• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1206509
審判番号 不服2006-24179  
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-26 
確定日 2009-11-05 
事件の表示 特願2001-355479「車両評価方法、車両評価プログラム、及び車両評価システム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月30日出願公開、特開2003-157371〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯

本願は、平成13年11月21日に出願された特許出願であって、平成18年 1月26日付けで拒絶理由通知が通知され、これに対して同年 5月11日付けで手続補正書が提出され、平成18年 9月19日付けで拒絶査定され、これに対して同年10月26日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年11月27日付けで手続補正書が提出されたものである。

2.平成18年11月27日付けでした手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成18年11月27日付けでした手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の内容

本願の請求項6に記載の発明(以下、「本願補正発明」という。)は、平成18年 5月11日付けでした手続補正における特許請求の範囲の請求項6に記載の発明(以下、「本願補正前発明」という。)において、

(a)「走行距離基準データ、走行距離基準データ、」なる記載を、「走行距離基準データ」とした上で、

(b)「車両価格基準データ」、「経年基準データ」、「走行距離基準データ」、「損傷度算定データ」との記載を、それぞれ、「新車時点での基準価格である車両価格基準データ」、「車両の経過月数を減価点数に対応させた経年基準データ」、「車両の走行距離を減価点数に対応させた走行距離基準データ」、「車両の部位毎に損傷度とその損傷度に伴う減価点を対応させた損傷度算定データ」とし、

(c)また「算定条件値を乗算」を「算定条件値である該経年基準データの減価点数と該走行距離基準データの減価点数とを乗算」としたものに

に相当する。

(2)補正の目的

上記(a)については、誤記の訂正であり、上記(b)については、各基準データをそれぞれ限定したものと認められ、また上記(c)については、本願補正前発明が備える構成である「乗算」の対象となる「算定条件値」の具体的な値として、「該経年基準データの減価点数」と「該走行距離基準データの減価点数」に限定したものと認められるので、これら特許請求の範囲を限定する補正によっても、本願補正前発明と本願補正発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるものと認められるから、平成18年11月27日付けの手続補正でした請求項6に係る補正(以下、「本件補正」という。)は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮及び同法同条同項第3号に掲げられた誤記の訂正を目的とするものである。

(3)独立特許要件

本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記本願補正発明が特許出願の際、独立して特許を受けることができるものであるのかどうか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下検討する。

1)本願補正発明

本願補正発明を、平成18年11月27日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項6に記載された次のとおりに認定する。

「中古車両の価値を算出するシステムであって、
入力された車種データ、経過年月データ、及び走行距離データを含む車両の属性情報を取得する手段と、
データベースから新車時点での基準価格である車両価格基準データ、車両の経過月数を減価点数に対応させた経年基準データ、車両の走行距離を減価点数に対応させた走行距離基準データ、及び車両の部位毎に損傷度とその損傷度に伴う減価点を対応させた損傷度算定データを取得する手段と、
前記車両価格基準データの新車基準価格に、前記経年基準データと前記走行距離基準データとに基づく算定条件値である該経年基準データの減価点数と該走行距離基準データの減価点数とを乗算して車両の評価基準値を算出する手段と、
ディジタイザからの入力値を実際の傷寸法に置換して車両の部位毎のダメージデータを取得する手段と、
前記ダメージデータと各部位毎に予め設定されたダメージ量に対応する前記損傷度算定データとに基づいて、部位毎のダメージ係数を算出する手段と、
部位毎の前記ダメージ係数を集計してダメージ評価値を算出する手段と、
前記評価基準値から前記ダメージ評価値を減算して車両の総合評価値を算出する手段と、
を備えることを特徴とする車両評価システム。」

2)引用文献に記載の発明

(引用文献1)

原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-261009号公報(以下、「引用文献1」という。)には、

引用文献1に記載の発明が解決しようとする課題に係る説明として、

(1a)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】・・・この冊子に纏められている表の中から特定した中古車に該当する車種の基本査定価格(車を単なる物品として算出した新車価格からの残存価格)を選び出して決定し、現時点の当該車種の人気の度合い、走行距離の相違、各種部品の傷み具合等による査定者(中古車業者)の特別加減算額を加味して、当該査定対象車の最終査定価格を決定していた。

・・・

【0005】本発明の第1の目的は、ユーザーが持ち込んだ査定対象車の初年度登録年月日、車検満了年月日を入力し、メーカー名、車種タイプを選定し、排気量を入力し、当該査定車のミッション、グレード、ボディーカラーを特定することによって基本査定価格を決定し、該決定した基本査定価格を、査定対象車の総走行距離データによって修正して適正なディーラー査定価格を誰にでも簡単に短時間で算出できるようにしようということにある。

【0006】本発明の第2の目的は、ユーザーが持ち込んだ査定対象車の初年度登録年月日、車検満了年月日を入力し、メーカー名、車種タイプを選定し、排気量を入力し、当該査定車のミッション、グレード、ボディーカラーを特定することによって基本査定価格を決定し、該決定した基本査定価格を、査定対象車の総走行距離データに加え、査定対象車の内外装の現況、電装品の現況、機関・足回りの現況等の諸データによって修正して適正なディーラー査定価格を誰にでも簡単に短時間で算出できるようにしようということにある。」、

が記載されている。

また引用文献1に記載の発明の一実施例に係る一連の記載として、

(1b)「【0048】図21には、本発明に係る中古車の評価査定の処理方法を実現するための中古車の評価査定の処理装置の一実施の形態の基本構成が示されている。図において、30はCPUで、31はROM、32はRAM、33はI/O、34は入力装置、35はディスプレー、36は各機器を接続するバスラインである。CPU30は、不揮発性メモリーで、入力装置34からI/O33を介して入力される入力信号に基づいて駆動するもので、入力装置34の操作によって必要なデータをROM31から読み出してディスプレー35上に表示したり、入力装置34から入力されるデータをRAM32に格納したり、ROM31内のデータとRAM32内のデータとから必要な演算を行うものである。

【0049】ROM31は、各種データを予め記憶しておくもので、ROM31には、
a)現存の乗用車メーカーの名称
b)各メーカーの現在発売している車種及び過去に発売した車種と、そのタイプ
c)各メーカーの各車種及びタイプについてのモデル
d)各メーカーの各車種及びタイプについてのグレード・エンジン・型式・駆動装置・ドア数・過給器・定員・屋根形状
e)各メーカーの現在発売している車種及び過去7年以内に発売した車種タイプの新車価格
f)各メーカーの各車種及びタイプについての各ボディーカラー
g)各メーカーの現在発売している車種及び過去に発売した車種タイプ、ボディカラーに基づいた年式だけによる本体の基本査定価格
h)各メーカーの現在発売している車種及び過去に発売した車種タイプ毎の基準走行距離
i)各車種タイプ毎の少走行時の単位距離当りの加算金額及び過走行時の単位距離当りの減算金額
j)外装の現状入力項目
k)外装関係の現状入力項目
l)内装の現状入力項目
m)電装品の現状入力項目
n)機関・足回りの現状入力項目
o)装備品の現状入力項目
p)査定調整範囲
が記憶されている。RAM32は、揮発性メモリーで、入力装置34から入力したデータを格納すると共に、入力装置34から入力したデータに基づき演算した結果を格納する機能を有し、書き替え可能に構成されている。I/O33は、入力装置34とCPU30とを接続するインターフェイスである。

・・・

【0051】このコンピュータシステムは、オフィスコンピュータ又はパーソナルコンピュータによって構成することが可能である。この場合、あらゆる製造メーカー,製造メーカーが過去に発売した全車種タイプ,過去に発売された全車種タイプの全グレード,初年度登録年月から現在まで使用期間及び人気の度合いに基づく基準査定額,初年度登録年月日から現在までの当該車の基本走行データ等のデータは、ROM31に格納することになるが、これらのデータは、社会の情勢(例えば、流行)に応じて変化するため、定期的な修正が必要で、この修正は、ROM31内のデータの書き替えを行うことになる。この場合、このコンピュータシステムを利用する者にデータを提供する側がROM31の交換等を行うことになる。

