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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1206926
審判番号 不服2007-6282  
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-03-01 
確定日 2009-12-01 
事件の表示 平成10年特許願第327931号「自動焦点調節装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 5月30日出願公開、特開2000-152065、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由
第一 経緯

1 手続

本願は、平成10年11月18日の出願であって、平成19年1月24日付けで拒絶査定がなされたものである。
本件は、本願についてなされた上記拒絶査定を不服として平成19年3月1日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、同日付けで手続補正がなされたものである。


第二 補正却下の決定

平成19年3月1日付けの手続補正について、以下のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]

平成19年3月1日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1 補正の内容

平成19年3月1日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし14を、補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に補正するものである。

(補正前の請求項1ないし14)
「【請求項1】 撮像手段から出力される撮像信号に基づいて、該撮像手段に被写界の像を結像させる撮像レンズの焦点位置を調節する自動焦点調節装置において、該装置は、
焦点調節を行なうためのレンズを焦点調節領域内で移動させる移動手段と、
前記撮像素子から出力される画像信号から前記被写界のうち所定のフォーカシング領域におけるコントラスト成分を抽出し、該コントラスト成分に応じた評価値を前記レンズの各移動位置ごとに算出する評価値算出手段と、
前記フォーカシング領域における被写体に対し合焦する前記レンズの位置を前記評価値に基づいて求め、前記移動手段を制御する制御手段とを含み、
該制御手段は、前記レンズを移動させた際に前記評価値が連続して減少する連続減少回数を計数する計数手段と、
前記評価値のうち被写界における最大値が得られたことを前記減少回数に基づいて判定する第1の判定手段と、
前記評価値の最大値と前記レンズの他の移動位置にて得られた評価値とに基づいて前記評価値が所定値以上あることを判定する第2の判定手段と、
前記第1および第2の判定手段の判定結果に従って前記移動手段を制御し、前記レンズの移動を停止させ、前記評価値の取得を中断する中断手段と、
該中断手段によって処理が中断されると、前記評価値の最大値が得られた位置に前記移動手段によって前記レンズを移動させて合焦状態とする合焦決定手段とを含み、
前記制御手段は、前記レンズが移動される焦点調節領域内における評価値算出位置を規定するためのフォーカス段数値と、前記連続減少回数に応じて前記評価値算出を中断するか否か判定するための中断判定値とを格納するテーブルを含み、前記第1の判定手段は、前記連続減少回数と前記中断判定値とを比較して、該連続減少回数が該中断判定値を超えた場合に前記最大値が得られたことを判定することを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項2】 請求項1に記載の自動焦点調節装置において、前記撮像レンズは、焦点距離が可変のズームレンズであり、前記テーブルには、前記フォーカス段数値と中断判定値とが該撮像レンズの焦点距離に応じて複数格納されており、
前記第1の判定手段は、現在の焦点距離に応じたフォーカス段数値および中断判定値に基づいて前記最大値が取得されていることを判定することを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項3】 請求項2に記載の自動焦点調節装置において、前記フォーカス段数値は、前記焦点距離が長くなるほど多くの段数となる値が設定されていることを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項4】 請求項2に記載の自動焦点調節装置において、前記中断判定値は、前記撮像レンズの長焦点側にて前記中断処理を行なうように設定されていることを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項5】 請求項1に記載の自動焦点調節装置において、前記テーブルには、前記撮像レンズの前記焦点調節領域を所定のステップ幅にて分割するステップ幅情報が格納され、
