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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A47G
管理番号 1209411
審判番号 無効2008-800179  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-09-16 
確定日 2010-01-04 
事件の表示 上記当事者間の特許第4105749号発明「個別搬送装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯の概要

特許第4105749号(以下、「本件特許」という。)に係る発明についての出願は、平成19年 5月 2日に特許出願され、平成20年 4月 4日に特許の設定登録がなされたものであって、これに対し平成20年 9月16日に請求人から本件無効審判の請求書が差し出され、平成20年12月 4日付けで被請求人から審判事件答弁書が提出された。
その後、請求人から平成21年 3月 3日付けで口頭審理陳述要領書が提出され、被請求人からも同日付けで口頭審理陳述要領書が参考図1ないし3とともに提出され、平成21年 3月17日に口頭審理が実施されたものである。

2.本件特許発明

本件特許の請求項1および請求項2に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」および「本件特許発明2」という。)は、本件特許の特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1および請求項2に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。

「 【請求項1】
飲食店用の循環搬送装置に設けられる飲食物用の個別搬送装置であって、
循環搬送装置の台に設けられた平行な2列のレーンの間に立設されて照明を保持する支柱に取り付けられ、且つ前記2列のレーンの少なくとも一方側においてレーンに沿って設けられる直線状のフレームと、
このフレームに設けられ、フレームから水平に延出して、前記フレームが設けられた側のレーンの上方においてレーンに沿って配置される透光性を有する支持板と、
駆動装置によりフレーム内を可動する部材に設けられ、前記支持板上を前記フレームに沿って直線状に往復動するトレーと
を備えることを特徴とする個別搬送装置。
【請求項2】
前記駆動装置は、無端状のベルトと、このベルトを回転させるモータとを備え、
前記ベルトに固定されたフックに前記トレーが着脱可能に連結される
ことを特徴とする請求項1に記載の個別搬送装置。」

なお、被請求人からの平成21年 3月 3日付け口頭審理陳述要領書第2頁(2)(a)のとおり、本件特許発明1における「支持板」が「フレームから水平に延出」するとは、「個別搬送装置の往復動方向に対して直交かつ水平に延出」することと解するものとする。

3.請求人の主張

請求人は、本件特許の請求項1および請求項2に係る特許を無効にするとの審決を求め、その理由として概ね次のように主張するとともに、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出している。

(1)本件特許発明1に対して

理由A
本件特許発明1は、本件特許に係る発明についての特許出願(特願2007-121860号。以下、「本件出願」という。)の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証の実施例1および甲第2号証ないし甲第4号証に記載された発明ならびに甲第7号証ないし甲第8号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件特許発明1の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。

理由B
本件特許発明1は、本件出願の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証の実施例2および甲第3号証ないし甲第8号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件特許発明1の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。

理由C
本件特許発明1は、本件出願前に頒布された刊行物である甲第1号証の実施例3および甲第3号証ないし甲第8号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件特許発明1の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。

理由D
本件特許発明1は、本件出願の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証の実施例4および甲第3号証ないし甲第8号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件特許発明1の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。
なお、審判請求人は平成21年 3月 3日付け口頭審理陳述要領書第3頁末2行において、理由Dの、本件特許発明1と甲第1号証の実施例4との対比については検討不要である旨回答しているので、以下では理由Dについての検討は行わない。

理由E
本件特許発明1は、本件出願の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証ならびに甲第1号証および甲第3号証ないし甲第8号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件特許発明1の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。

(2) 本件特許発明2に対して

本件特許発明2は、本件出願の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
特に、特許発明2のみの発明特定事項に関しては甲第7号証または甲第9号証から当業者が推考容易である。
よって、本件特許発明2の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。

[証拠方法]
甲第1号証:特開2004-187922号公報
甲第2号証:意匠登録第1256941号公報
甲第3号証:特開平9-37915号公報
甲第4号証:特開平11-46959号公報
甲第5号証:特開平10-165284号公報
甲第6号証:意匠登録第1271281号公報
甲第7号証:実願平1-32602号(実開平2-124760号)のマイクロフィルム
甲第8号証:特許第2738968号公報
甲第9号証:特公平1-56765号公報

4.被請求人の主張

被請求人は、本件無効審判請求は成り立たない、審判費用は、請求人の負担とする、との審決を求め、概ね次のように主張している。
本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでない。
5.請求人の主張する無効理由に係る刊行物に記載されている事項及び発明

(1)甲第1号証
本件出願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物であると認められる甲第1号証には、次の(1-a)ないし(1-c)の事項が記載されている。

