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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 D06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 D06F |
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管理番号 | 1198505 |
審判番号 | 不服2007-21406 |
総通号数 | 115 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-08-02 |
確定日 | 2009-06-11 |
事件の表示 | 特願2001- 82912「洗濯機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月 2日出願公開、特開2002-282585〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成13年3月22日の出願であって、平成18年12月21日付けで拒絶の理由が通知され、平成19年2月21日に手続補正がなされ、同年6月25日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年8月2日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同年8月24日に明細書を対象とする手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ、当審において、平成21年1月28日付けで審尋がなされ、同年3月5日に回答書が提出されたものである。 第2.本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.本願発明 本件補正により、発明の名称、特許請求の範囲と、関連する発明の詳細な説明が補正された。 補正前後の請求項1は、以下のとおりである。 【補正前の請求項1】 「洗い行程、すすぎ行程、脱水行程が自動的に進行する洗濯機において、本体と、この本体内に配設された水槽と、この水槽内に回転自在に配設した洗濯兼脱水槽と、この洗濯兼脱水槽の回転駆動手段と、前記本体内に配設された温風供給手段と、前記回転駆動手段及び温風供給手段を制御する制御手段と、前記温風供給手段から吐出された温風を前記水槽内に供給するノズルと、前記本体内の上部、前記本体内の底部及び前記ノズル先端部の少なくとも1つの温度を検出する温度センサとを備え、 前記制御手段は、前記洗い工程が始まる前に前記温風供給手段から前記水槽内に温風を供給させ、前記温度センサの出力に基づいて前記温風供給手段を制御することを特徴とする洗濯機。」 【補正後の請求項1】 「洗い行程、すすぎ行程、脱水行程が自動的に進行する縦型洗濯機において、本体と、この本体内に配設され、該本体内と上方開口により連通する水槽と、この水槽内に回転自在に配設した洗濯兼脱水槽と、この洗濯兼脱水槽の回転駆動手段と、前記本体内に配設された温風供給手段と、前記回転駆動手段及び温風供給手段を制御する制御手段と、前記温風供給手段から吐出された温風を前記水槽内に供給するノズルと、前記本体内の上部、前記本体内の底部及び前記ノズル先端部の温度を検出する温度センサとを備え、 前記制御手段は、前記洗い工程が始まる前に前記温風供給手段から前記水槽内に温風を供給させ、前記温度センサの出力に基づいて、前記本体内の温度を、50℃?60℃の範囲の所定の設定温度となるように、且つ、該設定温度に応じた所定の時間、前記温風を供給させるように、前記温風供給手段を制御することを特徴とする縦型洗濯機。」 上記補正は、洗濯機を「縦型」とし、水槽を「本体内と上方開口により連通する」とし、温度センサについて「少なくとも1つ」を削除し、制御について「本体内の温度を、50℃?60℃の範囲の所定の設定温度となるように、且つ、該設定温度に応じた所定の時間、前記温風を供給させるように」とするものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる改正前特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか(いわゆる「独立特許要件」)について、検討する。 2.刊行物記載の発明 (1)刊行物1 審尋に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2000-391号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下が記載されている。 なお、刊行物1は、原査定において引用されたものではないが、独立特許要件の判断にあたり、かかる刊行物を引用することに違法はない。 ア.段落0001?0003 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程が自動的に進行する全自動洗濯機の、特に洗濯兼脱水槽と水槽との隙間を乾燥させるものに関する。 