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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1208853
審判番号 不服2007-9676  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-05 
確定日 2009-12-17 
事件の表示 特願2001-343708「取替部品見積処理方法、取替部品見積処理プログラム及び取替部品見積処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月23日出願公開、特開2003-150826〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本願は,平成13年11月8日の出願であって,平成18年1月31日付けで最初の拒絶理由が通知され,同年4月10日に手続補正書が提出され,同年11年22日付けで最後の拒絶理由が通知され,平成19年1月29日に手続補正書が提出され,同年2月21日付けで同年1月29日提出の手続補正書が却下されるとともに拒絶査定がされ,これに対し,同年4月5日に審判請求がされるとともに,同年5月7日に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成19年5月7日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定

補正却下の決定の結論

本件補正を却下する。

理由

1 補正の内容

本件補正により,特許請求の範囲は,以下のように変更された。なお,下線は,補正された部分を示すものとして,手続補正書に表示されたものを援用したものである。

<本件補正前>

「【請求項1】
見積対象車両の損傷部位に対応するブロックを見積扱者に指定させるための第1の図をコンピュータが記憶装置から読み出してディスプレイに表示させるステップと、
前記見積対象車両の損傷部位に対応する座標位置の指定を前記コンピュータが受け付けるステップと、
指定されたブロック対応の部位名称を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させるステップと、
前記見積対象車両の損傷部位に係わる部品の形状を示す第2の図を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させるステップと、
前記第2の図において指定された部品の見積データを前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させるステップと、
実車の画像に対応し、角度を変えて表示することが可能である第3の図を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記第2の図と共に前記ディスプレイに表示させるステップと、
前記見積データの内容で見積書を作成してよいか、前記コンピュータが前記見積扱者に対して確認を求めるステップと、
確認が取れた場合に前記コンピュータが見積データの内容を確定させ見積書を自動的に作成するステップと、
を備える取替部品見積処理方法。
【請求項2】
前記第2の図を画面表示するとき、前記見積対象車両の損傷部位に係わる部品の名称を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して同時に表示させるステップを更に備える請求項1記載の取替部品見積処理方法。
【請求項3】
前記見積データの内容の調整を前記コンピュータが受け付けるステップを更に備える請求項1又は請求項2に記載の取替部品見積処理方法。
【請求項4】
前記第1の図をコンピュータが記憶装置から読み出してディスプレイに表示させる際に、部品のデータの詳細一覧が表示される画面に遷移する指示を受け付けるステップを更に備える、請求項1から請求項3のいずれかに記載の取替部品見積処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
見積対象車両の損傷部位に対応するブロックを見積扱者に指定させるための第1の図を記憶装置から読み出してディスプレイに表示するステップと、
前記見積対象車両の損傷部位に対応する座標位置の指定を受け付けるステップと、
指定されたブロック対応の部位名称を前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示するステップと、
前記見積対象車両の損傷部位に係わる部品の形状を示す第2の図を前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示するステップと、
前記第2の図において指定された部品の見積データを前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示するステップと、
実車の画像に対応し、角度を変えて表示することが可能である第3の図を前記記憶装置から読み出して前記第2の図と共に前記ディスプレイに表示するステップと、
前記見積データの内容で見積書を作成してよいか、前記見積扱者に対して確認を求めるステップと、
確認が取れた場合に見積データの内容を確定させ見積書を自動的に作成するステップと、
を実行させるための取替部品見積処理プログラム。
【請求項6】
前記第2の図を画面表示するとき、前記見積対象車両の損傷部位に係わる部品の名称を前記記憶装置から読み出して同時に表示するステップを更に備える請求項5記載の取替部品見積処理プログラム。
【請求項7】
前記見積データの内容の調整を受け付けるステップを更に備える請求項5又は請求項6に記載の取替部品見積処理プログラム。
【請求項8】
前記第1の図をコンピュータが記憶装置から読み出してディスプレイに表示させる際に、部品のデータの詳細一覧が表示される画面に遷移する指示を受け付けるステップを更に備える、請求項5から請求項7のいずれかに記載の取替部品見積処理プログラム。
【請求項9】
見積対象車両の損傷部位に対応するブロックを見積扱者に指定させるための第1の図をコンピュータが記憶装置から読み出してディスプレイに表示させる手段と、
前記見積対象車両の損傷部位に対応する座標位置の指定を前記コンピュータが受け付ける手段と、
指定されたブロック対応の部位名称を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させる手段と、
前記見積対象車両の損傷部位に係わる部品の形状を示す第2の図を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させる手段と、
前記第2の図において指定された部品の見積データを前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させる手段と、
実車の画像に対応し、角度を変えて表示することが可能である第3の図を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記第2の図と共に前記ディスプレイに表示させる手段と、
前記見積データの内容で見積書を作成してよいか、コンピュータが前記見積扱者に対して確認を求める手段と、
確認が取れた場合に前記コンピュータが見積データの内容を確定させ見積書を自動的に作成する手段と、
を備える取替部品見積処理装置。
【請求項10】
前記第2の図を画面表示するとき、前記見積対象車両の損傷部位に係わる部品の名称を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して同時に表示させる手段を更に備える請求項9記載の取替部品見積処理装置。
【請求項11】
前記見積データの内容の調整を前記コンピュータが受け付ける手段を更に備える請求項9又は請求項10に記載の取替部品見積処理方法。
【請求項12】
前記第1の図をコンピュータが記憶装置から読み出してディスプレイに表示させる際に、部品のデータの詳細一覧が表示される画面に遷移する指示を受け付けるステップを更に備える、請求項9から請求項11のいずれかに記載の取替部品見積処理プログラム。」

