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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1203444
審判番号 不服2006-10061  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-17 
確定日 2009-09-15 
事件の表示 平成 9年特許願第 4699号「記録装置及びその制御方法、並びに記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月14日出願公開、特開平 9-267538〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年1月14日(優先権主張平成8年1月29日)の出願であって、平成18年4月11日付で拒絶査定がなされ、これに対して、同年5月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年6月16日付で手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

2.本件補正の却下の決定
[本件補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
(1)補正事項
本件補正は、以下の補正事項を含んでいる。
特許請求の範囲の記載を、補正前の
「【請求項1】
接続された情報処理装置から記録情報を入力し、記録処理を行う記録装置であって、拡張装置の接続状態を認識する認識手段と、
前記認識手段により前記拡張装置が接続されていないと認識された場合、前記記録装置に予め格納されている第一のデバイスIDを前記情報処理装置に出力し、前記認識手段により前記拡張装置が接続されていると認識された場合には、接続されている前記拡張装置に対応する第二のデバイスIDを前記情報処理装置に出力する識別情報出力手段と、を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記識別情報出力手段は、
前記認識手段により前記拡張装置が接続されていないと認識された場合、前記記録装置内に予め格納されている、前記記録装置に対応する第一のデバイスIDを前記情報処理装置に対して出力し、
前記認識手段により前記拡張装置が接続されていると認識された場合、接続されている前記拡張装置内に記憶されている前記拡張装置に対応する第二のデバイスIDを前記情報処理装置に対して出力することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記識別情報出力手段は更に、前記拡張装置が装着された時に、前記情報処理装置に前記第二のデバイスIDを出力することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項4】
更に、前記情報処理装置から入力した記録情報に基づいて記録を行う記録手段を備えることを特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項5】
前記識別情報出力手段は、前記記録装置の電源がオンにされるのに応答して、前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択を行うことを特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項6】
前記識別情報出力手段は、所定周期で前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択を行うことを特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項7】
前記識別情報出力手段は、前記拡張装置が装着された時に、前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択を行うことを特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項8】
前記識別情報出力手段は、前記情報処理装置からの要求に応じて前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択を行うことを特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項9】
前記記録装置が有する保持手段に保持している前記第一のデバイスID又は前記第二のデバイスIDが、オペレータの指示に応じて選択されることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項10】
前記情報処理装置において実行状態となっているプリンタドライバが該情報処理装置に現在接続されている記録装置をサポートしているか否かを、獲得したデバイスIDに基づき判別する該情報処理装置と通信する通信手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項11】
前記記録装置は、複数の拡張装置に対応した複数の第二のデバイスIDを保持する保持手段を有し、
前記識別情報出力手段は、装着された拡張装置に対応する第二のデバイスIDを前記保持手段より選択し出力することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項12】
前記識別情報出力手段が出力する前記デバイスIDは、前記記録装置のコントロールパネルから設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項13】
前記認識手段は、前記拡張装置に付されたバーコードを認識し、前記識別情報出力手段は、認識された前記バーコードに基づき前記第二のデバイスIDを出力することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項14】
前記記録装置内に保持される前記第一のデバイスIDは、該記録装置自身のデバイスIDであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項15】
前記第二のデバイスIDは、前記記録装置に装着された前記拡張装置に対応するデバイスIDであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項16】
デバイスと通信する情報処理装置であって、
通信媒体を介して前記情報処理装置と接続された前記デバイスから、デバイスIDを獲得する獲得手段と、
前記獲得取得手段により獲得した前記デバイスIDに対応するデバイスを、前記情報処理装置内で現在実行可能なデバイスドライバにより制御できるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により制御可能でないと判別された場合に、警告を行う警告手段とを備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項17】
前記判別手段により制御可能でないと判別された場合に、獲得した前記デバイスIDに対応するデバイスを制御可能な他のデバイスドライバが存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により存在すると判別された場合に、前記他のデバイスドライバを選択する選択手段とを更に備え
前記警告手段は、前記判定手段により前記他のデバイスドライバが存在しないと判定された場合に、前記警告を行うことを特徴とする請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記デバイスは、プリンタであることを特徴とする請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記デバイスは、該デバイスに装着される拡張装置の変化に応じて、異なるデバイスIDを前記情報処理装置へ送信することを特徴とする請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項20】
デバイスと通信する情報処理装置であって、
前記デバイスに対して拡張装置が接続されていない場合には、前記デバイス内に予め格納されている第一のデバイスIDを獲得し、前記拡張装置が接続されている場合には、該拡張装置に対応する第二のデバイスIDを獲得する獲得手段と、
前記デバイスに対して前記拡張装置が接続されていない場合には、前記獲得手段が獲得した前記第一のデバイスIDを用いてデバイスドライバを選択し、前記拡張装置が接続されている場合には、前記獲得手段が獲得した前記第二のデバイスIDを用いてデバイスドライバを選択する選択手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項21】