【0052】また、このコンピュータシステムは、あらゆる製造メーカー,製造メーカーが過去に発売した全車種タイプ,過去に発売された全車種タイプの全グレード,初年度登録年月から現在まで使用期間及び人気の度合いに基づく基準査定額,初年度登録年月日から現在までの当該車の基本走行データ等、社会の情勢に応じて変化する車のあらゆるデータをホストコンピュータに持たせ、これらのデータを使用する者に端末機をもたせてランで接続することもできる。この場合、これらのデータを使用する者は端末機を操作することによって必要に応じてホストコンピュータに格納されているデータを読み出し、現車の査定を行うことができる。このように必要なデータをホストコンピュータに持たせると、これらのデータを社会の情勢に合わせて変更し、定期的(例えば、月毎に)書き替えを行うことができ、査定を行うディーラーあるいはユーザーは、最新の査定基準を手軽に入手することができることになる。

【0053】このように構成されるシステムにおいて、システムを立ち上げると、ディスプレー35に図4に示す如き顧客情報の入力画面が表示される。・・・この一覧に表示された車種タイプの中から現車の車種タイプ(例えば、クラウン・セダン)を入力装置34によって選定する。

【0054】現車の車種タイプを選定すると、CPU30の駆動によってディスプレー35に選定した車種タイプが図4に示す如く表記される。ディスプレー35に表示される図4に示す如き顧客情報の入力画面の内、入力装置34によって入力するのは、初年度登録年月日(現車の登録年月日),登録番号,車検終了年月日(現車の車検終了日),車体番号,ミッション(オートマか、マニュアルか),A/C有無,S/R有無,メーター状況,現車走行距離である。この初年度登録年月日と車検終了年月日を入力装置34で、例えば、初年度登録:平成7年12月8日,車検終了年月日:平成10年12月7日と入力すると、現車の年式及び車検の残存期間(25ヶ月)が決定する。」、

(1c)「【0058】このように現車のメーカー/排気量,車種タイプ,初年度登録年月日,ミッション,グレードの選定を行うと、CPU30の動作によって、ディスプレー35に現車の主要諸元(メーカー,車種タイプ,発売期間,排気量,エンジン種類,燃料供給装置,過給器,駆動装置,ドア数,屋根形状,グレード,型式,定員,ミッション,新車価格,類別区分)を図7に示す如く表示する。

【0059】ディスプレー35に表示される図7の如き現車の主要諸元を確認し、入力装置34によって確認の入力を行うと、CPU30が動作して、図8に示す如く、現車と同一車種タイプの車として発売された当時の各種ボディーカラーが一覧表示される。この図8に示される平成6年1月に発売されたトヨタ・クラウン・セダンのボディーカラーの中から現車のボディーカラー(例えば、シルバーメタリック)を入力装置34によって選択入力する。車のボディーカラーは、同じ車種タイプ・グレードであっても人気の度合いが異なり、売れ行を左右する要素となっており、中古車市場における需要度に大きな影響を与えている。そこで、一覧表示された各種ボディーカラーの中から現車のボディーカラーを選択入力することによって、同一のメーカー・車種タイプ・年式・グレードについて予めROM31に記憶されている基本本体査定価格が決定される。」、

がそれぞれ記載されている。

また引用文献1の他の実施例に係る一連の記載として、

(1d)「【0065】図22?図26には、本発明に係る中古車の評価査定の処理方法及び中古車の評価査定の処理装置の他の実施の形態が示されている。本発明に係る中古車の評価査定の処理方法は、コンピュータによって処理されるもので、図22?図26には、本発明に係る中古車の評価査定の処理方法の他の実施の形態を示す査定処理フローチャートが示されている。図におい、ステップ40?ステップ46までの処理は、図1に示すステップ1?ステップ7と同様である。

【0066】ステップ46において図8に示す如ボディーカラーが一覧表示されると、ステップ47において、この一覧表示された各種ボディーカラーの中から現車のボディーカラー(例えば、シルバーメタリック)を選択入力する。ステップ47において現車のボディーカラーを選択入力すると、ステップ48において、現車についての外装の現状の入力を図27に示す如く行う。すなわち、外装の現状入力については、修復歴有り,改造車であるか否かについては改造無し,全塗装の必要無し,現状事故車であるという入力を行う。

・・・

【0071】ステップ54において現状事故箇所の入力が行われたと判定するか、またはステップ52において現車が現状で事故車でないと判定すると、ステップ55において、図30に示す如き外装関係の現状入力を行う。外装関係の現状としてバンパーの状態(リア:×)、フェンダーの状態(右後:×)、エプロンの状態(リア:D)、ドアの状態(異常なし)、ミラーの状態(異常なし)、電動ミラーの状態(異常なし)、ステップの状態(異常なし)、ボンネットの状態(C)、ルーフの状態(異常なし)、トランクの蓋の状態(×)、トランクの床の状態(D)、インナーパネル左の状態(異常なし)、インナーパネル右の状態(異常なし)、ラジエータセルの状態(異常なし)、タイヤの使用の可否(左前後・右前後:異常なし,スペア:無し)、ガラス交換の要否(フロント・左前後ドア・右前後ドア:不要,リア:必要),ヘッドランプの状態(異常なし)、テール・コンビランプの状態(交換要)を入力する。各項目に対しては、軽度の傷(A),重度の傷(B),軽度の凹み(C),重度の凹み(D),軽度の腐食(E),重度の腐食(F),交換を要する(×),のいずれかの損傷状態を記号で入力する。これら外装関係の現状入力項目は、評価無し(損傷無し)以外は、いずれも査定上マイナス要因である。」、

(1e)「【0079】ステップ67において図34,図35に示す如き装備品の現状入力の全項目に対する入力がなされたと判定すると、ステップ68において、図36に示す如き各種減額、修理実費の入力を行う。・・・また、外装に関するバンパーの状態、フェンダーの状態、エプロンの状態、ドアの状態、ミラーの状態、電動ミラーの状態、ステップの状態、ボンネットの状態、ルーフの状態、トランクの蓋の状態、トランクの床の状態、インナーパネル左の状態、インナーパネル右の状態、ラジエータセルの状態、タイヤの使用の可否,ガラス交換の要否,ヘッドランプの状態、テール・コンビランプの状態についての減額は、状態の程度に応じて予め設定されている減額が表示されるが、本実施の形態では減額の対象となっていない。」、

(1f)「【0084】このように査定ボタンを押す(例えば、標準査定のを押す)ことによって演算が開始され、その演算が終了すると、ステップ70において、演算結果が確定下取り査定額として図37に示す如く表示される。・・・になる。

【0085】ステップ70において演算結果(標準査定)が確定下取り査定額(¥1,154,743)として表示されると、ステップ71において、確定下取り査定額についての査定詳細情報の表示を行うか否かの判定を行う。このステップ71において、確定下取り査定額についての査定詳細情報の表示を行わないと判定すると、このフローを終了する。そして、このステップ71において、確定下取り査定額についての査定詳細情報の表示を行うと判定すると、ステップ72において、図38?図40の査定詳細情報の表示を行う。査定詳細情報の表示は、・・・さらに、基準走行距離に対する現車走行距離による走行距離の多少に基づいた走行距離評価額のそれぞれである。・・・(評価減無し)である。」