<本件補正後>

「【請求項1】
見積対象車両の損傷部位に対応するブロックを見積扱者に指定させるための第1の図をコンピュータが記憶装置から読み出してディスプレイに表示させるステップと、
前記見積対象車両の損傷部位に対応する座標位置の指定を前記コンピュータが受け付けるステップと、
指定されたブロック対応の部位名称を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させるステップと、
前記見積対象車両の損傷部位に係わる部品の形状を示すイラストデータからなる第2の図を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させるステップと、
前記第2の図において指定された部品の見積データを前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させるステップと、
実車の画像に対応し、角度を変えて表示することが可能であって見積扱者が前記見積対象車両の損傷部位をビジュアルに確認可能な第3の図を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記第2の図と共に前記ディスプレイに表示させるステップと、
前記見積データの内容で見積書を作成してよいか、前記コンピュータが前記見積扱者に対して確認を求めるステップと、
確認が取れた場合に前記コンピュータが見積データの内容を確定させ見積書を自動的に作成するステップと、
を備える取替部品見積処理方法。
【請求項2】
前記第2の図を画面表示するとき、前記見積対象車両の損傷部位に係わる部品の名称を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して同時に表示させるステップを更に備える請求項1記載の取替部品見積処理方法。
【請求項3】
前記見積データの内容の調整を前記コンピュータが受け付けるステップを更に備える請求項1又は請求項2に記載の取替部品見積処理方法。
【請求項4】
前記第1の図をコンピュータが記憶装置から読み出してディスプレイに表示させる際に、部品のデータの詳細一覧が表示される画面に遷移する指示を受け付けるステップを更に備える、請求項1から請求項3のいずれかに記載の取替部品見積処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
見積対象車両の損傷部位に対応するブロックを見積扱者に指定させるための第1の図を記憶装置から読み出してディスプレイに表示するステップと、
前記見積対象車両の損傷部位に対応する座標位置の指定を受け付けるステップと、
指定されたブロック対応の部位名称を前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示するステップと、
前記見積対象車両の損傷部位に係わる部品の形状を示すイラストデータからなる第2の図を前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示するステップと、
前記第2の図において指定された部品の見積データを前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示するステップと、
実車の画像に対応し、角度を変えて表示することが可能であって見積扱者が前記見積対象車両の損傷部位をビジュアルに確認可能な第3の図を前記記憶装置から読み出して前記第2の図と共に前記ディスプレイに表示するステップと、
前記見積データの内容で見積書を作成してよいか、前記見積扱者に対して確認を求めるステップと、
確認が取れた場合に見積データの内容を確定させ見積書を自動的に作成するステップと、
を実行させるための取替部品見積処理プログラム。
【請求項6】
前記第2の図を画面表示するとき、前記見積対象車両の損傷部位に係わる部品の名称を前記記憶装置から読み出して同時に表示するステップを更に備える請求項5記載の取替部品見積処理プログラム。
