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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61F
管理番号 1203488
審判番号 不服2006-23494  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-17 
確定日 2009-09-08 
事件の表示 特願2002-528161号「骨形成融合装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年3月28日国際公開、WO02/24121、平成16年3月25日国内公表、特表2004-508888号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2001年9月19日(パリ条約による優先権主張2000年9月19日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成17年11月10日付け拒絶理由通知に対し、平成18年3月2日付け手続補正により明細書についての補正がなされたが、同年7月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月17日に拒絶査定不服審判が請求されると共に、同年11月14日付け手続補正により明細書についての補正がなされたものである。

2.平成18年11月14日付けの手続補正の補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成18年11月14日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、補正前の明細書の特許請求の範囲の請求項18は、請求項17とされると共に、その発明特定事項の記載は、次のように補正された。(下線部は、補正箇所を示す。)

「隣接する椎骨間の椎間板空間内における融合骨成長を促進するインプラントにおいて、
前記椎間板空間内に貫入式に埋込み得るようにされた荷重支承部材であって、対向する端部片と、該対向する端部片の各々の中央に取り付けられ前記対向する端部片の中央の間を伸びる細長い中央要素とを有する前記荷重支承部材を備え、
前記対向する端部片が、隣接する椎骨に接触し且つ該椎骨を支持し得る形態とされた、平面状の2つの対向面を有し、前記端部片は、各々、前記2つの対向面の間の第一の寸法と、該第一の寸法に直交する第二の寸法とを有し、前記第二の寸法が前記第一の寸法よりも大きく、該第一の寸法が、隣接する椎骨間空間を維持し得るように設定され、前記第二の寸法が、前記椎間板空間の横方向寸法を渡って伸びるのに十分な長さを有し、
前記中央要素が、隣接する椎骨が前記対向する端部片により支持されたとき、前記中央要素と隣接する椎骨との間に空所を画成し得るように、前記対向する端部片に対して寸法設定される、インプラント。」

(2)補正の目的の適否及び新規事項の有無
本件補正は、補正前の明細書の特許請求の範囲の請求項18を請求項17とすると共に、当該補正前の請求項18に記載された「中央要素」についての「該端部片の間を伸びる」との事項を、「該対向する端部片の各々の中央に取り付けられ前記対向する端部片の中央の間を伸びる」と補正して、中央要素と、対向する端部片との位置関係を限定したものであって、かつ、補正後の請求項17に記載される発明は、補正前の請求項18に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

(3)独立特許要件
そこで、本件補正による補正後の請求項17に記載されている事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反しないか)について、以下に検討する。

(3-1)引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先日前の平成11年(1999年)6月17日に頒布された刊行物である国際公開第99/29271号(以下「引用文献」という。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。

ア.「The present invention relates to an implant to be placed into the intervertebral space left after the removal of a damaged spinal disc. Specifically, the invention concerns an osteogenic fusion device that enhances arthrodesis or fusion between adjacent vertebrae while also maintaining the normal spinal anatomy at the instrumented vertebral level. (本発明は、損傷した椎間板を除去した後に残る椎骨間空間内に配置されるインプラントに関する。具体的には、本発明は、インプラントが装着された椎骨の位置にて正常な脊柱の骨格を保ちつつ、隣接する椎骨間の関節固定又は融合を促進する骨形成融合装置に関する。)(和文は、当審による仮訳。以下同様。)」(明細書第1ページ第11?15行)

イ.「In some cases, the cylindrical implants included a threaded exterior to permit threaded insertion into a tapped bore formed in the adjacent vertebrae. Alternatively, some fusion implants have been designed to be impacted into the intradiscal space. (幾つかの場合、円筒状インプラントは、隣接する椎骨に形成されたタップ穴内に螺着挿入することを許容するようにねじ山のついた外面を有していた。これと代替的に、幾つかの融合インプラントは、椎間板空間内に貫入される設計とされている。)」(明細書第2ページ第13?16行)

