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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1201459
審判番号 不服2006-7881  
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-25 
確定日 2009-07-29 
事件の表示 特願2003-128521「保湿剤および化粧料」拒絶査定不服審判事件〔平成16年11月25日出願公開、特開2004-331547〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年5月7日の出願であって、拒絶理由通知に応答して平成18年2月9日受付の手続補正書により手続補正がなされたが、同年2月28日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月25日に拒絶査定不服審判が請求され、同年5月24日受付の手続補正書により手続補正がなされたものであり、その後、上申書の提出があり同年6月22日受付で手続補足書が提出され、前置報告書を用いた審尋に応答して平成20年10月30日受付の回答書が提出されたものである。

2.平成18年5月24日受付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年5月24日受付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項3について、
「【請求項3】
Saussurea属に属する植物からの抽出物とグリセリンとを有効成分として含有する化粧料であって、
前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量と前記グリセリンの重量とを合計した重量を100重量%としたとき、前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量が10?40重量%の範囲内の値であることを特徴とする化粧料。」を、
「【請求項3】
Saussurea属に属する植物からの抽出物とグリセリンとを有効成分として含有する化粧料であって、
前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量と前記グリセリンの重量とを合計した重量を100重量%としたとき、前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量が15?35重量%の範囲内の値であることを特徴とする化粧料。」とする補正を含むものである。

上記請求項3についての補正は、「Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量と前記グリセリンの重量とを合計した重量を100重量%としたとき、前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量」に関し、補正前の「10?40重量%の範囲内の値」から、補正後の「15?35重量%の範囲内の値」に限定するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項3に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である特表2001-187742号公報(以下、「引用例A」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当審において付記したものである。

(A-1)「【請求項2】旱蓮草、雪蓮花、巴戟天、不老草、柏叶、白何首烏、茄根、羌活、白キュウ、夜交藤、および枇杷叶からなる群から選ばれる1の植物の抽出物を含有することを特徴とするテストステロン-5α-レダクターゼ阻害性化粧品。」(特許請求の範囲の請求項2、2頁1欄7?11行参照)
(A-2)「【0007】すなわち、本発明は、旱蓮草(キク科Eclipta prostrata L.の地上部全草を乾燥したもの),雪蓮花(キンポウゲ科Saussurea laniceps HAND.-MAZZ.の花),巴戟天(アカネ科Morinda officinalis HOW の根を乾燥したもの),不老草(ラン科Gastrodia elata BLUME の地上部),柏叶(Cryptomeria D.DON スギ属植物の葉),白何首烏(Cynanchum bungei DECNE),茄根(ナス科Solanum melongena L.の根),羌活(セリ科Notopterygium incisum TINGおよびN. forbesii BOISS ,N. forbesii BOISS. var. oviforme CHANGの根茎を乾燥したもの),白キュウ(ラン科Bletilla striata REICHB.fil.の球茎を調製乾燥したもの),夜交藤(タデ科Polygonum multiflorum THUNB の地上部),枇杷叶(バラ科Eriobotrya japonica LINDL の葉を乾燥したもの)ならびにこれら生薬の抽出物を含有するテストステロン-5α-レダクターゼ阻害剤、並びに、これら植物および生薬の抽出物を含有し、テストステロン-5α-レダクターゼ阻害作用を示す化粧品または医薬品を提供するものである。」(段落【0007】、2頁2欄9?27行参照)
(A-3)「【0010】本発明において、これら生薬の抽出物が好ましく用いられる。抽出物を得る方法としては、例えばこれら生薬の葉、根、根茎、茎、花などを水および/または親水性有機溶媒を用いて抽出して抽出液を得る一般公知の方法をもちいることができる。さらにこの抽出液から凍結乾燥、噴霧乾燥、減圧留去など一般公知の溶媒除去方法によりにより粉末を得ることができる。親水性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1?4の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトンなど炭素数3?4のケトンやエチルエーテル、メチルエチルエーテルなど炭素数2?4のエーテルなどが挙げられる。」(段落【0010】、2頁2欄38?49行参照)
(A-4)「【0011】本発明者の見いだしたところによれば、本発明に係るテストステロン-5α-レダクターゼ阻害剤のテストステロン-5α-レダクターゼ阻害作用は、上記の生薬およびその抽出物を有効成分が発現するのである。上記生薬またはその抽出物は、そのままテストステロン-5α-レダクターゼ阻害剤として使用することができ、さらに通常の化粧料、医薬部外品、医薬品などに用いられる成分と混合して脱毛、ニキビなどの予防や治療などに用いることができ、その場合には、非経口的に投与することが好ましい。・・・
【0012】このようにして得られる本発明の脱毛またはニキビの予防、治療剤は、例えば経口投与、局所投与などの方法で用いることができるが、皮膚外用剤に配合して、皮膚に塗布するのが簡便であり好ましい。ここで、皮膚外用剤としては、軟膏剤、ローション剤などの薬用外用剤、クリーム、化粧水、乳液、ファンデーション、油性化粧料、パック剤、皮膚洗浄剤などの化粧料などが挙げられる。」(段落【0011】【0012】、3頁3欄13?34行参照)
(A-5)「【0015】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
抽出方法
表1の試験液は原料生薬を粉砕した後、10倍量のエーテルで1日間,3回室温抽出した。抽出液をろ過し、ろ液を減圧下に濃縮し、凍結乾燥を施して、乾燥エーテル抽出エキスを得た。表2の試験液は原料生薬を粉砕した後、10倍量のエーテルで1日間,3回室温抽出した。抽出液をろ過し、ろ液を減圧下に濃縮し、凍結乾燥を施して、乾燥エーテル抽出エキスを得た。さらに残査を50%エタノールで1日間,3回室温抽出した。抽出液をろ過し、ろ液を減圧下に濃縮し、凍結乾燥を施して、乾燥50%エタノール抽出エキスを得た。
【0016】実施例1(テストステロン-5α-レダクターゼ阻害作用)
原料生薬から抽出して得られた抽出エキスのテストステロン-5α-レダクターゼ阻害作用を調べた。
・・・
【0017】実験結果を表1…に示す。

