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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1208846
審判番号 不服2007-5870  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-26 
確定日 2009-12-17 
事件の表示 特願2001-301597「動画配信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 4月11日出願公開、特開2003-111054〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本願は、平成13年9月28日の出願であって、平成18年2月14日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成18年4月7日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされたが、平成19年1月23日付け(発送日同年1月26日)で拒絶査定がなされたものである。
本件は、本願についてなされた上記拒絶査定を不服として平成19年2月26日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、平成19年3月28日付けで手続補正がなされたものである。

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

[査定の理由]
請求項1?20に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2000-217090号公報
引用文献2:特開平11-69324号公報
引用文献3:特開平8-84330号公報
引用文献4:特開2000-194583号公報
引用文献5:特開平10-254419号公報
引用文献6:特開2000-39948号公報

第2 補正却下の決定
平成19年3月28日付けの手続補正について次のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成19年3月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
本件補正のうち特許請求の範囲についてする補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするところ、補正後の請求項1に記載された発明は特許の出願の際独立して特許を受けることができない。
本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由の詳細は、以下のとおりである。

1 補正後発明
補正後の請求項1に記載された発明(以下「補正後発明」という。)は、以下のとおりである。

「動画コンテンツを放送により配信するとともに、その動画コンテンツに関連したデータコンテンツをネットワーク経由で配信する動画配信システムであって、
動画コンテンツと、その動画の再生に伴って所定のデータコンテンツへアクセスするためのアクセス情報および当該データコンテンツの再生時刻情報とを放送データとして送信するとともに、前記動画の再生に伴って前記アクセス情報に基づき要求されたデータコンテンツを通信ネットワークを介して通信データとして送信するサーバと、
前記サーバから受信した動画コンテンツおよびデータコンテンツをモニタ画面上に表示する情報端末装置とを備え、
前記サーバは、前記情報端末装置の画面上に、放送により得られた動画コンテンツと通信により得られたデータコンテンツとを同時に表示する際の表示態様を決定する表示態様コマンドを前記アクセス情報および前記再生時刻情報に加えて放送により送信し、
複数組の前記再生時刻情報およびアクセス情報は、個々の動画コンテンツに対応して用意され、その動画の再生に連動したデータコンテンツの再生スケジュールを定め、
前記情報端末装置は、自己のモニタ画面上に、放送により受信された前記動画コンテンツを再生するとともに、この再生に伴って前記再生スケジュール情報に従い、前記アクセス情報に基づいて通信により前記データコンテンツを逐次要求・受信し、前記表示態様コマンドに従って前記動画コンテンツとデータコンテンツとを同時に表示する
ことを特徴とする動画配信システム。」

2 刊行物の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-217090号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
(なお、以下「○1」、「○2」、・・・「○7」なる表記は、刊行物1の記号「○の中に数字を入れた記号」を示す。情報処理システムの能力上、刊行物1中の同記号を表すことができないことによる。)

〈発明の属する技術分野〉
「この発明は、テレビジョン放送等に多重化されたコンテンツ情報、例えばインターネット上のコンテンツ情報またはこれに関連するコンテンツ情報を映像表示する情報表示装置および情報伝送表示方法に関し、とくに放送電波に用いて伝送した情報を用いてインターネット上の所望のサイトやコンテンツに簡易にアクセスできるようにするものである。」(段落【0001】)

〈従来の技術〉
「近年、インターネットを利用したサービスが種々提供されるようになってきている。ユーザは、インターネット上でサービスを提供するサーバにアクセスして情報提供等のサービスを受けることができる。ところで、インターネット上のサービスは通信処理に基づいて成立するものであり、基本的にはサービス提供者とサービス受領者との間に通信チャネルを設定しなければならず、サービス提供に量的な制約があった。」(段落【0002】)
「これに対し、放送は放送電波が届く限り、不特定多数の者に一度に情報を提供できるメリットがある。この発明は、放送信号に多重化されて送られてきたコンテンツ情報を表示する技術に関し、さらに、コンテンツ情報を表示しているときに、自動的に他のコンテンツ情報を取得して表示する手法を、提供しようとするものである。」(段落【0003】)

〈発明が解決しようとする課題〉
「この発明は、以上の事情を考慮してなされたものであり、放送信号に多重化されて送られてきたコンテンツ情報を表示するとともに、このコンテンツ情報の表示を利用してインターネット上の他のサイトに簡易にアクセスできるようにする技術を提供することを目的としている。」(段落【0005】)

〈発明の実施の態様〉
「図1はこの実施例の適用される放送および情報処理システムの概要を示すもので、この図において、テレビジョン放送局10には放送サーバ11、コンテンツ製作用端末12、送信施設13等が設けられている。放送サーバ11で作成された放送プログラムは送信施設13を介して放送される。この実施例では、放送プログラムの送信信号中には、通常のテレビジョン信号とこのテレビジョン信号の垂直基線期間に多重化されるコンテンツ情報信号とが含まれる。受信側では、アンテナ(図示しない)等を介して放送信号が受信され、テレビジョン受像機またはテレビジョン受像機能を有するパーソナルコンピュータ等で放送信号を再生する。図ではテレビジョン受像機能を有するパーソナルコンピュータ20を一例として示している。パーソナルコンピュータ20は放送信号を復調する機能を有し、復調した信号に基づいてスクリーンの全部または一部を利用してテレビジョン画像を再生する。またパーソナルコンピュータ20は図示のようにモデム21を介して電話回線に接続されていてもよい。パーソナルコンピュータ20はモデム21等を介して(必要であればプロバイダの通信チャネルを介して)インターネット30に接続され、このインターネットには種々のサーバが接続されている。この例では情報提供用のWWWサーバ31が接続されている。」(段落【0009】)

「この実施例においては、放送局10は、WWWサーバからのHTML(ハイパーテキストマークアップランゲージ)で記述されたウェブ情報(ウェブページ)を受け取り、通常の放送プログラムの放送信号に多重して放送する。この場合ウェブ情報を直接用いて送信するのでなく、コンテンツ製作用端末12で加工して送信してもよく、コンテンツ製作用端末12で個別に用意した情報を送信するようにしてもよい。多重して送信する情報のフォーマットや多重化の方法については後述する。」(段落【0011】)

「つぎに情報をテレビ放送に多重化する方法について説明する。コンテンツ情報はテレビジョン信号の垂直帰線期間に挿入して多重化する。具体的には、電気通信技術審議会一部答申諮問83で規定されるデジタル情報の多重化手法(通常VBI方式と呼ぶ:Vertical Blanking Interval)を用いて行う。」(段落【0012】)

「図4はVBI方式のデータ伝送の仕様を示すものである。図4において、階層1は電気物理的な仕様を規定するものである。この仕様によれば、水平走査期間内の一定の領域は296個に標本化される。VBI信号の0レベルは映像信号のペデスタルレベル(黒レベル)であり、1レベルは映像信号の白レベルの70%のレベルである。」(段落【0015】)
「階層2はデータリンク層であり、ここでは、信号は1、0の論理データとして扱われる。1つの水平走査線で伝送される一連のデータはデータラインと呼ばれる。データラインは、データパケットから構成され、データパケットは誤り訂正符号((272,190)短縮化差集合巡回符号)により誤りから保護されている。受信側では、クロックラインをもとにビット同期を得、フレーミングコードをもとにデータブロックの開始を検出できる。」(段落【0016】)
「階層3は主にプリフィックスの機能を示す。プリフィックス情報は主に論理チャネル情報とブロック連結情報とからなる。論理チャネル情報により、データブロックが所属する論理チャネル別に分類される。ブロック連結情報は、ブロック連結の開始、終了等の情報を含み、これにより、関連するデータブロックを連結し、意味のある一まとまりのデータであるデータグループを生成する。この実施例においては、このデータグループをメッセージと呼び、処理単位とする。」(段落【0017】)

