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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1201422
審判番号 不服2008-4145  
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-21 
確定日 2009-07-30 
事件の表示 特願2006-167296「ゲームプログラム、ゲーム装置及びゲーム制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年12月27日出願公開、特開2007-330591〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年6月16日の出願(特願2006-167296号)であって、平成19年8月22日付けで拒絶理由がなされ、同年10月23日付けで手続補正がなされ、平成20年1月15日付けで拒絶査定がなされた。
本件は、前記拒絶査定を不服として平成20年2月21日に請求された拒絶査定不服審判事件であって、同年3月13日付けで手続補正がなされている。

第2 補正却下の決定
[結論]
平成20年3月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由] 目的要件違反 独立特許要件違反
1 本件補正の内容
本件補正は、補正前(平成19年10月23日付け手続補正書を参照)に
「 【請求項1】
プレイヤによって動作させられるゲームキャラクタを制御部によって育成する制御処理を行うゲームを実現可能なコンピュータに、
前記ゲームキャラクタ固有の能力値を示す所定の第1特性を前記制御部によって決定する制御処理を行う第1特性決定機能と、
前記ゲームキャラクタと同じチームに所属するチームメイトキャラクタの人数を示す所定の第2特性を前記制御部によって決定する制御処理を行う第2特性決定機能と、
前記プレイヤの所定期間の間に操作部を操作する回数に応じて前記ゲームキャラクタの状態値を示す第1変数を前記制御部によって決定する制御処理を行う第1変数決定機能と、
前記ゲームキャラクタの状態値である前記第1変数の大きさに応じて、前記チームメイトキャラクタの状態値を示す第2変数を前記制御部によって決定する制御処理を行う第2変数決定機能と、
前記第2特性である前記チームメイトキャラクタの人数及び前記チームメイトキャラクタの状態値を示す前記第2変数の大きさに応じて、前記第1特性である前記ゲームキャラクタ固有の能力値を前記制御部によって変動させる制御処理を行う第1特性変動機能と、を実現させるためのゲームプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータに、
前記ゲームキャラクタに関する基準変量を前記制御部によって決定する制御処理を行う基準変量決定機能と、
前記基準変量が所定量以上であるとき、前記プレイヤの所定操作によって前記ゲームキャラクタに関する第1変量を前記制御部によって決定する制御処理を行う第1変量決定機能と、
をさらに実現させ、
第1変数決定機能は、前記第1変量に応じて、前記第1変数を前記制御部によって決定する制御処理を行う機能である、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記第2変数決定機能は、所定の確率変数に応じて、前記第2変数を前記制御部によって決定する制御処理を行う機能である、請求項1又は2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータに、前記第2特性に応じて前記確率変数を前記制御部によって変動させる制御処理を行う確率変数変動機能をさらに実現させる、請求項3に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記第2特性決定機能は、前記ゲームキャラクタが獲得可能であり、前記チームメイトキャラクタのうち特定のチームメイトキャラクタが有する特殊能力を前記制御部によって決定する制御処理を行う機能である、請求項1から4のいずれか1項に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
プレイヤによって動作させられるゲームキャラクタを制御部によって育成する制御処理を行うゲームを実行するゲーム装置であって、
前記ゲームキャラクタ固有の能力値を示す所定の第1特性を前記制御部によって決定する制御処理を行う第1特性決定手段と、
前記ゲームキャラクタと同じチームに所属するチームメイトキャラクタの人数を示す所定の第2特性を前記制御部によって決定する制御処理を行う第2特性決定手段と、
前記プレイヤの所定期間の間に操作部を操作する回数に応じて前記ゲームキャラクタの状態値を示す第1変数を前記制御部によって決定する制御処理を行う第1変数決定手段と、
前記ゲームキャラクタの状態値である前記第1変数の大きさに応じて、前記チームメイトキャラクタの状態値を示す第2変数を前記制御部によって決定する制御処理を行う第2変数決定手段と、
前記第2特性である前記チームメイトキャラクタの人数及び前記チームメイトキャラクタの状態値を示す前記第2変数の大きさに応じて、前記第1特性である前記ゲームキャラクタ固有の能力値を前記制御部によって変動させる制御処理を行う第1特性変動手段と、を備えるゲーム装置。
【請求項7】
プレイヤによって動作させられるゲームキャラクタを制御部によって育成する制御処理を行うゲームをコンピュータにより制御を行うゲーム制御方法であって、
前記ゲームキャラクタ固有の能力値を示す所定の第1特性を前記制御部によって決定する制御処理を行う第1特性決定ステップと、
前記ゲームキャラクタと同じチームに所属するチームメイトキャラクタの人数を示す所定の第2特性を前記制御部によって決定する制御処理を行う第2特性決定ステップと、
前記プレイヤの所定期間の間に操作部を操作する回数に応じて前記ゲームキャラクタの状態値を示す第1変数を前記制御部によって決定する制御処理を行う第1変数決定ステップと、
前記ゲームキャラクタの状態値である前記第1変数の大きさに応じて、前記チームメイトキャラクタの状態値を示す第2変数を前記制御部によって決定する制御処理を行う第2変数決定ステップと、
前記第2特性である前記チームメイトキャラクタの人数及び前記チームメイトキャラクタの状態値を示す前記第2変数の大きさに応じて、前記第1特性である前記ゲームキャラクタ固有の能力値を前記制御部によって変動させる制御処理を行う第1特性変動ステップと、
を備えるゲーム制御方法。」

