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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01B
管理番号 1199836
審判番号 不服2007-1728  
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-01-17 
確定日 2009-06-24 
事件の表示 特願2003- 78369「3次元形状測定方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年10月14日出願公開、特開2004-286561〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1. 手続の経緯
本願は、平成15年3月20日の出願であって、平成16年11月26日付け手続補正(以下、「補正1」という。)及び平成18年11月14日付け手続補正(以下、「補正2」という。)により明細書又は図面についての補正がなされ、平成18年12月13日付け(送達:同年12月18日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年1月17日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年2月16日付けで明細書又は図面についての手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

2. 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正前の
「【請求項1】
被測定面の形状を測定する3次元測定方法であって、
前記被測定面を、少なくとも1つは他の全ての分割領域との重複部分を有する基準分割領域を含めた複数の分割領域に分けて、各分割領域ごとにその形状データを干渉計により測定し、
前記基準分割領域の形状データの誤差を補正し、
前記複数の分割領域の形状データを、前記重複部分における補正後の前記基準分割領域の形状データに基づいてつなぎ合わせることを特徴とする3次元形状測定方法。
【請求項2】
3次元形状を有する被測定面を複数の領域に分割して、該分割した複数の領域毎に前記被測定面の形状を干渉計を用いて測定し、各領域毎の測定値をつなぎ合わせることで被測定面の形状を測定する3次元形状測定方法であって、
前記分割した複数の領域のうち少なくとも1つの領域は、他のすべての領域と重複するように設けられた基準分割領域であり、基準分割領域と前記他のすべての分割領域のそれぞれとの間のつなぎ合わせの誤差を補正することで前記被測定面の形状を測定することを特徴とする3次元形状測定方法。
【請求項3】
前記誤差の補正は、前記基準分割領域の測定値から前記干渉計のアライメント誤差であるティルトとフォーカスを排除した値を用いて行われることを特徴とする請求項1または2に記載の3次元形状測定方法。
【請求項4】
前記各分割領域毎の測定値をつなぎ合わせた後、更に各分割領域の重複回数に応じて平均化回数を変えて補正することを特徴とする請求項1または2に記載の3次元形状測定方法。
【請求項5】
被測定面の形状を測定する3次元測定装置であって、
前記被測定面を、少なくとも1つは他の全てとの重複部分を有する基準分割領域を含めた複数の分割領域に分けて、各分割領域ごとにその形状データを測定する干渉計と、
前記基準分割領域の形状データの誤差を補正する補正手段と、
前記複数の分割領域の形状データを、前記重複部分における前記基準分割領域の補正後の形状データに基づいてつなぎ合わせる接続手段と
を備えることを特徴とする3次元形状測定装置。」
から、補正後の
「【請求項1】
被測定面の形状を測定する3次元測定方法であって、
前記被測定面を、少なくとも1つは他の全ての分割領域との重複部分を有する基準分割領域を含めた4つ以上の複数の分割領域に分けて、各分割領域ごとにその形状データを干渉計により測定し、
前記基準分割領域の形状データの誤差を補正し、
前記4つ以上の複数の分割領域の形状データを、前記重複部分における補正後の前記基準分割領域の形状データに基づいてつなぎ合わせることを特徴とする3次元形状測定方法。
【請求項2】
3次元形状を有する被測定面を複数の領域に分割して、該分割した4つ以上の複数の領域毎に前記被測定面の形状を干渉計を用いて測定し、各領域毎の測定値をつなぎ合わせることで被測定面の形状を測定する3次元形状測定方法であって、
前記分割した4つ以上の複数の領域のうち少なくとも1つの領域は、他のすべての領域と重複するように設けられた基準分割領域であり、基準分割領域と前記他のすべての分割領域のそれぞれとの間のつなぎ合わせの誤差を補正することで前記被測定面の形状を測定することを特徴とする3次元形状測定方法。
【請求項3】
前記誤差の補正は、前記基準分割領域の測定値から前記干渉計のアライメント誤差であるティルトとフォーカスを排除した値を用いて行われることを特徴とする請求項1または2に記載の3次元形状測定方法。
【請求項4】
前記各分割領域毎の測定値をつなぎ合わせた後、更に各分割領域の重複回数に応じて平均化回数を変えて補正することを特徴とする請求項1または2に記載の3次元形状測定方法。
【請求項5】
被測定面の形状を測定する3次元測定装置であって、
前記被測定面を、少なくとも1つは他の全てとの重複部分を有する基準分割領域を含めた4つ以上の複数の分割領域に分けて、各分割領域ごとにその形状データを測定する干渉計と、
前記基準分割領域の形状データの誤差を補正する補正手段と、
前記4つ以上の複数の分割領域の形状データを、前記重複部分における前記基準分割領域の補正後の形状データに基づいてつなぎ合わせる接続手段と
を備えることを特徴とする3次元形状測定装置。」
に補正する補正事項を含むものである。(下線は補正箇所を明示するために当審で付した。)