(1-a)「図1は本発明の第1実施形態に係る循環型飲食物搬送装置であって、無端状循環搬送路とその近傍上部に配設され前後方向に往復動可能な注文飲食物載置台を備えた往復注文搬送装置を横切る断面図である。
図1に示す符号1は循環型飲食物搬送装置であって、この循環型飲食物搬送装置1は、無端状のクレセントチェーンコンベヤ12a,12bで構成される略水平な循環搬送路1a,1bから成る往路及び復路を有し、図示しない隔壁で仕切られた厨房エリア内から飲食物Nを食器皿8に載置して飲食客エリア内を回走し、再び厨房エリアに戻るようになっている。
更に、循環搬送路1a,1bの側面には対面式の飲食カウンター4a,4bが配設されており、これら飲食カウンター4a,4bには複数の飲食客の座席が搬送方向に沿って所定間隔で配設されている。
詳しくは、循環搬送路1a,1bの間に形成された支持台11上部には、搬送方向に沿う複数の支柱7が所定間隔毎に立設しており、これら支柱7間に設けられた保持枠Hに注文飲食客の対面側の飲食客の視界から遮る仕切板5が取付けられている。
そして、これら循環搬送路1a,1bの中間部上方には、前後方向に往復動可能な注文飲食物運搬体を備えた往復注文搬送装置2が設けられている。なお、この注文飲食物運搬体は食器皿8のことを意味する場合と、食器皿8を載せた注文用トレーTとを意味する場合とを含んでいる。
そして、これら各支柱7の頂部には、U字状の支持枠F1が支持されており、支持枠F1の内部底枠には往復注文搬送装置2が支持されており、この往復注文搬送装置2は、図示しない前後に配置された一対のスプロケットに係止されて水平に折り返される無端チェンC1,C2と、一側チェンC1に連結されて厨房エリア内で飲食物Nを載せた食器皿8を載置して飲食客エリア内に向く案内レール13上に支持されて往復直線移動する注文用トレーTとから構成されている。」(段落【0021】?【0026】)
(1-a2)【図1】には、無端チェンC1,C2を含む筐体間に案内レール13が位置している点も示されている。

(1-b)「図4は第2実施形態に係る循環型飲食物搬送装置であって、無端状循環搬送路とその近傍上部に前後方向に往復動可能に並設された2つの往復注文搬送装置を横切る断面図である。尚、前述した構成部分と同一構成部分については、同一符号を付して重複する説明を省略する。
図4に示される循環型飲食物搬送装置1の循環搬送路1a,1b間には、仕切板5a,5bが配置されて対面側の飲食客の視界を遮るようになっており、これら循環搬送路1a,1bの上方には2つの注文用トレーT,Tを個別に前後方向に往復動する2つの独立した往復注文搬送装置3a,3bが並設されている。
これら往復注文搬送装置3a,3bは、第1実施形態と同じ構成であって、前後に配置された一対のスプロケットに係止されて水平に折り返される無端チェンC1,C2の一方側チェンC1にそれぞれ独立して連結された注文用トレーT,Tを厨房エリアと飲食客エリア間で往復直線移動するように構成されている。」(段落【0043】?【0045】)
(1-b2)【図4】には、無端チェンC1,C2を含む筐体間に案内レール13が位置している点も示されている。
(1-b3)【図4】には、符号は付されていないが、上部の往復注文搬送装置3a,3bは、下部の循環搬送路1a,1bの間から上方へ延びる部材によって支持されている点も示されている。

(1-c)「図5は本発明の第3実施形態に係る循環型飲食物搬送装置であって、無端状循環搬送路とその近傍上部に配設されるリニアモータ駆動の2つの吊り下げ式往復注文搬送装置を横切る断面図である。尚、前述した構成部分と同一構成部分は同一符号を付してその説明を省略する。
図5に示すように、2つの吊り下げ式往復注文搬送装置30a,30bはリニアモータ駆動の吊り下げ式であり、循環型飲食物搬送装置1を構成する無端状のクレセントチェーンコンベヤ12a,12bから成る循環搬送路1a,1bの対面に設置された仕切板5a,5b間の支持台上部には複数の支柱25が所定間隔毎立設しており、これら支柱25間には対面側の飲食客の注文飲食物を視界から遮る目隠し板32が取付けられている。
そして、上記支柱25の上端から搬送方向と直交する左右方向に張り出した支持アーム26の両端には、前後方向を向く2つの独立した搬送路を構成する直線状のガイドレールR1,R2が支持されている。なお、支持アーム26は支柱25に支えられているが、天井に直接吊り下げるようにしてもよい。
そして、これらガイドレールR1,R2には、吊り下げ体P1,P2の側面に回転自在に軸支されたガイドローラが走行可能に支持されており、これら吊り下げ体P1,P2には食器皿8を載置して独立して往復移送可能な吊り下げ搬送トレー29a,29bがそれぞれ吊り下げられている。
吊り下げ体P1,P2のガイドローラと反対側には、両ガイドレールR1,R2の一部に取付けられた無端状の固定子コイルと、可動子から成るリニアモータが設けられている。
本実施形態に係る吊り下げ式往復注文搬送装置30a,30bは、図示していないが、上記の実施形態と同様に、飲食カウンター4a,4b前の座席に対応して注文伝達手段としてのインターフォンがそれぞれ取り付けられており、その座席に着席した飲食客は、インターフォンのボタンを押すことで好みの飲食物を厨房側に口頭で注文することができるようになっている。
また、吊り下げ搬送トレー29a,29bの下方には、仕切板5a,5bの上端から循環搬送路1a,1bの上部にそれぞれヒサシ24a、24bが張り出しており、吊り下げ搬送トレー29a,29bから循環搬送路1a,1b上に飲食物が落下するのを防止している。」(段落【0051】?【0057】)

上記の記載事項によれば、甲第1号証には、次の発明(以下、(1-a)ないし(1-a2)に対応する発明を「甲第1号証の第1発明」、同様に(1-b)ないし(1-b3)に対応する発明、(1-c)に対応する発明をそれぞれ「甲第1号証の第2発明」、「甲第1号証の第3発明」という。)が記載されているものと認められる。

