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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1206518
審判番号 不服2007-21445  
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-08-02 
確定日 2009-11-05 
事件の表示 特願2005-362871「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成18年12月28日出願公開、特開2006-346424〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1.手続の経緯

本願の経緯概要は以下のとおりである。

特許出願 平成17年12月16日
(特願2005-148752号に基づく優先権主張出願。該優先権主張に基づく優先日は平成17年5月20日。)
審査請求 平成18年1月17日
手続補正 平成18年3月9日
拒絶理由 平成18年5月23日
手続補正 平成18年7月27日
拒絶理由 平成18年12月19日
拒絶査定 平成19年6月27日
審判請求 平成19年8月2日
拒絶理由 平成21年6月11日
手続補正 平成21年8月11日

第2.平成21年8月11日付の手続補正について

平成21年8月11日付の手続補正(以下「本件補正」という。)によって、特許請求の範囲の記載は、次のとおりに補正された。
[本件補正後の特許請求の範囲]
「 【請求項1】
各々に複数種類の図柄を有し、当該複数種類の図柄を可変表示可能な複数の表示列と、前記複数の表示列の可変表示の開始の指示を受け付ける開始受付手段と、前記複数の表示列の各々に対応して設けられ、前記可変表示の各々の停止の指示を受け付ける複数の停止受付手段と、停止した状態の前記表示列の各々が有する図柄の当該複数の表示列に亘っての並びからなる入賞ラインが所定の表示位置に設定され、前記入賞ライン上の図柄の組合せが、所定の入賞態様となる役を示す場合に賞に入賞し、入賞した賞に応じて予め定められた遊技価値を付与し、通常ゲーム、第1確率変動ゲーム、第2確率変動ゲーム及び特別ゲームを含む複数の種類のゲームを管理するゲーム管理手段を備え、前記特別ゲーム終了後に前記第2確率変動ゲームを開始し、有体又は電気的若しくは磁気的に記憶した無体の遊技媒体の受け付けでゲームを開始する遊技機であって、
前記賞は、前記入賞態様が、第1役であった場合に付与する前記遊技価値が前記遊技媒体の受け付けなしにゲームを開始させる第1再遊技賞及び第2役であった場合に付与する前記遊技価値が前記遊技媒体の受け付けなしにゲームを開始させる第2再遊技賞を含む複数の再遊技賞と、前記入賞態様が特別役であった場合に付与する前記遊技価値が前記通常ゲームから前記特別ゲームへ移行させることである特別開始賞とを含み、
抽選を実行して抽選結果を示す抽選情報を生成し、前記通常ゲーム、前記第1確率変動ゲーム及び前記第2確率変動ゲームの抽選対象に前記第1再遊技賞、前記第2再遊技賞及び前記特別開始賞を含ませ、前記第1確率変動ゲームにおける前記第1再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける前記第1再遊技賞を抽選で選択する当選確率及び前記第2再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定し、前記第2確率変動ゲームにおける前記第2再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける前記第2再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定する抽選手段と、
前記表示列に対応する前記停止受付手段が停止の指示を受け付けたタイミングで、当該表示列上の図柄位置を示す図柄情報を取得する図柄情報取得手段と、
前記取得した図柄情報が示す図柄位置から所定範囲内で移動させて当該表示列を前記所定の表示位置に停止させる停止制御手段とを有し、
前記停止制御手段は、前記第2確率変動ゲームを、当該第2確率変動ゲームの開始からゲーム数を管理して、前記第2確率変動ゲームにおける前記第2再遊技賞が抽選で選択される当選確率の逆数より小さく設定した所定のゲーム数を達するまで継続させる一方、前記抽選情報が前記第2再遊技賞の当選結果を示す抽選情報が生成されたゲームで、前記取得した図柄情報が示す図柄位置から前記所定範囲内で移動させた場合に、当該表示列で前記第2役を構成する図柄を入賞ライン上に表示できるとき、当該図柄を当該入賞ライン上に表示するように当該表示列を移動させて停止させ、
前記ゲーム管理手段は、前記抽選情報が前記第2再遊技賞の当選結果を示す抽選情報が生成された前記第2確率変動ゲームで、入賞態様が前記第2役を示す場合、前記遊技媒体の受け付けなしに次のゲームを開始するとともに、前記ゲームの種類を前記第1確率変動ゲームとし、
前記賞は、第5役を入賞態様とする第5再遊技賞を含み、
前記ゲーム管理手段は第5ゲームをさらに管理し、
前記抽選手段は、前記通常ゲーム及び前記第1確率変動ゲームの前記抽選対象に前記第5再遊技賞を前記再遊技賞として含ませて抽選を実行し、前記第1確率変動ゲームにおける前記第5再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける前記第5再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定し、
前記ゲーム管理手段は、前記第5再遊技賞の当選結果を示す抽選情報が生成された前記第1確率変動ゲームで、入賞態様が前記第5役を示す場合、前記遊技媒体の受け付けなしに次ゲームを開始するとともに、前記ゲームの種類を前記第5ゲームとする
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記賞は、特定役を入賞態様とする特定賞を含み、
前記抽選手段は、前記通常ゲーム及び前記第1確率変動ゲームの前記抽選対象に前記特定賞を含ませて抽選を実行し、
前記停止制御手段は、前記抽選情報が前記特定賞の当選結果を示す抽選情報が生成された第1確率変動ゲームで、前記取得した図柄情報が示す図柄位置から前記所定範囲内で移動させた場合に、当該表示列で前記特定役を構成する図柄を入賞ライン上に表示できるとき、当該図柄を当該入賞ライン上に表示するように当該表示列を移動させて停止させ、
前記ゲーム管理手段は、当該第1確率変動ゲームで入賞態様が前記特定役を示す場合、次に開始するゲームの種類を前記第2確率変動ゲームとする
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記特定賞は、前記遊技媒体の受け付けなしにゲームを開始させる再遊技賞であり、
前記抽選手段は、前記第1確率変動ゲームにおける前記特定賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける前記特定賞を抽選で選択する当選確率より高く設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の遊技機。」

また、本件補正前の特許請求の範囲の記載は、請求項1は平成18年3月9日付の手続補正書、請求項5は平成18年7月27日付の手続補正書、その余の請求項は本件出願当初の記載にそれぞれ基づくものであり、次のとおりである。
[本件補正前の特許請求の範囲]
「 【請求項1】
各々に複数種類の図柄を有し、当該複数種類の図柄を可変表示可能な複数の表示列と、前記複数の表示列の可変表示の開始の指示を受け付ける開始受付手段と、前記複数の表示列の各々に対応して設けられ、前記可変表示の各々の停止の指示を受け付ける複数の停止受付手段と、停止した状態の前記表示列の各々が有する図柄の当該複数の表示列に亘っての並びからなる入賞ラインが所定の表示位置に設定され、前記入賞ライン上の図柄の組合せが、所定の入賞態様となる役を示す場合に賞に入賞し、入賞した賞に応じて予め定められた遊技価値を付与し、通常ゲーム、第1確率変動ゲーム、第2確率変動ゲーム及び特別ゲームを含む複数の種類のゲームを管理するゲーム管理手段を備え、前記特別ゲーム終了後に前記第2確率変動ゲームを開始し、有体又は電気的若しくは磁気的に記憶した無体の遊技媒体の受け付けでゲームを開始する遊技機であって、
前記賞は、前記入賞態様が、第1役であった場合に付与する前記遊技価値が前記遊技媒体の受け付けなしにゲームを開始させる第1再遊技賞及び第2役であった場合に付与する前記遊技価値が前記遊技媒体の受け付けなしにゲームを開始させる第2再遊技賞を含む複数の再遊技賞と、前記入賞態様が特別役であった場合に付与する前記遊技価値が前記通常ゲームから前記特別ゲームへ移行させることである特別開始賞とを含み、
抽選を実行して抽選結果を示す抽選情報を生成し、前記通常ゲーム、前記第1確率変動ゲーム及び前記第2確率変動ゲームの抽選対象に前記第1再遊技賞、前記第2再遊技賞及び前記特別開始賞を含ませ、前記第1確率変動ゲームにおける前記第1再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける前記第1再遊技賞を抽選で選択する当選確率及び前記第2再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定し、前記第2確率変動ゲームにおける前記第2再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける前記第2再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定する抽選手段と、
前記表示列に対応する前記停止受付手段が停止の指示を受け付けたタイミングで、当該表示列上の図柄位置を示す図柄情報を取得する図柄情報取得手段と、
前記取得した図柄情報が示す図柄位置から所定範囲内で移動させて当該表示列を前記所定の表示位置に停止させる停止制御手段とを有し、
前記停止制御手段は、前記第2確率変動ゲームを、当該第2確率変動ゲームの開始からゲーム数を管理して、前記第2確率変動ゲームにおける前記第2再遊技賞が抽選で選択される当選確率の逆数より小さく設定した所定のゲーム数を達するまで継続させる一方、前記抽選情報が前記第2再遊技賞の当選結果を示す抽選情報が生成されたゲームで、前記取得した図柄情報が示す図柄位置から前記所定範囲内で移動させた場合に、当該表示列で前記第2役を構成する図柄を入賞ライン上に表示できるとき、当該図柄を当該入賞ライン上に表示するように当該表示列を移動させて停止させ、
前記ゲーム管理手段は、前記抽選情報が前記第2再遊技賞の当選結果を示す抽選情報が生成された前記第2確率変動ゲームで、入賞態様が前記第2役を示す場合、前記遊技媒体の受け付けなしに次のゲームを開始するとともに、前記ゲームの種類を前記第1確率変動ゲームとする
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記賞は、特定役を入賞態様とする特定賞を含み、
前記抽選手段は、前記通常ゲーム及び前記第1確率変動ゲームの前記抽選対象に前記特定賞を含ませて抽選を実行し、
前記停止制御手段は、前記抽選情報が前記特定賞の当選結果を示す抽選情報が生成された第1確率変動ゲームで、前記取得した図柄情報が示す図柄位置から前記所定範囲内で移動させた場合に、当該表示列で前記特定役を構成する図柄を入賞ライン上に表示できるとき、当該図柄を当該入賞ライン上に表示するように当該表示列を移動させて停止させ、
前記ゲーム管理手段は、当該第1確率変動ゲームで入賞態様が前記特定役を示す場合、次に開始するゲームの種類を前記第2確率変動ゲームとする
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記特定賞は、前記遊技媒体の受け付けなしにゲームを開始させる再遊技賞であり、
前記抽選手段は、前記第1確率変動ゲームにおける前記特定賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける前記特定賞を抽選で選択する当選確率より高く設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記賞は、第4役を入賞態様とする第4再遊技賞を含み、
前記ゲーム管理手段は第4ゲームをさらに管理し、
前記抽選手段は、前記通常ゲーム及び前記第2確率変動ゲームの前記抽選対象に前記第4再遊技賞を前記再遊技賞として含ませて抽選を実行し、前記第2確率変動ゲームにおける前記第4再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける前記第4再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定し、
前記ゲーム管理手段は、前記第4再遊技賞の当選結果を示す抽選情報が生成された前記第2確率変動ゲームで、入賞態様が前記第4役を示す場合、前記遊技媒体の受け付けなしに次ゲームを開始するとともに、前記ゲームの種類を前記第4ゲームとする
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記抽選手段は、前記第4ゲームにおける前記第2再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける前記第2再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定し、
前記ゲーム管理手段は、前記第2再遊技賞の当選結果を示す抽選情報が生成された前記第4ゲームで、入賞態様が前記第2役を示す場合、前記遊技媒体の受け付けなしに次ゲームを開始するとともに、前記ゲームの種類を前記第1確率変動ゲームとする
ことを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記賞は、第5役を入賞態様とする第5再遊技賞を含み、
前記ゲーム管理手段は第5ゲームをさらに管理し、
前記抽選手段は、前記通常ゲーム及び前記第1確率変動ゲームの前記抽選対象に前記第5再遊技賞を前記再遊技賞として含ませて抽選を実行し、前記第1確率変動ゲームにおける前記第5再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける前記第5再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定し、
前記ゲーム管理手段は、前記第5再遊技賞の当選結果を示す抽選情報が生成された前記第1確率変動ゲームで、入賞態様が前記第5役を示す場合、前記遊技媒体の受け付けなしに次ゲームを開始するとともに、前記ゲームの種類を前記第5ゲームとする
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の遊技機。」