とあったものを、

「 【請求項1】
プレイヤによって動作させられるゲームキャラクタを制御部によって育成する制御処理を行うゲームを実現可能なコンピュータに、
前記ゲームキャラクタ固有の能力値を示す所定の第1特性パラメータを前記制御部によって決定し記憶部に記憶する制御処理を行う第1特性決定機能と、
前記ゲームキャラクタと同じチームに所属するチームメイトキャラクタの人数を示す所定の第2特性パラメータを前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第2特性決定機能と、
前記ゲームキャラクタに関する基準変量を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う基準変量決定機能と、
前記記憶部から読み出された前記基準変量が所定量以上であるとき、前記プレイヤの所定期間の間に操作部を操作する回数に応じて前記ゲームキャラクタに関する第1変量を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第1変量決定機能と、
前記記憶部から読み出された前記第1変量に応じて、前記ゲームキャラクタの周囲に前記ゲームキャラクタの状態値に応じた異なる色の図形キャラクタを表示させる前記ゲームキャラクタの状態値を示す第1変数を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第1変数決定機能と、
前記記憶部から読み出された前記ゲームキャラクタの状態値である前記第1変数の大きさに応じて、前記チームメイトキャラクタの周囲に前記チームメイトキャラクタの状態値に応じた異なる色の図形キャラクタを表示させる前記チームメイトキャラクタの状態値を示す第2変数を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第2変数決定機能と、
前記記憶部から読み出された前記第2特性パラメータである前記チームメイトキャラクタの人数及び前記チームメイトキャラクタの状態値を示す前記第2変数の大きさに応じて、前記第1特性パラメータである前記ゲームキャラクタ固有の能力値を前記制御部によって変動させ前記記憶部に記憶する制御処理を行う第1特性変動機能と、
を実現させるためのゲームプログラム。
【請求項2】
前記第2変数決定機能は、前記記憶部から読み出された所定の確率変数に応じて、前記第2変数を前記制御部によって決定する制御処理を行う機能である、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータに、前記記憶部から読み出された前記第2特性パラメータに応じて前記確率変数を前記制御部によって変動させ前記記憶部に記憶する制御処理を行う確率変数変動機能をさらに実現させる、請求項2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記第2特性決定機能は、前記ゲームキャラクタが獲得可能であり、前記チームメイトキャラクタのうち特定のチームメイトキャラクタが有する特殊能力を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う機能である、請求項1から3のいずれか1項に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
プレイヤによって動作させられるゲームキャラクタを制御部によって育成する制御処理を行うゲームを実行するゲーム装置であって、
前記ゲームキャラクタ固有の能力値を示す所定の第1特性パラメータを前記制御部によって決定し記憶部に記憶する制御処理を行う第1特性決定手段と、
前記ゲームキャラクタと同じチームに所属するチームメイトキャラクタの人数を示す所定の第2特性パラメータを前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第2特性決定手段と、
前記ゲームキャラクタに関する基準変量を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う基準変量決定手段と、
前記記憶部から読み出された前記基準変量が所定量以上であるとき、前記プレイヤの所定期間の間に操作部を操作する回数に応じて前記ゲームキャラクタに関する第1変量を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第1変量決定手段と、
前記記憶部から読み出された前記第1変量に応じて、前記ゲームキャラクタの周囲に前記ゲームキャラクタの状態値に応じた異なる色の図形キャラクタを表示させる前記ゲームキャラクタの状態値を示す第1変数を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第1変数決定手段と、
前記記憶部から読み出された前記ゲームキャラクタの状態値である前記第1変数の大きさに応じて、前記チームメイトキャラクタの周囲に前記チームメイトキャラクタの状態値に応じた異なる色の図形キャラクタを表示させる前記チームメイトキャラクタの状態値を示す第2変数を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第2変数決定手段と、
前記記憶部から読み出された前記第2特性パラメータである前記チームメイトキャラクタの人数及び前記チームメイトキャラクタの状態値を示す前記第2変数の大きさに応じて、前記第1特性パラメータである前記ゲームキャラクタ固有の能力値を前記制御部によって変動させ前記記憶部に記憶する制御処理を行う第1特性変動手段と、
を備えるゲーム装置。
【請求項6】
プレイヤによって動作させられるゲームキャラクタを制御部によって育成する制御処理を行うゲームをコンピュータにより制御を行うゲーム制御方法であって、
前記ゲームキャラクタ固有の能力値を示す所定の第1特性パラメータを前記制御部によって決定し記憶部に記憶する制御処理を行う第1特性決定ステップと、
前記ゲームキャラクタと同じチームに所属するチームメイトキャラクタの人数を示す所定の第2特性パラメータを前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第2特性決定ステップと、
前記ゲームキャラクタに関する基準変量を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う基準変量決定ステップと、
前記記憶部から読み出された前記基準変量が所定量以上であるとき、前記プレイヤの所定期間の間に操作部を操作する回数に応じて前記ゲームキャラクタに関する第1変量を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第1変量決定ステップと、 前記記憶部から読み出された前記第1変量に応じて、前記ゲームキャラクタの周囲に前記ゲームキャラクタの状態値に応じた異なる色の図形キャラクタを表示させる前記ゲームキャラクタの状態値を示す第1変数を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第1変数決定ステップと、
前記記憶部から読み出された前記ゲームキャラクタの状態値である前記第1変数の大きさに応じて、前記チームメイトキャラクタの周囲に前記チームメイトキャラクタの状態値に応じた異なる色の図形キャラクタを表示させる前記チームメイトキャラクタの状態値を示す第2変数を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第2変数決定ステップと、
前記記憶部から読み出された前記第2特性パラメータである前記チームメイトキャラクタの人数及び前記チームメイトキャラクタの状態値を示す前記第2変数の大きさに応じて、前記第1特性である前記ゲームキャラクタ固有の能力値を前記制御部によって変動させ前記記憶部に記憶する制御処理を行う第1特性変動ステップと、
を備えるゲーム制御方法。」

