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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2007800083 審決 特許
無効200580168 審決 特許
無効2007800274 審決 特許

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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  G06F
管理番号 1207832
審判番号 無効2007-800272  
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-12-07 
確定日 2009-12-18 
事件の表示 上記当事者間の特許第3246506号発明「広告情報の登録方法、広告情報の供給方法、端末、サーバおよび端末を機能させる方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1 手続の経緯
本件特許第3246506号は、平成7年7月14日に特許出願された特願平7-179227号の分割出願である特願平9-315718号のさらに分割出願であって、平成12年6月19日に出願(特願2000-183699号)され、平成13年11月2日に特許権の設定登録が行われたものである。
そして、本件無効審判請求後の手続きの経緯は以下のとおりである。

無効審判請求 :平成19年12月 7日
答弁書 :平成20年 3月14日
口頭審理陳述要領書(請求人) : 6月25日
上申書(請求人) : 6月25日
口頭審理陳述要領書(被請求人) : 6月25日
口頭審理陳述要領書(被請求人2回目) : 6月25日
口頭審理 : 6月25日
上申書(請求人2回目) : 7月 4日
上申書(被請求人) : 7月 4日


2 本件発明
本件特許第3246506号に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】 登録者IDを、コンピュータネットワークを介して特定のサーバに送信する段階と、
前記登録者IDのチェック結果に応じて前記サーバからコンピュータネットワークを介して供給される地図情報を表示し、表示した地図内において位置指定する段階と、
当該位置指定した座標に関連させて広告情報を入力する段階と、
前記座標を示す情報及び広告情報を、前記サーバに対してコンピュータネットワークを介して送信する段階とを備えることを特徴とする広告情報の登録方法。
【請求項2】 登録者IDを、コンピュータネットワークを介して特定のサーバに送信する手段と、
前記登録者IDのチェック結果に応じて前記サーバからコンピュータネットワークを介して供給される地図情報を表示し、表示した地図内において位置指定を行う手段と、
当該位置指定した座標に関連させて広告情報を入力する手段と、
前記座標を示す情報と当該広告情報とを前記サーバに対してコンピュータネットワークを介して送信する手段とを備えることを特徴とする端末。
【請求項3】 コンピュータネットワークを介して接続される端末から登録者IDを受信する手段と、
前記受信した登録者IDおよびパスワードが未使用であるか否かを判定する手段と、
前記登録者IDのチェック結果に応じて、前記端末に対して地図を表示するよう制御する手段と、
前記表示させた地図上に位置指定するように促す手段と、
前記端末において前記地図上から位置指定された座標に関連する広告情報を受信する手段と、
前記広告情報を記憶する手段とを備えることを特徴とするサーバ。
【請求項4】 コンピュータネットワークを介して特定のサーバに接続される端末を機能させる方法であって、
登録者IDを、コンピュータネットワークを介して特定のサーバに送信させ、
前記登録者IDのチェック結果に応じて前記サーバからコンピュータネットワークを介して供給される地図情報を表示させ、表示させた地図内において端末操作者に位置指定を促し、
位置指定がなされると前記端末操作者に当該位置指定された座標に関連する広告情報の入力を促し、
広告情報が入力されると前記座標を示す情報と当該広告情報とを前記サーバに対してコンピュータネットワークを介して送信するように機能させることを特徴とする端末を機能させる方法。」
(以下、請求項1ないし請求項4に係る発明を、それぞれ本件発明1ないし本件発明4という。)


3 請求人および被請求人の主張
3-1 請求人の主張する無効理由および証拠方法
<無効理由>
本件の請求項1ないし4に係る発明は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[証拠方法]
甲第1号証 NTT R&D Vol.39 No.6 1990 「高付加価値型番号案内システム」
甲第2号証 特開平7-93254号公報
甲第3号証 特開平1-10383号公報
甲第4号証 特開平2-101580号公報
甲第5号証 特開平5-94129号公報
甲第6号証 日経パソコン 1995年6月5日号 p158?166
甲第7号証 特開平3-180951号公報

また、請求人は周知技術として以下の刊行物を提出した。
甲第9号証 K.WESTLAND編「パソコン・マッピング入門-地図の図形処理-」昭和62年3月27日、日刊工業新聞社発行、第1頁、第35頁
甲第10号証 (社)日本コンピュータ・グラフィックス協会編「コンピュータ・マッピング入門」1988年11月4日、日本経済新聞社発行、第34頁?第37頁、第58頁?第61頁、第141頁?第145頁
甲第11号証 「コンピュータ・マッピング(これからの画像情報シリーズ2)」1992年10月16日、株式会社 昭晃堂発行、第78頁?第81頁、第112頁?第114頁、第116頁?第121頁、第152頁?第155頁
甲第11号証の2 「コンピュータ・マッピング(これからの画像情報シリーズ2)」1992年10月16日、株式会社 昭晃堂発行、第88頁?第90頁
甲第12号証:特開平1-271877号公報
甲第13号証:特開平5-61407号公報
甲第14号証:特開平5-66712号公報
甲第16号証:特開平4-177574号公報

3-2 被請求人の主張
<無効理由>に対して
本件の請求項1ないし請求項4に記載された発明は、甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により拒絶されるべきものでなく特許を受けられるものである。


