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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1202531
審判番号 不服2008-13618  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-05-30 
確定日 2009-08-10 
事件の表示 特願2002-300320「液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 4月30日出願公開、特開2004-133356〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本願は、平成14年10月15日の出願であって、平成20年2月7日付け拒絶理由通知に対して、同年4月8日付けで手続補正がされたが、平成20年4月28日付けで拒絶査定され、これに対して、同年5月30日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同年6月26日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成20年6月26日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成20年6月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

1.本件補正前及び本件補正後の本願発明

本件補正は、明細書についてするものであり、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された範囲内でなされたものである。

そこで、特許請求の範囲の補正のうち、請求項1の補正について検討する(以下、「補正1」という。)
補正1は、
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶セルの片側又は両側に偏光板もしくは偏光板を有する光学素子を搭載した液晶表示装置であって、
液晶セルの視認側に配置した偏光板は、
偏光子の両面に透明保護フィルムを有し、かつ、偏光子の片面において、偏光子と透明保護フィルムとの間に光拡散層を有し、
液晶セルの視認側に配置した偏光板は、偏光子に対して視認側に光拡散層を有するように配置されていることを特徴とする液晶表示装置。」
を、
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶セルの片側又は両側に偏光板もしくは偏光板を有する光学素子を搭載した液晶表示装置であって、
液晶セルの視認側に配置した偏光板は、
偏光子の両面に透明保護フィルムを有し、かつ、偏光子の片面にのみ、偏光子と透明保護フィルムとの間に光拡散層を有し、
液晶セルの視認側に配置した偏光板は、偏光子に対して視認側に光拡散層を有するように配置されていることを特徴とする液晶表示装置。」(以下、「本願補正発明」という。)
と補正するものである。

(1)補正内容

前記補正1は、以下の内容からなる。

光拡散層を「偏光子の片面にのみ」に配する、と限定する補正。

(2)補正の適否

上記補正内容に関する補正は、特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮を目的としたものと認められるので、上記補正1は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで次に、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

2.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開平11-30714号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の技術事項が記載されている。

記載事項ア
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 偏光素子の両面に接着剤層を介して保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、
接着剤層の少なくとも1層中に、該接着剤層の接着剤と異なる屈折率を有する透光性微粒子を5?50重量%含有させたことを特徴とする偏光板。」

記載事項イ
「【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の偏光板は、偏光素子の両面に接着剤層を介して保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板であり、接着剤層の少なくとも1層中に、該接着剤層の接着剤と異なる屈折率を有する透光性微粒子を5?50重量%含有させたことを特徴とする偏光板である。
【0009】・・・本発明の液晶表示装置は、上記本発明の偏光板・・・が、液晶パネルの観察者側に貼り合わされていることを特徴とする液晶表示装置である。
【0010】本発明において用いる偏光素子としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化フィルムのような親水性高分子フィルムに、ヨウ素または二色性染料を吸着配向したフィルムなどが挙げられる。」

記載事項ウ
「【0020】作用
本発明によれば、偏光素子と保護フィルムの間に設けられる接着剤層の少なくとも1層中に、接着剤と異なる屈折率を有する透光性微粒子が分散して含有される。これにより、接着剤層を通過する光が散乱される。従って、このような偏光板を液晶パネルの観察者側に設けた液晶表示装置においては、光の散乱効果で、視野角特性を良好にすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明に従う実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0022】図1は、本発明の偏光板の一実施例を示す断面図である。図1において、偏光板10は、粘着剤層2を介して、液晶パネルのガラスセル1の上に設けられている。偏光板10は、偏光素子13の両面に接着剤層12及び14を介して保護フィルム11及び15を貼り合わせることにより構成されている。接着剤層12及び14には、それぞれ透光性微粒子が分散して含有されている。」

記載事項エ
【0030】
【表1】


ここで、上記記載事項アの段落【請求項1】の記載、及び記載事項エの【表1】から、実施例2,4は、透光性微粒子を含有する接着剤層を偏光素子の片面にのみ設けた偏光板を開示したものであることは、当業者にとって自明である。