第3.優先権主張にかかる判断

当審において、平成21年6月11日付で拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)を通知したが、ここで、詳細な説明の段落【0269】?【0272】及び図30?32に基づく請求項(具体的には本件補正前の請求項2?6)については、優先権主張が認められず、基準日は出願日である平成17年12月16日となる旨の指摘を行った。
これに対して請求人は、平成21年8月11日付の意見書において、本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1に同請求項6の構成を加えたものであり、そして本件補正前の請求項6は、詳細な説明の第4の変形例(0267-0268段落)にも基づいているから、本件補正前の請求項6(すなわち本件補正後の請求項1)の基準日は優先日である平成17年5月20日となると主張している。
この主張の適否はともかく、ところで本件補正後の請求項2は請求項1を引用するものであり、本件補正後の請求項2の内容は本件補正前の請求項2の内容と同一である。そして、請求項2の内容について、当審拒絶理由における優先権主張が認めらない旨の指摘に対しては、請求人からの反論はない。

そして、本件補正後の請求項2について優先権主張が認められるか否か検討するに、請求項2においては、賞として「特定役を入賞態様とする特定賞」を備え、抽選手段が「第1確率変動ゲームの抽選対象に特定賞を含ませて抽選を実行」し、「第1確率変動ゲームで入賞態様が特定役を示す場合、次に開始するゲームの種類を第2確率変動ゲームとする」点の構成を備えている。
そして、優先権主張の対象となる先の出願である特願2005-148752号の明細書を参照しても「特定賞」なる記載はなく、また、入賞態様が特定の役の場合に「第1確率変動ゲーム」から「第2確率変動ゲーム」に移行することを示唆する記載は見あたらない。

とすれば、本件補正後の請求項2(本件補正前の請求項2も同様)にかかる内容は、優先権主張が認められるものではなく、その基準日は本件出願日の平成17年12月16日となると判断されるものである。

第4.本願発明

本件補正後の請求項2は請求項1を引用するものであり、そして、本件補正後の請求項1,2は、上記第2.(1)[本件補正後の特許請求の範囲]において【請求項1】、【請求項2】としてそれぞれ記載されたとおりのものである。よって、本件補正後における、請求項1を引用した請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、請求項2を、請求項1を含んだ形で書き下した次のとおりのものであると認める。
「各々に複数種類の図柄を有し、当該複数種類の図柄を可変表示可能な複数の表示列と、前記複数の表示列の可変表示の開始の指示を受け付ける開始受付手段と、前記複数の表示列の各々に対応して設けられ、前記可変表示の各々の停止の指示を受け付ける複数の停止受付手段と、停止した状態の前記表示列の各々が有する図柄の当該複数の表示列に亘っての並びからなる入賞ラインが所定の表示位置に設定され、前記入賞ライン上の図柄の組合せが、所定の入賞態様となる役を示す場合に賞に入賞し、入賞した賞に応じて予め定められた遊技価値を付与し、通常ゲーム、第1確率変動ゲーム、第2確率変動ゲーム及び特別ゲームを含む複数の種類のゲームを管理するゲーム管理手段を備え、前記特別ゲーム終了後に前記第2確率変動ゲームを開始し、有体又は電気的若しくは磁気的に記憶した無体の遊技媒体の受け付けでゲームを開始する遊技機であって、
前記賞は、前記入賞態様が、第1役であった場合に付与する前記遊技価値が前記遊技媒体の受け付けなしにゲームを開始させる第1再遊技賞及び第2役であった場合に付与する前記遊技価値が前記遊技媒体の受け付けなしにゲームを開始させる第2再遊技賞を含む複数の再遊技賞と、前記入賞態様が特別役であった場合に付与する前記遊技価値が前記通常ゲームから前記特別ゲームへ移行させることである特別開始賞とを含み、
抽選を実行して抽選結果を示す抽選情報を生成し、前記通常ゲーム、前記第1確率変動ゲーム及び前記第2確率変動ゲームの抽選対象に前記第1再遊技賞、前記第2再遊技賞及び前記特別開始賞を含ませ、前記第1確率変動ゲームにおける前記第1再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける前記第1再遊技賞を抽選で選択する当選確率及び前記第2再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定し、前記第2確率変動ゲームにおける前記第2再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける前記第2再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定する抽選手段と、
前記表示列に対応する前記停止受付手段が停止の指示を受け付けたタイミングで、当該表示列上の図柄位置を示す図柄情報を取得する図柄情報取得手段と、
前記取得した図柄情報が示す図柄位置から所定範囲内で移動させて当該表示列を前記所定の表示位置に停止させる停止制御手段とを有し、
前記停止制御手段は、前記第2確率変動ゲームを、当該第2確率変動ゲームの開始からゲーム数を管理して、前記第2確率変動ゲームにおける前記第2再遊技賞が抽選で選択される当選確率の逆数より小さく設定した所定のゲーム数を達するまで継続させる一方、前記抽選情報が前記第2再遊技賞の当選結果を示す抽選情報が生成されたゲームで、前記取得した図柄情報が示す図柄位置から前記所定範囲内で移動させた場合に、当該表示列で前記第2役を構成する図柄を入賞ライン上に表示できるとき、当該図柄を当該入賞ライン上に表示するように当該表示列を移動させて停止させ、
前記ゲーム管理手段は、前記抽選情報が前記第2再遊技賞の当選結果を示す抽選情報が生成された前記第2確率変動ゲームで、入賞態様が前記第2役を示す場合、前記遊技媒体の受け付けなしに次のゲームを開始するとともに、前記ゲームの種類を前記第1確率変動ゲームとし、
前記賞は、第5役を入賞態様とする第5再遊技賞を含み、
前記ゲーム管理手段は第5ゲームをさらに管理し、
前記抽選手段は、前記通常ゲーム及び前記第1確率変動ゲームの前記抽選対象に前記第5再遊技賞を前記再遊技賞として含ませて抽選を実行し、前記第1確率変動ゲームにおける前記第5再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける前記第5再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定し、
前記ゲーム管理手段は、前記第5再遊技賞の当選結果を示す抽選情報が生成された前記第1確率変動ゲームで、入賞態様が前記第5役を示す場合、前記遊技媒体の受け付けなしに次ゲームを開始するとともに、前記ゲームの種類を前記第5ゲームとし、
前記賞は、特定役を入賞態様とする特定賞を含み、
前記抽選手段は、前記通常ゲーム及び前記第1確率変動ゲームの前記抽選対象に前記特定賞を含ませて抽選を実行し、
前記停止制御手段は、前記抽選情報が前記特定賞の当選結果を示す抽選情報が生成された第1確率変動ゲームで、前記取得した図柄情報が示す図柄位置から前記所定範囲内で移動させた場合に、当該表示列で前記特定役を構成する図柄を入賞ライン上に表示できるとき、当該図柄を当該入賞ライン上に表示するように当該表示列を移動させて停止させ、
前記ゲーム管理手段は、当該第1確率変動ゲームで入賞態様が前記特定役を示す場合、次に開始するゲームの種類を前記第2確率変動ゲームとする
ことを特徴とする遊技機。」

