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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A45D |
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管理番号 | 1206520 |
審判番号 | 不服2007-24673 |
総通号数 | 120 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-12-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-09-06 |
確定日 | 2009-11-05 |
事件の表示 | 特願2006-156773号「化粧料」拒絶査定不服審判事件〔平成18年9月21日出願公開、特開2006-247413号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯及び本願発明 本願は、平成10年12月25日に出願した特願平10-376805号の一部を平成18年6月6日に新たな特許出願としたものであって、平成19年8月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成19年7月12日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「視覚や触覚で知覚しうる縞模様の立体形状を有し、該立体形状に1/fゆらぎを備える化粧料容器に、美肌作用を有する基礎化粧料組成物を含む所定の化粧料組成物が充填された化粧料であって、 前記立体形状は、周囲の長さが異なる複数の縞が積み上げられることで形成される略球状であり、 前記1/fゆらぎは、前記縞模様を形成する縞の間隔に組み込まれている、化粧料。」 2.引用刊行物及びその記載内容 (1)引用文献1 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開昭61-104956号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア 「本発明は容器の構造の改良に関し、とくに香水、フェイスローション、化粧用ローション、その他類似の液体を入れる容器アセンブリの構造の改良に関するものである。」(第2ページ左下欄第3?6行) イ 「従来、香水等を入れる容器としてはビンの部分とストッパからなるものが知られており、ストッパがビンの首の部分にはまるようになっている。そして、これらのビンはその表面を装飾するためテザイン上の装飾を施される。例えば、鏡台の上に置かれる化粧ビンは人目を引くように装飾されたストッパあるいは細密にデザインされたビン部分を有しており、鏡台上における装飾品の役目を果たしている。 しかしながら、このようなビンは、装飾された外形を有する必要がある一方で香水等のビンとしての本来の機能を果たすための外形を有する必要がある。」(第2ページ左下欄第8?20行) ウ 「本発明の目的は上記事情に鑑みてなされたものであり、香水等の容器として使用するのに適した容器アセンブリを提供することを目的とするものである。すなわら、装飾された外形を有するとともに香水等の容器としての機能を簡単な構造にて十分果たすことができ、さらに液体を少量ずつ供給することができる容器アセンブリを提供することを目的とするものである。」(第2ページ右下欄第2?9行) エ 「本発明のうち第1の発明に係る容器アセンブリは、回転楕円体形状の容器とこの容器と組み合わせるストッパを備えており、通常の状態では上記両者を組み合わせストッパを下方にして保存する。 この容器は、球形、卵形、細長い回転楕円体、いびつな回転楕円体等の形状をなし、茶色のガラスで形成されていることが望ましく、さらに略相似の回転楕円体からなる外壁と内壁を備えていることが望ましい。」(第2ページ右下欄第11?19行) オ 「本発明の容器アセンブリによれば、…(略)…、香水等の液体を満たし、ストッパを下方に向けて置くようにしているので独特かつ人目を引く外形とすることができ、鏡台等この容器アセンブリが置かれる場所において装飾的効果を発揮することができる。」(第4ページ右上欄第11行?左下欄第7行) 以上の記載及び図面の図示事項を総合的に勘案し、本願発明の発明特定事項の記載振りに則って整理すると、引用文献1には次のとおりの発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「装飾された外形を有する容器に、香水、フェイスローション、化粧用ローション、その他類似の液体を入れた容器アセンブリであって、容器は、球形、卵形、細長い回転楕円体、いびつな回転楕円体等の形状をなす、容器アセンブリ。」 (2)引用文献2 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-29614号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 カ 「ボトルの胴部に、周期的に軸方向の幅が変化し、奇数パターンでうねる周方向凹ビードを位相差をなして複数本形成したことを特徴とするプラスチックボトル。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】) キ 「【従来の技術】従来の二軸延伸ブロー成形されたプラスチックボトルは、上記ボトルに径方向の強度を持たせるため、あるいは、デザイン効果を持たせるために、その胴部に種々の形状の凹ビードを形成しており、更に、上記ボトルには、充填される飲料等の内容液の商品価値を高めるために、シュリンクラベル、ストレッチラベル等のラベルが装着されている。 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記凹ビード及びラベルによって、商品価値を高めるのにも限界があり、さらなる商品価値を高める手段が要望されている。 