〈コンテンツ情報〉
「つぎに以上のようにしてVBI方式で伝送されるコンテンツ情報について説明する。伝送されるコンテンツ情報は、主にウェブ情報であるが、どのような形式の情報であってもよい。例えばコンピュータ・プログラムのコードであってもよい。」(段落【0018】)

〈B-HTTPフォーマット〉
「図5は、コンテンツ情報の処理単位(メッセージ)のデータフォーマットを示す。以下では、これをBitcast-HTTPフォーマットと呼び、B-HTTPとも略す(Bitcastは株式会社インフォシティの商標である。HTTPはハイパーテキストマークアップランゲージの略称である)。図5において、B-HTTPフォーマットには○1コンテント型と○2グループ情報型とがある。コンテント型はコンテント自体を伝送することを目的とするものであり、グループ情報型はコンテント自体の伝送を目的とせずに複数のコンテントをグループ化する情報を伝送するものである。コンテント型のフォーマットのメッセージをコンテントメッセージと呼び、グループ情報型のフォーマットのメッセージをグループメッセージと呼ぶことにする。」(段落【0019】)
「コンテントメッセージは単独でまたはグループメッセージとともに伝送される。単独で伝送されるコンテントメッセージのグループ識別子はオールゼロ(グループと無関係を示す)となる。コンテントメッセージがグループメッセージとともに伝送される場合には、まずグループメッセージが伝送され、このグループメッセージで指示された個数のコンテンツメッセージが順次伝送される。この場合、コンテントメッセージの識別子はすべてグループメッセージの識別子と同一である。コンテントメッセージ中においては、グループメッセージにおいてすでに指示されている情報(例えば後述する有効期間開始時刻エレメントで規定される情報)を省略することができる。」(段落【0020】)
「図5において、B-HTTPフォーマットは、バージョンのフィールド(型識別子を含む)、グループ識別子のフィールド、B-HTTPエレメントのフィールド、コンテントボディのフィールドおよびコンテントボディおよびB-HTTPエレメントの間を区分するセパレータ(オールゼロ)のフィールドからなっている。主なフィールドは以下のとおりである。
(1)バージョン:上位4ビットは”0000”とする。プロトコル変更時に用いられる。下位4ビットはコンテントメッセージとグループメッセージとを区別するものである。
(2)グループ識別子:ブループを識別するための32ビットのIDである。コンテント型においてオール・ゼロとした場合にはグループから独立した情報であることを示す。
(3)B-HTTPエレメント省略可能な付加的な情報を与えるものである。図6および図7を参照して後述する。
(4)コンテント数:グループに所属するコンテントメッセージの数を指定する。
(5)コンテントボディ:HTML(構造化文書)、GIF(画像)、JPEG(画像)等で記述された、コンテントメッセージ中の本来の内容を格納する。」(段落【0021】)

〈B-HTTPエレメント〉
「つぎにB-HTTPエレメントの詳細について説明する。図6および図7はこのエレメントの例を示す。図において、エレメントは、識別子、長さおよびボディからなっている。以下にその内容を説明する。
(1)MIMEヘッダ:HTTPプロトコルに準拠する(マルチパーポスインターネットメイルエクステンション)。コンテントの種類などを記述する。
(2)名前エレメント:URL(ユニフォームリソースロケータ、インターネット上のリソースの名前付けの規則)のファイル名に該当する。グループから独立したコンテントメッセージではフルパスで指定する。グループメッセージではディレクトリ名で指定する。
(3)コンテント圧縮指定エレメント:コンテントを圧縮形式を指定する。ゼロの場合コンテントが圧縮されていないことを示す。
(4)キーワードエレメント:キーワードの付加に用いる。後述する検索やクリッピング等を行うときに用いる。
(5)アイコンエレメント:所定のメッセージを受信(見かけ上の受信)したことを視聴者に通知する目的で表示画面の一部例えば下部に表示するアイコンの情報を格納する。なお、メッセージは後述する有効期間の開始時刻に先だって実際に受信されており、有効期間の開始時刻が見かけの受信時刻に該当する。このようにしているのでデータ量の大きいメッセージでも十分にリードタイムを取って伝送・受信することが可能となる。
(6)ライブモードエレメント:テレビジョン放送の本放送(通常の放送内容)と同期したメッセージであり、指定時刻(有効期間の開始時刻)に表示されるべき情報であることを示す。
(7)有効期間開始時刻エレメント(相対時刻):対応するするメッセージが有効になる時刻を、メッセージ受信時刻からの相対時刻で表示するものである。ライブモードのメッセージの場合では、対応するコンテントメッセージの内容を自動表示すべき時刻を格納する。」(段落【0022】)
「なお、相対時刻でなく絶対時刻で表示するようにしてもよい。この場合、対応するするコンテントメッセージが有効になる時刻を、例えばUTC(協定世界時)形式にフレーム番号を付加して通知する。
(8)有効期間エレメント:有効期間開始時刻からの秒数により有効期間を指定する。端末では最低でもこの期間は、メッセージをキャッシュ(ハードディスク等の直接アクセス記憶装置内のキャッシュ)にとどめる。なお、この例ではオール・ワン(すべてのビット位置が1をとる)の有効期間エレメントが、メッセージをキャッシュから強制的に削除することを指示するようになっている。すなわちオール・ワンの有効エレメントが、キャッシュからの削除を示すフラグとして用いられている。もちろん、このフラグとして、固有のエレメントを用いることもできるし、また有効エレメントの他の特定のビットパターンを用いることもできるし、さらに他のエレメントの特定のビットパターンを用いることもできる。
(9)アンカーエレメント:リンク先のリソースのアドレス情報をURLで表示する。たとえばメッセージのアイコンエレメントを用いてアイコンが表示されているときに、そのアイコンをクリックするとアンカーエレメントで指定するリンク先のリソースをアクセスできる。これについては図20および図21を参照して後述する。アンカーエレメントの表示は、例えばURLを用いて、”HTTP://www.infocity.co.jp/dir1/index.html”である。ここで”HTTP”は転送プロトコルであり、”www.infocity.co.jp”はドメイン名であり、”dir1/index.html”はパス名である。なお、この例では、放送衛星や通信衛星からの放送信号やケーブルテレビの有線放送やCD-ROM、DVD、ハードディスク等の記録装置からの情報もアクセスできるようにURLを拡張している。例えば、BS放送の第11チャンネルからHTMLデータを取得するときにはURLは”HTTP://bitcast/BS11/filename.html”となる。ここで”bitcast”は代理サーバである。”BS11”はメディアを表し、ディレクトリに相当する。
(10)クーポンエレメント:オンラインショッピングの割引サービス等種々のサービスに対する権利を表す。
(11)レイアウトエレメント:ブラウザ自体またはブラウザで表示されるコンテントの配置、色、形状、背景、フォントその他の装飾情報を特定する。
(12)暗号化エレメント:暗号化やスクランブル処理等のプロテクトの手法を表示する。
(13)メニューエレメント:アイコンからメニューを表示させるのに用いる。アイコン情報の長さ、アイコン情報、アンカーエレメントの長さ、アンカーエレメント(リンク先)の組を複数特定する。
(14)プログラムエレメント:放送番組の情報を格納する。番組プログラム(番組自体またはコマーシャル)ごとにプログラムエレメントを作成し送ることができる。放送番組の情報としては、番組プログラム(番組自体またはコマーシャル)名の情報、番組プログラムコード(例えばGコード)、放送日時(年月日、曜日なども含む)の情報、出演者(出演者の名前)の情報(1または複数)、プログラムの種別(野球中継、映画などのジャンル等)の情報、その他を含んで構成することができる。放送番組の情報はコンテントボディの属性ではないので、コンテントボディを伴わずに送ることができる。もちろんコンテントボディを伴ってもよい。
(15)キューエレメント:放送番組の記録(録画)の開始タイミングを指示する。キューエレメントもコンテントボディーを伴わずに送ることができる。
(16)プルエレメント:ユーザが指定しなくとも自動的にサーバ等からデータを取り出すのに用いる。」(段落【0023】)
「以上、本放送の内容に多重化して伝送されるメッセージについて説明した。」(段落【0024】)

