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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A41H
管理番号 1208704
審判番号 無効2009-800064  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-03-27 
確定日 2009-12-10 
事件の表示 上記当事者間の特許第3692084号発明「衣類のオーダーメイド用計測サンプル及びオーダーメイド方式」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
特許第3692084号についての手続の経緯は,概ね以下のとおりである。
平成14年 2月13日 特許出願
平成17年 6月24日 特許権の設定登録(請求項の数12)
平成19年 7月25日 無効審判請求(無効2007-800144
号)
平成20年 5月 8日 審決(請求不成立)
平成20年 6月18日 知的財産高等裁判所出訴(平成20年(行ケ)
10232号)
平成20年 6月24日 特許権の消滅(第4年分の特許料不納)
平成20年12月24日 知的財産高等裁判所判決(請求棄却)
平成21年 1月 7日 判決確定
平成21年 3月27日 請求人荒井通雄(以下,「請求人」という)
による本件無効審判の請求
平成21年 4月21日 被請求人マルコ株式会社(以下「被請求人」
という)に対する請求書の副本の送達
平成21年 6月 3日 答弁書提出

第2 本件特許発明
本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし12に係る発明(以下,それぞれ「本件特許発明1ないし12」という。)は,登録時の明細書(以下「本件明細書」という。)及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定される,次のとおりのものと認める。

「【請求項1】
身頃のヒップ部にヒップカップサイズを調節可能なヒップカップ計測手段を設けたオーダーメイド用ボトム計測サンプルで,該ヒップカップ計測手段は,前記ヒップ部が股口からヒップカップ部の略中央に向かって切り込みを入れて分割され,分割された一片と他片とが連結部材を介して着脱自在に止着可能でヒップカップサイズ調節可能とされ,前記一片の他片との連結位置にヒップカップサイズ計測用の目盛が記されたことを特徴とするオーダーメイド用ボトム計測サンプル。
【請求項2】
前記ヒップ部の切り込みの内端位置は,ヒップトップの高さよりも下としたことを特徴とする請求項1記載のオーダーメイド用ボトム計測サンプル。
【請求項3】
身頃のウエスト部にウエストサイズを調節可能なウエスト計測手段を設けた請求項1又は2記載のオーダーメイド用ボトム計測サンプルで,該ウエスト計測手段は,前記ウエスト部がその上端から略縦方向に切り込みを入れて分割され,分割された一片と他片とが連結部材を介して着脱自在に止着可能でウエストサイズ調節可能とされ,前記一片の他片との連結位置にウエストサイズ計測用の目盛が記されたことを特徴とするオーダーメイド用ボトム計測サンプル。
【請求項4】
身頃の脚囲部にその下端の脚口サイズを調節可能な脚口計測手段を設けた請求項1?3のいずれかに記載のオーダーメイド用ボトム計測サンプルで,該脚口計測手段は,前記脚囲部が脚口から略縦方向に切り込みを入れて分割され,分割された一片と他片とが連結部材を介して着脱自在に止着可能で脚口サイズ調節可能とされ,前記一片の他片との連結位置に脚口サイズ計測用の目盛が記されたことを特徴とするオーダーメイド用ボトム計測サンプル。
【請求項5】
前記脚口計測手段は,前記ヒップカップ計測手段と連続して形成されたことを特徴とする請求項4記載のオーダーメイド用ボトム計測サンプル。
【請求項6】
身頃の胴部に胴部サイズを調節可能な胴部計測手段を設けた請求項1?5のいずれかに記載のオーダーメイド用ボトム計測サンプルで,該胴部計測手段は,前記胴部がその上端から略縦方向に切り込みを入れて分割され,分割された一片と他片とが連結部材を介して着脱自在に止着可能で胴部サイズ調節可能とされ,前記一片の他片との連結位置に胴部サイズ計測用の目盛りが記されたことを特徴とするオーダーメイド用ボトム計測サンプル。
【請求項7】
請求項1?6のいずれかに記載のボトム計測サンプルに,カップ部を有するトップが付設されたオーダーメイド用衣類計測サンプル。
【請求項8】
前記トップは,前記ボトム計測サンプルに着脱可能に付設された請求項7記載のオーダーメイド用衣類計測サンプル。
【請求項9】
前記トップは,バージスサイズを変えた複数のカップ受部と,1つのバージスサイズにおいてカップ高さを変えた複数のカップ部との組み合わせからなり,カップ受部に対してカップ部を着脱可能に設けてなる請求項7又は8記載のオーダーメイド用衣類計測サンプル。
【請求項10】
前記トップは,バージスサイズを変えた複数のカップ受部と,1つのバージスサイズにおいてカップ高さを変えた複数のカップ部と,一つのカップ受部において寸法の異なる複数のバック部との組み合わせからなり,カップ受部に対してカップ部及びバック部を着脱可能に設けてなる請求項7又は8記載のオーダーメイド用衣類計測サンプル。
【請求項11】
前記衣類が体型補正機能を有する衣類である請求項1?10のいずれかに記載のオーダーメイド用計測サンプル。
【請求項12】
ヒップサイズを変えた請求項1?11のいずれかに記載の計測サンプルを複数用意し,着用者のヒップサイズに応じて計測サンプルを選択して着用させ,カスタムサイズの計測をする衣類のオーダーメイド方式。」