【請求項7】
前記見積データの内容の調整を受け付けるステップを更に備える請求項5は請求項6に記載の取替部品見積処理プログラム。
【請求項8】
前記第1の図をコンピュータが記憶装置から読み出してディスプレイに表示させる際に、部品のデータの詳細一覧が表示される画面に遷移する指示を受け付けるステップを更に備える、請求項5から請求項7のいずれかに記載の取替部品見積処理プログラム。
【請求項9】
見積対象車両の損傷部位に対応するブロックを見積扱者に指定させるための第1の図をコンピュータが記憶装置から読み出してディスプレイに表示させる手段と、
前記見積対象車両の損傷部位に対応する座標位置の指定を前記コンピュータが受け付ける手段と、
指定されたブロック対応の部位名称を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させる手段と、
前記見積対象車両の損傷部位に係わる部品の形状を示すイラストデータからなる第2の図を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させる手段と、
前記第2の図において指定された部品の見積データを前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させる手段と、
実車の画像に対応し、角度を変えて表示することが可能であって見積扱者が前記見積対象車両の損傷部位をビジュアルに確認可能な第3の図を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記第2の図と共に前記ディスプレイに表示させる手段と、
前記見積データの内容で見積書を作成してよいか、コンピュータが前記見積扱者に対して確認を求める手段と、
確認が取れた場合に前記コンピュータが見積データの内容を確定させ見積書を自動的に作成する手段と、
を備える取替部品見積処理装置。
【請求項10】
前記第2の図を画面表示するとき、前記見積対象車両の損傷部位に係わる部品の名称を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して同時に表示させる手段を更に備える請求項9記載の取替部品見積処理装置。
【請求項11】
前記見積データの内容の調整を前記コンピュータが受け付ける手段を更に備える請求項9又は請求項10に記載の取替部品見積処理方法。
【請求項12】
前記第1の図をコンピュータが記憶装置から読み出してディスプレイに表示させる際に、部品のデータの詳細一覧が表示される画面に遷移する指示を受け付けるステップを更に備える、請求項9から請求項11のいずれかに記載の取替部品見積処理プログラム。」

2 本件補正の補正目的の適否

本件補正は,補正前の請求項1,5,9において,「第2の図」について「イラストデータからなる」と限定し,「第3の図」について「(角度を変えて表示することが可能で)あって見積扱者が前記見積対象車両の損傷部位をビジュアルに確認可能な」と限定することで,補正後の新たな請求項1,5,9とするものであり,特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものといえる。したがって,本件補正は,特許法17条の2第4項2号の規定に適合する。

そこで,次に,本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(独立特許要件)について,検討する。

3 引用例1の記載内容と引用発明

(1)原査定の拒絶理由に引用された,本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である特開平9-309416号公報(平成9年12月2日出願公開。以下「引用例1」という。)には,図とともに,次の記載がある。なお,下線は当審で付加したものである。

