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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200680195 審決 特許
無効2009800179 審決 特許

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審決分類 審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A01M
管理番号 1205899
審判番号 無効2008-800079  
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-05-01 
確定日 2009-10-14 
事件の表示 上記当事者間の特許第3609212号発明「水田雑草の生育抑制方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3609212号の請求項1ないし3に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第3609212号(以下,「本件特許」という。)の手続の経緯の概要は,次のとおりである。

平成 8年 8月12日 本件特許出願(特願平8-231361号)
平成16年10月22日 特許査定 (請求項1ないし3)
平成20年 5月 1日 無効審判請求(無効2008-800079号)
7月25日 答弁書提出 (被請求人)
訂正請求書提出 (被請求人)
8月27日 弁駁書提出 (請求人)
10月24日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)
口頭審理陳述要領書提出(請求人)
上申書提出 (請求人)
口頭審理
審理終結

第2 当事者の主張
1 請求人の主張の概略
請求人は,本件特許の請求項1ないし3に係る発明についての特許を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由として,本件特許の請求項1ないし3に係る発明は,甲第1号証の1と同一であるから特許法第29条第1項第3号により特許を受けることができないものであり,また,甲第1号証の1及び/又は甲第2号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項により特許を受けることができないものであり,同法第123条第1項第2号の規定に該当し無効とされるべきものである,と主張している。
そして,証拠方法として,甲第1号証の1ないし甲第1号証の3,甲第2号証及び参考資料1を提出している。

[証拠方法]
甲第1号証の1:農業技術大系 追録第15号・1993年
作物編 2-(マル2) 技522の9の82?87頁
「麦わら,有機質肥料の表面施用」
(社団法人 農山漁村文化協会 発行)
甲第1号証の2:甲第1号証の1の表紙,目次及び奥付
甲第1号証の3:農業技術大系 追録第15号 利用の手引き
1993年12月1日
(社団法人 農山漁村文化協会 発行)
甲第2号証 :日本農業新聞(1996年(平成8年)5月13日号
(月曜日)・全国新聞情報農業協同組合連合会 発行)
参考資料1 :「四訂 日本食品標準成分表」55頁 (科学技術庁
資源調査会報告 第87号 昭和57年10月26日
「日本食品標準成分表の改訂に関する調査報告」;
科学技術庁資源調査会編)

2 被請求人の主張の概略
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由として,訂正後の請求項1ないし3に係る発明は,甲第1号証の1に記載された発明と同一ではなく,甲第1号証の1及び甲第2号証に記載された発明から容易に発明できたものでもないから,特許法第29条第1項第3号及び同第29条第2項の規定に違反されて特許されたものではなく,同第123条第1項第2号の無効理由に該当しないものである,と主張している。
また,答弁書及び口頭審理において,主として次の主張をしている。
(1)米ぬかは「澱粉含量の多い炭水化物材料」に含まれる。
(2)甲第1号証の1は,実験データに信憑性がなく発明として完成していないものである。
そして,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。

[証拠方法]
乙第1号証:社団法人中央畜産会,日本飼養標準・乳牛(2006年版)
第78頁
乙第2号証:ウエブサイト「女性のための美容・健康・ダイエット」
の米ぬかの成分表
乙第3号証:東亜DKK株式会社製の酸素濃度測定機の写真

第3 訂正請求について
1 訂正の内容
平成20年7月25日付け訂正請求(以下,「本件訂正」という。)は,本件特許の明細書を,訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであり,次の事項をその訂正内容とするものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「田面に澱粉含量の多い」とあるのを,「入水した田面に澱粉含量の多い」と訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「田面に澱粉含量の多い」とあるのを,「入水した田面に澱粉含量の多い」と訂正する。

2 訂正の適否
(1)訂正の目的について
訂正事項1の訂正内容は,訂正前の請求項1に記載された「田面」を,「入水した田面」と限定するものであるから,特許請求の範囲を減縮するものといえる。
また,訂正事項2の訂正内容は,訂正前の請求項2に記載された「田面」を,「入水した田面」と限定するものであるから,と限定するものであるから,特許請求の範囲を減縮するものといえる。
(2)新規事項の有無,特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1及び2は,本件特許の明細書の段落【0004】,【0005】及び【0020】の記載を根拠とするものであり,いずれも,本件特許の明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであって,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

3 まとめ
以上のとおり,訂正事項1及び2は,特許法第134条の2第1項ただし書き及び同条第5項において準用する同法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので,本件訂正を認める。

第4 本件発明
前述のとおり,本件訂正は認められるから,本件特許の請求項1ないし3に係る発明(以下,「本件発明1」等という。)は,訂正された明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