第5.当審の判断

1.当審拒絶理由について

当審拒絶理由における理由2.の概要は、本件補正前の請求項1については下に記載した引用文献2に記載された発明に基づいて、優先権主張が認められないとしたその余の請求項については下に記載した引用文献2?9に記載された発明及び技術に基づいて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
なお、請求人は、本件補正前の請求項6について「補正前の請求項6に係る発明の進歩性の判断では、優先日との関係で、引用文献1-9のうち、引用文献3、4および9を引例に挙げることは認められません。」と主張しているが、本件補正前の請求項6は請求項1のみならず請求項2も引用しているのであって、請求項2を引用する請求項6については上述したように優先権主張は認められないのであるから、請求人の上記主張も認めることはできない。

引用文献2:特開2001-87462号公報
引用文献3:特開2005-143931号公報
引用文献4:特開2005-199049号公報
引用文献5:特開2003-265692号公報
引用文献6:特開2004-229952号公報
引用文献7:特開2004-298491号公報
引用文献8:特開2005-118138号公報
引用文献9:特開2005-205191号公報

2.引用発明について

引用文献3には図面と共に、以下の記載がある。

【0025】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるスロットマシン10の制御の概略を示したブロック図である。
(遊技制御手段)
スロットマシン10の遊技制御手段60は、スロットマシン10の遊技の進行や演出等を含むスロットマシン10全体を統括制御する手段である。遊技制御手段60は、演算等を行うCPUと、遊技の進行等に必要なプログラムや演出用のデータ等を記憶しておくROMと、CPUが各種の制御を行うときに、取り込んだデータ等を一時的に記憶しておくRAM等とを備える。
【0026】
(モータ、リール)
遊技制御手段60の出力側(図1中、右側)には、以下に示すモータ32等の周辺機器が電気的に接続されている。
モータ32は、リール31を回転させるためのものであり、リール31の回転中心部に連結され、遊技制御手段60によって制御される。
リール31は、リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(後述する、役を構成する図柄等)を印刷したリールテープを貼付したものである。
【0027】
リール31は、本実施形態では並列に3つ設けられている。また、各リール31は、スロットマシン10のフロントパネルに設けられた表示窓(図示せず)から、上下に連続する3図柄が見えるように配置されている。よって、スロットマシン10の表示窓から、合計9個の図柄が見えるように配置されている。
そして、リール31がモータ32によって回転されることで、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓内で上下方向に移動表示される。
【0028】
(役)
図2は、本実施形態における役(後述する役抽選手段61で抽選される役)の種類、当選確率、払出し枚数等、及び図柄の組合せを示す図である。図2に示すように、例えば通常遊技中(非内部中)の役としては、複数種類の特別役、複数種類の停止制御変更役、複数種類の小役、及びリプレイが設けられている。
【0029】
特別役とは、通常遊技から特別遊技(通常遊技以上にメダルの獲得が期待できる、遊技者にとって有利となる遊技)に移行させる役である。本実施形態では、図2に示すように、特別役として、BB(ビックボーナス)、及びRB(レギュラーボーナス)が設けられている。なお、他の特別役として、SB(シングルボーナス)が挙げられるが、本実施形態では、BB及びRBのみが設けられており、SBは設けていない。
【0031】
さらにまた、小役とは、予め定められた枚数のメダルが払い出される役であり、本実施形態では小役1?小役3の3種類設けられている。そして、小役の種類に応じて、その役に対応する図柄の組合せ及びメダルの払出し枚数が異なるように設定されている。
さらに、リプレイとは、再遊技役であって、当該遊技で投入したメダル枚数(ベット枚数)を維持した再遊技が行えるようにした役である。
なお、図2に示した「RT作動図柄」とは、役抽選手段61で抽選される役ではないが、その当選確率と、図柄の組合せとが予め定められたものである(この点については、後述する)。
【0035】
本実施形態では、通常遊技中(非内部中)の役として、図2に示すように、特別役(BB及びRB)、停止制御変更役(BC及びSC)、3種類の小役(小役1、小役2及び小役3)、及びリプレイが設けられている。
また、通常遊技中(内部中)の役は、上記の非内部中の通常遊技中の役から、特別役(BB及びRB)、及び停止制御変更役(BC及びSC)を除いた役である。
【0039】
以上の各種の役に対応する、リール31の図柄の組合せが予め定められている。そして、全てのリール31の停止時に、予め定められたいずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止し、その役の入賞となったときは、予め定められた枚数のメダルが払い出される。
【0041】
(図柄組合せライン、有効ライン)
図示しないが、スロットマシン10の表示窓を含む部分には、図柄組合せライン(有効ライン)が設けられている。
ここで、「図柄組合せライン」とは、リール31の停止時における図柄の並びラインであって図柄の組合せを形成させるラインである。本実施形態では、水平方向の中段、上段及び下段にそれぞれ設けられたラインと、右下がり及び左下がりの斜め方向の各ラインの合計5本から構成されている。そして、各リール31の上下に連続する3図柄は、それぞれ1以上の図柄組合せライン上に位置している。
【0049】
(スタートスイッチ、ストップスイッチ)
また、遊技制御手段60の入力側(図1中、左側)には、以下に示す、スタートスイッチ41及びストップスイッチ42が電気的に接続されている。
スタートスイッチ41は、遊技者がリール31の回転をスタートさせるときに操作するスイッチである。スタートスイッチ41が操作されると、そのときに発生する信号が遊技制御手段60に入力される。遊技制御手段60は、この信号を受信すると、全てのモータ32を回転させるように制御する。
【0050】
さらにまた、ストップスイッチ42は、各リール31ごとに独立して3つ並設され、遊技者がそれぞれのリール31の回転を停止させるときに操作するスイッチである。ストップスイッチ42が操作されると、そのときに発生する信号が遊技制御手段60に入力される。遊技制御手段60(後述するリール停止制御手段64)は、この信号を受信すると、そのストップスイッチ42に対応するモータ32を制御して、リール31の停止制御を行う。
【0051】
遊技の開始時には、遊技者は、メダル投入口(図示せず)からメダルを投入するか、又はベットスイッチ(図示せず)を操作して予め貯留されたメダルを投入して有効ラインを設定するとともに、スタートスイッチ41をオンする。スタートスイッチ41がオンされることで有効ライン数が確定するとともに、全リール31が始動(回転が開始)される。
【0052】
そして、遊技者は各ストップスイッチ42を押すことで各リール31の回転を停止させる。全てのリール31の停止時に、有効ライン上のリール31の図柄の組合せが予め定められた何らかの役の図柄の組合せと一致し、その役の入賞となったときは、成立役に応じてメダルの払出し等が行われる。
【0053】
遊技制御手段60は、以下の各手段を備える。なお、本実施形態における以下の各手段は例示であり、遊技制御手段60は、本実施形態で示した手段に限定されるものではない。
(役抽選手段)
役抽選手段61は、役(上述した特別役、小役又はリプレイ)の抽選を行うものである。役抽選手段61は、例えば、役抽選用の乱数発生手段(ハードウェア乱数等)と、この乱数発生手段が発生する乱数を抽出する乱数抽出手段と、乱数抽出手段が抽出した乱数値に基づいて、役の当選の有無及び当選役を判定する判定手段とを備えている。
【0056】
(抽選テーブル)
抽選テーブル62は、抽選される役の種類と、各役の当選確率とを定めたものである。図1に示すように、本実施形態の抽選テーブル62は、通常遊技(非内部中)に用いられる通常遊技抽選テーブル62a、第1RT遊技に用いられる第1RT遊技抽選テーブル62b、第2RT遊技に用いられる第2RT遊技抽選テーブル62c、第3RT遊技に用いられる第3RT遊技抽選テーブル62d、BB遊技に用いられるBB遊技抽選テーブル62e、RB遊技に用いられるRB遊技抽選テーブル62f、及び停止制御変更遊技(BC遊技及びSC遊技)に用いられる停止制御変更遊技抽選テーブル62gとを備えている。このように、遊技状態(通常遊技(非内部中)、RT遊技、停止制御変更遊技、及び特別遊技)ごとに、特有の抽選テーブル62が設けられている。
【0058】
図3は、本実施形態における抽選テーブル62のうち、通常遊技抽選テーブル62aと、RT遊技に用いられる第1RT遊技抽選テーブル62b、第2RT遊技抽選テーブル62c、及び第3RT遊技抽選テーブル62dとの概要を示す図である。
通常遊技抽選テーブル62aは、通常遊技の非内部中のときに用いられるものであり、リプレイの当選確率は、図2で示した通り、1/7.3に設定されている。
これに対し、第1RT遊技抽選テーブル62b、第2RT遊技抽選テーブル62c、及び第3RT遊技抽選テーブル62dは、通常遊技抽選テーブル62aに対して、リプレイの当選確率が高く設定されたものである。すなわち、これら3つの抽選テーブル(62b?62d)は、リプレイ高確率抽選テーブルといえる。
【0059】
また、第1RT遊技抽選テーブル62b及び第2RT遊技抽選テーブル62cは、それぞれ所定の条件を満たしたときに選択されるものであり、リプレイの当選確率は、それぞれ1/1.5及び1/2.0に設定されている。第1RT遊技抽選テーブル62b及び第2RT遊技抽選テーブル62cは、リプレイの当選確率以外の点、すなわち抽選される役の種類及びその当選確率については、通常遊技抽選テーブル62aと同一である。なお、これら2つの抽選テーブル62は、どのような条件の場合に選択されるかについては、後述する。