(1g)「【0088】したがって、本実施の形態によれば、ユーザーが持ち込んだ現車の初年度登録年月日、車検満了年月日を入力し、メーカー名、車種タイプを選定し、排気量を入力し、当該査定車のミッション、グレード、ボディーカラーを特定することによって基本査定価格を決定し、該決定した基本査定価格を、現車の総走行距離データによって修正して適正なディーラー査定価格を誰にでも簡単に短時間で算出することができる。」

がそれぞれ記載されている。

上記摘記事項(1d)における「【0065】図22?図26には、本発明に係る中古車の評価査定の処理方法及び中古車の評価査定の処理装置の他の実施の形態が示されている。本発明に係る中古車の評価査定の処理方法は、コンピュータによって処理されるもので、図22?図26には、本発明に係る中古車の評価査定の処理方法の他の実施の形態を示す査定処理フローチャートが示されている。」との記載からみて、引用文献1の他の実施例に係る記載において、上記ステップの変更に伴い処理装置の基本構成を変更する旨の記載はないことから、引用文献1の上記他の実施例における上記「処理装置」の基本構成について、上記一実施例に係る記載である上記摘記事項(1b)を参酌することができる。

また引用文献1の他の実施例を説明する上記摘記事項(1d)における「【0066】ステップ46において図8に示す如ボディーカラーが一覧表示されると、ステップ47において、この一覧表示された各種ボディーカラーの中から現車のボディーカラー(例えば、シルバーメタリック)を選択入力する。」との記載と、引用文献1の一実施例を説明する上記摘記事項(1c)における「【0059】・・・各種ボディーカラーが一覧表示される。この図8に示される平成6年1月に発売されたトヨタ・クラウン・セダンのボディーカラーの中から現車のボディーカラー(例えば、シルバーメタリック)を入力装置34によって選択入力する。」との記載を比較すると、いずれの実施例においても、【図8】に記載の一覧表示においてボディーカラーを選択する同一の処理を行うものと解することができること、及び、引用文献1の他の実施例を説明する上記摘記事項(1g)において「【0088】・・・ボディーカラーを特定することによって基本査定価格を決定」と記載されることを勘案すれば、引用文献1の他の実施例について、上記摘記事項(1c)の記載を参酌することができる。

したがって、上記した全ての摘記事項を参酌すると、引用文献1には、上記他の実施例について、以下の構成が記載されているといえる。

(ア)上記摘記事項(1b)における「【0048】・・・本発明に係る中古車の評価査定の処理方法を実現するための中古車の評価査定の処理装置の一実施の形態の基本構成が示されている。・・・【0052】また、このコンピュータシステムは、あらゆる製造メーカー,製造メーカーが過去に発売した全車種タイプ,過去に発売された全車種タイプの全グレード,初年度登録年月から現在まで使用期間及び人気の度合いに基づく基準査定額,初年度登録年月日から現在までの当該車の基本走行データ等、社会の情勢に応じて変化する車のあらゆるデータをホストコンピュータに持たせ、これらのデータを使用する者に端末機をもたせてランで接続することもできる。」によれば、引用文献1には、上記一実施例として「ホストコンピュータと端末機からなる中古車の評価査定を実現するコンピュータシステム」が記載されているといえる。

(イ)上記摘記事項(1b)における「【0053】このように構成されるシステムにおいて、システムを立ち上げると、ディスプレー35に図4に示す如き顧客情報の入力画面が表示される。・・・現車の車種タイプ(例えば、クラウン・セダン)を入力装置34によって選定する。」及び「【0054】・・・入力装置34によって入力するのは、初年度登録年月日(現車の登録年月日)・・・現車走行距離である。・・・」によれば、コンピュータシステムは、選定された「車種タイプ」、「初年度登録年月日」、及び「走行距離」を含む情報を入力する手段である「入力装置」を備えるものと解することができる。

また上記摘記事項(1b)における「【0052】・・・車のあらゆるデータをホストコンピュータに持たせ、これらのデータを使用する者に端末機をもたせてランで接続することもできる。この場合、これらのデータを使用する者は端末機を操作することによって必要に応じてホストコンピュータに格納されているデータを読み出し、現車の査定を行うことができる。・・・」との記載からみて、コンピュータシステムをホストコンピュータと端末機により構成した場合、上記「コンピュータシステム」が備える上記入力する手段として、上記「入力装置」を当該「端末機」に設けるものと解することができる。

したがって、上記摘記事項(1b)によれば、引用文献1には、『コンピュータシステムが、「車種タイプ、初年度登録年月日、及び走行距離を含む情報を入力する手段」を備える』ことが記載されているといえる。

(ウ)上記摘記事項(1a)における「【0005】本発明の第1の目的は・・・基本査定価格を決定・・・【0006】本発明の第2の目的は・・・基本査定価格を決定」との記載からみて、上記摘記事項(1b)における「【0052】・・・初年度登録年月日から現在までの使用期間及び人気の度合いに基づく基準査定額」に記載の「基準査定額」は「基本査定価格」を指し示すものと解することができるので、上記摘記事項(1b)における「【0052】・・・このコンピュータシステムは・・・あらゆる製造メーカー,製造メーカーが過去に発売した全車種タイプ,過去に発売された全車種タイプの全グレード,初年度登録年月から現在まで使用期間及び人気の度合いに基づく基準査定額,初年度登録年月日から現在までの当該車の基本走行データ等、社会の情勢に応じて変化する車のあらゆるデータをホストコンピュータに持たせてランで接続することもできる。この場合、これらのデータを使用する者は端末機を操作することによって必要に応じてホストコンピュータに格納されているデータを読み出し、現車の査定を行うことができる。」によれば、当該「コンピュータシステム」には、「初年度登録年月日から現在までの使用期間及び人気に基づく基本査定価格」、「初年度登録年月日から現在までの車の基本走行データ」等の「あらゆるデータ」を格納した「ホストコンピュータ」が設けられており、当該「ホストコンピュータ」は、データの格納場所から格納されているデータを抽出する手段と解することができる。

そして、上記摘記事項(1c)における「【0059】・・・車のボディーカラーは、同じ車種タイプ・グレードであっても人気の度合いが異なり、売れ行を左右する要素」との記載及び上記摘記事項(b)における「【0049】・・・f)各メーカーの各車種及びタイプについての各ボディーカラー」等の記載からみて、上記「人気の度合いに基づく基準査定額」とは、「人気の度合い」を左右する「車種タイプ」及び「車のボディーカラー」に基づく「基本査定価格」のことを指し示しているものと解することができることから、上記データの格納場所に格納されている「基本査定価格」は、少なくとも「車種タイプ」及び上記「初年度登録年月日から現在までの使用期間」に基づいて決定されるものと解することができる。

また上記摘記事項(1b)における「【0049】・・・e)各メーカーの現在発売している車種及び過去7年以内に発売した車種タイプの新車価格・・・」との記載からみて、上記「ホストコンピュータ」に格納されているデータには、「車種タイプの新車価格」が含まれるものと解することができ、引用文献1の図7の記載からみて、当該「車種タイプの新車価格」は、「ホストコンピュータ」から抽出されるものと解することができる。

また上記摘記事項(1e)における「外装に関するバンパーの状態、フェンダーの状態、エプロンの状態、ドアの状態、ミラーの状態、電動ミラーの状態、ステップの状態、ボンネットの状態、ルーフの状態、トランクの蓋の状態、トランクの床の状態、インナーパネル左の状態、インナーパネル右の状態、ラジエータセルの状態、タイヤの使用の可否,ガラス交換の要否,ヘッドランプの状態、テール・コンビランプの状態についての減額は、状態の程度に応じて予め設定されている減額」における「予め設定」との記載からみて、コンピュータシステムが備える上記「車のあらゆるデータ」には、「外装」に関する各項目毎の「状態の程度に応じて予め設定されている減額」データが含まれるものと解することができる。