接続された情報処理装置から記録情報を入力し、記録処理を行う記録装置の制御方法であって、
拡張装置の接続状態を認識する認識工程と、
前記認識手段により前記拡張装置が接続されていないと認識された場合、前記記録装置に予め格納されている第一のデバイスIDを前記情報処理装置に出力し、前記認識手段により前記拡張装置が接続されていると認識された場合には、接続されている前記拡張装置に対応する第二のデバイスIDを前記情報処理装置に出力する識別情報出力工程と、を備えることを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項22】
前記識別情報出力工程では、
前記認識手段により前記拡張装置が接続されていないと認識された場合、前記記録装置内に予め格納されている、前記記録装置に対応する第一のデバイスIDが前記情報処理装置に対して出力され、
前記認識手段により前記拡張装置が接続されていると認識された場合、接続されている前記拡張装置内に記憶されている前記拡張装置に対応する第このデバイスIDが前記情報処理装置に対して出力されることを特徴とする請求項21に記載の記録装置の制御方法。
【請求項23】前記識別情報出力工程では更に、前記拡張装置が装着された時に、前記情報処理装置に前記第二のデバイスIDが出力されることを特徴とする請求項21記載の記録装置の制御方法。
【請求項24】
更に、前記情報処理装置から入力した記録情報に基づいて記録を行う記録工程を備えることを特徴とする請求項22記載の記録装置の制御方法。
【請求項25】
前記識別情報出力工程では、前記記録装置の電源がオンにされるのに応答して、前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択が行われることを特徴とする請求項22記載の記録装置の制御方法。
【請求項26】
前記識別情報出力工程では、所定周期で前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択が行われることを特徴とする請求項22記載の記録装置の制御方法。
【請求項27】
前記識別情報出力工程では、前記拡張装置が装着された時に、前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択が行われることを特徴とする請求項22記載の記録装置の制御方法。
【請求項28】
前記識別情報出力工程では、前記情報処理装置からの要求に応じて前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択が行われることを特徴とする請求項22記載の記録装置の制御方法。
【請求項29】
前記記録装置が有する保持手段に保持している前記第一のデバイスID又は前記第二のデバイスIDが、オペレータの指示に応じて選択されることを特徴とする請求項21記載の記録装置の制御方法。
【請求項30】
前記情報処理装置において実行状態となっているプリンタドライバが該情報処理装置に現在接続されている記録装置をサポートしているか否かを、獲得したデバイスIDに基づき判別する該情報処理装置と通信する通信工程をさらに備えることを特徴とする請求項21に記載の記録装置の制御方法。
【請求項31】
前記記録装置は、複数の拡張装置に対応した複数の第二のデバイスIDを保持する保持手段を有し、
前記識別情報出力工程では、装着された拡張装置に対応する第二のデバイスIDが前記保持手段より選択され出力されることを特徴とする請求項21に記載の記録装置の制御方法。
【請求項32】
前記識別情報出力工程において出力される前記デバイスIDは、前記記録装置のコントロールパネルから設定可能であることを特徴とする請求項21に記載の記録装置の制御方法。
【請求項33】前記認識工程では、前記拡張装置に付されたバーコードが認識され、前記識別情報出力工程では、認識された前記バーコードに基づき前記第二のデバイスIDが出力されることを特徴とする請求項21に記載の記録装置の制御方法。
【請求項34】前記記録装置内に保持される前記第一のデバイスIDは、該記録装置自身のデバイスIDであることを特徴とする請求項21に記載の記録装置の制御方法。
【請求項35】
前記第二のデバイスは、前記記録装置に装着された前記拡張装置に対応するデバイスIDであることを特徴とする請求項21に記載の記録装置の制御方法。
【請求項36】
デバイスと通信する情報処理装置の制御方法であって、
通信媒体を介して前記情報処理装置と接続された前記デバイスから、デバイスIDを獲得する獲得工程と、
前記獲得取得工程において獲得した前記デバイスIDに対応するデバイスを、前記情報処理装置内で現在実行可能なデバイスドライバにより制御できるか否かを判別する判別工程と、
前記判別工程において制御可能でないと判別された場合に、警告を行う警告工程とを備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項37】
前記判別工程において制御可能でないと判別された場合に、獲得した前記デバイスIDに対応するデバイスを制御可能な他のデバイスドライバが存在するか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程により存在すると判別された場合に、前記他のデバイスドライバを選択する選択工程とを更に備え
前記警告工程では、前記判定工程において前記他のデバイスドライバが存在しないと判定された場合に、前記警告を行うことを特徴とする請求項36に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項38】前記デバイスは、プリンタであることを特徴とする請求項36に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項39】
前記デバイスは、該デバイスに装着される拡張装置の変化に応じて、異なるデバイスIDを前記情報処理装置へ送信することを特徴とする請求項36に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項40】
デバイスと通信する情報処理装置の制御方法であって、前記デバイスに対して拡張装置が接続されていない場合には、前記デバイス内に予め格納されている第一のデバイスIDを獲得し、前記拡張装置が接続されている場合には、該拡張装置に対応する第二のデバイスIDを獲得する獲得工程と、
前記デバイスに対して前記拡張装置が接続されていない場合には、前記獲得工程において獲得された前記第一のデバイスIDを用いてデバイスドライバを選択し、前記拡張装置が接続されている場合には、前記獲得工程において獲得された前記第二のデバイスIDを用いてデバイスドライバを選択する選択工程と、を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項41】
請求項21乃至35のいずれかに記載の記録装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体。
【請求項42】
請求項36乃至40のいずれかに記載の情報処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体。」
から、
補正後の
「【請求項1】
接続された情報処理装置から記録情報を入力し、記録処理を行う記録装置であって、
前記記録装置の電源が投入された場合に、拡張装置と繰り返し通信することにより、拡張装置の接続状態を繰り返して認識する認識手段と、
前記認識手段により前記拡張装置が接続されていないと認識された場合、前記記録装置に予め格納されている第一のデバイスIDを前記情報処理装置に出力し、前記認識手段により前記拡張装置が接続されていると認識された場合には、接続されている前記拡張装置に対応する第二のデバイスIDを前記情報処理装置に出力する識別情報出力手段と、
を備え、
前記第一のデバイスID及び前記第二のデバイスIDは、前記情報処理装置において、プリンタドライバを使用可能とするために用いられるものであり、 前記拡張装置は、印刷データの言語の種類に依存しない、自動原稿給送装置、ソータ装置、両面印刷ユニット、ペーパーカセット、フイニッシャ及びスキャナのうちの少なくともいずれかであることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記識別情報出力手段は、
前記認識手段により前記拡張装置が接続されていないと認識された場合、前記記録装置内に予め格納されている、前記記録装置に対応する第一のデバイスIDを前記情報処理装置に対して出力し、
