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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G
管理番号 1207405
審判番号 不服2007-17077  
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-06-19 
確定日 2009-11-18 
事件の表示 特願2002- 44438「画像形成装置及び画像形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 8月29日出願公開、特開2003-241569〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成14年2月21日付けの出願であって、拒絶理由に対して平成19年3月16日付けで手続補正書が提出されたが、同年5月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月19日付けで審判請求がなされるとともに、同年7月12日付けで手続補正書が提出され、また、当審の審尋に対する回答書が平成20年9月3日付けで提出され、その後、平成20年12月18日付けで平成19年7月12日付けの手続補正について補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶理由の通知がなされたところ、平成21年3月2日付けで意見書のみが提出されたものである。

したがって、本願の請求項1?5に係る発明は、平成19年3月16日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】電子写真感光体に形成されたトナー像を中間転写体に転写する一次転写手段と、該中間転写体に転写されたトナー像を記録材に転写する二次転写手段とを備えた画像形成装置において、前記電子写真感光体の十点表面粗さRzが0.05?4.0μmで、該中間転写体の十点表面粗さRzが0.5?2μmであり、該電子写真感光体の表面に表面エネルギー低下剤を付与する剤付与手段を有し、該表面エネルギー低下剤は含水率が0.05?3.0質量%の脂肪酸金属塩であることを特徴とする画像形成装置。」

2.引用例の記載事項
これに対して、当審において通知した拒絶理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物1?9と、その記載事項は、以下のとおりである。(なお、下線は当審で付した。)

(1)刊行物1:特開平8-211755号公報
(1a)「【請求項1】像担持体上に形成される可視の色現像画像を無端状に移動する中間転写体上に1次転写し、この中間転写体上の1次転写画像を転写材に2次転写する中間転写方式の画像形成装置において、
実使用状態における前記像担持体、前記中間転写体、前記転写材の各表面張力が、
像担持体の表面張力≦中間転写体の表面張力
の関係にあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】(略)
【請求項3】(略)
【請求項4】請求項1記載の画像形成装置において、
前記中間転写体の表面粗度が0.6?0.9μm(JISB0601による十点平均粗さ)であることを特徴とする画像形成装置。」

(1b)「【請求項8】像担持体上に形成される可視の色現像画像を無端状に移動する中間転写体上に1次転写し、この中間転写体上の1次転写画像を転写材に2次転写する中間転写方式の画像形成装置において、
実使用状態における前記像担持体、前記中間転写体の各表面エネルギーが、
像担持体の表面エネルギー≦中間転写体の表面エネルギー
の関係にあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】請求項8記載の画像形成装置において、
前記像担持体の表面に表面エネルギーを下げるために潤滑剤を塗布することを特徴とする画像形成装置。」

(1c)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、詳しくは、中間転写ベルト等の中間転写体を介在させて、像担持体から中間転写体へトナー像を転写する1次転写、中間転写体上の1次転写画像を転写材へ転写する2次転写の各転写工程を経て画像形成を行う画像形成装置に関する。」

(1d)「【0004】転写性を向上させるための既存の技術は、次の5つに分類できる。
(1)(当審注:これは丸数字の1であるが、(1)と表記した。)中間転写体の表面粗度低減に関する技術
a.中間転写体にエラストマーを使用し、かつ、中間転写体の表面粗度を規定することで、中間転写体と転写材との密着性を向上させて、転写性を向上、虫喰い状画像発生防止をはかる(特開平3-242667号公報)。
【0005】b.中間転写体の表面粗度を規定し、転写性向上、虫喰い状画像発生防止をはかる(特開昭63-194272号公報、特開平4-303869号公報、特開平4-303872号公報、特開平5-193020号公報)。
・・・(中略)・・・
【0010】以上のことから、表面の凹凸による転写性の差異が実質上問題とならないレベルまで、中間転写体表面の粗度は粗さが少ない傾向にするのがよいといえる。このことは、感光体にもいえることであるが、感光体の表面粗度は、古くはSeドラムまで遡り、かかる感光体についてその表面粗度を転写性を考慮して一定値に抑制することは、周知の技術として知られている。
【00011】従って、凹凸による転写性の差異が実質上問題とならないレベルまで、中間転写体表面の粗度を調整することは、虫喰い状画像の発生防止にとって、意味のあることである。」