」(段落【0015】?【0017】、3頁4欄2?16行、4頁5?6欄、【表1】参照)
(A-6)「【0020】実施例3(エモリエントローション)
以下に示す組成のエモリエントローションを常法により製造した。得られたローションは、テストステロン-5α-レダクターゼ阻害作用に優れたものであり、21才の女性が毎日2週間使用し、ニキビなどを改善することができた。
【0021】
【表4】

」(段落【0020】?【0021】、5頁7?8欄、【表4】参照)

(3)対比、判断
引用例Aには、「前記2.(2)」の各摘示の記載からみて、そして、雪蓮花エキスを用いた実施例(実施例3)が示されていて、植物抽出物の抽出対象植物として雪蓮花を実質的に選択できることに鑑み、次の発明(以下、「引用例発明」という。)が記載されているものと認められる。
「雪蓮花の植物の抽出物(雪蓮花エキス)を含有するテストステロン-5α-レダクターゼ阻害性化粧品。」

そこで、本願補正発明と引用例発明を対比する。
引用例発明の「雪蓮花の植物の抽出物(雪蓮花エキス)」の雪蓮花は、「雪蓮花(キンポウゲ科Saussurea laniceps HAND.-MAZZ.の花)」(摘示(A-2)参照)と説明されているのに対し、本願発明の「Saussurea属に属する植物からの抽出物」の「Saussurea属に属する植物」の具体例としては、「Saussurea laniceps Hand.-Mazz.(中国名:綿頭雪蓮)・・・等を例示することができる。」(本願明細書段落【0020】参照)とされているから、引用例発明の「雪蓮花の植物の抽出物(雪蓮花エキス)」は、本願発明の「Saussurea属に属する植物からの抽出物」に該当する。
なお、両発明の抽出溶媒について検討すると、本願補正発明では、水、水溶性有機溶媒等の極性溶媒を使用することが好ましい(【0025】?【0028】)とされ、引用例発明では、水および/または親水性有機溶媒を用いる(摘示(A-3)参照)とされていることから、実質的に相違するものではない。
また、引用例発明の「化粧品」は、化粧料といえる。