第3 請求人の主張
1.請求の趣旨及び理由
請求人は,審判請求書において,「特許第3692084号発明の請求項1ないし12に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め,その理由として次のように主張している。
本件特許発明1ないし12は,甲第1号証ないし甲第12号証に記載された発明に基づいて,出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は,同法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきである。

請求人が主張する本件特許発明1の進歩性欠如の理由は,概ね次のとおりである。
甲第1号証には,次の引用発明1が記載されている。
「身頃のヒップ部にヒップカップサイズを調節可能な縦縫製代B6を設けたイージーオーダー用ボトム試着パーツで,該縦縫製代B6は,前記ヒップ部が縦切断部を入れて分割され,分割された一片と他辺とが接合部材(連結部材)を介して着脱自在に止着可能でヒップカップサイズ調節可能とされたことを特徴とするイージーオーダー用ボトム試着パーツ。」
本件特許発明1と引用発明1を対比すると,後者における「ボトム試着パーツ」は,着用者の寸法取りのみに供され得るものであるから,前者における「計測サンプル」に他ならず,また,後者における「縦縫製代B6」,「縦切断部」は,その機能から見て,前者における「ヒップカップ計測手段」「切り込み」に相当するものである。さらに,後者における「イージーオーダー」は,前者における「オーダーメイド」の一態様と認められる。
そうすると,両者は,「身頃のヒップ部にヒップカップサイズを調節可能な縦縫製代B6(ヒップカップ計測手段)を設けたイージーオーダー(オーダーメイド)用ボトム試着パーツ(計測サンプル)で,該縦縫製代B6(ヒップカップ計測手段)は,前記ヒップ部が縦切断部(切り込み)を入れて分割され,分割された一片と他辺とが接合部材(連結部材)を介して着脱自在に止着可能でヒップカップサイズ調節可能とされたことを特徴とするイージーオーダー(オーダーメイド)用ボトム試着パーツ(計測サンプル)。」である点で一致し,
(A)切り込みが,前者においては,股口からヒップカップ部の略中央に向かっているのに対し,後者においては,人体の縦方向に沿う縦切断部である点,
(B)前者においては,一片の他辺との連結位置にヒップカップサイズ計測用の目盛が記されているのに対し,後者においては,目盛が記されていない点,
で相違する。
相違点(A)についてみると,甲第2号証には,ボトム機構の臀突部54の下辺にダーツ65(裁断線)を設けて,ボトム機構を臀部形状に準じた丸みのある形状とすることが記載されているところ,このダーツ65は,臀部下辺57から臀突部54に亘っており,「股口からヒップカップ部の略中央に向かっている」ものに相当する。衣類にダーツを設けることは,丸みを帯びた体の部位において,その丸みに応じた衣服形状となすため(甲第2号証,甲第9号証及び甲第10号証),また,ダーツの開き角度ないしは重なり量の調整による衣服の丸み形状の調整のため(甲第9号証及び甲第12号証)に,出願前慣用されていることである。甲第2号証に記載されたダーツ65がこれらのために形成されていることは,当業者に自明のことといえるから,甲第2号証には,「股口からヒップカップ部の略中央に向かって切り込みを入れて分割」することにより,ヒップカップサイズを調節することが開示されているといえる。引用発明1もヒップカップサイズを調節するものといえるから,人体の縦方向に沿う縦切断部に代えて,または,これに加えて,甲第2号証における,股口からヒップカップ部の略中央に向かって切り込みを入れることを採用することは,当業者が容易に想到できることである。
相違点(B)についてみると,引用発明1においても,「各部片T,W,Bを止着パーツとして着用者の寸法取りのみに供する場合には,上記した試着時の各縫製代をマークしたり,読取り記録した後」と記載されているように,サイズの計測が必須のものであるところ,甲第3号証には,サイズ計測用の目盛を設けることが記載されているから,引用発明1において,一片の他辺との連結位置にヒップカップサイズ計測用の目盛を記すことは,当業者が容易に想到できることといえる。
したがって,本件特許発明1は,甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものである。

