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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1202396 |
審判番号 | 不服2008-1328 |
総通号数 | 118 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-10-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-01-17 |
確定日 | 2009-08-13 |
事件の表示 | 特願2003-175458「ゲームプログラム、ゲーム装置及びそのゲームプログラムを記録した記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 1月13日出願公開、特開2005- 6976〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成15年6月19日に出願された特願2003-175458号であって、平成19年4月24日付けで拒絶理由が通知され、同年6月28日付けで手続補正がされ、同年12月13日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成20年1月17日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年2月12日付けで手続補正がされたものである。 第2 補正却下の決定 [結論] 平成20年2月12日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 独立特許要件違反 1.本件補正について 本件補正は、補正前(平成19年6月28日付け手続補正書により補正された明細書)の特許請求の範囲に 「【請求項1】 プレイヤによって操作可能な操作手段を備えるとともに、既存の又は別途設けた表示装置の画面上に複数のプレイヤキャラクタと敵キャラクタを表示し、前記操作手段からの操作入力に応じてプレイヤキャラクタの何れかに対する行動形態を決定し、前記画面上でゲームを進行させるコンピュータにより実行されるゲームプログラムであって、 前記プレイヤキャラクタの各々の組合せごとに設定される前記プレイヤキャラクタ間の繋がり度合いを表す連携パラメータを記録する記録手段と、 前記プレイヤキャラクタと前記敵キャラクタ間の戦闘において、前記連携パラメータに基づく確率による抽選で当選した場合に、前記敵キャラクタによる攻撃の対象となったプレイヤキャラクタ以外のプレイヤキャラクタが、当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタに代わって攻撃を受ける身代わり制御手段として前記コンピュータを機能させることを特徴とするゲームプログラム。 【請求項2】 請求項1に記載のゲームプログラムにおいて、前記コンピュータを、 所定の攻撃順番に基づいて攻撃を行ったプレイヤキャラクタの組合せに対して、前記連携パラメータの数値を加算するパラメータ制御手段として機能させることを特徴とするゲームプログラム。 【請求項3】 プレイヤによって操作可能な操作手段と、既存の又は別途設けた表示装置の画面上にプレイヤキャラクタと敵キャラクタを表示し、前記操作手段からの操作入力に応じてプレイヤキャラクタの何れかに対する行動形態を決定し、前記画面上でゲームを進行させる装置本体と、を備え、 前記装置本体は、前記プレイヤキャラクタの各々の組合せごとに設定される前記プレイヤキャラクタ間の繋がり度合いを表す連携パラメータを記録する記録手段と、 前記プレイヤキャラクタと前記敵キャラクタ間の戦闘において、前記連携パラメータに基づく確率による抽選で当選した場合に、前記敵キャラクタによる攻撃の対象となったプレイヤキャラクタ以外のプレイヤキャラクタが、当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタに代わって攻撃を受ける身代わり制御手段と、を備えたことを特徴とするゲーム装置。 