甲第1号証の第1発明
「循環型飲食物搬送装置1に配設される往復注文搬送装置2であって、循環型飲食物搬送装置1は、無端状のクレセントチェーンコンベヤ12a,12bで構成される略水平な循環搬送路1a,1bから成る往路及び復路を有し、厨房エリア内から飲食物Nを食器皿8に載置して飲食客エリア内を回走し、再び厨房エリアに戻るようになっており、循環搬送路1a,1bの間に形成された支持台11上部には、搬送方向に沿う複数の支柱7が所定間隔毎に立設しており、循環搬送路1a,1bの中間部上方には、前後方向に往復動可能な注文飲食物運搬体を備えた往復注文搬送装置2が設けられ、各支柱7の頂部には、U字状の支持枠F1が支持されており、支持枠F1の内部底枠には往復注文搬送装置2が支持されており、この往復注文搬送装置2は、前後に配置された一対のスプロケットに係止されて水平に折り返される無端チェンC1,C2と、一側チェンC1に連結されて厨房エリア内で飲食物Nを載せた食器皿8を載置して飲食客エリア内に向く、無端チェンC1,C2を含む筐体間に位置する案内レール13上に支持されて往復直線移動する注文用トレーTとから構成されている往復注文搬送装置2。」

甲第1号証の第2発明
「循環型飲食物搬送装置1に並設される2つの往復注文搬送装置3a,3bであって、循環型飲食物搬送装置1は、無端状のクレセントチェーンコンベヤ12a,12bで構成される略水平な循環搬送路1a,1bから成る往路及び復路を有し、厨房エリア内から飲食物Nを食器皿8に載置して飲食客エリア内を回走し、再び厨房エリアに戻るようになっており、循環搬送路1a,1bの上方には循環搬送路1a,1bの間から上方へ延びる部材によって支持された2つの注文用トレーT,Tを個別に前後方向に往復動する2つの独立した往復注文搬送装置3a,3bが並設され、これら往復注文搬送装置3a,3bは、前後に配置された一対のスプロケットに係止されて水平に折り返される無端チェンC1,C2前後に配置された一対のスプロケットに係止されて水平に折り返される無端チェンC1,C2と、一側チェンC1に連結されて厨房エリア内で飲食物Nを載せた食器皿8を載置して飲食客エリア内に向く、無端チェンC1,C2を含む筐体間に位置する案内レール13上に支持されて往復直線移動し、一方側チェンC1にそれぞれ独立して連結された注文用トレーT,Tを厨房エリアと飲食客エリア間で往復直線移動するように構成されている往復注文搬送装置3a,3b。」

甲第1号証の第3発明
「循環型飲食物搬送装置1に配設される2つの吊り下げ式往復注文搬送装置30a,30bであって、2つの吊り下げ式往復注文搬送装置30a,30bはリニアモータ駆動の吊り下げ式であり、循環型飲食物搬送装置1を構成する無端状のクレセントチェーンコンベヤ12a,12bから成る循環搬送路1a,1bの対面に設置された仕切板5a,5b間の支持台上部には複数の支柱25が所定間隔毎立設しており、上記支柱25の上端から搬送方向と直交する左右方向に張り出した支持アーム26の両端には、前後方向を向く2つの独立した搬送路を構成する直線状のガイドレールR1,R2が支持され、これらガイドレールR1,R2には、吊り下げ体P1,P2の側面に回転自在に軸支されたガイドローラが走行可能に支持されており、これら吊り下げ体P1,P2には食器皿8を載置して独立して往復移送可能な吊り下げ搬送トレー29a,29bがそれぞれ吊り下げられ、飲食カウンター4a,4b前の座席に対応して注文伝達手段としてのインターフォンがそれぞれ取り付けられており、その座席に着席した飲食客は、インターフォンのボタンを押すことで好みの飲食物を厨房側に口頭で注文することができ、吊り下げ搬送トレー29a,29bの下方には、仕切板5a,5bの上端から循環搬送路1a,1bの上部にそれぞれヒサシ24a、24bが張り出しており、吊り下げ搬送トレー29a,29bから循環搬送路1a,1b上に飲食物が落下するのを防止している2つの吊り下げ式往復注文搬送装置30a,30b。」

(2)甲第2号証
本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲第2号証には、次の(2-a)ないし(2-c)の事項が示されている。

(2-a)「本意匠は、・・・・・・、飲食物等物品の循環搬送を行うクレセントチェーンによる搬送路の上方にチェーン駆動による搬送トレーの運搬路を設けた構成を有するもので、当該搬送トレー運搬路には主に個別注文に応じて所定の位置まで直線状に物品を搬送するために使用される。・・・・・・」(【意匠の説明】)
(2-b)【部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の部分拡大斜視図】、【斜視図】および【使用状態参考図】には、搬送路の側方に支柱が設けられ、当該支柱上端に前記搬送路の搬送方向に向かって左右に延設され、その梁材上の前記搬送路側に直線状のフレーム状である搬送トレー運搬路が設けられた態様が示されている。
(2-c)【使用状態参考図】には、搬送トレーがその底部側方において、直線状のフレーム状である搬送トレー運搬路内に設けられた筐体内の駆動チェーンに連結され、搬送トレーは前記搬送トレー運搬路に沿って運搬される点、駆動チェーンを内包する筐体間に形成された凹部が示されている。

なお、甲第2号証全体の記載を踏まえ、【使用状態参考図】中の「搬送トレイ」は、「搬送トレー」と読み替えた。

上記の記載事項によれば、甲第2号証には、次の発明(以下、(2-a)ないし(2-c)に対応する発明を「甲第2号証の発明」という。)が記載されているものと認められる。