2.証拠方法
請求人は上記主張を立証するため,次の証拠方法を提出している。
(1)甲第1号証;特開平8-260206号公報
(2)甲第2号証;国際公開第99/58007号
(3)甲第3号証;実公昭51-9368号公報
(4)甲第4号証;米国特許第3763866号明細書
(5)甲第5号証:特開平8-158111号公報
(6)甲第6号証;「Dubleve’(デューブルベ)」と称する株式
会社ワコールのセミオーダーシステムに関するカタログ
(7)甲第7号証;特開平2-259102号公報
(8)甲第8号証;「手作りランジェリー」レディブティックシリーズ
通巻1404号
(9)甲第9号証;「近藤れん子の立体裁断と基礎知識(五版)」
(10)甲第10号証;実願昭50-21222号(実開昭51-104
125号)のマイクロフィルム
(11)甲第11号証;特開平9-209203号公報
(12)甲第12号証;実願昭50-84855号(実開昭52-383
5号)のマイクロフィルム

第4 被請求人の主張
被請求人は,答弁書において,本件特許権は平成20年6月24日に消滅しているため,本件特許を防御する必要はないと主張している。

第5 当審の判断
1.刊行物に記載された事項
(1)甲第1号証
特開平8-260206号公報(以下「甲第1号証」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。
(1-a)「【産業上の利用分野】本発明は,サイズ調節によるイージオーダー化を可能にしたガードル,ボディスーツ,ウェストニッパー,水着等のファンデーションおよびその縫製方法に関する。」(段落【0001】)
(1-b)「【従来の技術】従来,図4に示したように,ガードル,ボディスーツ,ウェストニッパー,水着等のファンデーション等においては,それらを構成する素材自身の伸縮性によって僅かな寸法上の柔軟性はあるものの,着用者の体格の個体差や着用者自身の体格の変化に適応させるためには数種類の寸法(ボディスーツ等においては図中Fなる寸法が適否を決する。)のものを揃える必要があった。」(段落【0002】)
(1-c)「【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために,本発明は,少なくともトップ部,ウェスト部およびボトム部の3つの部片からなるボディスーツ等のファンデーションにおいて,前記ファンデーションは未縫製の横切断部にて少なくとも前記3つの部片に分割されて形成されるとともに,これら部片間の対向する前記各横切断部に隣接して該横切断部の重合度合いを選択して調節自在に重合する横縫製代を形成したことを特徴とし,また,前記各部片のそれぞれに人体の縦方向に沿う縦切断部をさらに設け,これら各縦切断部に隣接して該縦切断部の重合度合いを選択して調節自在に重合する縦縫製代を形成したことを特徴とするもので,これらを課題解決のための手段とするものである。」(段落【0004】)
(1-d)「本発明では,少なくともトップ部T,ウェスト部Wおよびボトム部Bの3つの部片からなるボディスーツ等のファンデーション1において,前記ファンデーション1は未縫製の横切断部4,5にて少なくとも前記3つの部片T,W,Bに分割されて形成されるとともに,これら部片T,W,B間の対向する前記各横切断部4,5に隣接して該横切断部4,5の重合度合いを選択して調節自在に重合する横縫製代T4,W4およびW5,B5を形成したことにより,未縫製の横切断部4,5にて少なくともトップ部T,ウェスト部Wおよびボトム部Bの前記3つの部片に分割されて形成された対向する前記各横切断部4,5に隣接して形成された該横切断部4,5の重合度合いを選択して調節自在な横縫製代T4,W4およびW5,B5を重合させて縫製することができるので,ボディスーツ1の丈(F)を着用者の背丈に応じて適切に適合させると同時に,前記横縫製代T4,W4およびW5,B5を人体の前後および左右にて各別にその重合度合いを選択して調節して縫製するならば,人体の個体差による体形の曲がりや肉付きに対しても,きめ細かに適応させることができる。」(段落【0005】)
(1-e)「また,本発明では,前記各部片T,W,Bのそれぞれに人体の縦方向に沿う縦切断部6をさらに設け,これら各縦切断部6に隣接して該縦切断部6の重合度合いを選択して調節自在に重合する縦縫製代T6,W6,B6を形成したことにより,これら縦切断部6の重合度合いを選択して調節自在な縦縫製代T6,W6,B6を重合させて縫製することができるので,着用者のバストやウェストおよびヒップ毎の個体差に応じて,さらにきめ細かに対応することができる。」(段落【0006】)
(1-f)「さらに,上記各部片T,W,Bはそれら自体を製品として着用者に供することもできる他,各部片T,W,Bを試着パーツとして着用者の寸法取りのみに供する場合には,上記した試着時の各縫製代をマークしたり,読取り記録をした後,これを製品としての各部片の縫製代に転記してこれらを縫製することになる。」(段落【0008】)
(1-g)「図2は本発明の第2実施例で,図2(A)はボディスーツ等のファンデーション1の各部片の縫製前の状態を示す後面図であり,図2(B)は縫製後をの後半分を示す図である。本実施例では,図1の第1実施例のものに加えて,前記各部片T,W,Bのそれぞれに人体の縦方向に沿う縦切断部6をさらに設け,これら各縦切断部6には前記実施例の横切断部と同様に,各縦切断部に隣接して該縦切断部6の重合度合いを選択して調節自在に重合する縦縫製代T6(トップ部),W6(ウェスト部),B6(ボトム部)を形成したものである。」(段落【0009】)
(1-h)「このように構成した各部片T,W,Bを縫製するには,図2(A)に示すように,横切断部4,5における縫製代の重合に先立って,着用者の各部のサイズにほぼ適合した各部片T,W,Bを人体の対応部位に当てがい,前記各部片T,W,B毎の縦切断部6に隣接して設けた縦縫製代T6,W6,B6毎に人体の個体差によるバスト,ウェストおよびヒップに対応させてそれらの重合度合いを調節した後,この状態にてしつけ,本縫製にかける。次いで,前記第1実施例にて説明した工程にしたがって,各部片T,W,B間の横切断面4,5を縫製してファンデーションを完成させるものである。図2(B)に縫製後の後半分が示されている。本実施例によれば,ファンデーションの縦寸法および体形の曲がりや肉付きに対応させることができるばかりでなく,個体差によるバスト,ウェストおよびヒップの各サイズに対してもきめ細かに適応させて縫製することができるので,各部片T,W,Bについて,あまり多数のサイズのものを揃える必要がなく,経済的である。」(段落【0010】)
(1-i)「以上,本発明の各実施例を説明してきたが,本発明の趣旨の範囲内において,横あるいは縦切断部の位置,形状,数や,横および縦の縫製代の幅,形状,材質については適宜採用できる他,縫製代の縫製形態についても,例えば縫製に代えて高周波接合,熱溶着等が採用できる。また可能ならばマジックテープ(登録商標)等による接合が各縫製代に採用できること言うまでもない。」(段落【0011】)
上記記載事項(1-a)ないし(1-i)及び図面の記載からみて,甲第1号証には,次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
「試着パーツとして着用者の寸法取りに供し得る,トップ部T,ウェスト部W及びボトム部Bの3つの部片からなるファンデーションであって,前記3つの部片T,W,Bは,未縫製の横切断部4,5にて分割して形成され,横切断部4,5の重合度合いを選択して調節自在に重合するマジックテープ等の横縫製代T4,W4及びW5,B5を形成することにより,着用者の背丈に適合させると同時に,個体差による体形の曲がりや肉付きに対してもきめ細かに適応させて縫製できるようにし,各部片T,W,Bのそれぞれに人体の縦方向に沿う縦切断部6をさらに設け,縦切断部6の重合度合いを選択して調節自在に重合するマジックテープ等の縦縫製代T6,W6,B6を形成することにより,個体差によるバスト,ウェスト及びヒップの各サイズに対してもきめ細かに適応させて縫製できるようにした,イージーオーダー化を可能にしたファンデーション。」

