項c?訂正事項fは、「ハードコート層形成材料」が樹脂成分(A,B,C)を含有することとなるのに合わせて行う訂正であるから、訂正事項aと同様に、実質上、特許請求の範囲を変更するものであって、特許請求の範囲の限縮、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明の何れをも目的とするものではない。

(4) 以上のとおり、特許法126条1項ただし書き各号のいずれにも該当しない。

2-2 拡張・変更の存否
上記「2-1 訂正の目的の適否」で検討したとおり、訂正事項a?訂正事項fは、実質上、特許請求の範囲を変更する訂正であるから、特許法第126条第4項の規定に適合しない。

2-3 独立特許要件
上記「2-1 訂正の目的の適否」で検討したとおり、本件訂正は誤記の訂正を目的とするものではないが、仮に審判請求人が主張するよう誤記の訂正を目的とするもので、特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもないとしても、以下の理由により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

訂正後の請求項1に係る発明は、「光学補償層付偏光板」の物の発明である。しかしながら、「該ハードコート層の形成材料が、ウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、および、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含有する」との発明特定事項はハードコート層を形成する材料を特定しているにすぎず、「光学補償層付偏光板」のハードコート層の構成を直接的に特定する事項ではない。また、ハードコート層の形成材料が樹脂成分(A,B,C)を含有するとしても、製造方法と無関係に「ハードコート層」の構成を特定できるものとも認められないから、ハードコート層の構成を間接的に特定する事項でもない。よって、「該ハードコート層の形成材料が、ウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、および、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含有する」との発明特定事項は、「光学補償層付偏光板」の物の発明を不明確にしている。
また、訂正後の請求項2-12に係る発明は請求項1を引用する発明であって、同様の理由により、発明が不明確である。
従って、請求項1-12に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないので、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

2-4 まとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き各号のいずれにも該当せず、また、同条第4項の規定に適合しない訂正事項を含むものである。仮に、訂正事項を同法同条第1項ただし書第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とし、特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもないと認めたとしても、訂正後の請求項1?12に係る発明は、同法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから特許出願の際独立して特許を受けることができないものであって、同法第126条第5項の規定に違反するものである。よって、本件訂正は認められない。

第3.当審の判断
上記訂正拒絶理由の通知に対して、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、審判請求人からは何らの応答もない。
そして、上記の訂正拒絶理由は妥当なものと認められる。

第4.まとめ
本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き各号のいずれにも該当せず、また、同条第4項の規定に適合しない訂正事項を含むものである。仮に、訂正事項を同法同条第1項ただし書第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮、あるいは同法同条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記の訂正を目的とし、特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもないと認めたとしても、訂正後の請求項1?12に係る発明は、同法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから特許出願の際独立して特許を受けることができないものであって、同法第126条第5項の規定に違反するものである。したがって、本件訂正は認められない。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-01-26 
結審通知日 2009-01-28 
審決日 2009-02-25 
出願番号 特願2006-316118(P2006-316118)
審決分類 P 1 41・ 855- Z (G02B)
P 1 41・ 852- Z (G02B)
P 1 41・ 856- Z (G02B)
P 1 41・ 851- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬川 勝久  
特許庁審判長 小松 徹三
特許庁審判官 越河 勉
末政 清滋
登録日 2007-07-27 
登録番号 特許第3990433号(P3990433)
発明の名称 光学補償層付偏光板およびそれを用いた画像表示装置  
代理人 籾井 孝文  

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