前記認識手段により前記拡張装置が接続されていると認識された場合、接続されている前記拡張装置内に記憶されている前記拡張装置に対応する第二のデバイスIDを前記情報処理装置に対して出力することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記識別情報出力手段は更に、前記拡張装置が装着された時に、前記情報処理装置に前記第二のデバイスIDを出力することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項4】更に、前記情報処理装置から入力した記録情報に基づいて記録を行う記録手段を備えることを特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項5】前記識別情報出力手段は、前記記録装置の電源がオンにされるのに応答して、前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択を行うことを特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項6】前記識別情報出力手段は、所定周期で前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択を行うことを特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項7】
前記識別情報出力手段は、前記拡張装置が装着された時に、前記第一のデバイスIDと前記第このデバイスIDとのいずれを出力するかの選択を行うことを特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項8】前記識別情報出力手段は、前記情報処理装置からの要求に応じて前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択を行うことを特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項9】
前記記録装置が有する保持手段に保持している前記第一のデバイスID又は前記第二のデバイスIDが、オペレータの指示に応じて選択されることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項10】
前記情報処理装置において実行状態となっているプリンタドライバが該情報処理装置に現在接続されている記録装置をサポートしているか否かを、獲得したデバイスIDに基づき判別する該情報処理装置と通信する通信手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項11】
前記記録装置は、複数の拡張装置に対応した複数の第二のデバイスIDを保持する保持手段を有し、
前記識別情報出力手段は、装着された拡張装置に対応する第二のデバイスIDを前記保持手段より選択し出力することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項12】前記識別情報出力手段が出力する前記デバイスIDは、前記記録装置のコントロールパネルから設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項13】
前記認識手段は、前記拡張装置に付されたバーコードを認識し、
前記識別情報出力手段は、認識された前記バーコードに基づき前記第このデバイスIDを出力することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項14】
前記記録装置内に保持される前記第一のデバイスIDは、該記録装置自身のデバイスIDであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項15】前記第二のデバイスIDは、前記記録装置に装着された前記拡張装置に対応するデバイスIDであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項16】
接続された情報処理装置から記録情報を入力し、記録処理を行う記録装置の制御方法であって、
前記記録装置の電源が投入された場合に、拡張装置と繰り返し通信することにより、拡張装置の接続状態を繰り返して認識する認識工程と、
前記認識手段により前記拡張装置が接続されていないと認識された場合、前記記録装置に予め格納されている第一のデバイスIDを前記情報処理装置に出力し、前記認識手段により前記拡張装置が接続されていると認識された場合には、接続されている前記拡張装置に対応する第二のデバイスIDを前記情報処理装置に出力する識別情報出力工程と、
を備え、 前記第一のデバイスID及び前記第二のデバイスIDは、前記情報処理装置において、プリンタドライバを使用可能とするために用いられるものであり、 前記拡張装置は、印刷データの言語の種類に依存しない、自動原稿給送装置、ソータ装置、両面印刷ユニット、ペーパーカセット、フィニッシャ及びスキャナのうちの少なくともいずれかであることを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項17】
前記識別J情報出力工程では、
前記認識手段により前記拡張装置が接続されていないと認識された場合、前記記録装置内に予め格納されている、前記記録装置に対応する第一のデバイスIDが前記情報処理装置に対して出力され、
前記認識手段により前記拡張装置が接続されていると認識された場合、接続されている前記拡張装置内に記憶されている前記拡張装置に対応する第二のデバイスIDが前記情報処理装置に対して出力されることを特徴とする請求項16に記載の記録装置の制御方法。
【請求項18】
前記識別情報出力工程では更に、前記拡張装置が装着された時に、前記情報処理装置に前記第二のデバイスIDが出力されることを特徴とする請求項16記載の記録装置の制御方法。
【請求項19】
更に、前記情報処理装置から入力した記録情報に基づいて記録を行う記録工程を備えることを特徴とする請求項17記載の記録装置の制御方法。
【請求項20】
前記識別情報出力工程では、前記記録装置の電源がオンにされるのに応答して、前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択が行われることを特徴とする請求項17記載の記録装置の制御方法。
【請求項21】
前記識別情報出力工程では、所定周期で前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択が行われることを特徴とする請求項17記載の記録装置の制御方法。
【請求項22】
前記識別情報出力工程では、前記拡張装置が装着された時に、前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択が行われることを特徴とする請求項17記載の記録装置の制御方法。
【請求項23】
前記識別情報出力工程では、前記情報処理装置からの要求に応じて前記第一のデバイスIDと前記第二のデバイスIDとのいずれを出力するかの選択が行われることを特徴とする請求項17記載の記録装置の制御方法。
【請求項24】
前記記録装置が有する保持手段に保持している前記第一のデバイスID又は前記第二のデバイスIDが、オペレータの指示に応じて選択されることを特徴とする請求項16記載の記録装置の制御方法。
【請求項25】
前記情報処理装置において実行状態となっているプリンタドライバが該情報処理装置に現在接続されている記録装置をサポートしているか否かを、獲得したデバイスIDに基づき判別する該情報処理装置と通信する通信工程をさらに備えることを特徴とする請求項16に記載の記録装置の制御方法。
【請求項26】
前記記録装置は、複数の拡張装置に対応した複数の第二のデバイスIDを保持する保持手段を有し、
前記識別情報出力工程では、装着された拡張装置に対応する第二のデバイスIDが前記保持手段より選択され出力されることを特徴とする請求項16に記載の記録装置の制御方法。
【請求項27】
前記識別情報出力工程において出力される前記デバイスIDは、前記記録装置のコントロールパネルから設定可能であることを特徴とする請求項16に記載の記録装置の制御方法。
【請求項28】
前記認識工程では、前記拡張装置に付されたバーコードが認識され、前記識別情報出力工程では、認識された前記バーコードに基づき前記第二のデバイスIDが出力されることを特徴とする請求項16に記載の記録装置の制御方法。
【請求項29】
前記記録装置内に保持される前記第一のデバイスIDは、該記録装置自身のデバイスIDであることを特徴とする請求項16に記載の記録装置の制御方法。
【請求項30】
前記第二のデバイスIDは、前記記録装置に装着された前記拡張装置に対応するデバイスIDであることを特徴とする請求項16に記載の記録装置の制御方法。
【請求項31】
請求項16乃至30のいずれかに記載の記録装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体。」と変更。
(補正個所に下線を引いた。)