(2)甲第2号証
国際公開第99/58007号(以下「甲第2号証」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。
(2-a)「図31に示す従来のガードル製品では,前後身頃が全く平面的に形成されている。また,左右の臀突位部分よりも中心線部分の方が長く形成されている。それゆえに,左右を分割する中心線は,正中位から大きく遊離し,臀列にフィットせずに浮いてしまうことが判る。」(5頁24行?6頁2行)
(2-b)「このボトム機構は,正中位に即して前後左右身頃の裁断線を設けると共に,左右身頃の正中位を挟む股間部付近は,接合前の状態で互いに大きく離れた凹形状とし,接合によって股間部及び左右大腿部の形状に準じた形状を成し,着用時には腹部,股間部及び臀部下辺,臀列や臀部全体に密接すると共に,腹部や臀部下辺に面圧力が加わり,腹部や臀部下辺の支持・補正を達成する。」(9頁22行?10頁1行)
(2-c)「この目的を達成するために本発明は,伸縮素材を用い,正中位の形に即して左右身頃の裁断線を設け,左右身頃の正中位を挟む股間部付近は,接合前の状態で互いに遊離した形状とし,前記左右身頃の接合によって股間部と左右大腿部との間の形状に準じた形成をなし,臀突位上の臀突部より臀部下辺に至る部位に切替えダーツ部を設けて臀部形状に準じた形状とし,着用時に機構全体に引張(緊張)関係が生じ,臀列部を含めボトム各部に密接すると共に,腹部及び臀部下辺に補正を促す面圧力が加わるボトム機構を提供するものである。」(13頁24行?14頁5行)
(2-d)「図20AからFに於て,正中位上の裁断線61は,腹部より股間部62,臀列部52を経て背部に至る。この正中位上の裁断線61は,前中心及び後中心をも意味する。臀突位53上の臀突部54の下辺には臀部の丸みに準じた形状を達成するために,ダーツ65が設けられている。」(28頁1?4行)

