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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61H |
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管理番号 | 1208885 |
審判番号 | 不服2008-7343 |
総通号数 | 122 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-03-26 |
確定日 | 2009-12-17 |
事件の表示 | 特願2003- 11488号「琥珀玉」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 9月24日出願公開、特開2004-261206号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.手続の経緯 本願は、平成15年1月20日の出願であって、平成20年2月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年3月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 II.本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は平成20年2月4日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「片手の平で包み込むことができる大きさの扁平な曲面体に形成された琥珀からなり、美容法を施す際、その突部または平面部を人体の適宜位置に当てて用いられることを特徴とする琥珀玉。」 III.対比・判断 III-1.引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された特開昭57-75651号公報(以下、「引用例」という)には、図面と共に次の事項が記載されている。 a.「この発明は上記欠点を解決し、持ち運びが簡単であり、電源を必要とせず、使用方法がきわめて容易で、危険もなく、必要に応じて適宜使用できるマッサージ用大理石球体に関するものである。」(1ページ右欄6行?10行) b.「第1図はこの発明のマッサージ用球体1で、その直径は31mmφ?45mmφであり、最適には38mmφのものがきわめて良好である。上記直径のものは手の掌の中に収まりやすく手による操作が容易であること、患部に対する圧刺激がきわめて良好であること、患部に対する伝達重量が良好であること、及び身体の各部分の曲りや弾力に対する適応性が良好であることよりその直径が定められたものである。」(1ページ右欄11行?19行) c.「上記大理石より成る球体1を使用するにあたっては第2図に示すように球体1を手の掌2の中から逸脱しないようにして患部3上を往復回転運動させながら該患部3へ刺激を与えることができるものである。」(2ページ右下欄17行?3ページ左欄1行) これら記載事項を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されている。 「手の掌2の中に収まりやすい直径の大理石より成る球体1からなり、マッサージをする際、球体1を手の掌2の中から逸脱しないようにして患部3上を往復回転運動させて用いられる大理石より成る球体1。」 III-2.対比 本願発明と引用発明とを対比すると、その構造または機能からみて、引用発明の「手の掌2の中に収まりやすい直径」は、本願発明の「片手の平で包み込むことができる大きさ」に相当する。同様に、引用発明の「患部3」は、本願発明の「人体の適宜位置」に相当する。 また、引用発明の「球体1」と本願発明の「扁平な曲面体」は、曲面体である点で共通するものである。 また、引用発明の「大理石」と本願発明の「琥珀」とは、天然石である点で共通するものである。同様に「大理石から成る球体1」と「琥珀玉」とは、天然石から成る玉である点で共通するものである。 また、引用発明において、マッサージをする際、球体1を手の掌2の中から逸脱しないようにして患部3上を往復回転運動させることと、本願発明において、美容法を施す際、その突部または平面部を人体の適宜位置に当てて用いることとは、皮膚に刺激を与える際に、曲面体を人体の定義位置に接触・摺動させる点で共通するものである。 そこで、本願発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。 (一致点) 「片手の平で包み込むことができる大きさの曲面体に形成された天然石からなり、皮膚に刺激を与える際に、曲面体を人体の定義位置に接触・摺動させて用いられる天然石からなる玉。」 そして、両者は次の相違点1?3で相違する。 (相違点1) 本願発明は、扁平な曲面体であるのに対して、引用発明は曲面体(球体)である点。 (相違点2) 本願発明は、美容法を施す際、その突部または平面部を人体の適宜位置に当てて用いるのに対し、引用発明は、皮膚に刺激を与える際に、曲面体を人体の定義位置に接触・摺動させて用いる点。 (相違点3) 本願発明は琥珀玉であるのに対し、引用発明は天然石から成る玉である点。 III-3.相違点の判断 上記各相違点について検討する。 (相違点1について) マッサージに使用する手持ち器具は様々な形状のものが用いられており、その中で扁平なものも、例えば、登録実用新案第3014122号公報にも記載されているように、本願出願前において周知技術であり、引用発明において、当該周知技術を採用し、曲面体(球体)を扁平な曲面体として形成し、相違点1にかかる本願発明の発明特定事項とすることは当業者にとって、容易になし得る事である。 (相違点2について) 引用発明はマッサージのために皮膚に刺激を与えるものであるが、マッサージが美容にも効果があることは例示するまでもなくよく知られた事項である。また、マッサージを施す際に、手持ち器具をどのように皮膚に接触させるかは、使用者が自由に決めることができる事項であり、引用発明に周知技術を採用して得られた手持ち器具を、本願発明の相違点2にかかる発明特定事項のように用いることは、当業者が必要に応じて適宜なし得る事項である。 (相違点3について) 天然石が、その種類に応じて様々なヒーリング効果を有することは、例えば、米国特許第6378138号明細書にも記載されているように周知の事項であり、どの天然石を使用するかは、当業者が自由に決定できる選択事項である。そして、琥珀のヒーリング効果についても、同明細書に記載され、周知の事項であるから、引用発明において、大理石に代えて琥珀玉を採用し、相違点3にかかる本願発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得ることである。 そして、本願発明による効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 IV.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-10-16 |
結審通知日 | 2009-10-20 |
審決日 | 2009-11-04 |
出願番号 | 特願2003-11488(P2003-11488) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61H)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 望月 寛 |
特許庁審判長 |
高木 彰 |
特許庁審判官 |
蓮井 雅之 岩田 洋一 |
発明の名称 | 琥珀玉 |
代理人 | 加賀谷 剛 |
代理人 | 堀 進 |
代理人 | 佐藤 辰彦 |
代理人 | 鷺 健志 |
代理人 | 本間 賢一 |