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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B05C
管理番号 1211091
審判番号 不服2008-5672  
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-06 
確定日 2010-02-04 
事件の表示 特願2001-343632「土木構造物の塗装装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月20日出願公開、特開2003-144998〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、平成13年11月8日の出願であって、平成20年1月28日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされ、これに対し平成20年3月6日付けで拒絶査定不服審判が請求され、その後、当審において平成21年9月3日付けで拒絶の理由が通知され、平成21年10月23日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

したがって、本願請求項1に係る発明は、平成21年10月23日付け手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された以下の事項により特定されるものである。

「【請求項1】
凹凸を有する土木構造物の塗装面を塗装するための土木構造物の塗装装置であって、
回転しながら前記塗装面上を移動することにより当該塗装面上に溶剤を含む油性塗料を供給する塗装ローラと、
この塗装ローラを回転可能に支持する支持体と、
前記塗装ローラを回転駆動する塗装ローラ駆動手段と、
前記塗装ローラに塗料を供給するための塗料供給ローラと、
前記塗料供給ローラを回転駆動する塗料供給ローラ駆動手段と、を備え、
前記塗装ローラは、吸液性及び前記塗装面の凹凸に対応して変形可能な弾性を有する柔軟材であるスポンジ材または繊維集合体で形成されたローラ本体と、ローラ外周部に設けられ、含浸した塗料を塗装面に供給する塗料含浸層と、塩化ビニリデン、ナイロン、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリビニルアルコールの中から選ばれる合成樹脂からなるフィルムシートを前記ローラ本体の周囲に巻き付けてなり、前記ローラ本体と塗料含浸層との間に介在して当該塗料含浸層からローラ本体への塗料の侵入を阻止する保護層とを有し、前記塗料含浸層は起毛生地または不織布からなって前記保護層の外側に巻付けられたものであり、
前記塗料供給ローラは、前記塗装ローラの塗料含浸層に圧接しながら回転することにより当該塗料含浸層に塗料を供給することを特徴とする土木構造物の塗装装置。」(以下、「本願発明」という。)

2.引用刊行物に記載された発明
(1)引用刊行物
当審より平成21年9月3日付けで通知した拒絶の理由において引用した、本願の出願日前に日本国内で頒布された刊行物である特開2001-310145号公報(平成13年11月6日公開、以下、「引用刊行物」という。)には、次のことが記載されている。

a)「【発明の属する技術分野】本発明は、橋桁下面や側面の塗装、特に補修塗装に好適な塗装方法及び装置並びに塗装設備に関するものである。」(段落【0001】)

b)「【0009】
【課題を解決するための手段】上述のように、橋桁の補修作業を行う際には、一般に、その下方に橋軸方向に移動可能な作業足場が仮設され、この作業足場上で作業が行われる。本発明は、この移動式の作業足場に着目してなされたものであり、橋桁にその橋軸方向に移動可能に支持された作業足場側に塗装ローラを支持し、この塗装ローラを橋桁表面に押付けながら前記作業足場を橋軸方向に移動させることにより同方向に橋桁表面を塗装する方法である。
【0010】この方法によれば、作業足場側に塗装ローラを支持し、かつ、これを橋桁表面に押付けながら作業足場を移動させるだけの簡単な工程で、橋軸方向にわたる長領域の塗装を効率良く行うことができる。」(段落【0009】及び【0010】)