4 甲第1号証ないし甲第7号証
4-1 甲第1号証には、以下の記載がある。
1.高付加価値型番号案内システム(CUPID)の概要
「CUPIDでは,電話帳情報に住宅地図情報,広告情報,伝言情報を有機的に連動し,これらの情報を電話帳情報とともに案内するサービスを実現した.」(833ページ)
「現在の電話帳情報は,「名前」「電話番号」「住所」「職業分類」の項目から構成され,これらの項目をキーワードとして該当する電話番号が抽出できる.「地図上の位置を表す座標」や企業の「広告」などを付加すれば,電話帳をインデックスとして,電話帳掲載のお客さまの様々な情報が得られ,日常生活の利便向上に役立てることができる.」(834ページ)
「3.2 システム構成
本システムは,東京23区の電話帳情報と企業付加情報を収容する情報センタとお客さまの端末およびこれらを接続する公衆網(加入電話網,ビデオテックス網,ファクシミリ網)とから構成される(図1).」(834?835ページ)
「表1 CUPIDのサービス概要と利用できる端末
地図案内サービス 1.電話帳掲載者の周辺の地図案内
2.地図上で領域を指定する電話帳の検索」(835ページ)
「表4 データベース一覧(記載内容は省略)」(838ページ)
「4.2 電話帳データベースと地図データベースの結合
電話帳情報と地図情報の結合により,電話帳掲載者の周辺の地図を表示したり,逆に地図上で電話帳情報を検索するための領域を指定可能とした.具体的には,電話帳情報に地図上の座標情報を追加することにより,電話帳情報を地図上の位置へ対応付けた.
4.3 電話帳データベースと広告データベースの結合
企業の広告情報として,多様な利用形態を評価する観点から,次の3種類の広告を電話帳と関連付けて格納した.
(1)簡易広告:1?2行の簡単な広告
(2)画面広告:画面単位の広告
(3)営業内容広告:営業時間,設備状況等,業種ごとに統一した営業内容に関する情報
簡易広告は、複数の電話帳掲載者の電話帳情報が表示されている時に,表示項目の一項目として表示され,同一業種の企業や店を選ぶ際の補助的な情報として利用できる.
一方,画面広告は,特定の電話帳掲載者が指定された場合に表示され,メディアとして,文字,イメージデータ,ビデオ動画をサポートした.
営業内容広告は,電話帳の検索条件として利用する.例えば,「授業料が20万円以下の英会話学校」のような検索が可能である.」(839ページ)
「(2)電話帳情報と地図情報,広告情報,伝言情報を有機的に結合した付加価値サービスを実現した.」(839ページ)

2.高付加価値型番号案内システム(CUPID)の電話帳検索方式
「3.1 電話帳情報の構成要素
CUPIDで扱う電話帳情報の構成要素として、以下の項目がある.
(1)名義
50音別企業電話帳や職業別電話帳では「企業名」、50音別個人電話帳では、「姓」「名」からなる。さらに「企業名」は、会社名である「主掲載名」と会社組織を表す「下部組織名」に分類される.
(2)場所情報
行政区分を表す「住所」および、地理的な位置を表す「座標」が考えられる.(ただし、現在の電話帳には、「座標」は含まれていない.)
(3)職業
電話帳に掲載される企業やお店の業種を分類したもので、職業分類という.
(4)電話番号
ここで、「名義」「座標」「電話番号」は、電話帳に掲載される企業やお店等の掲載者に依存するデータであるため、異動を考慮すると直接電話帳の検索キーとすることが望まれる.
一方、「住所」「職業」の分類は、電話帳掲載者とは独立に管理できる情報であり、これらをコード化し、電話帳の検索キーとすることも考えられる.
3.2 電話帳の利用形態と検索仕様
電話帳の調べ方は,目的によって次の3つに大別できる.
(1)名義による検索
「名義」+「住所」等により電話番号を調べる.(検索相手をひとり特定する)
(2)職業による検索
「職業」+「住所」等により該当する会社やお店を調べる.(検索相手を特定しない)
(3)電話番号による検索
「電話番号から逆引きし,電話帳掲載者の「名義」「住所」を確認する.・・・
これら3つの調べ方に加えて,住所の区名や町名が不確かな場合,「○○駅近く」など,目標物を指定したり,地図上で領域を指定する方法が有効である.
本システムでは,これらの目的に対応するため,「名義」「住所」「職業」「電話番号」に加えて,「目標物」,地図上で指定した「領域」を検索条件項目とし,これらの条件を組み合わせることにより,多様な検索を実現した.」(842ページ?843ページ)
「「目標物」を指定した場合,その周辺領域を条件とする検索を実現するため,目標物の位置を示す2次元の座標情報に変換し,これを中心とする決められた範囲の矩形の「領域」で電話帳を検索するようにした.
「領域」で検索可能とするため,電話帳データベースには,地図上の座標情報を収容した.」(844ページ)