甲第2号証の発明
「飲食物等物品の循環搬送を行うクレセントチェーンによる搬送路の上方にチェーン駆動による搬送トレーの運搬路を設けた構成を有するもので、当該搬送トレー運搬路には主に個別注文に応じて所定の位置まで直線状に物品を搬送するために使用され、搬送路の側方に支柱が設けられ、当該支柱上端に前記搬送路の搬送方向に向かって左右に延設され、その梁材上の前記搬送路側に直線状のフレーム状である搬送トレー運搬路が設けられ、搬送トレーはその底部側方において、直線状のフレーム状である搬送トレー運搬路内に設けられた筐体内の駆動チェーンに連結され、前記筐体間には凹部が形成され、搬送トレーは前記搬送トレー運搬路に沿って運搬される搬送トレー運搬装置。」

(3)甲第3号証
本件出願の出願日前に日本国内において頒布された刊行物である甲第3号証には、次の(3-a)ないし(3-d)の事項が記載されている。

(3-a)「また、保温機構の上方に載置板56が配設されている。
本例において、載置板56は仕切板30に突設されている。
この載置板56により、冷蔵コンベア32上の冷蔵商品を取分けて載置させる取皿を、この載置板56上に載置させることができ、冷蔵商品を取分け易くすることができると共に、保温機構のクレセントチェーン20の上方を被覆し、クレセントチェーン20上の通常商品および保温商品をチリ、ほこり等から保護でき、冷蔵コンベア32上から取分ける冷蔵商品が、保温機構のクレセントチェーン20の商品上に落下することがなく、衛生上極めて有効である。
また、載置板56は保温機構のクレセントチェーン20上で巡回搬送されるケーキ、コーヒーボトル等の商品を見易くするため、透明素材により成形することが望ましく、ガラスが最適である。」(段落【0039】?【0042】)
(3-b)「また、本実施の形態において、載置板56は仕切板30に突設されているが、クレセントチェーン20上方に支柱(図示略)を介して配設させることは自明である。」(段落【0058】)
(3-c)【図1】は、本発明に係る保温機構を備えた回転飲食台の側面図である。(【図面の簡単な説明】参照)
(3-d)【図5】は、本発明に係る保温機構および冷気循環機構を備えた回転飲食台の一部破断斜視図である。(【図面の簡単な説明】参照)

(4)甲第4号証
本件出願の出願日前に日本国内において頒布された刊行物である甲第4号証には、次の(4-a)ないし(4-e)の事項が記載されている。

(4-a)「本発明の飲食物供給用循環型搬送路は、前記スライド板が透光性を有する部材から成り、前記搬送路内に照明手段が設けられていることが好ましい。このようにすれば、搬送路に装飾効果と高級感を与えることができる。」(段落【0015】)
(4-b)「本実施例1の飲食物供給用循環型搬送路は、図2および図3に示すような構成とされており、搬送路周辺を囲むハウジング7の上面部に、寿司皿3を配置して搬送する、平滑性を有した透明なガラス板2がスライド板として設けられ、前記ガラス板2は、前記ハウジング7に搬送路内を密封するように接着、一体化されており、前記ガラス板2直下の搬送路中央部にには、通電により磁化する電磁石14が複数、所定の間隔にて設けられ、この電磁石14は、搬送路内に設けられたチェーンレール13に沿って、搬送路内を循環移動するようにされている駆動チェーン12に取付け治具により取付けられており、前記駆動チェーン12の移動に伴って搬送路内を循環移動するようになっている。」(段落【0019】)
(4-c)【図2】は、本発明の実施例1の飲食物供給用循環型搬送路の構成を示す断面模式図である。(【図面の簡単な説明】参照)
(4-d)【図3】は、本発明の実施例1の飲食物供給用循環型搬送路を示す側面図である。(【図面の簡単な説明】参照)
(4-e)【図5】は、本発明の実施例2の飲食物供給用循環型搬送路の構成を示す断面模式図である。(【図面の簡単な説明】参照)

(5)甲第5号証
本件出願の出願日前に日本国内において頒布された刊行物である甲第5号証には、次の(5-a)ないし(5-c)の事項が記載されている。

(5-a)「・・・、ダブルレーン形式の飲食カウンターの事例である。覆い部7を支持する支柱部材8は中央のガイドレール4に設けられている。・・・」(段落【0029】)
(5-b)【図14】には、ダブルレーン形式の飲食カウンターの支柱部材8にランプ27が保持された点も示されている。
(5-c)【図1】および【図8】には、クレセントトップチェーンコンベヤ2を備えた飲食カウンター1に設けられた支柱部材8がランプ27を保持する構成が示されている。

(6)甲第6号証
本件出願の出願日前に日本国内において頒布された刊行物である甲第6号証には、次の(6-a)ないし(6-b)の事項が記載されている。

(6-a)「本物品は、主として寿司、飲み物等の飲食物を、注文に応じて所定の位置まで搬送トレイに載置し搬送するための搬送機械である。」(【意匠に係る物品の説明】)
(6-b)「本意匠は、「各部の名称を示す参考図」及び「使用状態参考図」に示すように、筺体内部に配設された駆動チェーンに搬送トレイを接合し、該チェーンの駆動を制御することにより所定位置に該トレイを移動させるものである。・・・」(【意匠の説明】)