c)「【0014】また本発明は、橋桁表面に押付けられながらこの橋桁表面に沿って移送されることにより当該橋桁表面を塗装する橋桁表面の塗装装置であって、前記橋桁表面に塗料を付着させるための塗布ローラと、前記橋桁表面に押付けられながらこの橋桁表面に沿って移送される本体部と、前記塗布ローラを回転可能に支持し、かつ、前記本体部が橋桁表面に押付けられた状態で前記塗布ローラを前記橋桁表面に対して接離させる方向に移動可能に前記本体部に取付けられた塗布ローラ支持部材と、この塗布ローラ支持部材に支持された塗布ローラを所定の圧力で前記橋桁表面に押付けるように当該塗布ローラ支持部材に押付け力を作用させる塗布ローラ押付け手段とを備えたものである。
【0015】この装置によれば、前記本体部を橋桁表面に押付け、かつ、塗布ローラ押付け手段により塗布ローラ支持部材に押付け力を作用させて塗布ローラを橋桁表面に押付けた状態で、前記本体部を橋桁表面に沿って移送することにより、その移送方向に沿って効率良く塗料を塗布することができる。前記本体部の移送は、例えば前記方法のように作業足場側に塗装装置を支持しながら当該作業足場を移動させることにより、既存の設備を利用して簡単に行うことが可能である。
【0016】この装置では、前記塗布ローラを回転駆動する塗布ローラ駆動手段を備えることが、より好ましい。この構成により、塗布ローラの回転速度を自由に設定でき、同ローラを塗料の塗布に適した速度で回転させることができる。
【0017】また、前記塗布ローラが前記本体部の移送方向と平行な方向の軸回りに傾転可能に支持されていれば、仮に橋桁表面がうねりや反りなどで傾いていても、これに追従して塗布ローラが傾転することで良好な塗布を行うことができる。」(段落【0014】乃至【0017】)

d)「【0019】前記塗布ローラの表面に塗料を供給する手段としては、前記塗布ローラの表面に圧接し、その表面に塗料を供給する供給ローラを備えたものが、好適である。この手段によれば、供給ローラから塗布ローラへ安定した塗料の供給を行うことができる。この供給ローラとしては、例えば、周壁に連通部を有し、内部に塗料が供給される中空の回転軸と、この回転軸の周囲に固定され、前記連通部を通じて回転軸の内部から供給される塗料を外周面に滲み出させるスポンジローラなどが好適である。
【0020】この供給ローラ付き塗装装置においては、当該供給ローラを回転可能に支持し、かつ、この供給ローラを前記塗布ローラの表面に対して接離させる方向に移動可能な供給ローラ支持部材と、前記供給ローラを前記塗布ローラの表面に所定の圧力で圧接させるように前記供給ローラ支持部材に押付け力を作用させる供給ローラ押付け手段とを備えたものが好適である。この構成によれば、前記供給ローラ押付け手段による押付け力の設定により、供給ローラを塗布ローラに対して塗料の供給に適した圧力で圧接させることができる。
【0021】前記供給ローラ支持部材は、本体部側に支持してもよいが、前記塗布ローラ支持部材に相対移動可能に取付けられ、その相対移動により前記供給ローラが前記塗布ローラの表面に対して接離するように構成すれば、より簡単な構造で確実に供給ローラを塗布ローラに圧接させることができる。
【0022】また、前記供給ローラを回転駆動する供給ローラ駆動手段を備えることにより、供給ローラと塗布ローラの相対回転速度を任意に設定することが可能となり、その相対速度を供給ローラから塗布ローラへの塗料供給に適した速度にすることができる。」(段落【0019】乃至【0022】)

e)「【0054】次に、前記塗装装置40Bの具体的な構造を、図7?図16を参照しながら説明する。なお、前述のように本体部42、揺動アーム48、及び空気圧シリンダ50は前記素地調整装置40Bと共用されているので、ここではその説明を省略する。
【0055】この塗装装置40Bは、塗装のためのローラとして、塗料の塗布を行うための塗布ローラ66と、この塗布ローラ66に塗料を供給するための供給ローラ76と、塗布された塗料を均一化するための補助ローラである傾斜ローラ86及び仕上げローラ96とを備えている。以下、各ローラにかかる構造を順に説明する。」(段落【0054】及び【0055】)