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するため、ボトルの胴部に、周期的に軸方向の幅が変化し、奇数パターンでうねる周方向凹ビードを位相差をなして複数本形成したことを特徴とするプラスチックボトルとした。 【作用】本発明によれば、特にミネラルウォーター等の透明性の良い飲料等をプラスチックボトルに充填した際に、きらめき、ゆらぎ感を提供することができる」(段落【0001】?【0006】) 以上の記載及び図面の図示事項を総合的に勘案して整理すると、引用文献2には次のとおりの発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「ボトルの胴部に、周期的に軸方向の幅が変化し、奇数パターンでうねる周方向凹ビードを位相差をなして複数本形成したプラスチックボトル。」 3.対比 本願発明と引用発明1とを対比する。 まず、引用発明1の「容器」は、該「容器」に「香水、フェイスローション、化粧用ローション、その他類似の液体」が入れられるものであることからみて、本願発明の「化粧料容器」に相当する。また、該「容器」が有する「装飾された外形」は、少なくとも視覚で知覚し得るものであるから、本願発明の「視覚や触覚で知覚しうる縞模様の立体形状」とは、「視覚で知覚し得る模様」の点で一致するといえる。 また、引用発明1の「香水、フェイスローション、化粧用ローション、その他類似の液体」については、特にフェイスローションや化粧用ローションは一般に美肌作用を有することからみて、本願発明の「美肌作用を有する基礎化粧料組成物を含む所定の化粧料組成物」に相当し、そうすると、引用発明1における容器(化粧料容器)にフェイスローションや化粧用ローション(化粧料組成物)を入れた「容器アセンブリ」は、本願発明の「化粧料」に相当する。 また、引用発明1の「容器」が「球形、卵形、細長い回転楕円体、いびつな回転楕円体等の形状をなす」との事項と、本願発明の「立体形状は、周囲の長さが異なる複数の縞が積み上げられることで形成される略球状」との事項とについては、引用発明1の上記事項における「球形、卵形、細長い回転楕円体、いびつな回転楕円体等の形状」が「略球状」といえること、そして、本願発明の上記事項における「略球状」の「立体形状」は「化粧料容器」が有するものであることを考慮すれば、上記両事項は、「化粧料容器は略球状である」との事項で一致するといえる。 してみれば、本願発明と引用発明1とは、本願発明の発明特定事項の用語を用いると、 「視覚で知覚し得る模様を有する化粧料容器に、美肌作用を有する基礎化粧料組成物を含む所定の化粧料組成物が充填された化粧料であって、 前記化粧料容器は略球状である、化粧料。」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点:本願発明の化粧料容器が「視覚や触覚で知覚しうる縞模様の立体形状を有し、該立体形状に1/fゆらぎを備え」、「立体形状は、周囲の長さが異なる複数の縞が積み上げられることで形成される略球状であり」、「前記1/fゆらぎは、前記縞模様を形成する縞の間隔に組み込まれている」のに対し、引用発明1の容器(化粧料容器)は、装飾された外形(視覚で知覚し得る模様)を有する球形、卵形等(略球状)のものではあるが、装飾された外形の具体的態様が不明である点。 4.判断 引用発明2の「ボトル」又は「プラスチックボトル」は「容器」といえ、また、引用発明2における「ボトル」(容器)の胴部に「複数本形成した」「周方向凹ビード」は、本願発明の「視覚や触覚で知覚しうる縞模様の立体形状」に相当すると共に、「複数の縞が積み上げられることで形成される略円筒状」のものであるといえる。 そうすると、引用発明2は、本願発明の発明特定事項の用語を用いると、容器において、デザイン効果の観点から、視覚や触覚で知覚しうる縞模様の立体形状を有するものとし、当該立体形状は、複数の縞が積み上げられることで形成される略円筒状としたものといえる。 また、視覚や触覚を通じて人に快適感を与える観点から、1/fゆらぎが組み込まれた凹凸等の形状を有する装飾表面を種々の物品に施すことは、一般的に周知の技術である(例えば、特開平3-100246号公報、実願平2-44683号(実開平4-6304号)のマイクロフィルム、特開平6-2280号公報、特開平5-294100号公報等参照。)。 ここで、引用発明1の目的等の記載からみて(摘記事項イ、ウ参照)、略球状の容器(化粧料容器)に施すべき装飾は、デザイン上の観点から様々なものが採用し得ること、そして、引用発明2は容器の装飾デザインに関するものであることを勘案すれば、引用発明1の略球状の容器(化粧料容器)に施すべき具体的な装飾として、引用発明2の縞模様の立体形状による装飾を採用し、略球状である容器形状に対応して周囲の長さが異なる複数の縞が積み上げられることで形成される略球状の立体形状を有する容器とすると共に、その際、周知の1/fゆらぎを適宜の態様で当該縞模様に組み込み、本願発明の相違点に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願発明の効果も、引用発明1、引用発明2及び周知技術から当業者が予測可能な程度のものであり、格別のものではない。 5.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明(本願発明)は、引用発明1、引用発明2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-09-01 |
結審通知日 | 2009-09-08 |
審決日 | 2009-09-24 |
出願番号 | 特願2006-156773(P2006-156773) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A45D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 氏原 康宏 |
特許庁審判長 |
高木 彰 |
特許庁審判官 |
増沢 誠一 中島 成 |
発明の名称 | 化粧料 |
代理人 | 川口 嘉之 |
代理人 | 遠山 勉 |
代理人 | 松倉 秀実 |