【0062】
(抽選テーブル選択手段)
抽選テーブル選択手段63は、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を、遊技状態に応じて1つ選択するものであり、以下の各手段を備える。
(RT遊技抽選手段)
RT遊技抽選手段63aは、通常遊技の非内部中の遊技、又はBB遊技若しくはRB遊技の終了後の所定回数の遊技(第2RT遊技)中における役の非当選時に、第1RT遊技、すなわち第1RT遊技抽選テーブル62bを用いて役の抽選を行う遊技を実行するか否かを、抽選によって決定するものである。本実施形態では、この抽選は、ソフトウェア乱数を用いて行われ、その当選確率は、1/400に設定されている。
【0063】
また、このRT遊技抽選手段63aに当選すると、後述するリール停止制御手段64は、RT作動図柄(図2参照)、すなわち「赤7」-「赤7」-「BAR」又は「青7」-「青7」-「BAR」の図柄の組合せがリール31の停止制御の範囲内において有効ラインに停止するように停止制御する。なお、当該遊技で上記図柄の組合せが有効ラインに停止しなかった場合には、次遊技もまた、リール停止制御手段64は、同じ停止制御を行う。
【0064】
(条件判定手段)
条件判定手段63bは、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を、他の抽選テーブル62に切り替えるための条件を満たしたか否かを判定するものである。また、他の抽選テーブル62に切り替えるための条件は、予め記憶しており、毎遊技、その条件を満たしたか否かを判定する。
【0065】
(抽選テーブル切替え手段)
また、抽選テーブル切替え手段63cは、条件判定手段63bにより、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を他の抽選テーブル62に切り替えるための条件を満たしたと判定されたときに、それまでの抽選テーブル62から、他の抽選テーブル62に切り替えるように制御するものである。
【0066】
例えば、通常遊技抽選テーブル62aが選択されている遊技(非内部中の通常遊技)では、条件判定手段63bは、上記のRT遊技抽選手段63aによる抽選に当選したか否か、及びその当選後に、上記のRT作動図柄が有効ラインに停止したか否かを判別する。RT作動図柄が有効ラインに停止したときは、条件判定手段63bは、第1RT遊技抽選テーブル62bに切り替えるための条件を満たしたと判定する。その結果、次遊技以降では、抽選テーブル切替え手段63cは、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を、第1RT遊技抽選テーブル62bに切り替える。
【0069】
さらにまた、条件判定手段63bは、特別遊技(BB遊技又はRB遊技)を終了したか否かを判定する。特別遊技が終了したときは、条件判定手段63bは、抽選テーブル62を、第2RT遊技抽選テーブル62cに切り替えるための条件を満たしたと判定する。その結果、特別遊技の終了後の遊技では、抽選テーブル切替え手段63cは、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を、BB遊技抽選テーブル62e又はRB遊技抽選テーブル62fから、第2RT遊技抽選テーブル62cに切り替える。
【0072】
(RT遊技回数カウント手段)
RT遊技回数カウント手段63dは、第1RT遊技抽選テーブル62b又は第2RT遊技抽選テーブル62cが用いられて役の抽選が行われた遊技の遊技回数をカウントするものである。第1RT遊技抽選テーブル62b又は第2RT遊技抽選テーブル62cが用いられた遊技では、毎遊技、カウンター等を用いて遊技回数を1ずつ加算していく。
【0073】
そして、条件判定手段63bは、第1RT遊技抽選テーブル62bが用いられて役の抽選が行われている場合には、RT遊技回数カウント手段63dによる遊技回数のカウント値が100遊技に到達したか否かを判定する。同様に、条件判定手段63bは、第2RT遊技抽選テーブル62cが用いられて役の抽選が行われている場合には、RT遊技回数カウント手段63dによる遊技回数のカウント値が50遊技に到達したか否かを判定する。
【0074】
これらの100遊技又は50遊技に到達したと判定されたときは、条件判定手段63bは、それぞれ第1RT遊技抽選テーブル62b又は第2RT遊技抽選テーブル62cから、通常遊技抽選テーブル62aに切り替えるための条件を満たしたと判定する。その結果、次遊技以降では、抽選テーブル切替え手段63cは、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を、通常遊技抽選テーブル62aに切り替える。
図4は、以上説明した通常遊技抽選テーブル62a、第1RT遊技抽選テーブル62b、第2RT遊技抽選テーブル62c、及び第3RT遊技抽選テーブル62dの切替え状態を示す図である。
【0076】
以上のように、通常遊技とRT遊技間、又は複数種類のRT遊技間を移行することで、より多彩な遊技状態を作り出すことができる。
また、RT遊技中は、リプレイの当選確率が通常遊技中より高くなるので、それだけ、メダルを投入しないで次遊技を行う機会が増加する。そして、そのリプレイの当選確率が異なる複数のRT遊技を設けることにより、メダルの減り具合が異なる複数の遊技状態を設けることができる。
【0077】
(リール停止制御手段)
リール停止制御手段64は、役抽選手段61による役の抽選結果と、投入メダル枚数とに基づいて、所定の停止制御テーブル65を選択し、その選択した停止制御テーブル65に基づいてリール31の停止位置を決定するとともに、モータ32を駆動制御して、その決定した位置にリール31が停止するように制御するものである。
【0078】
(停止制御テーブル)
停止制御テーブル65は、遊技状態、及び役抽選手段61による役の抽選結果(当選役の種類)ごとに設けられ、ストップスイッチ42が操作された瞬間の位置に応じたリール31の停止位置を定めたものである。
本実施形態の停止制御テーブル65としては、先ず、第1停止制御テーブル65Xと、第2停止制御テーブル65Yとに分けられている。
第1停止制御テーブルXは、通常遊技、特別遊技、及びRT遊技や、BC遊技とSC遊技におけるリプレイ当選時の遊技に用いられる。
これに対し、第2停止制御テーブルYは、BC遊技及びSC遊技における役の非当選時の遊技に用いられる。
【0079】
第1停止制御テーブルXは、BBテーブル65a、RBテーブル65b、BCテーブル65c、SCテーブル65d、小役1テーブル65e、小役2テーブル65f、小役3テーブル65g、リプレイテーブル65h、RT作動テーブル65i、及び非当選テーブル65j、の10種類から構成されている。
【0081】
ここで、第1停止制御テーブルXにおける「リール31の停止可能位置の範囲内」とは、(1)ストップスイッチ42が操作された時(瞬間)からリール31を停止させるまでのリール31の移動制御量が第1の値以内、又は(2)ストップスイッチ42が操作された時(瞬間)からリール31を停止させるまでの停止制御時間が第1の時間以内、を意味する(第1停止制御)。特に本実施形態では、「第1の値以内」とは、5図柄以内に設定されている。すなわち、「移動制御量が第1の値以内」とは、ストップスイッチ42が操作された時に特定の図柄が特定の有効ライン上に位置しているとき、その特定の図柄を含めて(その特定の図柄から数えて)5図柄先の図柄が特定の有効ライン上に位置するまで、を意味する。
【0082】
また、本実施形態では「第1の時間以内」とは、190ms以内に設定されている。すなわち、「停止制御時間が第1の時間以内」とは、ストップスイッチ42が操作された時からカウントして190ms以内にリール31が停止すること、を意味する。
【0090】
さらにまた、リプレイテーブル65hは、当該遊技でリプレイに当選したことを条件として用いられ、リール31の停止可能位置の範囲内においてリプレイに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させるとともに、リプレイ以外の役に対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させないように、リール31の停止時の図柄の組合せを定めたものである。
【0091】
さらに、RT作動テーブル65iは、当該遊技でRT遊技抽選手段63aで当選したこと、又はそれ以前の遊技でRT遊技抽選手段63aに当選した場合であってRT作動図柄が未だ有効ラインに停止していないことを条件として用いられ、リール31の停止可能位置の範囲内においてRT作動図柄を有効ラインに停止させるとともに、RT作動図柄以外の図柄の組合せ(いずれかの役に対応する図柄の組合せ)を有効ラインに停止させないように、リール31の停止時の図柄の組合せを定めたものである。

また、【図4】を参照すれば、「第2RT抽選テーブル62c」から「第1RT抽選テーブル」へ矢印○7(丸囲み数字については、以下この形で表記する。)が描かれ、また【図4】下方の説明に「○7 RT遊技に当選し、RT作動図柄が揃うことにより移行」と記載されている。この説明は、「通常遊技テーブル62a」から「第1RT抽選テーブル」への矢印○1の説明と同一である。そして、矢印○1については、段落【0066】における「例えば、通常遊技抽選テーブル62aが選択されている遊技(非内部中の通常遊技)では…RT作動図柄が有効ラインに停止したときは…第1RT遊技抽選テーブル62bに切り替える。」との記載に基づくと解され、また【図4】の説明や、段落【0062】における「RT遊技抽選手段」において「通常遊技の非内部中の遊技、又は…第2RT遊技中における役の非当選時に、第1RT遊技…を実行するか否かを、抽選によって決定する」とあるから、段落【0066】の上記記載は【図4】の○7の矢印についても同様に当てはまると想定できるから、以上より「通常遊技抽選テーブル62aが選択されている遊技(非内部中の通常遊技)」及び「第2RT抽選テーブル62cが選択されている遊技」において、「RT作動図柄が有効ラインに停止したときは…第1RT遊技抽選テーブル62bに切り替える。」という構成を認めることができる。