ウ.「The field of spinal fusion can be benefited by an intervertebral fusion device that can support bone growth material within the intervertebral space, while still maintaining the normal height of the disc space. The device would beneficially eliminate the risk of stress-shielding the fusion mass, and would also provide for visualization of the fusion mass as the arthrodesis progresses. (脊柱融合の分野は、椎間板空間の正常な高さを維持しつつ、椎骨間空間で骨成長材料を支えることのできる椎骨間融合装置によって、利益を受けることができる。該装置は、融合塊の応力遮断効果の虞れを無くし、関節固定術が進行する際の融合塊の視覚化も提供するだろう。)」(明細書第3ページ第14?18行)

エ.「To address the current needs with respect to interbody fusion devices, the present invention contemplates a osteogenic fusion device that is configured to place as much of the bone growth-inducing material as possible into direct contact with the adjacent bone. In one embodiment, the osteogenic fusion device includes an elongated body having opposite first and second end pieces separated by an integral central element. The central element has a significantly smaller diameter than the two end pieces. The osteogenic fusion device thus forms an annular pocket between the end pieces and around the central element. …(略)…
Yet another embodiment of the invention provides an implant system for promoting fusion bone growth in the space between adjacent vertebrae which includes at least first and second load bearing members adapted to be bilaterally placed between adjacent vertebrae, wherein the load bearing members are connected to one another so as to resist lateral separation. In particular, a preferred embodiment provides a first of the load bearing members including a male member, and a second of the load bearing members including a female member. The male and female members cooperate to resist lateral separation of said devices. In another preferred embodiment, the load bearing members can be connected by a connecting member such as a plate spanning the two load bearing members. (椎骨体間融合装置に関する現在の課題に対応するため、本発明は、可能な限り多くの骨成長誘発材料を隣接する骨と直接接触させるように配置し得るような形態とされた骨形成融合装置とすることを意図する。1つの実施の形態において、骨形成融合装置は、一体の中央要素によって分離された対向する第一及び第二の端部片を有する細長い本体を備えている。中央要素は、2つの端部片よりも著しく小さい直径を有する。このように、骨形成融合装置は、端部片の間で且つ、中央要素の周りに環状空所を形成する。…(略)…
本発明の更に別の実施の形態は、隣接する椎骨間で両横方向に配置されるように適用された少なくとも第一及び第二の荷重支承部材を有し、また、これらの荷重支承部材が横方向への分離に抵抗するために互いに接続された、隣接する椎骨間空間内での融合骨成長を促進するインプラントシステムを提供する。特に、1つの好ましい実施の形態は、雄型部材を有する荷重支承部材の第一の部材と、雌型部材を有する荷重支承部材の第二の部材とを提供する。これらの雄型部材及び雌型部材は、協働して上記装置の横方向分離に抵抗する。別の好ましい実施の形態において、荷重支承部材は、2つの荷重支承部材を跨ぐ板のような接続部材により接続することができる。)」(明細書第4ページ第4行?第5ページ第25行)

オ.「It is one object of the present invention to provide an interbody fusion device that allows the greatest possible contact between the adjacent vertebrae and the bone growth-inducing material supported by the osteogenic fusion device. …(略)…Yet another object of the invention is to provide an interbody fusion device whereby enough lateral exposure is present to place two large devices side-by-side to distract the disc space and facilitate fusion.(本発明の1つの目的は、隣接する椎骨と、骨形成融合装置により支持された骨成長誘発材料との間の、可能な限り最大の接触を許容する椎骨体間融合装置を提供することである。…(略)…本発明の更に別の目的は、2つの大きい装置を並べて配置し、椎間板空間を分離し且つ融合を容易とするのに十分な横方向への暴露状態が生ずるようにする、椎骨体間融合装置を提供することである。)」(明細書第6ページ第8?19行)