3.高付加価値型番号案内システム(CUPID)における地図情報利用技術
「(1)異種DBである電話帳DBと地図DBを自動結合する技術を提案し,「名義」+「住所」により結合処理を行い,約60%の結合率を得た.」(851ページ)
「本システムでは、付加価値の1つとして地図情報を取り上げ,これを利用した種々の付加価値サービスを実現している。電話帳に掲載されている企業や店の所在地を地図上で案内する,地図上で指定した領域内からレストランを探し出す等がその一例である.」(851?852ページ)
「2.1 地図情報を利用する付加価値サービス
本システムでは,地図情報を利用した以下の5種類の付加価値サービスを実現することとした.
(1)目標物による検索案内サービス
指定された目標物(駅,学校,博物館等)を中心とした矩形領域の範囲から企業や店を調べる.
(2)範囲指定による検索案内サービス
地図上で指定した矩形領域内からレストラン等の企業や店を調べる.
(3)目標物指定検索サービス
調べた企業や店をさらに目標物として新たな企業・店を調べる.
(4)所在地案内サービス
種々の条件の下に調べた企業・店等の所在地を地図上で指示案内する.
(5)ピック検索案内サービス
地図上でピック指定された建物内の企業名を案内する.
2.2 開発技術
この付加価値サービスを実現するために,以下の技術を開発する.
(1)電話帳DBと地図DBの結合
地図情報を利用した付加価値サービスでは,「電話帳情報から地図情報の参照・案内」および,「地図情報から電話帳情報の参照・案内」という双方向のサービスを実現する.このため,電話帳DBと地図DBの間に関連付け(電話帳DBと地図DBの結合)を行う.」(852ページ)
「3.2 電話帳DBと地図DBの結合処理
電話帳DBと地図DBの関連付けは,地図座標データを電話帳掲載者ごとに付与することにより行った(図1).
住宅地図は,建物ごとの名義,住所,座標および表示用地図データ等からなり,電話帳は,名義,住所,電話番号等からなる.地図座標データを電話帳掲載者に付与するため,各々独立に作成された住宅地図と電話帳を,両者の共通情報である「名義」と「住所」により自動照合した.本照合により,住宅地図の座標を,対応する電話帳掲載者に付与し、座標付きの電話帳DBを作成した.」(852?853ページ)
「図1 電話帳DBと地図DBの結合および地図データ構造(記載内容は省略)」(853ページ)
「3.4.1 地図データ収容方式
地図データの収容方式については、地図案内の応答時間,作成・補正等のメンテナンスを考慮する必要があり,(1)センタ収容方式,(2)端末収容方式,の2形態が考えられる(表5).データのメンテナンスにおいてセンタ収容方式が望まれるが,オンラインサービスにおいてはマンマシンインタフェース上,応答時間を短縮することが重要である.」(855ページ)
「また,実データを用いて技術確認を実施した結果,以下の成果が得られた.
(1)電話帳DBと地図DBの結合は,自動結合処理を行った結果約60%について結合することができた.」(856ページ)

4.高付加価値型番号案内システム(CUPID)の広告・伝言情報処理方式
「本論文では,広告・伝言情報と電話帳情報の結合方式と広告・伝言の登録更新,参照の処理方式について述べる.」(857ページ)
「本システムでは,電話帳情報をリレーショナルDBとして格納している.すなわち,電話帳情報は,電話帳の掲載単位を「行」(電話帳レコードと呼ぶ)に,検索対象項目(住所,名前等)を「カラム」として電話帳テーブルに格納した.
電話帳情報と有機的に結合したオンライン広告,掲示板サービスを実現するには、次の課題は解決して,リレーショナルDBへの格納形式および電話帳テーブルと連携した処理方式を実現する必要がある.
(1)広告の多様や利用形態,各種メディアに対応できる処理・管理方式
(2)利用者の各種端末から広告を参照・登録更新する処理方式
(3)広告登録・更新におけるセキュリティを確保する利用者管理方式」(858ページ)
「3.1 広告の種類
電話帳と結合した広告情報の利用形態として,(1)検索された企業のリストから各々の広告情報を比較しながら絞り込むために利用する形態,(2)検索された企業の詳しい情報を個々に参照する形態,(3)企業の営業内容を条件に検索された企業を絞り込む形態,が考えられ,それぞれに対応して,(1)簡易広告,(2)画面広告,(3)営業内容広告と呼称する3種類の広告を設けた(表1).」(858ページ)
「表1 広告の種類(記載内容は省略)」(858ページ)
「以上の点から,電話帳情報との結合方式は,電話帳情報と同時に検索され,データ量が少なく定型的な簡易広告と営業内容広告は,電話帳テーブルへ格納する方式を,多様なメディアが使用可能でデータ量が大きく,1広告ごとに参照する画面広告は,別のテーブルに格納して掲載ごとに付与した掲載ユニークコードで対応づける方式を採用した(図1).
3.2.2 簡易広告の検索
簡易広告は,検索された電話帳掲載者の情報を表示する際に,一表示項目として表示される広告であり,電話帳テーブルの1カラムとして収容し,電話帳情報「掲載名」「電話番号」「住所」と同時に参照する方式とした.」(859?860ページ)
「3.2.4 営業内容広告の検索
営業内容広告は,企業等を検索する際,職業に加え詳細な絞り込み条件として使用できるようにするため,以下を検討する必要がある.
(1)営業内容の項目
(2)営業内容の検索方式」(860ページ)
「表3 営業内容項目一覧(記載内容は省略)」(861ページ)
「3.3 広告の登録・更新方式
本システムでは,端末に格納された動画広告を除いて,広告情報を広告の持主が端末から即時登録・更新する機能を実現した.
広告の登録・更新機能を利用者に提供する場合,以下の点に留意することが重要である.
(1)第3者によるいたずら防止等を考慮したセキュリティ管理機能
(2)目的とする電話帳レコードへの広告の登録,更新および管理機能
3.3.1 セキュリティ管理
セキュリティ管理では,(1)利用者認証(契約した本人かどうかの識別),(2)データアクセス管理(間違った掲載への広告の登録防止),が重要である.
(1)については,端末,電話回線等に制約されない利用者IDおよびパスワードによる認証を採用し,さらに1つの利用者IDを複数の人が利用することを考慮して広告登録サービス利用時に広告登録パスワードによる認証を併用してセキュリティを高めた.」(861ページ)
「図3 広告の登録・更新に関するテーブル関連図(記載内容は省略)」(862ページ)