前記評価値算出手段は、前記ステップ幅情報に応じた前記レンズの各位置にて撮像された画像データに基づいて前記評価値を算出することを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項6】 請求項5に記載の自動焦点調節装置において、前記撮像レンズは、焦点距離が可変のズームレンズであり、前記テーブルには、前記ステップ幅情報が該撮像レンズの焦点距離に応じて複数格納されており、前記評価値算出手段は、現在の焦点距離に応じたステップ幅情報に応じた前記レンズの位置にて撮像された画像データに基づいて前記評価値を算出することを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項7】 請求項1に記載の自動焦点調節装置において、前記移動手段は、前記焦点調節領域内の一方の端から他方の端まで一定方向に移動させ、前記中断手段によりそのレンズ移動を停止し、前記合焦決定手段により、前記最大の評価値が得られた位置へ前記レンズを移動させることを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項8】 撮像手段から出力される撮像信号に基づいて、該撮像手段に被写界の像を結像させる撮像レンズの焦点位置を調節する自動焦点調節方法において、該方法は、
焦点調節を行なうためのレンズを焦点調節領域内で移動させる移動工程と、
前記撮像素子から出力される画像信号から前記被写界のうち所定のフォーカシング領域におけるコントラスト成分を抽出し、該コントラスト成分に応じた評価値を前記レンズの各移動位置ごとに算出する評価値算出工程と、
前記フォーカシング領域における被写体に対し合焦する前記レンズの位置を前記評価値に基づいて求める制御工程とを含み、
該制御工程は、前記レンズを移動させた際に前記評価値が連続して減少する連続減少回数を計数する計数工程と、
前記評価値のうち被写界における最大値が得られたことを前記減少回数に基づいて判定する第1の判定工程と、
前記評価値の最大値と前記レンズの他の移動位置にて得られた評価値とに基づいて前記評価値が所定値以上あることを判定する第2の判定工程と、
前記第1および第2の判定工程における判定結果に従って、前記レンズの移動を停止させ、前記評価値の取得を中断する中断工程と、
該中断工程によって処理が中断されると、前記評価値の最大値が得られた位置に前記レンズを移動させて合焦状態とする合焦決定工程とを含み、
前記第1の判定工程は、前記レンズが移動される焦点調節領域内における評価値算出位置を規定するためのフォーカス段数値と、前記連続減少回数に応じて前記評価値算出を中断するか否か判定するための中断判定値とを格納するテーブルに基づいて、前記連続減少回数と前記中断判定値とを比較し、該連続減少回数が該中断判定値を超えた場合に前記最大値が得られたことを判定することを特徴とする自動焦点調節方法。
【請求項9】 請求項8に記載の自動焦点調節方法において、前記撮像レンズは、焦点距離が可変のズームレンズであり、前記テーブルには、前記フォーカス段数値と中断判定値とが該撮像レンズの焦点距離に応じて複数格納されており、前記第1の判定工程は、現在の焦点距離に応じたフォーカス段数値および中断判定値に基づいて前記最大値が取得されていることを判定することを特徴とする自動焦点調節方法。
【請求項10】 請求項9に記載の自動焦点調節方法において、前記フォーカス段数値は、前記焦点距離が長くなるほど多くの段数となる値が設定されていることを特徴とする自動焦点調節方法。
【請求項11】 請求項9に記載の自動焦点調節方法において、前記中断判定値は、前記撮像レンズの長焦点側にて前記中断処理を行なうように設定されていることを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項12】 請求項8記載の自動焦点調節方法において、前記テーブルには、前記撮像レンズの前記焦点調節領域を所定のステップ幅にて分割するステップ幅情報が格納され、前記評価値算出工程は、前記ステップ幅情報に応じた前記レンズの各位置にて撮像された画像データに基づいて前記評価値を算出することを特徴とする自動焦点調節方法。
【請求項13】 請求項12に記載の自動焦点調節方法において、前記テーブルには、前記ステップ幅情報が該撮像レンズの焦点距離に応じて複数格納されており、前記評価値算出工程は、現在の焦点距離に応じたステップ幅情報に応じた前記レンズの位置にて撮像された画像データに基づいて前記評価値を算出することを特徴とする自動焦点調節方法。
【請求項14】 請求項8に記載の自動焦点調節方法において、前記移動工程は、前記焦点調節領域内の一方の端から他方の端まで一定方向に移動させ、前記中断工程によりそのレンズ移動を停止し、前記合焦決定工程により、前記最大の評価値が得られた位置へ前記レンズを移動させることを特徴とする自動焦点調節方法。」