したがって、上記摘記事項(1a)、上記摘記事項(1b)、上記摘記事項(1c)及び上記摘記事項(1e)によれば、引用文献1には、『コンピュータシステムが、「データの格納場所から、車種タイプの新車価格、初年度登録年月日から現在までの車の基本走行データ、外装に関する各項目毎の状態の程度に応じて予め設定されている減額データ、及び、少なくとも車種タイプと初年度登録年月日から現在までの使用期間に基づく基本査定価格を抽出する手段」を備える』ことが記載されているといえる。

(エ)上記(ウ)において摘示したとおり、上記摘記事項(1a)、上記摘記事項(1b)及び上記摘記事項(1c)によれば、上記「基本査定価格」は少なくとも「車種タイプ」及び上記「初年度登録年月日から現在までの使用期間」に基づいて決定されるものと解することができる。

そして、少なくとも「車種タイプ」及び上記「初年度登録年月日から現在までの使用期間」に基づいく当該「基本査定価格」の決定は、上記摘記事項(1b)における「【0048】図21には、本発明に係る中古車の評価査定の処理方法を実現するための中古車の評価査定の処理装置の一実施の形態の基本構成が示されている。図において、30はCPU・・・CPU30は・・・入力装置34からI/O33を介して入力される入力信号に基づいて駆動する・・・このコンピュータシステム」及び「【0054】現車の車種タイプを選定すると、CPU30の駆動によってディスプレー35に選定した車種タイプが・・・表記される。・・・入力装置34によって入力するのは、初年度登録年月日(現車の登録年月日)・・・である。」並びに上記摘記事項(1c)における「【0058】このように現車の・・・車種タイプ,初年度登録年月日・・・の選定を行うと、CPU30の動作によって、ディスプレー35に現車の主要諸元・・・を・・・表示する。・・・主要諸元を確認し・・・確認の入力を行うと、CPU30が動作して・・・各種ボディーカラーが一覧表示される。・・・一覧表示された各種ボディーカラーの中から現車のボディーカラーを選択入力することによって、同一のメーカー・車種タイプ・年式・グレードについて予めROM31に記憶されている基本本体査定価格が決定される。」との記載からみて、「コンピュータシステム」が手段として備える「CPU」によりなされるものと解することができる。

また上記摘記事項(1b)における「【0052】・・・車のあらゆるデータをホストコンピュータに持たせ、これらのデータを使用する者に端末機をもたせてランで接続することもできる。この場合、これらのデータを使用する者は端末機を操作することによって必要に応じてホストコンピュータに格納されているデータを読み出し、現車の査定を行うことができる。」との記載からみて、コンピュータシステムをホストコンピュータと端末機により構成した場合、上記「コンピュータシステム」が、上記手段として、上記「コンピュータシステム」が備える「CPU」に代わり「端末機」のCPUを備えるものと解することができる。

したがって、上記摘記事項(1a)、上記摘記事項(1b)及び上記摘記事項(1c)によれば、引用文献1には、『コンピュータシステムが、「少なくとも車種タイプと初年度登録年月日から現在までの使用期間に基づき、基本査定価格を決定する手段」を備える』ことが記載されているといえる。

(オ)上記摘記事項(1b)における「【0048】図21には、本発明に係る中古車の評価査定の処理方法を実現するための中古車の評価査定の処理装置の一実施の形態の基本構成が示されている。図において・・・34は入力装置・・・このコンピュータシステム」及び上記摘記事項(1d)における「【0071】・・・ステップ55において、図30に示す如き外装関係の現状入力を行う。外装関係の現状としてバンパーの状態(リア:×)、フェンダーの状態(右後:×)、エプロンの状態(リア:D)、ドアの状態(異常なし)、ミラーの状態(異常なし)、電動ミラーの状態(異常なし)、ステップの状態(異常なし)、ボンネットの状態(C)、ルーフの状態(異常なし)、トランクの蓋の状態(×)、トランクの床の状態(D)、インナーパネル左の状態(異常なし)、インナーパネル右の状態(異常なし)、ラジエータセルの状態(異常なし)、タイヤの使用の可否(左前後・右前後:異常なし,スペア:無し)、ガラス交換の要否(フロント・左前後ドア・右前後ドア:不要,リア:必要),ヘッドランプの状態(異常なし)、テール・コンビランプの状態(交換要)を入力する。各項目に対しては、軽度の傷(A),重度の傷(B),軽度の凹み(C),重度の凹み(D),軽度の腐食(E),重度の腐食(F),交換を要する(×),のいずれかの損傷状態を記号で入力する。これら外装関係の現状入力項目は、評価無し(損傷無し)以外は、いずれも査定上マイナス要因である。」によれば、コンピュータシステムが、「外装の現状を各部位毎について損傷状態に対応する記号を入力される入力装置」を備えるものと解することができる。

そして、上記(イ)において摘示したように、上記摘記事項(1b)の記載からみて、コンピュータシステムをホストコンピュータと端末機により構成した場合、上記「損傷状態に対応する記号」は、上記「コンピュータシステム」が手段として備える上記「入力装置」により当該「端末機」へ入力するものと解することができる。

したがって、上記摘記事項(1b)および上記摘記事項(1d)によれば、引用文献1には、『コンピュータシステムが、「外装の現状を各部位毎について損傷状態に対応する記号を入力する手段」を備える』ことが記載されているといえる。

(カ)上記摘記事項(1d)における「【0071】・・・ステップ55において、図30に示す如き外装関係の現状入力を行う。・・・各項目に対しては、軽度の傷(A),重度の傷(B),軽度の凹み(C),重度の凹み(D),軽度の腐食(E),重度の腐食(F),交換を要する(×),のいずれかの損傷状態を記号で入力する。」及び上記摘記事項(1e)における「【0079】・・・また、外装に関するバンパーの状態、フェンダーの状態、エプロンの状態、ドアの状態、ミラーの状態、電動ミラーの状態、ステップの状態、ボンネットの状態、ルーフの状態、トランクの蓋の状態、トランクの床の状態、インナーパネル左の状態、インナーパネル右の状態、ラジエータセルの状態、タイヤの使用の可否,ガラス交換の要否,ヘッドランプの状態、テール・コンビランプの状態についての減額は、状態の程度に応じて予め設定されている減額が表示」からみて、引用文献1の上記他の実施例は、「外装」の各部位毎の「損傷状態」に対応する「記号」と各部位毎に予め設定されている損傷状態の程度に対応する「減額」データ群とに基づいて、当該「減額」データ群の中から特定の部位における特定の「損傷状態」の程度に対応する「減額」データを選択することによって、各部位毎に予め設定されている「減額」データを得るものと解することができる。

そして、当該「減額」データを得るための具体化手段については、上記摘記事項(1b)における「【0048】図21には、本発明に係る中古車の評価査定の処理方法を実現するための中古車の評価査定の処理装置の一実施の形態の基本構成が示されている。図において、30はCPU・・・CPU30は・・・不揮発性メモリーで、入力装置34からI/O33を介して入力される入力信号に基づいて駆動するもので、入力装置34の操作によって必要なデータをROM31から読み出してディスプレー35上に表示・・・を行うもの・・・このコンピュータシステム」との記載からみて、「コンピュータシステム」が手段として備える「CPU」がROMから読み出すものと解することができる。

また上記(エ)で摘示したとおり、摘記事項(1b)の記載からみて、コンピュータシステムをホストコンピュータと端末機により構成した場合、上記「コンピュータシステム」が、上記手段として、上記「コンピュータシステム」が備える「CPU」に代わり「端末機」のCPUを備えるものと解することができる。