カ.「The present invention contemplates osteogenic fusion devices for use as interbody fusion devices. The osteogenic fusion devices include opposite end pieces that are configured to span the intervertebral disc space and engage the adjacent vertebral bodies. The inventive osteogenic fusion devices include a central element separating the two end pieces and substantially spanning the anterior-posterior length of the disc space. The invention further contemplates that a bone growth-inducing material be disposed about the central element and between the opposite end pieces. When the inventive osteogenic fusion device is implanted within a patient, the bone growth- inducing material is in direct contact with the adjacent vertebral bodies. The end pieces are formed of a material sufficient to withstand the spinal loads generated at the instrumented vertebral level.
In accordance with one embodiment of the invention, a osteogenic fusion device 10, depicted in FIGS. 1-2, includes a first end piece 11 and a second end piece 12. The end pieces are separated by a central element 13. The first end piece 11 could be substantially cylindrical or any geometrical shape and includes an outer bone contacting surface 15. The end piece 11 also defines an inwardly facing retaining surface 17. The central element 13 integrally extends from the retaining surface 17 of the first end piece 11.
The second end piece 12 also difines a bone contacting surface 20 that, in this embodiment, does not extend entirely around the end piece. The bone contacting surface 20 could be any geometrical shape, preferably circular and is defined at a radius equal to the radius of the outer surface 15 of the first end piece.(本発明は、椎骨体間融合装置として使用される骨形成融合装置を意図するものである。該骨形成融合装置は、椎骨間の椎間板空間を跨ぎ且つ隣接する椎骨体に係合する形態とされた対向する端部片を有している。本発明の骨形成融合装置は、2つの端部片を分離し且つ椎間板空間の前方-後方長さをほぼ跨ぐ中央要素を有している。本発明は、中央要素の周りで且つ対向する端部片間に骨成長誘発材料が配置されることをさらに意図している。本発明の骨形成融合装置が患者の体内に埋込まれたならば、骨成長誘発材料は、隣接する椎骨体に直接接触する。端部片はインプラントが装着された椎骨の位置にて生成される脊柱荷重に抵抗するのに十分な材料で出来ている。
本発明の一つの実施の形態によれば、図1-2に図示された骨形成融合装置10は、第一の端部片11と、第二の端部片12とを有している。端部片は、中央要素13によって分離されている。第一の端部片11は、ほぼ円筒状又は任意の幾何学的形状とし、また、骨に接触する外面15を有している。端部片11はまた、内方を向く保持面17も画成する。中央要素13は、第一の端部片11の保持面17から一体的に伸びている。
第二の端部片12は、また、この実施の形態において、端部片の周りを完全には伸びない骨接触面20も画成する。骨接触面20は、円形であることが好ましい任意の幾何学的形状とすることができ、また、第一の端部片の外面15の半径に等しい半径にて画成される。)」(明細書第10ページ第10?31行)

キ.「In many situations, it is preferable to use two fusion devices in a posterior lumbar interbody fusion technique (PLIF) but there is not enough lateral exposure to place two devices side-by-side. …(略)…
In order to address this problem, at least one end piece of an osteogenic fusion device may have a truncated surface, such as a circular cutout, as depicted in FIG. 29. As seen in FIG. 29, two fusion devices placed together thereby nest or interleave and reside within the operative window, and thus require no or minimal resection of the facet joints.
As more fully shown in FIGS. 30-32, osteogenic fusion device 110 is in many respects similar to osteogenic fusion device 10 depicted in FIGS. 1 and 2 and includes, for example, opposite end pieces including first end piece 111 and second end piece 112 and central element 113. Each end piece defines two opposing surfaces as similarly described for osteogenic fusion device 10. For example, first end piece 111 defines a bone contacting surface 114 and second end piece 112 defines a bone contacting surface 115. (多くの状況にて、後方腰椎椎骨体間融合技術(PLIF)にて、2つの融合装置を使用することが好ましいが、2つの装置を横に並べて配置するのに十分な横方向暴露は得られない。…(略)…
この問題点に対処するため、骨形成融合装置の少なくとも1つの端部片は、図29に図示するような、円形の切欠きの如き截頭面を有してもよい。図29に見られるように、これにより互いに配置された2つの融合装置は、入れ子式に嵌まり又は互いに差し込み、また、外科手術用窓内に位置し、このため、面関節の切除は不要か又は最小程度で済む。
図30-32に、より完全に示されるように、骨形成融合装置110は多くの点にて、図1及び2に示した骨形成融合装置10と同様であり、例えば、第一の端部片111及び第二の端部片112を有する対向する端部片と、中央要素113とを有している。端部片の各々は、骨形成融合装置10について同様に説明したように2つの対向面を画成する。例えば、第一の端部片111は、骨接触面114を画成し、第二の端部片112は骨接触面115を画成する。)」(明細書第19ページ第11?30行)