この補正は、請求項1及び5に記載した発明を特定するために必要な事項である「複数の分割領域」並びに請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「複数の領域」について、「4つ以上の」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項2に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうか、すなわち、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか否かについて、以下に検討する。

(2)引用例記載の事項・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-37732号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項(a)?(j)が図面とともに記載されている。
(a)「【発明の属する技術分野】 本発明は、レーザープリンターなどに搭載される非球面レンズのように、面形状が球面と大きく異なる複雑な自由曲面形状を有し、且つ長手方向のサイズが300mmを越える被測定面の三次元形状を、レーザーの波長の数分の1の高精度で測定する形状測定方法及び装置に関する。」(段落【0001】)
(b)「【課題を解決するための手段】 上記目的は、被測定面を複数のサブ部分領域に分割して、さらに各サブ部分領域を部分面測定手段で測定可能で、かつ互いにオーバーラップ領域を持つような複数の部分領域に分割して、移動手段によって前記部分面測定手段と前記部分領域の相対位置姿勢を定め、別途精密に測定したサブ部分領域毎に1つ定めた基準面から同じサブ部分領域内に属する前記部分面測定手段によって測定された部分領域の面形状データを順次つなぎ合わせることを、すべてのサブ部分領域について行うことにより、被測定面の全体形状を測定することによって達成される。」(段落【0010】)
(c)「さらに上記形状測定方法において、前記各サブ部分領域の基準面を各サブ部分領域の概ね中心に定めれば、基準面から最も離れたところにある部分領域までのつなぎ合わせ回数を最も小さくすることができるため、つなぎ合わせによって生じる誤差の累積を最小にすることができる。」(段落【0013】)
(d)「部分面測定手段として平面原器を使用した白色干渉計11は、θbステージ14θyの回転軸に取り付けられている。白色干渉計11は、白色光を用いて干渉させるため、被測定面と干渉計の間の絶対距離を求めることができるという特徴を有している(例えば120/SPIE Vol.1720(1992)参照)。一方、大型の非球面レンズである被測定物12は直進ステージ14のZ軸ステージ14z上に載置されており、その複雑な非球面形状を有する被測定面13が白色干渉計11に対向するように位置決めされる。」(段落【0017】)
(e)「図2は、被測定面13を上から見た図で、被測定面13がどのようにサブ部分領域に分割され、さらにサブ部分領域が部分領域に分割されるかを示す。図2において、21、22、23はサブ部分領域、210、211、222はサブ部分領域21に属する部分領域で、特にサブ部分領域21の概ね中心にある部分領域210をサブ部分領域21の基準面とする。隣り合う部分領域210、211、部分領域211、222は、つなぎ合わせを行うためにオーバーラップ領域が生じるように設定される。なお実際には被測定面13は、その全面を干渉計11によって測定可能な部分領域、及びサブ部分領域で覆われるが、図2では省略してその一部を示している。」(段落【0020】)
(f)「被測定面13を適当な大きさのサブ部分領域に分割する(ステップS2)。さらにサブ部分領域を白色干渉計11で測定可能で、かつ互いにオーバーラップ領域があるような部分領域に分割する(ステップS3)。」(段落【0021】)
(g)「各サブ部分領域の基準面を測定するため、ステップS5において、直進ステージ14及び回転ステージ14’を移動及び回転させて、最初に測定するサブ部分領域21の基準面である部分領域210を白色干渉計11で測定できるように白色干渉計11と部分領域210の相対位置姿勢を定め、白色干渉計11で部分領域210の面形状を測定し、部分領域210の形状データ及びそのときの白色干渉計11との相対位置姿勢データを記録する(ステップS6)。」(段落【0022】)
(h)「次に、被測定面13上の各サブ部分領域内のすべての部分領域を測定するため、直進ステージ14と回転ステージ14’を移動/回転させて部分領域211を測定できるように白色干渉計11と部分領域211の相対位置姿勢を定めて(ステップS8)、白色干渉計11で部分領域211の面形状を測定し、部分領域211の形状データ及びそのときの白色干渉計11との相対位置姿勢データを記録する(ステップS9)。この過程をすべての部分領域について各1回行う(ステップS10)。」(段落【0024】)
(i)「すべてのサブ部分領域の基準面である部分領域について、各基準面につき25個ある面形状データおよび白色干渉計11に対する部分領域の相対位置姿勢データを平均した値を各基準面における面形状データ及び干渉系に対する相対位置姿勢データとする(ステップS11)。これによって基準面の測定のばらつきによって生じる誤差を減らすことができる。」(段落【0025】)
(j)「サブ部分領域21について、まず基準面210に隣り合う部分領域である部分領域211に着目し(ステップS13)、部分領域210と部分領域211の共通のオーバーラップ領域において2つの部分領域の面形状データの差が最小になるようにフィッティングを行い(ステップS14)、部分領域211の位置情報を修正する。この計算が隣り合う部分領域のすべてについて行われているかを判断し(ステップS15)、未計算の残りの部分領域があればステップS14に戻り、終了したらステップS16に移行する。ステップS14、ステップS15を所定回数繰り返してサブ部分領域21の形状データが得られる。」(段落【0026】)

