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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1207453
審判番号 不服2008-14759  
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-06-12 
確定日 2009-11-19 
事件の表示 特願2005-244110「溶液供給装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 3月 8日出願公開、特開2007- 57420〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成17年8月25日の特許出願であって,平成20年5月7日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年6月12日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?3に係る発明は,出願時の特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されたものと認められ,その請求項1に係る発明は,次のとおりである。
「【請求項1】
第1の流路と第2の流路とそれら2つの流路の途中をそれらの流路抵抗よりも大きな流路抵抗で連通させる第3の流路とを有する混合手段と,
前記混合手段の第1の流路の一端側に連通し試料溶液を貯蔵する第1の貯蔵手段と,
前記混合手段の第1の流路の他端側に連通し試料溶液を吸引する吸引手段と,
前記混合手段の第2の流路の一端側に開閉弁を介して連通し標準溶液を貯蔵する第2の貯蔵手段と,
前記混合手段の第2の流路の他端側に連通し前記開閉弁の開状態および閉状態においてそれぞれ標準溶液を吸引および吐出するシリンジポンプと,
を具備することを特徴とする溶液供給装置。」(以下,「本願発明」という。)

第3 引用刊行物およびその記載事項
本願出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2001-249139号公報(以下,「引用刊行物」という。)には,「流れ分析装置及び流れ分析方法」について,図面とともに次の事項が記載されている。

(1-ア)
「【請求項1】 試料液が流れる管状の主流路と,この主流路に試料液を流す試料送液手段と,主流路の途中に合流する試薬液注入手段と,主流路の試薬液注入手段が合流する位置よりも下流側に存して試料液と試薬液との反応を検出する検出器とを備え,前記試薬液注入手段は,主流路に試薬液を間欠的に合流させることを特徴とする流れ分析装置。
【請求項2】 試料液が流れる管状の主流路と,この主流路に試料液を流す試料送液手段と,主流路の途中の異なる位置に合流する2以上の試薬液注入手段と,主流路の各試薬液注入手段が合流する何れの位置よりもさらに下流側に存して試料液と試薬液との反応を検出する検出器とを備え,前記各試薬液注入手段は,主流路に各試薬液を他の試薬液と互いに合流するように各々間欠的に合流させることを特徴とする流れ分析装置。
【請求項3】 試薬液注入手段が,シリンジポンプを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流れ分析装置。」

(1-イ)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,逆フローインジェクション分析法(以下「逆FIA法」という。)を用いた分析装置及び分析方法であって,水質監視等長時間の連続測定に適した分析装置及び分析方法に関する。」

(1-ウ)
「【0013】試薬注入手段は,薬液ポンプ,薬液ポンプから主流路のまでの管路,この管路と主流路との合流地点に設けられた接続管等から構成される。この内,薬液ポンプとしては,シリンジポンプ,ピエゾポンプ等のように,液体の送液を断続的に行えるものが望ましい。この場合,必要な量だけの薬液を注入して,注入時以外はポンプを停止できるので,試薬液の消費量を注入量だけに抑えることができる。特にシリンジポンプを用いた場合には,非常に短い周期で試薬液を導入することが可能で,単位時間当たりのデータ取得回数を増すことが容易である。」

(1-エ)
「【0019】
【発明の実施の形態】以下,図に沿って本発明の実施形態を説明する。図3は本発明に係る分析装置の1実施形態である。図3において,試料液が流れる管状の主流路11には,試料送液手段としてペリスタポンプ等のポンプ12が介装されている。ポンプ12の吸引端は,試料液槽13内に挿入されている。また,試薬液注入手段を構成するシリンジポンプ14の吐出側先端は,合流位置15において主流路11と合流している。また,シリンジポンプ14の吸引端は試薬液タンク16内に挿入されている。また,主流路11の合流位置15よりも下流側には,試料液と試薬液との反応を検出する検出器17を備えている。」