(1e)「【0036】本発明は、これらの従来技術を踏まえ、所謂虫喰い状画像の発生を効果的に抑制することのできる技術を提供することを目的とする。」

(1f)「【0170】〔感光体に対する潤滑剤の塗布〕
a.塗布工程
工程1
感光体9へはトナー像が前記した作像プロセスにより形成され、トナー像は1次転写工程にて、中間転写ベルト19へ転写される。感光体9上に残留した転写残トナーは、感光体クリーニングユニット10に位置するブラシローラ10-2にて殆どが除去される。ブラシローラ10-2は、図示しない駆動機構により、感光体9とは逆向きに回転駆動される。ブラシローラ10-2は、感光体表面を摺擦し、転写残トナーを機械的・電気的作用にて捕獲する。ブラシローラのブラシに捕獲されたトナーは、トナーの極性とは逆極性のバイアス電圧が印加されたバイアスローラ10-4を摺擦する次工程にて電気的作用により該バイアスローラ10-4に移行し、ブラシローラ10-2はクリーニングされる。
【0171】工程2
ブラシローラ10-2に常に接触するようにして、板状のステアリン酸亜鉛からなる潤滑剤39が設けられている。この潤滑剤39は、ブラシローラ10-2で摺擦されることにより、ブラシに付着する。
【0172】工程3
ブラシローラ10-2は、感光体表面を摺擦する工程へ移り、前記中間転写ベルト19における潤滑剤の塗布工程と同じように、ブラシ38に付着したステアリン酸亜鉛を感光体9の表面に塗付ける。
【0173】工程4
感光体表面に塗付けられたステアリン酸亜鉛は、感光体の回転方向上、ブラシローラ10-2の次の位置に設けられたゴムブレード10-3により均一に延ばされ、安定した状態として感光体表面を被う。
【0174】工程5
感光体クリーニングユニット10は常に感光体9に接触しており、ブラシローラ10-2は感光体駆動と同期して回転駆動される。よって、感光体9へのステアリン酸亜鉛塗布を常に行なわれ、その結果、感光体表面の表面エネルギーは安定している。
【0175】b.塗布条件
・感光体9の線速度:180mm/sec
・ブラシローラ10-2の回転速度:170rpm(ブラシローラは感光体と逆向きに回転する)
・ブラシの材質:導電性アクリル繊維・300D/48F・20,000本/inch^(2)(SA-7:東レ・商品名)
・ブラシのステアリン酸亜鉛への食い込み量:1mm
・ブラシの感光体への食い込み量:1mm
なお、感光体9への潤滑剤の塗布は上記のようにブラシローラを介することなく、板状ステアリン酸亜鉛を直接、感光体9に当接して塗布することもできる。ここで、感光体9と、中間転写対19について、単位時間あたりの潤滑剤の塗布量を、感光体>中間転写体の関係にすれば、付着力、表面エネルギー、表面張力などについて、虫喰い状画像の発生が防止される条件にすることができる。感光体表面エネルギーは潤滑剤により、常に一定の表面エネルギー状態に保たれる。中間転写ベルト表面は、図4の場合と同様に、潤滑剤の収支バランスがとれていれば塗布直後、直前の状態を繰り返す。これにより、感光体、中間転写ベルトの表面エネルギーは1次・2次転写不具合領域に入り込まず、常に安定した転写が行われる。
【0176】実際の装置においては、中間転写ベルト上の潤滑剤の量は、図6に示したような規則的な変動はしない。しかし、感光体表面の表面エネルギーが一定に保たれれば、中間転写ベルトの表面エネルギーが図7に示すように変動しても、感光体、中間転写ベルトともに、1次転写不具合領域に入り込まず、図5に示したと同じように、常に虫喰い状画像の生じない安定した転写が行われる。
【0177】前記本発明の実施例において、像担持体である感光体へ塗布する潤滑剤は、ブラシローラ10-2により常に感光体に塗布される。別の実施例としては、中間転写ベルトへの塗布法と同じように、感光体クリーニングユニット10とは別個に専用の塗布装置を設けることもできる。」

(1g)「【0178】(十四).請求項4,7に対応する説明この例は、「像担持体の表面張力≦中間転写体の表面張力」とする場合、或いは、「像担持体の表面張力≦中間転写体の表面張力」とする場合において、さらに、これらの条件に加重して、中間転写体の表面粗度を0.6?0.9μm(JIS B0601による十点平均粗さ)とすることとしたものである。転写性の向上に、表面粗度が関係していることは、前記従来の技術の欄における(1)(当審注:これは丸数字の1であるが、(1)と表記した。)で述べた通りであり、虫喰い状画像の発生防止上、表面粗度に関して、上記限定を加重することで、一層の効果がある。なお、本願発明は、上記実施例に限定されるものではない。例えば、表面張力、付着力、表面エネルギー等の数値、又は使用材料を実験データとして記載しているが、本願発明は、当該数値、材料に限定されるものではない。」

(1h)そして、刊行物1には、次の手段が記載されているということができる。
・像担持体上に形成される可視の色現像画像を無端状に移動する中間転写体上に1次転写する1次転写手段。
・中間転写体上の1次転写画像を転写材に2次転写する2次転写手段。
・像担持体の表面に表面エネルギーを下げるために潤滑剤を塗布する手段。