5.高付加価値型番号案内システム(CUPID)の利用者端末の開発
「本システムは,一般の利用者が直接端末を操作するタイプの情報案内システムであり,電話帳,地図,広告,伝言等の情報を案内する.」(865?866ページ)
「3.1 端末の種類と機能
利用者端末として,パソコン端末および公衆利用型端末を開発した.利用者端末から利用できるサービスの画面体系を図1に示す.
さらに,各利用者端末がサポートするサービス範囲を表1に示す.」(866ページ)
「図1 利用者端末の画面体系(記載内容は省略)」(867ページ)
「表1 利用者端末の提供サービス(記載内容は省略)」(868ページ)

以上の記載から、甲第1号証には、以下のような発明が記載されていると認めることができる.
「1 電話帳情報と、住宅地図情報、広告情報、伝言情報を有機的に連動し、これらの情報を電話帳情報とともに案内するサービスであって、
2 CUPIDセンタと利用者が使用するパソコン端末等が公衆電話網を介して接続されており、
3 CUPIDセンタからパソコン端末等に電話帳情報や住宅地図情報、広告情報等が供給されるものにおいて、
4 電話帳情報は電話帳掲載者の情報であって、名義(姓名、企業名)、電話番号、住所、職業などの情報から構成され、電話帳DBに格納されており、
5 住宅地図情報は、表示用地図データ、建物毎の名義、住所、(地図上の位置を示す)座標などから構成され、地図DBに格納されており、
6 広告情報には、簡易広告、画面広告、営業内容広告などの情報があり、
7 電話帳情報と住宅地図情報に基いて、両者の共通情報である「名義」と「住所」により自動照合し、電話帳情報に座標を対応付けた電話帳DBが作成され、
8 広告情報のうち、簡易広告と営業内容広告は、それぞれ電話帳情報の1項目として電話帳情報に結合され、電話帳DBに格納され、
9 パソコン端末から検索キーとして、名義、住所、職業、電話番号、目標物、地図上の領域などが指定されると、これに対応する情報が電話帳DBから検索され、
10 番号案内サービスにおいて、検索条件に合う電話帳掲載者の情報が提示され、
11 地図案内サービスにおいて、電話帳DB中の当該電話帳掲載者に対応する座標に基づき、地図DBが検索されて当該電話帳掲載者の付近の地図が表示案内され、
12 ピック検索案内サービスにおいて、地図上でピック指定された建物内の企業名が案内され、
13 また、電話帳掲載者の情報を提示する場合、広告サービスにおいて、電話帳掲載者の簡易広告や営業内容広告が表示され、
14 電話帳情報と結合した広告情報は、端末、電話回線等に制約されない利用者IDおよびパスワードによる認証を経て、広告の持主がパソコン端末から即時登録・更新することができる、
高付加価値型番号案内システム」
(なお、12 の内容は、データベースの構造から見て、「利用者に所定領域の地図を表示し、利用者が該地図上に表示された建物(イメージ)の1つの位置を指定すると、その建物位置の座標に対応する情報を電話帳DBから検索し、電話帳掲載者[企業名]の情報を表示案内する」という意味に解釈できる。)

4-2 甲第2号証には、以下のような発明が記載されている。
「1 ネットワークシステムの悪用防止方法において、
2 利用者がホストコンピュータ内の情報を利用する場合、利用者はホストコンピュータ管理者からIDとパスワードを与えてもらい、
3 利用者が端末にIDとパスワードを入力することにより、ホストコンピュータとの接続ができるようになること」

4-3 甲第3号証には、以下のような発明が記載されている。
「1 電話番号と、該電話番号の該当地区の地図等のデータ検索システムに関し、
2 電話番号、住所、持ち主、住所コード等のデータと、住所コードに対応した複数のイメージデータを対応させ、また、表示された地図の該当地番の場所にポイントを表示するための地番座標変換テーブルを備え、
3 電話番号あるいは住所コードを入力すると、該当する地図(区分地図)を表示し、かつ、地番に対応する地番ポイントを地図上に表示(第2図、14)するものであって、
4 指定された地区の地図を表示し、該地図画面上にライトペン等により所望の位置を指定してその座標を読み取らせるとともに、キーボードにて角番地、住所コードのデータを入力して、座標-角番地対応テーブルが作成され、続いて地番座標変換テーブルを自動作成する、地番座標変換テーブル作成システムを有する、
電話番号-地図データ処理システム。」