したがって、上記摘記事項(1b)、上記摘記事項(1d)及び上記摘記事項(1e)によれば、引用文献1には、『コンピュータシステムが、「外装の各部位毎の損傷状態に対応する記号と各部位毎に予め設定されている損傷状態の程度に対応する減額データ群とに基づいて、各部位毎に予め設定されている損傷状態の程度に対応する減額データを読み出す手段」を備える』ことが記載されているといえる。

(キ)上記摘記事項(1g)における「【0088】・・・ユーザーが持ち込んだ現車の初年度登録年月日、車検満了年月日を入力し、メーカー名、車種タイプを選定し、排気量を入力し、当該査定車のミッション、グレード、ボディーカラーを特定することによって基本査定価格を決定」及び上記摘記事項(1d)における「【0065】・・・ステップ40?ステップ46までの処理は、図1に示すステップ1?ステップ7と同様である。・・・ステップ47において、この一覧表示された各種ボディーカラーの中から現車のボディーカラー(例えば、シルバーメタリック)を選択入力する。」との記載からみて、引用文献1の他の実施例では、ステップ47の時点で「ボディーカラーの選択」が完了していることから、引用文献1の一実施例に係る記載である上記摘記事項(1c)における「【0059】・・・一覧表示された各種ボディーカラーの中から現車のボディーカラーを選択入力することによって、同一のメーカー・車種タイプ・年式・グレードについて予めROM31に記憶されている基本本体査定価格が決定される。」によれば、引用文献1の他の実施例においても、引用文献1の一実施例の場合と同様に、上記「基本査定価格」の決定は、「ボディーカラーの選択」が完了するステップ47の時点になされるものと推認できる。

そして、上記摘記事項(1e)における「【0079】・・・外装に関するバンパーの状態、フェンダーの状態・・・テール・コンビランプの状態についての減額は、状態の程度に応じて予め設定されている減額が表示される」との記載からみて、当該「外装」に関する「状態の程度に応じて予め設定されている減額」データの取得は、上記摘記事項(1d)に記載の「【0071】・・・ステップ55・・・外装関係の現状入力」の後になされるものであって、上記ステップ47におけるボディーカラーの選択時の後、すなわち上記「基本査定価格」の決定の後になされるものであり、さらに上記摘記事項(1a)における「【0003】・・・車種の基本査定価格(車を単なる物品として算出した新車価格からの残存価格)を選び出して決定し、現時点の当該車種の人気の度合い、走行距離の相違、各種部品の傷み具合等による査定者(中古車業者)の特別加減算額を加味して、当該査定対象車の最終査定価格を決定」を勘案すれば、上記「基本査定価格」を決定し、上記「外装」に関する「状態の程度に応じて予め設定されている減額」データを取得し、当該「基本査定価格」に対し減算を行うものと解することができる。

また上記摘記事項(1g)における「【0088】・・・該決定した基本査定価格を、現車の総走行距離データによって修正して適正なディーラー査定価格を誰にでも簡単に短時間で算出することができる。」及び上記摘記事項(1f)における「【0084】このように査定ボタンを押す(例えば、標準査定のを押す)ことによって演算が開始され、その演算が終了すると、ステップ70において、演算結果が確定下取り査定額として図37に示す如く表示される。・・・【0085】・・・査定詳細情報の表示は、・・・さらに、基準走行距離に対する現車走行距離による走行距離の多少に基づいた走行距離評価額のそれぞれである」との記載を勘案すると、当該「確定下取り査定額」は、決定された上記「基本査定価格」から、当該「走行距離」データを評価した走行距離評価額により「修正」する「演算」によって算出されるものと解することができる。

したがって、引用文献1の他の実施例は、「確定下取り査定額」を「演算」するに当たり、上記決定した「基本査定価格」から、「外装」の各部位毎の「状態の程度に応じて予め設定されている減額」データを減算し、走行距離データを評価した走行距離評価額により「修正」するものと解することができる。

そして、当該「減算」及び「演算」のための具体化手段については、上記摘記事項(1b)における「【0048】図21には、本発明に係る中古車の評価査定の処理方法を実現するための中古車の評価査定の処理装置の一実施の形態の基本構成が示されている。図において、30はCPU・・・CPU30は・・・必要な演算を行うものである。・・・このコンピュータシステム」との記載からみて、当該「コンピュータシステム」が手段として当該「CPU」を備えるものと解することができる。

また上記(エ)で摘示したとおり、摘記事項(1b)の記載からみて、コンピュータシステムをホストコンピュータと端末機により構成した場合、上記「コンピュータシステム」が、上記手段として、上記「コンピュータシステム」が備える「CPU」に代わり「端末機」のCPUを備えるものと解することができる。

よって、上記摘記事項(1b)、上記摘記事項(1d)、上記摘記事項(1e)及び上記摘記事項(1g)によれば、引用文献1には、『コンピュータシステムが、「前記基本査定価格から外装の各部位毎の状態の程度に応じて予め設定されている減額データを減算し、走行距離データを評価した走行距離評価額により修正して確定下取り査定額を演算する手段」を備える』ことが記載されているといえる。

上記(ア)?(キ)を考慮して、摘記事項(1a)?(1g)の記載を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用文献1発明」という。)が記載されているといえる。

「ホストコンピュータと端末機からなる中古車の評価査定を実現するコンピュータシステムであって、
車種タイプ、初年度登録年月日、及び走行距離を含む情報を入力する手段と、
データの格納場所から、車種タイプの新車価格、初年度登録年月日から現在までの基本走行データ、外装に関する各部位毎の状態の程度に応じて予め設定されている減額データ、及び、少なくとも車種タイプと初年度登録年月日から現在までの使用期間に基づく基本査定価格を抽出する手段と、
少なくとも車種タイプと初年度登録年月日から現在までの使用期間に基づき、基本査定価格を決定する手段と、
外装の現状を各部位について損傷状態に対応する記号を入力する手段と、
外装の各部位毎の損傷状態に対応する記号と各部位毎に予め設定されている損傷状態の程度に対応する減額データ群とに基づいて、各部位毎に予め設定されている損傷状態の程度に対応する減額データを読み出す手段と、
前記基本査定価格から外装の各部位毎の状態の程度に応じて予め設定されている減額データを減算し、走行距離データを評価した走行距離評価額により修正して確定下取り査定額を演算する手段と

を備えることを特徴とするコンピュータシステム」

(引用文献2)

原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-283052号公報(以下、「引用文献2」という。)には、引用文献2に記載の「自動査定システム」の実施例に係る一連の記載として、

(2a)「【0009】図1は、本発明の実施の形態の自動査定システム1の構成を示す。自動査定システム1は、車両の状態を自動的に査定するシステムである。車両は、新車であってもよいし、中古車であってもよい。

【0010】自動査定システム1は、コンピュータ10と、コンピュータ10に接続されたマウス12a、キーボード12bなどの入力機器と、コンピュータ10に接続されたディスプレイ13aなどの出力機器とを含む。

【0011】コンピュータ10は、CPU11と、入力機器とのインタフェースをとるための入力インタフェース部12と、出力機器とのインタフェースをとるための出力インタフェース部13と、リードオンリーメモリ(ROM)14と、ランダムアクセスメモリ(RAM)15とを含む。CPU11と入力インタフェース部12と出力インタフェース部13とROM14とRAM15とは、バス16を介して相互に接続されている。

【0012】マウス12a、キーボード12bなどの入力機器は、入力インタフェース部12に接続されている。ディスプレイ13aなどの出力機器は、出力インタフェース部13に接続されている。

【0013】車両の状態を自動的に査定するプログラム(以下、自動査定プログラム)は、ROM14またはRAM15に格納されている。CPU11は、自動査定プログラムを実行する。