f)「【0056】・塗布ローラ66について
前記揺動アーム48の後端部(図7では左側端部)には、前後方向(本体部42の移送方向と平行な方向;図7では左右方向)の軸52回りに傾転可能となるように塗布ローラ支持枠64が支持されている。詳しくは、塗布ローラ支持枠64の前端部に前方へ突出する状態で軸52が固定され、この軸52が、前記揺動アーム48に設けられた貫通孔に嵌挿されている。そして、これら揺動アーム48及び塗布ローラ支持枠64により、本発明における塗布ローラ支持部材が構成されている。
【0057】塗布ローラ66は、前記塗布ローラ支持枠64内に格納されている。この塗布ローラ66は、装置左右方向(図8では上下方向)に延びる回転軸68と、この回転軸68の外周面に固定されたローラ本体とからなり、このローラ本体の表面には弾力性に富むゴムライニングが施されている。前記回転軸68の両端部は、前記塗布ローラ支持枠64に回転可能に支持され、この塗布ローラ支持枠64に、前記回転軸68の一端部に連結される塗布ローラ駆動モータ70が固定されており、同モータ70の作動によって塗布ローラ66がその回転軸68回りに回転駆動されるようになっている。
【0058】前記塗布ローラ66は、塗布ローラ支持枠64の上面から上方に少し突出する位置に支持されている。そして、前記本体部42のガイドローラ44が橋桁下面に押付けられた状態で、前記空気圧シリンダ50の収縮による揺動アーム48の揺動で前記塗布ローラ66が橋桁下面から離間する一方、前記空気圧シリンダ50の伸長による揺動アーム48の揺動で前記塗布ローラ66が橋桁10の下面に所定の圧力で押付けられるように、塗布ローラ66の支持位置が設定されている。すなわち、空気圧シリンダ50は、本発明における塗布ローラ押付け手段を構成している。」(段落【0056】乃至【0058】)

g)「【0059】・供給ローラ76について
前記塗布ローラ支持枠64は、その後端下部に左右方向に延びる支軸72を有し、この支軸72に左右一対の供給ローラ支持アーム(供給ローラ支持部材)74の後端部(図7では右側端部)が支持されている。両供給ローラ支持アーム74の前端部同士は、上下一対の連結軸73を介して左右方向に連結され、これら連結軸73及び供給ローラ支持アーム74全体が前記支軸72回りに揺動可能となっている。
【0060】供給ローラ76は、両供給ローラ支持アーム74同士の間に支持されている。この供給ローラ76は、装置左右方向(図10の左右方向)に延びる中空の回転軸76aと、この回転軸76aの外周面に固定されたローラ本体76bとからなり、このローラ本体76bはスポンジで構成されている。前記回転軸76aの周壁には多数の貫通孔が設けられるとともに、同回転軸76aの内部に配管82を介して図略の塗料供給ボンベが接続されており、同ボンベから回転軸76aに供給された塗料が前記貫通孔を通じてローラ本体76bに流出し、このローラ本体76bの表面に滲み出るように構成されている。
【0061】前記回転軸76aの両端部は、両供給ローラ支持アーム74に回転可能に支持され、そのうちの一方の供給ローラ支持アーム74に、前記回転軸76aの一端部に連結される供給ローラ駆動モータ80が固定されており、同モータ80の作動によって供給ローラ76がその回転軸76aを中心として回転駆動されるようになっている。
【0062】前記両連結軸73には、これらの連結軸73から前方(図7では右方)に突出するブラケット79が固定され、このブラケット79の端部と前記塗布ローラ支持枠64との間に、空気圧シリンダからなる供給ローラ押付けシリンダ(供給ローラ押付け手段)78が設けられている。そして、この供給ローラ押付けシリンダ78の伸長により、供給ローラ支持アーム74の前端部が下向きに揺動して前記供給ローラ76が塗布ローラ66から下方に離間する一方、前記供給ローラ押付けシリンダ78が収縮することにより、前記供給ローラ支持アーム74の前端部が上向きに揺動して供給ローラ76が塗布ローラ66の下面に対して所定の圧力に押付けられるように構成されている。」(段落【0059】乃至【0062】)