(2)補正目的の適否
上記した本件補正前後の各請求項の対応関係についてみるに、特許を受けようとするものが「情報処理装置」である補正前の請求項16?20、及び同「情報処理装置の制御方法」である補正前の請求項36?40、並びにその制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを記憶した同「記憶媒体」である補正前の請求項42は、削除されている。
そして、補正前後の各請求項の記載振りからみて、補正前の請求項1?15は、補正後の請求項1?15にそれぞれ対応し、補正前の21?35、41は、補正後の16?30、31にそれぞれ対応すると認められる。

補正後の請求項1及び16の記載の変更内容は以下のとおりである。
a.「拡張装置の接続状態を認識する」の記載が、「記録装置の電源が投入された場合に、拡張装置と繰り返し通信することにより、拡張装置の接続状態を繰り返して認識する」の記載に変更。
b.「前記第一のデバイスID及び前記第二のデバイスIDは、前記情報処理装置において、プリンタドライバを使用可能とするために用いられるものであり」の記載の追加。
c.「前記拡張装置は、印刷データの言語の種類に依存しない、自動原稿給送装置、ソータ装置、両面印刷ユニット、ペーパーカセット、フィニッシャ及びスキャナのうちの少なくともいずれかである」の記載の追加。

上記cにおける「印刷データの言語の種類に依存しない」の記載は、本件の出願当初の明細書又は図面になく、如何なることを意味するのか、その内容が明確ではない(当該記載は、自動原稿給送装置、ソータ装置、両面印刷ユニット、ペーパーカセット、フィニッシャ及びスキャナは、そのいずれもがそもそも印刷データの言語の種類に依存するものではないということを意味しているのか、或いは、自動原稿給送装置、ソータ装置、両面印刷ユニット、ペーパーカセット、フィニッシャ及びスキャナには、印刷データの言語の種類に依存するものと依存しないものとが存在していて、そのうちの、印刷データの言語の種類に依存しないものであるということを規定しているのか、明確に特定し難い。他方、後者の場合は、当然、本件補正が新規事項を追加するものであるということになる。さらに、そもそも、拡張装置が印刷データの言語の種類に依存する、依存しないとは如何なることを意味するのか、明確に理解することはきわめて困難である。)から、本件補正後の特許請求の範囲(請求項1、16)の記載は明りようでなく、特許請求の範囲の減縮に当たるか否かを判断することすらできない。
また、当該記載を含む特許請求の範囲(請求項1、16)の補正事項は、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)のいずれを目的とするものでもない。
そうすると、本件請求項に係る補正は、特許請求の範囲の減縮(補正前の請求項に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するとするもの)を目的とするものでなく、また、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)のいずれを目的とするものでもないものを含むから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項に違反する。