上記記載(a)より、被測定面は3次元形状を有することは明らかである。また、上記記載(f)には、その被測定面13を適当な大きさのサブ部分領域に分割し、さらにサブ部分領域を白色干渉計11で測定可能で、かつ互いにオーバーラップ領域があるような部分領域に分割する旨記載されている。
そして、上記記載(e)及び図2から、サブ部分領域21は、4つ以上の部分領域に分割されていることが明らかである。
よって、上記記載(a)、(e)、(f)及び図2より、
(イ)「3次元形状を有する被測定面を適当な大きさのサブ部分領域に分割し、さらにサブ部分領域を白色干渉計で測定可能で、かつ互いにオーバーラップ領域があるような4つ以上の部分領域に分割する」との技術事項が読み取れる。

上記記載(g)には、最初にサブ部分領域21の基準面である部分領域210の面形状を白色干渉計11で測定する旨、上記記載(h)には、次に、被測定面13上の各サブ部分領域内のすべての部分領域を測定するため、部分領域211を測定できるように白色干渉計11と部分領域211の相対位置姿勢を定め、白色干渉計11で部分領域211の面形状を測定し、この過程をすべての部分領域について各1回行う旨記載されている。
よって、上記記載(g)及び(h)より、
(ロ)「サブ部分領域内のすべての部分領域を測定するため、部分領域の面形状を白色干渉計で測定する過程を、すべての部分領域について各1回行う」との技術事項が読み取れる。

上記記載(b)には、「同じサブ部分領域内に属する前記部分面測定手段によって測定された部分領域の面形状データを順次つなぎ合わせることを、すべてのサブ部分領域について行うことにより、被測定面の全体形状を測定する」旨記載されており、また、この記載(b)における「部分面測定手段」は、上記記載(d)によれば、白色干渉計のことを指すものと解される。
よって、上記記載(b)及び(d)より、
(ハ)「同じサブ部分領域内に属する白色干渉計によって測定された部分領域の面形状データを順次つなぎ合わせることを、すべてのサブ部分領域について行うことにより、被測定面の全体形状を測定する」との技術事項が読み取れる。

上記記載(e)から、
(ニ)「サブ部分領域21の概ね中心にある部分領域210をサブ部分領域21の基準面とする」との技術事項が読み取れる。

上記記載(i)から、
(ホ)「基準面につき25個ある面形状データおよび白色干渉計11に対する部分領域の相対位置姿勢データを平均した値を基準面における面形状データ及び干渉系に対する相対位置姿勢データとし、これによって基準面の測定のばらつきによって生じる誤差を減らす」との技術事項が読み取れる。

上記記載(j)から、
(ヘ)「サブ部分領域21について、まず基準面210に隣り合う部分領域である部分領域211に着目し、部分領域210と部分領域211の共通のオーバーラップ領域において2つの部分領域の面形状データの差が最小になるようにフィッティングを行い、部分領域211の位置情報を修正し、この計算が隣り合う部分領域のすべてについて行われているかを判断し、サブ部分領域21の形状データを得る」との技術事項が読み取れる。