これら記載(特に(1b)(1f)(1h))によれば、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

「像担持体上に形成される可視の色現像画像を無端状に移動する中間転写体上に1次転写する1次転写手段と、この中間転写体上の1次転写画像を転写材に2次転写する2次転写手段とを備えた画像形成装置において、
像担持体の表面に表面エネルギーを下げるために潤滑剤を塗布する手段を有し、潤滑剤は板状のステアリン酸亜鉛からなる潤滑剤である、
画像形成装置。」

(2)刊行物2:特開平8-137183号公報
(2a)「【請求項1】各々が少なくとも回動する像担持体と 前記像担持体を帯電する帯電手段と、それぞれ色の異なる現像剤を有する現像手段とを備えた像形成ユニットを円環状に並べた複数の移動可能な像形成ユニット群と、
前記像形成ユニット群で形成された複数色のトナー像を搬送する導電性の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトに前記トナー像が転写される毎に前記像形成ユニット群を回転中心回りに回転移動させることで、前記中間転写ベルトに接する前記像担持体を変更させる移動手段と、
前記中間転写ベルトに受像紙を押しつけることで、前記中間転写ベルト上に重ね合わせた状態に保持された前記トナー像を前記受像紙に再転写する導電性の転写ローラとを具備し、
前記像担持体の10点平均粗さ(Rz1)と、前記中間転写ベルトの10点平均粗さ(Rz2)と、前記受像紙の10点平均粗さ(Rz3)が以下の関係であるカラー画像形成装置。
Rz1<Rz2<Rz3 」

(2b)「【0013】第一発明では、中間転写ベルトの表面粗さを変化させて、像担持体から中間転写ベルトへの転写時に発生する画像の中抜け発生の程度を調べた。結果は、トナー像を転写される転写ベルトの表面粗さが、トナー像を転写する像担持体の表面粗さよりも大きいと中抜けの発止頻度は著しく低下した。これはトナー像を転写される中間転写ベルトの表面の僅かな凹凸によって、トナーとの接触機会や水平力が増し、トナーと像担持体間、或いは、トナー同士間の機械力を弱めるためと考えられる。このことは、中間転写ベルトと受像紙間でも同様と考えられる。即ち、中間転写ベルトの表面粗さよりも受像紙の表面粗さよりも大きくすることでトナーに働く機械力を弱め良好な再転写が行われる。」

(3)刊行物3:特開2001-235946号公報
(3a)「【請求項1】像担持体と、該像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該像担持体上のトナー像が転写される中間転写体と、該像担持体上のトナー像を該中間転写体に1次転写する1次転写手段と、該中間転写体上のトナー像を転写材に2次転写する2次転写手段とを備えた画像形成装置において、十点平均粗さにより求めた上記像担持体の表面粗さRzをd_(1)、十点平均粗さにより求めた上記中間転写体の表面粗さRzをt_(1)、上記トナーの体積平均粒径をDとしたとき、
d_(1 )≦ D、
t_(1) ≦ 2D、
d_(1 <) t_(1)の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。」

(3b)「【0013】この画像形成装置においては、中間転写体の表面粗さt_(1)を像担持体の表面粗さd1よりも大きく設定しているので、これら表面の山部分によるトナーの掻き取り力に関しては像担持体側よりも中間転写体側の方が大きい。したがって、中間転写体側へのトナーの移動を促進させることができるとともに、像担持体側へのトナーの移動を抑制することができる。また、像担持体の表面粗さd_(1)を該像担持体に担持されるトナーの体積平均粒径D以下に設定しているので、該像担持体表面の谷部分にトナーが完全に埋没してしまうことがなく、1次転写時における転写効率を向上させることができるとともに、逆転写現象を低減することもできる。尚、この像担持体の表面粗さd_(1)は、より小さい方が好ましい。また、中間転写体の表面粗さt_(1)をトナーの体積平均粒径Dの2倍の値以下に設定しているので、トナーが該中間転写体表面の谷部分で十分に保持されて逆転写現象を低減することができるとともに、2次転写時における転写効率を十分に確保することができる。」

(4)刊行物4:特開平11-61171号公報
(4a)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真装置の画像形成装置において、感光体等の表面に滑剤を塗布する滑剤塗布機構の改良に関する。」