(補正後の請求項1ないし20)
「【請求項1】 撮像手段から出力される撮像信号に基づいて、該撮像手段に被写界の像を結像させる撮像レンズの焦点位置を調節する自動焦点調節装置において、該装置は、
焦点調節を行なうためのレンズを焦点調節領域内で移動させる移動手段と、
前記撮像素子から出力される画像信号から前記被写界のうち所定のフォーカシング領域におけるコントラスト成分を抽出し、該コントラスト成分に応じた評価値を前記レンズの各移動位置ごとに算出する評価値算出手段と、
前記フォーカシング領域における被写体に対し合焦する前記レンズの位置を前記評価値に基づいて求め、前記移動手段を制御する制御手段とを含み、
該制御手段は、前記レンズを移動させた際に前記評価値が連続して減少する連続減少回数を計数する計数手段と、
前記評価値のうち被写界における最大値が得られたことを前記減少回数に基づいて判定する第1の判定手段と、
前記評価値の最大値と前記レンズの他の移動位置にて得られた評価値とに基づいて前記評価値が所定値以上あることを判定する第2の判定手段と、
前記第1および第2の判定手段の判定結果に従って前記移動手段を制御し、前記レンズの移動を停止させ、前記評価値の取得を中断する中断手段と、
該中断手段によって処理が中断されると、前記評価値の最大値が得られた位置に前記移動手段によって前記レンズを移動させて合焦状態とする合焦決定手段とを含み、
前記制御手段は、前記レンズが移動される焦点調節領域内における評価値算出位置を規定するためのフォーカス段数値と、前記連続減少回数に応じて前記評価値算出を中断するか否か判定するための中断判定値とを格納するテーブルを含み、前記第1の判定手段は、前記連続減少回数と前記中断判定値とを比較して、該連続減少回数が該中断判定値を超えた場合に前記最大値が得られたことを判定し、
前記撮像レンズは、焦点距離が可変のズームレンズであり、前記テーブルには、前記フォーカス段数値と中断判定値とが該撮像レンズの焦点距離に応じて複数格納されており、 前記第1の判定手段は、現在の焦点距離に応じたフォーカス段数値および中断判定値に基づいて前記最大値が取得されていることを判定することを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項2】 請求項1に記載の自動焦点調節装置において、前記フォーカス段数値は、前記焦点距離が長くなるほど多くの段数となる値が設定されていることを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項3】 請求項1に記載の自動焦点調節装置において、前記テーブルには、前記撮像レンズの前記焦点調節領域を所定のステップ幅にて分割するステップ幅情報が格納され、
前記評価値算出手段は、前記ステップ幅情報に応じた前記レンズの各位置にて撮像された画像データに基づいて前記評価値を算出することを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項4】 請求項3に記載の自動焦点調節装置において、前記撮像レンズは、前記評価値算出手段は、現在の焦点距離に応じたステップ幅情報に応じた前記レンズの位置にて撮像された画像データに基づいて前記評価値を算出することを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項5】 請求項1に記載の自動焦点調節装置において、前記移動手段は、前記焦点調節領域内の一方の端から他方の端まで一定方向に移動させ、前記中断手段によりそのレンズ移動を停止し、前記合焦決定手段により、前記最大の評価値が得られた位置へ前記レンズを移動させることを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項6】 撮像手段から出力される撮像信号に基づいて、該撮像手段に被写界の像を結像させる撮像レンズの焦点位置を調節する自動焦点調節方法において、該方法は、
焦点調節を行なうためのレンズを焦点調節領域内で移動させる移動工程と、
前記撮像素子から出力される画像信号から前記被写界のうち所定のフォーカシング領域におけるコントラスト成分を抽出し、該コントラスト成分に応じた評価値を前記レンズの各移動位置ごとに算出する評価値算出工程と、
前記フォーカシング領域における被写体に対し合焦する前記レンズの位置を前記評価値に基づいて求める制御工程とを含み、
該制御工程は、前記レンズを移動させた際に前記評価値が連続して減少する連続減少回数を計数する計数工程と、
前記評価値のうち被写界における最大値が得られたことを前記減少回数に基づいて判定する第1の判定工程と、
前記評価値の最大値と前記レンズの他の移動位置にて得られた評価値とに基づいて前記評価値が所定値以上あることを判定する第2の判定工程と、