と補正するものであるところ、その内容は次の補正事項のとおりである。

(1)補正事項1
補正前の請求項1を削除し、補正前の請求項2?7の項番を請求項1?6に繰り上げる補正。

(2)補正事項2
請求項1、3、5及び6において、補正前の請求項1、4、6及び7では「第1特性」及び「第2特性」としていたものを、「第1特性パラメータ」及び「第2特性パラメータ」とする補正。

(3)補正事項3
請求項1?6において、「記憶部」を追加し、全パラメータ(第1特性パラメータ、第2特性パラメータ、基準変量、第1変量、第1変数、及び第2変数、並びに確率変数(請求項3))を「記憶部に記憶する」制御処理を行うとともに、前記第1特性パラメータ以外の全パラメータを「前記記憶部から読み出」して制御処理を行うとする補正。

(4)補正事項4
請求項1における「第1変数決定機能」、請求項5における「第1変数決定手段」及び請求項6における「第1変数決定ステップ」が、それぞれ補正前の請求項1、6、7では「前記プレイヤの所定期間の間に操作部を操作する回数に応じて前記ゲームキャラクタの状態値を示す第1変数を前記制御部によって決定する制御処理を行う」としていたものを、請求項1、5、6では「前記記憶部から読み出された前記第1変量に応じて、前記ゲームキャラクタの周囲に前記ゲームキャラクタの状態値に応じた異なる色の図形キャラクタを表示させる前記ゲームキャラクタの状態値を示す第1変数を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う」とする補正。

(5)補正事項5
請求項1における「第2変数決定機能」、請求項5における「第2変数決定手段」及び請求項6における「第2変数決定ステップ」が、それぞれ補正前の請求項1、6、7では「前記ゲームキャラクタの状態値である前記第1変数の大きさに応じて、前記チームメイトキャラクタの状態値を示す第2変数を前記制御部によって決定する制御処理を行う」としていたものを、請求項1、5、7では「前記記憶部から読み出された前記ゲームキャラクタの状態値である前記第1変数の大きさに応じて、前記チームメイトキャラクタの周囲に前記チームメイトキャラクタの状態値に応じた異なる色の図形キャラクタを表示させる前記チームメイトキャラクタの状態値を示す第2変数を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う」とする補正。

(6)補正事項6
請求項5に、「基準変量決定手段」及び「第1変量決定手段」を追加する補正。

(7)補正事項7
請求項6に、「基準変量決定ステップ」及び「第1変量決定ステップ」を追加する補正。


2 補正の目的要件
(1)補正事項1は、請求項1の削除を目的とするものであり、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第1号に掲げる事項を目的とするものであるから、適法な補正である。

(2)補正事項2は、元々パラメータであった「第1特性」及び「第2特性」というあいまいな概念の用語を、単に「第1特性パラメータ」及び「第2特性パラメータ」という具体的な用語に置き換えたものであるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第4号に掲げる「明りようでない記載の釈明」を目的とするものであり、適法な補正である。

(3)補正事項3は、平成19年8月22日付け拒絶理由の理由2に示された記載不備に対し、ハードウエア資源として制御部と共に記憶部を用いることを明確にし、請求項1?6に係る発明を、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されたものとする補正であり、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第4号に掲げる「明りようでない記載の釈明」を目的とするものであるから、適法な補正である。

(4)補正事項4?5は、第1変数決定機能・手段・ステップ及び第2変数決定機能・手段・ステップを、それぞれ減縮したものであって、これら補正前後において「興趣性の高い育成ゲームを実現させる」という本願の発明の解決しようとする課題、及び産業上の利用分野は変更されていない。
したがって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、適法な補正である。

(5)補正事項6?7により請求項5?6に追加された「基準変量」及び「第1変量」は、補正前の請求項6?7の発明特定事項のいずれかを概念的に下位の発明特定事項とする補正に該当しないから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものでない。
そして、補正事項6?7が、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号、第3号及び第4号に掲げる「請求項の削除」、「明りようでない記載の釈明」及び「誤記の訂正」のいずれをも目的とする補正でないことは明らかである。