(4b)「【0007】・・・(中略)・・・
〈実施例〉この実施例の金属石鹸を製造するに際しては、まず、ステアリン酸亜鉛(堺化学製SZ-2000)100重量部に、カーボンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製ケッチェンブラックEC)10重量部を配合し、ミキサーを使用して均一に分散させ、これらを140℃で攪拌しながら溶融する。別に140℃で予熱した幅8×深さ8×長さ500mmのキャビティを有するアルミ製金型のキャビティ内に、上記溶融液を注入した。注入後、予熱した断熱蓋を型上部に設置した。次いで、金型を室温の条件下に置き、金型温度が50℃になるまで放冷した。2時間後、金型から固化した成形品を取り出した。成形品を幅8×厚み8×長さ300mmの形状に加工し、別に用意した幅10×厚み0.5×長さ300mmの板金(板状支持体)の面上に、この成形品を両面テープを使用して貼り付けた。このようにして得られた滑剤塗布部材を、図4中に示した滑剤塗布機構1の各ケーシング8内に電子写真装置に各々搭載し、画像品質を評価した結果、チリ、かすれといった画像不良がなく、良好な画像が得られた。
〈比較例〉ステアリン酸亜鉛のみを使用して、導電剤を使用せずに、実施例と同様の手順で滑剤塗布部材を得た。このようにして得られた滑剤塗布部材を、図4の電子写真装置に各々搭載し、画像品質を評価したが、チリ、かすれといった画像不良が見られた。比較例との比較から明らかなように、本形態例の滑剤塗布部材によれば、金属石鹸ブロック6中に導電剤として導電性粒子15を混入している為、金属石鹸粉の摩擦帯電が防止され、チリ、かすれ等の画像不良が発生しないという効果を得ることができる。」

(5)刊行物5:特開平8-36338号公報
(5a)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、転写工程後の感光体表面に付着したトナーを清掃除去するクリーニングブレードに関し、特に温度依存性に優れた熱可塑性樹脂を成形材料とする画像形成装置用クリーニングブレードに関する。本発明のクリーニングブレードは、複写機、プリンタ、これらの両機能を合わせ持った複合OA機器等に適用することができる。」

(5b)「【0041】有機潤滑剤は熱可塑性樹脂との相溶性の良好なものが好適であり、例えば・・・(中略)・・・SZ-2000(堺化学)、SC-G(堺化学)等の金属石鹸、LS-10(旭電化)等の高級脂肪酸エステルなどが挙げられる。」

(6)刊行物6:特開平3-50562号公報
(6a)「実施例1
・・・(中略)・・・
該負帯電性磁性トナー100重量部に対し、被膜形成材料としてステアリン酸亜鉛(堺化学社製SZ-2000)を0.1重量部、HMDSで処理した、疎水性ケイ酸微粉末0.4重量部を各々トナーに加え、ヘンシェルミキサーにて混合し、一成分現像剤とした。」(第5頁右下欄?第6頁左上欄)

(7)刊行物7:「METALLIC SOAPS & STABILIZERS」,堺化学工業株式会社
これは、堺化学工業株式会社の金属石鹸及び樹脂安定剤に関する製品カタログであって、その末尾の「1991.3.2000 JSP」との記載から、1991年に印刷されたものと推認することができ、また、製品カタログの性質からみて、頒布されるものであり、本願出願(平成14年2月21日)前には頒布されていたものと推認される。
その第1頁には、「ステアリン酸亜鉛(SZ-2000,SZ-1)」との見出しがあり、この見出しの後に「加硫促進剤、離型材、分散剤、潤滑剤、研磨材としてゴム、顔料、化粧品、粉末冶金、塗料等広範囲な用途に使用されています。・・・(中略)・・・当社では湿式複分解法によるSZ-2000と乾式直接法によるSZ-1の2グレードを有しております。」との記載がある。
第3頁には、表があり、SZ-2000,SZ-1の水分(%)は、いずれも0.5%以下であることが記載されている。

(8)刊行物8:特開平8-202226号公報
(8a)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は,電子写真方式を用いた複写機,プリンター,ファクシミリ装置等の画像形成装置に関し,より詳細には,像担持体(感光体)表面に適量の潤滑剤を均一に安定して塗布する潤滑剤塗布機構を備えた画像形成装置に関する。」

(8b)「【0016】また,本実施例では,潤滑剤201は,ステアリン酸亜鉛を固形にしたものであり,スプリング205により塗布部材202に押圧され,塗布部材202の回転に伴って,塗布部材202に付着する。なお,クリーニングユニット109が,感光体101のクリーニング機構と共に,上記機構を兼ね備えている。」

(8c)「【0037】なお,固形の潤滑剤201(乾燥した固体疎水性潤滑剤)の代表例としては,本実施例に用いたステアリン酸亜鉛以外に以下に記すようなものがある。(略)」

(9)刊行物9:特開平7-319274号公報
(9a)「【請求項1】 有機感光体上に静電潜像を形成し、その潜像を現像剤を用いて反転現像する画像形成方法において、含水率が10?500ppmの脂肪酸金属塩を感光体上に供給するユニットと少なくとも供給した脂肪酸金属塩の一部を現像ユニットへリサイクルするユニットを有することを特徴とする反転画像形成方法。」