前記第1および第2の判定工程における判定結果に従って、前記レンズの移動を停止させ、前記評価値の取得を中断する中断工程と、
該中断工程によって処理が中断されると、前記評価値の最大値が得られた位置に前記レンズを移動させて合焦状態とする合焦決定工程とを含み、
前記第1の判定工程は、前記レンズが移動される焦点調節領域内における評価値算出位置を規定するためのフォーカス段数値と、前記連続減少回数に応じて前記評価値算出を中断するか否か判定するための中断判定値とを格納するテーブルに基づいて、前記連続減少回数と前記中断判定値とを比較し、該連続減少回数が該中断判定値を超えた場合に前記最大値が得られたことを判定し、
前記撮像レンズは、焦点距離が可変のズームレンズであり、前記テーブルには、前記フォーカス段数値と中断判定値とが該撮像レンズの焦点距離に応じて複数格納されており、前記第1の判定工程は、現在の焦点距離に応じたフォーカス段数値および中断判定値に基づいて前記最大値が取得されていることを判定することを特徴とする自動焦点調節方法。
【請求項7】 請求項6に記載の自動焦点調節方法において、前記フォーカス段数値は、前記焦点距離が長くなるほど多くの段数となる値が設定されていることを特徴とする自動焦点調節方法。
【請求項8】 請求項6に記載の自動焦点調節方法において、前記テーブルには、前記撮像レンズの前記焦点調節領域を所定のステップ幅にて分割するステップ幅情報が格納され、前記評価値算出工程は、前記ステップ幅情報に応じた前記レンズの各位置にて撮像された画像データに基づいて前記評価値を算出することを特徴とする自動焦点調節方法。
【請求項9】 請求項8に記載の自動焦点調節方法において、前記評価値算出工程は、現在の焦点距離に応じたステップ幅情報に応じた前記レンズの位置にて撮像された画像データに基づいて前記評価値を算出することを特徴とする自動焦点調節方法。
【請求項10】 請求項6に記載の自動焦点調節方法において、前記移動工程は、前記焦点調節領域内の一方の端から他方の端まで一定方向に移動させ、前記中断工程によりそのレンズ移動を停止し、前記合焦決定工程により、前記最大の評価値が得られた位置へ前記レンズを移動させることを特徴とする自動焦点調節方法。
【請求項11】 撮像手段から出力される撮像信号に基づいて、該撮像手段に被写界の像を結像させる撮像レンズの焦点位置を調節する自動焦点調節装置において、該装置は、
焦点調節を行なうためのレンズを焦点調節領域内で移動させる移動手段と、
前記撮像素子から出力される画像信号から前記被写界のうち所定のフォーカシング領域におけるコントラスト成分を抽出し、該コントラスト成分に応じた評価値を前記レンズの各移動位置ごとに算出する評価値算出手段と、
前記フォーカシング領域における被写体に対し合焦する前記レンズの位置を前記評価値に基づいて求め、前記移動手段を制御する制御手段とを有し、
該制御手段は、前記レンズを移動させた際に前記評価値が連続して減少する連続減少回数を計数する計数手段と、
前記評価値のうち被写界における最大値が得られたことを前記減少回数に基づいて判定する第1の判定手段と、
前記評価値の最大値と前記レンズの他の移動位置にて得られた評価値とに基づいて前記評価値が所定値以上あることを判定する第2の判定手段と、
前記第1および第2の判定手段の判定結果に従って前記移動手段を制御し、前記レンズの移動を停止させ、前記評価値の取得を中断する中断手段と、
該中断手段によって処理が中断されると、前記評価値の最大値が得られた位置に前記移動手段によって前記レンズを移動させて合焦状態とする合焦決定手段とを含み、
前記制御手段は、前記レンズが移動される焦点調節領域内における評価値算出位置を規定するためのフォーカス段数値と、前記連続減少回数に応じて前記評価値算出を中断するか否か判定するための中断判定値とを格納するテーブルを含み、前記第1の判定手段は、前記連続減少回数と前記中断判定値とを比較して、該連続減少回数が該中断判定値を超えた場合に前記最大値が得られたことを判定し、
前記撮像レンズは、焦点距離が可変のズームレンズであり、前記テーブルには、前記フォーカス段数値と中断判定値とが該撮像レンズの焦点距離に応じて複数格納されており、 前記第1の判定手段は、現在の焦点距離に応じたフォーカス段数値および中断判定値に基づいて前記最大値が取得されていることを判定し、
