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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63B
管理番号 1204913
審判番号 不服2007-24  
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-01-04 
確定日 2009-10-08 
事件の表示 平成11年特許願第159617号「ゴルフクラブ」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 2月29日出願公開、特開2000- 61014〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成11年6月7日(国内優先権主張 平成10年6月11日)の出願(特願平11-159617号)であって、平成18年11月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成19年1月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同年2月5日付けで手続補正がなされたものである。
その後、平成21年4月7日付けで請求人に審尋がなされ、期間を指定して回答書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もない。

第2 平成19年2月5日付けの手続補正についての補正の却下の決定について

[補正の却下の決定の結論]
平成19年2月5日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成18年8月28日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載の、

「グリップと先細り状の中空管状のシャフトと、このシャフトの先端に設けたクラブヘッドとからなるゴルフクラブにおいて、前記シャフトの長さの中央の位置に、該シャフトの撓りに影響を与える調整体を密挿固定しており、
前記調整体は金属短管製で、両端の筒口から縦切り込みを互いに反対向きで均一な隣接間隔で筒口を円周方向に4等分して形成し、これらの一方の筒口からの縦切り込みと、他方の筒口からの縦切り込みとは、前記金属短管の中央付近において、先端部分が互いに隣接して重なる長さに形成されていることを特徴とするゴルフクラブ。」が

「グリップと先細り状の中空管状のシャフトと、このシャフトの先端に設けたクラブヘッドとからなるゴルフクラブにおいて、前記シャフトの長さの中央の位置に、このシャフトの撓りに影響を与える調整体を密挿固定しており、
前記調整体は金属短管製で、両端の筒口から縦切り込みを互いに反対向きで均一な隣接間隔で筒口を円周方向に4等分して形成し、これらの一方の筒口からの縦切り込みと、他方の筒口からの縦切り込みとは、前記金属短管の中央付近において、先端部が互いに隣接して重なるように形成されており、更に前記調整体は、前記シャフトの内部に押し込まれて前記両縦切り込みの間隔を狭めることにより、この調整体が元の外径に復元しようとして発生した弾性力により、この調整体の外周面を前記シャフトの内壁面に押圧して固定されていることを特徴とするゴルフクラブ。」と補正された。

そして、この補正は、調整体の固定方法について「前記シャフトの内部に押し込まれて前記両縦切り込みの間隔を狭めることにより、この調整体が元の外径に復元しようとして発生した弾性力により、この調整体の外周面を前記シャフトの内壁面に押圧して固定されている」と具体化して特定する補正事項を含むものであるから、特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮を目的とする補正を含む。
すなわち、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものを含む。

2 独立特許要件違反についての検討
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反しないか)について検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、平成19年2月5日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定されるものである。(上記「第2 平成19年2月5日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「1 本件補正について」の記載参照。)

(2)引用例
ア 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である実願昭51-99940号(実開昭53-19476号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、図面の記載とともに以下の事項が記載されている。(後述の「イ 引用例に記載された発明」の認定において直接関係する記載に下線を付した。)

「3.考案の詳細な説明
本案は金属管製ゴルフクラブシャフトの軽量化及び強度の向上を目的とする。
最近スチールシャフトに代り、軽量で弾力性にすぐれたカーボンシャフトが用いられているが、打球時に受けるひねりに対して弱く破損し易い欠点がある。この点を補うため超薄肉鋼管を心にして補強した複合型のカーボンシャフトも知られているが構造が複雑で製作に手間がかかり高価である。
これに対し従来のスチールシャフトは重いことを除けば、堅牢で弾力性もあり、バランスが良く廉価な点ですぐれている。そこでこれを可及的軽くするため薄肉管を用い、しかも強度を落とさないように、全長に所謂ステップを形成しているけれども、そのステップ特に打球時のたわみの支点となる部分のステップに応力が集中してその部分から屈曲又は折損することがあった。そのため管の肉厚を薄くするにも限度があった。
本案は上記の点に鑑み、より薄肉の鋼管を用いてしかも堅牢性を失わない構造簡単なゴルフクラブシャフトを提供するもので、シャフト1の少くとも打球時のたわみの支点付近2において、シャフト1内に補強プラグ3を挿入固着したことを特徴とする。
プラグ3の構造に限定はないけれども、シャフト1内に挿入する場合、シャフトの内面を傷付けないように、又位置決めのための若干の弾性を持つように、合成樹脂で例えば第2・3図のようにキャップ形に作り、必要により側面にスリット4を入れる。固着は接着剤を用いるを可とする。
プラグ3を図示例のように2個用いた場合、両プラグ3・3の間の空所に発泡ポリスチレンを充填することもある。
プラグを1個取付ける場合は、第4図に示すように、円板部3_(1)を中央にしてその上下に円筒部3_(2)・3_(3)が延びた形のものを用いるとよい。
本案ゴルフクラブシャフトは上記のように、特に打球時において応力が集中するたわみの支点付近2にプラグ3を挿入固着したから、そのプラグ3が節効果を奏して外力に対してシャフト1を補強する。従って従来のシャフトよりも肉薄の管材を用いてもたわみの支点付近2の屈曲・折損がなく、軽量で強靱なシャフトが得られる。
なお本案はステップ付のシャフトにも適用できるもので、その場合ステップをプラグ3の位置決め段部として利用できる。そして特に応力集中のあるたわみの支点付近をプラグによって補強するから、シャフトはステップ付であっても肉薄管を用いることができる。
プラグ3はシャフト1のたわみの支点付近のみならず、その他の必要位置又はシャフト1の全長にわたって取付けることもある。その場合各プラグの硬さ、プラグ相互の間隔を変えることによってシャフトのキックポイントを調節することができる。」(明細書第1ページ第7行?第4ページ第5行)