(9b)「【0006】一方従来の脂肪酸金属塩の中でも含水率が多いものは特にこの「先端フリンジ」現象が顕著であった。」

(9c)「【0018】A:試料の入ったサンプル管から検出された水分量(g)
B:2本の空サンプル管から検出された水分量(g)の平均値
C:試料量(g)
脂肪酸金属塩を塗布すると感光体表面電位が低下するのは、脂肪酸金属塩の電気抵抗が低いことが原因であろうと推定される。含水率を極めて少なくした脂肪酸金属塩を使用すると電気抵抗を高くでき、その結果反転現像系で特有な「先端フリンジ」が発生しにくい。但しあまり含水率が少ないと均一塗布性が損なわれるためこの含水率のコントロールは、反転現像において特に重要である。」

(9d)「【0020】本発明において、好ましく用いられる化合物、作用条件、装置等を挙げれば次の如くである。
【0021】1.脂肪酸金属塩
水との親和力が少ないため含水率を低減した後は吸湿しにくいため効果が持続するので、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムが特に好ましい。 【0022】又、含水率の範囲としては、10?100ppmが更に良い特性を示す。
【0023】2.脂肪酸金属塩の供給ユニット
脂肪酸金属塩固体を柱状にして直接感光体に押圧してもよいが、トナー中に存在させ現像時に感光体上に供給し、弾性ブレード等で押圧塗布する方法が装置が大きくならず、また脂肪酸金属塩の均一塗布の点で好ましい。」


3.対比・判断
本願発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると、
刊行物1記載の発明の「像担持体」「可視の色現像画像」「無端状に移動する中間転写体」「1次転写画像」「転写材」「潤滑剤」「担持体の表面に表面エネルギーを下げるために潤滑剤を塗布する手段」「ステアリン酸亜鉛」は、それぞれ、 本願発明1の「電子写真感光体」「トナー像」「中間転写体」「中間転写体に転写されたトナー像」「記録材」「表面エネルギー低下剤」「該電子写真感光体の表面に表面エネルギー低下剤を付与する剤付与手段」「脂肪酸金属塩」に相当するから、
両者の一致点、相違点は次のとおりと認められる。

[一致点]
「電子写真感光体に形成されたトナー像を中間転写体に転写する一次転写手段と、該中間転写体に転写されたトナー像を記録材に転写する二次転写手段とを備えた画像形成装置において、該電子写真感光体の表面に表面エネルギー低下剤である脂肪酸金属塩を付与する剤付与手段を有する、画像形成装置。」

[相違点1]
本願発明1では、電子写真感光体の十点表面粗さRzが0.05?4.0μmで、中間転写体の十点表面粗さRzが0.5?2μmであるのに対し、
刊行物1記載の発明では、そのような限定がない点。

[相違点2]
本願発明1では、表面エネルギー低下剤は含水率が0.05?3.0質量%の脂肪酸金属塩であるのに対し、
刊行物1記載の発明では、板状のステアリン酸亜鉛からなる潤滑剤とするだけであり、含水率は示されていない点。

そこで、相違点について検討する。

(1)相違点1について
(1-1)刊行物1には、刊行物1記載の発明とは別に、やはり転写性を向上させる観点から、中間転写体の十点表面粗さRzを0.6?0.9μmにすることも記載されている(1a)(1d)(1g)。
また、中間転写体の十点表面粗さRzが、本願発明1の0.5?2μmの程度のものが好ましいことは、周知のことでもある。例えば、特開平10-26891号公報(【0034】【0036】)、特開平11-84890号公報(【0033】【表1】)、特開平9-134079号公報(【請求項2】【表1】)、特開2002-23519号公報(【0032】)、特開2002-23514号公報(【0027】)を参照。
一方、電子写真感光体の十点表面粗さRzについては、刊行物2,刊行物3には、中抜け防止,逆転写低減という転写性の観点から、電子写真感光体の十点表面粗さRzを、中間転写体の十点表面粗さRzよりも小さくするという技術が記載されている。
また、本願発明1での電子写真感光体の十点表面粗さRz0.05?4.0μmというのは、この範囲を超えるものが知られているとはいえ、この範囲に入るものや、刊行物1の中間転写体の十点表面粗さRz0.6?0.9μmより小さいのものも、また周知である。

