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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06Q 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q |
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管理番号 | 1201386 |
審判番号 | 不服2007-5016 |
総通号数 | 117 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-09-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-02-15 |
確定日 | 2009-07-30 |
事件の表示 | 特願2002-135663「伝票管理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年11月21日出願公開、特開2003-331211〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成14年5月10日の出願であって、平成19年1月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年2月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成19年3月19日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成19年3月19日付けの手続補正についての補正却下の決定 〔結論〕 平成19年3月19日付けの手続補正を却下する。 〔理由〕 1.補正内容 平成19年3月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」と呼ぶ。)は、特許請求の範囲の請求項7を、 「【請求項7】 記憶装置を有するサーバ装置であって、 リース業者を識別するリース業者識別情報、該リース業者保有のリース車両に関する情報、および該リース業者の伝票書式情報を、リース業者ごとに夫々関連づけて前記記憶装置上に構成されたデータベースに蓄積するリース業者情報蓄積手段と、 リース車両を整備する整備業者に管理される整備業者端末から送信された、整備対象のリース車両に係るリース車両属性情報を受信する受信手段と、 前記記憶装置にアクセスし、前記リース車両属性情報に基づいて前記データベースを解析することで、前記リース業者情報蓄積手段によって前記リース車両に関する情報に関連付けて蓄積された前記リース業者識別情報が示すリース業者、および該リース業者の伝票書式情報を特定する伝票書式特定手段と、 前記伝票書式特定手段によって特定された前記リース車両属性情報および前記伝票書式情報に基づいて生成される伝票内容情報であって、該伝票書式情報に整備作業用伝票と修理作業用伝票とを分割発行することを示すフラグが含まれる場合に生成される、該リース車両属性情報が整備作業用伝票書式と修理作業用伝票書式との夫々に展開された2つの伝票内容情報、または該伝票書式情報に整備作業用伝票と修理作業用伝票とを統合発行することを示すフラグが含まれる場合に生成される、該リース車両属性情報が整備作業用伝票と修理作業用伝票とを統合した伝票書式に展開された1つの伝票内容情報を生成する伝票内容情報生成手段と、 前記伝票内容情報を出力する出力手段と、 を備えるサーバ装置。」 に変更する補正を含むものである。 2.本件補正に対する判断 上記補正後の請求項7は、「伝票書式情報に整備作業用伝票と修理作業用伝票とを分割発行することを示すフラグが含まれる場合に生成される、該リース車両属性情報が整備作業用伝票書式と修理作業用伝票書式との夫々に展開された2つの伝票内容情報、または該伝票書式情報に整備作業用伝票と修理作業用伝票とを統合発行することを示すフラグが含まれる場合に生成される、該リース車両属性情報が整備作業用伝票と修理作業用伝票とを統合した伝票書式に展開された1つの伝票内容情報を生成する伝票内容情報生成手段」なる発明特定事項を含んでいるが、該発明特定事項は、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」と呼ぶ。)