(ア)「【0064】S2では、車種を選定された自動車の修理範囲の概略を把握するために、図12に示す損傷部位選択画面43がディスプレイ14に表示される。損傷部位選択画面43は、図6に基づいて説明した損傷部位メモリ17に格納されるデータに基づいて表示され、損傷部位を選択するための部位選択欄44と、選定された部位に対応した大まかな部位名称を羅列する部位名称欄45で構成される。
【0065】部位選択欄44は、自動車の平面図からなるイラストと、該自動車のイラストの外周を区分して丸付け数字で区別して表示される部位46からなる。このとき自動車のイラストおよび部位46は、S1で選定した車種の形状(例えば、2ドアの乗用車、トラック等)によって異なり、したがって複数種類の損傷部位のイラスト29および損傷部位・部位名称データ30(図6参照)が損傷部位メモリ17に格納されている。ゆえに、S1で選定された車種によって部位選択欄44の表示を異ならせることができ、選択手段9は、S1で選定した車種に基づいて部位選択欄44に表示する画面を適宜選択する。
【0066】入力者は、修理費用を算出する自動車の損傷範囲に対応した部位選択欄44の丸付け数字で区分表示される部位46をマウス3で選択することによって、選定された部位46は色分け表示される(図12においては、斜線を施した)。このとき、入力する部位46は、単数・複数のいずれでも選択可能である。」

(イ)「【0068】入力者によって選定された部位46に基づいて、選択手段9は、損傷部位メモリ17の損傷部位・部位名称データ30から部位名称欄45に表示するための部位名称を選択し、画像制御回路8によって部位名称欄45に一覧表示する。入力者は、部位名称欄45に羅列された部位名称の中から、修理する部位名称を適宜選択する。修理する部位名称を選択後、図11のS3に進む。
【0069】S3では、S2で選定した部位名称に基づいて、修理する部品を選択し工賃を算出するための図13に示す部品検索画面47がディスプレイ14に表示される。部品の選択方法を、より詳細に説明するために、図14に示す部品選択に基づくフローチャートにしたがって説明する。画像制御回路8によって部品検索画面47がディスプレイ14に表示された時点を、図14に示すSイとする。
【0070】図13に示されるように、部品検索画面47は、イラスト欄48、部品名欄49および見積明細欄50によって構成される。イラスト欄48および部品名欄49に表示されるイラストおよび部品名のいずれかから、入力者は修理する部品をマウス3を用いて選択し、その部品名と共にそれに関するデータ(例えば、指数、工賃等)が、自動的に見積明細欄50に表示される。
【0071】上述の三欄48,49,50と、上述した複数種のメモリの関係を図15に示している。
【0072】図15に示すように、図7に基づいて説明した部品名・イラストメモリ18のデータにより、部品検索画面47のイラスト欄48および部品名欄49が構成されている。イラスト欄48および部品名欄49は、同一の部品名・イラストメモリ18により構成されているので相互に関連を有する。
【0073】入力者は、イラスト欄48および部品名欄49のいずれかから、修理する部品を選択することによって、選択手段9は、図8に基づいて説明した部品明細メモリ19から、部品名・イラストメモリ18にも格納されている部品コード32によって同一のデータを検索し、画像制御回路8によって見積明細欄50の所定の項目に表示させる。同時に選択手段9は、図9に基づいて説明した工賃明細メモリ20から、部品明細メモリ19にも格納されている作業コード38によって同一のデータを検索し、指数39から工賃を計算し、画像制御回路8によって見積明細欄50の所定の項目に表示させる。この一連の中央処理装置5内の作動は、通常、人間の目には同時に見える。」

(ウ)「【0095】全ての部品を検索後、図14の「終了」となり、図11に示すフローチャートのS3が終了する。S3から続くS4に進み、選択手段9は、塗装作業の有無を判断する。このとき、上述のS3(図14のフローチャート参照)において選定した部品の部品コード32に基づいて、選択手段9は、塗装明細メモリ21にも格納される部品コード32を参照して塗装作業の有無を自動的に判断する。塗装作業がない場合には、後述するS12へ進む。」