(3)甲第3号証
実公昭51-9368号公報(以下「甲第3号証」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。
(3-a)「1はイージーオーダー用採寸合せ基本ズボン体であってその上縁部2に沿って右側前合せ身頃部3の外側に,ウエスト寸法4を表示し且つ中央にベルベツト式フアスナーの一片5を取付けた寸法表示票6を固着してある。」(2欄1?5行)
(3-b)「基本ズボン体の上縁部の右側前合せ身頃部の外側にウエスト寸法を表示し且つベルベツト式フアスナーの一片を設けた寸法表示票を固着し,左側前合せ身頃部の内側にベルベツト式フアスナーの他片を取付けた布地を固着したことを特徴とするイージーオーダー用採寸基本ズボン」(実用新案登録請求の範囲)

(4)甲第4号証
米国特許第3763866号明細書(以下「甲第4号証」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている(訳文は請求人による)。
(4-a)「This invention relates to adjustable body support garments such as women's girdles, panty gardles and men's briefs.」(1欄3?5行;「この発明は,女性用ガードル,パンティガードルおよび男性用ブリーフのような,調整可能な身体支持用衣料に関する。」)
(4-b)「Referring again to FIGS.1 and 2, there is shown a right thigh adjustable support 50a (in adjusted position) and a left thigh adjustable support 50b (in a non-adjusted position).」(3欄12?15行;「図1および図2を再度参照すると,右太もも用調整可能サポート50a(調整位置)および左太もも用調整可能サポート50b(非調整位置)が示される。」)
(4-c)「The garment is split down the middle of the front of the garment from its upper end 10a to form flaps 10e and 10f on opposite sides of the split which can overlap to various adjusted angles of overlap.」(3欄52?55行;「衣料は,その前面の中央で,上端10aから二つに裂けて,裂け目の対向側にフラップ10eおよび10fを形成しており,種々の調整された重ね合わせ角度で重ね合わせることができる。」)

(5)甲第5号証
特開平8-158111号公報(以下「甲第5号証」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。
(5-a)「図1?図6において,本発明の実施例に係るファウンデーションであるブラジャーB_(1)が示されている。このブラジャーB_(1)は,基本的には,バストを収容するカップ部2a及びそのカップ部の周縁に形成されたカップ止着部2bからなる一対のカップ部材2と,上記各カップ部2aの周縁と適合する一対のカップ用凹部1a及びそのカップ用凹部1aの周縁に形成されたカップ係着部1bを有し,上記カップ部2aを身体胸部に装着する装着手段1とで構成されている。」(段落【0028】)
(5-b)「従って,着用者は,アンダーバストに合わせて装着手段1を選択し,右バストに合ったカップ部を有するカップ部材2を選択し,左バストに合ったカップ部を有するカップ部材2を選択した後,カップ部材のカップ止着部2b,2bをそれぞれ装着手段のカップ係着部1b,1bに係止することで,右バスト,左バスト,アンダーバスト全てにフィットするファウンデーションを着用することができる。」(段落【0030】)

(6)甲第6号証
「Dubleve’(デューブルベ)」と称する株式会社ワコールのセミオーダーシステムに関するカタログ(以下「甲第6号証」という。)は,1頁目の下端に「カタログ有効期間:2000年8月1日?2001年1月31日」と記載されていることから,本件出願日前に頒布された刊行物であることが認められる。そして,甲第6号証の2頁目には,ブラジャーのセミオーダーシステムに関して,次の事項が記載されている。
(6-a)「トップとアンダーの採寸だけでなく,オリジナル測定器(バージスメジャー)でのバストの底面周径サイズ(バージスサイズ)の測定や,ゲージブラでのフィット感の確認等を行ったうえで,コンサルタントがブラの「フィット診断」を行い,全1248サイズのブラ中から最適なブラをご提案。あなたのバストのためだけのブラをおつくりします。」

(7)甲第7号証
特開平2-259102号公報(以下「甲第7号証」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。
(7-a)「この発明は,ブラジャーフロントとバックベルトを着脱自在に出来るようにしたブラジャーに関するものである。」(1頁左下欄10?12行)
(7-b)「ブラジャーフロントとバックベルトが別々になっており,カップもアンダーバストも体に合ったサイズのものを着用することが出来る。」(1頁右下欄下から2行?2頁左上欄2行)