してみると、両発明は、
「雪蓮花の植物の抽出物(雪蓮花エキス,Saussurea属に属する植物からの抽出物)を含有する化粧料」
で一致し、次の相違点1,2で一応相違する。
<相違点>
1.本願補正発明では、「グリセリンとを有効成分として含有」し、「前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量と前記グリセリンの重量とを合計した重量を100重量%としたとき、前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量が15?35重量%の範囲内の値である」と特定しているのに対し、引用例発明ではそのように特定していない点
2.化粧料について、本願補正発明では単に化粧料としているのに対し、引用例発明では「テストステロン-5α-レダクターゼ阻害性」と特定している点

そこで、これらの一応の相違点について検討する。
<相違点1>について
引用例Aの実施例3を検討すると、エモリエントローションに関するもので、「ステアリン酸 0.2重量%、セタノール 1.5重量%、ワセリン 3.0重量%、ラノリンアルコール 2.0重量%、流動パラフィン 10.0重量%、ポリオキシエチレンモノオレイン酸エステル 2.0重量%、香料 0.3重量%、グリセリン 3.0重量%、プロピレングリコール 5.0重量%、トリエタノールアミン 1.0重量%、雪蓮花エキス 1.0重量%、及び精製水 全体で100(重量%)となる量」の組成を有するものであること、及び、テストステロン-5α-レダクターゼ阻害作用に優れ、ニキビなどを改善できたことが記載されている(摘示(A-6)参照)。
そして、エモリエントローションが化粧品(化粧料)の範疇に入るものであり、グリセリンが保湿剤として適宜配合されるものであることは知られている(例えば、日本化粧品技術者会編「最新化粧品科学-改訂増補II-」、平成4年7月10日改訂増補II、株式会社薬事日報社発行、第57頁参照)ことから、引用例Aの前記実施例3のエモリエントローションは、グリセリンを有効成分として含有する、テストステロン-5α-レダクターゼ阻害性化粧品(引用例発明)と理解できる。

ところで、この実施例3に用いられた「雪蓮花エキス」について、どのように調製されたものか直接の言及はないが、引用例Aには、実施例1?3に先行する記載として、抽出方法について、「表1の試験液は原料生薬を粉砕した後、10倍量のエーテルで1日間,3回室温抽出した。抽出液をろ過し、ろ液を減圧下に濃縮し、凍結乾燥を施して、乾燥エーテル抽出エキスを得た。表2の試験液は原料生薬を粉砕した後、・・・・に濃縮し、凍結乾燥を施して、乾燥エーテル抽出エキスを得た。さらに残査を50%エタノールで1日間,3回室温抽出した。抽出液をろ過し、ろ液を減圧下に濃縮し、凍結乾燥を施して、乾燥50%エタノール抽出エキスを得た。」(摘示(A-5)参照)と説明されているから、実施例3に用いられた「雪蓮花エキス」は、これらと同様な手段で雪蓮花からの抽出液を濃縮し凍結乾燥して得た抽出エキスと解するのが相当であり、その重量%は、乾燥物についてのもので、本願補正発明でいう「前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量」を用いたものであるというべきである。
なお、これに対し、審判請求理由において請求人は、「引用文献3(当審注:引用例A)に記載の化粧料(実施例3参照。)は、雪蓮花エキス(本願発明の「Saussurea属に属する植物からの抽出物」に相当)1.0gと、グリセリン3.0gとを含有していますが、雪蓮花エキスとして一般に用いられている場合における雪蓮花エキスの固形分濃度は0.1?10重量%程度と考えられますので、その上限値を用いて雪蓮花エキス1.0gを乾燥物に換算したとしても0.10gにしかなりません。」と主張している。しかし、前記検討のように引用例Aにおいては、乾燥抽出エキスが用いられ、それは固形分濃度が実質100%のものであると解するのが相当であり、「雪蓮花エキス」が固形分濃度0.1?10重量%程度のものと解すべき根拠はないから、前記請求人の主張は採用できない。
そこで、グリセリンの重量と雪蓮花エキスの重量(前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量)の割合を検討すると、「前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量と前記グリセリンの重量とを合計した重量を100重量%としたとき、前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量」は、25重量%[=100×1.0重量%/(1.0重量%+3.0重量%)]と認められ、本願補正発明で特定する15?35重量%の範囲内の値といえる。