(本件発明1)
「入水した田面に澱粉含量の多い炭水化物材料を散布し、散布した炭水化物材料の微生物による分解により水田表土及び田面水中の酸素を消費し、これによって、水田の表層及び田面水中の酸素を欠乏させて水田雑草の発芽及び生育を抑制することを特徴とする水田雑草の生育抑制方法。」

(本件発明2)
「入水した田面に澱粉含量の多い炭水化物材料を散布し、散布した炭水化物材料の分解による水田土壌の還元、炭水化物材料の構成物質の一部のコロイド化及び水田土壌の土壌組織のコロイド化により、田面水の透明度を悪くし、これによって、田面水を通る太陽光線を遮断して水田雑草の生育を抑制することを特徴とする水田雑草の生育抑制方法。」

(本件発明3)
「前記炭水化物材料の散布を田植と同時に、又は田植の直後に行う請求項1又は2に記載の水田雑草の生育抑制方法。」

第5 無効理由についての判断
1 証拠の記載事項
(1)甲第1号証の1の記載事項
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証の1には,「麦わら,有機質肥料の表面施用」に関して,図面とともに,次の事項が記載されている。
(イ)「このように,移植後に,・・・苗の上方から散布し水田の表面を被覆すれば,雑草抑制効果が高いことが認められた。」(技522の9の82左欄第28行?第31行)
(ロ)「(2)菜種油かす,米ぬかの表面施用
比較的入手しやすい有機質肥料である菜種油かすと米ぬかを用いて,移植当日あるいは1日後に,それぞれをm^(2)当たり20?250g散布したところ,これらの20?40gの散布では雑草抑制効果は不充分であり,40?60g以上の散布で概ね雑草の増加を抑制することができた。特に,これらを100?250g散布し,その後水深3?5cmのやや深水状態を維持すると,無除草区に対する雑草風乾重の割合は5?14%となった(第2図)。また,雑草の草種別にみると,処理量の増加とともにほとんどの草種が減少する傾向であった。
このように,移植後に,菜種油かすあるいは米ぬかをm^(2)当たり100?200g散布し,5cm程度のやや深水状態を維持すれば,雑草抑制効果が高いことが認められた。」(技522の9の82右欄第2行?同83左欄8行)
(ハ)「(2)菜種油かす,米ぬかの表面施用
「菜種油かす,米ぬかなど有機質肥料による雑草抑制作用の要因としては,生育阻害物質の存在,異常還元,遮光の影響などが考えられ,これらが総合的に作用していると推測される。・・・
(マル2)異常還元
異常還元による雑草の発芽阻害についてはすでに触れたが,菜種油かすあるいは米ぬかをm^(2)当たり300g表面施用し,その後の酸化還元電位の変化をみると,・・・施用1日後には-290mV,-190mV程度と急速に低下しており,その後は,ゆるやかな増減を繰り返している(第3図)。
このように,菜種油かすや米ぬかを表面施用した場合も麦わらの表面施用の場合と同様に,異常還元状態となって還元性物質が発生し,雑草の発芽を阻害すると考えられる。
(マル3)遮光
菜種油かすや米ぬかを表面施用すると,これらは水面上をよく拡散し,風がある場合は一方に流される傾向はあるが,数分間で沈下して土壌表面を被覆する。・・・
こうしたことから,菜種油かすあるいは米ぬかを表面施用した場合も,土壌表面の被覆による遮光効果が充分考えられる。」(技522の9の84左欄第31行?同85右欄第2行)
(ニ)「(2)菜種油かす,米ぬかの表面施用
移植後に菜種油かすや米ぬかをm^(2)当たり100?200g程度表面施用した場合,腐敗臭がただよい,イネの生育抑制や葉身の黄化,下葉枯れ,葉鞘の肥大不良がみられることがある。
しかし,これらの生育障害に対しては,雑草抑制効果と,有機質肥料としての肥料効果のほうが大きいと考えられる。また,施肥により症状はかなり回復する(第2表)。
(ホ)「(2)菜種油かす,米ぬかの表面施用
(マル1)施用時期
菜種油かす,米ぬかの施用時期は移植当日を基準としたが,麦わらの場合と同様に,施用は移植後できるだけ早期に行ったほうがよいであろう。
(マル2)施用量
m^(2)当たり100?200gを施用し,水深3?5cmのやや深水状態を維持した場合が,雑草抑制効果が高いことから,m^(2)当たり100?200g(10a当たり100?200kg)が適量であろう。
(マル3)施用方法のまとめ
以上のことから,菜種油かすあるいは米ぬかの表面施用により雑草抑制効果をはかるには,移植後できるだけ早期にこれらをm^(2)当たり100?200g程度施用し,施用後は5cm程度のやや深水状態を維持する。」(技522の9の86右欄第20行?同87左欄第2行)
(ヘ)第2図には「菜種油かすおよび米ぬかの表面施用が雑草発生量に及ぼす影響」が,また第3図には「麦わら,菜種油かすおよび米ぬかを表面施用後の酸化還元電位の変化(地表面)」が,それぞれ示されている。
よって,上記記載事項(イ)ないし(ヘ)を総合すると,甲第1号証の1には,次の発明(以下,「甲1発明」という。)が開示されているものと認められる。