ク.「With reference now to FIGs. 40-42, shown is an implant system of the invention including mated fusion devices and wherein the devices are configured to connect to one another so as to resist lateral separation of the devices. In preferred systems, such connection may also provide increased resistance to expulsion due to the cooperation of the two devices. In particular, the system 210 includes a first fusion device 211 and a second fusion device 212. First fusion device 211 includes end pieces 213 having openings 214 serving as female members. Second fusion device 212 includes end pieces 215 having mating members 216 sized correspondingly to fit within openings 214 of device 212 and serve as male members. In this fashion, when devices 211 and 212 are assembled as depicted in FIG. 40, the two devices are connectedly mated so as to resist lateral separation from one another and/or expulsion, desirably acting more as a single unit when implanted in a patient. In this regard, devices 211 and 212 may be mated prior to implantation and implanted as a single unit : however, it is contemplated as preferred to implant a first of the devices, e. g. device 211, and then to implant the second device, e. g. 212, by pushing or sliding the second device in next to the first implanted device along the long axis, such that mating members 216 are received within openings 214 thus connecting the two devices to one another. (次に図40-42を参照すると、結合された融合装置を含む本発明のインプラントシステムが図示されており、装置は、装置の横方向の分離に抵抗するために互いに接続するような形態とされている。好ましいシステムにおいて、かかる接続は、2つの装置の協働によって押出しに対する増大した抵抗力を供給する。特に、システム210は、第一の融合装置211と、第二の融合装置212とを有している。第一の融合装置211は、雌型部材として機能する開口部214を有する端部片215(当審注:213の誤記と認められる。)を備えている。第二の融合装置212は、装置212(当審注:211の誤記と認められる。)の開口部214内に嵌まるような相応する寸法とされ且つ雄型部材ととして機能する結合部材216を有する端部片215を有している。このようにして、装置211と212が図40に図示されるように組み立てられたとき、2つの装置は、患者内に埋込まれたとき、単一のユニットとして、より望ましく作用して、互いの横方向の分離及び/又は押出しに抵抗するために、接続的に結合される。この点に関して、装置211と212は埋込み前に結合されて、単一のユニットとして埋込まれても良い。しかし、例えば装置211のような第一の装置を埋め込み、次に、結合部材216が開口部214内に受け入れられて2つの装置を互いに接続するように、第二の装置を長軸に沿って第一の埋込まれた装置の隣に押込み又は滑り入れることによって、例えば212のような第二の装置を埋込むことが好ましいと考えられる。」(明細書第22ページ第9?25行)

ケ.「With reference now to FIG. 44, illustrated in another implant system of the invention in which two adjacent fusion devices are connected to one another. In particular, system 230 includes a first fusion device 10 and a second fusion device 110 as described above. In addition, system 230 includes a relatively thin connecting plate 231 spanning the end pieces of devices 10 and 110. Connectors 232, for example screws, pins or the like, extend through plate 231 and into the end pieces of devices 10 and 110. In this case, such end pieces can include corresponding means for receiving connectors 232, for example a threaded hole in the case where connectors 232 are screws. Implant system 230 having devices 10 and 110 connected in this fashion at one or both ends will thus also desirably act more as a single unit within the patient, desirably adding torsional resistance. It is contemplated that the devices 10 and 110 may be connected prior to or after implant. In one mode, for example, devices 10 and 110 may be implanted separately in the nested relationship, and only a single plate 231 used to connect the proximal (more accessible) end pieces. (次に、図44を参照すると、隣接する2つの融合装置が互いに接続された、本発明の別のインプラントシステムが図示されている。特に、システム230は、上述したように第一の融合装置10と、第二の融合装置110とを有している。更に、システム230は、装置10と110の端部片とを跨ぐ比較的薄い接続板231を有している。例えば、ねじ、ピン等のようなコネクタ232が、板231を貫通して、装置10と110の端部片内に伸びている。この場合、かかる端部片は、例えば、コネクタ232がねじである場合のねじ付き穴のように、コネクタ232を受け入れる相応する手段を有することができる。このようにして、一端にて又は両端にて接続された装置10と110を有するインプラントシステム230もまた、患者の体内で単一のユニットとしてより望ましく作用し、捩れ抵抗力も望ましく加えられる。装置10と110は埋込みの前に又は後に接続されて良いと考えられる。例えば、一つの形態において、装置10と110は、入れ子式の状態で別個に埋込まれ、一つの板231のみが基端側(よりアクセスしやすい)の端部片を接続するために使用されても良い。)」(明細書第23ページ第13?26行)