【請求項4】 プレイヤによって操作可能な操作手段を備えるとともに、既存の又は別途設けた表示装置の画面上にプレイヤキャラクタと敵キャラクタを表示し、前記操作手段からの操作入力に応じてプレイヤキャラクタの何れかに対する行動形態を決定し、前記画面上でゲームを進行させるコンピュータにより実行されるゲームプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、 前記プレイヤキャラクタの各々の組合せごとに設定される前記プレイヤキャラクタ間の繋がり度合いを表す連携パラメータを記録する記録手段と、 前記プレイヤキャラクタと前記敵キャラクタ間の戦闘において、前記連携パラメータに基づく確率による抽選で当選した場合に、前記敵キャラクタによる攻撃の対象となったプレイヤキャラクタ以外のプレイヤキャラクタが、当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタに代わって攻撃を受ける身代わり制御手段として前記コンピュータを機能させることを特徴とするゲームプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」 とあったものを、 「【請求項1】 プレイヤによって操作可能な操作手段を備えるとともに、既存の又は別途設けた表示装置の画面上に複数のプレイヤキャラクタと敵キャラクタを表示し、前記操作手段からの操作入力に応じてプレイヤキャラクタの何れかに対する行動形態を決定し、前記画面上でゲームを進行させるコンピュータにより実行されるゲームプログラムであって、 前記プレイヤキャラクタの各々の組合せごとに設定される前記プレイヤキャラクタ間の繋がり度合いを表す連携パラメータ及び、前記プレイヤキャラクタが当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタに代わって攻撃を受ける身代わりを発動するか否かを判別するための発動条件テーブルを記録する記録手段と、 前記プレイヤキャラクタと前記敵キャラクタ間の戦闘において、前記発動条件テーブルに基づいて、前記プレイヤキャラクタと当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタとが所定の関係であることにより、前記プレイヤキャラクタが当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタの身代わりとなることを発動するか否かを判別し、かつ、前記連携パラメータに基づく確率による抽選で当選した場合に、前記敵キャラクタによる攻撃の対象となったプレイヤキャラクタ以外のプレイヤキャラクタが、当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタに代わって攻撃を受ける身代わり制御手段として前記コンピュータを機能させることを特徴とするゲームプログラム。 【請求項2】 請求項1に記載のゲームプログラムにおいて、前記コンピュータを、 所定の攻撃順番に基づいて攻撃を行ったプレイヤキャラクタの組合せに対して、前記連携パラメータの数値を加算するパラメータ制御手段として機能させることを特徴とするゲームプログラム。 【請求項3】 プレイヤによって操作可能な操作手段と、既存の又は別途設けた表示装置の画面上にプレイヤキャラクタと敵キャラクタを表示し、前記操作手段からの操作入力に応じてプレイヤキャラクタの何れかに対する行動形態を決定し、前記画面上でゲームを進行させる装置本体と、を備え、 前記装置本体は、前記プレイヤキャラクタの各々の組合せごとに設定される前記プレイヤキャラクタ間の繋がり度合いを表す連携パラメータを各々のプレイヤキャラクタごとに関係付けた連係パラメータテーブルとして記録する記録手段と、 前記プレイヤキャラクタと前記敵キャラクタ間の戦闘において、当該プレイヤキャラクタと当該プレイヤキャラクタ以外の攻撃の対象となったプレイヤキャラクタの連係パラメータを、前記連係パラメータテーブルを参照することで判定し、前記連携パラメータに基づく確率による抽選で当選した場合に、前記敵キャラクタによる攻撃の対象となったプレイヤキャラクタ以外のプレイヤキャラクタが、当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタに代わって攻撃を受ける身代わり制御手段と、を備えたことを特徴とするゲーム装置。 【請求項4】 プレイヤによって操作可能な操作手段を備えるとともに、既存の又は別途設けた表示装置の画面上にプレイヤキャラクタと敵キャラクタを表示し、前記操作手段からの操作入力に応じてプレイヤキャラクタの何れかに対する行動形態を決定し、前記画面上でゲームを進行させるコンピュータにより実行されるゲームプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、 前記プレイヤキャラクタの各々の組合せごとに設定される前記プレイヤキャラクタ間の繋がり度合いを表す連携パラメータを各々のプレイヤキャラクタごとに関係付けた連係パラメータテーブルとして記録する記録手段と、 