以上のとおりであるから、上記補正事項6?7を含む本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3 独立特許要件
上記したとおり、本件補正は、目的要件違反で却下されるべきものであるが、請求項1は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正を含むものであるので、念のため、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか)否かを、請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)について以下に検討する。

(1)引用例
(ア)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である、コナミ完璧攻略シリーズ99(当審注;前記99は、文献では○の中に数字。) 実況パワフルプロ野球10 サクセスモード究極育成理論,コナミ株式会社,2003年11月5日,第1刷,第6,22?23ページ(以下、「引用例1」という。)には、写真とともに以下の事項が記載されている。(特に関連する記載に下線を付した。)

a 「サクセスモードの基礎知識
今回のサクセスは、実在する12球団にオリジナルの4球団を加えたプロ野球リーグが舞台だ。主人公はプロ入りしてから3年間、いちども華やかな舞台に立ったことのない2軍選手。ゲーム開始から約3年間で1軍に昇格させ、チームの要となる選手に育て上げることになる。」(第6ページ1段目)

b 「練習して経験点を稼ぎ選手の能力を上げる
3年間も2軍でくすぶっていた選手だけあって、初期能力はかなり低い。このままでは、1軍で活躍することは不可能なので、おもに練習をすることによって経験点を稼ぎ、それを消費して能力を高めていく。3年間という決められた期間内で、少しでも多くの経験点を稼ぐのだ。」(第6ページ2段目)

c 「主人公以外のキャラクターがいるときの特典 ・・・(中略)・・・
3.チームメイトがいる場合
いっしょに練習を行うため、得られる経験点が通常よりも多い。」(第6ページ3段目右欄)

d 「やる気がトレーニングに及ぼす影響
主人公のやる気は、イベントによって絶好調、好調、普通、不調、絶不調の5段階のいずれかに変化。好調時と絶好調時には、得られる経験点が通常よりも増え、逆に不調時と絶不調時には通常よりも減ってしまう。やる気によって修正される経験点の値は右のリストを参照のこと。」(第22ページ2段目左欄)

e 「たかだか+2と侮るなかれ。絶好調時に60回練習(月に2回×30ヵ月と仮定)をすることができれば、普通時との獲得経験点の差は120にもなるのだ」(第22ページ2段目右欄写真の脚注)

f 第22ページ2段目右欄の「やる気による経験点修正」のリストから、やる気の程度をやる気1?やる気5の数字による5段階で表し、且つやる気4以上(やる気4(好調)及びやる気5(絶好調))の場合は、経験点が1点以上加算されることが、見て取れる。


ここで、引用例1の書籍名から、上記記載事項a?fが実況パワフルプロ野球10のサクセスモードについて記載されていることは明らかであるから、引用例1には次の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用発明」という。)

「主人公をゲーム開始から約3年間でチームの要となる選手に育て上げるサクセスモードであって、主人公が練習をすることによって経験点を稼ぎ、それを消費して主人公の能力を初期能力から高めることができ、チームメイトがいる場合はいっしょに練習を行うため得られる経験点が通常よりも多いという特典が与えられ、主人公のやる気がやる気4以上の場合は、得られる経験点が1点以上加点される実況パワフルプロ野球10のサクセスモード。」


(イ)引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である『パワプロ13』独占情報!!,週刊ファミ通6月16日増刊,株式会社エンターブレイン,2006年6月2日特許庁資料館受入,第21巻第24号,第192?193ページ(以下、「引用例2」という。)には、写真とともに以下の事項が記載されている。

g 「『パワメジャ』の攻略に引き続き、ここからは7月13日に発売が予定されている『実況パワフルプロ野球13』(以下、『パワプロ13』の本誌独占、最速情報をお届け! 本作のサクセスモードは、久しぶりの全国高校野球編。」(第192ページ1段目)

h 「プレイステーション2 PS2 DVD-ROM コナミデジタルエンタテインメント 7月13日発売予定 7329円[税込]」(第192ページ2段目)

i 「←対決に敗北した模様。エフェクトを見ると、気合がアップしているようだが?
気合いゲージがアップ!?」(第192ページ右上写真の脚注及び見出し)

j 「Check2 練習で"気合"注入!
新要素の"気合"ゲージ。練習中にボタンを押すと気合を注入でき、経験点アップなどの効果が得られるのだ。また、パワフル高校では試合でも気合を使用。本作では気合が重要だ!
←ボタンを押して気合を注入! 気合の溜めかたはいまのところ不明。」(第192ページ右下欄?右下写真脚注)

k 「パワフル高校の練習画面を公開!
・・・(中略)・・・また、チームメイトのやる気(気合のノリ?)がひと目で判別できる点も気になるところ。練習システムに何やら影響を与えそうだ。
↑気合ゲージと気合のノリが、練習に影響を与える。この状態では効果が薄い?」(第193ページ上段左欄見出し?同欄左から最初の写真の脚注)

l 「チームメイトの気合をチェック?
→計5人のチームメイトといっしょに練習。画面右の表情から、やる気に差があることがわかる。練習で得られる経験点にも影響しそうだ。」(第193ページ上段左から3番目下側の写真の脚注)

m 「連打して超気合注入!」(第193ページ右下隅の写真の見出し)

n 第192ページ右上の写真、及び第193ページ上段の左から4枚分の写真には、いずれも写真の中央下よりに「気合」とのラベルのついた横向き棒グラフが見て取れ、且つその棒グラフの長短から、気合の量が変動するものであることが見て取れる。

o 第192ページ右下隅の写真には、中央のキャラクタの周囲に、同写真右上隅のキャラクタや、第193ページ上段左から2番目及び同ページ同段左から3番目下側の写真のキャラクタにはない図形キャラクタが表示されていることが見て取れる。