よって、引用文献3の記載事項及び図面を総合的に勘案すれば、引用文献3には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「スロットマシン10の遊技制御手段60は、スロットマシン10の遊技の進行や演出等を含むスロットマシン10全体を統括制御する手段であって、
遊技制御手段60の出力側には、モータ32等の周辺機器が電気的に接続されており、モータ32は、リール31を回転させるためのものであり、リール31の回転中心部に連結され、遊技制御手段60によって制御され、リール31は、リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役を構成する図柄等)を印刷したリールテープを貼付したものであり、リール31は並列に3つ設けられており、また各リール31は、スロットマシン10のフロントパネルに設けられた表示窓から、上下に連続する3図柄が見えるように配置されており、リール31がモータ32によって回転されることで、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓内で上下方向に移動表示され、
役抽選手段61で抽選される役としては、複数種類の特別役、複数種類の小役、及びリプレイが設けられており、特別役とは、通常遊技から特別遊技(通常遊技以上にメダルの獲得が期待できる、遊技者にとって有利となる遊技)に移行させる役であり、小役とは、予め定められた枚数のメダルが払い出される役であり、さらに、リプレイとは、再遊技役であって、当該遊技で投入したメダル枚数(ベット枚数)を維持した再遊技が行えるようにした役であり、なお、RT作動図柄とは、役抽選手段61で抽選される役ではないが、その当選確率と、図柄の組合せとが予め定められたものであり、通常遊技中(非内部中)の役として、特別役(BB及びRB)、3種類の小役(小役1、小役2及び小役3)、及びリプレイが設けられており、以上の各種の役に対応する、リール31の図柄の組合せが予め定められており、
スロットマシン10の表示窓を含む部分には、リール31の停止時における図柄の並びラインであって図柄の組合せを形成させるラインである図柄組合せライン(有効ライン)が設けられており、
遊技制御手段60の入力側には、スタートスイッチ41及びストップスイッチ42が電気的に接続されており、スタートスイッチ41は、遊技者がリール31の回転をスタートさせるときに操作するスイッチであり、スタートスイッチ41が操作されると、そのときに発生する信号が遊技制御手段60に入力され、遊技制御手段60は、この信号を受信すると、全てのモータ32を回転させるように制御し、ストップスイッチ42は、各リール31ごとに独立して3つ並設され、遊技者がそれぞれのリール31の回転を停止させるときに操作するスイッチであり、ストップスイッチ42が操作されると、そのときに発生する信号が遊技制御手段60に入力され、遊技制御手段60(リール停止制御手段64)は、この信号を受信すると、そのストップスイッチ42に対応するモータ32を制御して、リール31の停止制御を行い、
遊技の開始時には、遊技者は、メダル投入口からメダルを投入するか、又はベットスイッチを操作して予め貯留されたメダルを投入して有効ラインを設定するとともに、スタートスイッチ41をオンし、スタートスイッチ41がオンされることで有効ライン数が確定するとともに、全リール31が始動(回転が開始)され、遊技者は各ストップスイッチ42を押すことで各リール31の回転を停止させ、全てのリール31の停止時に、有効ライン上のリール31の図柄の組合せが予め定められた何らかの役の図柄の組合せと一致し、その役の入賞となったときは、成立役に応じてメダルの払出し等が行われ、
遊技制御手段60は、以下の各手段61?64を備えるものであって、
役抽選手段61は、役の抽選を行うものであり、抽選テーブル62は、抽選される役の種類と、各役の当選確率とを定めたものであり、通常遊技(非内部中)に用いられる通常遊技抽選テーブル62a、第1RT遊技に用いられる第1RT遊技抽選テーブル62b、第2RT遊技に用いられる第2RT遊技抽選テーブル62c、BB遊技に用いられるBB遊技抽選テーブル62e、RB遊技に用いられるRB遊技抽選テーブル62fとを備えており、このように、遊技状態ごとに、特有の抽選テーブル62が設けられており、通常遊技抽選テーブル62aは、通常遊技の非内部中のときに用いられるものであり、リプレイの当選確率は1/7.3に設定されており、これに対し、第1RT遊技抽選テーブル62b、第2RT遊技抽選テーブル62cは、通常遊技抽選テーブル62aに対して、リプレイの当選確率が高く設定されたものであり、これらの抽選テーブル(62b?62d)はリプレイ高確率抽選テーブルといえ、第1RT遊技抽選テーブル62b及び第2RT遊技抽選テーブル62cは、それぞれ所定の条件を満たしたときに選択されるものであり、リプレイの当選確率は、それぞれ1/1.5及び1/2.0に設定されており、第1RT遊技抽選テーブル62b及び第2RT遊技抽選テーブル62cは、リプレイの当選確率以外の点、すなわち抽選される役の種類及びその当選確率については、通常遊技抽選テーブル62aと同一であり、
抽選テーブル選択手段63は、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を、遊技状態に応じて1つ選択するものであり、以下の各手段63a?63dを備えるものであり、
RT遊技抽選手段63aは、通常遊技の非内部中の遊技、第2RT遊技中における役の非当選時に、第1RT遊技を実行するか否かを、抽選によって決定するものであり、この抽選の当選確率は1/400に設定されており、このRT遊技抽選手段63aに当選すると、後述するリール停止制御手段64は、RT作動図柄がリール31の停止制御の範囲内において有効ラインに停止するように停止制御し、
条件判定手段63bは、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を、他の抽選テーブル62に切り替えるための条件を満たしたか否かを判定するものであり、他の抽選テーブル62に切り替えるための条件は、予め記憶しており、毎遊技、その条件を満たしたか否かを判定し、
抽選テーブル切替え手段63cは、条件判定手段63bにより、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を他の抽選テーブル62に切り替えるための条件を満たしたと判定されたときに、それまでの抽選テーブル62から、他の抽選テーブル62に切り替えるように制御するものであり、通常遊技抽選テーブル62aが選択されている遊技(非内部中の通常遊技)及び第2RT抽選テーブル62cが選択されている遊技では、条件判定手段63bは、上記のRT遊技抽選手段63aによる抽選に当選したか否か、及びその当選後に、上記のRT作動図柄が有効ラインに停止したか否かを判別し、RT作動図柄が有効ラインに停止したときは、条件判定手段63bは、第1RT遊技抽選テーブル62bに切り替えるための条件を満たしたと判定し、次遊技以降では、抽選テーブル切替え手段63cは、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を、第1RT遊技抽選テーブル62bに切り替え、
さらにまた、条件判定手段63bは、特別遊技(BB遊技又はRB遊技)を終了したか否かを判定し、特別遊技が終了したときは、条件判定手段63bは、抽選テーブル62を、第2RT遊技抽選テーブル62cに切り替えるための条件を満たしたと判定し、特別遊技の終了後の遊技では、抽選テーブル切替え手段63cは、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を、BB遊技抽選テーブル62e又はRB遊技抽選テーブル62fから、第2RT遊技抽選テーブル62cに切り替え、
RT遊技回数カウント手段63dは、第1RT遊技抽選テーブル62b又は第2RT遊技抽選テーブル62cが用いられて役の抽選が行われた遊技の遊技回数をカウントするものであり、第1RT遊技抽選テーブル62b又は第2RT遊技抽選テーブル62cが用いられた遊技では、毎遊技、カウンター等を用いて遊技回数を1ずつ加算していき、条件判定手段63bは、第1RT遊技抽選テーブル62bが用いられて役の抽選が行われている場合には、RT遊技回数カウント手段63dによる遊技回数のカウント値が100遊技に到達したか否かを判定し、同様に、条件判定手段63bは、第2RT遊技抽選テーブル62cが用いられて役の抽選が行われている場合には、RT遊技回数カウント手段63dによる遊技回数のカウント値が50遊技に到達したか否かを判定し、これらの100遊技又は50遊技に到達したと判定されたときは、条件判定手段63bは、それぞれ第1RT遊技抽選テーブル62b又は第2RT遊技抽選テーブル62cから、通常遊技抽選テーブル62aに切り替えるための条件を満たしたと判定し、次遊技以降では、抽選テーブル切替え手段63cは、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を、通常遊技抽選テーブル62aに切り替え、
リール停止制御手段64は、役抽選手段61による役の抽選結果と、投入メダル枚数とに基づいて、所定の停止制御テーブル65を選択し、その選択した停止制御テーブル65に基づいてリール31の停止位置を決定するとともに、モータ32を駆動制御して、その決定した位置にリール31が停止するように制御するものであり、停止制御テーブル65は、遊技状態、及び役抽選手段61による役の抽選結果(当選役の種類)ごとに設けられ、ストップスイッチ42が操作された瞬間の位置に応じたリール31の停止位置を定めたものであり、停止制御テーブル65としての第1停止制御テーブル65Xは、通常遊技及びRT遊技に用いられ、第1停止制御テーブルXは、小役1テーブル65e、小役2テーブル65f、小役3テーブル65g、リプレイテーブル65h、RT作動テーブル65i、及び非当選テーブル65jから構成されており、リプレイテーブル65hは、当該遊技でリプレイに当選したことを条件として用いられ、リール31の停止可能位置の範囲内においてリプレイに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させるとともに、リプレイ以外の役に対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させないように、リール31の停止時の図柄の組合せを定めたものであり、RT作動テーブル65iは、当該遊技でRT遊技抽選手段63aで当選したこと、又はそれ以前の遊技でRT遊技抽選手段63aに当選した場合であってRT作動図柄が未だ有効ラインに停止していないことを条件として用いられ、リール31の停止可能位置の範囲内においてRT作動図柄を有効ラインに停止させるとともに、RT作動図柄以外の図柄の組合せ(いずれかの役に対応する図柄の組合せ)を有効ラインに停止させないように、リール31の停止時の図柄の組合せを定めたものであり、ここでリール31の停止可能位置の範囲内とは、(1)ストップスイッチ42が操作された時(瞬間)からリール31を停止させるまでのリール31の移動制御量が第1の値以内、又は(2)ストップスイッチ42が操作された時(瞬間)からリール31を停止させるまでの停止制御時間が第1の時間以内、を意味し(第1停止制御)、
通常遊技とRT遊技間、又は複数種類のRT遊技間を移行することで、より多彩な遊技状態を作り出すことができ、RT遊技中は、リプレイの当選確率が通常遊技中より高くなるので、それだけ、メダルを投入しないで次遊技を行う機会が増加し、そのリプレイの当選確率が異なる複数のRT遊技を設けることにより、メダルの減り具合が異なる複数の遊技状態を設けることができる
スロットマシン10。」