に記載されておらず、当初明細書等の記載から自明な事項ともいえない。そして、請求項7を、該発明特定事項を含んだものとする本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 審判請求人は、本件補正は出願当初の明細書の段落0054-0059、0080、0081等の記載に基づくものである旨主張する(平成19年3月19日付けの審判請求書の請求の理由を補正対象とする手続補正書(方式)の【本願発明が特許されるべき理由】の欄)が、該段落0054-0059、0080、0081等の記載を精査しても、上記発明特定事項を示す記載は見あたらず、上記発明特定事項を、当初明細書等に記載された事項の範囲内のものと評価することはできない。 以上のとおりであるから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえない。 3.むすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項7に係る発明(以下、「本願発明」と呼ぶ。)は、平成18年12月21日付けの手続補正書の請求項7に記載された、次のとおりのものである。 「【請求項7】 記憶装置を有するサーバ装置であって、 リース業者を識別する情報、該リース業者保有のリース車両に関する情報、および該リース業者の伝票書式情報を、リース業者ごとに夫々関連づけて前記記憶装置上に構成されたデータベースに蓄積するリース業者情報蓄積手段と、 リース車両を整備する整備業者に管理される整備業者端末から送信された、整備対象のリース車両に係るリース車両属性情報を受信する受信手段と、 前記記憶装置にアクセスし、前記リース車両属性情報に基づいて前記データベースを解析することで、前記リース車両属性情報に係るリース車両を保有するリース業者、および該リース業者の伝票書式情報を特定する伝票書式特定手段と、 前記リース車両属性情報および前記伝票書式情報に基づいて、伝票内容情報を生成する伝票内容情報生成手段と、 前記伝票内容情報を出力する出力手段と、 を備えるサーバ装置。」 2.引用例 (1)原査定の拒絶の理由に引用された、特開2001-249992号公報(以下、「引用例1」と呼ぶ。)には、以下の事項が記載されている。 「【0002】 【従来の技術】自動車リース会社は、各社毎にリース自動車の管理を行っており、自動車整備工場等も、各工場や各車毎に、依頼されてきた自動車の整備や点検の管理を行っている。したがって、各自動車リース会社は、コンピュータを用いて自社のリース自動車の整備、点検状況の管理を行い、自動車整備工場等に整備、点検の依頼をしたり、整備、点検後の情報のやりとり、請求書のやりとり等の管理を行おうとする場合、各々独自のシステムを構築している。一方、各自動車整備工場等にとっても、各自動車リース会社との情報のやりとりの仕方や請求書のやりとりの仕方が異なっているため、各自動車リース会社に応じた、まちまちの対応を強いられている。また、自動車整備工場等毎に、情報のやりとりの仕方が異なっているのが実情である。したがって、自動車整備工場等においても、情報のやりとりや請求書等の管理をコンピュータで行おうとすれば、各々独自のシステムを構築する必要がある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このように、自動車リース会社にとっても、自動車整備工場等にとっても、各々独自のコンピュータ管理システムを構築することは、労力とともに費用が膨大になる。また、情報のやりとりの仕方が各社まちまちであるため、構築したシステムは、特定の会社、特定の会社間にしか利用できず、その利用価値は低く無駄の多い結果となっている。 【0004】そこで本発明の課題は、上記のような多大な無駄を省き、自動車リース会社、自動車整備工場等双方にとって労力と費用の大幅な削減が可能な自動車整備運営システムを提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明に係る自動車整備運営システムは、複数の自動車リース会社と複数の自動車整備工場等との間に介在するシステムであって、各自動車リース会社と各自動車整備工場等間でやりとりされる情報の共通フォーマットのプログラムと、外部への情報の漏洩および自動車リース会社間、自動車整備工場等間の情報の漏洩を防止するセキュリティシステムとを備えたホストコンピュータを有し、該ホストコンピュータと各自動車リース会社のコンピュータおよび各自動車整備工場等のコンピュータとを、それぞれ、インターネットを介して接続したことを特徴とするものからなる。 