(ウ)周知例1
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-176174号公報(以下、「周知例1」という。)には、以下の事項が記載されている。

p 【0034】?【0039】;
「【0034】
【実施例2】前記実施例1では、アイテムを投げる方向で属性を決定したが、本実施例では、一定時間内での入力回数でアイテムの属性を決定するようにした。
【0035】図9は、ディスプレイ4上に表示された一定時間内に複数回入力した場合のアイテム43の効果を示す。敵キャラクタ42へ投げられたアイテム43の効果は図4に比較し大きくなっている。
【0036】すなわち、図6の機能ブロック図で入力部51は、コントローラ3の1回目の入力でタイマ部61を起動する。入力回数カウント部62は、一定時間内の入力をカウントする。属性決定部52は、入力回数カウント部62がカウントした入力回数によりアイテム43の属性を決定する。
【0037】これをタイムチャートで示したものが図10であり、タイマカウント(TC)内で□ボタンの入力P1、P2が入力されると、P2が入力された時点で複数回入力と判定する。
【0038】これをフロー図で示したものが図11である。実施例1と同一のステップには同一のステップ番号を付してあり、実施例1と異なる部分のみ説明する。すなわち、入力部51は、コントローラ3の□ボタン10の押下を受け(108)、タイマが未起動であれば(201)、該タイマを起動する(202)。入力回数カウント部62は、タイマ部61の時間の計数が一定時間以内であれば(203)、□ボタン10の押下をカウントし、ステップ108からの処理を繰り返す(204)。一定時間を超えると(203)、属性決定部52は、□ボタン10の押下回数が一定回数以上であれば(205)、アイテムの属性を効果大に設定する(206)。一方、押下回数が一定回数以上でなければ(205)、アイテムの属性を効果通常に設定する(207)。
【0039】このように、本実施例によれば、入力手段からのボタン連打によりアイテムの表示される効果が変化し、ゲームの遊戯性を高めることができる。」


(エ)周知例2
本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-52572号公報(以下、「周知例2」という。)には、以下の事項が記載されている。

q 【0076】;
「【0076】ステップS13では、変数設定手段1hが、スピードデータSdに“0”を代入する。上記ステップS8で、ボタン操作検出手段1aが、第1ボタン22cが押されたか否かを判断し、第1ボタン22cが押されていると判断したときに、ステップS9に移行してスピードデータSdを増加させ、第1ボタン22cが押されていないものと判断したときに、ステップS11に移行してスピードデータSdを減少させるのは、ゲームプレーヤによる単位時間あたりの第1ボタン22cの押圧回数に応じて、スピードデータSdの値を設定するためである。つまり、ゲームプレーヤが単位時間内に第1ボタン22cを押す回数が多いと、ゲーム空間内の投擲体の回転速度、即ち、投擲エネルギーが上昇する。これに対し、ゲームプレーヤが単位時間内に第1ボタン22cを押す回数が低いと、ゲーム空間内の投擲体の回転速度、即ち、投擲エネルギーが下降する。フローチャート中にステップとして示されていないが、上記投擲エネルギーの表示は、図5A?図5Dに示したバーグラフの変化により表される。」


(2)対比
ア 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

・対応関係1
最初に、上記記載事項a及びbから、引用発明のサクセスモードは、約3年間の期間内で経験点を稼ぎ主人公の能力を上げる「ゲーム」であると認められる。してみれば、引用発明の「主人公」は本願補正発明の「ゲームキャラクタ」に相当する。
また、引用発明の「チームメイト」が主人公と同じチームに所属するチームメイトであることも明らかであるから、引用発明の「チームメイト」は、本願補正発明の「ゲームキャラクタと同じチームに所属するチームメイトキャラクタ」に相当する。

・対応関係2
上記対応関係1を考慮すると、引用発明の「主人公をゲーム開始から約3年間でチームの要となる選手に育て上げるサクセスモード」と、本願補正発明の「プレイヤによって動作させられるゲームキャラクタを制御部によって育成する制御処理を行うゲーム」とは、「ゲームキャラクタを育成するゲーム」という点で一致する。