(甲1発明)
「移植当日あるいは1日後の水田の表面に,米ぬかをm^(2)当たり100?200g(10a当たり100?200kg)散布し,雑草の発芽阻害及び雑草抑制効果を得る方法。」

(2)甲第2号証の記載事項
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証には,「水田に米ぬか 雑草抑え肥料効果 低コストで味良く 宮城」とのタイトルに関して,写真とともに次の事項が記載されている。
(ト)「・・・米ぬかは、田植えの十日ほど前に十アール当たり二百キロほど散布する。すき込まず、そのまま田植えする。散布量は、『土ができるに従って減らせるため、5年後は150キロでも十分』という。・・・米ぬかは田植え後十?二十日で分解し、水が真っ黒になり太陽熱を吸収。地温が慣行より二?三度高くなるため『低温にも強い田』になる。・・・雑草は、ヒエを除いてほとんど生えない。『雑草の八割以上は抑制できる』と佐々木さんは指摘する。・・・」

(3)参考資料1の記載事項
本件特許の出願前に頒布された刊行物である参考資料1には,米ぬか100g当たり炭水化物である「糖質」が38.3g含まれていることが示されている。

(4)乙第1号証の記載事項
乙第1号証には,米ヌカの組成中,「可溶無窒素物」が38.2%であることが示されている。

(5)乙第2号証の記載事項
乙第2号証には,米ぬか100g当たり「炭水化物・糖質」が38.3g含まれていることが示されている。

2 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると,移植日以降の水田が入水したものであることは明らかであるから,甲1発明の「移植当日あるいは1日後の水田の表面」は本件発明1の「入水した田面」に相当する。
また,参考資料1,乙第1号証及び乙第2号証には「米ぬか」が炭水化物である糖質を多く含むことが示されており,「米ぬか」の糖質はその大部分が澱粉質であると考えられることから,甲1発明の「米ぬか」は本件発明1の「澱粉含量の多い炭水化物材料」に相当する。
そして,甲1発明の「雑草の発芽阻害及び雑草抑制効果を得る方法」は,記載事項(ヘ)の第2図等からも明らかなように,全体として水田雑草の生育を抑制するものであるから,本件発明1の「水田雑草の発芽及び生育を抑制する水田雑草の生育抑制方法」に相当する。
してみれば,両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。
<一致点1>
「入水した田面に澱粉含量の多い炭水化物材料を散布し,水田雑草の発芽及び生育を抑制する水田雑草の生育抑制方法。」
<相違点1>
入水した田面に澱粉含量の多い炭水化物材料を散布した際に,本件発明1は「散布した炭水化物材料の微生物による分解により水田表土及び田面水中の酸素を消費し、これによって、水田の表層及び田面水中の酸素を欠乏させて」という現象作用が生じるのに対し,甲1発明はそのような現象作用が生じているか否か不明である点。

(2)判断
上記相違点1について検討する。上記相違点1に係る現象作用は,入水した田面に澱粉含量の多い炭水化物材料を散布することにより必然的に生じるさまざまな自然現象の一つを,観察して記述したものにすぎない。
すなわち,甲第1号証の1には,米ぬかを散布した結果,異常還元状態となって還元性物質が発生すること(記載事項(ハ))や,腐敗臭がただようこと(記載事項(ニ))が記載されており,微生物による分解及び酸素の消費,それに伴う酸素の欠乏等は,明示的な記載がなくとも,本願発明1と同様に入水した田面に澱粉含量の多い炭水化物材料を散布した甲1発明においても,自然現象として当然生じていることである。
したがって,甲1発明と本件発明1とは,実質的に区別することができるものではなく,方法として異なるところがない。
したがって,本件発明1は,甲第1号証の1に記載された発明である。