【0002】 【従来の技術】図4はかかる全自動洗濯機である一槽式洗濯機であり、外箱1内に図示しない防振装置により水槽2を搖動自在に配設し、該水槽2内に底部に回転翼3を有し壁面に多数の脱水孔5を形成した洗濯兼脱水槽4を回転自在に配設した。図中6は水槽2の上部週縁に設けた防水板、7は洗濯兼脱水槽4の上部週縁に設けたバランサーを示し、水槽2の底部には排水ホース8を接続し、該排水ホース8の途中に排水バルブ9を設ける。 【0003】水槽2の外底部にはモータ10を配設し、該モータ10の回転駆動軸をモータプーリ11、ベルト12、主軸プーリ13を介して減速機14に連結し、該減速機14を前記モータ10からの回転駆動を洗濯兼脱水槽4に伝達するか、回転翼3に伝達するかを切り換えるためのクラッチ15に連結する。」 イ.段落0014?0017 「【0014】 【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の洗濯機の第1実施形態を示す縦断側面図で、洗濯機の基本構成は図4に示した従来例と同様であり、同一の構成要素には同一の参照符号を付してここでは詳細な説明は省略する。 【0015】本発明の洗濯機も外箱1内に水槽2を配設し、周壁に脱水孔5を有する洗濯兼脱水槽4を前記水槽2内に回転自在に配設し、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程が自動的に進行するものである。かかる構成の全自動洗濯機において、本発明では外箱1の内底部に乾燥手段および風供給手段として加熱装置16と送風機17とを配設し、該送風機17に接続したフレキシブルチューブ18を外箱1内で洗濯兼脱水槽4の上方に立ち上げ、先端に吹き出しノズル19を装着し、この吹き出しノズル19を水槽2と洗濯兼脱水槽4との隙間空間20に開口した。 【0016】次に作用について説明すると、例えば脱水行程が終了して洗濯物を洗濯兼脱水槽4から取り出して、洗濯兼脱水槽4を空の状態にしてから加熱装置16と送風機17とを動作させて温風をフレキシブルチューブ18を介して先端の吹き出しノズル19から水槽2と洗濯兼脱水槽4との隙間空間20に吹き出す。 【0017】この脱水行程終了時には、水槽2の内壁やと洗濯兼脱水槽4の外壁には水滴が付着し、また、隙間空間20も湿度の高い状態にあるが、ここに吹き出しノズル19から温風が供給されることで水分が蒸発して乾燥する。よって、ここにカビや雑菌が発生することを防げる。」 ウ.段落0019?0020 「【0019】風や温風を供給するタイミングも前記のような脱水行程の終了時に限定されるものではなく、洗い行程、すすぎ行程の終了時でもよく、いずれにせよ洗濯兼脱水槽4内の水が排水された後であればよい。また、各行程の終了後に自動的に加熱装置16と送風機17を作動させてもよいが、乾燥手段作動のための操作スイッチなどを別途設けて、使用者が任意に乾燥を設定できるようにしてもよい。 【0020】図2は第2実施形態を示し、吹き出しノズル19を洗濯兼脱水槽4の内部に開口した。・・・。」 エ.図1?2 外箱1内と上方開口により連通する水槽2を有し、吹き出しノズル19が水槽2に向かって開口する縦型洗濯機であることが看取できる。 ここで、刊行物1記載のものは、「洗い行程、すすぎ行程、脱水行程が自動的に進行する全自動洗濯機」であり、各行程が所定の時系列で進行するものであるから、モータ10及び加熱装置16を制御する制御手段を有することは、明らかである。 これら記載を、図面を参照しつつ、技術常識を踏まえ、補正発明に照らして整理すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。 「洗い行程、すすぎ行程、脱水行程が自動的に進行する縦型洗濯機において、外箱1と、この外箱1内に配設され、該外箱1内と上方開口により連通する水槽2と、この水槽2内に回転自在に配設した洗濯兼脱水槽4と、この洗濯兼脱水槽4の回転のためのモータ10と、前記外箱1内に配設された加熱装置16と、前記モータ10及び加熱装置16を制御する制御手段と、前記加熱装置16から吐出された温風を前記水槽2内に供給する吹き出しノズル19とを備え、 前記制御手段は、洗濯兼脱水槽4内の水が排水された後に前記加熱装置16から前記水槽2内に温風を供給させる縦型洗濯機。」 (2)刊行物2 原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開平4-38993号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下が記載されている。 ア.第1ページ右下欄第3?8行 「(イ)産業上の利用分野 この発明は、ドラム式洗濯・乾燥機に関し、さらに詳しくは、洗濯物(洗濯し乾燥すべき衣類)をドラム内に収容したままで、洗い工程、濯ぎ工程、脱水工程および乾燥工程を行うドラム式洗濯・乾燥機に関する。」 イ.第2ページ右下欄第13?16行 「洗濯工程の前において、温風循環手段を構成するヒータにより洗濯物に所定温度である50℃以上の温風を供給してダニを死滅させる。」 これら記載を、図面を参照しつつ、技術常識を踏まえ整理すると、刊行物2には、以下の事項(以下、「刊行物2事項」という。)が記載されていると認められる。 