・・・

【0019】図2の領域21に示される「A2」は、車両の症状のタイプ=「傷(A)」と、その傷の程度=「2」とが入力された結果を示す。「A2」からの引き出し線によって指定される曲線21a(あるいは、直線21a)は、その傷の位置および大きさ(長さ)を示す。このような入力結果は、例えば、「A」ボタン23aをマウス12aでクリックし、車両状態図の上にマウス12aを用いて曲線21aを描画し、「2」ボタン24bをマウス12aでクリックし、「確認」ボタン25をマウス12aでクリックすることによって得られる。」

(2b)「【0033】図4は、「傷(A)」の評価点SAを計算するために使用されるテーブル41の構造の一例と、「へこみ(U)」の評価点SUを計算するために使用されるテーブル42の構造の一例とを示す。これらのテーブルは、ROM14またはRAM15に格納されている。

【0034】テーブル41は、「傷」が複数のパーツのうちどのパーツに含まれているかと、「傷」が複数の部分のうちいくつの部分にまたがっているかとに基づいて、「傷」の評価点SAを決定するために使用される。

・・・

【0046】ステップS504:評価点Sは、評価点Sに「傷」の評価点SAを加算した値に更新される(S=S+SA)。ここで、「=」は右辺の値が左辺の値に代入されることを示す。」

(2c)「【0059】また、車両の状態の総合的な評価に加えて、特定の分野ごとに車両の状態を評価するようにしてもよい。例えば、「内装」、「外装」、「機関」の各分野について車両の状態を評価するようにしてもよい。」

がそれぞれ記載されている。

(ク)上記摘記事項(2a)における「自動査定システム1は、コンピュータ10・・・を含む。・・・コンピュータ10は・・・CPU11を含む。」によれば、「自動査定システム」は、「CPU」を含む「コンピュータ」を備えるものと解することができる。

そして、上記摘記事項(2a)における「曲線21a(あるいは、直線21a)は、その傷の位置および大きさ(長さ)を示す。このような入力結果は・・・車両状態図の上にマウス12aを用いて曲線21aを描画・・・」によれば、「車両評価システム」である「自動査定システム」が備える「入力機器」の機能には、「傷」の形状である「曲線」を「マウス」により「描画」して直接入力する機能、すなわちディジタイザとして機能のが含まれるものと解することができる。

また上記摘記事項(2a)における「コンピュータ10は、CPU11と、入力機器とのインタフェースをとるための入力インタフェース部12と・・・接続されている」によれば、当該「コンピュータ」は、上記「入力機器」から、ディジタイザからの入力値である上記「傷」を、「入力インターフェース部」を介し取得するものと解することができ、また上記摘記事項(2b)における『・・・「傷」が複数のパーツのうちどのパーツに含まれているかと、「傷」が複数の部分のうちいくつの部分にまたがっているかとに基づいて、「傷」の評価点SAを決定する』及び引用文献2の【図3】によれば、「コンピュータ」は、ディジタイザの入力値である「傷」を、車両の部位毎のダメージデータである「複数の部分のうちいくつの部分にまたがっているか」というダメージデータに置換するものと解することができる。

そして、上記「自動査定システム」が備える当該「コンピュータ」は、当該「傷」を当該ダメージデータに置換してダメージデータを取得する手段と解することができる。

したがって、引用文献2には、「車両評価システムが、ディジタイザからの入力値を車両の部位毎のダメージデータに置換して当該ダメージデータを取得する手段を備える」ことがそれぞれ記載されているといえる。

(ケ)上記摘記事項(2b)における『図4は、「傷(A)」の評価点SAを計算するために使用されるテーブル41の構造の一例と、「へこみ(U)」の評価点SUを計算するために使用されるテーブル42の構造の一例とを示す。』との記載及び引用文献2の【図4】によれば、データベースである「テーブル」は、車両の部位である「パーツ」毎の損傷度である「部分の数」とその「部分の数」に伴う減価点である「評価点」を対応させた当該「評価点」のマトリクスからなる損傷度算定データを備えているものと解することができ、また減価点である当該「評価点」は、部位毎である「パーツ」毎に予め設定されたダメージ量である「部分の数」に対応するものと解することができる。

そして、上記摘記事項(2a)における「車両の状態を自動的に査定するプログラム(以下、自動査定プログラム)は、ROM14またはRAM15に格納されている。CPU11は、自動査定プログラムを実行する。」及び上記摘記事項(2c)における「車両の状態の総合的な評価に加えて、特定の分野ごとに車両の状態を評価するようにしてもよい」によれば、上記「自動査定システム」が備える上記「コンピュータ」が含む当該「CPU」は、損傷度算定データを参照して計算を行うために、データベースである上記「テーブル」から上記損傷度算定データを取得する手段となるものと推認できる。

そして、上記(ク)において摘示したとおり、上記「自動査定システム」が備える「コンピュータ」は当該「CPU」を含むものである。

したがって、上記摘記事項(2a)及び上記摘記事項(2b)によれば、引用文献2には、「自動査定システムが、データベースから車両の部位毎に損傷度とその損傷度に伴う減価点を対応させた損傷度算定データを取得する手段を備える」ことが記載されているといえる。

(コ)上記摘記事項(2b)における「評価点SAを計算する」及び上記摘記事項(2b)における「評価点Sは、評価点Sに「傷」の評価点SAを加算した値に更新される(S=S+SA)。ここで、「=」は右辺の値が左辺の値に代入されることを示す」との記載からみて、上記「CPU」は、車両の部位毎のダメージデータである上記「特定の分野ごと」の「ダメージ量」と上記損傷度算定データに基づいて、「特定の分野ごと」の評価をして、車両の部位毎のダメージ係数である「評価点SA」を算出する手段であり、また当該算出した「評価点SA」をそれぞれ「加算」することにより集計し、ダメージ評価値である「評価点S」を算出する手段でもあると解することができる。

そして、上記(ク)において摘示したとおり、上記「自動査定システム」が備える「コンピュータ」は当該「CPU」を含むものである。

したがって、上記摘記事項(2a)及び上記摘記事項(2b)によれば、引用文献2には、「自動査定システムが、ダメージデータと部位毎に予め設定されたダメージ量に対応する損傷度算定データとに基づいて、部位毎のダメージ係数を算出する手段と、部位毎のダメージ係数を集計してダメージ評価値を算出する手段を備える」ことが記載されているといえる。

上記(ク)乃至上記(コ)を考慮して、上記摘記事項(2a)、上記摘記事項(2b)及び上記摘記事項(2c)の記載を総合すると、引用文献2には、「自動査定システムが、ディジタイザからの入力値を車両の部位毎のダメージデータに置換して取得する手段、データベースから車両の部位毎に損傷度とその損傷度に伴う減価点を対応させた損傷度算定データを取得する手段、ダメージデータと部位毎に予め設定されたダメージ量に対応する損傷度算定データとに基づいて、部位毎のダメージ係数を算出する手段、及び、部位毎のダメージ係数を集計してダメージ評価値を算出する手段を備える」との発明が記載されているといえる。

3)本願補正発明と引用文献1発明との対比

本願の発明の詳細な説明における「図1は本システムのブロック図を示し、サーバー機能をもつコンピュータ30と、このコンピュータ30にデータリンクした端末装置31、32から構成されている。」(段落【0022】)との記載からみて、本願補正発明における「システム」とは「サーバー機能を持つコンピュータ」と「データリンクした端末装置」から構成されるものを排除しないものである。

また本願の発明の詳細な説明における「車両の初回登録年月日のデータが入力されれば、そのデータを基にして、演算部5のカレンダー機能により自動演算するようにしてもよい」(段落【0037】)との記載からみて、本願補正発明が備える「経過年月データ」は、当該「車両の初回登録年月日のデータ」を排除してないものと解するのが相当である。

