• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16L
管理番号 1204947
審判番号 不服2008-7088  
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-21 
確定日 2009-10-08 
事件の表示 特願2002-195664「圧力脈動吸収装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 2月 5日出願公開、特開2004- 36778〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願の発明
本願は、平成14年7月4日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年6月25日付の手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「液圧回路の主配管から分岐してサイドブランチを設け、このサイドブランチ内に、多数の小孔を備えた複数の多孔板を間隔を置いて設けることにより、上記小孔での粘性抵抗によって圧力脈動を減衰させる脈動吸収体を構成し、かつ、上記多孔板に対する液体の通過抵抗がサイドブランチの先端に向かうに従って漸増するように各多孔板の小孔の個数をサイドブランチ先端に向かって漸減させたことを特徴とする圧力脈動吸収装置。」

2.引用例
(1)これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-145271号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

・「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、いわゆる水撃作用から配管,蛇口機器,水力機械等を保護するためのウォータハンマ防止器の改良に関し、小型化と耐久性に優れたものである。」

・「【0016】
【実施例】本発明に係るウォータハンマ防止器の実施例につき、図面により具体的に説明する。図1は本発明に係る第1実施例のウォータハンマ防止器10の基本構成を示す断面図であり、図2は第2実施例のウォータハンマ防止器10の斜視図,図3は同上実施例の断面図を示している。
【0017】先ず、本発明に係るウォータハンマ防止器10は、水道管1の配管途上に設けた分岐接続管2に対して、その接続具11に設けた螺子部11Aを螺着して設置される。上記接続具11は、その入口にオリフィス13を付設するほか、上方に拡口フランジ部11Bを形成している。上記拡口フランジ部11Bには下方が開口した円筒状(直径30mm前後,長さ30mm前後)の本体ケース15が被冠され、この本体ケース15内には、ゲル又はゴムを基材17としこれに有弾性の外殻を有する微小中空体17Aを添加して形成されるシンタクティックフォームからなる緩衝材19が装着(充填)されている。上記緩衝材19の表面(本体ケース15の開口側)に、伸縮性保護膜21が密着して装着されており、上記3つの部材11B,15,21の外周縁11C,15A,21Aを締付リング23で一体にカシメている。」

・「【0025】又、図2?3において本発明の第2実施例を示す。本実施例は上記第1実施例において、接続具11のオリフィス13と対向する緩衝材19の伸縮性保護膜21の表面に接近して小孔27Aを持つ目皿体27を介装させている。この小孔27Aの孔径(a)は、オリフィス13の孔径(b)よりも小さく設定されている。
【0026】上記第2実施例の場合には、オリフィス13で水撃エネルギーを一次減衰するとともに、目皿体27の小孔27Aで二次減衰した上で最終的に緩衝材19により減衰するから、三段階に水撃エネルギーを減衰し、水撃エネルギーのピーク値を低く抑える減衰効果と水撃のピーク後の振動減衰を早められるという作用効果がある。」

・図3には、水道管1から分岐して分岐接続管2、接続具11及び本体ケース15からなる分岐部を設け、この分岐部内に、板状の部分にオリフィス13を持つ接続具11の入口と小孔27Aを持つ目皿体27を間隔を置いて設け、少なくとも上記オリフィス13と上記目皿体27の小孔27Aで振動減衰がなされる振動減衰手段が構成され、かつ、上記目皿体27が上記接続具11の底面部よりも水道管1から離れて配置された構成のウォータハンマ防止器10が示されている。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用例1には第2実施例に係る次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「水道管1から分岐して分岐接続管2、接続具11及び本体ケース15からなる分岐部を設け、この分岐部内に、板状の部分にオリフィス13を持つ接続具11の入口と小孔27Aを持つ目皿体27を間隔を置いて設けることにより、水撃エネルギーを上記オリフィス13で一次減衰させるとともに、上記目皿体27の小孔27Aで二次減衰させる振動減衰手段を構成し、かつ、上記接続具11の入口よりも水道管1から離れて配置された上記目皿体27の小孔27Aの孔径(a)が上記オリフィス13の孔径(b)よりも小さく設定されたウォータハンマ防止器10。」

(2)同じく、引用された特開平8-14469号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

・「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油圧ポンプの圧油により油圧アクチュエータを駆動して所要の作業を行なう油圧作業機等の油圧機構において、配管内に生じている油圧脈動を減少させる油圧脈動低減装置に関する。」

・「【0010】図2は本発明の第2の実施例に係る油圧脈動低減装置の断面図である。この図で、図1に示す部分と同一又は等価な部分には同一符号が付してある。図で、54はサイドブランチ5の分岐部分に設けられた第2の通路、55は第3の通路である。図1に示す装置では、分岐部分に形成された通路は第2の通路53のみであるが、本実施例では、第2の通路54と第3の通路55の2つが形成されている。第2の通路54および第3の通路55の長さはL_(1) 、それらの内径はそれぞれr_(2) 、r_(3) であり、いずれも第1の通路51の内径より小さい。なお、分岐部分に形成する各通路は3つ以上設けることもできるし、同一径とすることもできる。」