前記プレイヤキャラクタと前記敵キャラクタ間の戦闘において、当該プレイヤキャラクタと当該プレイヤキャラクタ以外の攻撃の対象となったプレイヤキャラクタの連係パラメータを、前記連係パラメータテーブルを参照することで判定し、前記連携パラメータに基づく確率による抽選で当選した場合に、前記敵キャラクタによる攻撃の対象となったプレイヤキャラクタ以外のプレイヤキャラクタが、当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタに代わって攻撃を受ける身代わり制御手段として前記コンピュータを機能させることを特徴とするゲームプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」 と補正するものであるところ、その内容は、次の補正事項のとおりである。 ・補正事項1 請求項1の記録手段が、連携パラメータに加えて「前記プレイヤキャラクタが当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタに代わって攻撃を受ける身代わりを発動するか否かを判別するための発動条件テーブル」も記憶する、とする補正。 ・補正事項2 請求項1の身代わり制御手段に、「前記発動条件テーブルに基づいて、前記プレイヤキャラクタと当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタとが所定の関係であることにより、前記プレイヤキャラクタが当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタの身代わりとなることを発動するか否かを判別」するという事項を付加する補正。 ・補正事項3 請求項3?4の記録手段が、連携パラメータを「各々のプレイヤキャラクタごとに関係付けた連係パラメータテーブルとして」記録する、とする補正。 ・補正事項4 請求項3?4の身代わり制御手段に、「当該プレイヤキャラクタと当該プレイヤキャラクタ以外の攻撃の対象となったプレイヤキャラクタの連係パラメータを、前記連係パラメータテーブルを参照することで判定」するという事項を付加する補正。 2.本件補正の適否について 補正事項1?4は、いずれも、身代わりに必要な条件を記憶手段及び身代わり制御手段にそれぞれ付加し、それによって身代わりの制御内容に限定を付すものであり、かつ、請求項1?4に記載された各発明は、本件補正の前後において産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、いわゆる限定的減縮を目的とする補正である。 よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)を、請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)について以下に検討する。 3.引用例 (1)引用例1 原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である、有限会社エスティフ,スーパーロボット大戦α外伝 攻略本 魂!!,有限会社デジキューブ,2001年4月28日,初版,第40、42ページ(以下、「引用例1」という。)には、図とともに以下の事項が記載されている。 a 「援護技能があるとほかの味方を助けられる 「援護」の特殊技能をもつユニットは、隣接する味方ユニットが行っている戦闘に参加できる。その効果はPPとEPでは異なり、まずPPで発動するのが「援護攻撃」。これは隣接ユニットの攻撃後に、続けて援護ユニットも攻撃できるというもの。EPで発動する「援護防御」は、援護ユニットが隣の味方ユニットの代わりに敵の攻撃を防御するというものだ。」(第40ページ第2段目) b 「援護防御のルール 隣接している味方の身代わりにダメージを受けるのが援護防御というわけだが、もしもそのダメージで援護ユニットが撃墜されてしまうような場合、援護防御は発動しない(敵の場合はその限りではない)。 援護防御時にユニットが受けるダメージは、通常時の半分になる。つまり、反撃コマンドの「防御」と同じ効果が発揮されているのだ。さらに援護防御の際には、バリア系や分身系の特殊能力と、「鉄壁」の効果も発揮される。これらの効果を併せれば、援護ユニットのダメージをほぼゼロにすることも可能だ。」(第40ページ第3段目右欄) c 「援護防御の関連事項 ・援護ユニットの候補が複数ある場合、もっとも防御力の高いものが選ばれる ・攻撃側のクリティカルが発動した場合も含め、援護防御すると撃墜されてしまうようなケースでは発動しない(敵の援護防御の場合はその限りではない) ・援護ユニットは防御時に、ダメージを半減できる ・・・(後略)・・・」(第40ページ第4段目右欄) d 「援護をふまえた布陣の例 実戦で援護を確実に発動させるには、援護レベルの高いユニットを中心に陣形を組むのが一番簡単。