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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65H
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B65H
管理番号 1209708
審判番号 不服2008-9704  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-17 
確定日 2010-01-07 
事件の表示 特願2005- 53844「給紙装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 9月 7日出願公開、特開2006-232535〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成17年2月28日の出願であって、平成20年3月7日付けでなされた拒絶査定に対して、これを不服として、平成20年4月17日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成20年5月19日に特許請求の範囲及び明細書を対象とする手続補正書が提出されたものである。

第2 平成20年5月19日にした手続補正についての補正却下の決定
【補正却下の決定の結論】
平成20年5月19日にした手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
【理由】
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に、
「処理装置に給紙すべき用紙を載置し、水平状態を維持しつつ昇降自在にされた積載板と、
前記積載板上に載置された用紙を位置決めする用紙基準板と、を備え、
前記用紙基準板は、前記積載板の昇降方向において下方ほど前記用紙から離間する方向に傾斜した傾斜部を有することを特徴とする給紙装置。」
とあるのを、
「処理装置に給紙すべき用紙を載置し、水平状態を維持しつつ昇降自在にされた積載板と、
前記積載板上に載置された用紙の側面を位置決めする一対の用紙基準板と、を備え、
前記用紙基準板は、上端部に垂直に設けられた垂直部、及び前記垂直部の下端から最下部まで設けられた傾斜部であって前記積載板の昇降方向において下方ほど前記用紙から離間する方向に傾斜した傾斜部を有し、給紙方向に直交する方向において一方の移動が他方に反対方向に伝達されることを特徴とする給紙装置。」
とする補正を含むものである。
そして、この補正は、一対の用紙基準板が、「給紙方向に直交する方向において一方の移動が他方に反対方向に伝達される」ことを特定するものであるが、本願明細書の段落【0030】に記載されているように、この特定事項は、載積板上に載置された用紙を給紙方向に直交する方向の中央位置を基準に給紙させることを目的とするものであって、補正前の請求項1に係る発明の解決しようとする課題を変更するものであり、特許請求の範囲の限定的減縮を目的としたものでない。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
平成20年5月19日にした手続補正は上記のように却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成20年2月12日に補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「処理装置に給紙すべき用紙を載置し、水平状態を維持しつつ昇降自在にされた積載板と、
前記積載板上に載置された用紙を位置決めする用紙基準板と、を備え、
前記用紙基準板は、前記積載板の昇降方向において下方ほど前記用紙から離間する方向に傾斜した傾斜部を有することを特徴とする給紙装置。」

第4 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である実願昭62-172923号(実開平1-76831号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献」という。)には、以下の事項が図面の記載とともに記載されている。

(a)「この考案は、フアクシミリ、プリンタ、複写機等の画像形成装置の大量給紙装置に関する。」(第1ページ下から2行ないし1行)

(b)「この大量給紙装置は、底板8の上部で周囲をカバー1、2及び3で囲まれ、図示しないモータの正逆回転によつてプーリを介したトレイ駆動ワイヤが直線移動する昇降機構によつて矢示A方向に昇降される給紙トレイ4と、その給紙トレイ4上に積載する用紙のサイズに応じた矢示B方向(用紙の幅方向)に移動可能に固定されて用紙の両側縁を規制する一対のサイドフエンス5、6を備えている。」(第4ページ第1行ないし第9行)

(c)「また、下降位置にある給紙トレイ4の上に予め定められた例えば1000枚の所定の量の用紙を積載した時に、その最上紙の上面の位置に相当する最上限よりも上方に位置するガイド板5a、5b及び6a、6bの対向する各内面を、第2図に示すように用紙P(最上限よりも上昇した位置に図示してある)の両側縁Pa,Pbを給紙に適する正規の幅Lで規制する各規制面5c、5d及び6c、6dとしている。
そして、これらの各規制面5c、5d及び6c、6dよりも下部の対向する各内面5e、5f及び6e、6fを、その間の間隔lが正規の幅Lよりも広くなるように形成している。
なお、各規制面5c、5dと内面5e、5f及び規制面6c、6dと内面6e、6fとは、第2図に明示するように緩やかな傾斜の斜面5g、5h、6g、6hによつて徐々に変化するように接続してある。」(第5ページ第13行?第6ページ第10行)

以上の記載及び図面の記載を総合すると、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

(引用発明)
「画像形成装置に給紙すべき用紙を載置し、水平状態を維持しつつ昇降自在にされた給紙トレイ4と、
前記給紙トレイ4上に載置された用紙を位置決めするガイド板5a、5b、6a、6bと、を備え、
前記ガイド板5a、5b、6a、6bは、正規の幅Lより広い間隔lを有する内面5e、5f、6e、6fを有するとともに、上方に当該内面と接続するように設けられた下方ほど用紙から離間する方向に傾斜した斜面5g、5h、6g、6hを有する大量給紙装置。」

第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。
引用発明の「画像形成装置」、「給紙トレイ」、「ガイド板」、「大量給紙装置」が、それぞれ本願発明の「処理装置」、「積載板」、「用紙基準板」、「給紙装置」に相当する。
すると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は次のとおりである。
【一致点】
「処理装置に給紙すべき用紙を載置し、水平状態を維持しつつ昇降自在にされた積載板と、
前記積載板上に載置された用紙を位置決めする用紙基準板と、を備えた給紙装置。」
【相違点】
本願発明では、用紙基準板が、「前記積載板の昇降方向において下方ほど前記用紙から離間する方向に傾斜した傾斜部」を有する構成であるのに対し、引用発明では、ガイド板が、「正規の幅より広い間隔を有する内面を有するとともに、上方に当該内面と接続するように設けられた下方ほど用紙から離間する方向に傾斜した斜面」を有する点。

第6 検討
本願発明の「傾斜部」からなる構成と、引用発明の「斜面」と「内面」からなる構成は、いずれも用紙と用紙基準板(ガイド板)との間に間隔を設けるための構成であり、このような目的を達成し得る範囲で、用紙基準板(ガイド板)の構成を適宜変更してもよいことは明らかである。また、引用発明においては、上昇する用紙の縁を案内するための斜面を、ガイド板の上部の一部に設ける構成としているが、このような斜面を、本願発明のようにガイド板の下方ほど用紙から離間するように設けたとしても、用紙の案内をし得ることは自明であり、また、そのような構成を採用することは、用紙の縁を案内するために種々想到し得る構成から適宜選択したにすぎず、当業者であれば容易に想到し得たものである。
してみれば、引用発明の「斜面」及び「内面」の形状を変更し、本願発明の「前記積載板の昇降方向において下方ほど前記用紙から離間する方向に傾斜した傾斜部」とすることは当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、その効果も当業者であれば予想し得る程度のものにすぎない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

なお、請求人は、平成21年9月14日付け回答書において、請求項1に係る発明の垂直部の寸法を限定する補正をしたい旨述べているが、垂直部の寸法を限定したとしても、斜面及び幅広の内面から形成されたガイド板を有する引用発明と比べて、格別な作用効果を奏するものではなく(用紙と用紙基準板とが擦れ合う距離を短縮する程度が異なるだけ)、進歩性を有するとはいえない。
 
審理終結日 2009-10-29 
結審通知日 2009-11-10 
審決日 2009-11-26 
出願番号 特願2005-53844(P2005-53844)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (B65H)
P 1 8・ 121- Z (B65H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永安 真  
特許庁審判長 千馬 隆之
特許庁審判官 村上 聡
佐野 健治
発明の名称 給紙装置  
代理人 小森 久夫  
代理人 小澤 壯夫  
代理人 特許業務法人 楓国際特許事務所  

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