以上、記載事項ア?エ(及び表1、図面)から、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「液晶パネルの観察者側に偏光板が貼り合わされた液晶表示装置であって、
液晶パネルの観察者側に貼り合わされた偏光板は、
偏光素子の両面に接着剤層を介して保護フィルムが貼り合わされてなり、かつ、当該接着剤層として、透光性微粒子を含有する接着剤層を偏光素子の片面にのみ設け、当該接着剤層を通過する光が散乱される、
液晶表示装置。」

次に、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2002-107706号公報(以下、「周知例1」という。)には、次の事項が記載されている。

記載事項オ
「【0014】
【課題を解決するための手段】本発明による液晶表示装置は、一対の基板と、前記一対の基板の間に設けられた液晶層と、前記液晶層の観察者側に設けられた偏光板と、前記偏光板の観察者側に設けられた防眩層と、前記液晶層と前記防眩層との間に設けられた拡散層と、を備え、マトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置であって、前記拡散層は、前記防眩層と前記複数の画素とによるモアレの発生を抑制し、そのことによって上記目的が達成される。」

記載事項カ
「【0052】また、本実施形態においては、図1に示したように、拡散層14が液晶層30と偏光板15との間に配置されている場合について説明したが、図4に示すように、拡散層14は偏光板15と防眩層16との間に配置されていてもよい。このような構成を採用すると、拡散層14が偏光板15よりも観察者側に設けられているため、バックライトから入射して液晶層30を透過する光は、偏光板15に入射する前に拡散層14によって偏光面を乱されることがない。従って、黒表示状態における光漏れが抑制され、その結果、高コントラスト比の表示が実現される。」

次に、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開平10-186109号公報(以下、「周知例2」という。)には、次の事項が記載されている。

記載事項キ
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示装置に用いられる拡散フィルム及びその製造方法に関する。さらに、該拡散フィルムを配置して視覚特性を改善した液晶表示装置に関する。」

記載事項ク
【図面の簡単な説明】
【図1】拡散フィルムをSTN型LCDの上偏光板の上面に配置した場合の断面図。

次に、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開平10-104617号公報(以下、「周知例3」という。)には、次の事項が記載されている。

記載事項ケ
「【0018】上述のようにして、斜め成分の少ない平行光を入射することにより、また、液晶セルの光出射面側に光拡散層を設けたことにより、視角依存性を低減したコントラストの高い液晶画像表示装置を実現することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に図面を用いて本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【0020】本発明の液晶画像表示装置は、図1に示すように、2枚の電極基板間に液晶を挟持してなる液晶セル部10と、該液晶セル部10を挟むようにして配置された、光学補償手段である位相差膜21a,21b と、さらに該位相差膜21a,21b を挟むようにして配置された偏光板22a,22b と、該一方の偏光板22b の外側に形成された光拡散層23と、他方の偏光板22a 側に配置された光照射手段30とからなる。」

3.対比

本願補正発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「液晶パネルの観察者側に偏光板が貼り合わされた液晶表示装置」と、本願補正発明の「液晶セルの片側又は両側に偏光板もしくは偏光板を有する光学素子を搭載した液晶表示装置」とを対比すると、

ア 引用発明の「液晶パネル」、「偏光板」、「貼り合わされた」及び「液晶表示装置」は、本願補正発明の「液晶セル」、「偏光板」、「有する」及び「液晶表示装置」にそれぞれ相当する。

イ 引用発明の「液晶パネルの観察者側」とは、液晶パネルの片側を意味することは明らかであるので、上記の相当関係とあわせて、本願補正発明の「液晶セルの片側」に相当する。

以上ア、イから、両者は相当関係にある。

(2)引用発明の「液晶パネルの観察者側に貼り合わされた偏光板」と、本願補正発明の「液晶セルの視認側に配置した偏光板」とを対比すると、引用発明の「液晶パネル」、「観察者側」、「貼り合わされた」及び「偏光板」は、それぞれ、本願補正発明の「液晶セル」、「視認側」、「配置した」及び「偏光板」に相当するから、両者は相当関係にある。

(3)引用発明の「偏光素子の両面に接着剤層を介して保護フィルムが貼り合わされてなり、かつ、当該接着剤層として、透光性微粒子を含有する接着剤層を偏光素子の片面にのみ設け、当該接着剤層を通過する光が散乱される」と、本願補正発明の「偏光子の両面に透明保護フィルムを有し、かつ、偏光子の片面にのみ、偏光子と透明保護フィルムとの間に光拡散層を有し、」とを対比すると、