そうすれば、EPにはより多くの味方ユニットを援護防御で守れるし、PPにはそのユニットの援護攻撃を周囲のユニットで発動させられる。 援護攻撃をてっとり早く発動させるには、前もって援護レベルの高いユニットを先行させておけばよい。次のPPになったらそのユニットに別の味方を隣接させP(当審注:Pは○の中にPと表記。)兵器で敵を攻撃すれば、簡単に援護を発動できる。」(第42ページ中段の見出し?本文) e 刊行物名より、引用例1が「スーパーロボット大戦α外伝」の攻略本であることは明らかである。 そして、当該「スーパーロボット大戦α外伝」が、「スーパーロボット大戦」という一連の、いわゆるコンピュータゲームに属するゲームであって、しかも、プレイヤの操作入力に応じて複数の味方のいずれかに対する行動形態を決定して敵を倒していく形式のコンピュータゲームであることは、当業者にとっては自明な事項である。 ここで、一般的に、コンピュータゲームというものが、プレイヤによって操作可能な操作手段を備えるとともに、既存の又は別途設けた表示装置の画面上にキャラクタを表示し、前記操作手段からの操作入力に応じて前記キャラクタに対する行動形態を決定し、前記画面上でゲームを進行させるコンピュータにより実行されるゲームプログラムにより提供されるゲームであることは、周知の技術にすぎない。 してみると、引用例1には、 「プレイヤによって操作可能な操作手段を備えるとともに、既存の又は別途設けた表示装置の画面上に複数の味方ユニットと敵を表示し、前記操作手段からの操作入力に応じて味方ユニットの何れかに対する行動形態を決定し、前記画面上でゲームを進行させるコンピュータにより実行されるゲームプログラムであって、 援護ユニットが隣接している味方ユニットの身代わりにダメージを受けるという援護防御を含む援護技能を有し、前記援護防御は、そのダメージで援護ユニットが撃墜されてしまうような場合は発動しない等の援護防御のルールに沿って発動するゲームプログラム。」 の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 (2)引用例2 原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である、SHINING FORCE III scenariol GOD WARRIOR of the KINGDOM PERFECT NAVI,1998年2月2日,初版,第45ページ(以下、「引用例2」という。)には、写真とともに以下の事項が記載されている。 f 「友情パワーで、さまざまな支援効果を与えあう “友情支援システム”とは、仲間同士に友情が芽生え、その仲間と隣接することで互いに支援効果を与えあうというもの。・・・(中略)・・・ なお、戦闘中ある仲間にターンが回ってきた時、その仲間と友情関係にあるキャラクターの頭上には小さくマークが表示される。マークには攻撃系支援効果(攻撃、会心、魔力)を表す剣マークと、防御系支援効果(防御、見切り、回避、反撃、属性防御、運)を表す盾マークの2種類がある。」(第2段目) g 「頭上の支援効果マークが大きく表示されると、支援効果を受けられる証拠。通常は隣接している必要があるが、ラブラブ状態の相手からは2マス離れていても支援効果を受けられる。」(第2段目画面写真の脚注) h 「友情関係をレベルアップさせる条件 友情関係を結ぶには、同じ敵を協力して倒すことが必要。具体的に言うと、1体の敵を仲間A→B→Cの順に攻撃して倒した場合、AとBの間とBとCの間に、それぞれ友情ポイント(ゲーム中は表示されない)が加算される。そして一定量の友情ポイントがたまると友情レベルがアップするのだ。また、その方法以外にも、仲間のHPを魔法やアイテムで回復させることで友情ポイントが得られる。この友情関係には右のようにレベル4まであるが、最高レベルのラブラブ状態には、ある一定の確率でしか到達できないので注意。実は、さらに低確率だが同性同士でもラブラブになれる。覚えておこう。」(第3段目) i 第45ページ右下隅の「友情レベル一覧」の表から、友情レベルには、初期状態から始まってレベル1からレベル4までの5段階が存在し、友情レベルが高まるにつれて、支援効果量が大きくなることが見て取れる。 (3)周知例1 本願出願前に頒布された刊行物である、ファイナルファンタジーVII 解体真書 ?ザ・コンプリート?