・対応関係3
引用発明における「主人公の能力」は、本願補正発明の「ゲームキャラクタ固有の能力」に相当する。そして、引用例1には、最初に主人公の初期能力が決定されており、約3年間のゲーム期間に繰り返し練習を行って経験点を稼ぐことができ、稼いだ経験点によりその能力を高めていくことが記載されていることから、主人公の能力はゲーム期間中に変動するパラメータの一種であると認められる。(上記記載事項b、eを参照)
よって、引用発明は、本願補正発明の「ゲームキャラクタ固有の能力値を示す所定の特性パラメータ」を有している。
してみれば、引用発明の「主人公が練習をすることによって経験点を稼ぎ、それを消費して主人公の能力を初期能力から高める」ことと、本願補正発明の「前記ゲームキャラクタ固有の能力値を示す所定の第1特性パラメータを前記制御部によって決定し記憶部に記憶する制御処理を行う第1特性決定機能」とは、「ゲームキャラクタ固有の能力値を示す所定の第1特性パラメータを決定」する点で一致する。

・対応関係4
引用発明の「チームメイトがいる場合はいっしょに練習を行うため得られる経験点が通常よりも多いという特典が与えられ」るとは、引用発明において、チームメイトの有無、すなわち、チームメイトが0人か1人以上いるかの人数を示すパラメータが決定されていることを意味するから、本願補正発明の「前記ゲームキャラクタと同じチームに所属するチームメイトキャラクタの人数を示す所定の第2特性パラメータを前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第2特性決定機能」と、「前記ゲームキャラクタと同じチームに所属するチームメイトキャラクタの人数を示す所定の第2特性パラメータを決定」する点で一致する。

・対応関係5
引用発明の「主人公のやる気がやる気4以上の場合は、得られる経験点が1点以上加点される」については、主人公のやる気がパラメータ(やる気1?やる気5)として決定されており、且つ「主人公のやる気がやる気4以上」かどうかを判断しているのであるから、本願補正発明の「前記ゲームキャラクタに関する基準変量を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う基準変量決定機能」と、「前記ゲームキャラクタに関する基準変量を決定する」点で一致し、且つ本願補正発明の「前記記憶部から読み出された前記基準変量が所定量以上であるとき、前記プレイヤの所定期間の間に操作部を操作する回数に応じて前記ゲームキャラクタに関する第1変量を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第1変量決定機能」と、「前記基準変量が所定量以上であるかどうかを判断する」点で一致する。


イ 一致点・相違点
してみれば、本願補正発明と引用発明とは、

「ゲームキャラクタを育成するゲームであって、
ゲームキャラクタ固有の能力値を示す所定の第1特性パラメータを決定し、
前記ゲームキャラクタと同じチームに所属するチームメイトキャラクタの人数を示す所定の第2特性パラメータを決定し、
前記ゲームキャラクタに関する基準変量を決定し、
前記基準変量が所定量以上であるかどうかを判断する
ことを含むゲーム。」
の発明である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点1
本願補正発明が「プレイヤによって動作させられるゲームキャラクタを制御部によって育成する制御処理を行うゲームを実現可能なコンピュータ」に各種「機能」を「実現させるためのゲームプログラム」の発明であるのに対し、引用発明には「制御部」、「機能」、「コンピュータ」及び「ゲームプログラム」に関する限定がなく、且つゲームキャラクタが「プレイヤによって動作させられる」点についての限定もない点。

・相違点2
「ゲームキャラクタ固有の能力値を示す所定の第1特性パラメータ」、「ゲームキャラクタと同じチームに所属するチームメイトキャラクタの人数を示す所定の第2特性パラメータ」及び「ゲームキャラクタに関する基準変量」について、本願補正発明ではこれらパラメータがそれぞれ「制御部によって決定し記憶部に記憶する制御処理」を行う「決定機能」を有しているのに対し、引用発明はこれらパラメータをそれぞれ決定してはいるものの(上記対応関係3?5を参照。)、制御部や記憶部と関連づけた決定機能に関しては何ら限定されていない点。

・相違点3
本願補正発明が「前記記憶部から読み出された前記基準変量が所定量以上であるとき、前記プレイヤの所定期間の間に操作部を操作する回数に応じて前記ゲームキャラクタに関する第1変量を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第1変量決定機能」を有しているのに対し、引用発明にはやる気が所定量以上かどうかを判断しているだけであり、前記第1変量に関連した事項については限定がない点。

・相違点4
本願補正発明が「前記記憶部から読み出された前記第1変量に応じて、前記ゲームキャラクタの周囲に前記ゲームキャラクタの状態値に応じた異なる色の図形キャラクタを表示させる前記ゲームキャラクタの状態値を示す第1変数を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第1変数決定機能」を有しているのに対し、引用発明はこれら事項についての限定がない点。

・相違点5
本願補正発明が「前記記憶部から読み出された前記ゲームキャラクタの状態値である前記第1変数の大きさに応じて、前記チームメイトキャラクタの周囲に前記チームメイトキャラクタの状態値に応じた異なる色の図形キャラクタを表示させる前記チームメイトキャラクタの状態値を示す第2変数を前記制御部によって決定し前記記憶部に記憶する制御処理を行う第2変数決定機能」を有しているのに対し、引用発明はこれら事項についての限定がない点。

・相違点6
本願補正発明が「前記記憶部から読み出された前記第2特性パラメータである前記チームメイトキャラクタの人数及び前記チームメイトキャラクタの状態値を示す前記第2変数の大きさに応じて、前記第1特性パラメータである前記ゲームキャラクタ固有の能力値を前記制御部によって変動させ前記記憶部に記憶する制御処理を行う第1特性変動機能」を有しているのに対し、引用発明にはこのような事項についての限定がない点。