したがって、引用例発明の具体的実施例と言える実施例3が、「グリセリンとを有効成分として含有」し、「前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量と前記グリセリンの重量とを合計した重量を100重量%としたとき、前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量が15?35重量%の範囲内の値」に相当する25重量%であることから、相違点1は実質的な相違点ではない。

なお、審判請求人は、審判請求理由において、本件明細書の表2及び表3並びに実験成績証明書(当審注:上申書で釈明するとともに平成20年6月22日付け手続補足書で提出)から明らかなように、該15?35重量%の値である場合に、それぞれ単独で用いた場合に比較し強い保湿能を有する顕著な相乗効果があることを主張している。しかし、前記検討の如く、引用例発明では、雪蓮花エキスとグリセリンが該15?35重量%の範囲内である25重量%の比率で実際に使用されているのであり、相乗効果の有無、程度について認識していたか否かにかかわらず、実質的に一致する発明特定事項によって作用効果に差が生じることはないから、該主張を勘案することはできない。

<相違点2>について
本願補正発明では、「テストステロン-5α-レダクターゼ阻害性」について言及はないが、そもそも引用例発明の「テストステロン-5α-レダクターゼ阻害性」は雪蓮花の植物の抽出物が有している性質を表現しているにすぎず、その記載の有無にかかわらず化粧料であることにかわりはないのであるから、引用例発明の化粧料の特性である「テストステロン-5α-レダクターゼ阻害性」の性質の記載を省き、単に化粧料とする程度のことは、当業者が容易に想到し得たものというべきである。
そして、引用例発明の具体例では、雪蓮花エキス(Saussurea属に属する植物からの抽出物)とグリセリンを含有し、その比率も本願補正発明と一致する(前記<相違点1>についてを参照)のであるから、引用例発明と同様に本願補正発明でも、その言及はなくとも「テストステロン-5α-レダクターゼ阻害性」の性質を有すると言う他なく、また、本願補正発明と同様に引用例発明も、保湿効果の程度に言及はなくとも同様な保湿効果を有していると言う他ないから、引用例発明で単に化粧料とすることによって格別予想外の作用効果を奏しているとも認められない。

よって、本願補正発明は、引用例発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成18年5月24日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年2月9日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認める。
「【請求項3】
Saussurea属に属する植物からの抽出物とグリセリンとを有効成分として含有する化粧料であって、
前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量と前記グリセリンの重量とを合計した重量を100重量%としたとき、前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量が10?40重量%の範囲内の値であることを特徴とする化粧料。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物およびその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比、判断
本願発明は、「Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量と前記グリセリンの重量とを合計した重量を100重量%としたとき、前記Saussurea属に属する植物からの抽出物を乾燥物に換算した重量」に関し、「前記2.(3)」で検討した本願補正発明における「15?35重量%の範囲内の値」を、「10?40重量%の範囲内の値」であるとその範囲を拡張するものであり、本願補正発明を包含するものといえる。
そうすると、本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、引用例発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願補正発明を包含する本願発明も、同様の理由により、引用例発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それ故、他の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-04-09 
結審通知日 2009-05-12 
審決日 2009-05-25 
出願番号 特願2003-128521(P2003-128521)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
P 1 8・ 575- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清野 千秋原田 隆興  
特許庁審判長 川上 美秀
特許庁審判官 弘實 謙二
穴吹 智子
発明の名称 保湿剤および化粧料  
代理人 松尾 誠剛  

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