前記中断判定値は、前記撮像レンズの長焦点側にて前記中断処理を行なうように設定されていることを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項12】 請求項11に記載の自動焦点調節装置において、前記フォーカス段数値は、前記焦点距離が長くなるほど多くの段数となる値が設定されていることを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項13】 請求項11に記載の自動焦点調節装置において、前記テーブルには、前記撮像レンズの前記焦点調節領域を所定のステップ幅にて分割するステップ幅情報が格納され、
前記評価値算出手段は、前記ステップ幅情報に応じた前記レンズの各位置にて撮像された画像データに基づいて前記評価値を算出することを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項14】 請求項13に記載の自動焦点調節装置において、前記評価値算出手段は、現在の焦点距離に応じたステップ幅情報に応じた前記レンズの位置にて撮像された画像データに基づいて前記評価値を算出することを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項15】 請求項11に記載の自動焦点調節装置において、前記移動手段は、前記焦点調節領域内の一方の端から他方の端まで一定方向に移動させ、前記中断手段によりそのレンズ移動を停止し、前記合焦決定手段により、前記最大の評価値が得られた位置へ前記レンズを移動させることを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項16】 撮像手段から出力される撮像信号に基づいて、該撮像手段に被写界の像を結像させる撮像レンズの焦点位置を調節する自動焦点調節方法において、該方法は、
焦点調節を行なうためのレンズを焦点調節領域内で移動させる移動工程と、
前記撮像素子から出力される画像信号から前記被写界のうち所定のフォーカシング領域におけるコントラスト成分を抽出し、該コントラスト成分に応じた評価値を前記レンズの各移動位置ごとに算出する評価値算出工程と、
前記フォーカシング領域における被写体に対し合焦する前記レンズの位置を前記評価値に基づいて求める制御工程とを有し、
該制御工程は、前記レンズを移動させた際に前記評価値が連続して減少する連続減少回数を計数する計数工程と、
前記評価値のうち被写界における最大値が得られたことを前記減少回数に基づいて判定する第1の判定工程と、
前記評価値の最大値と前記レンズの他の移動位置にて得られた評価値とに基づいて前記評価値が所定値以上あることを判定する第2の判定工程と、
前記第1および第2の判定工程における判定結果に従って、前記レンズの移動を停止させ、前記評価値の取得を中断する中断工程と、
該中断工程によって処理が中断されると、前記評価値の最大値が得られた位置に前記レンズを移動させて合焦状態とする合焦決定工程とを含み、
前記第1の判定工程は、前記レンズが移動される焦点調節領域内における評価値算出位置を規定するためのフォーカス段数値と、前記連続減少回数に応じて前記評価値算出を中断するか否か判定するための中断判定値とを格納するテーブルに基づいて、前記連続減少回数と前記中断判定値とを比較し、該連続減少回数が該中断判定値を超えた場合に前記最大値が得られたことを判定し、
前記撮像レンズは、焦点距離が可変のズームレンズであり、前記テーブルには、前記フォーカス段数値と中断判定値とが該撮像レンズの焦点距離に応じて複数格納されており、前記第1の判定工程は、現在の焦点距離に応じたフォーカス段数値および中断判定値に基づいて前記最大値が取得されていることを判定し、
前記中断判定値は、前記撮像レンズの長焦点側にて前記中断処理を行なうように設定されていることを特徴とする自動焦点調節装置。
【請求項17】 請求項16に記載の自動焦点調節方法において、前記フォーカス段数値は、前記焦点距離が長くなるほど多くの段数となる値が設定されていることを特徴とする自動焦点調節方法。
【請求項18】 請求項16に記載の自動焦点調節方法において、前記テーブルには、前記撮像レンズの前記焦点調節領域を所定のステップ幅にて分割するステップ幅情報が格納され、前記評価値算出工程は、前記ステップ幅情報に応じた前記レンズの各位置にて撮像された画像データに基づいて前記評価値を算出することを特徴とする自動焦点調節方法。
【請求項19】 請求項18に記載の自動焦点調節方法において、前記評価値算出工程は、現在の焦点距離に応じたステップ幅情報に応じた前記レンズの位置にて撮像された画像データに基づいて前記評価値を算出することを特徴とする自動焦点調節方法。
【請求項20】 請求項16に記載の自動焦点調節方法において、前記移動工程は、前記焦点調節領域内の一方の端から他方の端まで一定方向に移動させ、前記中断工程によりそのレンズ移動を停止し、前記合焦決定工程により、前記最大の評価値が得られた位置へ前記レンズを移動させることを特徴とする自動焦点調節方法。」