以上、技術事項(イ)ないし(ヘ)を総合勘案すると、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。
「3次元形状を有する被測定面を適当な大きさのサブ部分領域に分割し、さらにサブ部分領域を白色干渉計で測定可能で、かつ互いにオーバーラップ領域があるような4つ以上の部分領域に分割し、
各サブ部分領域内のすべての部分領域を測定するため、部分領域の面形状を白色干渉計で測定する過程を、すべての部分領域について各1回行い、
同じサブ部分領域内に属する白色干渉計によって測定された部分領域の面形状データを順次つなぎ合わせることを、すべてのサブ部分領域について行うことにより、被測定面の全体形状を測定する3次元形状測定方法であって、
サブ部分領域21の概ね中心にある部分領域210をサブ部分領域21の基準面とし、
基準面につき25個ある面形状データおよび白色干渉計に対する部分領域の相対位置姿勢データを平均した値を基準面における面形状データ及び干渉系に対する相対位置姿勢データとし、これによって基準面の測定のばらつきによって生じる誤差を減らすとともに、
サブ部分領域21について、まず基準面210に隣り合う部分領域である部分領域211に着目し、部分領域210と部分領域211の共通のオーバーラップ領域において2つの部分領域の面形状データの差が最小になるようにフィッティングを行い、部分領域211の位置情報を修正し、この計算が隣り合う部分領域のすべてについて行われているかを判断し、サブ部分領域21の形状データを得る3次元形状測定方法。」(以下、「引用発明」という。)

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

ア.引用発明における「サブ部分領域」は、3次元形状を有する被測定面を適当な大きさに分割したものであり、さらに白色干渉計で測定可能な部分領域に分割されるものであるから、本願補正発明における「3次元形状を有する被測定面」に相当する。

イ.引用発明における、サブ部分領域21を分割した「部分領域」は、本願補正発明における「複数の領域」に相当する。

ウ.引用発明における「部分領域の面形状を白色干渉計で測定する過程を、すべての部分領域について各1回行」うことは、本願補正発明における「複数の領域毎に前記被測定面の形状を干渉計を用いて測定」することに相当する。

エ.引用発明における「白色干渉計によって測定された部分領域の面形状データを順次つなぎ合わせること」は、本願補正発明における「各領域毎の測定値をつなぎ合わせること」に相当する。

オ.引用発明における「基準面」は、本願発明における「基準分割領域」に相当する。
また、引用発明において、サブ部分領域21を白色干渉計で測定可能で、かつ互いにオーバーラップ領域があるような4つ以上の部分領域に分割し、サブ部分領域21の概ね中心にある部分領域210をサブ部分領域21の基準面としていることから、サブ部分領域21(本願補正発明の被測定面に相当。以下、同様。)を分割した4つ以上の部分領域のうち少なくとも1つの領域は基準面(本願補正発明の基準分割領域に相当。以下、同様。)であることは明らかである。
さらに、引用発明において、サブ部分領域21を互いにオーバーラップ領域があるような部分領域に分割していることから、基準面(基準分割領域)は、それに隣り合う領域と重複するように設けられていることも明らかである。
したがって、引用発明において「サブ部分領域を白色干渉計で測定可能で、かつ互いにオーバーラップ領域があるような4つ以上の部分領域に分割し」、「サブ部分領域21の概ね中心にある部分領域210をサブ部分領域21の基準面」とすることは、本願補正発明において、基準分割領域が「前記分割した4つ以上の複数の領域のうち少なくとも1つの領域は、他の領域と重複するように設けられた」ことに相当する。

カ.引用発明において「基準面につき25個ある面形状データおよび白色干渉計に対する部分領域の相対位置姿勢データを平均した値を基準面における面形状データ及び干渉系に対する相対位置姿勢データとし、これによって基準面の測定のばらつきによって生じる誤差を減らすとともに、
サブ部分領域21について、まず基準面210に隣り合う部分領域である部分領域211に着目し、部分領域210と部分領域211の共通のオーバーラップ領域において2つの部分領域の面形状データの差が最小になるようにフィッティングを行い、部分領域211の位置情報を修正」することは、
基準面(基準分割領域)と、それに隣り合う部分領域(本願補正発明の分割領域に相当。以下、同様。)のオーバーラップ領域において、基準面(基準分割領域)のデータを用いて、双方の領域の面形状データの差が最小になるように、基準面(基準分割領域)に隣り合う部分領域(分割領域)の位置情報を修正することと解されるから、本願補正発明における「基準分割領域と他の分割領域のそれぞれとの間のつなぎ合わせの誤差を補正」することに相当する。

キ.引用発明における「サブ部分領域21の形状データを得る3次元形状測定方法」は、本願補正発明における「被測定面の形状を測定することを特徴とする3次元形状測定方法」に相当する。