3.対比

ここで、本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明における「スロットマシン10」とは本願発明における「遊技機」に相当し、また、引用発明における「リール31」、「スタートスイッチ41」、「ストップスイッチ42」、「図柄組合せライン」(及び「有効ライン」)、「通常遊技」、「第1RT遊技」、「第2RT遊技」、「特別遊技」、「リプレイ」、「特別役」、「役抽選手段61」、「リール停止制御手段64」は、本願発明における「表示列」、「開始受付手段」、「停止受付手段」、「入賞ライン」、「通常ゲーム」、「第1確率変動ゲーム」、「第2確率変動ゲーム」、「特別ゲーム」、「第1再遊技賞」、「特別開始賞」、「抽選手段」、「停止制御手段」にそれぞれ相当する。
引用発明においては、「有効ライン上のリール31の図柄の組合せが予め定められた何らかの役の図柄の組合せと一致」した場合に「その役の入賞」となるものであって、一方本願発明においては、「入賞ライン上の図柄の組合せが、所定の入賞態様となる役を示す場合に賞に入賞」するものであるから、引用発明における「役」が本願発明における「賞」に相当し、また本願発明における「役」とは「所定の入賞態様」となるものであって、引用発明における「役の図柄の組合せ」が該当するものである。
引用発明における「遊技制御手段60」は「抽選テーブル選択手段63」を備え、「抽選テーブル選択手段63」は「条件判定手段63b」及び「抽選テーブル切替え手段63c」を備え、「抽選テーブル切替え手段63cは、条件判定手段63bにより、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を他の抽選テーブル62に切り替えるための条件を満たしたと判定されたときに、それまでの抽選テーブル62から、他の抽選テーブル62に切り替えるように制御する」ものであるから、引用発明は、本願発明における「複数の種類のゲームを管理する」点に相当する構成を備えるものである。よって、引用発明における「遊技制御手段60」は本願発明における「ゲーム管理手段」に相当する。

また、引用発明について以下の点も云える。
引用発明においても、「リール31」は、「リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役を構成する図柄等)を印刷したリールテープを貼付したもの」であり、また「並列に3つ設けられて」おり、さらに「リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓内で上下方向に移動表示され」るものであるから、本願発明における「表示列」が「各々に複数種類の図柄を有し、当該複数種類の図柄を可変表示可能な複数」のものである点を満たしている。
引用発明において、「スタートスイッチ41」は、「遊技者がリール31の回転をスタートさせるときに操作するスイッチ」であるから、本願発明における「開始受付手段」が「複数の表示列の可変表示の開始の指示を受け付ける」点を満たしている。
引用発明において、「ストップスイッチ42」は、「各リール31ごとに独立して3つ並設され、遊技者がそれぞれのリール31の回転を停止させるときに操作するスイッチ」であるから、本願発明における「停止受付手段」が「複数の表示列の各々に対応して設けられ、可変表示の各々の停止の指示を受け付ける複数」のものである点を満たしている。
引用発明における「図柄組合せライン(有効ライン)」は、「スロットマシン10の表示窓を含む部分」に設けられた「リール31の停止時における図柄の並びラインであって図柄の組合せを形成させるライン」であるから、本願発明における「入賞ライン」が「所定の表示位置に設定され」、「停止した状態の表示列の各々が有する図柄の当該複数の表示列に亘っての並び」からなる点を満たしている。
引用発明においても、「役の入賞となったときは、成立役に応じてメダルの払出し等が行われ」るものであるから、本願発明における「入賞した賞に応じて予め定められた遊技価値を付与」する点を満たしている。
引用発明においても、「通常遊技(非内部中)に用いられる通常遊技抽選テーブル62a、第1RT遊技に用いられる第1RT遊技抽選テーブル62b、第2RT遊技に用いられる第2RT遊技抽選テーブル62c、BB遊技に用いられるBB遊技抽選テーブル62e、RB遊技に用いられるRB遊技抽選テーブル62f」を備え、「特別遊技(BB遊技又はRB遊技)を終了したか否かを判定し、特別遊技が終了したときは、条件判定手段63bは、抽選テーブル62を、第2RT遊技抽選テーブル62cに切り替えるための条件を満たしたと判定し、特別遊技の終了後の遊技では、抽選テーブル切替え手段63cは、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を、BB遊技抽選テーブル62e又はRB遊技抽選テーブル62fから、第2RT遊技抽選テーブル62cに切り替え」るものであるから、本願発明における「特別ゲーム終了後に第2確率変動ゲームを開始」する点を満たしている。
引用発明においても、「遊技の開始時には、遊技者は、メダル投入口からメダルを投入するか、又はベットスイッチを操作して予め貯留されたメダルを投入して有効ラインを設定するとともに、スタートスイッチ41をオンし、スタートスイッチ41がオンされることで有効ライン数が確定するとともに、全リール31が始動(回転が開始)され」るものであるから、本願発明における「有体又は電気的若しくは磁気的に記憶した無体の遊技媒体の受け付けでゲームを開始する」点を満たしている。
引用発明においても、「リプレイ」とは「再遊技役であって、当該遊技で投入したメダル枚数(ベット枚数)を維持した再遊技が行えるようにした役」であるから、本願発明における「付与する遊技価値が遊技媒体の受け付けなしにゲームを開始させる」点を満たしており、また引用発明のリプレイ役を構成する図柄の組合せは、本願発明における「第1役」に相当する。
引用発明においても、「特別役」とは「特別遊技(通常遊技以上にメダルの獲得が期待できる、遊技者にとって有利となる遊技)に移行させる役」であるから、本願発明における「付与する遊技価値が通常ゲームから特別ゲームへ移行させる」点を満たしている。また引用発明の特別役を構成する図柄の組合せは、本願発明における「特別役」に相当する。
引用発明において、「役抽選手段61」は「役の抽選を行うもの」であって、当然その結果を生成すると認められるから、本願発明における「抽選を実行して抽選結果を示す抽選情報を生成」する構成を備えるものである。
引用発明において、「通常遊技中(非内部中)の役として、特別役(BB及びRB)、3種類の小役(小役1、小役2及び小役3)、及びリプレイが設けられ」ており、また「第1RT遊技抽選テーブル62b及び第2RT遊技抽選テーブル62cは、リプレイの当選確率以外の点、すなわち抽選される役の種類及びその当選確率については、(通常遊技(非内部中)に用いられる)通常遊技抽選テーブル62a、と同一」であるから、第1RTにおいても「特別役(BB及びRB)、3種類の小役(小役1、小役2及び小役3)、及びリプレイ」が設けられていると解される。よって、本願発明における「通常ゲーム、第1確率変動ゲーム及び第2確率変動ゲームの抽選対象に第1再遊技賞及び特別開始賞を含ませ」る点を満たしている。
引用発明において、「第1RT遊技抽選テーブル62b」におけるリプレイの当選確率は「1/1.5」に設定されており、また「通常遊技抽選テーブル62a」におけるリプレイの当選確率は「1/7.3」に設定されているから、本願発明の「第1確率変動ゲームにおける記第1再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける第1再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定」する点を満たしている。
引用発明において、「リール停止制御手段64」は「選択した停止制御テーブル65に基づいてリール31の停止位置を決定するとともに、モータ32を駆動制御して、その決定した位置にリール31が停止するように制御する」ものであって、また「停止制御テーブル65」は「ストップスイッチ42が操作された瞬間の位置に応じたリール31の停止位置を定めたもの」である。ここで「ストップスイッチ42が操作された瞬間の位置」は、本願発明の「表示列に対応する停止受付手段が停止の指示を受け付けたタイミング」での「当該表示列上の図柄位置」に相当し、そして、引用発明が当該位置に「応じ」て「リール31の停止位置」を定めている以上、当該位置を把握する手段を有していることは当然であるから、よって引用発明も本願発明の「表示列に対応する停止受付手段が停止の指示を受け付けたタイミングで、当該表示列上の図柄位置を示す図柄情報を取得する図柄情報取得手段」に相当する構成を当然備えていると解される。さらに、引用発明は「(1)ストップスイッチ42が操作された時(瞬間)からリール31を停止させるまでのリール31の移動制御量が第1の値以内、又は(2)ストップスイッチ42が操作された時(瞬間)からリール31を停止させるまでの停止制御時間が第1の時間以内」となるように「リール31が停止するように制御」するものであるから、引用発明における「リール停止制御手段64」は、本願発明における「取得した図柄情報が示す図柄位置から所定範囲内で移動させて当該表示列を所定の表示位置に停止させる」点も満たしているものである。
引用発明は、「RT遊技回数カウント手段63d」を有し、「第2RT遊技抽選テーブル62cが用いられて役の抽選が行われた遊技の遊技回数をカウントする」ものであって、「遊技回数のカウント値が50遊技に到達したか否かを判定し、…50遊技に到達したと判定されたときは、条件判定手段63bは、…第2RT遊技抽選テーブル62cから、通常遊技抽選テーブル62aに切り替えるための条件を満たしたと判定し、次遊技以降では、抽選テーブル切替え手段63cは、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を、通常遊技抽選テーブル62aに切り替え」るものであるから、本願発明の「第2確率変動ゲームを、当該第2確率変動ゲームの開始からゲーム数を管理して第2確率変動ゲームにおける所定のゲーム数を達するまで継続させる」点に相当する構成も備えている。