(8)甲第8号証
本件出願日前の1999年3月20日に発行された刊行物である,「手作りランジェリー」レディブティックシリーズ通巻1404号(以下「甲第8号証」という。)には,その52?53頁のイラストにより,ブラジャーが,胸布A,B(カップ部に相当)と,胸布A,Bと組み合わされるベルトA(カップ受け部に相当)及びベルトAと連結されるベルトB(バック部に相当)で構成されることが記載されている。

(9)甲第9号証
本件出願日前の1998年12月15日に発行された刊行物である,「近藤れん子の立体裁断と基礎知識(五版)」(以下「甲第9号証」という。)には,写真B1?B4,C1?C4とともに,次の事項が記載されている。
(9-a)「同形態の胸回り寸法と同じカップサイズの乳房を条件とした場合でも乳房の位置が低い場合には,必ずダーツ量は小さくなることがB3B4のスローパの比較で了解できるとおもいます。」(2頁上段)
(9-b)「人台の胸部をふくらませて変型し,トワルでコルサージュを裁断したスローパで検討してみると写真C3のように12度のダーツ分量がみられました。普通体型では14.5度であり,2.5度分鳩胸体型は胸の曲量が少ないことになります。」(2頁下段)

(10)甲第10号証
実願昭50-21222号(実開昭51-104125号)のマイクロフィルム(以下「甲第10号証」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。
(10-a)「この考案のガードルを図面に基き説明すれば,腹部,臀部,脚部を構成する所定の型紙を用いて一枚の伸縮性生地を一体に裁断してガードル素材片1を形成し,この裁断されたるガードル素材片1に於ける股布付け位置附近の下方よりヒップの山方向に向かって二等辺三角形状に左右辺abとbcとを同長に切欠したダーツ3をとる。而して該ガードル素材片1を二枚用いてガードル本体2に縫成すると同時に前記ダーツ部の辺a,bと辺b,cをも縫合する。」(2頁8?17行)
(10-b)「本考案はダーツによりヒップアップをし乍ら自然な美しい丸みを出し,」(3頁9?10行)

(11)甲第11号証
特開平9-209203号公報(以下「甲第11号証」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。
(11-a)「後身頃3における臀部4の部位で,且つ裾部10付近にダーツ12を形成されることにより,臀部4の部位に立体的な膨らみ部が形成されて臀部の包み込み効果並びに補正や造形効果が向上し,着用感の優れたガードルが得られるのである。」(段落【0006】)

(12)甲第12号証
実願昭50-84855号(実開昭52-3835号)のマイクロフィルム(以下「甲第12号証」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。
(12-a)「この実用新案は,X字形パターンにより着用者の体型,大小にそれぞれ適応できるブラジャーの製造に用うるものである。・・・これを図面について説明すれば,接合点2(2’)を曲線部3?4(3’?4’)に沿って接合させるとき円錐状の立体が得られる。曲線部分上の2(2’)の位置により,円錐の大きさが変えられる。」(考案の詳細な説明)

2.本件特許発明1について
(1)本件特許発明1と甲1発明との対比
本件明細書の段落【0002】,段落【0016】?【0018】には,本件特許発明1の「ヒップカップサイズ」を計測することの意義について,次の記載がなされている。
「【0002】
【従来の技術】
ガードル等のフィット性及び/又は体型補正機能のある衣類は,様々な型の既製品が市販されており,着用者はその中から目的に応じて体型に合うものを購入する。ガードルは,前身,後身,股下部及び必要に応じて股口に連設される脚囲部を備えており,ヒップ部頂部の周長であるヒップサイズ,ヒップ部の膨らみ具合であるヒップカップサイズ及びウエストの最もくびれた部分の周長であるウエストサイズが重要である。」
「【0016】
また,ヒップの頂部(ヒップの最も太い部分)を通る水平方向の周長寸法で表されるヒップサイズが同じでも,ヒップの膨らみ具合,つまり,ヒップカップサイズが異なることが多い。ヒップサイズのみのオーダーメイド方式では,顧客のヒップ形状に合わせることができない。ヒップカップサイズは各種あるため,顧客に合ったヒップカップサイズのカスタムサイズにオーダーできるのが好ましい。
【0017】
そこで,本発明は,後身のヒップ部にヒップカップサイズを調節可能なヒップカップ計測手段を設けたボトム計測サンプルを提供するものである。この構成によると,ボトム計測サンプルを顧客の身体に当ててヒップカップサイズを顧客のヒップカップサイズに調節できる。したがって,カスタムサイズのヒップカップサイズを有するボトム計測サンプルを試着させることができ,同時にその調節されたヒップカップサイズを計測することができる。
【0018】
ここで,ヒップカップサイズとは,(ヒップサイズ)-(脚の付根の水平方向における周長寸法)で表され,脚の付根の水平方向における周長が短い程,ヒップの膨らみの具合は大きくなり,ヒップカップサイズは大きくなる。また,ヒップ部とは,後身のうち左右一対のヒップカップ部と,その間の臀裂部とを含む概念であり,ヒップカップ部とは,臀部の膨らみを包み込む部位を意味する。」