h)上記a)及びb)からみて、引用刊行物に記載された塗装装置は橋桁の表面を塗装するものであることがわかり、また、上記c)に摘記した段落【0017】の記載からみて、橋桁表面にうねりや傾斜があることを前提とするものであるから、「凹凸を有する」橋桁の塗装面を塗装するものであることがわかる。

i)以上a)乃至h)のこと、及び図7乃至図12等の記載を総合・勘案すると、引用刊行物には次の発明が記載されているといえる。

「凹凸を有する橋桁の塗装面を塗装するための橋桁の塗装装置であって、
回転しながら前記塗装面上を移動することにより当該塗装面上に塗料を供給する塗布ローラ66と、
この塗布ローラ66を回転可能に支持する塗布ローラ支持枠64と、
前記塗布ローラ66を回転駆動する塗布ローラ駆動モータ70と、
前記塗布ローラ66に塗料を供給するための供給ローラ76と、
前記供給ローラ76を回転駆動する供給ローラ駆動モータ80と、を備え、
前記供給ローラ76は、前記塗布ローラ66の表面に圧接しながら回転することにより当該塗布ローラ66表面に塗料を供給する橋桁の塗装装置。」(以下、「引用刊行物に記載された発明」という。)

3.対比
本願発明と引用刊行物に記載された発明とを対比すると、引用刊行物に記載された発明の備える「塗布ローラ66」、「塗布ローラ支持枠64」、「塗布ローラ駆動モータ70」、「供給ローラ76」及び「供給ローラ駆動モータ80」は、それぞれ本願発明における「塗装ローラ」、「支持体」、「塗装ローラ駆動手段」、「塗料供給ローラ」及び「塗料供給ローラ駆動手段」に相当し、また、引用刊行物に記載された発明における「橋桁」は本願発明における「土木構造物」に包含されることは明らかである。
さらに、引用刊行物に記載された発明における「塗料」は、「溶剤を含む油性塗料」であるかどうかは明らかではないが、「塗料」という限りにおいて、本願発明と共通するものである。
加えて、引用刊行物に記載された発明における「供給ローラ76」は「塗布ローラ66の表面に圧接しながら回転することにより当該塗布ロール66表面に塗料を供給する」ものであるのに対し、本願発明における「塗料供給ローラ」は「塗装ローラの塗料含浸層に圧接しながら回転することにより当該塗料含浸層に塗料を供給する」ものであるが、本願発明において「塗料含浸層」は塗装ローラの表面に存在するものであるから、いずれも「塗装ローラの表面に圧接しながら回転することにより当該塗装ローラの表面に塗料を供給する」ものであるといえる。
したがって、両者は、次の一致点及び相違点を有するものである。

〈一致点〉
「凹凸を有する土木構造物の塗装面を塗装するための土木構造物の塗装装置であって、
回転しながら前記塗装面上を移動することにより当該塗装面上に塗料を供給する塗装ローラと、
この塗装ローラを回転可能に支持する支持体と、
前記塗装ローラを回転駆動する塗装ローラ駆動手段と、
前記塗装ローラに塗料を供給するための塗料供給ローラと、
前記塗料供給ローラを回転駆動する塗料供給ローラ駆動手段と、を備え、
前記塗料供給ローラは、前記塗装ローラの表面に圧接しながら回転することにより当該塗装ローラの表面に塗料を供給する土木構造物の塗装装置。」