さらに、引用発明においては、「第2RT抽選テーブル62cが選択されている遊技」において「上記のRT遊技抽選手段63aによる抽選に当選したか否か、及びその当選後に、上記のRT作動図柄が有効ラインに停止したか否かを判別」し、そして「RT作動図柄が有効ラインに停止したとき」に「次遊技以降では、抽選テーブル切替え手段63cは、役抽選手段61で用いる抽選テーブル62を、第1RT遊技抽選テーブル62bに切り替え」ているものである。一方、本願発明においても、「第2確率変動ゲームで、入賞態様が第2役を示す場合、ゲームの種類を第1確率変動ゲームとし」ているから、この点で引用発明の「RT作動図柄」は本願発明の「第2役」に機能的に相当するものである。そして、「RT遊技抽選手段63aによる抽選」とは「通常遊技の非内部中の遊技、第2RT遊技中における役の非当選時に、第1RT遊技を実行するか否かを、抽選によって決定する」ものであるから、引用発明も本願発明も「抽選結果が所定の結果となったゲーム」において、「入賞態様が第2役を示す場合、ゲームの種類を第1確率変動ゲーム」とする点で共通している。
また同様に、引用発明においても、「RT遊技抽選手段63aで当選したこと、又はそれ以前の遊技でRT遊技抽選手段63aに当選した場合であってRT作動図柄が未だ有効ラインに停止していない」場合には「RT作動テーブル65i」が用いられ、「リール31の停止可能位置の範囲内においてRT作動図柄を有効ラインに停止させる」ものである。よって、引用発明も本願発明も「抽選結果が所定の結果となった第2確率変動ゲーム」において、「取得した図柄情報が示す図柄位置から所定範囲内で移動させた場合に、当該表示列で第2役を構成する図柄を入賞ライン上に表示できるとき、当該図柄を当該入賞ライン上に表示するように当該表示列を移動させて停止させ」る点で共通している。

したがって、本願発明と引用発明は、
「各々に複数種類の図柄を有し、当該複数種類の図柄を可変表示可能な複数の表示列と、前記複数の表示列の可変表示の開始の指示を受け付ける開始受付手段と、前記複数の表示列の各々に対応して設けられ、前記可変表示の各々の停止の指示を受け付ける複数の停止受付手段と、停止した状態の前記表示列の各々が有する図柄の当該複数の表示列に亘っての並びからなる入賞ラインが所定の表示位置に設定され、前記入賞ライン上の図柄の組合せが、所定の入賞態様となる役を示す場合に賞に入賞し、入賞した賞に応じて予め定められた遊技価値を付与し、通常ゲーム、第1確率変動ゲーム、第2確率変動ゲーム及び特別ゲームを含む複数の種類のゲームを管理するゲーム管理手段を備え、前記特別ゲーム終了後に前記第2確率変動ゲームを開始し、有体又は電気的若しくは磁気的に記憶した無体の遊技媒体の受け付けでゲームを開始する遊技機であって、
前記賞は、前記入賞態様が、第1役であった場合に付与する前記遊技価値が前記遊技媒体の受け付けなしにゲームを開始させる再遊技賞と、前記入賞態様が特別役であった場合に付与する前記遊技価値が前記通常ゲームから前記特別ゲームへ移行させることである特別開始賞とを含み、
抽選を実行して抽選結果を示す抽選情報を生成し、前記通常ゲーム、前記第1確率変動ゲーム及び前記第2確率変動ゲームの抽選対象に前記第1再遊技賞及び前記特別開始賞を含ませ、前記第1確率変動ゲームにおける前記第1再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける前記第1再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定する抽選手段と、
前記表示列に対応する前記停止受付手段が停止の指示を受け付けたタイミングで、当該表示列上の図柄位置を示す図柄情報を取得する図柄情報取得手段と、
前記取得した図柄情報が示す図柄位置から所定範囲内で移動させて当該表示列を前記所定の表示位置に停止させる停止制御手段とを有し、
前記停止制御手段は、前記第2確率変動ゲームを、当該第2確率変動ゲームの開始からゲーム数を管理して、所定のゲーム数を達するまで継続させる一方、抽選結果が所定の結果となったゲームで、前記取得した図柄情報が示す図柄位置から前記所定範囲内で移動させた場合に、当該表示列で第2役を構成する図柄を入賞ライン上に表示できるとき、当該図柄を当該入賞ライン上に表示するように当該表示列を移動させて停止させ、
前記ゲーム管理手段は、抽選結果が所定の結果となった前記第2確率変動ゲームで、入賞態様が前記第2役を示す場合、前記ゲームの種類を前記第1確率変動ゲームとする
遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願発明においては「第2役」が「遊技媒体の受け付けなしにゲームを開始」させるという遊技価値を付与する「第2再遊技賞」(「入賞態様が第2役を示す場合、遊技媒体の受け付けなしに次のゲームを開始する」もの)であり、よって本願発明は賞として第1再遊技賞と第2再遊技賞の「複数の再遊技賞」を備えているのに対して、引用発明においては「RT作動図柄」にはかかる構成がなく、リプレイ(再遊技役)を複数備えるかも不明である点。

[相違点2]
本願発明においては「第2再遊技賞」を、抽選を実行して抽選結果を示す抽選情報を生成する抽選手段の抽選対象としており、つまり上記一致点における「抽選結果が所定の結果」とは、本願発明においては「抽選情報が第2再遊技賞の当選結果を示す抽選情報が生成」されたことであって、さらに本願発明においては「通常ゲーム、第1確率変動ゲーム及び第2確率変動ゲームの抽選対象に第1再遊技賞、第2再遊技賞及び特別開始賞を含ませ」ているのに対して、引用発明においてはRT遊技抽選手段63aを遊技抽選手段61とは別に備えており、上記一致点における「抽選結果が所定の結果」とは、引用発明においては遊技抽選手段61による「役の非当選時」に「第1RT遊技を実行するか否かを、抽選によって決定」されたものであって、また引用発明においてはRT遊技の抽選は「通常遊技の非内部中の遊技、第2RT遊技中」における役の非当選時に行われる点。

[相違点3]
本願発明においては「第1確率変動ゲームにおける第1再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける再遊技賞を抽選で選択する当選確率及び第2再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定」しているのに対し、引用発明においては不明である点。

[相違点4]
本願発明においては「第2確率変動ゲームにおける第2再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける第2再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定」しているのに対して、引用発明においては不明である点。

[相違点5]
本願発明においては「第2確率変動ゲームを、第2確率変動ゲームの開始からゲーム数を管理して、第2確率変動ゲームにおける第2再遊技賞が抽選で選択される当選確率の逆数より小さく設定した所定のゲーム数を達するまで継続させる」ものであるのに対して、引用発明においては不明である点。

[相違点6]
本願発明においては「賞は、第5役を入賞態様とする第5再遊技賞を含み、ゲーム管理手段は第5ゲームをさらに管理し、抽選手段は、通常ゲーム及び第1確率変動ゲームの抽選対象に第5再遊技賞を再遊技賞として含ませて抽選を実行し、第1確率変動ゲームにおける第5再遊技賞を抽選で選択する当選確率を、通常ゲームにおける第5再遊技賞を抽選で選択する当選確率より高く設定し、ゲーム管理手段は、第5再遊技賞の当選結果を示す抽選情報が生成された第1確率変動ゲームで、入賞態様が第5役を示す場合、遊技媒体の受け付けなしに次ゲームを開始するとともに、ゲームの種類を第5ゲームとする」のに対して、引用発明においてはかかる構成がない点。

[相違点7]
本願発明においては「賞は、特定役を入賞態様とする特定賞を含み、抽選手段は、通常ゲーム及び第1確率変動ゲームの抽選対象に特定賞を含ませて抽選を実行し、停止制御手段は、抽選情報が特定賞の当選結果を示す抽選情報が生成された第1確率変動ゲームで、取得した図柄情報が示す図柄位置から所定範囲内で移動させた場合に、当該表示列で特定役を構成する図柄を入賞ライン上に表示できるとき、当該図柄を当該入賞ライン上に表示するように当該表示列を移動させて停止させ、ゲーム管理手段は、当該第1確率変動ゲームで入賞態様が特定役を示す場合、次に開始するゲームの種類を第2確率変動ゲームとする」のに対して、引用発明においてはかかる構成がない点。