(エ)「【0104】塗装費用を算出し終えると、S12に進む。S12では、画像制御回路8は、見積書画面(図示せず)をディスプレイ14に表示する。見積書画面には自動車の修理全体にかかる費用の見積が書き込まれている。
【0105】S13では、見積書画面の見積内容に変更があるか否かを判断する。変更のない場合には、後述するS15に進む。S13で見積書の内容に変更がある場合には、S14に進む。見積書の内容を変更する場合には、入力者は、変更したい箇所に適宜数値を入力する。選択手段9は、変更された数値にしたがって、記憶装置12に格納される上述した複数種のメモリから適宜データを選択し、画像制御回路8は、入力された数値に伴って変更されたデータを自動的に見積書画面に表示する。
【0106】S15では、S1ないしS15の処理を行うことによって作成された図19に示す見積書を、必要がある場合には保存およびプリントアウトして、図19に示す見積書が完成する。」

(オ)【図13】には,見積明細欄に,指数及び工賃のみならず部品価格が表示されることが記載されている。

(2)以上によれば,引用例1には

「自動車の平面図からなるイラストと該自動車のイラストの外周を区分して丸付け数字で区別して表示される部位からなる部位選択欄を含む損傷部位選択画面をディスプレイに表示し,
入力者から,修理費用を算出する自動車の損傷範囲に対応した部位選択欄の丸付け数字で区分表示される部位のマウスによる選択を受け付け,
入力者によって選定された部位に基づいて,選択手段が,損傷部位メモリの損傷部位・部位名称データから部位名称欄に表示するための部位名称を選択し,画像制御回路によって部位名称欄に一覧表示し,
入力者から,部位名称欄に羅列された部位名称の中から,修理する部位名称の選択を受け付けると,イラスト欄を含む部品選択画面をディスプレイに表示し,
入力者が,イラスト欄に表示されるイラストから,修理する部品をマウスを用いて選択すると,その部品名と共に部品価格を自動的に見積明細欄に表示し,
見積書画面の見積内容に変更のない場合に,見積書をプリントアウトして,見積書を完成させる
自動車修理見積方法。」(以下「引用発明」という。)

が記載されている。

4 対比

(1)発明が解決しようとする課題

引用発明の課題は,「見積書を作成する者の経験や技能に係わらず,簡単な作業で見積書を作成でき,かつ正確で信頼性の高い見積ができるようにする」(【要約】参照)ことであるから,本願補正発明の「見積扱者のスキルに依存することなく迅速にかつ正確に取替部品の見積を可能にする手法を提供する」という課題(段落【0004】)と共通する。

(2)発明の構成

(ア)引用発明おける損傷部位選択画面の部位選択欄は,自動車の平面図からなるイラストと該自動車のイラストの外周を区分して丸付け数字で区別して表示される部位からなるものであり,この部位をマウスで選択することで,入力者が修理費用を算出する自動車の損傷範囲を指定できるものである。そうすると,引用発明の「部位選択欄」は,「見積対象車両の損傷部位に対応するブロックを見積扱者に指定させるための第1図」に相当する。
(イ)引用発明において,入力者から,修理費用を算出する自動車の損傷範囲に対応した部位選択欄の丸付け数字で区分表示される部位のマウスによる選択を受け付ける処理は,本願補正発明の「見積対象車両の損傷部位に対応する座標位置の指定を前記コンピュータが受け付ける」処理と,「見積対象車両の損傷部位の指定を前記コンピュータが受け付ける」処理である点において共通する。
(ウ)引用発明において,入力者によって選定された部位に基づいて,選択手段が,損傷部位メモリの損傷部位・部位名称データから部位名称欄に表示するための部位名称を選択し,画像制御回路によって部位名称欄に一覧表示する処理は,本願補正発明の「指定されたブロック対応の部位名称を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させる」処理に相当する。
(エ)引用発明における部品検索画面のイラスト欄は,入力者が部品をマウスによって選択するための部品のイラストが表示されるものである。そうすると,引用発明の「イラスト欄」は,本願補正発明の「見積対象車両の損傷部位に係わる部品の形状を示すイラストデータからなる第2の図」に相当する。
(オ)引用発明において,入力者が,イラスト欄に表示されるイラストから,修理する部品をマウスを用いて選択すると,その部品名と共に部品価格を自動的に見積明細欄に表示する処理は,本願補正発明の「第2の図において指定された部品の見積データを前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させる」処理に相当する。
(カ)引用発明において,見積書画面の見積内容に変更のない場合に,見積書をプリントアウトして,見積書を完成させる処理は,本願補正発明の「見積データの内容を確定させ見積書を自動的に作成する」処理に相当する。