・「【0021】
【発明の効果】以上述べたように、本発明では、配管とサイドブランチとの分岐部分に、サイドブランチの内径より小さい径の通路を1つ又は複数介在させたので、当該通路の数や径を適切に選択することにより、脈動の通過を容易にし、従来のサイドブランチに比較して、より大きな低減効果を得ることができ、かつ、低減周波数帯域も広くすることができる。」

3.対比
本願発明と引用発明を対比すると、後者の「水道管1」は前者の「液圧回路の主配管」に相当し、後者の「分岐接続管2、接続具11及び本体ケース15からなる分岐部」は前者の「サイドブランチ」に相当している。
また、後者において「接続具11の入口」は「オリフィス13を持つ」板状の部分であるから後者の「オリフィス13を持つ接続具11の入口と小孔27Aを持つ目皿体27」と前者の「多数の小孔を備えた複数の多孔板」とは、「小孔を備えた複数の孔板」との概念で共通している。
次に、後者の「水撃エネルギーをオリフィス13で一次減衰させるとともに、目皿体27の小孔27Aで二次減衰させる振動減衰手段」は前者の「小孔での粘性抵抗によって圧力脈動を減衰させる脈動吸収体」に相当している。
さらに、後者の「接続具11の入口よりも水道管1から離れて配置された目皿体27の小孔27Aの孔径(a)がオリフィス13の孔径(b)よりも小さく設定された」態様と前者の「多孔板に対する液体の通過抵抗がサイドブランチの先端に向かうに従って漸増するように各多孔板の小孔の個数をサイドブランチ先端に向かって漸減させた」態様とは、「孔板に対する液体の通過抵抗がサイドブランチの先端に向かうに従って漸増するように各孔板の小孔の総断面積をサイドブランチ先端に向かって漸減させた」との概念で共通している。
加えて、後者の「ウォータハンマ防止器10」は前者の「圧力脈動吸収装置」に相当している。

したがって、両者は、
「液圧回路の主配管から分岐してサイドブランチを設け、このサイドブランチ内に、小孔を備えた複数の孔板を間隔を置いて設けることにより、上記小孔での粘性抵抗によって圧力脈動を減衰させる脈動吸収体を構成し、かつ、上記孔板に対する液体の通過抵抗がサイドブランチの先端に向かうに従って漸増するように各孔板の小孔の総断面積をサイドブランチ先端に向かって漸減させた圧力脈動吸収装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
「孔板」に関し、本願発明は、「多数の」小孔を備えた複数の「多孔板」であるのに対し、引用発明は、「板状の部分にオリフィス13を持つ接続具11の入口と小孔27Aを持つ目皿体27」、即ち、それぞれが「1つの」小孔を備えた「接続具11の入口と目皿体27」である点。
[相違点2]
サイドブランチ先端に向かって漸減させた、各「孔板」の小孔の「総断面積」に関し、本願発明が、各「多孔板」の小孔の「個数」により規定されているのに対し、引用発明は、「目皿体27の小孔27Aの孔径(a)がオリフィス13の孔径(b)よりも小さく設定された」関係として規定されている点。

4.判断
上記相違点について以下検討する。

引用例2には、サイドブランチ内に、多数の小孔を備えた多孔板(「小さい径の通路を複数介在させた分岐部分」が相当)を設け、該小孔(「通路」が相当)の数や径を適切に選択することにより、圧力脈動(「油圧脈動」が相当)に対して、大きな低減効果を得るようにした技術(以下、「引用例2の技術」という。)が開示されている。
引用発明において、圧力脈動の低減効果を向上させることは当然に要求されるべき課題であるといえるから、かかる課題の下に、引用例2の技術を採用し、圧力脈動を減衰させるための「オリフィス13を持つ接続具11の入口」と「小孔27Aを持つ目皿体27」のそれぞれを「多数の小孔を備えた多孔板」に替えるとともに、その孔の数を適切に選択することで、単一の孔の径の大小に替えて同一径の多数の小孔の個数を変えることにより、すなわち、接続具11の入口よりも水道管1から離れて配置された上記目皿体27の小孔27Aの孔径(a)を上記オリフィス13の孔径(b)よりも小さく設定する手段として目皿体27の小孔の数を、オリフィス13に替わる多数の小孔の数よりも少なくすることで、相違点1及び2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものというべきである。

そして、本願発明の全体構成により奏される効果も、引用発明及び引用例2の技術から当業者が予測し得る範囲内のものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例2の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-08-04 
結審通知日 2009-08-11 
審決日 2009-08-24 
出願番号 特願2002-195664(P2002-195664)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F16L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邉 洋  
特許庁審判長 田良島 潔
特許庁審判官 槙原 進
仁科 雅弘
発明の名称 圧力脈動吸収装置  
代理人 村松 敏郎  
代理人 小谷 悦司  
代理人 村松 敏郎  
代理人 小谷 悦司  
代理人 小谷 昌崇  
代理人 小谷 昌崇  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