〈コンテンツ情報を受信するための構成〉
「つぎに、図1のパーソナルコンピュータ20においてコンテンツ情報を受信するための構成を図8を参照して説明する。なお図8において、パーソナルコンピュータ20はテレビジョン信号チューナ41、波形等価回路42、A/D変換器43、パケット抽出部44、番組データ生成部45、B-HTTPサービス部46、Bitcastブラウザ部47等を有している。この例では、B-HTTPサービス部46およびBitcastブラウザ47をBitcastソフトウェア製品48として提供するようになっている。」(段落【0025】)
「チューナ部41は変調されて送信されてきたテレビジョン信号を選局、復調するものである。波形等価回路42はテレビジョン信号の波形の乱れや、信号レベルを補正する。A/D変換器43は特定の水平走査期間の信号を1/364fH(fHは水平走査周波数)秒単位で標本化し、デジタル情報を生成する。A/D変換器43はISO(国際標準化機構)で標準化されたISO参照モデルの物理層(第1層)に相当する。」(段落【0026】)
「パケット抽出部44は、A/D変換器43により標本化されたデジタル情報についてビットおよびバイト単位で同期処理(フレーミング処理)を行い、データパケット情報を抽出し、伝送誤りの検出、訂正を行う。パケット抽出部44はISO参照モデルのデータリンク層(第2層)に対応する。」(段落【0027】)
「番組データ生成部45は、抽出したパケットを、送信側で関連づけられたパケット別に分類、連結し、データブロックを生成する。この番組データ生成部45はISO参照モデルのネットワーク層(第3層)およびトランスポート層(第4層)に相当する。なお、以上のブロック41?45はVBI用の端末でも同様な構成となる。」(段落【0028】)
「以上のようにして生成された番組用のデータブロックはB-HTTPサービス部46に供給される。B-HTTPサービス部46は、図5、図6および図7で説明したB-HTTPフォーマットの規定に従ってメッセージ(データグループ)を処理するものである。その詳細については、図11以降の図面を参照して後に詳細に説明する。Bitcastブラウザ部47はB-HTTPサービス部46での処理に基づいてコンテンツ情報を表示するものである。このブラウザ部47はインターネットのWWWページを表示する通常のブラウザと類似したインターフェースをユーザに提供するものである。」(段落【0029】)

〈B-HTTPサービス部46およびBitcastブラウザ部47の構成例〉
「図11は、B-HTTPサービス部46およびBitcastブラウザ部47の構成例を示しており、この図において、B-HTTPサービス部46はB-HTTPプロトコル解析部50、キャッシュ51およびシーケンス制御部52等からなっている。B-HTTPプロトコル解析部50は、番組データ生成部45から受け取ったメッセージをB-HTTPプロトコルに準拠して解析し、キャッシュに渡す。キャッシュ51は、プロトコル解析部50から受け取った情報を蓄積する。シーケンス制御部52は、キャッシュ51に蓄えられた情報のうち、予め決められた時刻に表示する必要のある情報(リアルタイム情報)に関し、その時刻と内容との対応関係を管理する。そしてシーケンス制御部52は、キャッシュ51の内容を監視してブラウザ部47に対して直近の時刻と内容とを通知する。」(段落【0031】)
「ブラウザ部47は、シーケンス制御部53、コンテンツ解析部54、コンテンツ表示部55およびアイコン表示部56等からなっている。シーケンス制御部53は、直近の予定を記憶し、内部に持つタイマを監視して、指定の時刻にB-HTTPサービス部46を呼び出してコンテントメッセージを取得する。コンテンツ解析部54は、取得したコンテントメッセージを解析する。例えばHTML文法で記述された文書の解析等を行う。コンテンツ表示部55は、コンテンツ解析部54の解析結果に基づいて表示を行う。アイコン表示部56は、メッセージを受信したことを示すアイコンを画面に表示する。」(段落【0032】)

〈画面表示〉
「画面表示は例えば図12に示すように行える。この例では、画面に表示する要素が、ウェブ画面47aおよびテレビ画面47bである。ウェブ画面47aはインターネットのWWWブラウザと同様な外観とユーザインターフェースを有する。画面の表示モードは例えばつぎの3つであり、切り替えることができる。
○1テレビ表示モード:テレビ画面を全画面に表示する。
○2ウェブ表示モード:ウェブ画面を全画面に表示する。
○3複合表示モード:ウェブ画面の一部にテレビ画面を表示する。
アイコン情報を含むメッセージを受信すると、有効期間開始時刻に、例えば画面下部に対応するアイコンを表示する。そのメッセージ中にブラウザに表示するコンテントボディが含まれている場合、アイコンをクリックすると、ウェブ画面にそのコンテンツボディが表示される。このときテレビ表示モードであれば、モードが複合画面モードに移行する。ウェブ画面が表示されるウェブモードまたは複合表示モードではコンテンツボディが表示される。この場合、ユーザは自動更新表示モードと手動表示モードとを選択できる。自動更新表示モードにおいては、現在のコンテントメッセージの表示を、有効期間開始時刻が新たに到来したライブモードのコンテントメッセージの表示で更新する。手動表示モードにおいては、有効期間開始時刻が到来したライブモードのコンテントメッセージをスプールしておき、ユーザ操作に基づいて順次に、あるいはダイアローグで選択して、表示する。」(段落【0034】)

〈B-HTTPサービス部46〉
[キャッシュ・インデックスのデータ構造]
「まず受信されたメッセージの管理に用いるインデックスのデータ構造について説明する。メッセージが受信されるとそのメッセージがキャッシュ(ハードディスク)に記憶される。蓄積ファイルはメッセージ単位となっている。そして、そのメッセージを管理するために、対応するインデックス要素が生成されメモリに記憶される。図13にインデックス要素を示す。インデックス要素は○1ファイル名(名前エレメント)、○2有効期限(協定世界時)、○3保存フラグ(ダウンロード処理の保存の後にオンにする)、○4ライブフラグ(ライブモードかどうかを示す)、○5アイコンフラグ(アイコンエレメントの有無を示す)、○6プルフラグ(プルエレメントの有無を示す)、○7キーワードの各フィールドを有している。」(段落【0037】)
「インデックス要素は、例えば2種類のインデックスリストによりポイントされてキャッシュのLRU(Least Recently Used)管理や、ウェブページおよびアイコンの表示管理に用いられる。図14はアクセス順に双方向ポインタを用いてリストを形成したものである。これにより、キャッシュ内のメッセージの管理をLRU法により管理できる。また、図15に示すように表示タイミング(有効時間開始時刻)の順で双方向ポイントを用いてリストを形成できる。このリストを用いれば、表示タイミング順にメッセージを取り出し、ウェブページ等(ライブモードのとき)やアイコンを表示できる。」(段落【0038】)

[ウェブ画面表示]
「図16は、ライブモードエレメントにより指定時刻に自動的に表示されるべき情報をウェブ画面に表示する動作を示している。この図において、有効期間開始時刻(図6の’S’)を参照してタイマ(図示しない)がウェブ表示動作を開始する(S101)。そうすると、表示タイミング順にインデックス要素を1つ取りだし(S102)、ライブフラグを用いてライブモードかどうかを判定し(S103)。ライブモードでなければ(例えばダウンロード用メッセージの場合)、そのまま処理をせずに終了する。ライブモードの場合には、キャッシュからメッセージを読み出し、HTML文書を解析し、ウェブ画面に表示する(S104、S106、S107)。」(段落【0040】)
「ステップS105ではレイアウト情報の取り出しが行われる。レイアウト情報がある場合にはブラウザのレイアウトが変更される。図17にも示すように、ブラウザのレイアウトの情報には、ブラウザ自体またはブラウザに表示されるコンテンツの配置、色、形状、背景、フォント、その他の装飾情報が含まれている。例えば図17に示すように、ブラウザ内に表示されるテレビ画面(複合表示モード)についてx=20、y=20、h=240、w=320と指定することにより、図18に示すようなレイアウトに変更することができる。」(段落【0041】)