(1-2)ここで、本願発明1において、電子写真感光体の十点表面粗さRz、中間転写体の十点表面粗さRzを特定範囲とすることについて、請求人は、意見書で、「本願発明では、(0039)に記載するように、感光体に供給された表面エネルギー低下剤を中間転写体に取り込み、中間転写体上のトナー付着力を低下させることにより、中間転写体から記録紙へのトナーの二次転写の転写率を向上を容易にするものです。」とか、「本願発明では、感光体表面の表面エネルギー低下剤を中間転写体表面に取り込むことに着目して、感光体と中間転写体の表面粗さの範囲を決めているものです。」と説明する。
しかし、本願発明1の「電子写真感光体の十点表面粗さRzが0.05?4.0μmで、中間転写体の十点表面粗さRzが0.5?2μm」は、例えば、感光体のRz:4.0μm、中間転写体のRz:0.5μmの組合せを許容するものであるところ、この組合せは、感光体のRzが中間転写体のRzよりも非常に大きいものであり、上述した、中抜け防止,逆転写低減という転写性の観点から、電子写真感光体の十点表面粗さRzを、中間転写体の十点表面粗さRzよりも小さくするという技術(刊行物2,3)とは、全く相反する組合せであるから、この組合せが、請求人が主張する「感光体表面の表面エネルギー低下剤を中間転写体表面に取り込むことに着目して、感光体と中間転写体の表面粗さの範囲を決めているもの」とは断言できない。
そして、本願明細書の表2には、「組み合わせNo.9」として、唯一、感光体のRzが中間転写体のRzよりも大きいものが確かに示されているが、それは、感光体のRz:3.0μm、中間転写体のRz:1.5μmの組合せに留まり、それをはるかに超える、感光体のRz:4.0μm、中間転写体のRz:0.5μmの組合せであっても、良好な転写性等が得られることは、何ら確認されていないし、推認することも不可能である。
したがって、本願発明1の「電子写真感光体の十点表面粗さRzが0.05?4.0μmで、中間転写体の十点表面粗さRzが0.5?2μm」は、効果が確認された範囲だけでなく、効果が疑わしい範囲を含んでいることは明らかである。

(1-3)これらのことを勘案すると、刊行物1記載の発明において、転写性の観点から、中間転写体の十点表面粗さRzを0.6?0.9μmや0.5?2μm程度にするとともに、電子写真感光体の十点表面粗さRzをそれよりも小さくすること(これにより、本願発明1の範囲に入るものを得る)は、当業者であれば容易に想到し得ることであり、
しかも、本願発明1の「電子写真感光体の十点表面粗さRzが0.05?4.0μmで、中間転写体の十点表面粗さRzが0.5?2μm」という範囲を設定することも、当業者が適宜容易になし得ることといわざるを得ない。

(2)相違点2について
(2-1)画像形成技術の分野において用いられる表面エネルギー低下剤としては、ステアリン酸亜鉛が一般的であり、しかも、刊行物4?6に記載されているように、堺化学工業株式会社製のステアリン酸亜鉛SZ-2000(これ自体は、刊行物7によれば、水分0.5%以下であり、本願発明1の「0.05?3.0質量%」の範囲内である。)が、電子写真分野で代表的な会社において、使用されているか、あるいは、利用可能とされていることは、本願出願前に周知であるといえる。つまり、画像形成技術分野における当業者にとっては、堺化学工業株式会社製のステアリン酸亜鉛SZ-2000が画像形成技術分野又は電子写真分野で用いられることは、周知の事項である。

(2-2)なお、この点に関して、拒絶理由通知で「各社で使用されることが周知である」と述べたのに対して、意見書で、請求人は、「審判官殿は、刊行物4?6の3つの出願人の明細書に、ステアリン酸亜鉛としてSZ-2000が記載されていることを根拠に、各社で使用されることが周知であるとされています。各社で使用されていたことが周知であるとする根拠として、審判官殿が出願人の異なる3つの刊行物を引用されたことの意味が出願人には理解できません。電子写真分野で代表的な出願人の特許出願明細書の実施例等でSZ-2000が使われているので、周知であると言わんとされているように理解されます。単に、各出願人で公知な事実を、複数の出願人にすることで周知性が立証できるとは到底納得できません。各社で使用されていることが周知であるとするには、「各社でごく普通に使用されていた」ことが必要であると思量します。たまたま、3つの刊行物の実施例等に記載があるからといって、それがごく普通に使用されているということは言えないものであります。」と主張している。
この主張について検討しておくと、本件審決において、周知としているのは、いわゆる「慣用技術」(「慣用技術」とは、周知技術であって、かつ、よく用いられている技術をいう。)ではなく、この技術分野において知られている周知の事項(周知技術)のことである。

(2-3)そうしてみると、刊行物1記載の発明において、潤滑剤で用いるステアリン酸亜鉛として、周知であるところの堺化学工業株式会社製のステアリン酸亜鉛SZ-2000を選択して使用することに、当業者にとって困難性はないというべきである。

(2-4)そして、その際の含水率については、何らかの調整を行い、含水率が、ステアリン酸亜鉛SZ-2000自体の水分0.5%以下から、変化している(変更させる)可能性もあるが、
刊行物8には、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いるとの記載があり、また、刊行物9には、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛など)の含水率として10?500ppm(0.001?0.05%)のものを使用する発明が記載されているから、これら文献に接した当業者であれば、ステアリン酸亜鉛SZ-2000の乾燥状態(含水状態)を特に変えることなく、そのまま、刊行物1記載の発明の潤滑剤として用いることを考えることができる。つまり、潤滑剤の含水率に関しては、一般に含水率を上げることがあるかもしれないが、乾燥状態のまま、あるいは低い含水率を維持して使用することも、当業者が認識できるものである。