「洗濯工程の前に、温風循環手段を構成するヒータにより洗濯物に所定温度である50℃以上の温風を供給してダニを死滅させるようにしたドラム式洗濯・乾燥機。」 3.対比 補正発明と刊行物1発明とを対比する。 刊行物1発明の「外箱1」、「回転のためのモータ10」、「加熱装置16」、「吹き出しノズル19」は、それぞれ補正発明の「本体」、「回転駆動手段」、「温風供給手段」、「ノズル」に相当する。 したがって、両者は、以下の点で一致する。 「洗い行程、すすぎ行程、脱水行程が自動的に進行する縦型洗濯機において、本体と、この本体内に配設され、該本体内と上方開口により連通する水槽と、この水槽内に回転自在に配設した洗濯兼脱水槽と、この洗濯兼脱水槽の回転駆動手段と、前記本体内に配設された温風供給手段と、前記回転駆動手段及び温風供給手段を制御する制御手段と、前記温風供給手段から吐出された温風を前記水槽内に供給するノズルとを備え、 前記制御手段は、前記温風供給手段から前記水槽内に温風を供給させる縦型洗濯機。」 そして、以下の点で相違する。 相違点1:補正発明は、「本体内の上部、前記本体内の底部及び前記ノズル先端部の温度を検出する温度センサ」を有し、「洗い工程が始まる前」に温風を供給し、「温度センサの出力に基づいて、本体内の温度を、50℃?60℃の範囲の所定の設定温度となるように、且つ、該設定温度に応じた所定の時間、前記温風を供給させるように、温風供給手段を制御する」ものであるが、刊行物1発明は、そのようなものでない点。 4.判断 相違点1について検討する。 温度を所定範囲に維持するため、センサを複数箇所に設けることは、特開平9-252717号公報の段落0021、実願昭57-118001号(実開昭59-21888号)のマイクロフイルムの実用新案登録請求の範囲にみられるごとく周知であり、これにより過熱防止が可能なことは明らかである。 刊行物1発明は、上記2.(1)イ.記載のごとく、温風によりカビや雑菌の発生を防ぐものであり、補正発明と同様の課題を有するものである。 カビや雑菌は、水槽全体に発生する可能性があることから、水槽全体の温度を適切に管理する必要がある。 よって、温度センサを複数箇所に設けるという周知技術、水槽全体の温度管理という観点を踏まえ、複数の温度センサの具体的部位は、設計的事項である。 刊行物2事項は、「洗濯工程の前に、温風循環手段を構成するヒータにより洗濯物に所定温度である50℃以上の温風を供給してダニを死滅させるようにしたドラム式洗濯・乾燥機」であり、刊行物1発明と技術分野及び課題とが共通するものであるから、「洗濯工程の前に、50℃以上の温風を供給」するという事項を、刊行物1発明に適用することは、容易になしうる事項にすぎない。 その際、「温度に応じた所定の時間、温風を供給させる」ことは、その機能を発揮させるため当然に行うことである。 請求人は、回答書で、以下を主張する。 「縦型洗濯機においては、本体内部の上部と底部とで温度が異なり易いという事情があります。・・・。このような事情から、請求項1に係る発明は、ノズル先端部の温度のみならず、本体内の上部、及び底部の温度を検出することにより、本体内全体が設定温度となるように温風制御手段を制御することができます。」 しかし、「本体内部の上部と底部とで温度が異なり易い」ことは、刊行物1発明も「縦型洗濯機」であるから、同様の課題を有する。 そして、適切な温度制御のため、温度センサを複数箇所に設けることは、前記のとおり周知であり、具体的部位は、課題を踏まえて、適宜選択すべき設計的事項である。 よって、請求人の主張は採用できない。 したがって、補正発明は、刊行物1発明、刊行物2事項、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、出願の際独立して特許を受けることができない。 5.むすび 以上のとおり、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.の1.【補正前の請求項1】のとおりのものと認める。 2.刊行物記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用された上記刊行物2には、以下が記載されている。 ア.第1ページ右下欄第3?8行 「(イ)産業上の利用分野 この発明は、ドラム式洗濯・乾燥機に関し、さらに詳しくは、洗濯物(洗濯し乾燥すべき衣類)をドラム内に収容したままで、洗い工程、濯ぎ工程、脱水工程および乾燥工程を行うドラム式洗濯・乾燥機に関する。」 イ.第2ページ右下欄第13?16行 「洗濯工程の前において、温風循環手段を構成するヒータにより洗濯物に所定温度である50℃以上の温風を供給してダニを死滅させる。」 ウ.第3ページ左上欄第7?14行 「第1図?第3図に示すドラム式洗濯・乾燥機1は、外装である外箱7と、この外箱7内にスプリング(図示略)で吊り下げられた水槽10と、水槽10の内側で水平軸17の回りに回転可能に支持され、洗濯物を収容するドラム9とを備えている。ドラム9は、円筒形状をしており、水槽10に取り付けられたドラムモータ11によって回転駆動される。」 エ.第3ページ右上欄第15行?左下欄第2行 「ドラム9の周囲には温風供給手段の一部としての温風循環経路31・32・33が設けられている。