(3)当審の判断
ア 上記の相違点について検討する。
a 相違点1について
引用例2は「実況パワフルプロ野球13」に関するものであり(上記記載事項gを参照)、引用例1は「実況パワフルプロ野球10」に関するものであるから、引用例2は「実況パワフルプロ野球」という一連のゲームおける引用例1の続編となるものである。
そして、引用例2には、実況パワフルプロ野球13というゲームを「プレイステーション2」(以下、「PS2」という。)の「DVD-ROM」という形で提供することが記載されている。(上記記載事項hを参照)
ここで、PS2がプレイヤによって操作可能な装置であること、PS2には制御部によって制御処理を行うコンピュータが搭載されていること、PS2用のDVD-ROMにはプログラムが記憶されていること、及び当該プログラムがPS2のコンピュータにプログラム内容に応じた各種機能を実現させるものであること、は、いずれも当業者にとって自明な事項である。また、PS2に搭載されているコンピュータが、プレイヤによって動作させられるキャラクタを制御部によって制御処理するものであることも、当業者にとっては自明な事項にすぎない。
よって、引用例2には、「プレイヤによって動作させられるゲームキャラクタを制御部によって制御処理を行うゲームを実現可能なコンピュータに、ゲームプログラムに応じた各種機能を実現させるためのゲームプログラム」が記載されている。
したがって、同じ一連のゲームである引用例2に記載された技術的事項を引用発明に適用して上記相違点1に係る発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たことである。

b 相違点2について
上記「a 相違点1について」で検討したように、引用例2にはゲームをPS2用のDVD-ROMという形で提供することが記載されており、ここで、PS2用のDVD-ROMに記憶されたプログラムが、PS2のコンピュータに、各種パラメータを「制御部によって決定し記憶部に記憶する制御処理」を行う「決定機能」を実現させるプログラムであることは、当業者にとって自明な事項であるから、引用例2に記載された技術的事項を引用発明に適用して、上記相違点2に係る発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たことである。

c 相違点3について
引用例2には、気合の量が横棒グラフで表され、当該気合量はゲームの途中で増減していること、引用例2においては気合が重要な要素であること、キャラクタの練習中にボタンを押すと気合を注入でき、「連打」すれば超気合を注入できること、及び気合を注入したら経験点アップの効果が得られること、が記載されている。(上記記載事項i、j、m、nを参照。)
よって、引用例2における気合量が変動するパラメータであることは明らかである。(引用例2における気合量は、本願補正発明の「第1変量」に相当。)
そして、引用例2には、単にボタンを押せば気合が注入される(すなわち、パラメータである気合量を増加させる)ところに、「連打」という操作手法を有することが記載されていると認められ、ここで一般的に、ボタンを「連打」するとは、所定期間の間でボタンを連続して押すことを意味し、しかも、ゲームにおいて、プレイヤが所定期間の間にボタンを押す回数に応じてパラメータを増減させること自体が広く行われている(必要であれば、周知例1?2を参照。)ことを考慮すれば、引用例2の記載から、引用例2において重要な要素であるキャラクタの気合量を、プレイヤが所定期間の間にボタンを連続して押圧する回数に応じて決定することは、当業者にとって困難性を有することではない。

そして、引用例1では、練習中の主人公のやる気がやる気4以上の場合にのみ、経験点が加点されることが記載されているから、引用例2の技術的事項を引用発明に適用する際に、主人公のやる気というパラメータ(上記対応関係5を参照。)を記憶部から読み出し、経験点がアップし得るやる気4以上であるとき(すなわち、本願補正発明の「前記基準変量が所定量以上であるとき」に相当。)のみ、気合の注入操作を有効とすることは、当業者が容易になし得たことである。

また、上記「b 相違点2」で検討したと同様に、引用例2のゲームプログラムが、パラメータの一つである気合量についても「制御部によって決定し記憶部に記憶する制御処理」を行う「決定機能」を実現させるものであることは、当業者にとって自明な事項である。

さらに、引用例2におけるゲームプログラムにおいて、記憶部と制御部との間で、必要に応じてパラメータをやり取り(読み出し、記憶)することも自明な事項にすぎないから、引用例2に記載された技術的事項を引用発明に適用する際に、引用例1の練習中の主人公のやる気を、記憶部から読み出させることも、当業者にとって何ら困難性を有することではない。

したがって、引用例2に記載された技術的事項を引用発明に適用して上記相違点3に係る発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たことである。


d 相違点4について
最初に、上記「b 相違点2」、及び引用例2におけるゲームプログラムにおいて、記憶部と制御部との間で、必要に応じてパラメータをやり取り(読み出し、記憶)することが自明な事項にすぎないことを参照すると、引用例2には、記憶部から読み出されたパラメータに応じて、次のパラメータを制御部によって決定し記憶部に記憶する制御処理を行う決定機能、を実現させるためのゲームプログラム、が記載されている。