これらを勘案して、本願補正発明と引用文献1発明を対比すると、

引用文献1発明における「ホストコンピュータと端末機からなる中古車の評価査定を実現するコンピュータシステム」、「車種タイプ、初年度登録年月日、及び走行距離を含む情報を入力する手段」、「基本査定価格」及び「外装の現状を各部位について損傷状態に対応する記号を入力する手段」は、

本願補正発明における「中古車両の価値を算出するシステム」、「入力された車種データ、経過年月データ、及び走行距離データを含む車両の属性情報を取得する手段」、「車両の評価基準値」及び「車両の部位毎のダメージデータを取得する手段」

にそれぞれ相当する。

そして、本願補正発明における「データベースから新車時点での基準価格である車両価格基準データ、車両の経過月数を減価点数に対応させた経年基準データ、車両の走行距離を減価点数に対応させた走行距離基準データ、及び車両の部位毎に損傷度とその損傷度に伴う減価点を対応させた損傷度算定データを取得する手段」と、引用文献1発明における「データの格納場所から、車種タイプの新車価格、初年度登録年月日から現在までの基本走行データ、外装に関する各部位毎の状態の程度に応じて予め設定されている減額データ、及び、少なくとも車種タイプと初年度登録年月日から現在までの使用期間に基づく基本査定価格を抽出する手段」とは、後記の点で相違するものの、「データベースから新車時点での基準価格である車両価格基準データ、及び、走行距離データを評価するためのデータを取得する手段」である点で共通する。

また、本願補正発明における「前記車両価格基準データの新車基準価格に、前記経年基準データと前記走行距離基準データとに基づく算定条件値である該経年基準データの減価点数と該走行距離基準データの減価点数とを乗算して車両の評価基準値を算出する手段」と、引用文献1発明における「少なくとも車種タイプと初年度登録年月日から現在までの使用期間に基づき、基本査定価格を決定する手段」とは、後記の点で相違するものの、「車両の評価基準値を取得する手段」である点で共通する。

また、本願補正発明における「前記ダメージデータと各部位毎に予め設定されたダメージ量に対応する前記損傷度算定データとに基づいて、部位毎のダメージ係数を算出する手段」と、引用文献1発明における「外装の各部位毎の損傷状態に対応する記号と各部位毎に予め設定されている損傷状態の程度に対応する減額データ群とに基づいて、各部位毎に予め設定されている損傷状態の程度に対応する減額データを読み出す手段」とは、後記の点で相違するものの、「前記ダメージデータと各部位毎に予め設定されたダメージ量に対応するデータ群とに基づいて、部位毎のダメージを評価したデータを取得する手段」である点で共通する。

また、本願補正発明における「部位毎の前記ダメージ係数を集計してダメージ評価値を算出する手段と、前記評価基準値から前記ダメージ評価値を減算して車両の総合評価値を算出する手段」の両手段と、引用文献1発明における「前記基本査定価格から外装の各部位毎の状態の程度に応じて予め設定されている減額データを減算し、走行距離データを評価した走行距離評価額により修正して確定下取り査定額を演算する手段」とは、後記の点で相違するものの、「前記評価基準値からダメージデータに関する評価値を減算して車両の総合評価値を算出する手段」である点で共通する。

したがって、両者は、

(一致点)
「中古車両の価値を算出するシステムであって、
入力された車種データ、経過年月データ、及び走行距離データを含む車両の属性情報を取得する手段と、
データベースから新車時点での基準価格である車両価格基準データ、走行距離データを評価するためのデータを取得する手段と、
車両の評価基準値を取得する手段と、
車両の部位毎のダメージデータを取得する手段と、
前記ダメージデータと各部位毎に予め設定されたダメージ量に対応するデータ群とに基づいて、部位毎のダメージを評価したデータを取得する手段、
前記評価基準値からダメージデータに関する評価値を減算して車両の総合評価値を算出する手段と
を備えることを特徴とする車両評価システム」

である点で一致し、

(相違点1)
本願補正発明では、ダメージデータと各部位毎に予め設定されたダメージ量に対応する「損傷度算定データ」に基づいて「部位毎のダメージ係数を算出する」手段、「部位毎の前記ダメージ係数を集計してダメージ評価値を算出する手段」及び評価基準値から「前記ダメージ評価値を減算して」車両の総合評価値を算出する手段を備え、

そのために、データを取得する手段がデータベースから取得するデータとして、「車両の部位毎に損傷度とその損傷度に伴う減価点を対応させた損傷度算定データ」を含むのに対し、

引用文献1発明は、ダメージデータと各部位毎に予め設定されたダメージ量に対応する「データ群」に基づいて「部位毎の減額データを取得する手段」及び評価基準値から「車両の部位毎の減額データを減算し、走行距離データを評価した走行距離評価額により修正して」車両の総合評価値を算出する手段を備え、

そのために、データを取得する手段がデータベースから取得するデータとして、「部位毎に予め設定されたダメージ量に対応する減額データ」及び「走行距離データを評価するためのデータ」を含む点、

(相違点2)
本願補正発明では、車両の評価基準値を取得する手段が「前記車両価格基準データの新車基準価格に、前記経年基準データと前記走行距離基準データとに基づく算定条件値である該経年基準データの減価点数と該走行距離基準データの減価点数とを乗算して車両の評価基準値を算出」し、

そのために、

データを取得する手段がデータベースから取得するデータとして「新車時点での基準価格である車両価格基準データ、車両の経過月数を減価点数に対応させた経年基準データ及び車両の走行距離を減価点数に対応させた走行距離基準データ」を含むのに対し、

引用文献1発明では、車両の評価基準値を取得する手段が「少なくとも車種タイプと初年度登録年月日から現在までの使用期間に基づき、車両の評価基準値を決定」し、

そのために、

データを取得する手段がデータベースから取得するデータとして「初年度登録年月日から現在までの基本走行データ、及び少なくとも車種タイプと経過月数に基づく車両の評価基準値」を含む点、

(相違点3)
本願補正発明では、「ディジタイザからの入力値を実際の傷寸法に置換して車両の部位毎のダメージデータを取得する」のに対し、

引用文献1発明では、「車両の部位毎のダメージデータを入力する」点

でそれぞれ相違する。

4)相違点についての判断

(相違点1について)
引用文献2に記載の発明における「自動査定システム」における「査定」には、査定対象の価額の算出という概念が含まれていることは技術常識であることから、当該「査定」との記載によれば、引用文献2に記載の発明を査定対象の価額の算出に適用することが示唆されるものと認められるので、引用文献1発明において、査定対象である車両の価額である車両の総合評価値を算出する手段として、「前記ダメージ評価値を減算して」算出する手段を適用し、当該ダメージ評価値を得るために、ダメージデータと各部位毎に予め設定されたダメージ量に対応する「損傷度算定データ」に基づいて、「部位毎のダメージ係数を算出する」手段、及び、「部位毎の前記ダメージ係数を集計してダメージ評価値を算出する手段」の各手段を採用し、そのために、データを取得する手段がデータベースから取得するデータとして「車両の部位毎に損傷度とその損傷度に伴う減価点を対応させた損傷度算定データ」を含めることは、引用文献2に記載の発明に基づき当業者であれば適宜になし得るものである。

したがって、相違点1に係る本願補正発明の構成は、引用文献1発明及び引用文献2に記載の発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点2について)
引用文献1発明は、車両の評価基準値を取得するに当たり、経過年月データの評価を客観的に行う具体化手段として、変域である初年度登録年月日から現在までの使用期間に対応する値域である評価基準値を、車種毎に予め計算して保有したデータベースを備えることにより、所定の車種データ及び当該使用期間に対応する評価基準値を決定する手段を採用して、車両評価システムの目的である客観的な計算を実現するものと認められるところ、情報処理という技術分野において、初期値に基づいて所定の変域に対応する値域を予め計算して保有したデータベースを用いて所定の変域に対応する値域を決定する手段と、上記データベースを用いずに初期値に基づいて所定の変域に対応する値域をその都度に計算する手段は、いずれも客観的な計算を実現するための常套手段であるから、引用文献1発明において、車両評価システムの目的である客観的な計算を実現するに当たり、本願補正発明のように、所定の変域として車種データ及び経過月数である当該使用期間を用いて、当該変域に対応する値域である車両の評価基準値をその都度に計算する手段を選択することは、当業者であれば適宜になし得る設計事項に過ぎない。