そして中間部の温風循環経路32には、温風供給手段の一部としての温風供給用ファンおよびモータ41と、ヒータ42と、冷却風供給用ファンおよびモータ43を装備した熱交換器44とが配置されている。そして、線矢印に沿って50℃以上の温風が循環するようになっている。」 オ.第1図 温風循環経路31・32・33からの温風が、水槽10内に供給されることが看取できる。 ここで、刊行物2記載のものは、「洗濯物(洗濯し乾燥すべき衣類)をドラム内に収容したままで、洗い工程、濯ぎ工程、脱水工程および乾燥工程を行う」ものであり、各行程が所定の時系列で進行するものであるから、ドラムモータ11及びヒータ42を制御する制御手段を有することは、明らかである。 これら記載を、図面を参照しつつ、技術常識を踏まえ、本願発明に照らして整理すると、刊行物2には、以下の発明(以下、「刊行物2発明」という。)が記載されていると認められる。 「洗い行程、すすぎ行程、脱水行程が自動的に進行するドラム式洗濯・乾燥機1において、外箱7と、この外箱7内に配設された水槽10と、この水槽10内に回転自在に配設したドラム9と、このドラム9の回転のためのドラムモータ11と、前記外箱7内に配設されたヒータ42と、前記ドラムモータ11及びヒータ42を制御する制御手段と、前記ヒータ42から吐出された温風を前記水槽10内に供給する温風循環経路31・32・33とを備え、 前記制御手段は、前記洗い工程が始まる前に前記ヒータ42から前記水槽10内に温風を供給させるドラム式洗濯・乾燥機1。」 3.対比 本願発明と刊行物2発明とを対比する。 刊行物2発明の「ドラム式洗濯・乾燥機1」、「外箱7」、「ドラム9」、「回転のためのドラムモータ11」、「ヒータ42」は、それぞれ補正発明の「洗濯機」、「本体」、「洗濯兼脱水槽」、「回転駆動手段」、「温風供給手段」に相当する。 刊行物2発明の「温風循環経路31・32・33」は、「温風供給部材」である限りにおいて、本願発明の「ノズル」に相当する。 したがって、両者は、以下の点で一致する。 「洗い行程、すすぎ行程、脱水行程が自動的に進行する洗濯機において、本体と、この本体内に配設された水槽と、この水槽内に回転自在に配設した洗濯兼脱水槽と、この洗濯兼脱水槽の回転駆動手段と、前記本体内に配設された温風供給手段と、前記回転駆動手段及び温風供給手段を制御する制御手段と、前記温風供給手段から吐出された温風を前記水槽内に供給する温風供給部材とを備え、 前記制御手段は、前記洗い工程が始まる前に前記温風供給手段から前記水槽内に温風を供給させる洗濯機。」 そして、以下の点で相違する。 相違点2:本願発明は、「本体内の上部、前記本体内の底部及び前記ノズル先端部の少なくとも1つの温度を検出する温度センサ」を有し、「温度センサの出力に基づいて温風供給手段を制御する」が、刊行物2発明は、明らかでない点。 相違点3:「温風供給部材」が、刊行物2発明は「温風循環経路31・32・33」であるが、本願発明は「ノズル」である点。 4.判断 相違点2について検討する。 刊行物2発明は、上記2.イ.記載のごとく、「所定温度である50℃以上の温風を供給」するものであるから、「所定温度」を適切に制御する必要がある。 そして、ダニの死滅という課題は、「本体」も「洗濯物」も同様である。 適切な温度制御のため、温度センサを設け、この出力に基づいて温風供給手段を制御することは、前記特開平9-252717号公報の段落0021、前記実願昭57-118001号(実開昭59-21888号)のマイクロフイルムの実用新案登録請求の範囲、原査定で引用した特開2001-38088号公報の要約、同じく特開平3-143491号公報の第7ページ左下欄第13?16行にみられるごとく周知であり、「本体」における具体的部位は設計的事項である。 よって、相違点2は、格別なものではない。 相違点3について検討する。 刊行物2発明は、温風を温風供給手段から水槽内に供給するものであるところ、流体の供給手段として、ノズルそのものは、周知である。 よって、刊行物2発明の「温風供給部材」をノズルを利用して行うものとすることは、設計的事項にすぎない。 また、これら各相違点を総合しても、格別の技術的意義が生じるとは認められない。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物2発明、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-04-08 |
結審通知日 | 2009-04-14 |
審決日 | 2009-04-27 |
出願番号 | 特願2001-82912(P2001-82912) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(D06F)
P 1 8・ 121- Z (D06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 金丸 治之 |
特許庁審判長 |
千葉 成就 |
特許庁審判官 |
野村 亨 尾家 英樹 |
発明の名称 | 洗濯機 |
代理人 | 高梨 範夫 |
代理人 | 小林 久夫 |
代理人 | 佐々木 宗治 |
代理人 | 大村 昇 |
代理人 | 安島 清 |