(3)独立特許要件
仮に、補正後の請求項1及び16に記載された「前記拡張装置は、印刷データの言語の種類に依存しない」の意味するところが、自動原稿給送装置、ソータ装置、両面印刷ユニット、ペーパーカセット、フィニッシャ及びスキャナは、そのいずれもがそもそも印刷データの言語の種類に依存するものではないとするものであって、単に、拡張装置が、自動原稿給送装置、ソータ装置、両面印刷ユニット、ペーパーカセット、フィニッシャ及びスキャナのうちの少なくともいずれかであるということでしかなく、出願を拒絶するほどの瑕疵とまではいえないとする。
そうすると、本件補正は、補正前の請求項に記載された認識手段による拡張装置の接続状態の認識が、記録装置の電源が投入された場合に、拡張装置と繰り返し通信することにより、繰り返して行われることを限定し、かつ、拡張装置が、印刷データの言語の種類に依存しない、自動原稿給送装置、ソータ装置、両面印刷ユニット、ペーパーカセット、フィニッシャ及びスキャナのうちの少なくともいずれかであることを限定する補正事項を含むものであるから、限定的減縮を目的としたものと解し得る。
そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された事項により特定される本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)の平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用される同法第126条第5項に規定される独立特許要件について検討する。

ア.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前である平成7年11月28日に頒布された特開平7-311663号公報(以下「引用例」という。)には、補正発明に関連する事項として、次のa?dの記載が図示とともにある。
a.「コンピュータが有するコンピュータ側双方向通信手段と、プリンタが有するプリンタ側双方向通信手段とを双方向通信ケーブルを介して接続した印字装置であって、前記コンピュータは、各種プリンタドライバを保持するプリンタドライバ保持手段と、指示された種類のプリンタドライバが前記プリンタドライバ保持手段に存在するか否かを判別するプリンタドライバ判別手段と、
前記コンピュータ側双方向通信手段を通じて、プリンタの種類を問うコマンドを前記プリンタに出力し、指示された種類のプリンタドライバを、前記コンピュータ側へ転送させるコマンドを前記プリンタに出力するコマンド発生手段と、
前記コンピュータ側双方向通信手段を通じて前記プリンタから送信されたステータスを解読し、指示されたプリンタドライバの種類を前記プリンタドライバ判別手段に通知するステータス解読手段とを備え、
前記プリンタは、
前記コンピュータから受取ったコマンドがプリンタの種類を問うものか否かを解読するコマンド解読手段と、
前記コマンド解読手段の解読結果がプリンタの種類を問うものである場合、前記プリンタ側双方向通信手段にプリンタの種類の情報を含むステータスを出力させるステータス発生手段と、
前記プリンタに適合するプリンタドライバを保持するプリンタドライバデータ保持手段と、
前記プリンタ側双方向通信手段を介して送られた画像を展開する画像用メモリと、
前記画像用メモリの画像に基づき印字を行うプリンタエンジンとを備えることを特徴とする印字装置。」(【請求項1】)
b.「設定されたプリンタドライバはコンピュータ1のメモリ4内にある印字データを取り込み、印字データをコンピュータ1に接続されたプリンタ10のプリンタ言語に変更する。変更された印字データは通信手段8から通信ケーブル9を介してプリンタ10の通信手段12に送られる。プリンタ10側では送られてきた画像データをプリンタ言語解読手段11により解読する。プリンタ10は解読した画像データを基に実際の画像を画像用メモリ13に展開する。1ページ分のデータが展開された時点で、展開されたデータは、画像用メモリ13から用紙等に印字形成を行うプリンタエンジン14に送られ、プリンタエンジン14で用紙などに対して印字が行われる。」(段落【0004】参照)
c.「【作用】上記構成により、プリンタドライバの設定にあたって、コマンド発生手段がプリンタの種類を問うコマンドを生成し、このコマンドがプリンタ側へ送られる。するとプリンタのステータス発生手段がプリンタの種類の情報を含むステータスをコンピュータへ返す。そしてコンピュータのステータス解読手段が、このステータスからプリンタの種類を解読し、この種類がプリンタドライバ判別手段に通知される。するとプリンタドライバ判別手段は、プリンタドライバ保持手段に指示された種類のプリンタドライバが存在するか否か判別し、存在しなければ、コマンド判別手段が、このプリンタドライバをコンピュータへ転送させる旨のコマンドをプリンタ側へ送る。そして、プリンタに適合するプリンタドライバがプリンタのプリンタドライバデータ保持手段からコンピュータのプリンタドライバ保持手段へ転送され、爾後プリンタに適合するプリンタドライバに基いた処理が可能となる。上述のところにおいて、ユーザはいちいちコンピュータにプリンタドライバのインストールを行う必要がなく、プリンタからコンピュータへ自動的に適合するプリンタドライバが転送されるものである。」(【0008】)
d.「図1は、本発明の-実施例における印字装置のブロック図で、15はコンピュータ、27はプリンタであり、コンピュータ15とプリンタ27はそれぞれに設けられたコンピュータ側双方向通信手段25、プリンタ側双方向通信手段30を双方向通信ケーブル26で接続することにより、双方向に通信できるようになっている。コンピュータ15のうち、20は印字データやアプリケーションプログラムなどを記憶しているメモリ、21は第1プリンタ用ドライバ22、第2プリンタ用ドライバ23、第3プリンタ用ドライバ24など各種のプリンタドライバを保持しているプリンタドライバ保持手段、19はプリンタドライバ保持手段21に保持されているプリンタドライバの種類のみを保持するプリンタドライバ種類保持手段、18はステータス解読手段17からプリンタドライバの種類が指示されるとこの種類がプリンタドライバ種類保持手段19に存在するか否か(即ち、この種類のプリンタドライバの実体がプリンタドライバ保持手段21に存在するか否か)を判別するプリンタドライバ判別手段、16はプリンタ27の種類のコマンドや、指示された種類のプリンタドライバをコンピュータ15側へ転送させるコマンドなどを、プリンタ27に出力するコマンド発生手段、17はプリンタ27から送信されたステータスを解読し、指示されたプリンタドライバの種類をプリンタドライバ判別手段18、プリンタドライバ種類保持手段19、プリンタドライバ保持手段21に通知するステータス解読手段である。
プリンタ27のうち、31はコンピュータ15から受取ったコマンドがプリンタ27の種類を問うものか否かを解読するコマンド解読手段、28はコマンド解読手段31の解読結果がプリンタ27の種類を問うものである場合、コンピュータ15側にプリンタ27の種類の情報を含むステータスを出力するステータス発生手段、29はプリンタ27に適合するプリンタドライバを保持するプリンタドライバデータ保持手段である。なおプリンタ27に適合するプリンタドライバは基本的には1種ないし少量種程度であり、プリンタドライバデータ保持手段29をプリンタ27側に設けてもプリンタドライバデータ保持手段29がプリンタ27の記憶容量を大幅に占有するようなことはない。31はコンピュータ15から送られてきたコマンドの意味を解読するコマンド解読手段、32はコンピュータ15から送られてきた画像データを解読するプリンタ言語解読手段、33は画像データにより画像が展開される画像用メモリ、34は画像用メモリ33の画像に基づき図示しない用紙などに印字を行うプリンタエンジンである。」(段落【0009】?【0010】参照)