また,本件特許発明1の「ヒップカップ計測手段」は,身頃のヒップ部が股口からヒップカップ部の略中央に向かって切り込みを入れて分割され,分割された一片と他片とが連結部材を介して着脱自在に止着可能でヒップカップサイズ調節可能とされ,前記一片の他片との連結位置にヒップカップサイズ計測用の目盛が記されるように構成されるものであるところ,本件明細書の段落【0019】,【0020】,【0044】及び【0045】には,この「ヒップカップ計測手段」の作用・効果について,次の記載がなされている。
「【0019】
ヒップカップ計測手段は,ヒップカップサイズを調節する機能と,その調節量を計測する機能とを併せ持っている。ヒップカップサイズを調節する機能は,前身の下端縁,後身の下端縁及び股下部の側縁によって囲まれた股口のうち,後身の下端縁からヒップカップ部側に切り込みを入れて分割し,分割した一片と他片とが連結部材を介して着脱自在に止着可能とする態様で発現できる。・・・
【0020】
また,切り込み(又は折返し)の内端位置は,ヒップトップの高さよりも下としたほうが好ましい。この位置をヒップトップの高さよりも高い位置とすると,ヒップカップサイズの調節時にヒップサイズまでもが変わってしまうからである。また,切り込み(又は折返し)は,ヒップカップ部の略中央に向かって形成すれば,ヒップカップ調節時にヒップカップのカップ形状が壊れにくいので好ましい。」
「【0044】
ヒップ部6は,後身3の左右一対のヒップカップ部10とその間の臀裂部11とからなり,ヒップカップ部10とは,臀部の膨らみを包み込む部位である。ヒップカップ計測手段9は,図2に示すように,後身3の股口12の下端縁からヒップカップ部10の略中央に向かって切り込みを入れて分割される。分割された一片(以下,下片と称す)9aの外面にフックテープ9cが縫着され,分割された他片(以下,上片と称す)9bの内面にループテープ9dが縫着される。これにより,上片9bを下片9aの外面に重ねて,着脱可能に止着させることができる。また,本例においては,フックテープ9cは,下片9aから上片9b方向にはみ出て延長されている。従って,この延長部分においてループテープ9dを止着することによって,下片9aと上片9bとは離反した状態で連結させることが可能となっており,面ファスナーの寸法を大きくすることのみで,広範囲な寸法調節を可能としている。
【0045】
このような構成において,下片9aと上片9bとを切り込みの内端部9eを中心として重ね合わせ又は離反させ,その程度を加減することにより,ヒップカップサイズの調節ができる。そして,面ファスナー9a,9bは,上記と同様に伸縮性素材のものが好適である。」

これに対して,甲1発明では,前記記載事項(1-g)(1-h)及び図2の記載によれば,トップ部T,ウエスト部W及びボトム部Bのそれぞれについて,縦切断部6が着用者の背面に対応するファンデーションの後面を左右対称に分割するように設けられている。このうちボトム部Bの縦切断部6は,後面の上縁から下方の股間部近傍まで延びると考えられるが,少なくとも,左右の脚開口部3,すなわち股口の縁に達するものではない。そして,甲1発明は,ボトム部Bに設けられた縦切断部6の重合度合を調節することによって,着用者のヒップのサイズ,すなわちヒップ部頂部の周長に合わせるものというべきであり,ヒップ部の脹らみ具合であるヒップカップのサイズに合わせるものとはいえない。ただ,甲1発明のボトム部Bは,ヒップのサイズ取りに供し得る試着パーツであるから,この限りにおいて,本件特許発明1でいう「オーダーメイド用ボトム計測サンプル」に該当する。

以上のことから,本件特許発明1と甲1発明を対比すると,両者は,「身頃のヒップ部にサイズを調節可能な手段を設けたオーダーメイド用ボトム計測サンプル」の点で一致し,次の点で相違する。
〈相違点〉
本件特許発明1は,ヒップカップサイズを計測するものであり,その具体的手段として,身頃のヒップ部が股口からヒップカップ部の略中央に向かって切り込みを入れて分割され,分割された一片と他片とが連結部材を介して着脱自在に止着可能でヒップカップサイズ調節可能とされ,前記一片の他片との連結位置にヒップカップサイズ計測用の目盛が記されるように構成されるのに対して,甲1発明は,ヒップサイズを計測するものであり,上記具体的手段を備えていない。