[アイコン表示]
「図19は、アイコンを指定時刻に表示する動作を示している。先に説明したウェブの表示はウェブ画面が開いていないと表示されない。ここで説明するアイコンはウェブ画面が開いているかどうかに拘わらず表示される。図19において、この図において、有効期間開始時刻を参照してタイマ(図示しない)がアイコン表示動作を開始する(S111)。そうすると、表示タイミング順にインデックス要素を1つ取りだし(S112)、アイコンフラグを参照してアイコンエレメントがあるかどうかを判定する(S113)。アイコンエレメントがなければ、そのまま処理をせずに終了する。アイコンエレメントがある場合には、キャッシュからメッセージを読み出し、アイコン情報を取りだし、画面に表示する(S114、S116、S117)。」(段落【0043】)

[アイコンクリック処理]
「図20および図2021面上のアイコンをクリックしたときの動作を示す。図20において、アイコンのクリックに応じて、アイコンに該当するメッセージ名を取得し、キャッシュを検索する(S121、S122、S123)。キャッシュに該当するものがなければ、エラーを返して終了し(S124、S125)、該当するメッセージ名があれば、アンカーエレメントがあるかどうかを調べる(S126)。アンカーエレメントはデータのソースを特定する。データのソースには、インターネット上のサーバ、放送衛星や通信衛星からの放送信号、ケーブルテレビの有線放送信号、CD-ROM、DVD、ハードディスク等がある。」(段落【0047】)
「アンカーエレメントがある場合には、対応するデータのソースがインターネット上のサーバかどうか、すなわちTCP/IP接続が必要かどうかを判別する(S127)。データソースがインターネット上のサーバである場合には、インターネット上のサーバにアクセスして情報を取り出す。すなわちTCP/IP接続を行い、HTML文書(データ)を要求し、受信する(S128、S129、S130)。この後、受信したHTML文書を解析し、ウェブ画面に表示する(S131、S133、S135)。なお、この場合アンカーエレメントは例えば”HTTP://www.infocity.co.jp/dir1/index.html”である。」(段落【0048】)
「ステップS127において、データのソースがインターネット上のサーバでない場合、すなわち放送衛星や通信衛星からの放送信号、ケーブルテレビの有線放送信号、有線を用いたサービス、CD-ROM、DVD、ハードディスク等である場合には、放送衛星や通信衛星からの放送信号、ケーブルテレビの有線放送信号、CD-ROM、DVD、ハードディスク等のストリームと接続し、またはストリームをオープンし、その後ステップS129以降の処理を行う。なお、ステップS132においてブラウザで表示可能かどうかが判別され、表示不可能な場合にはダイアローグを表示してファイルへの保存が行われるようにする(S134)。なお、このようなデータソースの場合には、アンカーエレメントは例えば”HTTP://bitcast/BS11/filename.html”となる。ディレクトリに該当するメディア(データソース)のソース識別子例えばBS11(BS放送の第11チャンネル)に応じて機器を駆動してデータを取得する。」(段落【0049】)
「データソースとなる放送衛星や通信衛星からの放送信号、ケーブルテレビの有線放送信号からの情報は、本放送で伝送される情報でもよいし、本放送に多重化される情報でもよい。」(段落【0050】)
「他方アンカーエレメントがない場合には、メニューエレメントおよび暗号エレメントが調べられる。ここではメニューエレメントに関連する処理をまず説明し、暗号エレメントがある場合の処理は後述する。メニューエレメントがある場合にはメニューを表示し(S137、S152)、メニューの項目(アイコン)が選択されたときにはステップS123に戻る。メニューの項目が選択されないときには終了する(S154)。メニューを用いることによりきめ細かな選択を行える。例えばアイコンが広告主の会社を表しているときに、メニューを用いて個々の製品を表すようにできる。メニューを複数の階層で表すことも可能である。」(段落【0051】)
「ステップS137において、メニューエレメントがない場合には、暗号化エレメントがあるかどうかを調べる。暗号化エレメントがない場合には、データブロックのMIMEエレメントを取得してコンテンツボディの種類を調べる(S139)。エレメントが”text”または”html”の場合にはHTML文書として解析を行い、ウェブ画面に表示する(S140?S143)。エレメントが”program”の場合にはコンテンツボディをプログラムとみなして実行する(S144?S146)。」(段落【0052】)

[プルエレメントによるデータの自動取り込み]
「図32は、プルエレメントによるデータの自動取り込みの動作を示す。図32において、ブラウザの表示が開始されると表示されているコンテントボディに対応するプルエレメントがあるかどうかが判別される(S271、S272)。すなわち、図13のインデックス要素を参照してプルフラグの有無をチェックする。プルエレメントがなければ、そのまま何もしない。他方、プルエレメントがあると、プルエレメントのURLを参照してTCP/IP接続する必要があるかどうかを判別する(S273)。URLが外部のサーバを指定する場合には、TCP/IP接続が必要である判断してTCP/IP接続を行ってデータを取得する(S274、S276)。他方、URLがCD-ROMやハードディスク等の記録装置やBS、CS、CATVのチューナからのストリームを指定する場合には、対応するストリームとの接続またはストリームのオープンを行い、当該ストリームからデータを取得する(S275、S276)。以上のようにして取得されたデータはブラウザに表示される。」(段落【0088】)

「・・・また、コンテンツボディを伴わずに、プルエレメントを生成して多重化して送信し、これを受信したときにプルエレメントのURL等の情報に基づいてコンテンツ情報を自動的に取り出し画面に表示させるようにすることができる。」(段落【0091】)

〈発明の効果〉
「以上説明したように、この発明によれば、放送信号に多重化されて送られてきた情報を利用して簡易にインターネット上のサイトやコンテンツにアクセスできる。」(段落【0108】)

3 対比
(1)引用発明
刊行物1の実施例には、以下の「放送および情報処理システム」が記載されている。
「テレビジョン放送局10には放送サーバ11、コンテンツ製作用端末12、送信施設13・・・が設けられている。放送サーバ11で作成された放送プログラムは送信施設13を介して放送される。放送プログラムの送信信号中には、・・・コンテンツ情報信号とが含まれる。受信側では、・・・放送信号が受信され、・・・テレビジョン受像機能を有するパーソナルコンピュータ・・・で放送信号を再生する。・・・パーソナルコンピュータ20は放送信号を復調する機能を有し、復調した信号に基づいてスクリーンの全部または一部を利用してテレビジョン画像を再生する。・・・パーソナルコンピュータ20は・・・インターネット30に接続され、このインターネットには種々のサーバが接続されている。・・・」(段落【0009】)
「・・・パーソナルコンピュータ20においてコンテンツ情報を受信する・・・」(段落【0025】)

〈B-HTTPフォーマット〉
「・・・コンテンツ情報の処理単位(メッセージ)のデータフォーマットを・・・Bitcast-HTTPフォーマットと呼び、B-HTTPとも略す・・・。」(段落【0019】)
「・・・B-HTTPフォーマットは、・・・B-HTTPエレメントのフィールド、コンテントボディのフィールド・・・からなっている。
・・・B-HTTPエレメント・・・付加的な情報を与えるものである。・・・
・・・コンテントボディ:・・・コンテントメッセージ中の本来の内容を格納する。」(段落【0021】)

〈B-HTTPエレメント〉
「・・・B-HTTPエレメントの詳細について説明する。・・・
・・・アイコンエレメント:所定のメッセージを受信(見かけ上の受信)したことを視聴者に通知する目的で表示画面の一部例えば下部に表示するアイコンの情報を格納する。・・・
・・・ライブモードエレメント:テレビジョン放送の本放送(通常の放送内容)と同期したメッセージであり、指定時刻(有効期間の開始時刻)に表示されるべき情報であることを示す。
・・・有効期間開始時刻エレメント・・・:対応するするメッセージが有効になる時刻・・・」(段落【0022】)
「・・・アンカーエレメント:リンク先のリソースのアドレス情報をURLで表示する。・・・
・・・レイアウトエレメント:ブラウザ自体またはブラウザで表示されるコンテントの配置、色、形状、背景、フォントその他の装飾情報を特定する。
・・・プルエレメント:ユーザが指定しなくとも自動的にサーバ等からデータを取り出すのに用いる。」(段落【0023】)