コ.「In accordance with the present invention, the illustrated osteogenic fusion devices can be of the push-in or threaded-in type.(本発明によれば、図示した骨形成融合装置は、押込み式又はねじ込み型とすることができる。)」(明細書第24ページ第30?31行)

サ.図40?42には、インプラントシステム210が、各々、端部片213及び端部片215が結合されてなる2組の対向する端部片213,215,213,215に取り付けられ、該対向する端部片213,215,213,215の間を伸びる2本の細長い中央要素を有する点が図示されている。また、上記「キ.」の記載を参酌すると、引用文献における他の実施の形態と同様に、同図に図示されたインプラントシステム210における、上記2組の端部片213,215,213,215も、各々、隣接する椎骨に接触する骨接触面となる2つの対向面を有することは明らかであって、そうすると、同図には、当該2組の端部片213,215,213,215が、各々、前記2つの対向面の間の第一の寸法を有する点が図示されているといえる。さらに、図40に示された結合された状態の端部片213,215の同図左右方向の寸法は、上記第一の寸法に直交するものであり、同方向における最大寸法は、同図からみて上記第一の寸法よりも大きくされていることが明らかである。してみれば、当該左右方向の最大寸法を第二の寸法とすれば、同図には、上記2組の端部片213,215,213,215が、各々、第一の寸法に直交する第二の寸法を有し、前記第二の寸法が前記第一の寸法よりも大きくされる点が図示されているといえる。

ここで、上記「ウ.」、「カ.」の記載を参酌すると、上記「サ.」における「第一の寸法」は、隣接する椎骨間空間を維持し得るように設定されることが明らかであり、また、上記「オ.」の記載を参酌すると、同「第二の寸法」は、椎間板空間の横方向寸法を渡って伸びるのに十分な長さとなる程度の長さが意図されていることも明らかである。
また、図40?42に図示されたインプラントシステム210は、表面にねじ山が形成されたものではなく、上記「イ.」、「コ.」の記載も参酌すると、椎間板空間内に貫入式又は押込み式に埋込み得るものであることが明らかである。そして、上記「エ.」、「ク.」の記載からみれば、上記インプラントシステム210の有する「第一の融合装置211」と「第二の融合装置212」が当該「ク.」の記載における「荷重支承部材」に相当するものであるから、当該「荷重支承部材」が椎間板空間内に貫入式又は押込み式に埋込み得るものであることも明らかである。

上記事項及び図面の図示事項を総合勘案して、本願補正発明の発明特定事項の記載ぶりに則って整理すると、引用文献には、次のとおりの発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「隣接する椎骨間空間内での融合骨成長を促進するインプラントシステム210において、
椎間板空間内に貫入式に埋込み得るようにされた荷重支承部材211,212であって、各々、端部片213及び端部片215が結合されてなる2組の対向する端部片213,215,213,215と、該対向する端部片213,215,213,215に取り付けられ前記対向する端部片213,215,213,215の間を伸びる2本の細長い中央要素とを有する前記荷重支承部材211,212を備え、
前記対向する端部片213,215,213,215が、隣接する椎骨に接触する骨接触面となる、2つの対向面を有し、前記2組の端部片213,215,213,215は、各々、前記2つの対向面の間の第一の寸法と、該第一の寸法に直交する第二の寸法とを有し、前記第二の寸法が前記第一の寸法よりも大きく、該第一の寸法が、隣接する椎骨間空間を維持し得るように設定され、前記第二の寸法が、前記椎間板空間の横方向寸法を渡って伸びるのに十分な長さを有し、
前記中央要素が、前記対向する端部片213,215,213,215が隣接する椎骨に係合し脊柱荷重に抵抗するとき、前記中央要素の周りに空所を形成するように、対向する端部片213,215,213,215よりも著しく小さい直径を有する、インプラントシステム210。」