【0006】ここで共通フォーマットは、各自動車リース会社から各自動車整備工場等への発注書、依頼書等の情報に関する共通化されたフォーマット、整備、点検後の確認や請求書等の確認に関する情報の共通化されたフォーマット、各自動車整備工場等から各自動車リース会社への整備、点検結果に関する情報の共通化されたフォーマット、請求書等の共通化されたフォーマット等、実質的に全ての情報に関する共通化されたフォーマットである。 【0007】また、ホストコンピュータが、データベース等を記憶した記憶装置に接続されているシステムとしてもよい。ホストコンピュータは、共通フォーマットに関し、実質的に全ての車種等に対してプログラムを構築しており、車種の追加、変更にも対応できるようになっている。」 ここで、上記記載事項全体を技術常識に照らせば、上記記載事項中の「共通フォーマット」は、少なくとも、「複数の自動車リース会社と自動車整備工場の間で共通に使用される請求書等の各種伝票のフォーマットの情報」を含むものであり、それらは、「ホストコンピュータの記憶装置」に記憶されるものであると認められる。また、上記複数の自動車リース会社と自動車整備工場の間の情報のやりとりの少なくとも一部は、「ホストコンピュータの受信手段が自動車整備工場のコンピュータから受信した情報」と、「ホストコンピュータの記憶装置に記憶される各種伝票のフォーマットの情報」に基づいて生成される、「伝票内容情報と呼び得る情報」が、ホストコンピュータの出力手段から出力されることによって実現されると考えられる。 してみれば、引用例1には、実質的に以下の発明(以下、「引用例1記載発明」と呼ぶ。)が記載されていると言える。 「記憶装置を有するホストコンピュータであって、 複数の自動車リース会社と自動車整備工場の間で共通に使用される各種伝票のフォーマットの情報を前記記憶装置に記憶する記憶手段と、 前記自動車整備工場のコンピュータから送信された情報を受信する受信手段と、 前記受信手段により受信した前記自動車整備工場のコンピュータから送信された情報と、前記記憶手段により記憶された前記各種伝票のフォーマットの情報に基づいて、伝票内容情報を生成する伝票内容情報生成手段と、 前記伝票内容情報を出力する出力手段と、 を備えるホストコンピュータ。」 (2)原査定の拒絶の理由に引用された、特開平4-58367号公報(以下、「引用例2」と呼ぶ。)には、以下の事項が記載されている。 (2-1)「[発明の概要] 本発明の帳票出力装置は、印字データのグループ分別を行ない、そのグループ内のデータにより印字フォーマット及び出力先プリンタを自動設定する手段を設けたことにより、印字フォーマット並びに伝票用紙等の選択を自動化でき、よってオペレータが印字フォーマットを意識することなく帳票出力を行なうことができるようにしたものである。」(第1ページ右下欄第6?14行) (2-2)「[従来の技術] 従来、オフィスコンピュータ等に構成された帳票出力装置に於いて、伝票、帳票の作成出力を行なう場合、印字項目数及び印字項目の種類等を考慮して、予め印字フォーマットを決め、このフォーマットが印刷されている伝票用紙等にデー夕の印字を行なっている。 また、オペレータは、伝票、帳票の出力に際し、その属性、例えば取引先等の情報を基に、上記印字フォーマットを選択すると共に、出力先となる画像形成装置(プリンタ)に上記フォーマット済み伝票用紙等を交換設定している。 [発明が解決しようとする課題] このような従来の帳票出力装置では、扱う印字フォーマット数及びフォーマット選択条件情報が大量である場合には、オペレータに対する負担は多大であり、マン・マシンインタフェースの面からみて、非常な問題を残していると言える。 このような原因は、印字フォーマット並びに伝票用紙等の選択をオペレータに頼っていることにある。 本発明の課題は、出力フォーマット並びに出力用紙の選択を自動化することである。」(第1ページ右下欄第15行?第2ページ左上欄第17行) (2-3)「上記構成の帳票出力装置の動作を、第9図に示すCPU10によって実行されるデータ処理のフローチャートを参照して説明する。 先ず、CPU10は、データファイル12の未処理レコードの有無を確認し(ステップSl)、未処理レコードがあれば、1レコード読出して、レコードレジスタ14に一時的に格納する(ステップS2)。