第1図から、シャフト1の一方の端部にヘッドが、反対側の端部にはグリップが設けられていることが見て取れる。

また、第1,2図から、シャフト1は、先細り形状となっていることが見て取れる。なお、シャフト1における先細り形状は、技術常識を勘案して、通常の周知の形状であるといえる。

第4図から、プラグ3は、円板部3_(1)からその上下に延びた円筒部3_(2)・3_(3)には、両端の筒口から縦切り込みが、互いに反対向きに設けられ、該縦切り込みは、少なくとも上側においては、略均一な隣接間隔で円周方向に4等分して形成され、また、上側の縦切り込みと下側の縦切り込みは、互いに円周方向にずれた位置に設けられていることが見て取れる。

イ 引用例に記載された発明の認定
上記記載事項から、引用例には、ゴルフクラブに関し、
「先細り形状の薄肉の鋼管のシャフト1と、その一方の端部に設けられたヘッドと、反対側の端部に設けられたグリップとからなるゴルフクラブにおいて、シャフトの必要位置に、外力に対してシャフト1を補強するプラグ3を挿入固着しており、
プラグ3は、円板部3_(1)を中央にしてその上下に円筒部3_(2)・3_(3)が延びた形のものであり、円板部3_(1)からその上下に延びた円筒部3_(2)・3_(3)には、両端の筒口から縦切り込みが、互いに反対向きに設けられ、該縦切り込みは、少なくとも上側においては、略均一な隣接間隔で円周方向に4等分して形成され、また、上側の縦切り込みと下側の縦切り込みは、互いに円周方向にずれた位置に設けられており、
また、プラグ3は位置決めのための若干の弾性をもつゴルフクラブ。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(3)本願補正発明と引用発明との対比
ア 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

引用発明の「先細り形状の薄肉の鋼管のシャフト1と、その一方の端部に設けられたヘッドと、反対側の端部に設けられたグリップとからなるゴルフクラブ」は、本願補正発明の「グリップと先細り状の中空管状のシャフトと、このシャフトの先端に設けたクラブヘッドとからなるゴルフクラブ」に相当する。

引用発明の「プラグ3」は、「外力に対してシャフト1を補強する」ものであるから、シャフトの撓みに影響を与えるものであるということができ、本願補正発明の「調整体」に相当するといえる。したがって、引用発明の「シャフトの必要位置に、外力に対してシャフト1を補強するプラグ3を挿入固着して」いることと、本願補正発明の「シャフトの長さの中央の位置に、該シャフトの撓りに影響を与える調整体を密挿固定して」いることとは、「シャフトの長さの所定の位置に、該シャフトの撓りに影響を与える調整体を密挿固定して」いることで一致する。

引用発明の「プラグ3は、円板部3_(1)を中央にしてその上下に円筒部3_(2)・3_(3)が延びた形のもの」であることと、本願補正発明の「調整体は金属短管製」であることとは、「調整体は上端及び下端にそれぞれ開口部を有する筒状部分を有する」ことで一致している。

引用発明の「円筒部3_(2)・3_(3)には、両端の筒口から縦切り込みが、互いに反対向きに設けられ」ていることは、本願補正発明の「両端の筒口から縦切り込みを互いに反対向き」に形成していることに相当する。