(3-2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、その機能・構造等からみて、後者の「隣接する椎骨間空間内での融合骨成長を促進するインプラントシステム210」は、前者の「隣接する椎骨間の椎間板空間内における融合骨成長を促進するインプラント」に相当し、以下同様に、「荷重支承部材211,212」は「荷重支承部材」に、「端部片213及び端部片215が結合されてなる2組の対向する端部片213,215,213,215」は「対向する端部片」に、「中央要素」は「中央要素」に、「隣接する椎骨に接触する骨接触面となる」は「隣接する椎骨に接触し且つ該椎骨を支持し得る形態とされた」に、「2つの対向面」は「2つの対向面」に、「第一の寸法」は「第一の寸法に」、「第二の寸法」は「第二の寸法」に、「前記対向する端部片213,215,213,215が隣接する椎骨に係合し脊柱荷重に抵抗するとき」は「隣接する椎骨が前記対向する端部片により支持されたとき」に、「前記中央要素の周りに空所を形成する」は「前記中央要素と隣接する椎骨との間に空所を画成し得る」に、及び「対向する端部片213,215,213,215よりも著しく小さい直径を有する」は「前記対向する端部片に対して寸法設定される」に、それぞれ相当する。

してみれば、本願補正発明と引用発明とは、
「隣接する椎骨間の椎間板空間内における融合骨成長を促進するインプラントにおいて、
前記椎間板空間内に貫入式に埋込み得るようにされた荷重支承部材であって、対向する端部片と、該対向する端部片に取り付けられ前記対向する端部片の間を伸びる細長い中央要素とを有する前記荷重支承部材を備え、
前記対向する端部片が、隣接する椎骨に接触し且つ該椎骨を支持し得る形態とされた、2つの対向面を有し、前記端部片は、各々、前記2つの対向面の間の第一の寸法と、該第一の寸法に直交する第二の寸法とを有し、前記第二の寸法が前記第一の寸法よりも大きく、該第一の寸法が、隣接する椎骨間空間を維持し得るように設定され、前記第二の寸法が、前記椎間板空間の横方向寸法を渡って伸びるのに十分な長さを有し、
前記中央要素が、隣接する椎骨が前記対向する端部片により支持されたとき、前記中央要素と隣接する椎骨との間に空所を画成し得るように、前記対向する端部片に対して寸法設定される、インプラント。」
である点で一致し、次の各点で相違する。

相違点1:本願補正発明の「対向する端部片」は、各々が「平面状の」2つの対向面を有しているのに対し、引用発明の「端部片213及び端部片215が結合されてなる2組の対向する端部片213,215,213,215」(対向する端部片)の各々が有する2つの対向面は、平面状ではない点。

相違点2:本願補正発明の「中央要素」が、対向する端部片の「各々の中央に」取り付けられるものであって、中央要素が1本であると認められるのに対し、引用発明の「中央要素」は、対向する端部片の各々の中央に取り付けられて中央の間を伸びるものではなく、その数も2本である点。

(3-3)判断
以下、上記各相違点について検討する。
(3-3-1)相違点1について
引用発明における2つの対向面の具体的な形状は、摘記事項「カ.」にも任意の幾何学的形状を取り得ることが示唆されているように、摘記事項「ウ.」?「オ.」に記載されたような引用発明の目的を達成することのできる範囲内で適宜変更可能であることが明らかであり、また、椎骨間空間内に配置されるインプラントの技術分野において、隣接する椎骨からの荷重を支承するための一対の部材における椎骨と接触する2つの対向面を「平面状」とすることは、本願の優先日前に周知の技術である(例えば、特表平9-503416号公報(FIG.26 の横スペーサ21)、国際公開第00/40177号(FIG.31A, FIG.31B の a first cortical bone portion 2 及び a second cortical bone portion 4)、国際公開第94/05235号(FIG.1 の side 11a, FIG.6 の side wall 31a)等参照。)。
してみれば、引用発明の「端部片213及び端部片215が結合されてなる2組の対向する端部片213,215,213,215」(対向する端部片)の各々が有する2つの対向面を特に「平面状」とすることも、当業者が容易に想到し得たことである。