<改訂版>,株式会社アスキー,1998年8月31日,四刷,第53ページ(以下、「周知例1」という。)には、以下の事項が記載されている。 j 「かばう ・・・(中略)・・・ ★ かばう(発動率20%) ★★(40%) ★★★(60%) ★★★★(80%) ★★★★★(100%) 味方が物理攻撃を食らったとき、そのキャラクターのかわりに「かばう」を装着しているキャラクターがダメージを負う。「かばう」が発動する確率は、このマテリアのレベルによって決定される。」(第4段目) (4)周知例2 本願出願前に頒布された刊行物である、サクラ大戦3 ?巴里は燃えているか? 攻略ガイド 上巻,ソフトバンクパブリッシング株式会社,2001年5月17日,初版,第57、282?283ページ(以下、「周知例2」という。)には、写真とともに以下の事項が記載されている。 k 「協力攻撃&友情カウンター 戦闘を続けていると、時折仲間の機体が援護を行うことがある。これが協力攻撃および友情カウンターだ。どちらも援護対象の機体と相対している敵機が、援護を行おうとしている機体の攻撃可能範囲に入っていることが、前提条件となる。また、各機体に搭乗しているキャラクターの性格などで、発生確率がそれぞれ決まっているのも特徴。これに関する詳細は、282ページを参照してほしい。」(第57ページ第1段目) l 「友情カウンター 敵が攻撃しようとしているところに味方が攻撃で割りこみ、敵のゲージを0にすることで攻撃を無効化する。」(第57ページ第1段目画面写真の見出し及び脚注) m 「協力攻撃・友情カウンター値変動表」(第282ページのページ見出し) n 「ストーリーごとに変化する基本数値 協力攻撃と友情カウンターの発動する確率は、各ストーリーごとに決められている。以下の表がその値の一覧だ。表記はAが最高確率で、B、Cと徐々に下がっていき、Fは確率なしを表している。・・・(後略)・・・」(第282ページ第2段目) o 第282?283ページの第1話?第6話の各表から、協力攻撃・友情カウンターの発動する確率が、キャラクターの各々の組合せごとに設定され、しかもその値は第1話?第6話ごとに変動するパラメータであることが見て取れる。 (5)周知例3 本願出願前に頒布された刊行物である、ザ・ワンダースワン BOOKS スーパーロボット大戦COMPACT2 第2部:宇宙激震篇 パーフェクトガイド,ソフトバンクパブリッシング株式会社,2000年10月5日,初版,第20?21ページ(以下、「周知例3」という。)には、以下の事項が記載されている。 p 「サポートアクションシステム サポートアクションシステムとは、戦闘中に隣接した味方ユニットが、自動的に攻撃や防御を助けてくれるという援護システムだ。ここではその効果と発動条件について検討するぞ。 攻守に役立つサポートアクションシステム 本作に搭乗するパイロットの多くが特殊技能の「援護」を覚えていく。援護を持っている味方ユニットと隣接しているユニットが、敵ユニットに攻撃したり、逆に敵ユニットに攻撃されたりすると、自動的に味方ユニットが援護に入ってくれる。これがサポートアクションシステムだ。 サポートアクションシステムには、援護ユニットが、戦闘時に追い打ちで攻撃をかけてくれる「サポートアタック」と、攻撃された時に身代わりでダメージを受けてくれる「サポートガード」の2種類がある。それぞれ発動する条件が違うので、次のページをじっくり読んで、使いかたをマスターしておこう。」(第20ページ見出し?本文) q 「サポートガードでピンチを切り抜けろ! サポートガードは、EP時に自軍ユニットが敵ユニットから攻撃を受けた際に発動する。サポートガード発動の条件は以下にまとめた通りだが、注意点が2つほどある。まず、援護が行われるのは援護を受けるユニットが回避を失敗したときのみであるということ。また、援護するユニットが身代わりでダメージを受けると破壊されてしまう場合、サポートガードは発動しないということだ。これらの条件から考えて、サポートガードを行うユニットは装甲が厚く、HPが高いものがふさわしい。ユニットの特徴をよく考えながら陣形を組もう。ちなみに、サポートガードで攻撃を受けた援護ユニットのダメージは半分になる。つまり防御したのと同じ扱いになるということを、覚えておこう。」(第21ページ下段本文) r 「サポートガード(援護防御)の発動条件」(下段の表の見出し) 4.対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 ・対応関係1 引用発明の「味方ユニット」及び「敵」は、それぞれ本願補正発明の「プレイヤキャラクタ」及び「敵キャラクタ」に相当する。 