引用発明の「縦切り込みは、少なくとも上側においては、略均一な隣接間隔で円周方向に4等分して形成され」ていることと、本願補正発明の「縦切り込みを・・・均一な隣接間隔で筒口を円周方向に4等分して形成し」たこととは、「縦切り込みを・・・少なくとも上側においては、均一な隣接間隔で筒口を円周方向に4等分して形成し」たことで一致する。

引用発明の「上側の縦切り込みと下側の縦切り込みは、互いに円周方向にずれた位置に設けられて」いることと、本願補正発明の「これらの一方の筒口からの縦切り込みと、他方の筒口からの縦切り込みとは、前記金属短管の中央付近において、先端部が互いに隣接して重なるように形成されて」いることとの対比において、上側の縦切り込みと下側の縦切り込みが「先端部が互いに隣接して重なるように形成」できるための構造は、両者が「互いに円周方向にずれた位置」にある構造を有しているといえる。よって、引用発明の「上側の縦切り込みと下側の縦切り込みは、互いに円周方向にずれた位置に設けられて」いることと、本願補正発明の「これらの一方の筒口からの縦切り込みと、他方の筒口からの縦切り込みとは、前記金属短管の中央付近において、先端部が互いに隣接して重なるように形成されて」こととは、「これらの一方の筒口からの縦切り込みと、他方の筒口からの縦切り込みとは、互いに円周方向にずれた位置に設けられて」いる点で一致する。

引用発明の「プラグ3は位置決めのための若干の弾性をもつ」ことと、本願補正発明の「前記調整体は、前記シャフトの内部に押し込まれて前記両縦切り込みの間隔を狭めることにより、この調整体が元の外径に復元しようとして発生した弾性力により、この調整体の外周面を前記シャフトの内壁面に押圧して固定されている」こととは、「調整体は径方向に伸縮する弾性を有し、当該弾性により保持される」ことで一致する。

イ 一致点
よって、本願補正発明と引用発明は、
「グリップと先細り状の中空管状のシャフトと、このシャフトの先端に設けたクラブヘッドとからなるゴルフクラブにおいて、前記シャフトの長さの所定の位置に、このシャフトの撓りに影響を与える調整体を密挿固定しており、
前記調整体は上端及び下端にそれぞれ開口部を有する筒状部分を有し、両端の筒口から縦切り込みを互いに反対向きに形成し、少なくとも上側においては、均一な隣接間隔で筒口を円周方向に4等分して形成し、これらの一方の筒口からの縦切り込みと、他方の筒口からの縦切り込みとは、互いに円周方向にずれた位置に設けられ、更に前記調整体は、径方向に伸縮する弾性を有し、当該弾性により保持されるゴルフクラブ。」の発明である点で一致し、次の各点で相違する。

ウ 相違点
(ア)相違点1
調整体のシャフトへの固定位置に関して、本願補正発明は「シャフトの長さの中央の位置」としているのに対し、引用発明においては、そのような限定がなされていない点。

(イ)相違点2
調整体の素材に関して、本願補正発明は「金属(製)」としているのに対し、引用発明においては、そのような限定がなされていない点。

(ウ)相違点3
調整体の形態に関して、本願補正発明は「短管」であるのに対し、引用発明においては「円板部3_(1)を中央にしてその上下に円筒部3_(2)・3_(3)が延びた形」である点。

(エ)相違点4
調整体の両端からの縦切り込みに関し、本願補正発明においては「両端の筒口から縦切り込みを互いに反対向きで均一な隣接間隔で筒口を円周方向に4等分して形成し」たものであるのに対し、引用発明においては「両端の筒口から縦切り込みが、互いに反対向きに設けられ、該縦切り込みは、少なくとも上側においては、略均一な隣接間隔で円周方向に4等分して形成され」るものである点。

(オ)相違点5
調整体の、互いに円周方向にずれた位置に設けられた、両端からの縦切り込みに関し、本願補正発明は「これらの一方の筒口からの縦切り込みと、他方の筒口からの縦切り込みとは、前記金属短管の中央付近において、先端部が互いに隣接して重なるように形成されて」いるものであるのに対し、引用発明においては、そのような限定がなされていない点。

(カ)相違点6
本願補正発明は「調整体は、シャフトの内部に押し込まれて前記両縦切り込みの間隔を狭めることにより、この調整体が元の外径に復元しようとして発生した弾性力により、この調整体の外周面を前記シャフトの内壁面に押圧して固定されている」のに対して、引用発明においては、そのような限定がなされていない点。