4-4 甲第4号証には、以下の発明が記載されている。
「1 災害通報電話等からの通報者または災害場所の決定システムであって、
2 通報された特定されるエリアに該当する地図をタッチパネルを有するディスプレイ上に表示し、
3 地図上に表示された建物、橋などの目標とする対象物を判断し、当該目標物点をタッチすることにより、目標地点の地図座標が入力され、
4 該地図座標に対応するメッシュエリアの住所・地名・目標物のリストを表示し、これを選択することにより目標地点の決定を行う、
地点決定方式。」

4-5 甲第5号証には、以下の発明が記載されている。
「1 ユーザによって施設の情報を登録できる機能を備えたナビゲーション装置におけるメモ情報を効果的に表示する装置において、
2 ユーザは、表示地図上において、その施設が存在する位置をカーソルによって設定し、その後、その施設の名称などを文字、アルファベット等で入力し、また、施設の位置を表示する際の目印となる記号を入力することにより、その施設の位置や内容、目印等を装置に登録することができ、
3 ナビゲーション装置側では、係るメモ情報の位置および内容を互いに関連付けてメモリに記憶し、
4 車両の現在位置を表示している地図上に登録された記号が表示され、現在位置と登録地点とを同時に表示できないときは、地図の表示領域ないし縮尺を変更して、現在位置と登録地点とを同時に表示できるようにした、
地図情報表示装置。」

4-6 甲第6号証には、以下のような発明が記載されている。
「1 デジタル地図上にユーザー独自の情報を登録する機能を持つ、パソコンで利用できるデジタル地図である。
2 地図上にアイコン、コメントなどをユーザーが設定できる。(図1)
3 アイコンを設定し、名称、電話番号、メモなどの項目をユーザーが設定できる。(図3)
4 個人情報は地図上にアイコンを設定し、タイトル、属性、メモ、画像などの項目を登録できる。(図5)
5 地図上にアイコンを配置でき、そこに名前、住所、種類、キーワード、メモなどの情報を登録できる。(図6)」

4-7 甲第7号証には、以下のような発明が記載されている。
「1 異なるマシンの異なるユーザ同士でユーザIDが重複するのを避けるため、マシンで現在使用中のユーザ管理形態からネットワーク毎に定められた規約に合わせたユーザ管理形態に移行する必要があること」


5 対比・判断
まず、請求項に記載された「広告情報」の意味を検討する。
本願明細書には、
「【0012】
(中略)
そして、記憶手段17には、顧客ファイルが記憶されている。かかる顧客ファイルは、店登録番号毎に作成されるものであり、1つの店登録番号に対応する顧客ファイルは、登録者ID、パスワード、店舗情報、(x,y)情報等のように店舗固有の情報から構成される。このうち、店舗情報は、さらに店名や、電話番号、ファックス番号、(最寄り駅から店舗までの)行程、店舗の業種を示す業種情報、(他の情報と結びつける場合に、参照すべきネットワーク上の情報の行先を示す)リンク情報、(広告の内容を示す)広告メッセージ等のように、広告対象の店舗に関する種々の情報から構成される。本願の広告情報とは、狭義では広告メッセージを指すが、広義には、店舗情報よりも上位であって、顧客ファイル作成に必要な情報のすべてを指す。なお、店登録番号は、端末からの登録があった場合に、制御手段11により自動的に付与されるものである。」
という記載がある。
したがって、本件発明1における「広告情報」とは、顧客ファイル作成に必要な情報、すなわち広告メッセージのみならず、電話番号、業種、店名等の店舗情報、登録者ID、パスワード等(本願の図2参照)を含むものであると理解される。

そして、本件発明1と甲第1号証に記載されたものとを対比すると、甲第1号証記載の「CUPIDセンタ」、「公衆電話網」は、本件発明1の「特定のサーバ」、「コンピュータネットワーク」に相当する。
甲第1号証記載の「電話帳情報」は、名義、電話番号、職業、および簡易広告や営業内容広告を含む情報であるから、本件発明1の「広告情報」に対応する。
また、本件発明1の「登録者」とは、明細書の記載からすると「広告依頼者」の意味であるから、甲第1号証記載の「利用者ID」は、本件発明1の「登録者ID」に相当する。
さらに、甲第1号証に記載された「電話帳情報と結合した広告情報は、端末、電話回線等に制約されない利用者IDおよびパスワードによる認証を経て、広告の持主がパソコン端末から即時登録・更新することができる」ような「広告情報」は、電話帳情報の一部ではあるが、その情報を入力する段階があることは明らかであるから、このことは本件発明1における「広告情報を入力する段階」に対応しているといえ、また、甲第1号証記載の「簡易広告や営業内容広告」のCUPIDセンタへの登録は、広告の登録という点では本件発明の「広告情報の登録方法」に一応対応しているといえ、また、入力された広告情報は、公衆電話網を介してCUPIDセンタに送信されていることは明らかであるから、甲第1号証の「端末、電話回線等に制約されない利用者IDおよびパスワードによる認証を経て、広告の持主がパソコン端末から即時登録・更新することができる」ことは、本件発明1の、「広告情報を入力する段階と、広告情報を、サーバに対してコンピュータネットワークを介して送信する段階」に対応しているといえる。