記載bの「プリンタドライバ」及び記載dの「プリンタドライバ」は、「コンピュータ15のメモリ20内にある印字データを取り込み、印字データをコンピュータ15に接続されたプリンタ27のプリンタ言語に変更する」(記載b)ところの、コンピュータ15において使用されるものであるから、プリンタ27からコンピュータ15に出力されるプリンタの種類の情報に基づいて、プリンタ27に適合するプリンタドライバがコンピュータ15内で設定されることが把握できる。
したがって、プリンタの種類の情報は、コンピュータ15においてプリンタドライバを使用可能とするために用いられるものといえる。
してみるに、上記記載a?dを含む引用例の全記載及び図示によれば、引用例には次の発明が記載されているといえる。

「接続されたコンピュータ15から画像データを入力し、印字を行うプリンタ27であって、
プリンタ27の種類の情報を含むステータスを出力するステータス発生手段28を備え、
前記プリンタ27の種類の情報は、前記コンピュータ15において、プリンタドライバを使用可能にするために用いられるものであるプリンタ27。」(以下、「引用発明」という。)

イ.対比・判断
補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「コンピュータ15」、「印字を行うプリンタ27」、「画像データ」及び「プリンタドライバ」は、それぞれ、補正発明の「情報処理装置」、「記録処理を行う記録装置」、「記録情報」及び「プリンタドライバ」に相当している。
引用発明の「プリンタ27の種類の情報」と、補正発明の、拡張装置の接続状態を認識する認識手段により前記拡張装置が接続されていないと認識された場合の記録装置に予め格納されている第一のデバイスID及び認識手段により前記拡張装置が接続されていると認識された場合の接続されている前記拡張装置に対応する第二のデバイスIDとは、情報処理装置においてプリンタドライバを使用可能とするために用いられる記録装置に係る情報である点で共通している。
それゆえ、引用発明の「プリンタ27の種類の情報を含むステータスを出力するステータス発生手段28」と補正発明の「前記認識手段により前記拡張装置が接続されていないと認識された場合、前記記録装置に予め格納されている第一のデバイスIDを前記情報処理装置に出力し、前記認識手段により前記拡張装置が接続されていると認識された場合には、接続されている前記拡張装置に対応する第二のデバイスIDを前記情報処理装置に出力する識別情報出力手段」とは、情報処理装置においてプリンタドライバを使用可能とするために用いられる、記録装置の構成に係る情報を情報処理装置に出力する識別情報出力手段である点で共通している。
以上のことから、両者の一致点と相違点は以下のとおりである。

[一致点]
接続された情報処理装置から記録情報を入力し、記録処理を行う記録装置であって、情報処理装置においてプリンタドライバを使用可能とするために用いられる、記録装置の構成に係る情報を情報処理装置に出力する識別情報出力手段を備える記録装置。