(3)一致点と相違点について

そうすると,本願補正発明と引用発明の一致点と相違点は,次のとおりと認められる。

ア 一致点

「見積対象車両の損傷部位に対応するブロックを見積扱者に指定させるための第1の図をコンピュータが記憶装置から読み出してディスプレイに表示させるステップと、
前記見積対象車両の損傷部位の指定を前記コンピュータが受け付けるステップと、
指定されたブロック対応の部位名称を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させるステップと、
前記見積対象車両の損傷部位に係わる部品の形状を示すイラストデータからなる第2の図を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させるステップと、
前記第2の図において指定された部品の見積データを前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させるステップと、
前記コンピュータが見積データの内容を確定させ見積書を自動的に作成するステップと、
を備える取替部品見積処理方法。」

イ 相違点

[相違点1] 本願発明では,損傷部位の指定が,損傷部位に対応する「座標位置の指定」が行われることにより行われるのに対し,引用発明では,自動車のイラストの外周を区分して丸付け数字で区別して表示される部位が選択されることで行われている点

[相違点2] 本願補正発明では,「実車の画像に対応し、角度を変えて表示することが可能であって見積扱者が前記見積対象車両の損傷部位をビジュアルに確認可能な第3の図を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記第2の図と共に前記ディスプレイに表示させるステップ」を具備しているのに対し,引用発明では,それが明らかでない点

[相違点3] 本願補正発明では,見積書の作成にあたり,「前記見積データの内容で見積書を作成してよいか、前記見積扱者に対して確認を求めるステップ」を具備し,このステップにおいて「確認が取れた場合に」見積データの内容を確定させ見積書を自動的に作成するのに対し,引用発明では,見積書の作成にあたり,入力者に対し確認を行うことについて明らかでない点

5 判断

(1)相違点1について

特開2001-22833号公報(特に段落0039),特開平6-139252号公報(特に段落0037参照)に見るように,損傷部位の指定を,損傷部位に対応する座標位置の指定によって行わせることは,当業者においては周知の技術的事項に過ぎない。
そうすると,引用発明において,部位選択欄における損傷部位の選択を「座標位置の指定」によって行えるようにし,相違点1に係る構成とすることも当業者が適宜なし得たことといえる。

(2)相違点2について

ア 原査定の拒絶理由で引用した本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である特開平10-197285号公報(平成10年7月31日出願公開。以下「引用例2」という。)には,図とともに,次の記載がある。なお,下線は当審で付加したものである。

(ア)「【0026】【発明の実施の形態】以下、本発明の事故車修理費見積システムを図1?図10に示す実施形態について更に詳細に説明する。
【0027】図1は本発明の事故車修理費見積システムのブロック図を示す。これは、自動車修理工場の事務所等において使用できるように、パーソナルコンピュータと同様な外観となっている。」