(1-オ)
「【0020】なお,シリンジポンプ14を吸引時には試薬液タンク16側から試薬液が吸引され,吐出時には合流地点15に向かって試薬液が吐出されるよう,スライド弁等の切り替えバルブや逆止弁等が適宜用いられて送液方向が制御されている。また,シリンジポンプ14は,試薬液タンク16からまとまった量の試薬液を一度に吸引した後,一回の注入に必要な量毎の試薬液をステッピングモータ等を用いて順次吐出していくようになっている。そして,内部の試薬液を総て吐出してしまうと,再度吸引からの動作を繰り返すようになっている。」

そして【図3】には,試料液槽13と,主流路11と,主流路の途中に設けられたポンプ12と,試薬液注入手段として,試薬液タンク16と,シリンジポンプ14と,該試薬液タンク16と該シリンジポンプ14とをつなぐ流路と,該シリンジポンプ14と該主流路11とをつなぐ流路,検出器17とが記載されている。

そうすると,これら(1-ア)?(1-オ)の記載と図3を総合すると,引用例には,次の発明が記載されていると認められる。
「試料液が流れる管状の主流路11と,試薬液タンク16とシリンジポンプ14とをつなぐ流路と,該シリンジポンプ14と該主流路11とをつなぐ流路と,該主流路の一端側に挿入された試料液層13と,該主管路の途中に設けられた試料送液手段としてのポンプ12と,を具備する装置。」(以下,「引用発明」という。)

第4 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると,その機能・構造からみて,引用発明の「試料液が流れる管状の主流路」,「該試薬液タンク16と該シリンジポンプ14とをつなぐ流路」,「該シリンジポンプ14と該主流路11とをつなぐ流路」,「試料液」,「挿入された」,「試料液槽13」,「試薬液」,及び「試薬液タンク」は,それぞれ,本願発明の「第1の流路」,「第2の流路」,「第3の流路」,「試料溶液」,「連通した」,「混合手段の第1の流路の一端側に連通し試料溶液を貯蔵する第1の貯蔵手段」,「標準溶液」,及び「標準溶液を貯蔵する第2の貯蔵手段」に相当することは明らかである。
また,引用発明の「試料液が流れる管状の主流路11と,試薬液タンク16とシリンジポンプ14とをつなぐ流路と,該シリンジポンプ14と該主流路11とをつなぐ流路」からなる構成と,本願発明の「第1の流路と第2の流路とそれら2つの流路の途中をそれらの流路抵抗よりも大きな流路抵抗で連通させる第3の流路」からなる構成とは,「混合手段」である点において共通し,さらに,引用発明の「該主流路の途中に設けられた試料送液手段としてのポンプ12」と,本願発明の「混合手段の第1の流路の他端側に連通し試料溶液を吸引する吸引手段」とは,ともに「試料溶液を吸引する吸引手段」である点で共通する。
そして,(1-オ)の記載から,引用発明の「シリンジポンプ14」は,「スライド弁等の切り替えバルブや逆止弁等が適宜用いられて送液方向が制御されている」ことから,本願発明の「開閉弁の開状態および閉状態においてそれぞれ標準溶液を吸引および吐出するシリンジポンプ」に相当する構成であるといえ,さらに,引用発明の「試薬液タンク16」は,該「シリンジポンプ14」を介して流路につながることから,「第2の流路の一端側に開閉弁を介して連通し標準溶液を貯蔵する第2の貯蔵手段」であるといえる。
また,(1-エ),(1-オ)と【図3】の記載から,引用発明の装置は,「試料液」に「試薬液」を合流させたものを「検出器17」に供給するものであるから,「溶液供給装置」であるといえる。

そうすると,両者は,
(一致点)
「第1の流路と第2の流路とそれら2つの流路を連通させる第3の流路とを有する混合手段と,
前記混合手段の第1の流路の一端側に連通し試料溶液を貯蔵する第1の貯蔵手段と,
試料溶液を吸引する吸引手段と,
前記混合手段の第2の流路の一端側に開閉弁を介して連通し標準溶液を貯蔵する第2の貯蔵手段と,
前記混合手段の第2の流路の他端側に連通し前記開閉弁の開状態および閉状態においてそれぞれ標準溶液を吸引および吐出するシリンジポンプとを具備する溶液供給装置。」である点で一致し,以下の点で相違する。