2 補正の適合性

補正前の請求項1ないし14を、補正後の請求項1ないし20とする本件補正が、特許法第17条の2第4項各号で規定する要件を満たしているかどうかを検討する。

(1)補正後の請求項1、2、6、7は、それぞれ補正前の請求項2、3、9、10に対応している。
(2)補正後の請求項3、5、8、10、11、16は、それぞれ補正前の請求項5、7、12、14、4、11の発明特定事項である「撮像レンズ」、「テーブル」、「第1の判定手段(工程)」を減縮するものであるから、補正後の請求項3、5、8、10、11、16は、補正前の請求項5、7、12、14、4、11に対応すると認める。
(3)補正後の請求項4、9は、それぞれ補正前の請求項6、13の発明特定事項である「第1の判定手段(工程)」を減縮するものであるから、補正後の請求項4、9は、補正前の請求項6、13に対応すると認める。
(4)補正後の請求項12、17は、それぞれ補正前の請求項1、8の発明特定事項である「撮像レンズ」、「テーブル」、「第1の判定手段(工程)」、「フォーカス段数値」、「中断判定値」を減縮するものであるから、補正後の請求項12、17は、補正前の請求項1、8に対応すると認める。

そうすると、補正後の請求項13ないし15、18ないし20は、補正前の請求項に対して、一対一又はこれに準ずるような対応関係がない。
そして、この点について、補正の目的とし得る事項として規定された特許法第17条の2第4項第2号は、「特許請求の範囲の減縮」について、括弧書きで「第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。」と規定しているから、同号にいう「特許請求の範囲の減縮」は、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって、かつ、補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請されるものというべきである(東京高等裁判所平成16年4月14日判決(平成15年(行ケ)230号))から、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号で規定された「特許請求の範囲の減縮」には該当しないものである。
また、本件補正が、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれかを目的とするものであるともいえない。
以上のことから、本件補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものではない。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。


第三 本願発明について

平成19年3月1日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし14に係る発明は、平成19年1月5日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載した事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2009-11-18 
出願番号 特願平10-327931
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井上 正齊藤 健一  
特許庁審判長 藤内 光武
特許庁審判官 佐藤 直樹
小池 正彦
発明の名称 自動焦点調節装置および方法  
代理人 香取 孝雄  

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