(2)相違点についての判断
甲第2号証には,平面的に形成され臀列にフィットしなかった従来のガードル製品の問題を解消するため,臀突位上の臀突部の下辺に,ヒップカップサイズに相当する臀部の丸みに準じた形状を達成するためのダーツ65を設けることが記載されており(記載事項(2-a)ないし(2-d)参照),該ダーツ65は股口からヒップカップ部の略中央に向かう切り込みに相当するといえるが,切り込み(ダーツ)によって分割された一片と他片を着脱自在に止着することや,ヒップカップサイズの計測のために用いられることについては,記載も示唆もされていない。また,甲第2号証のダーツ65は,個体差に応じて設計されるものではなく,人の標準的な臀部の丸みを想定して設計され,縫製されるものというべきである。
甲第4号証には,右太もも用調整可能サポート50a,左太もも用調整可能サポート50b及び前面の中央の裂け目に形成されるフラップ10e,10fを備えたガードルが記載されているが,これらはいずれもヒップカップサイズを調整するために設けられるものではない。
甲第10号証に記載されたダーツ3は,ガードル素材片1における股布付け位置附近の下方よりヒップの山に向かって二等辺三角形状に切欠したものであり(記載事項(10-a)参照),第1図の記載から明らかなように,該ダーツ3は股口から切り込まれるものではなく,また,切り込みによって分割された一片と他片を着脱自在に止着することや,ヒップカップサイズの計測のために用いられることについては,記載も示唆もされていない。
甲第11号証には,ガードルの後身頃における臀部の部位で,且つ裾部付近にダーツ12を形成し,臀部に立体的な脹らみ部を形成することが記載されているが(記載事項(11-a)参照),切り込み(ダーツ)によって分割された一片と他片を着脱自在に止着することや,ヒップカップサイズの計測のために用いられることについては,記載も示唆もされていない。また,甲第11号証のダーツ12も,甲第2号証のダーツ65と同じく,個体差に応じて設計されるものではなく,人の標準的な臀部の丸みを想定して設計され,縫製されるものというべきである。
また,甲第3号証はウエストの採寸に関するものであり,甲第5号証ないし甲第9号証及び甲第12号証はブラジャーに関するものであって,これらはヒップカップに関するものではない。
したがって,甲第2号証ないし甲第12号証のいずれにも,上記相違点に係る構成は記載も示唆もされていないから,甲第1号証ないし甲第12号証に記載された技術をいかに組み合わせても,本件特許発明1が,当業者にとって容易に想到し得るものであるということはできない。
以上のとおりであるから,本件特許発明1は,本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第12号証に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

(3)請求人の主張に対して
請求人は,甲第1号証には,身頃のヒップ部にヒップカップサイズを調節可能な縦縫製代B6を設けたイージーオーダー用ボトム試着パーツが記載されているとし,このことを前提に主張を展開しているが,甲第1号証の縦縫製代B6は,ボトム部Bの縦切断部6に隣接して設けられており,前述したように,縦切断部6は股口の縁に達するものではないから,縦縫製代B6によってヒップカップサイズが調節可能となっているとはいえない。したがって,請求人の主張は,その前提において誤っており,これを採用することはできない。

3.本件特許発明2ないし12について
本件明細書の特許請求の範囲の記載によれば,請求項2は請求項1を引用する従属項であり,以下同様に,請求項3は請求項1又は2を,請求項4は請求項1?3を,請求項5は請求項4を,請求項6は請求項1?5を,請求項7は請求項1?6を,請求項8は請求項7を,請求項9及び請求項10は請求項7又は8を,請求項11は請求項1?10を,そして,請求項12は請求項1?11を引用する従属項である。
そうすると,請求項2?12は,いずれも請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項のすべてを含み,さらに新たな構成要件を発明を特定するために必要な事項として付加したものに相当する。
したがって,上記のとおり,本件特許発明1が,本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲第1号ないし甲第12号証に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上,本件特許発明2ないし12も,甲第1号証ないし甲第12号証に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり,本件特許発明1ないし12は,いずれも甲第1号証ないし甲第12号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから,本件特許発明1ないし12についての特許が,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとはいえない。
また,他に本件特許発明1ないし12を無効とすべき理由も見当たらない。
そして,審判に関する費用の負担については,特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条により請求人が負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-06-18 
結審通知日 2009-06-25 
審決日 2009-07-07 
出願番号 特願2002-34888(P2002-34888)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (A41H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 千葉 成就  
特許庁審判長 千馬 隆之
特許庁審判官 栗林 敏彦
熊倉 強
登録日 2005-06-24 
登録番号 特許第3692084号(P3692084)
発明の名称 衣類のオーダーメイド用計測サンプル及びオーダーメイド方式  
代理人 谷 義一  
代理人 新開 正史  
代理人 阿部 和夫  
代理人 登山 桂子  
代理人 梅田 幸秀  
代理人 佐藤 久容  

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