(相違点1)
「試料溶液を吸引する吸引手段」について,本願発明では「試料溶液を貯蔵する第1の貯蔵手段」と反対側に位置する「第1の流路の他端側に連通し」ているのに対し,引用発明においてはそのような構成を備えていない点。

(相違点2)
「混合手段」について,本願発明では,「第1の流路と第2の流路とそれら2つの流路の途中をそれらの流路抵抗よりも大きな流路抵抗で連通させる第3の流路」によって構成されているのに対し,引用発明においてはそのような構成を備えていない点。

まず,相違点1について検討するに,分析装置等において,「試料溶液を貯蔵する第1の貯蔵手段」と反対側に「試料溶液を吸引する吸引手段」を設けて,流路の他端側に連通させる構成は,周知であるといえる。
例えば,本願出願前に頒布された刊行物である特開2001-311736号公報には,「ICP分析装置用のオートサンプラー及びサンプリング方法」において,
「【0003】ネブライザー1はICP分析装置の構成部品で,試料溶液を霧状に噴霧する働きをしている。キャピラリーチューブ2は試料溶液を輸送する管である。ネブライザー1には同軸型やクロスフロー型,バビントン型等がある。同軸型やクロスフロー型はネブライザー自身が試料溶液を吸引する機能を持っている。」と記載され,【図1】には「試料吸引手段」であるネブライザーが,流路を介して,試料容器と反対側に設けられている構成が記載されている。
そうすると,引用刊行物に上記周知技術を適用して,相違点1における本願発明の構成とすることは,当業者ならば何ら困難性なく,容易に想到し得る事項であるということができる。

次に相違点2について検討するに,分析機器に試料溶液を供給する溶液供給装置において,他方の流路に溶液が逆流しないように,より大きな流路抵抗を持たせる構成は周知であるといえる。
例えば,本願出願前に頒布された刊行物である実願昭63-42254号(実開平1-144858号公報)のマイクロフィルムには,以下の事項が記載されている。
「2.実用新案登録請求の範囲
(1)送液ポンプとカラムの間の流路に,送液ポンプとカラムが導通し大気側が閉じられた状態と送液ポンプとカラムと大気側とが導通した状態とに切り換えられるドレイン弁が設けられた液体クロマトグラフにおいて,ドレイン弁とカラムの間に逆流防止機構が設けられていることを特徴とする液体クロマトグラフ。」(1ページ4行?11行)
「(課題を解決するための手段)
本考案ではドレイン弁とカラムの間,好ましくはドレイン弁とインジェクタの間の流路に液の逆流を防ぐ逆流し機構を設ける。逆流防止機構としては,内径が数100μm程度以下の細管やオリフィスなどの流路抵抗,又は逆止弁などを用いることができる。」(3ページ3行?9行)
そうすると,引用刊行物においても,(1-オ)の記載から,「シリンジポンプ14」と「合流地点15」の周辺に「逆止弁等が適宜用いられて送液方向が制御」する構成が示唆されているから,送液方向の制御装置として,上記周知の「内径が数100μm程度以下の細管やオリフィスなどの流路抵抗」を選択して,相違点2における本願発明の構成とすることは,当業者ならば何ら困難性なく,容易に想到し得る事項であるということができる。
そして,本願明細書に記載された効果も,引用発明および上記周知の技術から,当業者が予測し得る範囲のものであり,格別顕著なものといえない。

したがって,本願発明は,引用発明および上記周知の事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるというべきである。

第5 まとめ
以上のとおり,本願発明は,本願出願前に頒布された引用例に記載された発明および周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして,その余の請求項の発明ついて言及するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-08-21 
結審通知日 2009-08-25 
審決日 2009-10-02 
出願番号 特願2005-244110(P2005-244110)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼見 重雄野村 伸雄  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 竹中 靖典
信田 昌男
発明の名称 溶液供給装置  
代理人 井島 藤治  
代理人 井島 藤治  
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