また、引用発明の援護ユニットが味方ユニットの味方の1つであることは明らかであるから、引用発明の「援護ユニット」、及び援護ユニットがその身代わりになってダメージを受ける「援護ユニットが隣接している味方ユニット」も、それぞれ本願補正発明の「敵キャラクタによる攻撃の対象となったプレイヤキャラクタ以外のプレイヤキャラクタ」及び「攻撃の対象となったプレイヤキャラクタ」に相当する。 ・対応関係2 引用発明の「プレイヤによって操作可能な操作手段を備えるとともに、既存の又は別途設けた表示装置の画面上に複数の味方ユニットと敵を表示し、前記操作手段からの操作入力に応じて味方ユニットの何れかに対する行動形態を決定し、前記画面上でゲームを進行させるコンピュータにより実行されるゲームプログラム」は、本願補正発明の「プレイヤによって操作可能な操作手段を備えるとともに、既存の又は別途設けた表示装置の画面上に複数のプレイヤキャラクタと敵キャラクタを表示し、前記操作手段からの操作入力に応じてプレイヤキャラクタの何れかに対する行動形態を決定し、前記画面上でゲームを進行させるコンピュータにより実行されるゲームプログラム」に相当する。 ・対応関係3 引用発明の「援護ユニットが隣接している味方ユニットの身代わりにダメージを受けるという援護防御」は、本願補正発明の「身代わり」に相当する。 よって、引用発明の「そのダメージで援護ユニットが撃墜されてしまうような場合は発動しない等の援護防御のルール」と、本願補正発明の「前記プレイヤキャラクタが当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタに代わって攻撃を受ける身代わりを発動するか否かを判別するための発動条件テーブル」とは、「前記プレイヤキャラクタが攻撃の対象となったプレイヤキャラクタに代わって攻撃を受ける身代わりを発動するか否かを判別するための発動条件」という点で一致する。 ・対応関係4 引用発明の「援護防御」が、味方ユニットと敵との戦闘中に発動する機能であることは明らかである。また、援護防御は、「隣接している」味方ユニットの身代わりにダメージを受けるのであるから、援護ユニットと援護防御される味方ユニットとが「隣接」という所定の関係を満たした上で発動するものであると言える。 よって、引用発明の「前記援護防御は、そのダメージで援護ユニットが撃墜されてしまうような場合は発動しない等の援護防御のルールに沿って発動する」ということと、 本願補正発明の「前記プレイヤキャラクタと前記敵キャラクタ間の戦闘において、前記発動条件テーブルに基づいて、前記プレイヤキャラクタと当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタとが所定の関係であることにより、前記プレイヤキャラクタが当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタの身代わりとなることを発動するか否かを判別し、かつ、前記連携パラメータに基づく確率による抽選で当選した場合に、前記敵キャラクタによる攻撃の対象となったプレイヤキャラクタ以外のプレイヤキャラクタが、当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタに代わって攻撃を受ける身代わり制御手段として前記コンピュータを機能させる」ということとは、 「前記プレイヤキャラクタと前記敵キャラクタ間の戦闘において、前記発動条件に基づいて、前記プレイヤキャラクタと当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタとが所定の関係であることにより、前記プレイヤキャラクタが当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタの身代わりとなることを発動するか否かを判別し、発動する条件に合致した場合に、前記敵キャラクタによる攻撃の対象となったプレイヤキャラクタ以外のプレイヤキャラクタが、当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタに代わって攻撃を受ける身代わりを発動するよう前記コンピュータを機能させる」という点で一致する。 