[キャッシュ・インデックスのデータ構造]
「メッセージが受信されるとそのメッセージがキャッシュ(ハードディスク)に記憶される。」(段落【0037】)
「インデックス要素は、・・・インデックスリストによりポイントされて・・・ウェブページおよびアイコンの表示管理に用いられる。・・・表示タイミング(有効時間開始時刻)の順で双方向ポイントを用いてリストを形成でき・・・、表示タイミング順にメッセージを取り出し、ウェブページ等(ライブモードのとき)やアイコンを表示できる。」(段落【0038】)

[ウェブ画面表示]
「・・・表示タイミング順にインデックス要素を1つ取りだし、ライブフラグを用いてライブモードかどうかを判定し・・・ライブモードの場合には、キャッシュからメッセージを読み出し、HTML文書を解析し、ウェブ画面に表示する。」(段落【0040】)
「・・・レイアウト情報がある場合にはブラウザのレイアウトが変更される。・・・」(段落【0041】)

[アイコン表示][アイコンクリック処理]
「・・・表示タイミング順にインデックス要素を1つ取りだし、・・・アイコンエレメントがある場合には、・・・アイコン情報を取りだし、画面に表示する。」(段落【0043】)
「・・・アイコンのクリックに応じて、・・・アンカーエレメント(の)・・・データソースがインターネット上のサーバである場合には、インターネット上のサーバにアクセスして情報を取り出・・・し、ウェブ画面に表示する。・・・」(段落【0047】?【0048】)

[プルエレメントによるデータの自動取り込み]
「ブラウザの表示が開始されると表示されているコンテントボディに対応するプルエレメントが・・・あると、プルエレメントのURLを参照して・・・データを取得(し)・・・データはブラウザに表示される。」(段落【0088】)

以上をまとめると、刊行物1には、次の「放送および情報処理システム」が記載されている。

「テレビジョン放送局10には放送サーバ11、コンテンツ製作用端末12、送信施設13が設けられ、
放送サーバ11で作成されたコンテンツ情報信号が含まれる放送プログラムは送信施設13を介して放送され、
テレビジョン受像機能を有するパーソナルコンピュータ20でコンテンツ情報を含む放送信号を受信し、復調し、ウェブ画面の一部を利用してテレビジョン画像を再生し、パーソナルコンピュータ20はインターネット30に接続され、このインターネットには種々のサーバが接続され、
コンテンツ情報の処理単位(メッセージ)のデータフォーマット(B-HTTPとも略す。)は、付加的な情報を与えるB-HTTPエレメントのフィールド、コンテントメッセージ中の本来の内容を格納するコンテントボディのフィールドを含む複数のフィールドからなり、
B-HTTPエレメントは、
所定のメッセージを受信(見かけ上の受信)したことを視聴者に通知する目的で表示画面の一部例えば下部に表示するアイコンの情報を格納するアイコンエレメント、
テレビジョン放送の本放送(通常の放送内容)と同期したメッセージであり、指定時刻(有効期間の開始時刻)に表示されるべき情報であることを示す、ライブモードエレメント、
対応するメッセージが有効になる時刻を示す有効期間開始時刻エレメント、
リンク先のリソースのアドレス情報をURLで表示するアンカーエレメント、
ブラウザ自体またはブラウザで表示されるコンテントの配置、色、形状、背景、フォントその他の装飾情報を特定するレイアウトエレメント、
ユーザが指定しなくとも自動的にサーバ等からデータを取り出すのに用いるプルエレメント、
を含み、
メッセージが受信されるとそのメッセージがキャッシュ(ハードディスク)に記憶され、インデックス要素は、インデックスリストによりポイントされて、ウェブページおよびアイコンの表示管理に用いられ、表示タイミング(有効時間開始時刻)の順で双方向ポイントを用いてリストが形成され、
表示タイミング順にインデックス要素を1つ取りだし、ライブフラグを用いてライブモードかどうかを判定し、ライブモードの場合には、キャッシュからメッセージを読み出し、ウェブ画面に表示し、レイアウト情報がある場合にはブラウザのレイアウトが変更され、
表示タイミング順にインデックス要素を1つ取りだし、アイコンエレメントがある場合には、アイコン情報を取りだし、画面に表示し、アイコンのクリックに応じて、アンカーエレメントのデータソースがインターネット上のサーバである場合には、インターネット上のサーバにアクセスして情報を取り出し、ウェブ画面に表示し、
ブラウザの表示が開始されると表示されているコンテントボディに対応するプルエレメントがあると、プルエレメントのURLを参照して、データを取得し、データはブラウザに表示される、
放送および情報処理システム。」

上記「放送および情報処理システム」は、複数のB-HTTPエレメントを含み、テレビジョン放送局10は、その中からエレメントを選択してコンテンツ情報とすることができるものであるから、ライブモードエレメント、有効期間開始エレメント及びレイアウトエレメントをコンテンツ情報とするものを発明として認定する(以下「引用発明」という。)。
引用発明は、次のとおりである。

「テレビジョン放送局10には放送サーバ11、コンテンツ製作用端末12、送信施設13が設けられ、
放送サーバ11で作成されたコンテンツ情報信号が含まれる放送プログラムは送信施設13を介して放送され、
テレビジョン受像機能を有するパーソナルコンピュータ20でコンテンツ情報を含む放送信号を受信し、復調し、ウェブ画面の一部を利用してテレビジョン画像を再生し、パーソナルコンピュータ20はインターネット30に接続され、このインターネットには種々のサーバが接続され、
コンテンツ情報の処理単位(メッセージ)のデータフォーマット(B-HTTPとも略す。)は、付加的な情報を与えるB-HTTPエレメントのフィールド、コンテントメッセージ中の本来の内容を格納するコンテントボディのフィールドを含む複数のフィールドからなり、
B-HTTPエレメントは、
テレビジョン放送の本放送(通常の放送内容)と同期したメッセージであり、指定時刻(有効期間の開始時刻)に表示されるべき情報であることを示す、ライブモードエレメント、
対応するメッセージが有効になる時刻を示す有効期間開始時刻エレメント、
ブラウザ自体またはブラウザで表示されるコンテントの配置、色、形状、背景、フォントその他の装飾情報を特定するレイアウトエレメント、
を含み、
メッセージが受信されるとそのメッセージがキャッシュ(ハードディスク)に記憶され、インデックス要素は、インデックスリストによりポイントされて、ウェブページおよびアイコンの表示管理に用いられ、表示タイミング(有効時間開始時刻)の順で双方向ポイントを用いてリストが形成され、
表示タイミング順にインデックス要素を1つ取りだし、ライブフラグを用いてライブモードかどうかを判定し、ライブモードの場合には、キャッシュからメッセージを読み出し、ウェブ画面に表示し、レイアウト情報がある場合にはブラウザのレイアウトが変更される、
放送および情報処理システム。」

(2)対比
ア「動画コンテンツを放送により配信するとともに、その動画コンテンツに関連したデータコンテンツをネットワーク経由で配信する動画配信システム」

引用発明の「放送及び情報処理システム」は、放送プログラム、コンテンツ情報を放送するものであり、放送プログラム、コンテンツ情報は、動画コンテンツ、データコンテンツといえるので、「動画コンテンツを放送により配信するとともに、データコンテンツを配信する動画配信システム」といえる。
もっとも、引用発明における「コンテンツ情報」(補正後発明にいう「データコンテンツ」)が、動画コンテンツに関連したものと限定がなく、ネットワーク経由で配信されていない点で、補正後発明と相違する。