なお、この点に関して、意見書で、請求人は、次のように主張している。
「刊行物8では、ステアリン酸亜鉛を固形にした(0016)ということと、乾燥した固形疎水性潤滑剤の代表例として、ステアリン酸亜鉛以外のものが多数列挙されています。これらの中には、酸とか塩等含水率が比較的高いのではと考えられるものを含めて、無秩序に列挙されており、本願発明のステアリン酸亜鉛の含水率を示唆するものではありません。固形ということ、乾燥したという記載から、どうして乾燥状態(含水率)を変えることなく、そのまま、刊行物1記載の発明の潤滑剤として用いることを、当業者が考えるのか出願人は理解に苦しむものであります。固形ということと乾燥したということは、むしろ潤滑剤を扱うときの形態(扱いやすい形態)としてとらえるのが当業者としてむしろ普通に考えるものと思慮します。どうして乾燥状態、含水率を変えずに刊行物1に記載の潤滑剤として使用するのか理解できません。
また、刊行物9記載の発明は、脂肪酸金属塩の含水率範囲を10?500ppm(0.001?0.05%)とし、本願発明の下限以下の範囲としています。本願発明の範囲と全く異にするものです。刊行物9の実施例では、含水率74ppm(0.0074)のものを使用しており、本願発明の含水率の範囲とは全く異なるものであります。また、刊行物9の比較例2では、含水率600ppm(0.06%)、即ち本願発明の含水率の範囲に入る場合では、「先端フリンジ」がひどく、またリゾット部の画質も良くなかったと記載されています。即ち、本願発明の含水率を否定しているものであります。
このように刊行物9は、本願発明の含水率の範囲と全く異にし、たとえ含水率に着目しても、刊行物9から本願発明の含水率を想定することは当業者にとって容易にできるものでないことは明らかであります。」
この主張について検討すると、本件審決が、刊行物8や刊行物9を引用しているのは、一般に潤滑剤の含水率を上げて湿らせることがあるかもしれないが、潤滑剤の含水率を上げることが慣用の手法ではなく、乾燥状態のまま、あるいは低い含水率を維持して使用することもあり得ることを示すためである。

(2-5)また、特に刊行物9(これは、請求人がした出願の公開公報である。)について、請求人は、「刊行物9記載の発明は、脂肪酸金属塩の含水率範囲を10?500ppm(0.001?0.05%)とし、本願発明の下限以下の範囲としています。本願発明の範囲と全く異にするものです。・・・(中略)・・・即ち本願発明の含水率の範囲に入る場合では、「先端フリンジ」がひどく、またリゾット部の画質も良くなかったと記載されています。即ち、本願発明の含水率を否定しているものであります。」と主張する。
しかし、逆にいえば、刊行物9の「0.001?0.05%」と本願発明1の「0.05?3.0質量%」は、0.05%を境目にして、明確に分かれるものであり、刊行物9では、本願発明1の範囲は不適なものであるから、本願では、刊行物9の不適範囲を最適範囲とするべく、何らかの工夫を施しているはずのものと考えられるところ、本願の請求項の記載からは、そのような工夫は特に認められないのである。

(2-6)そこで、更に、本願発明1の臨界的意義についての検討に進む。
本願発明1で、「表面エネルギー低下剤は含水率が0.05?3.0質量%の脂肪酸金属塩である」と含水率の範囲を限定した理由は、本願明細書の記載によれば、「【0068】ところで、表面エネルギー低下剤としては脂肪酸金属塩或いはフッ素系樹脂が挙げられるが、これらの素材は、該素材中の親水性基や不純物成分の為、高温高湿条件で、含水量が多くなりやすい。この含水量が多くなると、これら表面エネルギー低下剤が均一に感光体の表面に延展されず、前記した本発明の効果を十分に発揮させ得ない。本発明に用いられる表面エネルギー低下剤はこの高温高湿条件の30℃80%RHの環境下で、含水量が5.0質量%以下であることにより、本発明の効果を十分に発揮することができる。」、「【0074】本発明の表面エネルギー低下剤は含水率を5.0質量%以下にする方法としては、材料中の親水成分や不純物の制御、例えば精製や疎水化処理により、高温高湿(30℃80%RH)下の水分量の低減の他に、水分調整剤の混入、高温乾燥処理等により達成できる。上記水分量の含水率は好ましくは0.01?5.0質量%、更には0.05?3.0質量%が良い。0.01質量%より小さいと却って複写中の温度上昇等による環境変動、特に像担持体の場所による湿度に左右され易かったり、また材料の選択や疎水性処理が難しい。5.0質量%より大きいと中抜けや文字チリが発生しやすい。」(下線は当審で付した。)というものである。
これら記載によれば、本願発明1の含水率の上限は、表面エネルギー低下剤(脂肪酸金属塩)が均一に感光体表面に延展されるための条件であるといえる。
しかし、表面エネルギー低下剤(脂肪酸金属塩)の含水率の上限だけを定めても、感光体表面の条件(材料や粗さ)が、均一な感光体表面に延展に対して大きな影響を与えることは、明らかである。また、表面エネルギー低下剤(脂肪酸金属塩)は、中間転写体にも移転していくから、中間転写体の条件(材料や粗さ)が重要である。しかも、感光体に対する表面エネルギー低下剤(脂肪酸金属塩)の供給条件(本願の図5では、ブラシロールを介して供給されているが、他の手段であれば、条件が変わってくる。また、ブラシロールとおいても、その材料、感光体への負荷(食い込み量)、ブラシロールと感光体の表面速度などでも、条件が変わってくる。)にも依存することも当然である。また、表面エネルギー低下剤(脂肪酸金属塩)の種類によっても、好適な範囲が変化することが予想されるが、本願では、ステアリン酸亜鉛で確認しているに過ぎない。