[相違点]
補正発明の記録装置が、自動原稿給送装置、ソータ装置、両面印刷ユニット、ペーパーカセット、フィニッシャ及びスキャナのうちの少なくともいずれかである拡張装置を接続した状態で使用したり、接続しない状態で使用することが可能に構成されており、記録装置の電源が投入された場合に、拡張装置と繰り返し通信することにより、拡張装置の接続状態を繰り返して認識する認識手段と、認識手段により拡張装置が接続されていないと認識された場合、記録装置に予め格納されている第一のデバイスIDを情報処理装置に出力し、認識手段により拡張装置が接続されていると認識された場合には、接続されている拡張装置に対応する第二のデバイスIDを情報処理装置に出力する識別情報出力手段とを備えているのに対して、引用発明のプリンタ27は、プリンタ27の種類の情報(情報処理装置においてプリンタドライバを使用可能とするために用いられる、記録装置の構成に係る情報ということができる。)を含むステータスをコンピュータ15に出力し、コンピュータ15において、受信したプリンタ27の種類の情報に応じたプリンタドライバを使用可能に設定するようにしてはいるものの、拡張装置を接続した状態で使用したり、接続しない状態で使用することが可能に構成されているのかどうかは定かではなく、したがって、補正発明のような認識手段や識別情報出力手段を備えているとまではいえない点。

[相違点の判断]
本願の優先権主張の日前である平成7年11月10日に頒布された特開平7-295915号公報(以下「刊行物1」という。)には、その段落【0002】に「従来、周辺機器のドライバプログラム等の周辺機器の制御方式は、周辺機器が変更されたりその構成が変更された場合、使用者が新たに対応するドライバプログラム等をインストールするものであった。例えば、ドライバプログラム等がホストコンピュータに内蔵される場合は、ホストコンピュータ内に新たに対応するドライバプログラム等をインストールする。」と、段落【0016】に「図1は本発明の一実施例を示す画像形成システムの構成を表わすブロック図である。尚、本例では、画像形成システムはホストコンピュータの搭載されたドライバプログラムにより制御されるものとする」と、段落【0018】に「第2図は、第1図の画像形成装置の断面図である。本装置をプリンタとして駆動する場合の動作を説明する。」と、段落【0021】に「この画像形成装置には幾つかの外部装置が着脱可能である。図2において、150で示す大容量給紙装置、156,158からなる両面印刷用紙搬送路、190で示す丁合い装置(ソーター)である。」と、段落【0022】には「ホストコンピュータ上で使用者が、プリントの開始を指示(300)する。コンピュータ上に対象となるプリンタのドライバソフトウエアが組み込まれているかどうかを判定し(301)、なければ使用者は対象ドライバをコンピュータにインストールしなくてはならない(302)。ドライバが組み込まれれば、プリントモードを指定してプリントデータをプリンタに送出する。従来は、このフロー中のドライバをインストールする部分が使用者に依存するところで、プリンタの機種や構成が変更された場合には、使用者がそれぞれ自身で再インストールしなくてはならず、」と、段落【0023】には「画像形成装置側の電源を投入する(400)。画像形成装置は以前に電源が投入されていたときの装置構成を、不揮発性の記憶手段を用いて記憶している。これと現在の装置構成とを比較する(401)。先に説明した画像形成装置中の着脱可能な外部装置が、接続されているかいなかを判定する信号が画像形成装置に入力されており、これを使用して装置構成の判定をする。」と記載されており、従来より、プリンタを制御するプリンタドライバは、プリンタの機種の変更に対応するのみでなく、プリンタに、大容量給紙装置、両面印刷用紙搬送路及びソーターのそれぞれが装着されているか否かによっても変更対応する必要のあることが、当業者の技術常識であることが把握できる。
してみれば、引用発明のプリンタ27において、大容量給紙装置や両面印刷用紙搬送路やソーター(以下、総称して「外部装置」という。)が接続された状態で使用したり、接続されない状態で使用することが可能なような構成を採用するとともに、外部装置の接続状態を認識する認識手段を設け、認識手段が認識した外部装置が接続されているのか否かの情報をプリンタ27の種類(機種)の情報とともに、プリンタ27からホストコンピュータ15に出力するような構成に変更し、ホストコンピュータ15において、プリンタ27の機種の情報と、プリンタ27に外部装置が接続されているか否かの情報とに基づいて、プリンタドライバを設定しようと発想することは、当業者にとって容易なことであるし、当該発想を具体化するに際して、プリンタ27の機種の情報とプリンタ27に外部装置が接続されているか否かの情報とをまとめて、一つのデバイスIDとしてホストコンピュータ15に出力すること(すなわち、外部装置が接続されている場合と、接続されていない場合とで、異なるデバイスIDを出力すること)は、単なる設計事項の域に止まる。

というのも、プリンタに接続された外部装置との間は、通常、通信可能なインターフェスを介して接続されていること(特開平6-305599号公報、特開平7-228018号公報、特開平7-200459号公報等)、外部装置がプリンタ電源により稼働するもの、或いは、外部装置自身が独自電源を備えたもの等、各種の形態が存在しており、外部装置を接続するに際して、所定のイニシャライズシーケンスを要すること(特開平7-252018号公報等)は、周知の技術に属することであり、さらには、多段に接続されるソータ装置においては、使用される時点において総体としてプリンタがどのような構成をなしているかを逐次認識するようにされていること(特開平5-105319号公報)等をも参酌すれば、認識手段が外部装置の接続状態を認識する時期に、プリンタの電源が投入されている時を想定することは当然のことであるし、いつ接続されるかが明らかでない外部装置を認識するためには、外部装置と繰り返し通信を必要とするのであって、接続状態を繰り返して認識することは、技術の具体的適用に伴って当業者が適宜なし得た設計事項といわざるを得ない。
以上のとおり、相違点に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、同構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
よって、補正発明は、上記引用発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、独立して特許を受けることができない。