イ「動画コンテンツと、その動画の再生に伴って所定のデータコンテンツへアクセスするためのアクセス情報および当該データコンテンツの再生時刻情報とを放送データとして送信するとともに、前記動画の再生に伴って前記アクセス情報に基づき要求されたデータコンテンツを通信ネットワークを介して通信データとして送信するサーバ」

引用発明の「コンテンツ情報の処理単位(メッセージ)のデータフォーマットの一つであるライブモードエレメント」は、「テレビジョン放送の本放送(通常の放送内容)と同期したメッセージであり、指定時刻(有効期間の開始時刻)に表示されるべき情報であることを示す」ものであり、「有効期間開始時刻エレメント」とともに「コンテンツ情報」として、テレビジョン画像と共に放送プログラムとしてテレビジョン放送局10から放送され、テレビジョン放送局10は、放送サーバ11を含み、「サーバ」といえるから、引用発明は、「動画コンテンツと、データコンテンツおよび当該データコンテンツの再生時刻情報とを放送データとして送信するサーバ」を備えているといえる。
もっとも、引用発明の「コンテンツ情報」(補正後発明にいう「データコンテンツ」)は、「その動画の再生に伴って所定のデータコンテンツへアクセスするためのアクセス情報」として送信されるものではなく、引用発明の「サーバ」が、「前記動画の再生に伴って前記アクセス情報に基づき要求されたデータコンテンツを通信ネットワークを介して通信データとして送信する」ものでない点で補正後発明と相違する。

ウ「前記サーバから受信した動画コンテンツおよびデータコンテンツをモニタ画面上に表示する情報端末装置」

引用発明の「パーソナルコンピュータ20」は、ウェブ画面の一部にテレビジョン画像とコンテンツ情報であるメッセージをウェブ画面に表示するものであるから、「前記サーバから受信した動画コンテンツおよびデータコンテンツをモニタ画面上に表示する情報端末装置」といえる。
もっとも、「データコンテンツ」については、上記イのとおりの相違がある。

エ「前記サーバは、前記情報端末装置の画面上に、放送により得られた動画コンテンツと通信により得られたデータコンテンツとを同時に表示する際の表示態様を決定する表示態様コマンドを前記アクセス情報および前記再生時刻情報に加えて放送により送信し」

引用発明は、「レイアウト情報がある場合にはブラウザのレイアウトが変更される」ものであり、「コンテンツ情報の処理単位(メッセージ)のデータフォーマット」の「B-HTTPエレメント」のひとつである「レイアウトエレメント」は「ブラウザ自体またはブラウザで表示されるコンテントの配置、色、形状、背景、フォントその他の装飾情報を特定する」ものであるから、「前記情報端末装置の画面上に、放送により得られた動画コンテンツと通信により得られたデータコンテンツとを同時に表示する際の表示態様を決定する表示態様コマンド」といえる。
また、引用発明の「レイアウトエレメント」は、「コンテンツ情報の処理単位(メッセージ)のデータフォーマット」の「B-HTTPエレメント」であるから、「前記再生時刻情報に加えて放送により送信」するものといえる。
そして、上記イのとおり、引用発明の「テレビジョン放送局10」は「サーバ」といえる。
以上より、引用発明においては、
「前記サーバは、前記情報端末装置の画面上に、放送により得られた動画コンテンツとデータコンテンツとを同時に表示する際の表示態様を決定する表示態様コマンドを前記再生時刻情報に加えて放送により送信し」ているといえる。
もっとも、上記イのとおり、「データコンテンツ」については、通信により得られたものでなく、「アクセス情報」が放送により送信されるものでない点で、補正後発明と相違する。

オ「複数組の前記再生時刻情報およびアクセス情報は、個々の動画コンテンツに対応して用意され、その動画の再生に連動したデータコンテンツの再生スケジュールを定め」

引用発明は、「メッセージが受信されるとそのメッセージがキャッシュ(ハードディスク)に記憶され、インデックス要素は、インデックスリストによりポイントされて、ウェブページおよびアイコンの表示管理に用いられ、表示タイミング(有効時間開始時刻)の順で双方向ポイントを用いてリストが形成され」るから、「動画の再生に連動したデータコンテンツの再生スケジュールを定め」ているといえる。また、「表示タイミング(有効時間開始時刻)の順で双方向ポイントを用いてリストが形成され」るから、複数組の情報があることは明らかである。
引用発明の「コンテンツ情報」は放送プログラムに含まれているから、テレビジョン画像に対応して用意されているといえる。
そうすると、引用発明は、「複数組の前記再生時刻情報およびデータコンテンツは、個々の動画コンテンツに対応して用意され、その動画の再生に連動したデータコンテンツの再生スケジュールを定め」ているといえる。
もっとも、「複数組の前記再生時刻情報およびデータコンテンツ」における「データコンテンツ」は、上記イのとおり、補正後発明においては「アクセス情報」である点で相違する。

カ「前記情報端末装置は、自己のモニタ画面上に、放送により受信された前記動画コンテンツを再生するとともに、この再生に伴って前記再生スケジュール情報に従い、前記アクセス情報に基づいて通信により前記データコンテンツを逐次要求・受信し、前記表示態様コマンドに従って前記動画コンテンツとデータコンテンツとを同時に表示する」

引用発明は、「テレビジョン受像機能を有するパーソナルコンピュータ20でコンテンツ情報を含む放送信号を受信し、復調し、ウェブ画面の一部を利用してテレビジョン画像を再生し」、「メッセージが受信されるとそのメッセージがキャッシュ(ハードディスク)に記憶され、インデックス要素は、インデックスリストによりポイントされて、ウェブページおよびアイコンの表示管理に用いられ、表示タイミング(有効時間開始時刻)の順で双方向ポイントを用いてリストが形成され、」「表示タイミング順にインデックス要素を1つ取りだし、ライブフラグを用いてライブモードかどうかを判定し、ライブモードの場合には、キャッシュからメッセージを読み出し、ウェブ画面に表示」するから、
「前記情報端末装置は、自己のモニタ画面上に、放送により受信された前記動画コンテンツを再生するとともに、この再生に伴って前記再生スケジュール情報に従い、前記表示態様コマンドに従って前記動画コンテンツとデータコンテンツとを同時に表示する」
といえる。
もっとも、引用発明は、「前記アクセス情報に基づいて通信により前記データコンテンツを逐次要求・受信し」ていない点で、補正後発明と相違する。

キ 上記ア?カの相違は、補正後発明が「データコンテンツ」へのアクセスするためのアクセス情報を放送データとして送信しているのに対し、引用発明が「データコンテンツ」を放送データとして送信することに伴い、補正後発明においては、情報端末装置がアクセス情報に基づて「データコンテンツ」を逐次要求し、アクセス情報に基づき要求された「データコンテンツ」を通信ネットワークを介してサーバが送信するのに対し、引用発明においてはそのような構成になっていない点であり、また、補正後発明の「データコンテンツ」が動画コンテンツに関連したものであるに対し、引用発明の「データコンテンツ」にそのような限定がない点である。

4 一致点、相違点
補正後発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。

(一致点)
「動画コンテンツを放送により配信するとともに、データコンテンツを配信する動画配信システムであって、
動画コンテンツと、データコンテンツおよび当該データコンテンツの再生時刻情報とを放送データとして送信するサーバと、
前記サーバから受信した動画コンテンツおよびデータコンテンツをモニタ画面上に表示する情報端末装置とを備え、
前記サーバは、前記情報端末装置の画面上に、放送により得られた動画コンテンツとデータコンテンツとを同時に表示する際の表示態様を決定する表示態様コマンドを前記再生時刻情報に加えて放送により送信し、
複数組の前記再生時刻情報およびデータコンテンツは、個々の動画コンテンツに対応して用意され、その動画の再生に連動したデータコンテンツの再生スケジュールを定め、
前記情報端末装置は、自己のモニタ画面上に、放送により受信された前記動画コンテンツを再生するとともに、この再生に伴って前記再生スケジュール情報に従い、前記表示態様コマンドに従って前記動画コンテンツとデータコンテンツとを同時に表示する
ことを特徴とする動画配信システム。」