3 本件発明2について
(1)対比
本件発明2と甲1発明とを対比すると,上記「2(1)」で検討したように,甲1発明の「移植当日あるいは1日後の水田の表面」は本件発明2の「入水した田面」に相当し,以下同様に,「米ぬか」は「澱粉含量の多い炭水化物材料」に,「雑草の発芽阻害及び雑草抑制効果を得る方法」は「水田雑草の生育を抑制する水田雑草の生育抑制方法」に,それぞれ相当する。
してみれば,両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。
<一致点2>
「入水した田面に澱粉含量の多い炭水化物材料を散布し、水田雑草の生育を抑制する水田雑草の生育抑制方法。」
<相違点2>
入水した田面に澱粉含量の多い炭水化物材料を散布した際に,本件発明2は「散布した炭水化物材料の分解による水田土壌の還元、炭水化物材料の構成物質の一部のコロイド化及び水田土壌の土壌組織のコロイド化により、田面水の透明度を悪くし、これによって、田面水を通る太陽光線を遮断して」という現象作用が生じるのに対し,甲1発明はそのような現象作用が生じているか否か不明である点。

(2)判断
上記相違点2について検討する。上記相違点2に係る現象作用は,入水した田面に澱粉含量の多い炭水化物材料を散布することにより必然的に生じるさまざまな自然現象の一つを,観察して記述したものにすぎない。
すなわち,甲1号証の1には,米ぬかを散布した結果,異常還元状態となって還元性物質が発生すること(記載事項(ハ))や,腐敗臭がただようこと(記載事項(ニ))が記載されており,米ぬかの分解等により田水の透明度が悪くなること等は,明示的な記載がなくとも,本願発明2と同様に入水した田面に澱粉含量の多い炭水化物材料を散布した甲1発明においても,自然現象として当然生じていることである。そして,「炭水化物材料の構成物質の一部のコロイド化及び水田土壌の土壌組織のコロイド化」という現象作用は,被請求人が,米ぬかの分解等により田水の透明度が悪くなった状態について,それが炭水化物材料の構成物質の一部及び土壌組織のコロイド化によるものだと推測し,推測した事項をそのまま記述したものにすぎない。
そして,米ぬかの散布により田水の透明度が悪くなることが自然現象であることは,甲第2号証の「米ぬかは田植え後十?二十日で分解し、水が真っ黒になり」という記載からも追認される。
したがって,甲1発明と本件発明2は,実質的に区別することができるものではなく,方法として異なるところがない。
したがって,本件発明2は,甲第1号証の1に記載された発明である。

4 本件発明3について
本件発明3は,請求項1又は2記載の発明において,「前記炭水化物材料の散布を田植と同時に、又は田植の直後に行う」点を限定するものである。
一方,甲1発明においても,米ぬかの散布は「移植当日あるいは1日後に」行われているから,この点において両者に異なるところはない。
したがって,本件発明3は,甲第1号証の1に記載された発明である。

なお,上記「第2 当事者の主張,2 被請求人の主張の概略,(2)」に関連し,被請求人は,答弁書及び口頭弁論において,甲第1号証の1について,a)第1図において,無除草区の雑草風乾重(g/m^(2))が6g/m^(2)程度というのは常識的に考えられないほど低い数値である,b)第2図において,除草剤でも容易に枯れないクログワイに対しても除草効果があるという結果は常識に反する,c)第3図において,麦わらを表面施用した場合にも酸化還元電位が低下しているのは常識に反する,と指摘し,甲第1号証の1は実験結果に信憑性がなく,発明として完成していないから,このような証拠に基づいて進歩性を否定されるのは納得できないと主張している。
しかしながら,自然科学分野において予想外の実験結果が得られることはままあることであり,また,仮に実験結果の一部に誤りがあったとしても,甲第1号証の1の記載内容全体が否定されるものではない。
そもそも,甲第1号証の1には,米ぬかを散布することにより雑草の増加を抑制することができたことが記載されていることが明らかであり,判断の入る余地はない。
したがって,被請求人の主張は採用できない。

第6 むすび
以上のとおり,本件発明1ないし3は,甲第1号証の1に記載された発明であるから,本件発明1ないし3の特許は,特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり,同法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきものである。
審判に関する費用については,特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により,被請求人が負担すべきものとする。

よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2008-11-10 
出願番号 特願平8-231361
審決分類 P 1 113・ 113- Z (A01M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 坂田 誠  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 関根 裕
宮崎 恭
登録日 2004-10-22 
登録番号 特許第3609212号(P3609212)
発明の名称 水田雑草の生育抑制方法  
代理人 根本 恵司  
代理人 岸本 忠昭  

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