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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1200850
審判番号 不服2006-3671  
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-01 
確定日 2009-07-16 
事件の表示 特願2004-159918「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成17年12月 8日出願公開、特開2005-334460〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯等
本願は、平成16年5月28日の出願であって、平成17年4月19日付けで拒絶理由が通知され、これに対し平成17年6月27日付けで手続補正がされ、さらに平成17年9月1日付けで拒絶理由が通知され、これに対し平成17年11月7日付けで手続補正がされ、平成18年1月23日付けで拒絶査定がされ、これに対し平成18年3月1日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成18年3月28日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。

第2.本件補正の内容と補正の適否及び本願の特許性について
1.本件補正の内容と補正の適否
本件補正により特許請求の範囲の請求項1にした補正は、平成17年11月7日付け手続補正書の請求項1を削除し、同請求項2を新たに請求項1としたものであるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号に規定する「請求項の削除」を目的としたものに該当する。

2.補正後の本願発明
そうすると本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「遊技の結果に影響を及ぼす遊技処理を行う主基板と、この主基板からの制御信号を受けて前記遊技処理に伴って行われる遊技演出のパターンを決定する処理を行う周辺基板と、
この周辺基板により決定されたパターンの画像を表示する液晶表示装置とを備えて構成される遊技機において、
前記主基板と一の前記周辺基板との間に設けられ、前記主基板からの制御信号の伝送線と一の前記周辺基板からの伝送線とを接続して、前記主基板から一の前記周辺基板へ伝えられる制御信号を中継する中継端子板を備え、
前記中継端子板を介する前記主基板から一の前記周辺基板への通信は、前記主基板から一の前記周辺基板へ向かう一方向についてだけ行われ、
一の前記周辺基板は、前記中継端子板から制御信号を入力する以外に、外部から、前記液晶表示装置に表示する情報を選択する信号を入力する機能を有することを特徴とする遊技機。」(以下、「本願発明」という。)

3.引用文献について

(1)引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-236039号公報(公開日:平成15年8月26日)(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。

・記載事項1
「図3に示すように、パチスロ遊技機1は、電源を供給する電源部21と、パチスロ遊技機1全体の制御を行う主基板22と、主基板22から出力されたさまざまなコマンドを中継するサブ中継基板23と、液晶表示部24の制御を行う画像制御部25と、圧電スピーカー2?9と電飾部10?15のLED42?49とその他のLED50とを制御して演出を行う演出制御部26とから構成されている。」(段落【0017】)

以上を含む全記載及び図示によれば、引用文献1には次の発明が記載されていると認められる。

「パチスロ遊技機1全体の制御を行う主基板22と、液晶表示部24の制御を行う画像制御部25とを有するパチスロ遊技機1であって、主基板22から出力されたさまざまなコマンドを中継するサブ中継基板23を画像制御部25と主基板22の間に設けたパチスロ遊技機」(以下、「引用発明」という。)

4.対比
本願発明と引用発明を対比すると、
引用発明の「パチスロ遊技機1」は本願発明の「遊技機」に相当し、以下同様に、「主基板22」は「主基板」に、「液晶表示部24」は「液晶表示装置」に、「サブ中継基板23」は「中継端子板」にそれぞれ相当する。そして、引用発明の「画像制御部25」は主基板22からのコマンドを受けて液晶表示部の制御を行うものであるから、本願発明の「一の周辺基板」に相当することは明らかである。

引用発明について、以下の(1)?(3)のことが言える。
(1)「パチスロ遊技機1の全体制御を行う」ことが、遊技の結果に影響を及ぼす遊技処理を行うことを含んでいるのは自明である。

(2)遊技機において、主制御装置からの制御信号を受けて表示制御部が遊技処理に伴って行われる遊技演出のパターンを決定し、決定されたパターンの画像を液晶表示装置に表示することは常套手段である。

(3)引用発明には本願発明の伝送線に相当するものについては明確に記載されていないが、遊技機の回路において各基板を伝送線で接続することは技術常識であり、引用発明においても本願発明と同様に伝送線で「主基板22」、「サブ中継基板23」、「液晶表示部24」をそれぞれ接続しているものと解される。