(相違点)
「データコンテンツ」は、補正後発明においては、動画コンテンツに関連したものであり、その動画の再生に伴って所定の「データコンテンツ」へアクセスするためのアクセス情報が放送データとして送信され、情報端末装置がアクセス情報に基づて「データコンテンツ」を逐次要求し、アクセス情報に基づき要求された「データコンテンツ」を通信ネットワークを介してサーバが送信するのに対し、引用発明においては、動画コンテンツに関連したものとの限定はなく、「データコンテンツ」が放送データとして送信されるため、アクセス情報が放送データとして送信されず、情報端末装置がアクセス情報に基づいて「データコンテンツ」を逐次要求するものでなく、アクセス情報に基づき要求された「データコンテンツ」を通信ネットワークを介してサーバが送信するものでない点

5 相違点等の判断
刊行物1には、メッセージをウェブ画面に表示するライブモードの他、アイコンを表示させ、アイコンのクリックに応じてインターネット上のサーバにアクセスして情報を取り出し、ウェブ画面に表示すること、及び、プリエレメントがあると、プリエレメントのURLを参照してデータを取得して、ブラウザに表示させることが記載されている。URL等のサーバにアクセスするための情報は、動画の再生に伴って送信されていることは明らかである。
そうすると、刊行物1には、テレビジョン画像と共に表示させる内容を得るのに、その内容を放送信号に含ませて送信すること、及びその内容を放送信号に含ませるのではなく、放送信号にはURL等のアクセス情報を含ませ、そのアクセス情報を用いてその内容を得ることが開示されている。
引用発明は、テレビジョン画像と共に表示させる内容を得るのに、その内容を放送信号に含ませて送信するものであるが、その内容を得るのに、放送信号にURL等のアクセス情報を含ませ、そのアクセス情報を用いてその内容を得ることが刊行物1に開示されているのであるから、表示させる内容を得るのに、その内容を放送信号に含ませて送信することに代えて、放送信号にURL等のアクセス情報を含ませ、そのアクセス情報を用いてその内容を得ることは当業者が容易になし得たことである。
そして、アクセス情報を用いて表示させる内容を得ることは、「情報端末装置がアクセス情報に基づて『データコンテンツ』を逐次要求し、アクセス情報に基づき要求された『データコンテンツ』を通信ネットワークを介してサーバが送信する」ことと同じであるから、引用発明において、表示させる内容を放送信号に含ませて送信する代わりに、「動画の再生に伴って所定の『データコンテンツ』へアクセスするためのアクセス情報が放送データとして送信され、情報端末装置がアクセス情報に基づて『データコンテンツ』を逐次要求し、アクセス情報に基づき要求された『データコンテンツ』を通信ネットワークを介してサーバが送信する」ようにすることは当業者が容易になし得たことである。
その際、URL等のアクセス情報からインターネット上のサーバにアクセスして得た情報は、動画コンテンツ共に表示されるものであるから、動画コンテンツに全く関係ないものではなく、動画コンテンツに関連したものにすることは自然なことであり、また、刊行物1の段落【0007】に「放送コンテンツとインターネット上のコンテンツとを関連づけることができる。」と記載されていることから、動画コンテンツに関連したものにすることは当業者が容易になし得たことである。

そして、補正後発明が奏する効果は、当業者が容易に予測できたものである。

6 まとめ
以上、補正後発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成19年3月28日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?請求項20に係る発明は、平成18年4月7日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?請求項20に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。

「動画コンテンツと、その動画の再生に伴って所定のデータコンテンツへアクセスするためのアクセス情報および当該データコンテンツの再生時刻情報を放送データとして送信するとともに、前記動画の再生に伴って前記アクセス情報に基づき要求されたデータコンテンツを通信ネットワークを介して通信データとして送信するサーバと、
前記サーバから受信した動画コンテンツおよびデータコンテンツをモニタ画面上に表示する情報端末装置とを備え、
前記サーバは、前記アクセス情報および前記再生時刻情報に加えて、前記情報端末装置の画面内の動画コンテンツおよびデータコンテンツの表示態様を決定する表示態様コマンドを放送により送信し、
複数組の前記再生時刻情報およびアクセス情報は、個々の動画コンテンツに対応して用意され、その動画の再生に連動したデータコンテンツの再生スケジュールを定め、
前記情報端末装置は、自己のモニタ画面上に、前記動画コンテンツを再生するとともに、この再生に伴って前記再生スケジュール情報に従い、前記アクセス情報に基づいて通信により前記データコンテンツを逐次要求・受信し、前記表示態様コマンドに従って前記動画コンテンツおよびデータコンテンツの表示を行う
ことを特徴とする動画配信システム。」

2 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の2に記載したとおりである。

3 対比
引用文献1に記載された発明は、引用発明と同じである(上記第2の3(1))。
本願発明と引用文献1に記載された発明を対比する。

(1)「動画コンテンツと、その動画の再生に伴って所定のデータコンテンツへアクセスするためのアクセス情報および当該データコンテンツの再生時刻情報を放送データとして送信するとともに、前記動画の再生に伴って前記アクセス情報に基づき要求されたデータコンテンツを通信ネットワークを介して通信データとして送信するサーバ」

引用発明の「コンテンツ情報の処理単位(メッセージ)のデータフォーマットの一つであるライブモードエレメント」は、「テレビジョン放送の本放送(通常の放送内容)と同期したメッセージであり、指定時刻(有効期間の開始時刻)に表示されるべき情報であることを示す」ものであり、「有効期間開始時刻エレメント」とともに「コンテンツ情報」として、テレビジョン画像と共に放送プログラムとしてテレビジョン放送局10から放送され、テレビジョン放送局10は、放送サーバ11を含み、「サーバ」といえるから、引用発明は、「動画コンテンツと、データコンテンツおよび当該データコンテンツの再生時刻情報とを放送データとして送信するサーバ」を備えているといえる。
もっとも、引用発明の「コンテンツ情報」(本願発明にいう「データコンテンツ」)は、「その動画の再生に伴って所定のデータコンテンツへアクセスするためのアクセス情報」として送信されるものではなく、引用発明の「サーバ」が、「前記動画の再生に伴って前記アクセス情報に基づき要求されたデータコンテンツを通信ネットワークを介して通信データとして送信する」ものでない点で本願発明と相違する。

(2)「前記サーバから受信した動画コンテンツおよびデータコンテンツをモニタ画面上に表示する情報端末装置」

引用発明の「パーソナルコンピュータ20」は、ウェブ画面の一部にテレビジョン画像とコンテンツ情報であるメッセージをウェブ画面に表示するものであるから、「前記サーバから受信した動画コンテンツおよびデータコンテンツをモニタ画面上に表示する情報端末装置」といえる。
もっとも、「データコンテンツ」については、上記(1)のとおりの相違がある。

(3)「前記サーバは、前記アクセス情報および前記再生時刻情報に加えて、前記情報端末装置の画面内の動画コンテンツおよびデータコンテンツの表示態様を決定する表示態様コマンドを放送により送信し」

引用発明は、「レイアウト情報がある場合にはブラウザのレイアウトが変更される」ものであり、「コンテンツ情報の処理単位(メッセージ)のデータフォーマット」の「B-HTTPエレメント」のひとつである「レイアウトエレメント」は「ブラウザ自体またはブラウザで表示されるコンテントの配置、色、形状、背景、フォントその他の装飾情報を特定する」ものであるから、「前記情報端末装置の画面内の動画コンテンツおよびデータコンテンツの表示態様を決定する表示態様コマンド」といえる。
また、引用発明の「レイアウトエレメント」は、「コンテンツ情報の処理単位(メッセージ)のデータフォーマット」の「B-HTTPエレメント」であるから、「前記再生時刻情報に加えて放送により送信」するものといえる。
そして、上記(1)のとおり、引用発明の「テレビジョン放送局10」は「サーバ」といえる。
以上より、引用発明においては、
「前記サーバは、データコンテンツおよび前記再生時刻情報に加えて、前記情報端末装置の画面内の動画コンテンツおよびデータコンテンツの表示態様を決定する表示態様コマンドを放送により送信し」ているといえる。
もっとも、上記(1)のとおり、「データコンテンツ」については、通信により得られたものでなく、「アクセス情報」が放送により送信されるものでない点で、本願発明と相違する。