そして、このレコードレジスタ14に格納したレコードのデータレベルを判定する(ステップS3)。 そして、フォーマットデータメモリ20の各フォーマットデータ記憶部の出力条件記憶部30のうち、この判定されたデータレベルと一致する条件レベルか設定されたレコード分類レベル30aを有するものがあるか否かを確認する(ステップS4)。一致するものがあれば、その出力条件記憶部30を含むフォーマットデータ記憶部に記憶されている出力フォーマットを、出力すべきフォーマットとして選択する(ステップS5)。 例えば、第3図の例では、読出された第1レコードはデータレベル「3」であるので条件レベルと一致し、その内容は“相手先がA株式会社”であるので第1フォーマットデータ記憶部20aに記憶された出力フォーマットが選択される。」(第3ページ右下欄第5行?第4ページ左上欄第8行) そして、上記記載事項によれば、引用例2には、「送付相手先ごとに相違する複数の伝票のフォーマットを予めフォーマットデータ記憶部に記憶しておき、出力すべき伝票の送付相手先に応じて、該当するフォーマットの伝票を自動的に選択出力する」技術が開示されていると認められる。 3.対比 本願発明と引用例1記載発明とを比較すると、以下の対応関係が認められる。 (1)引用例1記載発明の「各種伝票のフォーマットの情報」は、「伝票の書式を表す情報」である点で本願発明の「伝票書式情報」と共通する。 (2)引用例1記載発明の「ホストコンピュータ」は、「受信手段が自動車整備工場のコンピュータから受信した情報」と「記憶装置に記憶される各種伝票のフォーマットの情報」に基づいて「伝票内容情報と呼び得る情報」を生成し出力するために必要な機能実現手段を有するコンピュータである点で、本願発明の「サーバ装置」と共通する。 (3)引用例1記載発明の「記憶手段」は、「伝票の書式を表す情報」を含む情報を記憶するための手段である点で、本願発明の「リース業者情報蓄積手段」と共通する。 (4)引用例1記載発明の「自動車整備工場のコンピュータ」は、本願発明の「リース車両を整備する整備業者に管理される整備業者端末」に相当する。 (5)本願発明の「伝票内容情報」は「リース車両属性情報」と「伝票書式情報」に基づいて生成されるものであるが、該「リース車両属性情報」は「リース車両を整備する整備業者に管理される整備業者端末」から送信された情報であり、該「伝票書式情報」は「サーバ装置の記憶装置に構築されたデータベースに蓄積される伝票の書式を表す情報」であるから、引用例1記載発明の「伝票内容情報」と本願発明の「伝票内容情報」とは、「『リース車両を整備する整備業者に管理される整備業者端末から送信された情報』と『記憶手段により記憶された伝票の書式を表す情報』に基づいて生成される情報」であるという意味において共通する。 したがって、本願発明と引用例1記載発明の間には、以下の一致点、相違点があると言える。 (一致点) 「記憶装置を有するコンピュータであって、 伝票の書式を表す情報を含む情報を前記記憶装置に記憶する記憶手段と、 リース車両を整備する整備業者に管理される整備業者端末から送信された情報を受信する受信手段と、 前記リース車両を整備する整備業者に管理される整備業者端末から送信された情報と前記記憶手段により記憶された伝票の書式を表す情報に基づいて、伝票内容情報を生成する伝票内容情報生成手段と、 前記伝票内容情報を出力する出力手段と、 を備えるコンピュータ。」 (相違点1) 上記一致点でいう「記憶装置を有するコンピュータ」に相当するものが、本願発明では「サーバ装置」であるのに対し、引用例1記載発明では「ホストコンピュータ」である点。 (相違点2) 上記一致点でいう「記憶手段」に相当するものが、本願発明では「リース業者を識別する情報、該リース業者保有のリース車両に関する情報、および該リース業者の伝票書式情報を、リース業者ごとに夫々関連づけて前記記憶装置上に構成されたデータベースに蓄積するリース業者情報蓄積手段」であるのに対し、引用例1記載発明では、「伝票の書式を表す情報」を含む情報を記憶する手段ではあるものの、「リース業者を識別する情報、該リース業者保有のリース車両に関する情報、および該リース業者の伝票書式情報を、リース業者ごとに夫々関連づけて前記記憶装置上に構成されたデータベースに蓄積する」ものではなく、「リース業者情報蓄積手段」と呼び得るものではない点。 (相違点3) 上記一致点でいう「受信手段」が、本願発明では「リース車両を整備する整備業者に管理される整備業者端末から送信された、整備対象のリース車両に係るリース車両属性情報を受信する」ものであるのに対し、引用例1記載発明では 「自動車整備工場のコンピュータ」から送信された情報を受信するものではあるものの、「整備対象のリース車両に係るリース車両属性情報を受信する」ものとは限らない(引用例1には、「自動車整備工場のコンピュータ」から「ホストコンピュータ」に送信される具体的情報についての明示的記載がない。)点。 (相違点4) 本願発明の「サーバ装置」は、「前記記憶装置にアクセスし、前記リース車両属性情報に基づいて前記データベースを解析することで、前記リース車両属性情報に係るリース車両を保有するリース業者、および該リース業者の伝票書式情報を特定する伝票書式特定手段」を有しているのに対し、引用例1記載発明の「ホストコンピュータ」は、それに相当する手段を有していない点。 (相違点5) 本願発明の「伝票内容情報生成手段」は、「前記リース車両属性情報および前記伝票書式情報に基づいて、伝票内容情報を生成する」ものであるのに対し、引用例1記載発明の「伝票内容情報生成手段」は、「自動車整備工場のコンピュータから送信された情報と、記憶手段により記憶された各種伝票のフォーマットの情報に基づいて、伝票内容情報を生成する」ものではあるものの、「リース車両属性情報」に基づいて、伝票内容情報を生成するものとは限らない(引用例1には、上述したように「自動車整備工場のコンピュータ」から「ホストコンピュータ」に送信される具体的情報についての明示的記載がなく、「伝票内容情報生成手段」が「リース車両属性情報」と呼び得る情報に基づいて伝票内容情報を生成することについての記載もない。)点。 4.判断 (1)相違点1について 所望の機能を「サーバ装置」と呼び得るコンピュータで実現することは、ごく普通に行われていることであるから、引用例1記載発明の「ホストコンピュータ」を「サーバ装置」と呼び得るものに置換することは、当業者が容易になし得たことである。 したがって、上記相違点1の存在によっては、本願発明の進歩性は肯定されない。 (2)相違点2について 上記引用例2に開示される技術は、複数の業者間でやりとりする伝票の作成に関する技術であるという意味において、上記引用例1記載発明と同様の技術分野に属するものと言える。また、引用例1記載発明においては、「各自動車リース会社に応じた、まちまちの対応を強いられる」等の課題を解決するために、「複数の自動車リース会社と自動車整備工場の間で共通に使用される各種伝票のフォーマット」を用いるという手段を採用しているが、同様の課題が、上記引用例2に開示の技術、すなわち、「送付相手先ごとに相違する複数の伝票のフォーマットを予めフォーマットデータ記憶部に記憶しておき、出力すべき伝票の送付相手先に応じて、該当するフォーマットの伝票を自動的に選択出力する」技術を採用することでも解決されることは、当業者に自明である。以上のこと等を勘案すると、上記引用例1記載発明に上記引用例2に開示される技術を適用すること、換言すれば、引用例1記載発明の上記「複数の自動車リース会社と自動車整備工場の間で共通に使用される各種伝票のフォーマット」を用いるという手段に替えて、上記引用例2に開示の「送付相手先ごとに相違する複数の伝票のフォーマットを予めフォーマットデータ記憶部に記憶しておき、出力すべき伝票の送付相手先に応じて、該当するフォーマットの伝票を自動的に選択出力する」技術を採用することは、当業者が容易に推考し得たことである。 そして、上記引用例1記載発明に上記引用例2に開示される技術を適用する際、上記相違点2に係る本願発明の構成を採用すること、すなわち、「リース業者を識別する情報、該リース業者保有のリース車両に関する情報、および該リース業者の伝票書式情報を、リース業者ごとに夫々関連づけて前記記憶装置上に構成されたデータベースに蓄積する」という構成を採用し、「記憶手段」を「リース業者情報蓄積手段」と呼び得るものとすることは、所望機能の実現のために必要な情報が何か、自動車整備工場のコンピュータとホストコンピュータの機能分担をどうするか、といった事項等を考慮することで、当業者が適宜なし得たことである。 したがって、上記相違点2の存在によっても、本願発明の進歩性は肯定されない。 (3)相違点3について 上記(2)で述べたように、上記引用例1記載発明に上記相違点2に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことというべきであるが、上記引用例1記載発明に上記相違点2に係る本願発明の構成を採用する際、上記相違点3に係る本願発明の構成を併せ採用すること、すなわち、「受信手段」を、「リース車両を整備する整備業者に管理される整備業者端末から送信された、整備対象のリース車両に係るリース車両属性情報を受信する」ものとすることも、当業者が容易になし得たことというべきである。 なぜならば、上記引用例1記載発明に上記相違点2に係る本願発明の構成を採用する際に、ホストコンピュータの「受信手段」をどのような情報を受信するものとするかは、上記「所望機能の実現のために必要な情報が何か、自動車整備工場のコンピュータとホストコンピュータの機能分担をどうするか、といった事項」の考慮の中で、当然に考慮されるべき事項であるし、該「受信手段」を、「リース車両を整備する整備業者に管理される整備業者端末から送信された、整備対象のリース車両に係るリース車両属性情報」を受信するものとすることは、当業者が設計事項として適宜定め得る程度のことであり、格別なことではないからである。 したがって、上記相違点3の存在によっても、本願発明の進歩性は肯定されない。 (4)相違点4について 上記(2)で述べたように、上記引用例1記載発明に上記相違点2に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことというべきであるが、上記引用例1記載発明に上記相違点2に係る本願発明の構成を採用する際、上記相違点4に係る本願発明の構成を併せ採用すること、すなわち、「ホストコンピュータ」に「前記記憶装置にアクセスし、前記リース車両属性情報に基づいて前記データベースを解析することで、前記リース車両属性情報に係るリース車両を保有するリース業者、および該リース業者の伝票書式情報を特定する伝票書式特定手段」に相当する手段を設けることも、当業者が容易になし得たことというべきである。 なぜならば、上記引用例1記載発明に上記相違点2に係る本願発明の構成を採用する際に、「ホストコンピュータ」にどのような機能実現手段を設けるかといったことも、上記「所望機能の実現のために必要な情報が何か、自動車整備工場のコンピュータとホストコンピュータの機能分担をどうするか、といった事項」の考慮の中で、当然に考慮されるべき事項であるし、該「ホストコンピュータ」に、該「前記記憶装置にアクセスし、前記リース車両属性情報に基づいて前記データベースを解析することで、前記リース車両属性情報に係るリース車両を保有するリース業者、および該リース業者の伝票書式情報を特定する伝票書式特定手段」に相当する手段を設けることも、当業者が設計事項として適宜定め得る程度のことであり、格別なことではないからである。 したがって、上記相違点4の存在によっても、本願発明の進歩性は肯定されない。 (5)相違点5について どのような情報を「伝票内容情報」とするかは、当業者が必要に応じて適宜決定すべき事項であり、「リース車両属性情報および伝票書式情報に基づいて生成されるもの」を引用例1記載発明の「伝票内容情報」とすること、換言すれば、引用例1記載発明に上記相違点5に係る本願発明の構成を採用することも格別のことではない。 したがって、上記相違点5の存在によっても、本願発明の進歩性は肯定されない。 (6)本願補正発明の効果について 本願補正発明の構成によってもたらされる効果は、引用例1、2に記載された発明及び周知技術から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について、検討するまでもなく拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-05-27 |
結審通知日 | 2009-06-02 |
審決日 | 2009-06-15 |
出願番号 | 特願2002-135663(P2002-135663) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06Q)
P 1 8・ 561- Z (G06Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 和田 財太 |
特許庁審判長 |
小曳 満昭 |
特許庁審判官 |
立川 功 池田 聡史 |
発明の名称 | 伝票管理方法 |
代理人 | 高田 大輔 |
代理人 | 今堀 克彦 |
代理人 | 川口 嘉之 |
代理人 | 平川 明 |
代理人 | 和久田 純一 |
代理人 | 松倉 秀実 |