さらに、上記記載事項oから、引用例2には、気合が注入されたキャラクタの周囲には図形キャラクタを表示させる技術が記載されていると認められるから、引用例2には、記憶部から読み出された気合量に応じてキャラクタの周囲にキャラクタの状態値に応じた図形キャラクタを表示させるキャラクタの状態値を示す変数を制御部によって決定し記憶部に記憶する制御処理を行う変数決定機能、も記載されていると認められる。
そして、気合量に応じた「異なる色」の図形キャラクタとするかどうかは、当業者が適宜選択し得る設計的事項にすぎない。
したがって、引用例2に記載された技術的事項を引用発明に適用して上記相違点4に係る発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たことである。

e 相違点5について
引用例2には、一緒に練習するチームメイトのやる気が、キャラクタが練習で得られる経験点に影響を与えることが記載されており(上記記載事項l、mを参照。)、一般的に、一緒に練習を行うチームを構成する者同士の気合が、相互に影響を与え合うことは、現実社会において広く認識されていることである。
よって、引用例2におけるキャラクタの気合量に応じて、チームメイトのやる気を決定し、キャラクタ同様、チームメイトのやる気に対しても、チームメイトの周囲に図形キャラクタを表示させるチームメイトの状態値を示す変数を決定すること、その際に、チームメイトの状態値に応じて「異なる色」の図形キャラクタとすることは、いずれも当業者が適宜選択し得る設計的事項の範ちゅうにすぎない。
ここで、図形キャラクタを表示させるキャラクタの状態値を示す変数(本願補正発明の「第1変数」に相当。)は、キャラクタの気合量に応じて決定されるパラメータであるから、図形キャラクタを表示させるチームメイトの状態値を示す変数(本願補正発明の「第2変数」に相当。)を決定するパラメータとして、キャラクタの気合量を使うか、当該図形キャラクタを表示させるキャラクタの状態値を示す変数を使うかは、当業者が適宜選択し得る事項にすぎない。

また、上記「d 相違点4について」と同様に、引用例2には、記憶部から読み出されたパラメータに応じて、次のパラメータを制御部によって決定し記憶部に記憶する制御処理を行う決定機能、を実現させるためのゲームプログラム、も記載されているから、上記一般的事項を考慮しつつ、引用例2に記載された技術的事項を引用発明に適用して上記相違点5に係る発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たことである。

f 相違点6について
引用発明では、チームメイトがいる場合は、いっしょに練習を行うため得られる経験点が通常よりも多いという特典が与えられるから、上記チームメイトの人数を示す所定のパラメータ(上記対応関係4を参照。本願補正発明の「前記第2特性パラメータである前記チームメイトキャラクタの人数」に相当。)によって、主人公が得られる経験点が変動することを意味する。
また、引用例2には、チームメイトのやる気が、キャラクタが練習で得られる経験点に影響することが記載されているから、当該技術的事項を引用発明に適用して、主人公が得られる経験点を、引用例1のチームメイトの人数を示すパラメータとチームメイトのやる気とによって決定させることは、当業者が容易になし得たことである。

そして、引用例1には、練習して経験点を稼ぎ、主人公の能力を上げることが記載されている(上記記載事項b)から、獲得した経験点に応じて主人公の能力(本願補正発明の「前記第1特性パラメータである前記ゲームキャラクタ固有の能力値」に相当。)を決定させる技術が記載されていることになる。そして、引用例1では、前記チームメイトの人数を示す所定のパラメータから、経験点を介して主人公の能力を決定しているが、これを、経験点を介さず、直接主人公の能力を決定するように変える程度のことは、当業者が適宜選択し得る設計的事項である。

さらに、引用例2には、上記「d 相違点4について」と同様に、記憶部から読み出されたパラメータに応じて、次のパラメータを制御部によって決定し記憶部に記憶する制御処理を行う決定機能、を実現させるためのゲームプログラム、も記載されているから、引用例2に記載された技術的事項を引用発明に適用して上記相違点6に係る発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たことである。


イ 本願補正発明の効果について
本願補正発明が奏する作用効果も、引用発明及び引用例2に記載された技術的事項から、当業者が想定できる範囲のものにすぎない。

ウ 判断
したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用例2に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

エ むすび
以上のとおり、本願補正発明は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
平成20年3月13日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年10月23日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものである。(上記、「第2の1 本件補正の内容」を参照)

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1の記載事項は、前記「第2の3(1)(ア)引用例1」に記載したとおりであり、原査定の拒絶の理由に引用された引用例2の記載事項は、前記「第2の3(2)(イ)引用例2」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、上記「第2の1 本件補正の内容」で述べた構成の限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、且つその発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が、前記「第2の3(3)当審の判断」に記載したとおり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願発明も、同様の理由により、特許を受けることができないものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
そして、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-05-27 
結審通知日 2009-06-02 
審決日 2009-06-15 
出願番号 特願2006-167296(P2006-167296)
審決分類 P 1 8・ 571- Z (A63F)
P 1 8・ 572- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 574- Z (A63F)
P 1 8・ 573- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 小松 徹三
今関 雅子
発明の名称 ゲームプログラム、ゲーム装置及びゲーム制御方法  
代理人 新樹グローバル・アイピー特許業務法人  
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