そして、引用文献1発明は、新車時点である「初年度登録年月日」から現在までの使用期間に基づき、車両の評価基準値を決定するものであるから、引用文献1発明において、所定の変域として車種データ及び当該使用期間を用いて、当該変域に対応する値域である車両の評価基準値をその都度に計算する手段を選択するのであれば、当該使用期間が0月である場合に対応する当該車両の評価基準値の初期値として、「新車時点での基準価格である車両価格基準データ」を選択し、当該新車時点での基準価格に基づいて、その後の使用期間に対応する車両の評価基準値を得る計算を適用することは、当業者であれば適宜になし得る設計事項に過ぎず、そのために、データを取得する手段がデータベースから取得するデータとして「新車時点での基準価格である車両価格基準データ」を含むことは、当業者であれば当然なし得るものである。

また、引用文献1発明において、走行距離データを評価するに当たり、車両の評価基準値を計算する際に当該評価を行うか、車両の評価基準値を計算した後に当該評価を行うかは、いずれも走行距離データの評価の計算を客観的に行うための計算順序の単なる並び替えの相違に過ぎないから、引用文献1発明において、車両の評価基準値を計算するに当たり、所定の変域として車種データ及び当該使用期間を用いて、当該変域に対応する値域である評価基準値をその都度に計算する手段を選択するのであれば、上記並び替えに伴って、車両の評価基準値をその都度に計算する際に、当該手段において走行距離データを評価することは、上記計算順序に関する取り決めに応じて当業者であれば適宜になし得る設計事項に過ぎない。

そして、引用文献1発明において、車両の評価基準値を計算するに当たり、所定の変域として車種データ及び上記使用期間を用いて、当該変域に対応する値域である評価基準値をその都度に計算する際に走行距離データを評価する手段を選択するのであれば、上記経過年月データを評価する計算と走行距離データを評価する計算の具体的手順として、経過年月データの減額値及び走行距離データの減額値を順次減算して評価を行うか、それぞれの基準データに基づく算定条件値である減価点数を順次乗算して評価を行うかの選択は、経過年月データ及び走行距離データの評価の計算を客観的に行うための計算に関する取り決めに応じて当業者であれば適宜になし得る設計事項に過ぎず、引用文献1発明において、上記計算に関する取り決めに応じて、経過年月データ及び走行距離データの基準データに基づく算定条件値である減価点数を順次乗算して評価するのであれば、そのために、データを取得する手段がデータベースから取得するデータとして「車両の経過月数を減価点数に対応させた経年基準データ、車両の走行距離を減価点数に対応させた走行距離基準データ」を含むことは、当業者であれば当然なし得ることである。

これらを勘案すれば、引用文献1発明において、車両の評価基準値を取得するに当たり、当該車両の評価基準値の初期値として「新車時点での基準価格である車両価格基準データ」を選択し、所定の変域として車種データ及び経過月数である使用期間を用いて、当該変域に対応する値域である評価基準値をその都度に計算する際に、走行距離データを評価する手段を選択することは、常套手段の単なる選択に応じて当業者であれば適宜になし得る設計事項にすぎず、引用文献1発明において、当該手段を選択すれば、その具体化手段として、「前記車両価格基準データの新車基準価格に、前記経年基準データと前記走行距離基準データとに基づく算定条件値である該経年基準データの減価点数と該走行距離基準データの減価点数とを乗算する手段」を選択し、そのために、データを取得する手段がデータベースから取得するデータとして「新車時点での基準価格である車両価格基準データ、車両の経過月数を減価点数に対応させた経年基準データ及び車両の走行距離を減価点数に対応させた走行距離基準データ」を含むことは、当業者であれば設計事項の範囲内においてなし得るものである。

したがって、相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用文献1発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点3について)
引用文献1発明における車両評価システムにおいて、ディジタイザからの入力値を車両の部位毎のダメージデータに置換して当該ダメージデータを取得する手段とすることは、引用文献2に記載の発明に基づき当業者であれば適宜になし得るものであり、引用文献1発明において、引用文献2に記載の発明におけるディジタイザを採用すれば、ディジタイザからの入力値を車両の部位毎のダメージデータに置換するに当たり、例えば、特開平10-329664号公報等の記載(段落【0063】乃至段落【0064】)にみられるように、ディジタイザの画面上図形に対し縮尺率を定義して、実際の傷寸法に置換して評価することは、ディジタイザが備える周知の機能の単なる付加に過ぎず、当業者であれば適宜になし得るものである。

したがって、相違点3に係る本願補正発明の構成は、引用文献1発明、引用文献2に記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。

そして,本願補正発明の作用効果も,引用文献1発明、引用文献2に記載の発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

よって、本願補正発明は、引用文献1発明、引用文献2に記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)本件補正についてのむすび

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について

(1)本願の請求項に記載の発明

平成18年11月27日付けでした手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項6に記載の発明(以下、「本願発明」という)は、平成18年 5月11日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「中古車両の価値を算出するシステムであって、
入力された車種データ、経過年月データ、及び走行距離データを含む車両の属性情報を取得する手段と、
データベースから車両価格基準データ、経年基準データ、走行距離基準データ及び損傷度算定データを取得する手段と、
前記車両価格基準データの新車基準価格に、前記経年基準データと前記走行距離基準データとに基づく算定条件値を乗算して車両の評価基準値を算出する手段と、
ディジタイザからの入力値を実際の傷寸法に置換して車両の部位毎のダメージデータを取得する手段と、
前記ダメージデータと各部位毎に予め設定されたダメージ量に対応する前記損傷度算定データとに基づいて、部位毎のダメージ係数を算出する手段と、
部位毎の前記ダメージ係数を集計してダメージ評価値を算出する手段と、
前記評価基準値から前記ダメージ評価値を減算して車両の総合評価値を算出する手段と、
を備えることを特徴とする車両評価システム。」

なお平成18年 5月11日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項6には「走行距離基準データ、走行距離基準データ、」なる記載が認められるが、これは「走行距離基準データ、」の誤記であるものと認められるから、本願発明を上記のとおり認定した。

(2)引用文献1に記載の発明

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びこれらの記載事項は、上記2.(3)2)「引用文献1に記載の発明」の欄に記載したとおりである。

(3)対比

本願発明と引用文献1発明とを対比すると、本願発明は、上記本願補正発明において、上記2.(1)「補正の内容」において検討した上記(a)及び(b)による特許請求の範囲の限定を解除するものであることから、上記2.(3)3)「本願補正発明と引用文献1発明との対比」において検討した相違点以外の相違点は存在しない。

(4)判断

そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する上記本願補正発明が、上記2.(3)「独立特許要件」に記載したとおり、引用文献1発明、引用文献2に記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用文献1発明、引用文献2に記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.むすび

上記のとおり、本願の請求項6に係る発明が、引用文献1発明、引用文献2に記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないため、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-09-07 
結審通知日 2009-09-08 
審決日 2009-09-24 
出願番号 特願2001-355479(P2001-355479)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小山 満  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 田代 吉成
手島 聖治
発明の名称 車両評価方法、車両評価プログラム、及び車両評価システム  
代理人 川口 嘉之  
代理人 和久田 純一  
代理人 遠山 勉  
代理人 松倉 秀実  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