ア 引用発明の「偏光素子」及び「保護フィルム」は、本願補正発明の「偏光子」及び「透明保護フィルム」にそれぞれ相当し、かつ、引用発明の「保護フィルム」は、(接着剤層を介して)偏光素子の両面に配されることから、引用発明の「偏光素子の両面に接着剤層を介して保護フィルムが貼り合わされてなり、」は、本願補正発明の「偏光子の両面に透明保護フィルムを有し、」に相当する。

イ さらに引用発明の「透光性微粒子を含有する接着剤層」は、「当該接着剤層を通過する光が散乱される」ので、光を散乱(拡散)する層であると言えるから、本願補正発明の「光拡散層」に相当する。したがって、引用発明の「当該接着剤層として、透光性微粒子を含有する接着剤層を偏光素子の片面にのみ設け、当該接着剤層を通過する光が散乱される」は、上記(3)アの相当関係もふまえると、「偏光子の片面にのみ、偏光子と透明保護フィルムとの間に光拡散層を有し、」に相当すると言える。

以上ア、イから、両者は相当関係にある。

したがって、上記(1)?(3)の対比考察から、本願補正発明と引用発明とは、
「液晶セルの片側又は両側に偏光板もしくは偏光板を有する光学素子を搭載した液晶表示装置であって、
液晶セルの視認側に配置した偏光板は、
偏光子の両面に透明保護フィルムを有し、かつ、偏光子の片面にのみ、偏光子と透明保護フィルムとの間に光拡散層を有する液晶表示装置」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点

偏光子の片面にのみ設けられた、光拡散層の配置場所として、本願補正発明では「偏光子に対して視認側に光拡散層を有するように配置されている」のに対して、引用発明では、そのような特定がなされていない点。

4.当審の判断

前記相違点について、検討する。

視認性の向上のため、偏光素子の視認側の片面にのみ光拡散層を有する液晶表示装置は、上記周知例1?3(記載事項オ及びカ、記載事項キ及びク、ならびに記載事項ケ)に各記載されているように、従来周知の構成であるし、周知例1に記載されているように、視認側にもうけることによって変更面が乱されないという作用効果も本出願時点に当業者に知られていた効果にすぎないから、引用発明の透光性微粒子を含有する接着剤層(光を散乱する機能を有するもの)の配置場所として、上記周知の配置(偏光素子の視認側の片面のみ)とすることは、当業者にとって適宜なす程度の設計的事項にすぎない。
してみると、本願補正発明によってもたらされる効果も、引用例1の記載及び周知の構成から当業者が予測し得る範囲内のものである。

まとめ

よって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明及び周知の構成に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.本件補正についての結び

以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明

平成20年6月26日付けの手続補正は上記の通り却下されたので、本願の請求項1及び8に係る発明は、本願の平成20年4月8日付けで手続補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1及び8に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶セルの片側又は両側に偏光板もしくは偏光板を有する光学素子を搭載した液晶表示装置であって、
液晶セルの視認側に配置した偏光板は、
偏光子の両面に透明保護フィルムを有し、かつ、偏光子の片面において、偏光子と透明保護フィルムとの間に光拡散層を有し、
液晶セルの視認側に配置した偏光板は、偏光子に対して視認側に光拡散層を有するように配置されていることを特徴とする液晶表示装置。」

2.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された引用例1及びその記載事項は、前記「第2 2.引用例」において、「引用例1」に関し、記載したとおりである。

3.対比・判断

本願発明は、上記「第2 3.対比及び4.当審の判断」で検討した本願補正発明から、
本件補正前の「光拡散層」を、「偏光子の片面にのみ」に配するものとする限定を省いたものに該当する。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 4.当審の判断」で記載したとおり、引用例1に記載された発明及び周知の構成に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

以上のとおり、本願発明は、原査定の拒絶の理由に引用された引用例1に記載された発明、及び周知の構成に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。

よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-06-08 
結審通知日 2009-06-09 
審決日 2009-06-30 
出願番号 特願2002-300320(P2002-300320)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
P 1 8・ 575- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴野 幹夫  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 越河 勉
村田 尚英
発明の名称 液晶表示装置  
代理人 特許業務法人ユニアス国際特許事務所  
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