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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 F03G |
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管理番号 | 1211859 |
審判番号 | 不服2008-13491 |
総通号数 | 124 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-05-07 |
確定日 | 2010-02-12 |
事件の表示 | 特願2004-253561号「重りの楕力による推進装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月16日出願公開、特開2006- 46309号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成16年8月3日の出願であって、平成20年3月27日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年5月8日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成20年6月6日付けで手続補正(前置補正)がなされたものである。 2.平成20年6月6日付け手続補正の適否 補正後の特許請求の範囲は、補正前の特許請求の範囲の請求項3を削除するものであって、この補正は平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号の特許請求の範囲の削除を目的とするものに該当する。 3.本願発明 本願の請求項1および2に係る発明(以下「本願発明1および2」という。)は、平成20年6月6日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1および2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、次のとおりである。 「【請求項1】 複数の放出円盤両端より同時放出して重りに惰力を与え、推進方向へ放出の重りが、推進方向へ向け配置した推進導管を走行時、推進導管付随の減速装置により惰力速度を減速または加速し、その反作用で推進する。 【請求項2】 推進方向を向いた対称構造の推進用構造部を対称配置し、同重量の複数の重りを対称の構造部夫々で同時同調対象作動させ、重り惰力の加速減速回収供給の一連の循環作動を繰り返し、推進を継続する推進装置。」 4.原査定の理由 一方、原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。 特許請求の範囲の請求項1の「推進導管付随の減速装置により楕力速度を減速または加速し、その反作用で推進する」なる記載に関し、発明の詳細な説明の記載において、推進導管付随の減速装置により楕力速度を減速または加速する点が不明であり、また、反作用で推進するための具体的要件が明りょうでない。よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないから、この出願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 5.当審の判断 請求項1について、「推進導管付随の減速装置により楕力速度を減速または加速し、その反作用で推進する」という記載に関し、発明の詳細な説明【0012】段落に「本発明の重りの楕力を推進力に変換する推進方法により製作された楕力推進装置」と記載されており、重りの反作用で推進するものと推測されるが、具体的にどのように推進するのか不明である。 請求項2についても、例えば図8に示された実施例3について検討すると、発明の詳細な説明【0077】?【0081】段落に説明されているが、この記載からみても、どのようにして推進力を得るのか不明である。 図8において、左右方向についてはバランスが取れており、左右方向に動くことはない。一方、図面上で上下方向の動きについて右側の推進導管17内の重りに注目すると、まず、コイル装置31により加速された重りが右方向に動く。重りが曲線部に入ると、重りは下方向に曲げられる。このときに重りを下方向に曲げる力は推進導管の曲線部から重りに作用するように加えられているため、重りが下方向に曲げられる反力として推進導管17自体は上方に動き始めるので装置全体が上方向に動き始める。次に、重りが直線部に至りコイル装置29によって減速させられる。このとき反力によって推進導管17は下方向に引かれるので、上に動いていた装置全体は、重りが停止すると同時に停止する。そして、重りを逆方向に加速するとその反力で装置全体は下方向に動き始めるが、重りが曲線部に入ると装置全体は減速し、重りがコイル装置31に至ると装置全体は停止する。 したがって、【0077】?【0081】の記載では推進導管の曲線部での重りと推進導管との作用・反作用が考慮されておらず、実際には装置全体はある地点を中心に上下に交互に動くものと考えられ、推進力を発生する具体的構成が不明である。 運動量保存の法則によれば、何かを外に放出する反力として推力を得ることは出来るが、閉鎖系の中でどのような動きがあっても全体として閉鎖系の外からみた重心の位置が変わるような動きをすることは出来ないので、発明の詳細な説明の記載では推進力を得ることは出来ないものと認められる。 本願発明1および2は、本願の明細書及び図面に記載された事項によってでは、その実施が達成されるものとは認められない。 6.むすび したがって、本願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1および2に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないので、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないものであるから、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-12-03 |
結審通知日 | 2009-12-08 |
審決日 | 2009-12-24 |
出願番号 | 特願2004-253561(P2004-253561) |
審決分類 |
P
1
8・
536-
Z
(F03G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中川 隆司、平岩 正一 |
特許庁審判長 |
川向 和実 |
特許庁審判官 |
横溝 顕範 藤井 昇 |
発明の名称 | 重りの楕力による推進装置 |
代理人 | 森 廣三郎 |
代理人 | 松浦 瑞枝 |
代理人 | 森 寿夫 |