(7)甲第7号証
本件出願の出願日前に日本国内において頒布された刊行物である甲第7号証には、次の(7-a)ないし(7-c)の事項が記載されている。

(7-a)「台車の一側のみに走行車輪を有し、他側を台車側方に配設した牽引駆動コンベヤに係脱自在に支承した台車搬送装置。」(実用新案登録請求の範囲(1))
(7-b)「台車1の一側には案内レール2上を転動する前後一対の車輪3,3が取付けられ、台車1の他側は全く車輪を有せず、台車側方に配設した複動式チェーンコンベヤからなる牽引コンベヤ4に係脱自在に支承連結されている。」(明細書第5頁第13?17行)
(7-c)第1図は本考案の実施例を示す正面図である。(図面の簡単な説明参照)

(8)甲第8号証
本件出願の出願日前に日本国内において頒布された刊行物である甲第8号証には、次の(8-a)ないし(8-h)の事項が記載されている。

(8-a)「本発明によれば、エンドレスコンベアは直接ではなく、駆動装置を介して機械フレーム上で案内されている」(第5欄第25?26行)
(8-b)「・・・ボビンペッグは水平の真円筒状のスライダー44(図1から3)から上方へ突出しており、スライダー自体はエンドレスコンベア17に対して平行水平に延びる支持レール22上に滑り移動するように配置されている。スライダー44とボビンペッグ13が一緒になってペッグトレイ18を形成している。」(第6欄第19?24行)
(8-c)「・・・機械フレームに固定配置された支持レール22」(第6欄第25?26行)
(8-d)「駆動装置19の下方の領域にT字状の案内溝78が設けられており、その案内溝にらって駆動装置は、前記案内溝に対して相補的なT字状断面を有するプロフィール部材79上に滑り移動するように載置されている。駆動装置19の下方の領域にT字状の案内溝78が設けられており、その案内溝にらって駆動装置は、前記案内溝に対して相補的なT字状断面を有するプロフィール部材79上に滑り移動するように載置されている。T字プロフィール部材は支持レール22並びに側方のガイド56と堅固に結合されている。すなわち機械フレームに固定されている。」(第7欄第14?20行)
(8-e)図1は、本発明の紡績機械における駆動装置とボビンペッグの配置の一実施例を示すエンドレスコンベア走行方向に垂直な平面による断面図である。(図面の簡単な説明参照)
(8-f)図2は、駆動装置とボビンペッグの配置の他の実施例を示す図1と同様の断面図である。(図面の簡単な説明参照)
(8-g)図3は、図2に示した配置で示す駆動装置とボビンペッグの平面図である。(図面の簡単な説明参照)
(8-h)図4は、駆動装置とボビンペッグの配置の更に他の実施例を示す図1と同様の断面図である。(図面の簡単な説明参照)

(9)甲第9号証
本件出願の出願日前に日本国内において頒布された刊行物である甲第9号証には、次の(9-a)ないし(9-b)の事項が記載されている。

(9-a)「・・チエーン24と鮨皿載置台32の係合は、例えば第4図に示すように、L字形フツク34に切欠きを設けて、鮨皿載置台32の内端面にはこの切欠きに嵌入しうる鮨皿載置台の係止部たるL字係合片41を設けて係合し、鮨皿載置台32を上方にのみ外れるようにしてもよい。」(第5欄第9?14行)
(9-b)第4図には、L字形フツク34に切欠きを設けて、鮨皿載置台32の内端面にこの切欠きに嵌入しうる鮨皿載置台の係止部たるL字係合片41を設けて係合する点が示されている。

6.当審の判断

(1)理由Aについて

(1-1)甲第1号証の第1発明との対比

本件特許発明1と甲第1号証の第1発明とを対比すると、甲第1号証の第1発明における「循環型飲食物搬送装置1」は本件特許発明1における「飲食店用の循環搬送装置」に相当し、以下同様に、「往復注文搬送装置2」は「飲食物用の個別搬送装置」に、「循環搬送路1a,1bから成る往路及び復路」は「循環搬送装置の台に設けられた平行な2列のレーン」に、「無端チェンC1,C2」は「駆動装置により」「可動する部材」に、「無端チェンC1,C2を含む筐体」は「直線状のフレーム」に、「案内レール13」は「支持板」に、「案内レール13上に支持されて往復直線移動する注文用トレーT」は「支持板上を前記フレームに沿って直線状に往復動するトレー」に相当するから、本件特許発明1の用語に従えば、両者は、
「飲食店用の循環搬送装置に設けられる飲食物用の個別搬送装置であって、
循環搬送装置の台に設けられた平行な2列のレーンの間に立設された支柱に取り付けられ、且つ前記2列のレーンの少なくとも一方側においてレーンに沿って設けられる直線状のフレームと、
このフレームに設けられた支持板と、
駆動装置によりフレーム内を可動する部材に設けられ、前記支持板上を前記フレームに沿って直線状に往復動するトレーと
を備えることを特徴とする個別搬送装置。」
である点で一致し、次の相違点1aないし相違点1cで相違している。

ここで、「往復注文搬送装置」の「筐体」を請求人が「直線状のフレーム」とみなしたのに対し、被請求人は「平面視略環状の枠体」と表現しているが、口頭審理陳述要領書の記載等から双方が同様の機構を認識していることは明らかである。
そして、被請求人が表現するように「平面視略環状の枠体」でもあるものの、当該「筐体」に挟まれた「案内レール13」上に支持されて「往復直線移動する注文用トレーT」といった記載があることから、当審も当該「筐体」を「直線状のフレーム」とみなした。