してみると、両者は
(一致点)
「3次元形状を有する被測定面を複数の領域に分割して、該分割した4つ以上の複数の領域毎に前記被測定面の形状を干渉計を用いて測定し、各領域毎の測定値をつなぎ合わせることで被測定面の形状を測定する3次元形状測定方法であって、
前記分割した4つ以上の複数の領域のうち少なくとも1つの領域は、他の領域と重複するように設けられた基準分割領域であり、
基準分割領域と前記他の分割領域のそれぞれとの間のつなぎ合わせの誤差を補正することで前記被測定面の形状を測定することを特徴とする3次元形状測定方法。」で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
・相違点1:
本願補正発明では、「前記分割した4つ以上の複数の領域のうち少なくとも1つの領域は、他のすべての領域と重複するように設けられた基準分割領域であり、基準分割領域と前記他のすべての分割領域のそれぞれとの間のつなぎ合わせの誤差を補正する」とあるように、分割した4つ以上の複数の領域のうち、少なくとも1つの領域、すなわち、基準分割領域、を除いた「他のすべての」領域と重複するように基準分割領域を設けるとともに、基準分割領域と「他のすべての」分割領域のそれぞれとの間のつなぎ合わせ誤差を補正するのに対し、
引用発明では、サブ部分領域(被測定面)を互いにオーバーラップ領域があるような部分領域に分割して、サブ部分領域(被測定面)の概ね中心にある部分領域を基準面(基準分割領域)とし、その基準面(基準分割領域)と隣り合う部分領域(分割領域)との間でつなぎ合わせ誤差を補正している点。

(4)当審の判断
上記相違点1について検討する。
引用発明では、基準面(基準分割領域)は、サブ部分領域(被測定面)の概ね中心にあるから、基準面(基準分割領域)の周囲に、それと隣り合うように、複数の部分領域(分割領域)が設けられていると解される。
また、その基準面(基準分割領域)と、それと隣り合う複数の部分領域(分割領域)に注目すると、サブ部分領域(被測定面)は互いにオーバーラップ領域がある部分領域に分割されていることから、基準面(基準分割領域)は隣り合うすべての部分領域(分割領域)と重複するように設けられていると解するのが自然である。
そして、引用例には、基準面(基準分割領域)と部分領域(分割領域)のつなぎ合わせによって生じる誤差の累積を最小にすることが記載されている(前記記載(c)を参照のこと。)
したがって、引用発明において、分割した4つ以上の複数の部分領域のうち、少なくとも1つの領域、すなわち、基準面(基準分割領域)、を除いた「他のすべての」領域と重複するように基準面(基準分割領域)を設けるとともに、誤差の累積を最小にするため、基準面(基準分割領域)と隣り合うすべての部分領域(分割領域)のそれぞれとの間のつなぎ合わせの誤差を補正するようにすること、すなわち、本願補正発明のように、「前記分割した4つ以上の複数の領域のうち少なくとも1つの領域は、他のすべての領域と重複するように設けられた基準分割領域であり、基準分割領域と前記他のすべての分割領域のそれぞれとの間のつなぎ合わせの誤差を補正する」構成とすることは、当業者ならば容易に想到し得たことである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測可能なものであって格別なものではない。
したがって、本願補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3. 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、補正1及び補正2によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項2に係る発明は次のとおりである。
「3次元形状を有する被測定面を複数の領域に分割して、該分割した複数の領域毎に前記被測定面の形状を干渉計を用いて測定し、各領域毎の測定値をつなぎ合わせることで被測定面の形状を測定する3次元形状測定方法であって、
前記分割した複数の領域のうち少なくとも1つの領域は、他のすべての領域と重複するように設けられた基準分割領域であり、基準分割領域と前記他のすべての分割領域のそれぞれとの間のつなぎ合わせの誤差を補正することで前記被測定面の形状を測定することを特徴とする3次元形状測定方法。」(以下、「本願発明」という。)

(1)引用例記載の事項・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、引用例に記載された事項及び引用発明は、前記2.(2)引用例記載の事項・引用発明に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.(1)補正の内容、で検討した本願補正発明から「複数の領域」についての限定事項である「4つ以上の」との発明特定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)当審の判断に記載したとおり引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-04-21 
結審通知日 2009-04-24 
審決日 2009-05-12 
出願番号 特願2003-78369(P2003-78369)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01B)
P 1 8・ 575- Z (G01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲うし▼田 真悟  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 松下 公一
下中 義之
発明の名称 3次元形状測定方法及び装置  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康徳  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康弘  
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