(3-3-2)相違点2について
摘記事項「ク.」に記載されたとおり、引用発明においては、荷重支承部材が有する2組の対向する端部片213,215,213,215を埋込み前に結合し、インプラントシステム210全体を単一のユニットとして埋込むことも想定されている。さらに、引用文献には、図40?41とは異なる実施の形態である摘記事項「ケ.」及び図44に開示された、両端の端部片を板231やねじ等のコネクタ232でより強固に結合しているインプラントシステム230においても、埋込みの前に接続することが記載されている。一方、椎骨間空間内に配置されるインプラントの技術分野において、隣接する椎骨からの荷重を支承するための一対の部材を、各々、高さ方向の寸法よりも幅方向の寸法を大きくした単一の部材から構成することは、本願の優先日前に周知の技術であり(例えば、上記「(3-3-1)」において示した各周知例を参照。)、以上を考慮すれば、引用発明において、特にインプラントシステム210を単一のユニットとして埋込む場合のみを想定し、2組の対向する端部片213,215,213,215の各々を、高さ方向の寸法よりも幅方向の寸法が大きい単一の部材として構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
ここで、引用発明における対向する端部片の間に取り付けられる中央要素の具体的構成は、例えば、引用文献の図17?23にもその種々の改変例が示されているように、摘記事項「ウ.」?「オ.」に記載されたような引用発明の目的を達成することのできる範囲内で適宜変更可能であることは明らかであり、特に、上記のように対向する端部片の各々を単一の部材として構成した場合において、当該中央要素を、上記対向する端部片の各々の中央に取り付けられ、当該対向する端部片の中央の間を伸びる1本の中央要素として構成することも、当業者が適宜なし得た設計的事項に過ぎない。

そして、本願補正発明の効果も、引用発明及び上記各周知技術から当業者が予測可能な範囲内のものであり、格別のものではない。

よって、本願補正発明は、引用発明及び上記各周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(3-4)むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。

3.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項18に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成18年3月2日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項18に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「隣接する椎骨間の椎間板空間内における融合骨成長を促進するインプラントにおいて、
前記椎間板空間内に貫入式に埋込み得るようにされた荷重支承部材であって、対向する端部片と、該端部片の間を伸びる細長い中央要素とを有する前記荷重支承部材を備え、
前記対向する端部片が、隣接する椎骨に接触し且つ該椎骨を支持し得る形態とされた、平面状の2つの対向面を有し、前記端部片は、各々、前記2つの対向面の間の第一の寸法と、該第一の寸法に直交する第二の寸法とを有し、前記第二の寸法が前記第一の寸法よりも大きく、該第一の寸法が、隣接す
る椎骨間空間を維持し得るように設定され、前記第二の寸法が、前記椎間板空間の横方向寸法を渡って伸びるのに十分な長さを有し、
前記中央要素が、隣接する椎骨が前記対向する端部片により支持されたと
き、前記中央要素と隣接する椎骨との間に空所を画成し得るように、前記対向する端部片に対して寸法設定される、インプラント。」

4.引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記「2.(3-1)」に記載したとおりである。

5.対比・判断
本願発明は、本願補正発明における「中央要素」についての限定事項である「該対向する端部片の各々の中央に取り付けられ前記対向する端部片の中央の間を伸びる」との発明特定事項から、「各々の中央に取り付けられ前記対向する端部片の中央の」との発明特定事項を削除したものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに前記「2.(2)」に記載したように、他の発明特定事項を限定的に付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3-2),(3-3)」に記載したとおり、引用発明及び上記各周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様に、引用発明及び上記各周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記各周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-04-10 
結審通知日 2009-04-13 
審決日 2009-04-24 
出願番号 特願2002-528161(P2002-528161)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61F)
P 1 8・ 121- Z (A61F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 寺澤 忠司  
特許庁審判長 川本 真裕
特許庁審判官 高木 彰
中島 成
発明の名称 骨形成融合装置  
代理人 小林 泰  
代理人 小野 新次郎  
代理人 富田 博行  
代理人 伊藤 孝美  
代理人 千葉 昭男  
代理人 社本 一夫  
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