(イ)「【0035】前記表示手段5には車両図形25の他にデジタルカメラ1で撮影した画像50が表示される。デジタルカメラ1は事故車両を撮影するもので、前記見積手段7に接続されたキャプチャー手段2を介して取り込まれる。そして、表示手段5にはアイコン5e?5hが表示されており、5eに損害の程度、5fに年式と車種、5gに車台番号、5hに保険会社をキーボード(入力手段)6から入力する。
【0036】なお、見積手段7はCPU、I/O等を含んでいるが、このI/Oにリンク手段26が接続されている。なお実際のハードウエアでは見積手段7とリンク手段26とが一体となる場合がある。
【0037】リンク手段26は、様々な角度で撮影された事故車両の画像データが、車両図形25におけるどの部位の損傷を明瞭に示しているかを決定するためのものである。
【0038】このリンク手段26について図2?図6に基づき説明する。図2?図5は、車両前部が衝突した事故車両を撮影した画像の内の4枚を表している。すなわち、図2は車両を斜め前方から撮影したものであり、図3は左側面から撮影したものであり、図4は正面から撮影したものであり、図5は車両を上方から撮影したものである。ここで、破損部分と関係ない部位を撮影したものは除外してある。
【0039】これら4枚は同一部位(フロントグリル、バンパー)が破損している点で共通点があるため、すべて「車両の左前部が破損していることを示している画像」として記憶される。すなわち、事故車両画像データを記憶するデータベースのうち、図2?図5に表される各画像50a?50dのデータファイルには、それぞれ「フロントグリル」あるいは「バンパー」との部位名称が記憶される。また、画像50b及び画像50dのデータファイルには、それぞれ「左側前部ドア」の部位名称も記憶される。
【0040】このため、例えば、キーボードで「フロントグリル」あるいは「バンパー」と打ち込むことでこれらの画像を表示手段5に表示させることもできるし、マウスで車両図形25の前部(5a、5b)をクリックすることで、これらに対応する画像を表示手段5に表示させることもできるようになっている。なお、図8におけるドアの損傷部分5cをクリックすれば、図3及び図5に示す画像5b、5dが表示手段5に表示される。ここで、各部位に対応する画像データが複数ある場合は、表示手段5の画面上に複数の画像を同時に表示するようにしてもよいし、あるいは一画像データずつ表示するようにしてもよい。
【0041】このように車両図形25と画像50は図6に示すように、表示手段5に同時に表示され、見積処理を行う上で、損傷部分の正確な評価が可能となる。このとき、破損の程度を表示させるには図8に示すように、破損部分に入力手段6により円5a、5b、5cを描き、その円の面積で表すようにしてもよいし、記号、例えば、ABCのランクで表示させるようにしてもよい。」

イ 以上によれば,引用例2には,事故車修理費見積システムにおいて,様々な角度で撮影された事故車両の画像データを記憶し,損傷部分の正確な評価のために,部位に対応する画像データが複数ある場合には,その画像を一画像データずつ表示するという技術的事項が記載されている。

ここで,引用例2に記載の画像データは,損傷部分の正確な評価のためのものであるから,本願補正発明と同様に「見積扱者が(前記)見積対象車両の損傷部位をビジュアルに確認可能」なものであり,様々な角度で撮影された事故車両の画像データを一画像データずつ表示するものであるから,本願補正発明と同様に「角度を変えて表示することが可能」なものである。

ウ そして,複数の情報を同時にディスプレイに表示することは,マルチウインドウ技術として広く知られたことであるから,引用発明に,引用例2に記載されたかかる技術的事項を適用し,引用発明において,部位名称の選択に応じたイラスト欄による部品選択を行うにあたり,実車の当該部位の損傷を確認できるようにするために,角度を変えて表示することが可能であって入力者が見積対象車両の損傷部位をビジュアルに確認可能な事故車両の画像データを同時に表示するようにし,相違点2に係る構成とすることも当業者が適宜なし得たことといえる。