4.相違点にかかる検討

上記相違点について検討する。

[相違点1について]
引用文献4には、赤プラム図柄が揃う赤リプレイ役と青プラムの図柄が揃う青リプレイ役を設け、かつ赤リプレイ役が成立した場合には再遊技賞かつRTゲーム移行とする点の記載があり(段落【0072】等参照)、よって、引用文献4における、複数の再遊技賞を備え、かつ再遊技賞を遊技状態移行の契機とする点(以下「引用文献4記載の技術」という。)を引用発明に適用して、本願発明の相違点1にかかる構成とすることは、当業者にとって容易に想到できたことである。

[相違点2について]
引用発明においては「RT遊技抽選手段63a」は「役の非当選時」に「抽選によって決定する」ものであって、引用発明における「役抽選手段61」が「役の抽選を行う」ものである。すなわち「役抽選手段61」が「役の非当選」を定めるものであるから、引用発明におけるRT遊技の抽選は「役抽選手段61」と「RT遊技抽選手段63a」との2段階でRT遊技の抽選を行う構成となっている一方、本願発明においては、第2再遊技賞を抽選手段の抽選対象としており、つまり1段階で抽選を行っているものであるが、抽選を1つの抽選テーブルで行う(抽選を1段階で行う)か、2つの抽選テーブルを用いて行う(抽選を2段階で行う)かは、当業者にとって適宜設計できることに過ぎないから、RT遊技の抽選についても含めた(区分けした)抽選テーブルとすることも、当業者が容易に設計できたことである。
また、引用発明においては、RT遊技抽選は「通常遊技の非内部中の遊技、第2RT遊技中における役の非当選時」に行われるとあり、本願発明における「第1確率変動ゲーム」においては当該抽選が行われているか不明である。しかし、各遊技状態において何の役を抽選対象とするか、また各遊技状態からどの遊技状態へ移行可能とするかは当業者が適宜設計できることに過ぎず(必要であれば、後記の[相違点6,7について]で示した周知ルール2も参照)、また本願発明についても発明の詳細な説明を参照すれば、RT1ゲーム(本願発明の第1確率変動ゲームに相当)における再遊技2賞(本願発明の第2再遊技に相当)の当選確率は「低確率」であれば適宜決定できると解され(段落【0158】参照)、そして実際に第10図の実施例では「2/16384」と極めて低確率であって、またRT1ゲームにおいて再遊技2賞に入賞した場合の扱いについて具体的な記載もないから、RT1ゲームにおいて再遊技2賞を抽選対象とすることについて、遊技性における実質的な意味があるとは想定できないし、また格別な効果を認めることもできない。
とすれば、第1確率変動ゲームにおいて第2再遊技賞を抽選対象とすることは、当業者の設計事項の範囲を超えるものではないから、よって本願発明の相違点2にかかる構成とすることは、引用発明に基づいて当業者が容易に想到できたことである。

[相違点3について]
各遊技状態間の移行確率をどの程度とするかはそもそも当業者が適宜設計できることに過ぎないが、引用発明においては、「RT遊技抽選手段63aは、通常遊技の非内部中の遊技、第2RT遊技中における役の非当選時に、第1RT遊技を実行するか否かを、抽選によって決定するものであり、この抽選の当選確率は1/400に設定されており」とあり、ここで1/400という確率は、役が「非当選」となる確率を含んであるものであるのか、または役の「非当選」時に1/400でさらに抽選するものであるのか不明であるが、いずれにしても、通常遊技においてRT遊技抽選に当選する確率が1/400以下であることは明らかである。また、引用発明において、第1RT遊技においてはリプレイの当選確率は1/1.5に設定されており、通常遊技(非内部中)においてはリプレイの当選確率は1/7.3に設定されているから、仮にRT遊技の当選確率が1/400だとしても、その合計確率は1/1.5を上回るものではない。
また、引用発明においてはRT作動図柄が導出されても再遊技となるものではないが、引用発明も「RT遊技中は、リプレイの当選確率が通常遊技中より高くなる」という思想のものであるから、上記[相違点1について]で検討したようにRT作動図柄の組合せが揃った場合に再遊技とすることとしても、通常遊技における「リプレイの当選確率+RT遊技の当選確率」がRT遊技におけるリプレイの当選確率を上回るように設定することは想定できない。
よって、本願発明の相違点3にかかる構成とすることは、引用発明に基づいて当業者が容易に想到できたことである。

[相違点4について]
引用発明においては、「RT遊技抽選手段63aは、通常遊技の非内部中の遊技、第2RT遊技中における役の非当選時に、第1RT遊技を実行するか否かを、抽選によって決定するものであり、この抽選の当選確率は1/400に設定されており」とあるから、通常遊技の非内部中も第2RT遊技中も、RT遊技抽選の当選確率は同じであると解される。
しかし、各遊技状態間の移行確率をどの程度とするかは当業者が適宜設計できることであり、通常遊技状態と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態に移行し易い遊技状態を、限られた期間で設定することは、例えばパチスロ機「獣王」において、ビッグボーナスの終了後の所定期間の間、サバンナチャンス(AT状態)への移行の高確率状態となって、当該所定期間の終了後サバンナチャンスへの移行の低確率状態となる(必要であれば「獣王究極攻略」(パチスロ必勝ガイド2001年8月号増刊、白夜書房、平成13年8月1日発行)の18?20ページ参照。)ように、当分野における周知のルール(以下「周知ルール1」という。)に過ぎず、引用発明においても第1RT遊技は遊技者にとって有利な遊技状態であるから、引用発明に周知ルール1を適用して、第2RT遊技において第1RTへ移行する確率を、通常遊技において第1RTへ移行する確率よりも大きくして、本願発明の相違点4にかかる構成とすることは、当業者にとって容易に設計できたことである。

[相違点5について]
遊技状態の継続ゲーム数や遊技状態の移行にかかる確率は当業者が適宜決定できることに過ぎない。なお、引用発明においても、「第2RT遊技抽選テーブル62cが用いられて役の抽選が行われている場合には、RT遊技回数カウント手段63dによる遊技回数のカウント値が50遊技に到達したか否か」を判定し、その結果「抽選テーブル62を、通常遊技抽選テーブル62aに切り替え」ているから、第2RT遊技の継続ゲーム数は50ゲームであり、一方、第2RT遊技においてRT遊技抽選に当選する確率は1/400以下であるから、その逆数は400以上となる。
よって、本願発明の相違点5にかかる構成とすることは、引用発明に基づいて当業者が容易に設計できたことである。

[相違点6,7について]
相違点6,7については以下まとめて検討する。
3つ以上のRTを設け、所定の2つのRTについて互いに移行し合うことを可能としたり、特定のRTに直接移行可能とする一方、他のRTを経由して特定のRTに移行することも可能とする点は、文献6(例えば段落【0065】?【0067】、図4参照)、文献7(例えば段落【0019】?【0020】、図2参照)、文献8(例えば段落【0021】?【0025】、図5参照)等にあるように周知のルールである(以下「周知ルール2」という。)。具体的に、どの遊技状態(RTや通常ゲーム)からどの遊技状態(RTや通常ゲーム)へ移行可能とするか、すなわちどの役を抽選対象とするかは、当業者が通常の創作能力の発揮によって適宜設計できることに過ぎない。
また、移行先となる遊技状態に応じて異なった賞や出目を設定する(すなわち導出された賞や出目に応じてそれぞれの異なった遊技状態に移行する)ことは、例えば複数のボーナス遊技(特別遊技)毎に図柄組合せを異ならせたり、また引用文献9においても、移行先として複数種類のRT(RT1、RT2A、RT2B、RT2C)を備え、それぞれに応じて異なる出目を設定する点が記載されている(例えば段落【0149】、図38参照)ように、遊技者が揃った図柄を視認して遊技状態の移行先を理解できるという常識的な効果を踏まえれば、当分野における当然の慣用手段(以下「慣用例」という。)に過ぎないと解される。また[相違点1について]で検討したように、RT移行役をリプレイ役とすることは公知であるから、移行役としての異なった複数のリプレイ役を設けることも、当業者にとって容易に設計できたことに過ぎない。
なお、各遊技状態を管理する手段を設けることは当然のことに過ぎず、また所定範囲内で移動させた場合に該当する図柄を入賞ライン上に表示できるときに表示列を移動させて停止させることは、引用発明にもあるが通常の停止制御である。
よって、引用発明に、引用文献4記載の技術、周知ルール2及び慣用例を適用して、 本願発明の相違点6,7にかかる構成とすることは、当業者にとって容易に想到できたことである。

5.当審の判断についてのむすび

そうすると、相違点1?7にかかる本願発明の構成は、引用発明、引用文献4記載の技術、周知ルール1,2及び慣用例から、当業者が容易に想到できたものというべきである。
そして、本願発明の作用効果も、引用発明、引用文献4記載の技術、周知ルール1,2及び慣用例から、当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、当審拒絶理由に基づき、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第6.むすび

以上のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-08-25 
結審通知日 2009-09-01 
審決日 2009-09-24 
出願番号 特願2005-362871(P2005-362871)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 森 雅之
池谷 香次郎
発明の名称 遊技機  
代理人 グローバル・アイピー東京特許業務法人  

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