したがって、本件発明1と甲第1号証に記載されたものは、
<一致点>
「広告情報を入力する段階と、
広告情報を、サーバに対してコンピュータネットワークを介して送信する段階、
を備えることを特徴とする広告情報の登録方法。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
本件発明1は、
「登録者IDを、コンピュータネットワークを介して特定のサーバに送信する段階」を備えるのに対し、甲第1号証に、上記事項は記載されていない点。
<相違点2>
本件発明1は、
「登録者IDのチェック結果に応じてサーバからコンピュータネットワークを介して供給される地図情報を表示し、表示した地図内において位置指定する段階と、
当該位置指定した座標に関連させて広告情報を入力する段階と、
前記座標を示す情報及び広告情報を、前記サーバに対してコンピュータネットワークを介して送信する段階」を備えるのに対し、
甲第1号証に、上記事項は記載されていない点。
<相違点3>
本件発明1は、
「広告情報を入力する段階」において入力される情報は、顧客ファイル作成に必要な情報であるのに対し、
甲第1号証は、入力されるのは、電話帳情報(本件発明1でいう顧客ファイルに相当する)の一部の情報である点。

本件事案に鑑み、<相違点2>から判断する。
まず、本件発明1における
「登録者IDのチェック結果に応じてサーバからコンピュータネットワークを介して供給される地図情報を表示し、表示した地図内において位置指定する段階と、
当該位置指定した座標に関連させて広告情報を入力する段階と、
前記座標を示す情報及び広告情報を、前記サーバに対してコンピュータネットワークを介して送信する段階」の構成の意味を検討する。
本件明細書には、
A.「【0014】
2-1:登録
まず、顧客ファイルの作成過程を説明すべく、端末操作者が新規の広告依頼者(あるいはその代理人)であるとする。
【0015】
2-1-1:新規登録
(中略)
【0016】
(中略)
さて、この登録メニュー画面には、「新規登録」、「既登録の更新」、「既登録の削除」の各処理に対応するチェックボタン231?233が示されて、端末操作者に対し、いずれかの処理を選択するように促される。これに対応して、端末操作者は、「新規登録」の処理を選択すべく、マウスカーソルMCをチェックボタン231の表示領域に位置させてクリックし、次に入力ボックス242の表示領域に位置させてクリックした後、入力部により登録者IDを入力する。この後、同様に、端末操作者は、マウスカーソルMCを入力ボックス243の表示領域に位置させてクリックした後、入力部によりパスワードを入力する。そして、これらの操作が完了すると、端末操作者は、その旨をサーバ10側に伝えるべく、マウスカーソルMCをボタン25の表示領域に位置させてクリックする。
【0017】
かかる操作により、手順がステップSb2に進み、制御手段11は、重複登録を避けるべく、入力された登録者IDとパスワードとがすでに使用されているか否かについて、すでに作成した顧客ファイルを検索することによりチェックする。ここで、制御手段11は、すでにこれらが使用されていると判定すれば、手順をステップSb15に進ませ、端末101の表示部に対して「IDかパスワードが不正である」を旨を表示させる制御をした後、手順をステップSb1に戻して再び登録メニュー画面を表示させる。一方、制御手段11は、使用されていないと判定すれば、次のステップSb3の処理を行なう。
【0018】
ステップSb3において、制御手段11は、端末101に対して、図7に示す位置指定画面を表示させる制御を行なって、端末操作者に対し、広告すべき店舗の位置指定を促す。ここで、表示される地図は、記憶手段15に記憶された地図ファイルに基づくものである。なお、図7に示すものは、東京都千代田区神田界隈(秋葉原駅周辺)を示す下層の区分地図である。
端末操作者は、表示された地図上において、広告の対象となる店舗の位置を、マウスカーソルMCにより指してクリックする。すると、制御手段11は、この地図を示すコードと、この地図上において指定された位置の座標を示す(x、y)情報とを求めて、これらの情報を一旦格納した後に、次のステップSb4の処理を行なう。
【0019】
ステップSb4において、制御手段11は、端末101に対して、図8?図10に示す店舗情報入力画面を表示させる制御を行なって、端末操作者に対し、店舗情報の入力を促す。なお、図8?図10に示した店舗情報入力画面は、別個の画面ではなく、ボタン22Uまたは22Dにより上下スクロールする連続画面である。」
B.「【0020】
ボタン281が押下されると、制御手段11は手順をステップSb5に進ませ、入力された店舗情報を、端末101の表示部に表示させて、その内容の確認を端末操作者に促す。この際、端末操作者が、店舗情報の再入力を行なうのであれば、所定の操作を行なう。これにより、制御手段11の制御によって先の店舗情報入力画面に戻る一方、店舗情報に誤りがなければ、手順はステップSb6に進む。
ステップSb6において制御手段11は、端末101の表示部に対し、「登録しました」旨の表示を行なうとともに、登録メニュー画面、位置指定画面および店舗情報入力画面において入力された情報を、1つの顧客ファイルとして、特に、店舗情報入力画面において入力された情報については店舗情報として記憶手段17に格納する。この際に付与された店登録番号は、制御手段11の制御により端末101の表示部に表示されて、端末操作者に告知される。この後、制御手段11は、手順をステップSb1の登録メニュー画面表示に戻す。
このようにして、新規の広告依頼主が行なった入力に対して1つの顧客ファイルが作成される。」
という記載がある。