そうすると、両者は、
「遊技の結果に影響を及ぼす遊技処理を行う主基板と、この主基板からの制御信号を受けて前記遊技処理に伴って行われる遊技演出のパターンを決定する処理を行う周辺基板と、
この周辺基板により決定されたパターンの画像を表示する液晶表示装置とを備えて構成される遊技機において、
前記主基板と一の前記周辺基板との間に設けられ、前記主基板からの制御信号の伝送線と一の前記周辺基板からの伝送線とを接続して、前記主基板から一の前記周辺基板へ伝えられる制御信号を中継する中継端子板を備えた遊技機」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
相違点1.本願発明では「中継端子板を介する前記主基板から一の前記周辺基板への通信は、前記主基板から一の前記周辺基板へ向かう一方向についてだけ行われ」ているのに対し、引用発明では通信方向については明らかでない点。
相違点2.本願発明では「一の前記周辺基板は、前記中継端子板から制御信号を入力する以外に、外部から、前記液晶表示装置に表示する情報を選択する信号を入力する機能を有する」のに対し、引用発明では周辺基板に相当する「画像制御部25」がそのような機能を有していない点。

5.判断
上記相違点1について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-310832号公報(公開日:平成15年11月5日)(以下、「引用文献2」という。)には、
「遊技制御基板200から演出制御基板201へは、バッファ回路(図示略)を介して遊技制御基板200が制御する遊技状態を特定可能な各種コマンドが出力される。バッファ回路は、遊技制御基板200の内部から外部への信号の出力を許容するが遊技制御基板200の外部から内部へ信号が入力されることを阻止するように機能する。このため、遊技制御基板200と演出制御基板201との間において、遊技制御基板200から演出制御基板201への一方向通信が担保され、コマンドの伝送経路を介して遊技制御基板200に信号を入力させて不正な制御動作を行わせる不正行為を防止できる。」(段落【0068】)と記載されている。

ここで引用文献2の「遊技制御基板200」は本願発明の「主基板」に、「バッファ回路」は「中継端子板」にそれぞれ相当する。また「演出制御基板201」は液晶表示器135の表示制御を指示しているので、本願発明の「周辺基板」に相当する。そして遊技制御基板200から演出制御基板201への一方向通信が担保されているので、本願発明と同様に主基板から周辺基板への通信はその一方向のみに限定されると認められる。したがって、引用発明において引用文献2に記載の技術事項を適用し、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

上記相違点2について
本願出願前に、主制御装置からの制御信号を受ける表示制御装置に外部から、表示装置に表示する情報を選択する信号を入力する機能を設けることは、下記の周知例に示されるように従来周知である。したがって引用発明において上記周知技術を適用し、上記相違点2にかかる本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(周知例1)特開2003-310860号公報(段落【0028】、【0054】、図3)
(周知例2)特開2003-180921号公報(段落【0018】、【0048】、図8)
(周知例3)特開2000-140261号公報(段落【0011】乃至【0014】、図2)
つまり特開2003-310860号公報、特開2003-180921号公報、特開2000-140261号公報(以下「周知技術」という。)には、いずれも表示装置に主基板からの制御信号を入力されているが、それ以外に十字ボタン等の主基板とは異なる信号入力装置を介して、表示装置に表示される内容を選択出来ることが開示されている。したがって前記相違点2は本願出願前に既に周知技術であったと言える。

引用発明、引用文献2及び上記周知技術はいずれも遊技機に関するものであり、引用発明に引用文献2に記載された技術事項や上記周知技術を適用することに格別の困難性は認められない。

そして、本願発明の効果は、引用発明1、引用文献2に記載された技術事項、上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

6むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術事項及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-05-12 
結審通知日 2009-05-19 
審決日 2009-06-01 
出願番号 特願2004-159918(P2004-159918)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 深田 高義
小原 博生
発明の名称 遊技機  
代理人 金木 章郎  

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