(4)当審の判断
ア 上記各相違点について検討する。
(ア)相違点1について
プラグ3(調整体)の固定位置について、引用発明においては「必要位置」とされており、引用例で示唆される、調節したい所望のキックポイント位置に応じて適宜設定し得る。したがって、シャフトの中央の位置とすることも、その必要性に応じて適宜設定し得た事項に過ぎない。

(イ)相違点2について
調整体(プラグ)の素材については、強度や重さなどを勘案して当業者が適宜設定し得たものである。
引用発明においても、調整体を金属製とすることは、当業者が、必要に応じて適宜選択し得た事項に過ぎない。

(3)相違点3について
ゴルフシャフトのシャフト内に挿入する補強材として、「短管」(短筒)状のものは、例えば、
・実公昭54-40144号公報(第1ページ右欄第8?10行、第2?5図参照。)
・実願昭51-123257号(実開昭53-42768号)のマイクロフィルム(第2ページ第7?12行、第2,3図参照。)
にも記載されているように周知の技術である。
引用発明においても、上記周知技術を勘案して、プラグ3の中央部の円板部を除去し、プラグを「短管」形状として、上記相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(エ)相違点4について
両端の筒口から互いに反対向きに設けられる縦切り込みについて、引用発明においては、「少なくとも上側においては、略均一な隣接間隔で円周方向に4等分して形成され」ており、下側に設けられた縦切り込みの位置や数については明確でない。しかしながら、上側と下側で弾性力を違える必然性もないことを勘案すれば、下側についても、縦切り込みの数を上側と同じとし、また、上側と同様に、隣接間隔で円周方向に等分して形成するとすることも当業者が容易に設定し得ることである。
すなわち、下側の端部から設けられる縦切り込みについても、上側と同様に、略均一な隣接間隔で円周方向に4等分して形成されるとして、「両端の筒口から縦切り込みを互いに反対向きで均一な隣接間隔で筒口を円周方向に4等分して形成し」たとすることに格別の困難性は認められない。

(オ)相違点5について
切り込みの長さについては、調整体(プラグ)の要求される径方向の弾性等に応じて適宜設定し得るものである。
したがって、引用発明の調整体における、互いに円周方向にずれた位置に設けられた、両端からの縦切り込みを、必要に応じて「中央付近において、先端部が互いに隣接して重なる」位置にまで延ばして、上記相違点5に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得たことである。

(カ)相違点6について
引用発明には、シャフト内にプラグ(調整体)を保持(位置決め)する手法として、径方向の弾性力を用いることが記載されているから、技術常識を勘案すれば、弾性力を強めて固定することについても周知の技術であるといえる。
したがって、引用発明において、固定の手法として、「両縦切り込みの間隔を狭めることにより、この調整体が元の外径に復元しようとして発生した弾性力により」固定する手法を採用して、上記相違点6に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、上記周知技術を勘案して、引用発明から当業者が容易に想到し得たものといえる。

イ 本願補正発明の奏する作用効果
そして、本願補正発明によってもたらされる効果は、引用発明及び上記の周知技術から当業者が予測し得る程度のものである。

ウ まとめ
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3 むすび
したがって、本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるということができないから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成19年2月5日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年8月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記「第2 平成19年2月5日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「1 本件補正について」の記載参照。)

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項及び引用発明については、上記「第2 平成19年2月5日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(2)引用例」に記載したとおりである。

3 対比・判断
上記「第2 平成19年2月5日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「1 本件補正について」に記載したように、本願発明に対して、調整体の固定方法について「前記シャフトの内部に押し込まれて前記両縦切り込みの間隔を狭めることにより、この調整体が元の外径に復元しようとして発生した弾性力により、この調整体の外周面を前記シャフトの内壁面に押圧して固定されている」と特定する補正事項を付加したものが本願補正発明である。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 平成19年2月5日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(3)本願補正発明と引用発明との対比」及び「(4)当審の判断」において記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-08-06 
結審通知日 2009-08-11 
審決日 2009-08-25 
出願番号 特願平11-159617
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63B)
P 1 8・ 575- Z (A63B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 森林 克郎
武田 悟
発明の名称 ゴルフクラブ  
代理人 斎下 和彦  
代理人 斎下 和彦  
代理人 野口 賢照  
代理人 小川 信一  
代理人 野口 賢照  
代理人 小川 信一  

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