〈相違点1〉
本願発明における「塗装ローラ」は、「塗装面上に溶剤を含む油性塗料を供給する」もので、かつ「吸液性及び前記塗装面の凹凸に対応して変形可能な弾性を有する柔軟材であるスポンジ材または繊維集合体で形成されたローラ本体と、ローラ外周部に設けられ、含浸した塗料を塗装面に供給する塗料含浸層と、塩化ビニリデン、ナイロン、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリビニルアルコールの中から選ばれる合成樹脂からなるフィルムシートを前記ローラ本体の周囲に巻き付けてなり、前記ローラ本体と塗料含浸層との間に介在して当該塗料含浸層からローラ本体への塗料の侵入を阻止する保護層とを有し、前記塗料含浸層は起毛生地または不織布からなって前記保護層の外側に巻付けられたもの」であるのに対し、引用刊行物に記載された発明における「塗布ローラ66」が塗装面上に供給する「塗料」は「溶剤を含む油性塗料」であるかどうか明らかではなく、また「当該塗布ローラ」の具体的構造が不明である点(以下、「相違点1」という。)。

〈相違点2〉
本願発明における「塗料供給ローラ」は「塗装ローラの塗料含浸層に圧接しながら回転することにより当該塗料含浸層に塗料を供給する」ものであるのに対し、引用刊行物に記載された発明における「供給ローラ76」は「塗布ローラ66の表面に圧接しながら回転することにより当該塗布ローラ66表面に塗料を供給する」ものであるが、「塗料含浸層」を有するかどうか明らかではない点(以下、「相違点2」という。)

4.当審の判断
上記相違点について、以下に検討する。
(1)相違点1について
まず、a)橋桁のような土木構造物の塗装において「溶剤を含有するような油性塗料」を塗装ローラにより塗布することは、本願出願前によく知られた周知の技術にすぎず(例えば特開平11-615号公報、特公昭61-41261号公報等参照、以下「周知技術1」という。)、また、b)塗装ローラにおいて、吸液性及び変形可能な弾性を有する柔軟材である、スポンジ等の材料で構成された本体、塗料を含浸される塗布層(塗料含浸層)及び当該本体と塗布層(塗料含浸層)との間の塗料を通さないシート(保護層)等より形成したこと、及び塗装ローラの塗布層(塗料含浸層)を起毛生地等を巻き付けて構成したことも、本願出願前にごくありふれた周知の技術である(例えば、当審より通知した拒絶の理由において提示した特開平4-179028号公報、特開昭52-66549号公報、また他に実願昭50-130499(実開昭52-44257号)のマイクロフィルム、等参照、以下「周知技術2」という。)。さらに、c)本願発明において保護層の材料として挙げられたナイロン、フッ素樹脂、ポリプロピレン等の合成樹脂は、耐溶剤性の高い素材として広く知られたもの(特開平6-254479号公報参照、以下、「周知技術3」という。)である。
以上のことを考慮すると、引用刊行物に記載された発明における塗料及び塗装ローラとして、上記周知技術1乃至3を採用し、上記相違点1に係る本願発明のようになすことは、当業者にとり通常の創作力の範囲でなし得る程度のことにすぎない。

(2)相違点2について
上記相違点1について判断したように、上記周知の塗装ローラを採用したならば、供給ローラが塗料を供給する対象は、塗装ローラ(塗布ローラ66)の「表面」から必然的に塗装ローラの「塗料含浸層」となるものであり、引用刊行物に記載された発明の塗装ローラとして上記周知技術2のようなものを採用した結果、当然に上記相違点2に係る本願発明のようになるものであり、この点に特に創作的努力を行ったものとは認められない。

また、全体としてみても、本願発明のようにした結果、引用刊行物に記載された発明及び周知技術1乃至3に比べ、顕著な効果が生じたものとも認められない。

したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明及び上記周知技術1乃至3に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用刊行物に記載された発明及び上記周知技術1乃至3に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-11-27 
結審通知日 2009-12-01 
審決日 2009-12-14 
出願番号 特願2001-343632(P2001-343632)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B05C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加藤 昌人村山 禎恒  
特許庁審判長 早野 公惠
特許庁審判官 志水 裕司
加藤 友也
発明の名称 土木構造物の塗装装置  
代理人 小谷 悦司  
代理人 小谷 悦司  
代理人 村松 敏郎  
代理人 村松 敏郎  
代理人 村松 敏郎  
代理人 小谷 悦司  

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