上記記載から、上記<相違点2>に係る本件発明1の構成は、「登録者がサーバに地図上の座標情報と広告情報を関連づけて登録するため、サーバが、登録者IDによって正当な登録者であることを確認し、サーバからコンピュータネットワークを介して供給される地図情報を登録者の端末に表示し、表示した地図内において登録者の端末で位置指定する段階と、当該位置指定した座標に関連させて登録者の端末から広告情報を入力する段階と、前記座標を示す情報及び広告情報を、登録者の端末からサーバに対してコンピュータネットワークを介して送信(して登録)する段階」のことを意味するものと理解できる。
ところで、請求人は、上記<相違点2>を、相違点2(の一部)および相違点3に分けて、容易想到性を主張している。
しかしながら、上記<相違点2>に係る構成は、登録者の端末において座標情報および広告情報を関連づけて入力し送信することに係る一連の動作段階を規定するものであって、関連性の高い構成と認められるから、それを一体として相違点と認定する。

これに対し、請求人は、上記<相違点2>(請求人のいう相違点2および相違点3)は、甲第3号証ないし甲第7号証に記載されたものから当業者が容易に想到し得た旨主張している。
そこで、甲第2?7号証記載のものを検討すると、甲第2号証には、ホストと端末とがネットワークで接続されたシステムにおいて、端末IDやパスワードによりネットワーク利用の可否を判断することは記載されているが、相違点2に関する事項は記載されていない。
また、甲第3号証には、上記4-3に記載したように、地図を表示し、その地図上の任意の位置を操作者に指定させ、当該指定した位置の座標と操作者が入力した住所等とを対応付けて記憶するものが記載されており、地図座標に対して所望の情報を登録する手法に関しては上記相違点2と共通する部分もある。
しかしながら、甲第3号証記載のものは、端末に記憶された地図情報に基づいて端末に地図を表示し、地図上の座標を指定すると共に、端末操作者が入力した情報と前記指定した座標とを関連付けて端末に登録し、そして該情報を端末から読み出して利用するものであり、地図上の座標と、情報提供者の端末から入力した情報と地図上の座標を関連づけて第三者のサーバに送信(して登録)するようなものではない。
要するに、甲第3号証に記載されたものは、地図上の位置と地番とを対応付ける地番座標変換テーブルを作成するようなシステムであって、本件発明1のように、広告依頼主であるところの登録者が自分の広告を出すことを目的として、データを管理している第三者のサーバに対し、登録者の端末から座標情報と関連付けて広告を登録することができるようにしたシステムではない。
また、甲第1号証には、利用者端末から「広告」を登録・更新することができることが記載されているものの、甲第1号証で登録・更新できる「広告」は、既に地図上の座標と電話帳情報とが関連付けられて登録された情報に対して「(狭い意味の)広告」を登録(付加)したり更新することができるということであって、甲第1号証には、利用者端末から広告情報(電話帳情報)と地図上の座標情報を関連付けてサーバに送信できることは記載されていない。
さらにまた、甲第1号証記載のものにおいて、地図情報を利用した付加価値サービス(目標物による検索案内サービスやピック検索案内サービス等)で対象となる電話帳情報は、簡易広告、画面広告といった狭い意味での広告が登録されている電話帳情報のみではないから、電話帳情報と座標情報との対応付けは、広告が登録される以前から行われている必要がある。つまり、甲第1号証記載のものは、(狭い意味の)広告の登録以前から電話帳情報と座標情報が関連づけられて登録されており、この情報の登録を、広告依頼主ではなく付加情報サービスの提供者(センタ側)が行うことを前提としたシステムである。(そして、この情報の登録に、既存の電話帳情報と住宅地図情報との自動照合による手法を採用している。)したがって、自動照合では座標情報が算出できない等の理由により自動照合以外の手段で電話帳情報と座標情報とを対応付けて登録する必要があるとしても、該登録は付加サービスの提供者が行うことは明らかである。
よって、甲第1号証に記載されたものと甲第3号証に記載されたものを組み合わせたとしても、サーバ側で管理される地図および広告情報について、登録者自身が新規に広告情報(店舗情報)を登録するために、サーバから供給される地図情報を登録者の端末に表示させ、表示した地図内において任意の位置を登録者に指定させ、かつ、登録者が入力した広告情報と前記地図上で指定した位置の座標情報を関連づけてサーバに送信(し登録)すること、が容易に想到できたとは認めることができない。
さらに、他の証拠を検討するに、甲第4号証に記載されたものは、すでに座標と住所等とが関連づけられたメッシュ情報ファイルを検索する際の、地図座標の指定に関するものであって、座標と入力情報の登録手法に関するものでない。
甲第5号証には、地図上の座標情報と入力情報を関連付けて登録し、地図上に登録された情報を自端末(ナビゲーションシステム)で利用する、つまり、地図上に自分で利用するメモ情報等を登録し表示するようなものが記載されており、また、甲第6号証には、パソコンで利用できるデジタル地図において、地図上に自分で利用するメモ情報等を登録し表示するようなものが記載されているが、これらもまた登録者の端末から座標情報と関連づけて広告をサーバに登録することができるようなシステムに関するものではなく、上記相違点2に係る事項が記載されているとはいえない。
(なお、請求人が提出した甲第16号証には、地図を表示して位置指定を行い、電話帳掲載者に座標を付与することが記載されているが、これもまた、電話帳データベース管理者が自身のデータベースにデータの追加を行うものである。)
また、甲第7号証には、異なるマシンの異なるユーザ同士でユーザIDが重複するのを避けるため、マシンで現在使用中のユーザ管理形態からネットワーク毎に定められた規約に合わせたユーザ管理形態に移行することが記載されているだけである。
さらに、請求人は、甲第9号証ないし甲第14号証を提示し、地図を表示して位置指定による座標入力、属性入力を行う装置をネットワークやLANを介してネットワークと接続することは周知である旨主張しているが、甲第9ないし14号証記載のものは、ホストコンピュータで記憶・管理される情報(地図情報や属性情報)を該ホストコンピュータに接続された端末で作成、修正(編集)、削除するシステム、つまり情報を蓄積・管理しているセンタ(ホスト)のデータを、センタの管理下にある複数の端末によって、作成、照会、編集、登録できるようなシステムに関するものであって、そもそも登録者(広告依頼者)が広告を出すために、登録者の端末からホストに情報を登録するようなシステムではないから、登録者が自分の端末から地図座標と広告情報を関連付けてサーバに記憶させることが周知技術であるとは認められず、上記相違点2に係る事項が甲第9号証ないし甲第14号証に記載されたものから容易に想到できたということはできない。
(甲第1号証は、地図座標の登録をサービス提供者側すなわちサーバ管理者側が行うことを前提としたシステムであるから、甲第9号証ないし甲第14号証記載の周知技術を組み合わせたとしても、広告依頼者であるところの登録者ではなくサーバ管理者側の者が、CUPIDに接続された端末から地図座標に関連付けられた情報の登録を行うことが想到できるにすぎないといえる。)
そして本件発明1は、上記構成を備えることにより、サーバ管理者が広告依頼者たる登録者からの依頼を受けて地図と関連付けられた広告情報を登録するのでなく、登録者自身が自分(登録者)の端末から地図上の位置座標と広告情報をサーバに送信(して登録)するため、広告配布までのタイムラグが短くなるという作用効果が生じるものと認められる。
(なお、明細書に記載はないが、例えば、ある登録者に新たに支店が出来、その支店の広告を出したいときに、登録者の端末から該支店の広告をすぐサーバに送信(してサーバに登録)出来るというような効果があることは、本件発明1の構成から予測できる。)
以上のとおり、甲第1号証、甲第2号証?甲第7号証、甲第9号証?甲第14号証、甲第16号証に記載されたものを総合しても、登録者(広告提供者)が広告を出すために、登録者の端末から、地図上の座標および関連付ける広告情報をサーバに送信することは、前記した刊行物に記載されているとも、あるいは周知技術であるとも認められないので、上記相違点2に係る事項、すなわち、登録者の端末に地図を表示し、登録者に地図上の位置を指定させ、そして指定された座標と登録者が入力した広告を関連づけてサーバに送信することが容易に想到できたということはできない。
したがって、上記相違点1、相違点3を検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証、甲第2号証?甲第7号証及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものとは認められない。