エ なお,審判請求人は,審判請求書において「補正後の請求項1に記載の発明における実車の画像とは、段落0030等の記載から予めハードディスクに格納されている画像、つまり引用文献3、4のように事故車両の画像ではなく正常な車両の画像を意味している。」と主張している。
しかしながら,本願の当初明細書の段落0031には「この表示画面における実車の画像42は角度を変えて表示することが可能であり、見積取扱者が実車の損傷部位をビジュアルに確認できる。」との記載がある。ここで「実車の損傷部位」とあるから,本願明細書にいう「実車」とは,損傷部位が存在する車,すなわち事故車を指すものと認められる。そうすると,本願明細書にいう「実車の画像」とは,事故車の画像を示すものであり,正常な車両の画像を示すものではない。
そして,審判請求人が主張の根拠とする段落0030も「予め格納されているイラストデータ、部品データ、及び画像データがそれぞれ読み出されて」としているのみであり,「画像データ」が正常な車両の画像を示すことについては記載がない。
さらに,当初明細書のその他の記載及び図面を参照しても,本願明細書にいう「実車の画像」が,正常な車両の画像を示すことを示唆する記載は見当たらない。
そうすると,「実車の画像とは」,「引用文献3、4のように事故車両の画像ではなく正常な車両の画像を意味している。」という審判請求人の主張は,当初明細書の記載に基づかない主張であり,採用することはできない。

(3)相違点3について

コンピュータ処理を行うにあたり,事前に使用者の確認を行い,確認がとれた場合にのみ処理を行うように構成することは,コンピュータ処理における常套手段にすぎない。
そうすると,引用発明において,見積書の作成にあたり,事前に入力者の確認を行うようにし,相違点3に係る構成とすることも当業者が適宜なし得たことといえる。

(4)したがって,本件補正発明は,引用発明,引用例2に記載の技術的事項及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,その作用効果も引用発明,引用例2に記載の技術的事項及び周知の技術的事項に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。
よって,本願補正発明は,特許法第29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6 むすび

以上の次第で,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法第126条5項の規定に違反するので,同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により,却下すべきものである。

第3 本願発明

1 本願発明の内容

以上のとおり,本件補正(平成19年5月7日に提出された手続補正書による補正)は却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,本件補正前の請求項1(平成18年4月10日に提出された手続補正書により補正された請求項1)に記載されたとおりのものであり,以下に再掲する。

「【請求項1】
見積対象車両の損傷部位に対応するブロックを見積扱者に指定させるための第1の図をコンピュータが記憶装置から読み出してディスプレイに表示させるステップと、
前記見積対象車両の損傷部位に対応する座標位置の指定を前記コンピュータが受け付けるステップと、
指定されたブロック対応の部位名称を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させるステップと、
前記見積対象車両の損傷部位に係わる部品の形状を示す第2の図を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させるステップと、
前記第2の図において指定された部品の見積データを前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記ディスプレイに表示させるステップと、
実車の画像に対応し、角度を変えて表示することが可能である第3の図を前記コンピュータが前記記憶装置から読み出して前記第2の図と共に前記ディスプレイに表示させるステップと、
前記見積データの内容で見積書を作成してよいか、前記コンピュータが前記見積扱者に対して確認を求めるステップと、
確認が取れた場合に前記コンピュータが見積データの内容を確定させ見積書を自動的に作成するステップと、
を備える取替部品見積処理方法。」

2 判断

第2,2で述べたように,本願補正発明は,本願発明に限定的減縮を加えたものである。逆に言えば,本件補正前の発明(本願発明)は,本願補正発明から,この限定をなくしたものである。
そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,これをより限定したものである本願補正発明が,前記第2,5において検討したとおり,引用発明,引用例2に記載の技術的事項及び周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,当業者が容易に発明をすることができたものということができる。

3 むすび

以上のとおり,本願発明は,引用発明,引用例2に記載の技術的事項及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-10-14 
結審通知日 2009-10-20 
審決日 2009-11-02 
出願番号 特願2001-343708(P2001-343708)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 智康小山 和俊  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 清田 健一
小林 義晴
発明の名称 取替部品見積処理方法、取替部品見積処理プログラム及び取替部品見積処理装置  
代理人 高田 大輔  
代理人 高田 大輔  
代理人 平川 明  
代理人 今堀 克彦  
代理人 今堀 克彦  
代理人 川口 嘉之  
代理人 松倉 秀実  
代理人 平川 明  
代理人 川口 嘉之  
代理人 和久田 純一  
代理人 松倉 秀実  
代理人 和久田 純一  
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