[相違点1a]
本件特許発明1では、循環搬送装置に設けられた支柱が、照明を保持するのに対し、甲第1号証の第1発明では、そのような構成がない点。
[相違点1b]
本件特許発明1では、支持板が、フレームから水平に延出して、前記フレームが設けられた側のレーンの上方においてレーンに沿って配置されるのに対し、甲第1号証の第1発明では、そのように構成されていない点。
[相違点1c]
本件特許発明1では、フレームから水平に延出した支持板が透光性を有するのに対し、甲第1号証の第1発明では、そのように構成されていない点。

(1-2)相違点に係る当審の判断

[相違点1aについて]
請求人は甲第1号証の【図1】における支持枠F1の両側上端近傍に描かれた円を照明管と推認しているが、符号が付されて説明されているわけでもないので、上記円は「照明」とは認められない。
一方、甲第5号証には、「クレセントトップチェーンコンベヤ2を備えた飲食カウンター1に設けられた支柱部材8がランプ27を保持する」構成が示されており、甲第5号証における「クレセントトップチェーンコンベヤ2を備えた飲食カウンター1」は本件特許発明1の「循環搬送装置」に相当し、以下同様に「支柱部材8」は「支柱」に、「ランプ27」は「照明」にそれぞれ相当するので、本件特許発明1の用語によって表現すると、「循環搬送装置に設けられた支柱が、照明を保持する」構成が記載されているといえる。
そして、甲第1号証の第1発明と甲第5号証に記載された発明とは、客に飲食物を提供するための循環搬送装置という同一の技術分野に属するから、甲第1号証の第1発明に甲第5号証に記載された技術事項を採用して、相違点1aに係る本件特許発明1の発明特定事項のようにすることに格別の困難性は見出せない。
[相違点1bについて]
本件特許発明1における、支持板が、「直線状のフレームから水平に延出」する点は、甲第1号証の第1発明自体の形態をそのように表現することも可能ではあるが、続く「前記フレームが設けられた側のレーンの上方においてレーンに沿って配置される」点も含めた構成は記載も示唆もされていない。
一方、甲第7号証および甲第8号証には「案内レール」や「支持レール」に沿って「台車」や「スライダ」が移動する点は記載されているが、「案内レール」や「支持レール」の下方に本件特許発明1における「レーン」に相当する構成は記載も示唆もされていないから、本件特許発明1における、支持板が、「直線状のフレームから水平に延出して、前記フレームが設けられた側のレーンの上方においてレーンに沿って配置される」点は、甲第1号証の第1発明ならびに甲第7号証および甲第8号証に記載された技術事項を組み合わせることによって当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
[相違点1cについて]
甲第3号証における「載置板」は、(3-a)における「商品を見易くするため、透明素材により成形することが望ましく、ガラスが最適」との記載から、透光性を有することが明らかではあるが、上記「載置板」は本件特許発明1における「支持板」とは機能が異なり、その上面に沿って注文品が往復動するものではない。
また、甲第4号証における「スライド板」は、(4-a)における「飲食物供給用循環型搬送路は、前記スライド板が透光性を有する部材から成り、前記搬送路内に照明手段が設けられている」との記載から、透光性を有することが明らかではあるが、本件特許発明1のように上方の搬送路が下方の搬送路に対し遮光するのを解消するためのものではない。
したがって、甲第3号証における「載置板」および甲第4号証における「スライド板」は透光性を有するものの、これらの技術事項を甲第1号証の第1発明における「支持板」に採用して、相違点1cに係る本件特許発明1の発明特定事項のようにすることは、当業者にとって容易であるとはいえない。

(1-3)理由Aに関するむすび

よって、請求人が主張する理由Aは理由がない。

(2)理由Bについて

(2-1)甲第1号証の第2発明との対比

本件特許発明1と甲第1号証の第2発明とを対比すると、甲第1号証の第2発明における「循環型飲食物搬送装置1」は本件特許発明1における「飲食店用の循環搬送装置」に相当し、以下同様に、「循環搬送路1a,1b」は「平行な2列のレーン」に、「上方へ延びる部材」は「支柱」に、「注文用トレーT,Tを前後方向に往復動する」「往復注文搬送装置3a,3b」は「直線状に往復動するトレーを備える」「飲食物用の個別搬送装置」に、「無端チェンC1,C2」は「駆動装置により」「可動する部材」に、「無端チェンC1,C2を含む筐体」は「直線状のフレーム」に、「案内レール13」は「支持板」に相当するから、本件特許発明1の用語に従えば、両者は、
「飲食店用の循環搬送装置に設けられる飲食物用の個別搬送装置であって、
循環搬送装置の台に設けられた平行な2列のレーンの間に立設された支柱に取り付けられ、且つ前記2列のレーンの少なくとも一方側においてレーンに沿って設けられる直線状のフレームと、
駆動装置によりフレーム内を可動する部材に設けられ、前記支持板上を前記フレームに沿って直線状に往復動するトレーと
を備えることを特徴とする個別搬送装置。」
である点で一致し、次の相違点2aないし相違点2cで相違している。