次に、本件発明2ないし本件発明4と甲第1号証に記載された発明を対比すると、
本件発明2については、少なくとも、
<相違点>
「登録者IDのチェック結果に応じて、サーバからコンピュータネットワークを介して供給される地図情報を表示し、表示した地図内において位置指定を行う手段と、
当該位置指定した座標に関連させて広告情報を入力する手段と、
前記座標を示す情報と当該広告情報とを前記サーバに対してコンピュータネットワークを介して送信する手段と
を備えることを特徴とする端末。」

本件発明3については、少なくとも、
<相違点>
「登録者IDのチェック結果に応じて、サーバからコンピュータネットワークを介して供給される地図情報を表示し、前記表示させた地図上に位置指定するように促す手段と、
前記端末において前記地図上から位置指定された座標に関連する広告情報を受信する手段と、
前記広告情報を記憶する手段と
を備えることを特徴とするサーバ。」

本件発明4については、少なくとも
<相違点>
「登録者IDのチェック結果に応じて、サーバからコンピュータネットワークを介して供給される地図情報を表示し、表示させた地図内において端末操作者に位置指定を促し、
位置指定がなされると前記端末操作者に当該位置指定された座標に関連する広告情報の入力を促し、
広告情報が入力されると前記座標を示す情報と当該広告情報とを前記サーバに対してコンピュータネットワークを介して送信するように機能させることを特徴とする端末を機能させる方法。」
で、甲第1号証記載の発明と相違している。
しかしながら、上記相違点は全て、本件発明1と甲第1号証記載の発明の相違点である<相違点2>と実質的に同じである。
したがって、本件発明2ないし本件発明4は、本件発明1と同じ理由で、甲第1号証、甲第2号証?甲第7号証及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものとは認められない。


6 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1ないし4に係る発明の特許を無効とすることができない。

審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-08-22 
結審通知日 2008-08-28 
審決日 2008-09-09 
出願番号 特願2000-183699(P2000-183699)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高瀬 勤野崎 大進  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 多賀 実
手島 聖治
登録日 2001-11-02 
登録番号 特許第3246506号(P3246506)
発明の名称 広告情報の登録方法、広告情報の供給方法、端末、サーバおよび端末を機能させる方法  
代理人 渡辺 浩史  
代理人 竹林 則幸  
代理人 藤枡 裕実  
代理人 高木 千嘉  
代理人 金山 聡  
代理人 三輪 昭次  
代理人 村山 靖彦  
代理人 結田 純次  
代理人 高橋 詔男  

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