してみれば、上記対応関係1?4から、本願補正発明と引用発明とは、 「プレイヤによって操作可能な操作手段を備えるとともに、既存の又は別途設けた表示装置の画面上に複数のプレイヤキャラクタと敵キャラクタを表示し、前記操作手段からの操作入力に応じてプレイヤキャラクタの何れかに対する行動形態を決定し、前記画面上でゲームを進行させるコンピュータにより実行されるゲームプログラムであって、 前記プレイヤキャラクタが攻撃の対象となったプレイヤキャラクタに代わって攻撃を受ける身代わりを発動するか否かを判別するための発動条件を有し、 前記プレイヤキャラクタと前記敵キャラクタ間の戦闘において、前記発動条件に基づいて、前記プレイヤキャラクタと当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタとが所定の関係であることにより、前記プレイヤキャラクタが当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタの身代わりとなることを発動するか否かを判別し、発動する条件に合致した場合に、前記敵キャラクタによる攻撃の対象となったプレイヤキャラクタ以外のプレイヤキャラクタが、当該攻撃の対象となったプレイヤキャラクタに代わって攻撃を受ける身代わりを発動するゲームプログラム。」 の発明である点で一致し、次の相違点で相違する。 ・相違点1 本願補正発明が、「前記プレイヤキャラクタの各々の組合せごとに設定される前記プレイヤキャラクタ間の繋がり度合いを表す連携パラメータ」を有し、「前記連携パラメータに基づく確率による抽選で当選した場合」に身代わりが発動しているのに対し、引用発明にはそのような限定がない点。 ・相違点2 本願補正発明の発動条件は「発動条件テーブル」であるのに対し、引用発明には援護防御のルールが、テーブルという様式で設定されているか不明である点。 ・相違点3 本願補正発明では、連携パラメータ及び発動条件パラメータを「記録手段」に記録しているのに対し、引用発明にはそのような限定がない点。 ・相違点4 身代わりの発動について、本願補正発明では、発動する条件に合致した場合に、「身代わり制御手段としてコンピュータを機能させ」るゲームプログラムであるのに対し、引用発明では、このような限定については明確でない点。 5.当審の判断 ア 上記の相違点について検討する。 ・相違点1について 上記記載事項f、hより、引用例2に記載されたゲームが、仲間のキャラクタと共に戦闘を行い敵を倒すゲームであることは明らかである。 さらに、引用例2には、ゲームの進行中に、仲間のキャラクタと協力して同じ敵を倒すことにより個々の仲間のキャラクタ間で友情レベルがアップすることが記載されており、仲間の間の「友情」と仲間の間の「繋がり度合い」とが極めて類似した感情因子であることは日常的に知られたことであるから、引用例2における「友情レベル」が、「仲間のキャラクタの各々の組合せごとに設定される前記仲間のキャラクタ間の繋がり度合いを表すパラメータ」であることも明らかである。 そして、引用例2には、友情関係にある仲間とは、友情レベルに応じた隣接条件下(レベル1?レベル3の友情レベルにある仲間とは隣接条件下で支援効果を与えあい、レベル4の友情レベルにある仲間のキャラクタとは2マス離れた隣接条件下でも支援効果を与えあうことができる。)で、友情レベルに基づいた大きさの支援効果を与えあうこと、も記載されている。(上記記載事項f?iを参照) してみれば、引用例2には、「仲間のキャラクタと共に戦闘を行い敵を倒すゲームであって、複数の仲間のキャラクタの各々の組合せごとに設定される仲間のキャラクタ間の繋がり度合いを表す友情レベルというパラメータを有し、前記複数の仲間のキャラクタと敵のキャラクタとの戦闘において、友情関係にある仲間とは、友情レベルに応じた隣接条件下で、友情レベルに基づいた大きさの支援効果を与えあうゲーム。」の発明が記載されている。 ここで、支援効果の程度を発動率で設定する技術が当業者にとって周知技術である(周知例1?2を参照。周知例1の「かばう」及び周知例2の「友情カウンター」が、どちらも味方間における支援動作であることは明らかである。)ことを考えれば、引用例2に記載された発明では、支援効果を友情レベルに基づいた大きさで発動させているが、これを繋がり度合いを表す連携パラメータに基づく「確率」で発動させるように変更し、興趣性を向上させることは、当業者にとって困難性を有することではない。 引用発明と引用例2に記載された発明とは、共に複数の味方のキャラクタと敵のキャラクタとが戦闘を行うゲームに関するものであり、かつ、引用発明における援護、引用例2に記載された発明における支援及び上記周知技術における支援動作は、いずれも味方間における支援・連携動作に関するものであるから、上記周知技術を考慮しつつ、引用例2に記載された発明の技術的事項を引用発明の援護防御に採用し、上記相違点1に係る発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たことである。 ・相違点2、3について 「ゲームプログラム」が、ゲームに必要な各種パラメータや各種条件を記憶する「記憶手段」と、ゲームを実行させる「制御手段としてコンピュータ」を機能させるものであることは、当業者にとって周知な事項にすぎないから、引用発明においてゲームに必要な条件である「援護防御のルール」が「記録手段」に記録されたものであることは、当業者にとって自明な事項である。 また、ゲームプログラムに必要な各種条件を、「テーブル」の様式で設定することは広く行われていることであるから(上記記載事項i、oにおける「表」を参照。)、引用発明においてゲームに必要な条件である援護防御のルールを記録手段に記録する際に、テーブルの様式で設定するかどうかは、当業者にとって単なる設計的事項にすぎない。 そして、引用例2に記載された発明を引用発明に適用する際に、引用例2に記載された発明においてゲームに必要なパラメータである「友情レベル」も、記録手段に記録したものとすることは、当業者が適宜設計し得ることである。 よって、引用発明に、引用例2に記載された発明及び周知技術を適用して、上記相違点2及び相違点3に係る発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たことである。 ・相違点4について 「ゲームプログラム」が、ゲームに必要な各種パラメータや各種条件を記憶する「記憶手段」と、ゲームを実行させる「制御手段としてコンピュータ」を機能させるものであることは、当業者にとって周知な事項にすぎない。 ここで、引用例1の上記指摘事項dには、援護防御が(味方)ユニットの布陣によって発動することが記載されており、周知例3(刊行物名及び上記記載事項p?rを参照。)に、「スーパーロボット大戦」のシリーズにおいて、援護防御が自動的に(すなわち、制御手段により)発動することが明記されていることを勘案すると、引用発明における(援護防御が)発動する、ということを、「制御手段としてコンピュータを機能させ」て発動する、とすることは、当業者が容易になし得たことである。 よって、引用発明に上記周知技術を適用して上記相違点4に係る発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たことである。 イ.本願補正発明の効果について 本願補正発明が奏する作用効果も、引用発明、引用例2に記載された発明及び周知技術から、当業者が想定できる範囲のものにすぎない。 ウ.判断 したがって、本願補正発明は、引用発明、引用例2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 エ.むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 上記「第2 補正却下の決定」のとおり、平成20年2月12日付けの手続補正が却下されたので、当審が審理すべき請求項1ないし4に係る発明は、平成19年6月28日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2の1.本件補正について」に本件補正前(平成19年6月28日付け手続補正書により補正された明細書)の特許請求の範囲の請求項1として記載したとおりのものである。 2.引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用例1ないし2及び周知例1、並びに本願出願前に頒布された刊行物である周知例2の記載事項は、上記「第2の3.引用例」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、本願補正発明から、上記「第2の1.本件補正について」で検討した補正事項1、2の付加事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2の5.当審の判断」に記載したとおり、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 そして、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-06-11 |
結審通知日 | 2009-06-16 |
審決日 | 2009-06-29 |
出願番号 | 特願2003-175458(P2003-175458) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 清藤 弘晃、宮本 昭彦 |
特許庁審判長 |
末政 清滋 |
特許庁審判官 |
今関 雅子 村田 尚英 |
発明の名称 | ゲームプログラム、ゲーム装置及びそのゲームプログラムを記録した記録媒体 |
代理人 | 藤田 和子 |