(4)補正の却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項及び第5項の規定に違反しているので、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

3.本件審判請求についての判断
(1)本願発明の認定
本件補正が却下されたから、本願の請求項1?42に係る発明は、平成18年1月10日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、上記補正前の特許請求の範囲の請求項1?42に記載された事項により特定されるとおりのものと認められる(上記2.(1)参照。本願の請求項1に係る発明を以下、「本願発明」という。)。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は上記「2.(3)」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「コンピュータ15」、「印字を行うプリンタ27」、「画像データ」及び「プリンタドライバ」は、それぞれ、本願発明の「情報処理装置」、「記録処理を行う記録装置」、「記録情報」及び「プリンタドライバ」に相当している。
引用発明の「プリンタ27の種類の情報を含むステータスを出力するステータス発生手段28」と本願発明の「前記認識手段により前記拡張装置が接続されていないと認識された場合、前記記録装置に予め格納されている第一のデバイスIDを前記情報処理装置に出力し、前記認識手段により前記拡張装置が接続されていると認識された場合には、接続されている前記拡張装置に対応する第二のデバイスIDを前記情報処理装置に出力する識別情報出力手段」とは、記録装置の構成に係る情報を情報処理装置に出力する識別情報出力手段である点で共通している。
以上のことから、両者の一致点と相違点は以下のとおりである。

[一致点]
接続された情報処理装置から記録情報を入力し、記録処理を行う記録装置であって、記録装置の構成に係る情報を情報処理装置に出力する識別情報出力手段を備える記録装置。
[相違点]
本願発明の記録装置が、拡張装置を接続した状態で使用したり、接続しない状態で使用することが可能に構成されており、拡張装置の接続状態を認識する認識手段と、認識手段により拡張装置が接続されていないと認識された場合、記録装置に予め格納されている第一のデバイスIDを情報処理装置に出力し、認識手段により拡張装置が接続されていると認識された場合には、接続されている拡張装置に対応する第二のデバイスIDを情報処理装置に出力する識別情報出力手段とを備えているのに対して、引用発明のプリンタ27は、プリンタ27の種類の情報(情報処理装置においてプリンタドライバを使用可能とするために用いられる、記録装置の構成に係る情報ということができる。)を含むステータスをコンピュータ15に出力し、コンピュータ15において、受信したプリンタ27の種類の‘情報に応じたプリンタドライバを使用可能に設定するようにしてはいるものの、拡張装置を接続した状態で使用したり、接続しない状態で使用することが可能に構成されているのかどうかは定かではなく、したがって、補正発明のような認識手段や識別情報出力手段を備えているとまではいえない点。

[相違点の判断]
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-4233号公報には、カードスロットに言語系の異なる制御カードC(エミュレーションカード)を接続できるよう構成されており、制御カードCが装着されると、或いは、操作パネル1501からプリンタ制御言語切り換え指示がなされると、RAMデータにプリンタ制御言語情報が設定され、当該プリンタ制御言語情報をホストコンピュータ100に出力するプリンタ1500と、プリンタ1500から出力されたプリンタ制御言語情報を解析してプリンタドライバの切り換えを行うホストコンピュータ100が記載されている(特に、段落【0034】?【0048】等を参照。)。
当該公報に記載された言語系の異なる制御カードは、カードスロットに選択的に接続されて、プリンタを異なるプリンタ制御言語で動作させるものであるから、「拡張装置」ということができる。
してみれば、引用発明において、カードスロットに言語系の異なる制御カードC(エミュレーションカード)を接続できるよう構成するに当たり、エミュレーションカードが装着されていない場合と、エミュレーションカードが装着されている場合とで、ホストコンピュータにおいて適切なプリンタドライバを選択できるように、プリンタからホストコンピュータに対して識別情報を送信するような構成を想起することは、上記公報に接した当業者が容易に想起できることであるし、その具体的手段として、上記相違点のように、エミュレーションカードの装着を認識する認識手段を設け、当該認識手段による認識の結果、プリンタにエミュレーションカードが装着されていない場合には、プリンタの種類に対応する識別情報をプリンタからホストコンピュータに出力し、プリンタにエミュレーションカードが装着されている場合には、装着されたエミュレーションカードに対応する識別情報をプリンタからホストコンピュータに出力する構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。
以上のとおり、相違点に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、同構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び上記公報に記載されたものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができないから、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-11 
結審通知日 2008-07-14 
審決日 2008-07-28 
出願番号 特願平9-4699
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B41J)
P 1 8・ 57- Z (B41J)
P 1 8・ 121- Z (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清水 康司  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 菅藤 政明
大仲 雅人
発明の名称 記録装置及びその制御方法、並びに記憶媒体  
代理人 高柳 司郎  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康弘  
代理人 大塚 康徳  

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