[相違点2a]
本件特許発明1では、循環搬送装置に設けられた支柱が、照明を保持するのに対し、甲第1号証の第2発明では、そのような構成がない点。
[相違点2b]
本件特許発明1では、支持板が、フレームから水平に延出して、前記フレームが設けられた側のレーンの上方においてレーンに沿って配置されるのに対し、甲第1号証の第2発明では、そのように構成されていない点。
[相違点2c]
本件特許発明1では、フレームから水平に延出した支持板が透光性を有するのに対し、甲第1号証の第2発明では、そのように構成されていない点。

(2-2)相違点に係る当審の判断

[相違点2aについて]
上記(1-2)[相違点1aについて]と同様、甲第1号証の第2発明と甲第5号証に記載された発明とは、客に飲食物を提供するための循環搬送装置という同一の技術分野に属するから、甲第1号証の第2発明に甲第5号証に記載された技術事項を採用して、相違点2aに係る本件特許発明1の発明特定事項のようにすることに格別の困難性は見出せない。
[相違点2bについて]
上記(1-2)[相違点1bについて]と同様、本件特許発明1における、支持板が、「直線状のフレームから水平に延出して、前記フレームが設けられた側のレーンの上方においてレーンに沿って配置される」点は、甲第1号証の第2発明ならびに甲第7号証および甲第8号証に記載された技術事項を組み合わせることによって当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
[相違点2cについて]
上記(1-2)[相違点1cについて]と同様、甲第3号証における「載置板」および甲第4号証における「スライド板」は透光性を有するものの、これらの技術事項を甲第1号証の第2発明における「支持板」に採用することは、当業者にとって容易であるとはいえない。

(2-3)理由Bに関するむすび

よって、請求人が主張する理由Bは理由がない。

(3)理由Cについて

(3-1)甲第1号証の第3発明との対比

本件特許発明1と甲第1号証の第3発明とを対比すると、甲第1号証の第3発明における「循環型飲食物搬送装置1」は本件特許発明1における「飲食店用の循環搬送装置」に相当し、以下同様に、「吊り下げ式往復注文搬送装置30a,30b」は「飲食物用の個別搬送装置」に、「循環搬送路1a,1b」は「循環搬送装置の台に設けられた平行な2列のレーン」に、「直線状のガイドレールR1,R2」は「直線状のフレーム」に、「ガイドローラ」は「駆動装置により」「可動する部材」に、「吊り下げ搬送トレー29a,29b」は「トレー」に相当するから、本件特許発明1の用語に従えば、両者は、
「飲食店用の循環搬送装置に設けられる飲食物用の個別搬送装置であって、
循環搬送装置の台に設けられた平行な2列のレーンの間に立設された支柱に取り付けられ、且つ前記2列のレーンの少なくとも一方側においてレーンに沿って設けられる直線状のフレームと、
駆動装置によりフレーム内を可動する部材に設けられ、前記フレームに沿って直線状に往復動するトレーと
を備えることを特徴とする個別搬送装置。」
である点で一致し、次の相違点3aないし相違点3cで相違している。

[相違点3a]
本件特許発明1では、平行な2列のレーンの間に立設された支柱が、照明を保持するのに対し、甲第1号証の第3発明では、そのような構成がない点。
[相違点3b]
本件特許発明1では、支持板が、フレームから水平に延出して、前記フレームが設けられた側のレーンの上方においてレーンに沿って配置されるのに対し、甲第1号証の第3発明では、そのように構成されていない点。
[相違点3c]
本件特許発明1では、フレームから水平に延出した支持板が透光性を有するのに対し、甲第1号証の第3発明では、そのように構成されていない点。

(3-2)相違点に係る当審の判断

[相違点3aについて]
上記(1-2)[相違点1aについて]と同様、甲第1号証の第3発明と甲第5号証に記載された発明とは、客に飲食物を提供するための循環搬送装置という同一の技術分野に属するから、甲第1号証の第3発明に甲第5号証に記載された技術事項を採用して、相違点3aに係る本件特許発明1の発明特定事項のようにすることに格別の困難性は見出せない。
[相違点3bについて]
この点について請求人は、甲第1号証の第3発明における「ヒサシ24a、24b」が本件特許発明1における「支持板」に相当する旨主張している。
しかしながら、「ヒサシ24a、24b」は、循環搬送路1a,1bの上部に張り出しているが、吊り下げ搬送トレー29a,29bから循環搬送路1a,1b上に飲食物が落下するのを防止するためのものであって、「ヒサシ24a、24b」自体が吊り下げ搬送トレー29a,29bを支持するわけではないから、「ヒサシ24a、24b」は本件特許発明1における「支持板」に相当するとはいえない。
仮に、「ヒサシ24a、24b」が本件特許発明1における「支持板」に相当するとしても、本件特許発明1における、支持板が、「直線状のフレームから水平に延出」する点は、甲第1号証の第3発明には記載も示唆もされていない。
また、上記(1-2)[相違点1bについて]と同様、本件特許発明1における、「支持板」が、「直線状のフレームから水平に延出して、前記フレームが設けられた側のレーンの上方においてレーンに沿って配置される」点は、甲第1号証の第3発明ならびに甲第7号証および甲第8号証に記載された技術事項を組み合わせることによって当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
[相違点3cについて]
甲第1号証の第3発明の「ヒサシ24a、24b」は、上記(3-3)[相違点3bについて]でも述べたように、本件特許発明1における「支持板」に相当するものではない。
したがって、甲第3号証における「載置板」および甲第4号証における「スライド板」は透光性を有するものの、これらの技術的思想を甲第1号証の第3発明の「ヒサシ24a、24b」に適用しても「透光性を有する」「ヒサシ」が得られるだけであり、フレームから水平に延出した支持板が透光性を有する点は、甲第1号証の第3発明ならびに甲第3号証および甲第4号証に記載された技術事項を組み合わせることによって当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。