また、本願明細書では、上記のとおり、「5.0質量%より大きいと中抜けや文字チリが発生しやすい。」と、含水率の上限と転写性の関係が説明されているが、現像剤であるトナーの条件(材料や離型性)や各種の現像条件を抜きにして、含水率のみで転写性の効果を一般化するのは無理がある。

そうすると、表面エネルギー低下剤(脂肪酸金属塩)の含水率だけを規定しても、不十分であり、上記した他の重要な条件を捨象した本願発明1は、効果が確認されない範囲を広範に含んでおり、本願発明1の「表面エネルギー低下剤は含水率が0.05?3.0質量%の脂肪酸金属塩である」とする含水率の範囲は、その臨界的意義が不明確であるといわざるを得ない。

なお、本願発明1の臨界的意義について、拒絶理由通知では、以下のように述べた。
『本願発明1は、次の数値範囲の限定をしているところ、その臨界的意義についても検討する。
(a)電子写真感光体の十点表面粗さRzが0.05?4.0μm、かつ、
(b)中間転写体の十点表面粗さRzが0.5?2μm、かつ、
(c)表面エネルギー低下剤は含水率が0.05?3.0質量%の脂肪酸金属塩。
これに対して、発明の詳細な説明の実施例で効果が確認されている組合せは次のとおりであり、本願発明1の上記(a)(b)(c)の範囲の一部について効果が確認されているに過ぎないものである。しかも、確認されているといっても、実施例で使用されている特定の転写条件や構成要素(感光体、中間転写体、現像剤など)の材質や物性において確認されているに留まり、それら条件を捨象してどの程度まで一般化できるかは不明である。
実施例1?4,7:
電子写真感光体の十点表面粗さRz:1.3μm
中間転写体の十点表面粗さRz :1.5μm
表面エネルギー低下剤の含水率 :0.05?2.5重量%
実施例8:
電子写真感光体の十点表面粗さRz:0.07μm
中間転写体の十点表面粗さRz :0.9μm
表面エネルギー低下剤の含水率 :1.0重量%
実施例9:
電子写真感光体の十点表面粗さRz:3.0μm
中間転写体の十点表面粗さRz :1.5μm
表面エネルギー低下剤の含水率 :1.0重量%
そうしてみると、本願発明1の上記数値範囲(a)(b)(c)には、臨界的意義を認めることはできない。』

しかしながら、請求人は、意見書で、「数値範囲の中で、数値を変化させて効果を確認していることが明らかであり、合理的な効果の確認(一般化)を行っているものであります。当業者が見て効果が確認できるかという観点でも充分に満たしているものと思慮致します。」と主張するのみで、実質的な反論がなされていない。
特に、「実施例で使用されている特定の転写条件や構成要素(感光体、中間転写体、現像剤など)の材質や物性において確認されているに留まり、それら条件を捨象してどの程度まで一般化できるかは不明である。」との拒絶理由通知の指摘に対しては、何ら反論していない。

(2-7)以上のことをを勘案すると、刊行物1記載の発明において、相違点2に係る本願発明1のごとく、表面エネルギー低下剤として、含水率が0.05?3.0質量%の範囲に入る脂肪酸金属塩を用いることは、当業者であれば容易になし得ることといわざるを得ない。

(3)まとめ
したがって、本願発明1は、刊行物1?9に記載された発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


4.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるので、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-08-28 
結審通知日 2009-09-08 
審決日 2009-09-28 
出願番号 特願2002-44438(P2002-44438)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金田 理香下村 輝秋  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 大森 伸一
柏崎 康司
発明の名称 画像形成装置及び画像形成方法  
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