(4)「複数組の前記再生時刻情報およびアクセス情報は、個々の動画コンテンツに対応して用意され、その動画の再生に連動したデータコンテンツの再生スケジュールを定め」

引用発明は、「メッセージが受信されるとそのメッセージがキャッシュ(ハードディスク)に記憶され、インデックス要素は、インデックスリストによりポイントされて、ウェブページおよびアイコンの表示管理に用いられ、表示タイミング(有効時間開始時刻)の順で双方向ポイントを用いてリストが形成され」るから、「動画の再生に連動したデータコンテンツの再生スケジュールを定め」ているといえる。また、「表示タイミング(有効時間開始時刻)の順で双方向ポイントを用いてリストが形成され」るから、複数組の情報があることは明らかである。
引用発明の「コンテンツ情報」は放送プログラムに含まれているから、テレビジョン画像に対応して用意されているといえる。
そうすると、引用発明は、「複数組の前記再生時刻情報およびデータコンテンツは、個々の動画コンテンツに対応して用意され、その動画の再生に連動したデータコンテンツの再生スケジュールを定め」ているといえる。
もっとも、「複数組の前記再生時刻情報およびデータコンテンツ」における「データコンテンツ」は、上記(1)のとおり、本願発明においては「アクセス情報」である点で相違する。

(5)「前記情報端末装置は、自己のモニタ画面上に、前記動画コンテンツを再生するとともに、この再生に伴って前記再生スケジュール情報に従い、前記アクセス情報に基づいて通信により前記データコンテンツを逐次要求・受信し、前記表示態様コマンドに従って前記動画コンテンツおよびデータコンテンツの表示を行う」

引用発明は、「テレビジョン受像機能を有するパーソナルコンピュータ20でコンテンツ情報を含む放送信号を受信し、復調し、ウェブ画面の一部を利用してテレビジョン画像を再生し」、「メッセージが受信されるとそのメッセージがキャッシュ(ハードディスク)に記憶され、インデックス要素は、インデックスリストによりポイントされて、ウェブページおよびアイコンの表示管理に用いられ、表示タイミング(有効時間開始時刻)の順で双方向ポイントを用いてリストが形成され、」「表示タイミング順にインデックス要素を1つ取りだし、ライブフラグを用いてライブモードかどうかを判定し、ライブモードの場合には、キャッシュからメッセージを読み出し、ウェブ画面に表示」するから、
「前記情報端末装置は、自己のモニタ画面上に、前記動画コンテンツを再生するとともに、この再生に伴って前記再生スケジュール情報に従い、前記表示態様コマンドに従って前記動画コンテンツおよびデータコンテンツの表示を行う」
といえる。
もっとも、引用発明は、「前記アクセス情報に基づいて通信により前記データコンテンツを逐次要求・受信し」ていない点で、本願発明と相違する。

(6)「動画配信システム」
引用発明の「放送及び情報処理システム」は、放送プログラムを放送するものであり、放送プログラムは、動画コンテンツといえるので、「動画配信システム」といえる。

(7)上記(1)?(5)の相違は、本願発明が「データコンテンツ」へのアクセスするためのアクセス情報を放送データとして送信しているのに対し、引用発明が「データコンテンツ」を放送データとして送信することに伴い、本願発明においては、情報端末装置がアクセス情報に基づて「データコンテンツ」を逐次要求し、アクセス情報に基づき要求された「データコンテンツ」を通信ネットワークを介してサーバが送信するのに対し、引用発明においてはそのような構成になっていない点である。

以上より、本願発明と引用文献1に記載された発明の一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
動画コンテンツと、データコンテンツおよび当該データコンテンツの再生時刻情報を放送データとして送信するサーバと、
前記サーバから受信した動画コンテンツおよびデータコンテンツをモニタ画面上に表示する情報端末装置とを備え、
前記サーバは、前記再生時刻情報に加えて、前記情報端末装置の画面内の動画コンテンツおよびデータコンテンツの表示態様を決定する表示態様コマンドを放送により送信し、
複数組の前記再生時刻情報およびデータコンテンツは、個々の動画コンテンツに対応して用意され、その動画の再生に連動したデータコンテンツの再生スケジュールを定め、
前記情報端末装置は、自己のモニタ画面上に、前記動画コンテンツを再生するとともに、この再生に伴って前記再生スケジュール情報に従い、前記表示態様コマンドに従って前記動画コンテンツおよびデータコンテンツの表示を行う
ことを特徴とする動画配信システム。

(相違点)
「データコンテンツ」は、本願発明においては、動画の再生に伴って所定の「データコンテンツ」へアクセスするためのアクセス情報が放送データとして送信され、情報端末装置がアクセス情報に基づて「データコンテンツ」を逐次要求し、アクセス情報に基づき要求された「データコンテンツ」を通信ネットワークを介してサーバが送信するのに対し、引用発明においては、「データコンテンツ」が放送データとして送信されるため、アクセス情報が放送データとして送信されず、情報端末装置がアクセス情報に基づいて「データコンテンツ」を逐次要求するものでなく、アクセス情報に基づき要求された「データコンテンツ」を通信ネットワークを介してサーバが送信するものでない点

4 判断
引用文献1には、メッセージをウェブ画面に表示するライブモードの他、アイコンを表示させ、アイコンのクリックに応じてインターネット上のサーバにアクセスして情報を取り出し、ウェブ画面に表示すること、及び、プリエレメントがあると、プリエレメントのURLを参照してデータを取得して、ブラウザに表示させることが記載されている。URL等のサーバにアクセスするための情報は、動画の再生に伴って送信されていることは明らかである。
そうすると、引用文献1には、テレビジョン画像と共に表示させる内容を得るのに、その内容を放送信号に含ませて送信すること、及びその内容を放送信号に含ませるのではなく、放送信号にはURL等のアクセス情報を含ませ、そのアクセス情報を用いてその内容を得ることが開示されている。
引用発明は、テレビジョン画像と共に表示させる内容を得るのに、その内容を放送信号に含ませて送信するものであるが、その内容を得るのに、放送信号にURL等のアクセス情報を含ませ、そのアクセス情報を用いてその内容を得ることが引用文献1に開示されているのであるから、表示させる内容を得るのに、その内容を放送信号に含ませて送信することに代えて、放送信号にURL等のアクセス情報を含ませ、そのアクセス情報を用いてその内容を得ることは当業者が容易になし得たことである。
そして、アクセス情報を用いて表示させる内容を得ることは、「情報端末装置がアクセス情報に基づて『データコンテンツ』を逐次要求し、アクセス情報に基づき要求された『データコンテンツ』を通信ネットワークを介してサーバが送信する」ことと同じであるから、引用発明において、表示させる内容を放送信号に含ませて送信する代わりに、「動画の再生に伴って所定の『データコンテンツ』へアクセスするためのアクセス情報が放送データとして送信され、情報端末装置がアクセス情報に基づて『データコンテンツ』を逐次要求し、アクセス情報に基づき要求された『データコンテンツ』を通信ネットワークを介してサーバが送信する」ようにすることは当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明が奏する効果は、当業者が容易に予測できたものである。

5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る請求項2?請求項20に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のように審決する。
 
審理終結日 2009-10-20 
結審通知日 2009-10-22 
審決日 2009-11-05 
出願番号 特願2001-301597(P2001-301597)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長谷川 素直  
特許庁審判長 奥村 元宏
特許庁審判官 佐藤 直樹
小池 正彦
発明の名称 動画配信システム  
代理人 山野 睦彦  
代理人 山野 睦彦  

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