(3-3)理由Cに関するむすび

よって、請求人が主張する理由Cは理由がない。

(4)理由Eについて

(4-1)甲第2号証の発明との対比

本件特許発明1と甲第2号証の発明とを対比すると、甲第2号証の発明における「飲食物等物品の循環搬送を行うクレセントチェーンによる搬送路」は本件特許発明1の「飲食店用の循環搬送装置」に相当し、同様に、「チェーン駆動による搬送トレーの運搬路」は「個別注文に応じて所定の位置まで直線状に物品を搬送するために使用され」るものであるから、「飲食物用の個別搬送装置」に相当する。
また、「搬送路の側方に」「設けられ」た「支柱」は「搬送装置の台に」「立設され」た「支柱」に相当する。
さらに、甲第2号証の発明における「筐体」は直線状のフレーム状である搬送トレー運搬路を構成し、その内部に駆動チェーンを有するものであるから、本件特許発明1の「直線状のフレーム」に相当し、同様に、その内部の「駆動チェーン」は「駆動装置により」「可動する部材」に、「筐体間に」「形成され」た「凹部」は「支持板」に相当する。
そうすると、本件特許発明1の用語に従えば、両者は、
「飲食店用の循環搬送装置に設けられる飲食物用の個別搬送装置であって、
循環搬送装置の台に立設された支柱に取り付けられ、レーンの一方側においてレーンに沿って設けられる直線状のフレームと、
前記フレームが設けられた側のレーンの上方においてレーンに沿って配置される支持板と、
駆動装置によりフレーム内を可動する部材に設けられ、前記支持板上を前記フレームに沿って直線状に往復動するトレーと
を備えることを特徴とする個別搬送装置。」
である点で一致し、次の相違点4aないし4cで相違している。

[相違点4a]
本件特許発明1では、平行な2列のレーンの間に立設された支柱が、照明を保持するのに対し、甲第1号証の第1発明では、そのような構成がない点。
[相違点4b]
本件特許発明1では、支持板が、フレームから水平に延出して、前記フレームが設けられた側のレーンの上方においてレーンに沿って配置されるのに対し、甲第1号証の第1発明では、そのように構成されていない点。
[相違点4c]
本件特許発明1では、フレームから水平に延出した支持板が透光性を有するのに対し、甲第1号証の第1発明では、そのように構成されていない点。

(4-2)相違点に係る当審の判断

[相違点4aについて]
甲第2号証の発明には、平行な2列のレーンがなく、その間に支柱が立設される構成もないが、当該構成は、甲第1号証の第1発明ないし第3発明に記載されており、甲第2号証の発明と甲第1号証の第1発明ないし第3発明とは、客に飲食物を提供するための循環搬送装置という同一の技術分野に属するから、甲第2号証の発明に甲第1号証の第1発明ないし第3発明に記載された、平行な2列のレーンの間に支柱が立設される構成を採用することに格別の困難性は見出せない。
また、上記(1-2)[相違点1aについて]と同様、甲第2号証の発明と甲第5号証に記載された発明とは、客に飲食物を提供するための循環搬送装置という同一の技術分野に属するから、甲第2号証の発明に甲第5号証に記載された技術事項も採用して、相違点4aに係る本件特許発明1の発明特定事項のようにすることに格別の困難性は見出せない。
[相違点4bについて]
上記(1-2)[相違点1bについて]と同様、本件特許発明1における、支持板が、「直線状のフレームから水平に延出して、前記フレームが設けられた側のレーンの上方においてレーンに沿って配置される」点は、甲第2号証の発明ならびに甲第7号証および甲第8号証に記載された技術事項を組み合わせることによって当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
[相違点4cについて]
上記(1-2)[相違点1cについて]と同様、甲第3号証における「載置板」および甲第4号証における「スライド板」は透光性を有するものの、これらの技術事項を甲第2号証の発明における「支持板」に採用することは、当業者にとって容易であるとはいえない。

(4-3)理由Eに関するむすび

よって、請求人が主張する理由Eは理由がない。

7.むすび

以上のとおりであるから、本件特許発明1に関し、無効理由AないしCおよびEのいずれも理由がなく、審判請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件特許発明1を無効とすることができない。
また、本件特許発明2は、本件特許発明1を引用し、さらにその構成を限定したものである。
そうすると、本件特許発明1が本件出願の出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない以上、本件特許発明2も本件出願の出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないことになり、特許法第29条第2項に基づく無効理由はない。
したがって、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては本件特許を無効とすることができない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
 
審決日 2009-04-03 
出願番号 特願2007-121860(P2007-121860)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (A47G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村山 睦  
特許庁審判長 亀丸 広司
特許庁審判官 鈴木 洋昭
豊永 茂弘
登録日 2008-04-04 
登録番号 特許第4105749号(P4105749)
発明の名称 個別搬送装置  
代理人 福島 三雄  
代理人 重信 和男  
代理人 向江 正幸  
代理人 渡邉 知子  
代理人 清水 英雄  
代理人 小山 方宜  
代理人 日高 一樹  
代理人 秋庭 英樹  
代理人 高崎 真行  
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